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■【炎舞ノ抄】秋白■ |
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深海残月 |
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【2377】【松浪・静四郎】【放浪の癒し手】 |
…何者だろう。
そう思った。
警戒と言うより、純粋な興味の範疇で。白色の狩衣を纏った童子。竜虎相争う様が描かれた御衣黄の薄い着物――打掛を頭巾のように頭に被った姿。揺らぐ打掛のその隙間からは、見た目の印象通り『童子』の能面が僅かに覗いている。
聖都エルザードの外れ。他に人の居ない丘。
荷物と言えば竜笛だけを携えたその童子一人が、そこにただ佇んでいる。
ふと、その童子が動いた。
こちらに気が付いたらしい。
こちらを振り向きながら、するりと紐を解き、面を取る。
振り向いた素顔は、透けるような白皙の肌に、浮世離れした淡い金の瞳の――やはり、初めの印象通り、被っていた面の種類とも重なる、童子。…行っていて十代前半、その程度の年頃に見えた。
肌だけでは無く額に僅か掛かる前髪もまた、白い。
打掛の下に隠されているその白い髪は、少し不思議な――突飛で派手なくくり方で頭後上部に纏められているようだった。
何か、芸人――異界に於ける吟遊詩人か何かの類かと思う。
けれど、言い切れはしない。
白色の童子はこちらを真っ直ぐ見据えて来る。
それから、静かに語り掛けて来た。
「…ねぇ。貴方は、生命と言うものの意味をどう思う？」
答えてもらえると嬉しいな。
どんな答えでも、いいから。
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【炎舞ノ抄 -抄ノ参-】秋白
忘れたことなど一度足りと。
他に用がありそこを通りかかる時もあるし、どうしても気になり、『その為』にわざわざそこに赴いた時もある。聖都エルザードの外れにある丘の上。人気のない、寂しい場所。
――――――…望んでいたのは、その姿。
勿論、日々暮らす己の生活もある。それだけに感けている訳にはいかない。けれどそれでも、あの姿に再び会いたいと望む気持ちに変わりはなかった。とにかく、その想いを持って――何度かそこには訪れた。
それでも望む姿には出会えぬまま――時が経ち。
今日もまた、その場所に訪れる機会を得た。
そうしたら。
今日は。
――――――…その姿が。
とても久々に。
網膜に映し出される。
■
「秋白様？」
思わず、目を疑う。
疑いながらも――見間違いかと思いながらも、声を掛けてしまった。
何度も訪れた丘の上。
白い白い小さな――懐かしいとすら思えた姿。
何処か儚げな――危うげにも見える姿で。
………………白色の狩衣を纏い、髪にもまた白の色を纏っている童。
その白い頭の上には、淡くだけ黄みの緑に――御衣黄に染められた被衣。
童の顔は能面で隠されているところまで、同じ。
………………以前会った、あの時と。
元々自分でも望んでいたことだというのに、今度ばかりは信じられないという気持ちの方が強かった。
これだけの時が経ち、その間何度もここには訪れていて、それでもこれまで――秋白様のその姿は一度足りともここには見えず。
心の何処かで、諦めて、いたのかもしれません。
今度こそ本当に、彼は――秋白様は、もうわたくしと会うつもりはないのだと。
そう、思っていたのに。
秋白様は。
また、ここに。
呼び掛けた時点で、秋白様はくるりとこちらを振り返っていました。まるで声の主を見付ける為に気が急いているような、そんな仕草に見えてしまったのは――秋白様もわたくしに遇うことを楽しみにしてくれていたのではと願う、わたくしの願望だったのかもしれません。
………………秋白様の被っていた面が、からりと落ちました。
その面の下にあったのは、驚いたような顔。
わたくしはどうやら、会う度に秋白様を驚かせてしまっているようです。
「…ご無沙汰致しております、お会いしとうございました」
お名前を呼び掛けた後に、そう、続けます。
秋白様は、それで――ふわりと。
微笑んで下さいました。
………………からりと地面に落ちていた面が取っていた形もまた、何の含みもないあどけない童子の微笑みに見えて。
わたくしは、何だか、とても嬉しくなってしまいました。
■
少しして、我に返ります。
