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■第四幕:最後の答え■

川岸満里亜
【6424】【朝霧・垂】【高校生/デビルサマナー(悪魔召喚師)】
●薄暗い部屋にて
 ハグザという名の魔族が、部屋の隅へと歩き、置かれていた棚を左へずらす。
 下に敷かれていたマットを取り払った途端、鈍い光が湧き上がってきた。
 光の発生源は魔法陣であった。
「これが、転移装置だ。この場所から一人ずつルクルシー皇女のバルコニーへ飛ぶことができる」
「バルコニーから部屋に入るには、キイの詠唱が必要です。私達がお供しましょう」
 ハグザの言葉に続き、ステバニズがそう言った。
 皇女の部屋に入るのならば、この2人……もしくは、どちらか一人を連れていく必要があるようだ。

●王宮回廊
 幼子が声を上げて泣いている。
「静かにしていなさい。大丈夫だから」
 母は険しい顔でそう言い、幼子から離れると、魔族達に怒声とも思える声で、指示を出していく。
 その母の様子に怯え、幼子は更に激しく泣いた。
「サリラ、どうする気だ?」
 男の声に、幼子の母――サリラ・ブレスデイズは振り向いた。
 皇女ルクルシーの力の波動が感じられなくなってから、随分と時間が経っていた。
 何者かの風への干渉の報告も受けている。
「念の為、兵を集結させるわ。皇女は兄弟全ての魂を管理していたわけではなかった。……特に、フリアル。彼が復活したら、この国は終わるわ」
「国がではなく、お前の支配が終わるんだろ」
「私はまだ、支配なんかしていない!」
 サリラはヒステリックに叫びながら、兄である男を睨んだ。
「これからよ、全てこれからなのよッ!」
 ――幼子は、変わらず泣き続けていた。
 しかし、その声は母の耳には届かなかった。
『第4幕:最後の答え』

「ベストコンディションとはいえへんけど、兵が集る前に行った方がええやろな」
 神城・柚月の言葉に、一同頷く。
「兄弟達の魂は、ルクルシー皇女の部屋にある可能性が高いな」
 言いながら、蒼王・翼は、ハグザとステバニズを交互に見た。
「……恐らくは」
 そう答えたのはステバニズであった。
「そんじゃ、躊躇してる時間はないね。行くよ、みんな」
 柚月は真っ先に、魔法陣に足を踏み入れた。
「ステバニズ。次はキミに行ってもらおう」
 翼の言葉に頷いて、ステバニズが柚月の後に続く。
 その後に、アリス・ルシファール、広瀬・ファイリア、朝霧・垂と続く。
「次は、キミの番だ」
 ハグザはちらりとルクルシーの姿を見た後、魔法陣へと向った。
 最後に、翼が魔法陣に足を踏み入れる。

