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■INNOCENCE / 痴漢、かっこ悪いよ (限定受注)■

藤森イズノ
【7420】【猫目・アリス】【クラッカー+何でも屋+学生】
「うわぁぁぁぁぁぁん!!」
イノセンス本部、セントラルホールに泣きながら駆け込んできた女の子。
つい最近、組織に加入した新入りエージェントのミカだ。
「うおっ。なになに!?どしたの!?」
飴を咥えつつ、ミカに駆け寄る海斗。
海斗に抱きつき、ミカは泣きながら訴える。
「痴漢〜〜〜痴漢に〜〜…うわぁぁぁぁん」
「マジか」
INNOCENCE // 痴漢、かっこ悪いよ

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 OPENING

「うわぁぁぁぁぁぁん!!」
 イノセンス本部、セントラルホールに泣きながら駆け込んできた女の子。
 つい最近、組織に加入した新入りエージェントのミカだ。
「うおっ。なになに!?どしたの!?」
 飴を咥えつつ、ミカに駆け寄る海斗。
 海斗に抱きつき、ミカは泣きながら訴える。
「痴漢〜〜〜痴漢に〜〜…うわぁぁぁぁん」
「マジか」

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 あー……。 イライラする。
 ったくよぉ、何だってんだよ、最近。
 やっぱアレか。 夏ってことで薄着になってるから狙い時なのか。
 はぁ〜〜〜〜……。
 大きな溜息を落とし、自室から出てきたアリス。
 ここ数日、アリスの携帯は鳴りっ放し。
 その殆どが、友人(主に夢魔の少女)からの被害報告。
 電車の中で、痴漢された。
 そう訴える友人は、皆ショックから塞ぎ込んでしまっている。
 ビシッとなぁ、何すんだテメェとか言えりゃあ良いんだろうけど。
 そうもいかないのが、女ってやつだよな。
 ったく、卑劣極まりないぜ。
 ズカズカと歩くアリス。
 ふと、目に飛び込む、海斗と少女の姿。
 パッと見た感じだと、海斗が泣かしてる……風に見えなくもないが。
 少女が、海斗に抱きついてる辺りから、何か理由があって泣いているのだろう。
 何だ、痴話喧嘩か? 他所でやれよ、他所で。
 ふん、と鼻で笑いつつ、階段を降りていくアリス。
 気晴らしに、美味いもんでも食いに行こう。
 そう思ってセントラルホールを抜けようとした、のだが。
 少女が泣いている理由。
 それを耳にした瞬間、アリスはピタリと立ち止まった。
 どうやら、この少女も痴漢の被害者らしい。
 ほほぉ。ここにも被害者ですか。
 あ〜〜駄目だ。 もう我慢できねぇ。
 ぷっつんだ、ぷっつん。
「おい、うちも協力するぜ」
 ガムを噛みつつ、歩み寄って意思表示したアリス。
 痴漢犯をこらしめようと計画していた海斗は、ありがたいと微笑んだ。
 制裁チームが結成された直後のことだ。
 レストランから出てきた、明日菜とミグ。
 二人とも満腹のようで、幸せに満ちた顔をしている。
「グル……? (訳:何だ? 騒がしいな)」
「事件の予感、ね」
 階段を降り、アリスたちと合流する明日菜とミグ。
 事情を聞いた二人は、それならば是非、我々も協力したいと加入表明。
 ショックから、肩を震わせている少女、ミカ。
 明日菜は、ミカの頭を撫でつつ、彼女を自室へと連れて行く。
「あ、ちょっと。海斗くんも一緒に来て」
「ん? おー」
 何故か、連れて行かれた海斗。
 どうして、海斗も連れて行ったのだろう。
 あれ? ミカって海斗の彼女だっけ?
 いや、違うよなぁ。 何だろう?
 明日菜の行動に、首を傾げているアリスとミグ。
 少し待ってて、と言われるがまま。
 二人は、セントラルホールで明日菜を待った。
 三十分後、ホールに、けたたましい笑い声が響き渡る。

「うぉーい。何これ、何つー 罰ゲーム?」
 呆れ笑いながら言う海斗。
 明日菜に連れられて戻ってきた海斗は、とても可愛らしい『女の子』に変貌していた。
 囮捜査的なアレで、彼に働いてもらうつもりらしい。
「どう? 結構、可愛いでしょ」
 ふふんと自慢気に笑う明日菜。
「だ、だな。 ぷ……」
「…………」
 笑い堪えきれず吹き出してしまうアリスと、
 笑いを必死に堪えて、プルプルと小刻みに震えているミグ。
 制裁チームには、もう一人、助っ人。
 何でも、かき集めた情報から察するに、
 犯人はロリコンっぽい雰囲気があるということで、梨乃も連れてきた。
 だがしかし、海斗の女装と同じくらい、梨乃の格好にも違和感がある。
 太もも露出の、セクシーなミニスカート。
 そもそも、スカートというものが苦手な梨乃だ。
 この姿は、とても珍しい。
 何故、梨乃が、こんな格好をしているのか。
 それは、ミグの調査と指示によるものだ。
 被害者の声を聞けば、その全員が、太ももを まさぐられている。
 要するに、犯人は『太ももフェチ』である可能性が高い。
 ゆえに、太ももを露出するのは当然なのだ、とミグは言う。
 先ほど、ミカの身体をさりげなくクンクンと嗅ぎ、
 犯人らしき人物の匂いを捉え覚えているミグ。
「グルル……。 (訳:行くぞ)」
 ミグを先頭に、駆け出す一行。
 端から見ると、それは何だか、おかしなグループに見えた。

