■恋愛相談■
藤森イズノ |
【7192】【白樺・雪穂】【学生・専門魔術師】 |
さて。今日は、どうしようか。
深夜は、仕事しにまた登校するとして……。
それまでの予定がない。まぁ、たまには家でノンビリするのも良いかな。
最近、ハント活動に精を出しすぎて寝不足なのもあってか、眠いし。
夜まで寝ておこうかな……軽く。
でも、寝坊してしまいそうな予感。
誰かにモーニングコール御願いしておこうか。
って言っても、起こしてもらうのは夜なんだけど。
フワァと欠伸しながら、廊下をダラダラと歩く。
放課後の予定がない、珍しく退屈な日。
どうしようかなと考えながら歩いていた、そんな自分に声が掛かる。
「あの、ごめん。ちょっと、良いかな」
「うん?」
背後からの声に振り返って見れば、そこにはクラスメートの女の子。
あまり目立つタイプではないけれど、そこそこ可愛い子だ。
磨けば光るタイプなのではないか、と勝手に思っている。
「何?」
声を掛けてくるなんて珍しいなぁなんて思いながら首を傾げると、
クラスメートの女の子は、恥ずかしそうにモジモジ。
「えぇとね、あの……」
「…………」
わかりやすい子だなぁ。
何となく理解った。声を掛けてきた目的。
まぁ、廊下じゃ何だし。移動しよっか。
誰かに聞かれちゃマズイっていうか恥ずかしいだろうし、ね。
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恋愛相談
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さて。今日は、どうしようか。
深夜は、仕事しにまた登校するとして……。
それまでの予定がない。まぁ、たまには家でノンビリするのも良いかな。
最近、ハント活動に精を出しすぎて寝不足なのもあってか、眠いし。
夜まで寝ておこうかな……軽く。
でも、寝坊してしまいそうな予感。
誰かにモーニングコール御願いしておこうか。
って言っても、起こしてもらうのは夜なんだけど。
フワァと欠伸しながら、廊下をダラダラと歩く。
放課後の予定がない、珍しく退屈な日。
どうしようかなと考えながら歩いていた、そんな自分に声が掛かる。
「あの、ごめん。ちょっと、良いかな」
「うん?」
背後からの声に振り返って見れば、そこにはクラスメートの女の子。
あまり目立つタイプではないけれど、そこそこ可愛い子だ。
磨けば光るタイプなのではないか、と勝手に思っている。
「何?」
声を掛けてくるなんて珍しいなぁなんて思いながら首を傾げると、
クラスメートの女の子は、恥ずかしそうにモジモジ。
「えぇとね、あの……」
「…………」
わかりやすい子だなぁ。
何となく理解った。声を掛けてきた目的。
まぁ、廊下じゃ何だし。移動しよっか。
誰かに聞かれちゃマズイっていうか恥ずかしいだろうし、ね。
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クラスメートの女の子、ユナ。
ユナが雪穂に声を掛けた、その理由というか目的は、恋愛相談だった。
雪穂に恋愛相談? うん、確かに少し妙だ。お察しのとおり。
間違われたのだ。双子の姉と間違われた。
恋愛相談ならば、姉のほうが向いているというか専門というか。
今だに見間違えてしまう。ユナは、申し訳なさそうに何度も謝った。
「あの……雪穂ちゃん、ごめんね。私……」
「にゃっはは♪ そっくりだからね〜仕方ないよ〜。慣れっこだしね、気にしない!」
「う、うん……」
ケラッと笑って言った雪穂に、少し遠慮がちではあるが微笑み返したユナ。
人違いでしたスミマセンでした、で終わるのも何だ。というか、それこそ失礼だ。
声を掛けて、相談を持ちかけたのだから、聞いてもらったほうが良い。