 瞬き程の時間で、城のバルコニーに到着をした。
 転移にもなれているため、動揺も無くバルコニーに着地をした柚月だが……さすがに眼下を見て、軽く息を飲んだ。
 人が、ひしめき合うように、溢れている。城の敷地に、兵が集められているようだ。
 しかし――。
 次々と現れる仲間達を背に、柚月はこう言った。
「集めればいいってもんじゃないやろ」
「ルクルシー様の部屋に不審者が」
「撃て、攻撃許可は出ている!」
 次々に声が上がると同時に、魔法が放たれる。
「早く窓を開けて」
 柚月は同行した魔族にそういうと、防御壁を展開した。
 最後に現れた翼が、皆の前に出る。
 ひしめき合う兵を見下ろしながら、翼は手を伸ばした。
 途端、空気が震えた。
 波動が空気を伝い、兵士達に降り注ぐ。
 突如身体を襲った不可解な感覚に、兵士達はパニック状態に陥る。
「敵は悪魔族かー!?」
「ルクルシー様はどうしたー!」
 元々統率が取れていないようだったが、更に場は混乱していく。
「開きました」
 ステバニズが窓を開く。真っ先に部屋に飛び込んだのはファイリアであった。
「水菜ちゃん、水菜ちゃん、どこにいるですか」
 部屋の中を見回し、歩き回り、ファイリアは見つけた。
 垂が持っているのと同じ透明の箱を。
 数は5つ。
「水菜ちゃん、ですか?」
 ファイリアは箱を1つ、手にとってみる。
 箱の中に意識を集中すると……懐かしい感覚が流れ込んできた。
 分かれて数日。だけれど、とても懐かしく感じる。
 間違いない、この中に水菜の魂が入っている。
 ファイリアには魂と会話をする手段がない。
 だけれど、ファイリアはその箱の中に、自分の能力と意識を絡めることで、魂の心を感じ取ろうとした。
「水菜ちゃん、水菜ちゃんはどうしたいですか? ここにいたいですか? 一緒に帰りたいですか?」
 返答は言葉ではなかった。
 送り込んだ気持ちに返ってきた感情は――兄の側にいること。大好きな人のそばにいたいという気持ち。
 そして、ファイリアのことも。
“あなたのそばにいたい”
 言葉ではないけれど、そんな感情がファイリアの中に流れ込んできた。
 ファイリアの目に、薄っすらと涙が浮かんでいく。
「一緒に、帰るです」
 もう、離さない。
 涙を拭ってファイリアは箱をぎゅっと抱えた。
「他の魂は私が預かっておこっか。何かと利用されやすいものやからね」
 柚月がハンカチで魂の箱を包んだ。
「さて……」
 その作業を終えると、柚月はアリスを振り返った。
「出番やで、アリスちゃん」
 アリスは神妙に頷いた。
 窓の外から、喧騒が聞こえる。
 ドアの前にも兵士達が集っているだろう。
 足音が響き、ドアが叩かれる。
 しかし、勝手に入ってくる者はいない。
 ここが、皇女の部屋であるから。
 アリスがドアへと歩き、まるで彼女の護衛のように翼が隣につけた。
「いきます」
 アリスは大きく息を吸い込むと、謳術を発動した。
 1つの波動を生み出し、周囲へと放つ。
 ルクルシー・ブレスデイズの波動が最良と思われたが、アリスが駆けつけた時はすでにルクルシーの意識はなかった為、彼女の波動は捉えきれていない。
 だから、腕に集中をしてみた。
 ジザス・ブレスデイズの力が僅かに残った腕に。
 微弱な力を謳術で膨らませて、周囲へ流す。
 翼がドアを一気に開ける。即座に、魅了の術を発動し、兵士達を混乱に陥れる。
「私は、ジザス・ブレスデイズの娘です」
 そう言って、アリスは腕の模様を兵士に見せた。
「サリラ・ブレスデイズ様の元に案内してください」
 姫であるかのように、気高く美しくアリスは言った。
 翼の術が、アリスを一層優美に輝かせる。
「惑わされる、な……そのような話、聞いたことはない」
 術に抵抗しながら、位の高そうな騎士風の男がそう言う。
「私は正妻の子供ではありませんから」
 アリスは目を伏せて、少し寂しげな表情をする。
「しかし、父は時々私の世界と交信をし、私の成長を見守って下さいました。この模様は認知の証。そしてこの力は父の子であることの証にはなりませんか?」
 アリスは謳術で再び、ジザスの波動を周囲に送る。
 兵士達は僅かに後退しながら、騎士風の男の指示を待つ。
「来、い。但し、妙な真似をしたら、ただちにお前たちを殲滅する。1万の兵に囲まれていることを忘れるな」
「ええ、分かっています」
 余裕の笑みを浮かべながら、アリスは言った。
 ……内心、余裕などなかったが。

 翼は魅了の術を使い続け、周囲の警戒心を解いていく。
 ファイリアは水菜の魂を胸に抱きながら、皆の後を、恐る恐るついていく。だけれど、その心には決意に満ちていた。この魂を連れて帰るのだと。
 柚月は愛想良く笑みを浮かべながら、アリスの隣に並んだ。アリスを軽く肘でつっついて、『緊張しないしない普通に普通に♪』と言葉を送る。
 周囲を見回していた垂は、兵士の一人と目が合う。私は無害デースと言わんばかりに、愛想笑いを浮かべて、目を逸らした。フリアルが自分の中にいることは、今は秘密だ。彼の波動が周囲に漏れないよう、注意を払っている。
 一同、互いに緊張をしながら、歩く。ほんの数分の時間が、数時間に感じられるほどに。
 翼が軽く脅したとはいえ、この城が一万の兵に囲まれていることは事実なのだ。
「あ……」
 幼子の泣き声に思わずアリスは声を上げた。
 城の中心部にいる子供。その場で泣くことを許される子供は、一人しかいないだろう。
 次第に幼子の泣き声は大きくなっていく。
 皆が到着するより早く、兵に守られた部屋のドアが開いた。
 中から、ドレスを纏った女性が姿を現す。その後ろから、女性より少し年上の――女性と良く似た男性も姿を現した。
「何をしているの。捕らえなさい!」
 女性の厳しい声が飛んだ。
「この女性、ジザス皇子の娘と申しております」
 兵士は、アリスに剣を向けた。
 アリスは立ち上がり、やはり余裕の表情で腕の模様を見せ、サリラと対峙した。
「少し、お話をさせてはいただけませんか?」
 アリスは微笑んでみせた。
 サリラはアリスを鋭く睨んだ。
「権力が欲しいんやったら渡してもええんよ。けど、譲れないこともある……と、ジザス皇子の娘であるこの方は思っておられる」
 柚月はアリスの肩にポンと手を置いた。
(先輩……役目代わって欲しいです……)
 内心では嘆きながらも、アリスは演技を続ける。
「お時間、いただけますか? ご覧のとおり、私もまだ子供ですので。友人達の助言に従いたいと思っています。もちろん、あなたのお考えに副う形でお話を進めることができたら一番だと思っています」
 部屋の中からは、代わらず幼子の泣き声が響いてくる。
「……わかったわ。入りなさい」
 吐き捨てるように言って、サリラと彼の兄と思われる男は、部屋へと入っていった。

