コミュニティトップへ




■クロノラビッツ - カムリカイムの髭 -■

藤森イズノ
【6408】【月代・慎】【退魔師・タレント】
「めんどくせ」
「まぁまぁ。仕方ないよ」
「基本的に、マスターって人使い荒いよなー」
「う〜ん。でもまぁ、必要だから頼んでるんだと思うし」
「どーだかな。ホントに必要なのかねー。あやしいもんだぜ」
「そんなこと言ってると、またお仕置きされるよ?」

 苦笑しながら準備を整える浩太。
 海斗は、ガシガシと頭を掻きながら大欠伸。
 起きて早々、二人はマスターに頼みごとをされた。
 時狭間の最果てにいる "カムリカイム" という魔物の髭を採取してきてくれと。
 何に使うのかは知らない。だが、行って来いと言われたら従う他ない。

 カムリカイムとは、見た目は猫に似ているが、
 鳴き声は犬そのものという、一風変わった生物だ。
 魔物に分類されてはいるものの、穏やかな気性で基本的に無害。
 だが、髭に触ると凶暴化し、鋭い牙と爪で襲いかかってくる。
 つまり、なかなか厄介な頼みごとをされたというわけだ。

「あいつの息、くっせぇんだよなー」
「あ。どうしよう。解毒剤のストックがないよ」
「いーよ、別に。パパッと避けて、ササッと引っこ抜けばいーだけだし」
「えぇ〜 …… ? 大丈夫かなぁ …… 」
「んじゃ、行くぞー」
 クロノラビッツ - カムリカイムの髭 -

 -----------------------------------------------------------------------------

「めんどくせ」
「まぁまぁ。仕方ないよ」
「基本的に、マスターって人使い荒いよなー」
「う〜ん。でもまぁ、必要だから頼んでるんだと思うし」
「どーだかな。ホントに必要なのかねー。あやしいもんだぜ」
「そんなこと言ってると、またお仕置きされるよ?」

 苦笑しながら準備を整える浩太。
 海斗は、ガシガシと頭を掻きながら大欠伸。
 起きて早々、二人はマスターに頼みごとをされた。
 時狭間の最果てにいる "カムリカイム" という魔物の髭を採取してきてくれと。
 何に使うのかは知らない。だが、行って来いと言われたら従う他ない。

 カムリカイムとは、見た目は猫に似ているが、
 鳴き声は犬そのものという、一風変わった生物だ。
 魔物に分類されてはいるものの、穏やかな気性で基本的に無害。
 だが、髭に触ると凶暴化し、鋭い牙と爪で襲いかかってくる。
 つまり、なかなか厄介な頼みごとをされたというわけだ。

「あいつの息、くっせぇんだよなー」
「あ。どうしよう。解毒剤のストックがないよ」
「いーよ、別に。パパッと避けて、ササッと引っこ抜けばいーだけだし」
「えぇ〜 …… ? 大丈夫かなぁ …… 」
「んじゃ、行くぞー」

 -----------------------------------------------------------------------------

 ・
 ・
 ・

「猫? 猫なの?」
「まぁ、見た目はなー」
「一応、ここでは精霊に該当する生物なんですよ」
「精霊! へぇ〜 面白いね。何だか、ゲームみたい」

 嬉しそうに笑いながら歩く慎。
 例の複製した鍵を用いて、時狭間に赴いたところ、ばったり、海斗と浩太に遭遇。
 ヒトである慎が、この空間に出入りできることに関する咎めはない。
 一週間ほど前、時狭間の主であるマスターが、それを特例とし、許可したのだ。
 まぁ、大切な鍵を落とし、更にそれを複製された海斗は、こってりと絞られたようだが。
 その辺りについては、あまりにも不憫な内容なので割愛させて頂こう。

「ゲームなんかと一緒にすんな。油断してっと痛い目に遭うぞ」
「 …… 海斗が言っても説得力ないよね、それ」
「んあっ!? 何だと、浩太!」
「まぁ、油断しないほうがっていうのは事実だから、気をつけてね、慎くん」
「ふふふ。うん、気をつけるよ〜」
「おい、こら! 無視すんな!」

