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■SPIRAL EDGE // スパイラル・エッジ■

藤森イズノ
【7182】【白樺・夏穂】【学生・スナイパー】
 噂には聞いていた。
 影のような姿形。酷く不気味な存在なのだと。
 なるほど、これがエッジ……か。
 目の前で、不気味な鳴き声を上げる魔物。
 その声は、姿は、狼にウリフタツ。
 けれど、真っ黒な影。
 かろうじて、狼か? と判断できるくらいだ。
 突如、異界各所に発生・出現しだした魔物、エッジ。
 あちこちで囁かれている噂から、その存在は把握していた。
 けれど、まさか今日。こうして対峙することになるとは。
 まぁ、興味がなかったわけではないけれど。
 いつかは、接触することになるだろうと思っていたけれど。
 そして、それがサダメなのだろうということも把握していたけれど。
 こうして目の当たりにすると……アレだな。
 不気味。そのものだ。
 魔物と呼ぶに相応しい、醜き姿。
 躊躇いなんて、生まれるわけもない。
 ヤツも、戦る気満々の御様子だ。
 準備万端? じゃあ、始めようか。

 宵に響く、刃の交錯。
 スパイラルエッジ。
 全ての、始まり。
INNOCENCE // スパイラル・エッジ

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 OPENING

 噂には聞いていた。
 影のような姿形。酷く不気味な存在なのだと。
 なるほど、これがエッジ……か。
 目の前で、不気味な鳴き声を上げる魔物。
 その声は、姿は、狼にウリフタツ。
 けれど、真っ黒な影。
 かろうじて、狼か? と判断できるくらいだ。
 突如、異界各所に発生・出現しだした魔物、エッジ。
 あちこちで囁かれている噂から、その存在は把握していた。
 けれど、まさか今日。こうして対峙することになるとは。
 まぁ、興味がなかったわけではないけれど。
 いつかは、接触することになるだろうと思っていたけれど。
 そして、それがサダメなのだろうということも把握していたけれど。
 こうして目の当たりにすると……アレだな。
 不気味。そのものだ。
 魔物と呼ぶに相応しい、醜き姿。
 躊躇いなんて、生まれるわけもない。
 ヤツも、戦る気満々の御様子だ。
 準備万端? じゃあ、始めようか。

 宵に響く、刃の交錯。
 スパイラルエッジ。
 その先にある真実へ。

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 近頃異界を騒がせている存在『エッジ』
 影のような不気味なその魔物は、多くの謎に包まれている。
 一体なぜ、どこから発生したのか。
 突如現れた、その存在は混乱と災いを呼んだ。
 学者・研究者は、あれこれと調査を続けている。
 けれど、どんなに追求しても、真相は不明のまま。
 現段階で理解っているのは、存在そのものが魔力の塊であることと、
 絶命した後、蒼い宝珠を残すということだけ。
 この宝珠もまた、謎に満ちている。
 ぼんやりと淡く光る宝珠は、高魔力が凝縮された代物。
 それが判明すれば、無論、悪用しようとする者が出てくる。
 だが不思議なことに、一切の加工ができない。
 武器に埋め込もうとしても、砕こうとしても、一切が不可能なのだ。
 宝珠自体が、それを拒んでいる。 学者達は、そう発表していた。
 この妙な存在『エッジ』は、今や異界話題の中心だ。
 もちろん、それを聞いてイノセンスが黙っているはずもなく。
 組織は精力的に、エッジ討伐と調査に乗り出した。
 そして今日、双子の姉妹に、その指令が下る。
「では、よろしく頼んだぞ」
「はい」
「うん」
 マスタールームにて、揃って頷いた夏穂と雪穂。
 エッジの討伐と調査。二人がマスターから受けた指令。
 ただ調査討伐するだけではない。マスターは言った。
 絶命後に残る宝珠を、必ず持ち帰るように、と。
 エッジ討伐には、暗黙のルールが存在している。
 それは、採取した宝珠を、研究家たちに献上するべし、というもの。
 けれど、マスターはそれをさせず。ここに持ち帰るように命じた。
 マスターもまた、研究家の一人なのだ。
 高魔力が凝縮された宝珠と聞いて、黙っていられるはずもない。
 夏穂と雪穂は、それも理解した上で頷いた。
 