 幼子は部屋の隅で泣いていた。厳しい表情の母親に近付くことも出来ず。母以外の誰のことも見ようともせず、大声で泣いていた。
「静かにしていなさい」
 母――サリラはそうとだけ言って、部屋の中央に立った。
 両脇の兵に武器を向けられた状態で、アリス、翼、柚月、ファイリア、垂は部屋へと通される。
「子供が泣いているのを放っておいたら駄目ですーっ!」
 ファイリアは泣いている幼子の姿を見るなり、叫んで駆けつけようとした。
 しかし、即座に兵が動き、ファイリアの首に3本の剣が向けられる。
「仕方ないでしょう? あの子は母親である私にしか懐かない。貴方達がこの世界に来なければ、そして私の前に現れなければ、あの子は今頃私の腕の中で、安らかな寝息を立てていたはずよ」
 サリラは薄く笑みを浮かべて、鋭い目でアリスに問う。
「で、貴女の望みはなに? 財産かしら? それとも――地位?」
 アリスは首を左右に振った。
「あなたと交渉をするのは、私ではありません」
 そう言って、アリスはサリラの正面から移動をし、後ろに立っていた垂を見て微笑んだ後、再びサリラに目を向けた。
「彼女の中にいる人、そしてここに集った人達が私の想いを代弁して下さるはずです」
 続いて、アリスは部屋の隅を見た。
 ――いつの間にか、泣き声が止んでいる。
 アリスは、声に波動を混ぜて紡いだのだ。ジザスの力の波動を。
 幼子……ロッドはジザスの力を身近で感じていたのだろう。アリスを不思議そうな目で見ている。
「おいで、ロッド。お姉ちゃんやで」
 柚月がロッドにそう声をかけると……。
「ロッド、そこで大人しくしていなさい」
 母親の制止も聞かず、ロッドはアリスの方に向い、歩き始めた。しかし、兵がロッドの行く手を阻む。
「こんな争いに、子供を巻き込まないで欲しいですっ。そして、フリアルさんも、ミレーゼさんも、巻き込まないで欲しいですっ」
 剣を向けられたままのファイリアが水菜の魂をぎゅっと握り締めながら、必死に叫んだ。
「巻き込むもなにも、ロッドはこの国の皇帝だもの。そして、その2人はもう死んだわ」
「死んで尚、開放されずに、魂を封じられたり、狙われたりしてるですっ」
「ルクルシー皇女がどう動いていたのか、私は知らないわ。だって私達は脅されて従わされていたに過ぎないもの。……皇女をどうしたの?」
 脅されていた――それは嘘ではないのかもしれない。
 ただ、それにしては自由にされすぎではないか? ロッドは兎も角、母親は邪魔な存在として殺害、もしくは幽閉されていてもいいはず。
「それを聞いて、どうする?」
 翼が訊ねる。
「この国の法に則って、皇帝であるこの子が裁くわ。居場所、教えてくださるかしら?」
 恐らく、始末するつもりだ。
 翼はサリラの言葉から、そう感じ取った。
 ルクルシーは、ロッド・ブレスデイズが皇位に就くための最後の障害である。
「僕達は、フリアル・ブレスデイズの魂を確保している」
 翼のその言葉に、場の緊張が高まった。
 構わず、翼はあらかじめ垂の中のフリアルに聞いておいた彼の気持ちについて語り始める。
「フリアルは、この国の安定を望んでいる。皇族の力であっても、民衆の代表であってもいい。国を愛し、平和を望むものに統治を任せたいと。自分は表に出るつもりはない。……そう語っていた」
「私も兄も、国を愛しているし、ロッドにもちゃんと教えていくつもりよ。これで満足かしら?」
 嘲るような笑いを滲ませながら、サリラはそう言ったのだった。
 翼は軽く息をつく。やはり、フリアルの意思をそのまま語っただけでは、効果はないようだ。
 フリアルが地球で暮すことを望んでいると話したとして、それをこの女性は信じるだろうか? 話すべきか、話さずにおくべきか……。
「私達の話、まともに聞くつもりないみたいだけど、“彼”の話なら、聞いてくれるよね?」
 垂が皆の前に出た。
「誰のことかしら? あなた達と一緒にやってきた魔族の2人なら、あなた達の味方になったわけじゃないわ。事態を見守り、より力のある方につくだけのこと。つまり、ロッドのね」
「ああ、違う違う。その2人じゃなくてさ……」
 垂は軽く目を伏せると、身体の中のフリアルに呼びかけた。
(力を貸して。で、悪いけど、少しの間待機状態になっててもらうね)
 憑依したフリアルの力で、箱の封印を解く。即座に、フリアルの魂を指輪に移す。
 そして……サマナー朝霧・垂は、ジザス・ブレスデイズの魂を憑依した。
(さてと、ジザス。さっそくで悪いんだけど、アンタの奥さんを説得するには、やっぱりアンタの言葉も必要だと思う)
 死亡したばかりだからか……ジザスの魂は、混濁していて何も答えない。
(ほら、今、アンタが奥さんに対して思ってること、言いたいことを全てぶつけるんだ。――息子に対しても同様にね)
 息子という言葉に、ジザスの魂が反応を示す。
 垂ではなく、ジザスの意思が、垂を動かし、その目をロッド・ブレスデイズに向けた。
 兵士達の間から、ロッドは不思議そうな目でこちらを見ている。
 垂は軽く笑みを浮かべた後、サリラに向き直る。
「現状は、ルクルシーの策略に気付かなかった俺に責任がある。お前が脅されてロッドを守るために仕方なく、ルクルシーについたというのなら、それを信じてもいい」
「……何を、言ってるの」