 何でも、海斗と浩太は、カムリカイムという生物の髭を採取しに行く途中だったようで。
 面白そうだと思った慎は、すぐさま二人に同行することを決めた。
 危ないから止めておいたほうがと浩太は警告したが、それが余計に、慎の興味を引いてしまった。
 まぁ、一緒に行きたいと言った時点で、もう手遅れではあったのだが。

 海斗と浩太の後をついていく慎は、何とも楽しそうだ。
 好奇心旺盛で、何にも物怖じしない、積極的な性格であることが窺える。
 いやまぁ、正確に言うなれば、楽しそうなことに対して貪欲であるという感じか。
 カムリカイムという生物について、ある程度のことは聞かせてもらった。
 どうやら、見た目は猫にそっくりらしい。でも、鳴き声は犬。
 何とも奇妙な生物を思い浮かべてしまうが、おそらく、さほど的外れではないだろう。
 髭を欲しているのは、時狭間の主であるマスター。何の為に要しているのかは、海斗達もわからない。
 全部というわけではなく、二・三本手に入れば良いとのこと。
 後は …… 毒素を含んだ息が厄介というところか。
 そのあたりに気をつければ、問題はないそうだ。
 さぁさぁ、それじゃあ、始めましょうか。
 レッツ、髭抜き。

 ・
 ・
 ・

「いたいた。ほら、見てみ、慎」
「どれどれ? わぁ、ほんとだ。猫にそっくり …… 」

 闇の中、丸くなって眠っているカムリカイムを発見。
 そーっと近付きながら、慎は目をキラキラ輝かせていたのだが ――

「って …… えぇぇぇぇぇぇぇ〜! 何これ、すっごい!」

 デカい。
 確かに姿形は猫に似ている。というか、猫そのものだ。だが、デカい。デカすぎやしないか。
 普通の成猫の何十倍、いや何百倍? 気持ち良さそうに眠っているが、何とも言えぬ威圧感が …… 。
 初めて見るカムリカイムという生物に、慎は興奮気味だ。目の輝きも、一層増している。
 そんな慎に笑いながら、海斗と浩太は、さっそく髭の採取に取りかかる。
 睡眠中なのは、ラッキーだ。この隙に、サッと抜いてしまおう。
 カムリカイムの髭は、特殊な生え方をしており、上手くやればスルッと抜ける。
 ただし、間違った抜き方をしてしまうと激しく痛ませてしまうので、注意が必要。
 そーっと、そーっと、起こさないように、ゆっくりと。慎重かつ正確に近付く海斗と浩太。
 ふわふわの毛並みに鼻をくすぐられながらも、身体をよじ登る。くしゃみは厳禁。我慢、我慢。
 カムリカイムに起きる気配はない。肩透かし感はあるが、楽に採取できるなら、それが一番。
 いとも容易く事が済んでしまいそうな事態に、慎は、少し不満そうだが …… 。

「よっしゃ。着いた」
「慎重にね、海斗」
「へいへい」

 海斗と浩太は左右に分かれ、髭の選抜を開始。
 髭なら何でも良いというわけでもないのだ。艶があり、長いものが好ましい。
 しばらくして、海斗と浩太は、引き抜く髭を決めた。後はもう、単調な作業である。
 斜め四十五度。ゆっくりと傾けたら、そのまま上方に押す。そうすれば、ポロッと落ちるのだ。
 過去にも数回、マスターに頼まれて採取にきたことがある二人だ。失敗はないだろう。
 スムーズに事が運んでいる様を、下から見上げる慎は、ちょっぴり膨れっ面。
 危険な目に遭いたいってわけでもないが、あっさり済むのも味気ない。
 慎は、そんなことを考えながら、二人を見上げていた。
 だが、慎の不満を余所に、何事もなく平穏無事に事は済む。
 ボトボトッと落ちてきた、二本の髭。これまたデカい。そして長い。
 慎は、落ちてきた髭に駆け寄って、笑いながら、その髭を持ち上げた。

