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■魔銃 JH-03■

藤森イズノ
【7182】【白樺・夏穂】【学生・スナイパー】
 // 魔銃 JH-03(まじゅう)
 // 製作難易度:B(難 S・A・B・C・D 易)
 // 作り方と概要:
 // 特殊な接着剤を使ってパーツを組む。
 // 銃口から放たれるのは、着属で宿した魔素。
 // むやみやたらに発砲しないこと。

 何度か見せたことはあるけど。
 魔銃ってのは、これだな。
 中には、もう持ってる生徒もいるだろ。
 ただ、それは古いタイプだからな。作り直し。
 まぁ、作るのは簡単だ。すぐに出来ると思う。
 全員が完成したら中庭に移動して、試し撃ちするぞ〜。
 早く出来た生徒は、そのまま待機してること。
 間違っても、ここで引き金は引くなよ、頼むから。
 じゃ、開始。出来たら、俺のとこに持っておいで。
 ちゃんと出来てなければ、やり直しだぞ〜。
魔銃 JH-03

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 // 魔銃 JH-03(まじゅう)
 // 製作難易度:B(難 S・A・B・C・D 易)
 // 作り方と概要:
 // 特殊な接着剤を使ってパーツを組む。
 // 銃口から放たれるのは、着属で宿した魔素。
 // むやみやたらに発砲しないこと。

 何度か見せたことはあるけど。
 魔銃ってのは、これだな。
 中には、もう持ってる生徒もいるだろ。
 ただ、それは古いタイプだからな。作り直し。
 まぁ、作るのは簡単だ。すぐに出来ると思う。
 全員が完成したら中庭に移動して、試し撃ちするぞ〜。
 早く出来た生徒は、そのまま待機してること。
 間違っても、ここで引き金は引くなよ、頼むから。
 じゃ、開始。出来たら、俺のとこに持っておいで。
 ちゃんと出来てなければ、やり直しだぞ〜。

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「魔銃なー。めんどくせーんだよなー。組み立てー」
「こら、海斗。くっちゃべる暇あるなら手ぇ動かせ」
「動かしてるってー。すっげー動かしてるってー」
「ほほぅ。じゃあ、後ろ見てみろ」
「あー?」
 マヌケな顔をしたまま、藤二に言われて振り返ってみた海斗。
 瞬間、海斗の目は大きく見開いた。ギョッとするとは、まさにこのことだ。
「僕、こういうの作るの好き〜♪ 楽しいよね〜♪」
 ニッコニコ。満面の笑みを浮かべて言うのは雪穂。
 海斗のすぐ後ろの席は、雪穂の席だ。
 楽しそうに笑いながらも、雪穂の手は凄まじい勢いで動いている。
 それこそ千手観音のように。ブワァァァァッと……。
 目にも留まらぬ速さで組み立てを終えてしまった雪穂。
 先生のいうとおり、完成したら、そのまま大人しく待機。
 怒られるようなことはしない。真面目だから? いいや、ただ単に素直だから。
 組み立てを終え、お菓子を食べながらノンビリと待機している雪穂。
 海斗はポカーンとしながら呟くように言った。
「お前、早すぎじゃね?」
「ん〜? そんなことあるよ〜」
「あ、珍しい。謙遜しねーんだ、そこは」
「へっへ〜♪」
「まーな。お前の特技だしなー」
「夏ちゃんの魔扇子とか銃も、僕のお手製なんだよ〜」
「マジで? へー。すげーな。なぁ、ちょっと俺のも……」
「こら、海斗」
「……へいへい」
 藤二に怒られて苦笑しながら前を向き、組み立てを再開した海斗。
 何でもかんでも適当に済ませる海斗は、細かい作業が苦手だ。
 以前の魔銃作成授業でも、完成させるまでに、やたらと時間を要した。
 おそらく、今回も一番最後になり、クラスメートたちを待たせることだろう。
 さてさて。ちょっとアングルを変えてみよう。
 雪穂の隣の席。そこは、夏穂の席。二人は仲良く隣同士。いつでも一緒。
 あっという間に組み立てを完成させた雪穂とは逆に、夏穂の組み立てスピードは遅い。
 まぁ、夏穂の場合、普段からマッタリオットリしている為、いつもどおりだ。
 加えて不器用というわけでもない。寧ろ器用なほうだ。
 少し時間はかかるけれど、正確に組み立てていく。
(雪ちゃん、こういうの本当、得意よね)
 微笑みながら、製作図を見やってカチャカチャと組み立てる夏穂。
 途中に雪穂との会話も交えながら……何の問題もなく完成。
「あ、夏ちゃんも出来たね〜」
「これで……良いのよね?」
「うんうん。大丈夫だよ〜」