 サリラが訝しげな目で、垂を見る。
 垂は言葉を続けた。
「サリラ、お前の望みはなんだ? 大陸統一か? 悪戯に戦いを仕掛けることに、何の意味がある。……そう、俺は言ったはずだが」
 サリラは垂の中の存在に気付き、憎しみの篭った目を、垂に向けたのだった。
「つまらないのよ、そんな人生。こんな退屈な場所で、何もせずに過ごせというの? あなたはいいわよね、留学や国務と称して、様々な国を飛びまわり、遊びまわって、こうして娘まで儲けて」
 ちらりとアリスを見る。アリスは反応を見せずに、黙っていた。
「あと何人隠し子がいるのかしら? きっとその子達は全て、私やロッドに牙を向けるのよねぇ。皇女があなた達兄弟を皆殺しにしたように、私もあなたの子供達を全て始末しなければならないみたいね」
 サリラがすっと手を伸ばした。――アリスの方へ。
 サリラの手から飛び出した細い光が、一瞬にしてアリスの喉へと飛んでいた。
 アリスに注意を払っていた翼は、瞬時に防御壁を張っていた。光は壁に阻まれ、消滅した。
「皇族の男が、より多くの子を儲けようとするのは、当たり前のことだ。皇族が増えれば、お前の好きな軍事力も上がるだろうが」
「はあ? 他国や異世界に子を儲けて、この国の軍事力が上がる? あなたって、本当に阿呆よね。蛮族の男だって、もっとマシな言い訳するわよ」
「…………」
 垂は押し黙った。
 柚月は力無く笑う。ジザスは死んでもジザスだ。
 説得させるのは無理か……と、垂はジザスを押しのけて自分の意思で口を開いた。
「見てのとおり、私はサマナーだ。ジザスの心を感じることもできる。彼はさ、かなり不器用なところがあるし、傲慢だったり、考えナシの発言をするけどさ……大切な人のことは、きちんと大切に想ってるよ」
「とうさま!!」
 垂の言葉に答えるかのように、突然ロッドが叫んだ。
 アリスは謳術で、ロッドのゆくてを阻む兵士達を動きを封じていく。
 翼はアリスに触れてサポートし、彼女の力を増幅させる。
 柚月は威圧の波動を送り、自分達を取り囲む兵士の動きを鈍らせる。
「ロッドちゃん!」
 兵士達の間から抜け出したファイリアが声を発すると同時に、ロッドは兵士達の足の隙間を掻い潜り、こちらに駆けてきた。
「ロッド!」
 走り寄ろうとするサリラの前に、ファイリアが立つ。
「ほっぽらかしておいて、何ですかっ! ロッドちゃんはお父さんに会いたいですっ!」
 ロッドは両手をついて、アリス方へと必死に這ってきた。
 アリスは手を伸ばしてロッドを迎え入れ、抱き上げた。
 ジザスの力を謳術でロッドに送り、安心させながら、垂へと歩み寄る。
 垂は再び、ジザスの魂に身体のコントロールを譲る。
 そして、何も言わずに、垂は両手を伸ばして幼子を受け取り、胸に強く抱きしめた。
 ロッドは泣き出した。
 でもそれは決して拒絶ではない。
 垂の服を必死につかみながら、激しく激しく泣いていた。
「すまん……」
 垂は小さくそう言うと、後ろへと下がった。
 抱きなおして、背を優しく叩く。頬を、ロッドの柔らかな頬に寄せた。
 その様子に、アリスは微笑みを浮かべた後、悔しげに2人の様子を見るサリラの前に立った。
「差し出がましいようですが、関係者として1つ意見を言わせていただきます」
 アリスは不敵な目で、にっこり微笑んだ。
「ふ、ふふ……なによ、皇族の血を引いていようが、女性は皇族の力を受け継ぐことはない。あなたには何の権力も発言力もありはしないのよ」
「では、ルクルシーさんは、どうして皇族の力を持っていたのですか? 今、彼女は私達の手の中にあります。つまり、私も同じ方法で皇族の力を手に入れることができます」
 サリラが憎憎しげな目で、アリスを睨みつける。
「ですけれど、私はその方法をとらずともいいと思っています。この世界にも長く留まるつもりはありません。私の提案としては……」
 アリスは、振り返って、自分達と共に転移したハグサとステバニズを見た。
 そして、柚月と共に考えた案を語る。
「ルクルシーさんは隠居。ハグザさんとステバニズさんにロッド……弟の後見人になっていただきたいと思っています」
「……意図がさっぱり分からないわ。ロッドは私の子よ。必要なら兄が後見人になればいい。そこのルクルシー付きだった2人が後見人になる必要性は何もないし、それがあなたにどう有利なのかは分からないけど、こちらに従う理由は全くないわね」
「私たちは友達のミレーゼの魂を取り戻しに来ただけ。この国も皇族の力も必要ない」
 その言葉を発したのは、垂であった。ロッドを抱きしめながら、言葉を続ける。
「これ以上私達に関与しないと言うのなら、私達はそれだけで帰るよ。私達が帰った後で好き勝手この国を支配すれば良いじゃないか。ただし、仕掛けてくるのならば、こちらは容赦しないよ?」
「ファイもそう思うです。もう、水……ミレーゼちゃんやフリアルさんを追ってこないで欲しいですっ!」
 ファイリアが垂の言葉に続いた。
「ああ、それなら分かり易いわ。つまりあなた達はフリアル皇子とミレーゼ皇女の魂を利用していたのね。ルクルシー皇女の手引きにより、こちらに戻ってきた2つの魂を、再び奪いにきたと。2人の魂を奪えればそれでいいと、そう言いたいのね」
「奪いに来たんじゃないです。ファイ達は、“友達”を迎えに来ただけです! フリアルさんには国の支配をする意思は無いです。2人をこれ以上国の争いに巻き込まないでほしいです」