「ふー」
「二本で良いかなぁ」
「もう一本くらい抜いとこーぜ」
「そうだね。じゃあ、どれにする?」
「こっち。これにしよーぜ。めっちゃ長ェ」
「あ、本当だ。じゃあ、それにしようか」
「おー。んじゃ、サクッと …… 」

 念の為、もう一本採取していこうと決定し、引き抜く髭も定めた。
 だが、そこから、おやくそくな展開に事は運ぶ。

「あ」
「あっ」

 滑った。
 滑らかな毛並みに足を取られて、海斗が宙に舞う。
 浩太は、すぐに手を伸ばして掴もうとしたが、残念。間に合わなかった。
 三本目の髭は採取できたものの、その髭と一緒に海斗も落ちていく。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ムギュッ ――

「ぁぁぁ …… って、あれ?」

 痛くない。海斗は、何でだ? と首を傾げた。
 まぁ、痛くないのも当然である。落ちた場所が落ちた場所なだけに。

「か、海斗〜。後ろ …… 」

 落ちてきたばかりの髭を含めて、
 大きく長い髭を三本を抱えながら苦笑を浮かべて言った慎。
 その言葉にハッとした海斗は、そろ〜りと、ゆっくり振り返った。
 巨大な猫目とバチッと目が合う。カムリカイム、御開眼。というか、起床で御座います。
 海斗が痛みを感じなかったのは、クッションの役割を果たしてくれたからだったのだ。
 何がって …… カムリカイムの尻尾が。

「うおぁーーーー! サイアクだーーーー!!!」

 すぐさま尻尾から下りて、退避する海斗。謝ったところでカムリカイムの機嫌は直らない。
 先程までの可愛らしい(いや、威圧感はあったけど)寝顔は、どこへやら。
 カムリカイムは、バウワウと鳴きながら、その巨体で大暴れ。
 必死にしがみついていたものの振り落とされてしまった浩太と、
 先頭を猛ダッシュで駆ける海斗と、大きな髭を三本抱えて走る慎。
 結局三人は、揃ってカムリカイムに追いかけ回される状態になってしまった。

「だから、慎重にって言ったのに」
「うるせー! しょーがねーだろ!」

 しょうもない口論をする海斗と浩太だが、そんなことやってる場合じゃない。
 カムリカイムは、手加減なんてなしに、一際大きな声で鳴く。
 その鳴き声に逃げ惑う三人が眉を寄せたら、畳みかけるように息を吐く。
 突風のごとく激しいその息は、あれだ。例の、毒素を含んでいるという息。
 笑いながら逃げていた慎も、さすがに、ちょっと焦った。

「 ……!! あぶねっ」
「おっと」
「わっ」

 ドサァッ ――

 幸い、海斗が盾になるような形で毒息を真っ向から受けてくれた為、慎と浩太は無事だ。
 転んだ拍子に、ちょっとだけ腕を擦りむいた程度のケガで済んだ。

「身を挺したのは …… 責任感からかな」
「うるせーよ! 言ってる場合かー!」

 苦笑しながら冷静に分析する浩太と、ムキになって叫ぶ海斗。
 だが、笑い事じゃないぞ。海斗が、毒に侵されてしまった。残念ながら、解毒剤の持ち合わせはない。
 何でないんだよ! と咳き込みながら文句を言う海斗だが、彼に文句を言う資格はない。
 必要ない・なくても問題ないと、自信満々に言ったのは彼自身なのだから。
 いやしかし、自業自得だとも言っていられない。カムリカイムの毒は強力だ。
 何の処置もしなければ、ほんの数分で死に至る。しかし、天敵なんていないはずなのに、
 どうして、カムリカイムは、こんな能力を備えているのだろうか …… 。
 いや、そういう疑問も後回しだ。今はとにかく、毒に侵された海斗を何とかしなくては。
 この毒を除去するには、専用の解毒剤が必要だ。時狭間の各所に咲いている "ワジ" という赤い花から解毒剤は精製できる。
 その気になれば、花自体はすぐに見つけられるだろうけど、この追いかけ回されている状態で、
 かつ、毒に侵された海斗を護りながらとなると、グッと難易度が上がってしまう。
 ヒトである慎を負傷させるわけにもいかない。
 とりあえず、海斗と慎だけでも、安全な場所へ …… 。
 浩太が、その決断に辿り着いたと、ほぼ同時のこと。

