■存在の見解■
藤森イズノ |
【7944】【四葉・小華】【治療師】 |
世界にひとつ。絶対無二なる存在。
見た目こそ、普通の人間と何ら変わりない。
感情もあるし、経験によって成長も遂げる。
彼女の体内にあるチップは、心臓代わり。
午後1時から2時半までの昼寝は、重要な充電時間。
深夜0時までには、必ず眠りにつかねばならない身体。
人間に換算するとしたら、おそらく16歳くらい。
同年代の人間の女の子と何ら変わらぬ趣味・趣向。
お菓子が好き、少女漫画が好き、オシャレが好き。
彼女について、自分が知っている事といえば、このくらい。
「どしたの? 難しい顔して」
"知っているだけ" だった存在が、いま目の前に。
無邪気な笑みを浮かべて、顔を覗き込んでいる。
さぁ、どうする。何て言葉を放つ?
世界にひとつ。絶対無二なる存在の彼女へ。
自分が初めて放つ言葉は、選んだ言葉は何だ?
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存在の見解
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世界にひとつ。絶対無二なる存在。
見た目こそ、普通の人間と何ら変わりない。
感情もあるし、経験によって成長も遂げる。
彼女の体内にあるチップは、心臓代わり。
午後1時から2時半までの昼寝は、重要な充電時間。
深夜0時までには、必ず眠りにつかねばならない身体。
人間に換算するとしたら、おそらく16歳くらい。
同年代の人間の女の子と何ら変わらぬ趣味・趣向。
お菓子が好き、少女漫画が好き、オシャレが好き。
彼女について、自分が知っている事といえば、このくらい。
"知っているだけ" だった存在が、いま目の前に。
無邪気な笑みを浮かべて、顔を覗き込んでいる。
さぁ、どうする。何て言葉を放つ?
世界にひとつ。絶対無二なる存在の彼女へ。
自分が初めて放つ言葉は、選んだ言葉は何だ?
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晴れてCLCのメンバーとなり、証である指輪も受け取った。
ひととおりの説明を白葉から聞き、朔は納得した様子で頷く。
小華は……どうやら酔っ払っているようで、いつもよりテンションが2倍増し状態だ。
CLCに身を置くメンバーとして、やるべきことはひとつだけ。
都の、都に住まう民の安全・安心を確保すること。
事件が起これば、すぐさま現場に急行。
例え具合が悪くとも、向かわねばならない。
言い訳は無用で御法度。使命を放り出すのと同じこと。
頑張ろう。頑張って貢献しよう。都に、この機関に。
受け取った指輪を見つめ、朔は心の中で宣誓した。
「……まぁ、あまり気張らずに。仲良くやっていこう」
淡く微笑み、緊張を解すかのように言った白葉。
先ほどから思っていたことだけれど。何て心地良い声色だろう。
白葉の声を聞くと、不思議と心が落ち着く。逆に目黒は……。
「おーい。酒! 誰か取ってこーい」
落ち着かない。というか、野蛮というか。粗暴というか。
両極端にあるかのように思える二人。
あぁ、そうか。だからこそ均衡を保てているのか。
妙に納得し、テーブルの上に置かれている飲み物に手を伸ばした朔。
酒ではない。妹のはっちゃけぶりを目の当たりにしては、飲む気も失せる。
自分が、あんな風に大笑いするなんて……想像できない。
だから、クランベリージュース。白葉も、酒ではなくこれを飲んでいる。
赤々と美しい飲み物。朔は、あれこれ考えて見つめるばかり。
と、そこへ。
「どしたの? 難しい顔して」
可愛らしい女の子の声。顔を上げる必要はなかった。
なぜなら、赤いグラスの向こうにいたから。
屈んで覗き込み、ニッコリと微笑む、灰蒔がいたから。
「ねね、白葉。この子達が新しい仲間?」
「……うん。朔と小華。仲良くするんだよ」
「ほぇぇ〜。名前もだけど、ちっちゃくて可愛いねっ」
「……イジめちゃ駄目だよ」
「そんなことしな〜いも〜ん。ねね、小華ちゃん大丈夫なの? あれ」
「……そろそろマズイかな。待って。連れてくるから」
苦笑しながら、大騒ぎしている小華を連れ戻しに行った白葉。
灰蒔は、ちょこんと朔の隣に腰を下ろした。
チクチクと刺さる視線。灰蒔は、満面の笑みを浮かべて朔を見つめている。
キラキラと輝く目は、興味津々であることの証。
お喋りしようよオーラが、嫌ってほどに放たれている。
どことなく、妹が持つ雰囲気に似ているような気がしたけれど。
朔は、あれこれ難しく考えてしまって目が泳ぐ。
"知っているだけ" だった存在が、いま目の前に。
無邪気な笑みを浮かべて、顔を覗き込んでいる。
さぁ、どうする。何て言葉を放つ?