 ファイリアの言葉に、サリラは嘲笑で返す。
「同じことよ。いいわ、その2つの魂はあなた達にあげる。だから、ロッドを返し、早く自分の世界にお帰りなさいな」
 翼は鋭い視線でサリラを見る。
 先ほどからずっと、翼は気付かれない範囲で風の声を聞き、サリラの性格を探っていた。
 それによると、この女性――この世界の一般的な魔族と比べ、特別冷酷だとか、非道であるといったことはないらしい。
 名家生まれの彼女は、皇妃になることを夢見て、自分を磨き続け、見事に第一皇子の正妻の座を勝ち取った。
 しかし、その第一皇子とはどうにも反りが合わず、常に不満を募らせていたようだ。
 自身が強くあることが、この国を安定させ、他国の干渉も防げると信じていた第一皇子に対し、妻はむしろその力で他国も制圧することが自国の国力を上げ、更なる大国からの干渉を防げると確信していた。尤も彼女の場合、そうして権力を求め、より高い地位に就くことにより自分を高めることが愉しみであったようだ。
 2人の魂を自分達に渡すといったサリラの言葉……果たして、それを信じてもいいのだろうか。
「知ってのとおり、我々はルクルシー皇女を手中に収めている。そして、その力を継げるジザス皇子の娘と、フリアル皇子の魂を確保している。また、フリアル皇子の兄弟達の魂も我々の手中にある」
 翼がサリラと無言で見守っているサリラの兄と思われる人物に、そう告げた。更に、言葉を続ける。
「また、ジザス皇子の長子である娘が、ロッド皇子の力を奪うことも可能だ」
「させないわ!」
 即座にサリラが強い口調で言った。
「無論、するつもりはない。あなた方が、我々の意見を受け入れ、今後皇子達の魂に干渉しないというのなら」
 サリラは翼を睨み、嗚咽を漏らして垂にしがみつくロッドを見ながら、しばらく沈黙した。
「約束しよう」
 その言葉は、サリラの隣から発せられた。
 今まで、一言も喋らなかったサリラの兄グレリアル・サリア・ガナットルである。
「私は、君達の言葉を信用してもいいものか、迷っている。確かにフリアル皇子とミレーゼ皇女は、性格からして国の支配を望んではいないだろう。第一皇子の子供であるロッドの方が皇位継承権も高い。君達がフリアル皇子と、ミレーゼ皇女を復活させたとしても、私達に干渉してこないというのなら、好きにしてくれて構わない」
「そのつもりやけど……国が荒れれば、フリアルだって、黙っておられんやろな。この国のこと故郷として愛してるみたいやし」
 柚月が軽く笑みを浮かべた。
「フリアルに支配者としての能力があるとは思えへん。それは本人だってわかってることや。そやから、完璧である必要はないんやけど、最低限、上に立つ者には国の支配者として相応しい行動をとってもらいたいと……フリアルは思ってる。もし、それを守れんかったら戻ってくるよ。その時はまたよろしく!」
 にっこりと笑って見せる。
 柚月から発せられる強い力の波動は、サリラも感じていた。
 軽く頬を痙攣させて、サリラは垂を見た。その腕に抱かれている自分の息子を。
「何かを成すためには、犠牲も必要になる。遠い未来、この国に平和が訪れるのなら、それまでに多くの血が流れるはずよ。それは、これからロッドが治める期間にも必ず起こること。私達は国を滅ぼしたいわけではない。少なくても、フリアルよりはマシな支配者になれると思うけど?」
 サリラは柚月に視線を戻すと、強気の笑みを浮かべた。
 なかなか骨のある女性のように見えた。
「ま、ええやろ」
 柚月はそう言い、アリスは先輩の言葉に頷いた。
 垂はそっと、ロッドを床に下ろした。
 屈みこんで、ロッドと目を合わせ、小さな頭を撫でた。
「ロッド、お母さんのところに行きなさい」
 ロッドはしゃくりを上げながら、垂の指をつかんだ。
 そして一緒に行こうと、引っ張るのだった。
 垂はゆっくり首を左右に振った。
「一緒には行けない。だが……お前が今よりもっと激しく泣くことがあった時には――」
 垂が顔を上げて、サリラを真直ぐと見つめた。
「必ず、助……いや、会いにくる」
 その言葉を聞いても、ロッドは垂の指を離しはしなかった。
 仕方なく、垂はロッドを再び抱き上げて、サリラのところに歩いた。
 何も言わずに、ロッドをサリラに渡した。
「教育はお前の方針が正しいと思っていたさ。俺はどうも甘やかし過ぎてしまってな。……待望の初子だからな」
「……初子? 異世界の子を認知していたくせに」
 垂はアリスをちらりと見て……小さく笑みを浮かべた。
「初の男子ということだ」
 垂は、少し寂しげな笑みを浮かべた。
「ロッドを頼む」
 そう口に出すと、垂はサリラの元を離れた。
「あーあーっ」
 母親の腕のなか、抵抗を始めた息子を、サリラは強く抱きしめた。
「さようなら。――もう二度と、会いたくないわ」
 言って、泣き始めた息子を抱いたまま、サリラは部屋の置くへと歩いていった。
「お引取り願おう」
 グレリアルがそう言った途端、兵士達が動き、一同に剣を向けた。
「さようなら。もう二度と会わずにすむといいんやけどね。お互いに」
 柚月はそう言葉を残す。
 アリスはロッドの泣き声にそっと胸を押さえた。その声は、寂しい寂しいと叫んでいるようだった。