我に返った時点で――内心うろたえてしまいました。秋白様がここに居たのは、別にわたくしの為だったのでも――ましてやわたくしを待っていた訳でもない筈で。…それなのに、こんな。
「…失礼致しました、嬉しくてついはしたない真似を…」
いきなり不躾に声を掛けた上、会いたかったなどとこちらの勝手な想いを押し付けて。
そう思ったのですが、秋白様はまたふるふると横に頭を振って下さいました。
「ううん。ボクも嬉しいよ。そうやって気軽に話し掛けてくれるあなたにまた会えた」
「…そう言って下さいますか？ では…よろしければ、またご一緒にお話しして頂けませんか？」
今、ここで。
以前お会いした時と同じように。
…これもまた、秋白様にとっては図々しい申し出なのかもしれないのだけれど。
わたくしは秋白様のことがずっと気になっていて、ずっと、またお話ししたいと思っていましたので。
「あの後、お辛い目にあってはいないかと、そればかりが心配で…」
「…ボクが？」
「はい」
頷きます。
それで秋白様のお顔を見ていて――あ、と気が付きました。
以前お会いした時のお話しの中で。
秋白様には、何かわたくしに踏み込ませたくないことがおありのようだった、と。
気付いた時点で、慌ててすぐに続けます。
「――…いいえ、秋白様のなさっていることを詮索しようとは思いません。わたくしはほんの一時、秋白様が本当に心から安らげる場所を作る為の、お手伝いをさせて頂きたいだけ」
今またこうしてお会いする機会を得られたのだから。
その上に今、秋白様は――そんな風に微笑んで下さっているのですから。
…わたくしは、貴方様のその表情を曇らせたくはないのです。
「心にも、体と同じように休まる場所が必要です。不安も怒りも悲しみも、一時でも全てを手放して安らがなくては、いずれ壊れてしまいます」
そう、訴えます。
と、秋白様の笑顔に、少し苦みが混じった気がしました。
何処か、困ったような。
秋白様は――かくんと倒すように小首を傾げてわたくしを見ています。
「…うーん。色々有難いし嬉しい言葉なんだけどさ。でも…ボクはもうとっくに壊れているよ？」
――。
「そんな言い方をなさってはいけません！」
「…わ。びっくりした」
「…ああ…驚かせてしまいましたか。申し訳ありません。ですがわたくしは…ご自身がもう壊れているなどと…そんな言い方をなさってはいけません、と申し上げたことについては謝りも撤回もする気はありません。…秋白様の口からそんな風に言われてしまっては…辛いです」
「静四郎さんが？」
「…はい。…余計なことを申し上げるつもりはございませんし、不愉快に思われたなら申し訳ありません。ただ…どうか、ご自身を大切になさって下さい」
「…」
大切にするような『自分』はない。…秋白様ならそう仰るのかもしれない。前にお会いした時のお話しからしてもそう思う。けれど。
…それは、辛い。
勿論、全部、わたくしのわがままです。…そのことをわかってはいますが。
それでも、放ってはおけない――わたくしが、放っておきたくない。
秋白様の顔からからりと落ちた面をそれとなく視界に入れます。
………………あどけない童子の顔を模った形の、それ。
この面はどうやら、何かの加減…秋白様のお心次第で形が変わるらしいと…以前お会いした時に気が付きました。あの時、初めはごく普通の若い女性の面だったのに、ふとした拍子で――女性であること、その若さもそのままに、ただ、ぞっとした凄みのある面の形に変化していました。…同時に、秋白様の様子も少し変わっていたように見えていました。わたくしと話している貌から、違う貌へと変えていたような。
………………けれど今のこの面は、形があどけない童子の状態から、変わっていない。
この面の微笑み――いえ、面そのものの造形は数多の表情を豊かに含んだ無表情。ですがその表情が、見る者に――わたくしに、心和むような微笑みと受け取れる時点で。
………………この『形』ならば、まだ。
秋白様にわたくしの想いは通じると、信じたくなるのですけれど。
そう思っていたら、うん、と秋白様の頷く声がしました。
どうやらわたくしが先程、少し強く言ってしまったことに少し驚いて…途惑っているようでもありました。…けれどそれは、わたくしにとっては譲れないことでもあったので。
少し申し訳なく思いながらも、何も言わずに、まず秋白様のお言葉を伺います。
「…うん。ありがと。こっちこそごめんね。今の、多分、静四郎さんの事傷付けちゃったのかもしれないか」
言われて、少し、慌てました。