 異界を歩き回り、エッジを捜索しながら夏穂と雪穂は笑う。
 何ていうか、こういうのってワクワクするよね。
 しちゃいけないことをするのって、ワクワクするよね。
 バレたら、どうなるのかな。 やっぱり、罰せられるのかな?
 最悪、牢獄行きとかになるんじゃない? え〜。それは嫌だなぁ。
 クスクス笑いながら歩く二人。二人に恐怖という感情はないようだ。
 あちこちて報じられている情報からしても、かなり危険な存在だと判断できるのに。
 二人の内に芽生えている感情は『ワクワク』ただ、それだけだ。

 *

 エッジの厄介な点の一つに、気配を消せるという能力がある。
 これがまた巧みで、完全に気配を絶つ。
 その上で襲い掛かる為、一般人は先ず太刀打ちできない。
 捜索していた二人の背後に、ヌッと出現した影。
 音もなく出現したその影は、様子を窺うように二人の後を付いて行く。
 お菓子を頬張りつつ、他愛ない話で盛り上がっている二人。
 傍から見れば、無防備極まりない状態だ。
 幼く可憐な姿ということもあってか、確信したのだろう。
 エッジは、ニヤリと不気味に笑って、二人を背後から襲おうと飛び掛った。
 音無き奇襲。普通の人間ならば、悲鳴を上げる間もなく殺されただろう。
 そう、普通の人間ならば。
「やっと来たよ〜」
「待ちくたびれたわね」
 ヒョイと攻撃を避け、クスクスと笑った夏穂と雪穂。
 鋭い爪でズタズタに引き裂くこと、奇襲成功を確信していたエッジは、
 自らの爪がブンッと空を切ったことに、理解できず唸り声を上げた。
 グルル……と唸るエッジ。真っ黒な影。
 けれど、そのシルエットは、狼と瓜二つだ。
「ふぅん。可愛いかも……」
 魔扇子を取り出しつつ、うふふと笑って言った夏穂。
 雪穂は、スペルカードを取り出して、そんな夏穂に苦笑した。
 可愛くないよ。全然。気持ち悪いってば。
 まぁ、確かに変わってるよ。夏ちゃんは、好きそうだよね。
 ひょっとして、自分のものに出来ないかとか考えてる?
 勘弁してよ〜。こんなの持って帰ったら、大騒ぎになっちゃうよ。
 それに問題存在を飼うとか、そんなことしたら、面倒なことになっちゃうよ。
 雪穂の言葉に、夏穂は苦笑を返した。
 わかってる。そんなことしないわ。面倒だもの。
 でも、ちょっとだけ。いろいろと調べてみたいなぁって思うの。
 丸ごと持って帰ったりはしないわ。
 少しだけ。少しだけなら、いいでしょう?
 クスクス笑いながら話す二人に、エッジは翻弄された。
 まるで怯えている様子はない。むしろ、余裕?
 可愛らしい姿の少女二人に翻弄されている事実。
 それは、冷静な判断力を失わせる結果になった。
 ただ、がむしゃらに爪を振り回すだけのエッジ。
 当然、ヒットしない。それが、翻弄に拍車をかけた。
 攻撃を避けながら、夏穂と雪穂はキョトンとした。
 何だぁ。この程度なの? 全然大したことないじゃない。
 もっと楽しめるかと思ったのに。張り合いないね。
 もしかしたら、まだ本気じゃないだけかも、とも思ったけど。
 どうやら、それで全力全開みたいね。う〜ん。期待はずれね。
 っていうか、あれかな。ただ単に、今回はハズレだっただけかな。
 そうであって欲しいなぁ。なんて思うのは、不謹慎かな〜?
「うん。もういいや。十分だよ、ね? 夏ちゃん?」
「そうね。もう飽きたわ」
「んじゃ、テストテスト♪ 先にやっちゃっていい?」
「うん。いいよ」
「よぉ〜し」
 ニマリと不敵に笑い、スペルカード『槍』を高速詠唱。
 ブワッと風を纏って出現した巨大な槍を空中でキャッチし、着地と同時に構える。
「いいデータ、たくさん頂戴ねぇ〜」
 キャハハと笑いつつ、飛び跳ねるように動いて、四方八方から槍で突く雪穂。
 槍での攻撃と併せて、合間に炎の攻撃魔法も放つ。
 余裕なんて、隙なんて、ありゃしない。
 エッジは、ただ攻撃を避け、間合いを取るので精一杯だ。
 ふむふむ。動きは、まずまずだね。けど、荒いなぁ。
 隙ありすぎだよ? そこを突いちゃえば瞬殺できちゃうけど。
 まだ色々と途中だからねぇ。いつでもトドメを刺せる状態っていうのも、つまんないね。
 ハァ、と溜息を落とし、ゴォッと放つ灼熱の炎。
 だがそこで、ちょっとしたハプニング。
 飽き飽きしていて、気持ちが緩んだのだろう。
 炎の威力、サジ加減を間違えてしまった。
 現場は森の中。木々に灯った炎は、あっという間に燃え広がってしまう。
「あやややや……」
 ペロリと舌を出して笑い、すぐさまスペルカード『水竜』を詠唱召還。
 水竜が吐き出す清き水は、あっという間に炎を沈めた。
 危ない危ない。うっかりしちゃった。気を引き締めていかないとね。
 つまんないけど、油断は禁物だよねぇ。
 ピッと気持ちを切り替え、真剣な眼差しになった雪穂。
 だが、その直後。予想外の展開に。
 エッジがクルリと方向転換し、猛ダッシュ。
 逃げるのか、と思いきや。
 エッジは、真っ直ぐに、夏穂へと突進していくではないか。
 嘘ぉ。何でいきなりターゲット変更しちゃうのさぁ。
 慌てて追いかけるものの、間に合わない。
 エッジは、ブンッと爪を振り下ろした。
 ただボーッと観戦していたわけじゃない故に、対処は出来る。
 ヒョイと攻撃を避け、クルリと一回転して構える夏穂。
 魔法で退けてから、身皮を採取しましょうか。
 そう思い、魔扇子を揺らした時だ。
 夏穂の目に、とても可愛らしい、小さな竜が映る。首長竜の子供だ。
 あのままでは、巻き添えをくらってしまう。
 夏穂はダッと駆け寄り、小竜を抱きかかえた。
 敵の間合い・懐に無防備に飛び込んでしまったことで、夏穂は傷を負う。
 振り下ろされた爪が、首を掠めた。
 白い肌に、ツーッと赤い血が滲む。
「夏ちゃん!」
 大声で叫ぶと同時に、怒りのメーターが振り切れた雪穂。
 プツンと何かが切れた彼女は、槍に溢れんばかりの魔力を込めつつエッジに突進していく。
 首を伝う血を指で拭い、淡い笑みを浮かべるのは夏穂。
 彼女もまた、どこかで何かがプツンと切れてしまったようだ。
 こうなってしまっては、どうしようもない。
 間近に迫る死。それを感じ取ったのだろう。
 エッジはピタリと動きを停止し、目を伏せた。
 踊る魔扇子。放たれた氷は、エッジを丸ごと包み込み拘束。
 身動きの取れぬ状態となったところへ、強烈な一突き。
 ガシャァッ―
 夏穂に凍らされ、雪穂に砕かれ。エッジは、煙となって消えた。