    *    *    *    *

 一同は、転送魔法陣を使い、再び拠点へと戻ってきた。
 柚月と翼は常に警戒を続けていたが、襲い掛かる者はいなかった。
「あとは……ルクルシーやけど」
 放置して帰ればまた同じことを繰り返すだろう。サリラ達に彼女を止める手立てはなく、フリアルは狙われ続ける。
 ハグザとステバニズに任せても同じことだ。
「あのさ」
 垂が声を上げた。
「ジザスに考えがあるみたいだけど、任せてもらえるかな?」
 誰もノーとは言わなかった。ジザスは姉ルクルシーに2度殺されている。
 万一、彼がルクルシー殺害を望んだとしても、誰も止めはしないだろう。
 垂はルクルシーの側に近付き、彼女の胸に手を押し当てた。
 そして、自分に魂を憑依させる要領で、ルクルシーの中に、ジザスの魂を入れたのだった。
 これは、ジザスの指示だ。
 ルクルシーの身体が痙攣を起こす。中で何が起こっているのかはわからない。
 皆は、静かに見守った。

 数十分後、ルクルシーの身体から飛び出した魂が1つ、垂の中に入っていった。
 垂は、その魂を受け入れ、身体の中で会話をする。
「……わかった。お休み」
 そう言葉を締め括った後、自分を見守っていた皆に笑みを見せた。
「ルクルシーの魂と交わって、彼女が行なった手段を読み取り、皇族の力を操り自分の中の人間としての過去を消し去ったらしいよ。そして、そのルクルシーが行なった方法と同じ方法で、彼女が持つ、皇族、魔族の力を消し去ったんだって」
「それって、どういう意味ですか?」
 ファイリアが不思議そうに訊ねる。
「つまり、ジザスも蘇らせたら魔族として復活できるってこと。で、ルクルシーはこの世界でいう『人間』になったってことかな」
「それでいいだろう。彼女の処分は、今、この世界に生きている人々が決めればいい」
 翼がそう言った。
「はいっ。では、帰るです。皆が待ってるですっ!」
 ファイリアはドアに走りより、皆に向って微笑んだ。