世界にひとつ。絶対無二なる存在の彼女へ。
自分が初めて放つ言葉は、選んだ言葉は何だ?
小華がハックした情報には、灰蒔に関する情報もあった。
見た目こそ普通の女の子だけれど、灰蒔は人間じゃない。
DO−LLと呼ばれる存在。機械人間、要はアンドロイド。
だから何だということもないけれど。
世界にひとつしか存在しない、貴重な存在であることは確か。
そう考えると、妙に萎縮してしまう。何て言葉を放つべきか、なんて考えてしまったり。
「あふ〜っ。あなたが灰蒔ちゃんなのれすね〜。はじめましてなのね〜♪」
白葉に連れられ、戻って来た小華は、すぐさま灰蒔にペトリと抱きついた。
酔っている所為……でもない。普段から、小華はこんな感じだ。
いつもどおり、何ら変わらぬ態度の妹の姿に、朔はハッとした。
何も、あれこれ難しく考える必要なんてないんだ。悪い癖。
「きゃ〜。ちっちゃぁ〜い! 可愛い〜!」
「膝の上に乗せてほしいのね。抱っこ。抱っこなのね」
「あははっ。ほんと可愛いっ。はい、おいでぇ」
「小華なのね。こっちは、にぃになのね」
「うんうん。でもね、朔くんってば変な顔してるんだよぉ」
灰蒔の言葉に、首を傾げてキョトンとして朔は返す。
「変、顔、してた?」
「して〜……あれ? してないや。あれれ〜?」
「にぃに! 挨拶するのねっ」
「忘れた、ごめん、僕、朔、名前」
小華に気付かされ、すぐさま挨拶しペコリと頭を下げた朔。
灰蒔はニコニコと笑い、うんうんと頷いて握手を求めた。
触れた手は、ほんわかと温かかった。人肌の温もり。
そう。難しく考える必要なんてないのだ。
自分も似たようなもの。というのが朔の見解・結論。
どんな存在であろうと、灰蒔は灰蒔。というのが小華の見解・結論。
同じ機関に身を置く、かけがえのない仲間。
さっき、白葉も言っていた。メンバーは全員、家族のようなものだと。
誰かが困っていたら助けて、泣いていたら慰めて、嬉しい時は一緒に笑う。
灰蒔も同じ。ヒトじゃないからといって、態度を変える者は誰一人としていない。
けれど、この世に一人だけ。特別な存在であることは事実。
それならば、護るまで。皆と一緒に護っていくだけのこと。
「あたしもノド渇いちゃった。紅茶飲みたいなっ。淹れてこよっと。朔くんと小華ちゃんも飲む?」
小華を膝上に乗せた状態で微笑み尋ねた灰蒔。
朔はスックと席を立ち、自分が淹れてくると言った。
白葉に案内され、キッチンへと向かう朔の足取りは、心なしか軽やかで。
「にぃにの淹れる紅茶はゼッピンなのね」
「そうなの? わ〜い。楽しみ〜」
*
「灰ねぇね、これ美味しいのね。あげるのね。二つあげるのね」
「わぁ。二つもくれるの? ありがと〜」
ポーチから、一番好きな "ライムコーク味" のロリポップを取り出して灰蒔に渡す小華。
小華が肌身離さず持ち歩いているポーチの中は、お菓子でいっぱい。
その大半がロリポップだ。幼い頃、飴屋になりたいと願っていたらしい。
お気に入りのお菓子をプレゼントするだけじゃなく、
ノートパソコンを開いて、色々な情報を見せてあげたり、
趣味で描いているCGを見せてあげたり、自分をさらけ出している小華。
何故かは理解らないけれど、小華は灰蒔に懐いた。それも、かなりの早さで。
ほとんど醒めている状態だ。酔いは無関係。