 *

「へぇ〜。綺麗だねぇ。ふふっ」
 エッジが残した蒼い宝珠を拾い上げ、光に透かして満足そうに微笑む雪穂。
 首に負った傷を治癒魔法で完全に除去し、夏穂も微笑む。
 うん。確かに、すごく綺麗。吸い込まれそうになるわね。
 それに、ものすごい魔力反応。普通の人は、持つことも出来ないんじゃないかしら。
 張り合いはなかったけど、実に面白い存在ね、エッジ。
 身皮も採取したことだし(いつの間に?)、うん、楽しみね。
 得たデータと、宝珠を手に、本部へと戻る二人。
 マスターもきっと、満足するに違いない。
 たまにはオネダリとかしてみる? 頑張った御褒美下さいな、って。
 クスクス笑って歩く二人。その後ろを、ピョコピョコと付いて来ている小竜。
 どうやらまた、夏穂は懐かれてしまったようだ。
「夏ちゃん……。 ほんと、好かれるよね」
「ふふ。嬉しいわ」
「連れて帰るの?」
「もちろん。駄目?」
「ううん。魔物じゃないから、問題ないよ〜。多分ね?」
「ふふふっ」
 小竜を抱き上げ、キュッと抱きしめて微笑む夏穂。
 新しいお友達も増えて、大収穫ね。
 名前、つけてあげなくちゃ。どんなのが良いかしら。
 ねぇ、雪ちゃん。一緒に考えて? 

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 ■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 7192 / 白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ) / ♀ / 12歳 / 学生・専門魔術師
 7182 / 白樺・夏穂 (しらかば・なつほ) / ♀ / 12歳 / 学生・スナイパー
 NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)

 シナリオ参加、ありがとうございます。
 懐いた小竜は、実は魔物だったとか。アリですか?^^
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 2008.07.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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