「ハグザさん、ステバニズさん、弟をよろしくお願いします」
 アリスは2人に頭を下げた。彼女は最後まで、ジザスの娘を演じきった。
「そちらも、ジザス皇子をよろしくお願いいたします」
 ステバニズもまた、頭を下げた。ジザスはそれなりに人望があったようだ。ルクルシーとジザス、2人とも皇族の力を有していたのなら、おそらくステバニズはジザスについたのだろう。
「それでは、さようなら」
 アリスは微笑みを残して、ゲートを開く準備をしている柚月の元に駆け寄った。
 何も無い空間が、歪んでいく。
 様々な色が混ざり合い、黒く濁り――二つに割れた。
 蜃気楼のように、そこにはない景色が浮かぶ。
 垂、翼がゲートを潜る。
 ファイリアは2人に続こうとして、その前に再びこの魔界と呼ばれる世界を振り向いた。
「風さん、風さん、ファイは今とても嬉しいです。水菜ちゃんも、フリアルさんも、東京に戻ることができて、とても嬉しいです。どうかファイ達の気持ちを、この世界の人達に伝えてください。この世界の暖かくない空気を吹き飛ばしてほしいです」
 そう言って、ファイリアは自らの力を解放した。
 この世界で生きている人達にも。
 生まれてくる人達にも。
 この世界が、住みやすい世界でありますように。
 願いながら、祈りながら、ファイリアはゲートを潜った。

    *    *    *    *

「ただいまー」
 垂が呉家の居間の窓を叩いた。
 直ぐにカーテンが開かれて、呉・苑香が顔を出す。
 急ぎ、苑香は窓を開き、皆を迎え入れた。
 全員の姿を見て、苑香は涙を浮かべた。
「心配してました。でも、皆無事でよかった。お姉ちゃん呼んできます」
 苑香は研究室にいる呉・水香を呼びに向った。
 畳の感触が、東京に戻ってきたことを実感させる。
 皆に疲れが押し寄せてくる。
「おっかえりー!」
 水香は思いの外、元気であった。
「で、私のゴーレム達の魂、取り返してくれた? お土産は〜♪」
 ……なんだか出発の時と、言っていることが違う気がするが。
 一同、顔をあわせた後、翼が口を開いた。
「すまない。時雨だが……肉体の消滅は免れたが、胸を貫かれ、機能が完全に停止してしまった」
「え、ええっ。で、どこにあるの? 魂は!?」
「ボディは異空間に確保してあるよ。魂は……」
 柚月がぐったりとしている垂を見た。
 垂はばつが悪そうに頭を掻きながら笑った。
「時雨壊されちゃってゴメン……魂は、私の中に居るんだけどどうしよっか?」
「笑ってる場合じゃなーい!!」
 ドカドカと歩み寄り、水香は垂をガクガク揺すった。
「あんた、よくも私の時雨の命、食べてくれたわねっ!?」
「い、いや、そうじゃなくて……」
 貧血気味であった垂は、激しい眩暈に襲われる。
「まあまあ、時雨を治すことはできるんやろ? 魂は垂が確保してくれてんやから、そのフリアルの魂と相談をしてどうするか決めればええよ」
「ううーん……」
 垂から手を離し、ちらりと垂を見た後、水香は複雑そうな顔で顔を逸らした。
「水菜ちゃんはファイと一緒にいるです。水香お母さんの側にいたいって思ってるですよ」
 ファイリアは透明の箱に覆われた水菜の魂を水香に差し出した。
「……ありがと。水菜、治してあるから」
 受け取った後、水香は皆を見回した。
 そして、笑みを浮かべる。
「うん、ありがと、皆! 今日は泊まっていってよね。ご馳走してあげるからさっ!!」
「やった。とりあえず、レバーとか鉄分の多いものをお願い」
 壁に寄りかかっている垂の言葉に、皆の顔に笑みが浮かんだ。