「そんな。わたくしは…何も。ただ、秋白様にとっては不愉快になるかもしれない勝手をしているだけになります。謝られるようなことでは」
「静四郎さんっていつも一所懸命だよね」
「…それは。そう…なのでしょうか？ 秋白様にはそう見えますか？」
「うん。ボクの事こんなに考えてくれてる。本気で心配してくれてる。顔見せただけで喜んでくれてる。…ボクはただの通りすがりに偶然会っただけの、何の関係もない変な子供なのにね？」
「変、だなんて。そんなことはありませんよ？」
「そうかな。いきなり初対面の人に生きている意味とか聞いたり、他にも何だかよくわからないあやしげーな話とかしたり、嘘吐きだったり、突然勝手に消えちゃったり…それでも？」
「はい。…それは変、と言うより秋白様の個性の一端…になるのだと思いますけれど。わたくしには秋白様が嘘吐きだとも思えませんし。それに、何の関係もなくはありませんよ？」
「？」
「だって、今もう、秋白様とわたくしはこうして一緒にお話しをしているじゃないですか。わたくしは一度目に秋白様にお会いして別れた後、ずっと秋白様とお会いしたいと思っていましたし、二度目にお会いした時、秋白様はわたくしの名前も顔も記憶して下さっていました。それに、今回お会いしたのももう三回目。これでも何の関係もないと仰いますか？」
悪戯っぽくそう続けてみます。
と。
秋白様は、んー、と唸りつつ首を捻っていました。
「…それだけで関係あるって思っていいの？」
「はい。勿論」
「…って。『勿論』なんだ」
秋白様は苦笑なさっているようでした。
それで、秋白様は改めてわたくしの眼をじーっと覗き込んで来ます。
特に含むことのない、真っ直ぐな視線でした。
…えーと？
「秋白様？」
「今度は静四郎さんの事聞きたいな」
「わたくしのこと、ですか？」
「うん。ボクの事はこの前話したからさ。あ。勿論…無理にじゃないよ？」
静四郎さんが良いのなら。
秋白様はちょっと慌てながら…と言った感じでそう続けていました。
…わたくしに気を遣って下さっているようです。
そんな必要などないのに。もっと楽にしていて下さって全然構いません。…ですがもし『そうしている』のが――秋白様の構える心が少しでもほどけていることの表れであるのだとしたら、それはわたくしにとってはとても嬉しいことになりますが。
わたくしも緩く横に頭を振りました。
「無理などと言うことはありませんよ。秋白様に聞いて頂けて嬉しいです」
秋白様の方でも、そのくらいはわたくしと関係があるのだと思ってくれている、と言うことにもなるから。
「…わたくしもここではない別の世界から参りました。義弟に会って謝る為に」
「…謝る？」
「はい。…傷付けてしまったんですよ。わたくしの浅墓な考えを押し付けてしまって…心ない言葉をぶつけてしまって。だからどうしても謝りたかった。大好きな義弟でしたから。傷付けてしまって…そのまま失う訳には行かなかった。ですから、そのことだけを考えてこの世界に渡って来ました」
「…。…その義弟さんって…ひょっとして、ボクと初めて会った時に…訪ねる途中だったって言う？」
「はい」
「…じゃあ、もう会って謝れたって事なんだ」
静四郎さんは。
「はい。謝れました。…それからは…義弟のことも勿論ですが、それだけではなくて…この世界で出逢った色々な方々と関わりつつ、わたくしのできることをしながら…日々過ごしております」
「ふぅん…なんか、良いなぁ…」
「そうですか？」
「うん」
秋白様は無邪気に頷いて来ます。
本当に何の含みもなく。
儚げな淡い瞳で。
何処か夢見るような、焦がれているような。…わたくしの話したことを、心の底から羨んでいるような。そんな、態度。
二回目に会った時にも、わたくしにそんな貌を見せて下さったことがありましたが――今もまた。
そんな秋白様を見て、わたくしの心も和む気がしました。
「…そう仰られるのなら…秋白様にもできないことはない…と思いますけれど」
こうやって、過ごすことは。
「そう？」
「はい」
頷きます。
…それは、秋白様とわたくしでは、話が違うのでしょうが。譲れない目的の為にこの世界に訪れたことは同じ。けれどその目的の内容が違う、その目的が果たせているかも違う。…秋白様の目的は…察するに、わたくしが自分に引き寄せて考えてみれば…できれば止めてもらえれば、と思うことのような気はするのですが…それを口に出して秋白様を止めるつもりはありません。秋白様にとって大切な目的に関わることなのに、わたくしのような…事情を知らぬ者の想像するそんなあやふやな理由で浅い言葉を伝えてしまう訳には行きません。…わたくしの勝手な想いですから。