恥ずかしそうに俯きながらも、ユナは口にした。
想いを寄せている男の子が、同じクラスの浩太であることを。
意識し始めたのは、一週間くらい前。
先生に頼まれて運んでいた荷物を、ヒョイと持ってくれたのがキッカケ。
ありがちだけれど、いつだってそんなものだ。恋なんて、いつも突然。
とはいえ、どうすれば良いのか理解らない。
どうやら、ユナにとって、この恋は初恋のようだ。
好きだと気付いたところで、何をどうすれば良いのか理解らない。
ただ、このまま、こっそりと好きでいるのは……何となく嫌。
好きだという想いを伝えたいのは山々。
でも、どうやって伝えれば良いのかわからない。
伝えて嫌われたらどうしよう。なんてことも考えてしまう。
気持ちは募るばかりで、とめどない。
目で追ってしまう、そんな毎日。
恥ずかしそうに頬を赤らめながら話すユナ。
誰もいない屋上にて、ユナの話をウンウンと頷きながら雪穂は聞く。
ん〜。何だろうな〜。こういうのってイイよね〜。
心がほんわか、あったかくなるっていうか。
恋する女の子ってイイよね。うんうん。
まぁ、本人は必死なんだろうけどさ。
そこがね〜またね〜可愛いんだよね〜。にゃっふふふ〜。
「ユナ姉、ちょっとゴメンね♪」
クスクス笑いながら、ユナの眼鏡を外した雪穂。
突然のことにユナは驚き、目を丸くしている。
どこにでもいそうな、普通の……ちょっと真面目な優等生っぽい女の子。
ユナは地味だ。本人も、それは自覚している。
自覚しているからこそ、明るく元気な浩太に引け目を感じている。
けれど、こうして見ると……素材は良いことが理解る。
白い肌にしても、綺麗な黒髪にしても、大きな目にしても。
雪穂は、にぱっと笑ってユナをギュッと抱きしめた。
「やっぱり、こっちのほうが可愛いよ〜! 思ったとおりだ♪」
「えっ……。な、何が……」
「ね、ね、髪もさ、弄ってい〜い?」
「い、いいけど……」
双子の姉ほど的確なアドバイスは出来ないけれど、雪穂も一生懸命。
相談されたからには、精一杯チカラになってあげようと頑張る。
解いた髪を結いながら、雪穂はニコニコ笑ってアドバイス。
「ユナ姉はね、可愛いんだよ」
「か、可愛くないよ……」
「駄目〜。そういうの駄目だよ〜」
「う、う〜ん。そう言われても……」
「悪い方向に考えちゃ駄目なんだよ。良い方向に考えないと」
「うん、そうよね。うん……わかるんだけどね、それは……」
「ポジチブにいかないとね。幸せ、逃げちゃうんだから〜♪」
「雪穂ちゃん、ポジチブじゃなくて、ポジティブ……」
「はにゃ? あぁ、そっか。にゃっははは♪」
自信がなくなってしまうのも、恋しているからこそなのかもしれない。
そう考えてみれば、恋する女の子って、みんなどこか消極的。
相談してきたりしない子は、自信いっぱいにアプローチをかけるけれど、
そうじゃない子って、みんな消極的でビクビクしてる。
好きな人に想われたいっていうのは、誰でも一緒。
でも、振り向いてもらうには、それなりの努力をしなきゃならない。
モジモジしてても始まらない。顔を上げて、見てもらわないことにはどうにもならない。
小さな声で好きだと言っても、聞こえなかったら意味がない。
え? 何て言ったの? って聞き返されたら、また振り出しに戻ってしまう。
大切なのは、顔を上げること。俯いてちゃ、伝わらない。
口にしないと伝わらない。こんな言い方はアレだけれど、結局、他人なんだから。
自分のことですら全部なんて理解らないんだ。
他人のことなんて、わかるはずがない。
だから、口にする。喋って伝える。
自分が、どういう人間なのか、どんな想いを抱いているのか伝える。
その為にあるんだ。言葉は、声は、その為にあるんだから。
優しく微笑みながらアドバイスを続けた雪穂。
いつもは低い位置で謙虚に束ねている髪が、