    *    *   〜数ヵ月後〜   *    *

 アリスは、呉家の応接室で、水香と苑香を待っていた。
 柚月があの魔界と呼ばれる世界を監視対象としたため、時折あの世界の情報はアリスにも入ってきている。
 フリアルの兄弟達の魂は、時期を見て魔界に返すそうだ。
 姉妹はあまり興味がないようだったが、一応状況を報告をしておこうと思った。
 なにより、水菜は、あの世界で生きていた頃の記憶を持っているのだから。
 姉妹を待ちながら、アリスは鞄の中から、薄いモニターを取り出して、コード番号を入力し、思念を送る。
 画面の中に、映し出されたのは子供部屋だった。
 小さな男の子がくるりと振り向いて、笑みを見せた。
「こんにちは、ロッド。元気にしてますか?」
 アリスの言葉は男の子には届かない。男の子はにこにこと笑みを浮かべているだけだった。
「いつか、また会いましょうね」
 アリスもまた、笑みを浮かべながら男の子を優しい瞳で見ていた。
 ノックと共に、応接室のドアが開き、青年型ゴーレムが姿を現す。
 アリスがロッドを見ていることに気付くと、ゴーレムはアリスの背後に近付いてその肩に手を置き、画面を覗き込んだ。
「可愛い男の子です」
「ええ、可愛いです……が、離してください」
 首に巻かれた腕を、払いのけて、アリスは逃げるように隣の席へと身体を移した。
 画面の中のロッドはきょとんとした表情で虚空に手を伸ばしている。
 ロッドの部屋に、モニターがあるわけではない。アリスは一方的にロッドを見ているだけだった。
 しかし、強大な力を持つロッドは、何かを感じているようだ。
 姉として現れた人物と……もう一つの視線を。
「水香様は、手を洗ってからこちらに来るそうです。もうしばらくお待ちください」
 そう言って、頭を下げると、ゴーレムは部屋から立ち去った。
「……顔は時雨さんなのに、なんか違います。違います……」
 アリスはモニタリングを終えた後、ため息をついた。
「アリスさん、こんにちは」
 続いて、少女の声が響いた。
 トレーを持ったメイド――水菜であった。
 アリスの前に、パウンドケーキと、紅茶を並べた。
「ありがとうございます」
「ファイリアさんと一緒に作りました」
「ファイリアさんも来てらしたのですね。いただきます」
 水菜がにこにこ見守る中、アリスはケーキを一口、口にいれた。
「とても美味しいです」
 アリスがそう言うと、水菜は笑みを満面の笑みに変える。
 彼女はとても幸せそうだった。

 水香に呼ばれた垂は、1つの魂と会話をしながら、彼女の家へと向かっていた。
「で、どうするの? ったく、ホント優柔不断なんだから」
 一人、笑いながらそう言った。
 垂は魔界の皇族の魂、2つと契約を結んでいた。
 ジザスの魂の方は成り行きで連れてきてしまったのだが、水香と相談をしたところ、水香は第一皇子であるジザスの魂を熱烈に欲したのだった。
 フリアルにはまた新しい体を作ると張り切っていたのだが……。
 フリアルの方は、まだ決心がつかないらしい。
「兄と妹や、水香様達を見守っていることも、新たな主人であるあなたとこうしていることも、とても楽しいので」
 垂の中で、フリアルの心はそう語ったのだった。
 契約により、ゴーレムと化したジザスには前世の記憶はない。水菜は前世の記憶は戻ってはいるが、魂と化していた期間の記憶はない。ジザスの魂が側にいることも知らない。
 兄弟の中で全てを把握しているのは、フリアルだけであった。
 呉家に到着をし、垂はチャイムを押した。
 今日もまた、「まだ決まってなーい」と言うしかなさそうだ。そして、水香にガクガク揺すられるのだろう。

 同じく水香に呼ばれ、川沿いの道を歩いていた翼はふと、立ち止まる。
 吹き抜ける風の声を聞きながら、穏やかに微笑する。
 この道の風は、とても穏やかだ。
 小さな女の子と、男の子2人が土手を駆け回っている。兄妹だろうか。
 呉家へと続くこの道に吹く風が、いつも穏やかであることを願い。
 2人の姉妹が助け合い、3人の魂が、あの子供達のように笑い合う姿を思い浮かべながら、翼は呉家へと向うのであった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2863 / 蒼王・翼 / 女性 / 16歳 / F1レーサー 闇の皇女】
【6029 / 広瀬・ファイリア / 女性 / 17歳 / 家事手伝い(トラブルメーカー)】
【7305 / 神城・柚月 / 女性 / 18歳 / 時空管理維持局本局課長/超常物理魔導師】
【6047 / アリス・ルシファール / 女性 / 13歳 / 時空管理維持局特殊執務官/魔操の奏者】
【6424 / 朝霧・垂 / 女性 / 17歳 / 高校生/サマナー(召喚師)】

【NPC】
フリアル・ブレスデイズ
ジザス・ブレスデイズ
ルクルシー・ブレスデイズ
ロッド・ブレスデイズ
サリラ・ブレスデイズ
グレリアル
ハグザ
ステバニズ
時雨
水菜
呉・水香
呉・苑香

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■         ライター通信          ■
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ライターの川岸満里亜です。
『第4幕:最後の答え』にご参加いただき、ありがとうございました。
全4回、全員で完走できたことをとても嬉しく思います。
皆様の強く優しい行動により、水香の元に2人は帰ってきました……現在ちょっと微妙な形ではありますがっ(中に入ってる人が違……っ)。
後ほど、フリーシナリオを設けますので、後日談として何かしておきたいことがありましたら、是非ご参加ください。
それでは、本当にありがとうございました。
またお目に留まりましたら、どうぞよろしくお願いいたします。