 案の定。海斗が一番遅い。というか遅すぎる。
 海斗が完成しないことには、次のステップに進めない。
 こうなるだろうとは思っていたけれど。
 健在なる不器用さ加減に苦笑する藤二。
 待ちくたびれて、スヤスヤと眠っている生徒もいる。
 皆を待たせていることに対して生まれる罪悪感。
 焦れば焦るほど、うまく組み立てることが出来ない。
 イライラしている様子の海斗を見かね、藤二は言った。
「雪穂。ちょっと手伝ってあげて」
「は〜い♪」

 *
 *
 *

 雪穂のお陰で、海斗の魔銃も無事に完成。
 ちょっとどころじゃなく、ほとんど雪穂が作っていたけれど……。
 魔銃が完成した後は、中庭にて試し撃ち。出来立ての魔銃で遊ぶ。
「えー。組み立て前にも説明したけど、魔銃に装填するのは魔力だ」
 でもって、銃口からは銃弾じゃなく、それぞれの魔法スキルが放たれる。
 引き金を引く時にな、イメージすることで放出パターンを変えることが出来るぞ。
 例えば……。優しい風を思い描きながら俺が引き金を引くと……。
 ほい。こんな感じで、ふわっとした微風が出る。
 逆に、激しい風を思い描きながら俺が引き金を引くと……。
「きゃー!」
「うおおおおお!」
 ほい。こんな感じで、突風が出るわけだ。
「先生の馬鹿! エッチ!」
「先生、海斗が吹っ飛んだよ」
 まぁ、そんな感じで。それぞれが宿した魔素によって、色んなパターンが出来るぞ。
 その辺りは、使いながら自分で考えていくこと。何でもやってみないことにはな。
 んじゃあ、試し撃ちってことで。ちょっとしたミニゲームをしようか。
 ドッジボールっぽい感じで。男子対女子でいこう。
 この真ん中のラインを超えての発砲は反則な。
 当たったら、コートの外に出ること。
 先に全滅した方の負け。
 ゲームだからな。魔力を込めすぎないように、適度に抑えろよ。
 扱いが難しいから、下手すりゃ暴発して大変なことになるぞ。ははは。
(ハハハって……)
 生徒全員が全員、同じ思いを抱いて苦笑を浮かべた。
 まぁ、授業の一環だし、勝負となればマジにならずにはいられない。
 負けず嫌いでお祭り事が大好きな生徒が多い、Aクラスならではの展開。
 男女は左右別々のコートへと分かれ、それぞれが出来たてホヤホヤの魔銃を構えた。
「よっしゃー。やるからには勝つぞー! で、作戦だけどー」
 髪の毛ボサボサの状態でリーダーシップを取り、男子を総統する海斗。
 その時だった。
 ガキンッ―
「っふぉぁっ!?」
 海斗の足元に、氷の矢が突き刺さった。
 見やれば、女子サイド、その最前に夏穂が立っている。
 銃口から、ユラリと昇る氷煙。その煙をフッと吹き消して夏穂は微笑んだ。
「……久しぶりだけど。腕は落ちてないみたい」
 何で危険なスナイパー。何て唐突な先制攻撃。何て自信満々な顔。
 海斗を最前に、男子たちは、すぐさま反撃を開始した。
「イキナリは卑怯だろ!」
「そうだそうだ!」
 女子の最前は夏穂だ。さながら、海斗VS夏穂の図。
 夏穂は、飛んでくる魔弾をヒョイヒョイと避けながら楽しそうに笑う。
 避けるだけでなく、合間に反撃も。しかも、的確な反撃。
 銃口から放たれる氷の粒が、次々と男子たちを射止めていく。
 さすがに、試合が開始されてからは矢を放つことはしない。危険すぎる。
 大活躍の夏穂に触発され、雪穂もノリノリ。
「よ〜し。僕も頑張るぞ〜。てやぁ〜♪」
 楽しそうに笑いながら引き金を引いた雪穂。
 構えだけ見れば、それなりに良い感じだ。
 だが、腕は良くない。
 雪穂の魔銃、その銃口から放たれた小さな炎は、見当違いの方向へ。
「熱っ!!」
 とばっちりである。藤二の前髪がチリチリになった。
「あれぇ〜? 何でそっちにいくんだろ〜」
 ぽや〜んとしながらケラケラ笑って言った雪穂。
 ある意味、夏穂よりも怖い……。男子たちはゴクリと息を飲んで気合を入れ直した。
 銃を扱うと、楽しい気持ちになってしまう。高ぶるというか何というか。
 いつもはオットリしている夏穂が、躍動的になる貴重なシーン。
「頑張って避けてね。みんな」
 クスリと笑って、魔銃を構えながら言った夏穂。
 そんな夏穂と背中合わせに立ち、雪穂も魔銃を構えて笑う。
「銃を持った夏ちゃんは危険だよ〜♪」
 並んで微笑む双子の姉妹。あまりにも絵になる、その光景。
 気圧されながらも、男子は迎え撃つ。
 気持ちの面で負けてしまわぬよう、ギャーギャーと叫びながら。