「ちょっと、これ持っててくれる?」

 ニコッと微笑み、慎は、大きな三本の髭を浩太に預けた。
 持っててって …… 何をする気だ。まさか、カムリカイムに、ヒトが生身で応戦するだなんてことは …… 。
 嫌な予感がした浩太は、慎を止めようと腕を伸ばした。だが、もう遅い。
 浩太が腕を伸ばしたとき既に、慎は指を鳴らして 『月の子』 を召喚していたのだ。
 とはいえ、月の子は、戦闘向きではない。だが、問題ない。
 慎が、月の子を召喚した目的は、応戦ではないのだ。
 月の子は、あらゆる傷を癒す力を持っている。
 傷だけじゃなく、呪いを解いたりすることも可能。もちろん、解毒なんて朝飯前だ。
 月の子が少し触れるだけで、悪しき状態は全て払われる。まぁ、中には払えないものもあるが、
 毒を取り除くくらいなら、五秒もあれば十分。綺麗さっぱり、完全に消し去ることができる。
 毒が消えたことにより、スッと呼吸が楽になる。その感覚に目を丸くする海斗。
 感心するよりも先に、突如現れた月の子について海斗と浩太は尋ねた。
 だが、尋ねれど返答はない。
 なぜならば、見やった先に慎がいなかったから。
 海斗と浩太が疑問を口にしたとき既に、慎は、カムリカイムの背中に飛び乗っていた。

「んなーー!? 何やってんの、あいつ!」
「慎くん! 危ないからすぐに下りて!」

 驚いた海斗と浩太は、慌てて駆け寄り助けようとしたが、当の慎は、何とも楽しそうに笑っている。
 笑いごとじゃねー! と叫びながら、懐からナイフを取り出す海斗。
 魂銃タスラムは使えない。使ったところで、何の意味もない。
 あれは、時兎を消滅させるための、専用武器だから。

「ったくもー!」

 勝手なことするなと言わんばかりに呆れているが、それを海斗が言うのはどうかと思う。
 なんて突っ込みを心の中でしながら、浩太は冷静に解決策を考える。
 とはいえ、慎が、カムリカイムの背中に乗っている以上は、迂闊に手を出せない。
 時狭間を包んでいる闇は、あらゆる衝撃を和らげるが、あの高さから落ちては無傷では済むまい。
 どうする。どうすればいい。 …… そうだ、ひとまずカムリカイムの動きを封じて ――

「おいで」

 浩太より先に、慎が動く。
 呼ばれた月の子は、ピョンと飛び跳ねて慎の肩に乗っかった。
 振り落とされそうになりながらも、月の子に何かを耳打つ慎だが、何を言っているのかまではわからない。
 海斗と浩太は、カムリカイムの攻撃を避けながら、その様子を窺っていた。
 しばらくして、月の子の身体に異変が起こる。ボンヤリと淡く光り始めたのだ。
 その光を確認し、慎はニコリと微笑んだ。そして、カムリカイムの背中をそっと撫でる。
 大丈夫、怖くないよ、せっかく気持ちよく眠っていたのに、ごめんね。
 そう呟きながら背中を撫でる慎の表情は、優しさに溢れていた。
 いつ振り落とされてもおかしくない状態に、海斗と浩太はハラハラしていたのだが、
 やがて、その不安は解消される。大暴れしていたカムリカイムが、おとなしくなったのだ。
 喉を鳴らしながら伏せるカムリカイム。その姿は、主人に従順な犬(いや、猫?)を思わせた。
 カムリカイムがおとなしくなるのと、ほぼ同時に、月の子の身体も元通り。
 役目を果たした月の子は、ペコリと頭を下げて、在るべき場所へと戻っていく。