雪穂の手によって、高い位置で花のように鮮やかに変えられていく。
前向きな雪穂の性格そのものが、ユナの背中を確実に押した。
*
*
いつもと違うユナの姿に、クラスメート達もビックリ。
ざわめく教室、背筋を正して、ユナは真っ直ぐに向かった。浩太の傍へ。
漫画を読んでいた浩太は、顔を上げてキョトンとする。
「ん? どうしたの? あれ、何かいつもと雰囲気違うね?」
「……あ、あのね」
「うん?」
「一緒に、お昼……食べませんか?」
「…………」
御話する機会は、自分で作る。待っていても出来ない。
雪穂のアドバイスに、納得はした。納得できたからこそ口に出来た。
でも、どんな顔をしていいか理解らない。返事が返ってこない、この沈黙。
やたらと長く感じられる沈黙の中、俯いてしまいそうになるのを必死に堪えるユナ。
耳が熱い。……今、自分はどんな顔をしているんだろう。恥ずかしい。
全身から湯気が出そうなほどに高揚する気持ち。
顔を真っ赤に染めるユナを見ながら、浩太は言った。
読んでいた漫画を鞄の中にグッと押し込んで。
「いいよ。行こ」
ニコリと笑って、お返事した浩太。
いつも目で追っていた笑顔が、こんなにも近く。自分に向けられて。
先を歩いて行く浩太の後を追いながら、ユナはチラリと雪穂を見やった。
窓辺の雪穂は、満面の笑みを浮かべてヒラヒラと手を振った。
いってらっしゃい♪ そう伝えるかのように。
おとなしいユナの、積極的な行動。
クラスメート達も驚きを隠せぬようで、
二人が教室を出て行った後も、ざわめきは続いた。
御話するキッカケは出来た。この先、どうなるかはユナ次第。
大丈夫だよ。ユナ姉は可愛い。自信持ってゴーゴーだよ。
浩太はね〜。確かに、攻略が難しいかもしんないけど。天然入ってるから。
でも、二人とも動物好きだし、本も好きだし、御話は合うんじゃないかなぁ?
あ、そうだ。二人とも成績良いし、一緒に勉強とかでも良いかも。
いっぱいあるんだよね。チャンスっていうか、きっかけの要素になることって。
でも、そういうのも見落としちゃうんだ。恋をしてると、見落としちゃう。
好きだなぁ、好きだなぁって、それを繰り返しても意味ないんだよ。
そんなの、もうわかりきってるんだから。次に進まなきゃ。
どんどん話しかけて、相手に自分のことを知ってもらわなきゃね!
もちろん、自分のことばっかり話すのは駄目だよ。
相手の御話も、ちゃんと聞いてあげなきゃ。
そうやって御話していけば、お互いのことがわかってくるよ。
結果的にうまくいくかどうかは、誰にもわかんないけど。
努力は無駄にならないんだから。どんどん頑張っていかないとね〜。
窓の外、空を見やりながら一人で頷く雪穂。
何やら満足気な表情を浮かべているけれど、
実際のところ、雪穂も天然要素が入っている。
人の恋愛感情には敏感なのに、自分の恋愛感情には鈍感。
まぁ、大好きな人が出来れば、雪穂も変わるかも―
(あ、おなか鳴った。にゃっはは。僕も、お昼行こうっと♪)
……変わりそうにないかな。まだ、しばらくは。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7192 / 白樺・雪穂 / 12歳 / 学生・専門魔術師
NPC / ユナ / 15歳 / HAL:生徒
NPC / 浩太 / 19歳 / HAL:生徒
シナリオ参加、ありがとうございます。
不束者ですが、是非また宜しくお願い致します。
参加、ありがとうございました^^
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櫻井かのと (Kanoto Sakurai)
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