 大騒ぎの中庭。生徒たちを見やりながら藤二は微笑む。
(こりゃあ、決まりかな)
 結局、双子ちゃんの独壇場になっちまったか。
 まぁ、こうなるだろうとは思ったけど。男子対女子にしたのは失敗だったなぁ。
 双子ちゃんを同じチームにしちゃ駄目だよな。ニアミスだ、俺。
 それにしても夏穂……。良いな、動きが。いつもの何倍だ、あれ。
 本領発揮ってやつか。いやぁ、凄い凄い。もう凄すぎて逆に……。
 チリチリになった前髪を指先で摘みながら苦笑した藤二。
 楽しそうにはしゃぐ生徒達。男子は生きるか死ぬかの如く真剣な顔だけど。
 光景を微笑ましく見守るだけじゃなく、藤二は書き留めていく。
 魔銃 JH-03 生徒に作らせ、与えた武器の意味を。
 与えねば良かったと、また後悔するんだろうか。
 どうして与えてしまったんだろうと、また後悔するんだろうか。
 楽しそうに笑う生徒達の笑顔を、藤二は直視出来ずにいた。
 笑えるものか。この光景を目の当たりにして、笑えるものか。
 "兵器" を手に笑う生徒達の姿を、可愛いだなんて……思えるものか。
「何やってんだかな。俺は。ほんとに……」
 溜息混じりに苦笑した藤二。そこへ駆け寄ってくる海斗。
「藤二! 男なんだから、こっちに加勢しろよー!」
「あ? あぁ……。しょうがねぇな」
 海斗にグイグイ腕を引かれ、コートの中へと引きずり込まれる藤二。
 魔銃を構えて敵陣を見やれば、そこには可愛い双子の女の子。
「先生を味方にするなんて反則だよ〜。 にゃっはは♪」
「……手加減なしでも良いですか? 先生」
 あぁ、デジャヴ。こんな光景、いつかにも。
 肩を竦めて笑い、藤二は言った。見上げて、空に囁くように。
「どうぞ? 全力で」

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 ■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 7192 / 白樺・雪穂 / 12歳 / 学生・専門魔術師
 7182 / 白樺・夏穂 / 12歳 / 学生・スナイパー
 NPC / 藤二 / 28歳 / HAL:教師

 シナリオ参加、ありがとうございます。
 アイテム 【魔銃 JH-03】が追加されています。
 不束者ですが、是非また宜しくお願い致します。
 参加、ありがとうございました^^
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 櫻井かのと (Kanoto Sakurai)
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