「もう大丈夫だよ〜」

 カムリカイムの背中から飛び降り、見事に着地して笑う慎。
 一体、何が起きたのか …… さっぱりわからない海斗と浩太は、ただ唖然としていた。
 カムリカイムは、普段こそ穏やかなものの、一度機嫌が悪くなってしまうと手に負えなくなる。
 怒らせてしまったら、しばらくそのまま放っておき、機嫌の回復を待つしかない。
 過去にも、こういった不手際でカムリカイムを怒らせたことが何度もある。
 その度に、海斗と浩太は、ギャーギャー騒ぎながら逃げ回っていた。
 落ち着くまで放っておくしかないのだとマスターに聞かされていたから。

「ん? どうしたの? 用が済んだなら帰ろうよ〜」
「え? あ …… あー …… うん」
「 …… そうだね。戻ろうか」

 屈託のない笑みを浮かべて言った慎。ハッと我に返った海斗と浩太。
 帰路につく三人だったが、楽しそうに笑っているのは慎だけ。
 海斗と浩太は、不可解な収束に動揺を隠せずにいた。
 カムリカイムの大きな髭。三人は、それを一本ずつ持ち運ぶ。
 髭をズルズルと引きずりながらポツリと呟く海斗。
 髭を背負う浩太も、それに呟いて応じた。

「何なの、あいつ」
「さぁ …… 凄い "ヒト" もいるもんだね」

 月の子の光は、治癒の光。
 時間にして、およそ十五秒間。月の子は光り続けた。
 その間、慎は背中を撫でることで、荒れたカムリカイムの心を鎮めることに専念。
 慎は、月の子に御願いしたのだ。カムリカイムの体内にある毒素を全て払ってあげて、と。
 主の御願いに逆らえるはずもない。月の子は、その願いを聞き入れ、役目を全うした。
 巨体ゆえに少し時間は掛かったが、問題なく毒素は払われた。カムリカイムの体内には、微塵の毒素も残っていない。
 カムリカイムがおとなしくなった理由は、そこにある。
 時狭間の果て、そこから動くことを許されていないカムリカイムは、待ち遠しかった。
 誰かか来てくれること、助けてくれることを待ち望んでいた。
 いつしか、備わった毒。その毒は、体内から徐々に身体の自由を奪っていく。
 カムリカイムは、助けを求めていたのだ。暴れていたのではなく、助けて欲しかったのだ。
 自分以外の誰かが傍にいるという喜びを表現すると同時に、助けを求めていたのだ。
 慎は、その訴えに、いち早く気付いた。
 願いを聞き入れてくれた慎に対して、カムリカイムが従順な態度を見せたのは、当然と言える。

 永い間。
 誰一人として気付かなかった、気付けなかったカムリカイムの訴え。
 それを難なくやってのけた慎。まぁ、本人には、大した自覚はないようだが。
 それよりも、慎には気掛かりなことがあった。普段と何ら変わらぬ笑顔を浮かべながらも。
 助けてくれと訴える、それは即ち、望まぬ力だったということ。つまり、カムリカイムは被害者。
 この空間が、望まぬ進化をもたらしたのだろうか? それとも …… 誰かが意図的に?
 無垢な笑顔の裏で、慎は、そんなことを考えていた。

 ・
 ・
 ・

 -----------------------------------------------------------------------------

 CAST:

 6408 / 月代・慎 / 11歳 / 退魔師・タレント
 NPC / 海斗 / 17歳 / クロノラビッツ(時の契約者)
 NPC / 浩太 / 17歳 / クロノラビッツ(時の契約者)

 -----------------------------------------------------------------------------

 Thank you for playing.
 オーダーありがとうございました。
 2010.01.08 稀柳カイリ

 -----------------------------------------------------------------------------