ならば何故だろう。自分に似ているような気がしたからなのだろうか。
灰蒔は灰蒔で、懐く小華をギュッと抱きしめて頬ずりしたり額にキスしたり。
小さな女の子と関わる機会がなかったからか、嬉しくてたまらない様子。
そんな二人を見ながら、朔はヒョイヒョイとラムネを口に運んでいる。
黙々とラムネを口に放る朔を見やって、灰蒔は首を傾げた。
「ねね、朔くん。それ何? 何食べてるの?」
「ラムネ、食べる? 美味しい、しゅわ、しゅわ」
「しゅわしゅわ? しゅわしゅわするの? 何それ、何それっ」
どうやら、この世界にはラムネという菓子が存在していないらしい。
フンフンと鼻息を荒くして詰め寄る灰蒔。まるっきり子供だ。
その姿に少しだけ笑い、朔はポーチを漁って、灰蒔の手にコロコロとラムネを転がした。
朔が肌身離さず持ち歩いているポーチの中も、お菓子でいっぱい。
その大半がラムネ菓子だ。自分で作れないものかと研究もしているらしい。
「ふわわわわ! ほんとだ! シュワワッてするねっ」
「紅茶、合う。茶菓子、代わり」
「えぇぇ〜? すぐ溶けちゃうよぉ〜」
「それが、いい」
キャッキャとはしゃぐ三人。
出会って間もないだなんて思えぬほどに打ち解けている。
楽しそうに話す三人を、少し離れた場所から見やって微笑む目黒と白葉。
あんなに嬉しそうな灰蒔、久々に見た。
そういえば、ここ最近、無茶ばかりしてたような気がする。
もしかすると、寂しかったのかもしれない。
CLCメンバーは、ほとんどが灰蒔よりも年上だ。
仲良しとは言っても、何でも気兼ねなく話せるわけじゃない。
人間に換算するなれば、灰蒔は16歳くらい。丁度、朔と同い年くらい。
同じ目線や感覚で話せるのが、嬉しくてたまらないのだろう。
小華は、妹のような感じだろうか。
そういえば、妹が欲しいだとか無理なことを言ってた時期もあった。
二人を加入させたのは、機関の為ではあるけれど。
結局、灰蒔の為にもなるのか。
目黒と白葉は顔を見合わせ、肩を竦めて笑う。
「黒にぃに! 白にぃにも、こっち来て御話するのね」
ブンブンと手を振って二人を呼ぶ小華。
二人は同時に踏み出し、呼びつけに応じた。
「黒にぃに、ね。悪くないな」
「……腹黒いしね」
「あ? 何言ってんだ、お前」
「……痛い。足、踏んでる」
「ワザとだ」
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
7943 / 四葉・朔 / 16歳 / 薬師・守護者
7944 / 四葉・小華 / 10歳 / 治療師
NPC / 灰蒔 / ??歳 / CLC:メンバー
NPC / 目黒 / 21歳 / CLC:メンバー
NPC / 白葉 / 23歳 / CLC:メンバー
こんにちは、いらっしゃいませ。
シナリオ『 存在の見解 』への御参加、ありがとうございます。
志願書のすぐ後という時間枠で紡がせて頂きました。
不束者ですが、是非また宜しくお願い致します。
参加、ありがとうございました^^
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櫻井かのと (Kanoto Sakurai)
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