 *

 ミグが匂いを伝い、辿り着いた場所。
 そこは、以外な場所だった。
 電車は電車なのだが……女性専用車両だ。
 妙だな? とは思いつつも、ミグの鼻は確か。疑う余地はない。
『ハック完了。 いつでもイケるわよ』
 小型マイクで連絡を入れる明日菜。
 車両に乗り込んだアリス、ミグ、海斗、梨乃は『了解』と返す。
 盲導犬のフリをして、梨乃と行動を共にするミグ。
 チラリと辺りを伺うも……今のところ、怪しい人物はいない。
 (よっしゃ……。 撲滅開始とイきますかぁ)
 ニヤリと不敵に笑い、フードを外して眼鏡を装着。やる気満々なアリス。
 それに反して、海斗と梨乃は、動きがぎこちない。
 まぁ、無理もない。 慣れぬ格好をしているが故に。
 ゆっくりと、走り出す列車。
 車内は、何というか……まさに、女の園だ。
 あちこちから聞こえてくる笑い声や、
 どこからともなく香ってくる、お菓子や化粧品の匂い。
 鼻の利くミグにとっては、なかなかの試練だ。
 駅のホーム、ノートパソコンに映る映像を確認しつつ、缶コーヒーを飲む明日菜。
 うーん。 女性専用車両で痴漢……。
 となると、犯人の正体は一つしかないわよね。
 そう考えると簡単に見つかりそうな気もするけど。
 う〜ん……と首を傾げ、真剣にモニターを見やる明日菜。
 発車から、七分後。
 車内に、怪しい動きをする人物を明日菜の目が捉えた。
『複数だわ。 梨乃ちゃんの右斜め後ろと、海斗くんの真後ろ、それから、昇降口付近にいる奴ね』
 明日菜からの連絡を受け、チラリと確認するアリスとミグ。
 対象人物は全員、パッと見、普通の中年女性だ。
 だが、よーく見ると……皆、さりげなく骨太だ。
 昇降口付近にいる人物に至っては、やたらとヒゲが濃いような気もする。
 よっしゃあ、出たな。 っつうかバレバレじゃねぇかよ。
 そんなんで、よく成功してたな。
 不敵に笑い、昇降口付近へと歩くアリス。
 そして、目の前で、ピタリと停止。
 可愛らしいアリスのお尻を前に、生唾を飲む犯人。
 アリスが、犯人であろう一人の元へ向かうと同時に、
 ビクリと海斗と梨乃が、身をのけぞった。
 ん……? と見やるミグ。
 すると、二人のお尻に、魔の手が伸びていた。
 海斗のお尻をまさぐる犯人の手つきは、何だか激しい。
 梨乃のお尻をまさぐる犯人の手つきは、酷くイヤらしい。
 加えて、やはり太ももフェチな御様子だ。
 すすす……と手指を動かし、梨乃の太ももをなぞり出す。
 うぅぅぅぅ……と俯き、頬を染める梨乃。
 三人が、ほぼ同時に被害にあった、そのとき。
『成敗開始』
 明日菜から、スタートの言葉が飛んでくる。
 その言葉を合図に、一斉討伐開始。
 お尻を触る犯人の手首をガシッと掴み、そのまま捻り上げるアリス。
 海斗は、眉間にシワを寄せたまま、犯人の急所に蹴りを一発。
 身動きの取れない梨乃の代わりには、ミグが犯人に飛び掛る。
「きゃー!?」
「ちょっと、何っ!?」
 騒然とする車内。揃って地に伏せる、犯人三名。
 アリスが頭を小突いたことで、犯人達のカツラがポロリ。
 どこから見ても、男。
 車内に、凄まじい罵声が響き渡った。

「てめぇらの所為で、傷ついてる奴がいるってこと。覚えておきやがれ」
 ふん、と鼻で笑い、いつものようにフードを深く被るアリス。
 引きずり出され、ホームで尚、トドメとばかりにコテンパンにされた犯人たち。
 中でも、海斗のお尻を触った犯人は、精神的ダメージが大きいようで、
 誰よりも、ガックリと肩を落としている。
「じゃあ、はい。これ。後は、よろしくお願いしますね〜」
 決定的瞬間を収めた映像を駅員に託し、ニコリと微笑む明日菜。
 五人の手柄で、見事、痴漢犯は御用となった。
「あー。気分悪い〜〜〜〜」
 お尻をまさぐられたことで、不快感を拭えずにいる海斗。
 隣で気恥ずかしそうにしている梨乃に、
 長丈のブラウスを羽織らせ、明日菜はケラケラと笑う。
「まぁまぁ、名誉の負傷ってことでさ。 何か、デザート奢ってあげるから」
「マジで!?」
 目をキラキラと輝かせて言う海斗。
 いつもの海斗なのだが、格好が格好だ。
 可笑しくて仕方がない。
 顔を背け、こっそりと肩を揺らして笑うミグ。
 そんなミグに気付き、笑うな! と、
 身に着けていた花の飾りを、ミグの頭にポフッと乗せた海斗。花咲き狼。
「お。それ、可愛いじゃねぇか。似合ってるぜ」
 クックッと笑いつつ言ったアリス。
 ミグは、むむっ……と真剣な面持ちで梨乃に尋ねた。
「グルル……? (訳:似合うか?)」

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 ■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 7274 / ー・ミグ (ー・みぐ) / ♂ / 5歳 / 元・動物型霊鬼兵
 7420 / 猫目・アリス (ねこめ・ー) / ♀ / 13歳 / クラッカー+何でも屋+学生
 2922 / 隠岐・明日菜 (おき・あすな) / ♀ / 26歳 / 何でも屋
 NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
 NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

 シナリオ参加、ありがとうございます。
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 2008.06.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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