ただ、これもわたくしが勝手に思うあやふやなことなのですが…目的を果たしたとしても秋白様がお辛いままであるのは変わらないのではと、それが一番心配で。
目的が果たせるか果たせないか。…それは、秋白様がお辛い目に遭うかどうかと言う意味では…どちらでも変わりがないのかもと、そう思えてしまうから。
ですからわたくしは、そんな秋白様に一時的にでも安らげる場所をと――わたくしで秋白様にとってのそんな相手になれたらと、願っている訳で。
例え、ほんの僅かな気休め程度でしかないのだとしても。
「こうやって聞いてみると、ボクたち、ちょっとだけ似てるのかもしれないね。…どっちかって言うと内容は逆っぽいけど。…逆な以上は似てるって言っちゃうのも静四郎さんに悪いかなって気もするけど」
…ボクの場合は謝るんじゃなくて、恨み事を聞いてもらいたくて来た訳だから。
秋白様はそう続けて来ます。
それは、以前お会いした時に言っていたこと。
「確か…『位置』を『横取り』されたと仰っていましたね」
「うん。でもまぁ、それでその相手に今更何言ったってどーしよーもないのはわかってるんだけど。…でも言わないと気が済まないんだよ。そういうことってあるよね？」
「ええ。わたくしもそうでしたよ。…赦してもらえるかどうかなど二の次でした。勿論、赦してもらいたいとは思いましたよ。ですがそれよりまず、謝らなければならないと思ったんです。どうしても謝りたかったんですよ」
わたくしが。
義弟に。
どうしても。
他の誰に何を言われたとしても。
…そう考えると、内容は逆であっても、確かに、似ていると言えるかもしれない。
秋白様はわたくしのそんな言葉で――いえ、続けて思ったことにも気付いたのかもしれません。とにかく、ふわりと花がほころぶように微笑んで下さいました。
何処か嬉しそうな、優しい笑顔で。
「そっか、静四郎さんも、なんだ」
「はい」
肯んじて、秋白様のお顔を見返します。
わたくしも、嬉しくて。
「…じゃあ、ボクにも出来るのかな。静四郎さんとお話しして、こうやって、お休みして。…あなたはこの前、今のボクに心があるとも言ってくれたし、ここでボクの『位置』を作ればいいとも言ってくれた。それに、あなたにはボクが壊れてるようにも見えてないみたい。こんなに心配もしてもらえてる。…そうしてもらえてる価値があるのなら、ここはもうボクの『位置』だと思ってもいいのかな。そう信じていいのかな」
はにかむように俯いて、秋白様はそう続けています。
俯いてらっしゃる為に、その表情まではよく見えません。ですがそれでも、少なくとも今だけは――わたくしがそうしていて欲しいと願った通りに、秋白様は心安らかでいらっしゃるように思えました。
「少なくともわたくしは、もうとっくにそう思っておりますよ」
そう、添えてみます。
…秋白様の『位置』のこと。
もうわたくしの前に、秋白様の『新しい位置』はできています。…他の方がどう仰るかはわかりません。秋白様を縛っていることが何かも知りません。ですが、わたくしにとっては、今目の前に居る秋白様と言う事実の方がずっと大切ですから。
…わたくしがそう思ったことに、秋白様も気付いたのかもしれません。
少しして、秋白様は、俯いていた顔を上げていました。
「本当にそう思ってもらえるなら、もう止めても良いかもしれないな、ってちょっと思う」
「？」
何をか、と思います。
秋白様の貌は、変わっていません。
落としたままである面も。
その面を、秋白様は拾おうとしていました。
まだ、あどけない童子の表情のままである面を。
面を拾おうと地面に手を伸ばしてしゃがみ、また、立ち直ります。
何処かぴょんと跳び上がるような――そんな軽やかな動きを見せながら。
拾い上げたところで、秋白様の声が聞こえました。
「今日はここまでにしとくね」
………………やっぱり、まだ思い切れてはないからさ。
そう、続けられた気がしました。
けれど。
その声は。
本当にわたくしの耳に聞こえたのか、そうでないのか、わからない感じがしました。
…前にお会いした二回の時の、秋白様の去り際と同じ。
そう認識した時には、もう秋白様の姿はそこにはありませんでした。
秋白様はまた、前までの時と同じように、姿を消しました。
どうやって消えたかは、わかりません。
こちらの感覚を幻惑するようにして、いつの間にか姿を消しています。
ただ。
今日は。
何となく、照れ臭くて姿を隠してしまったのでは、と言う感触がありました。
それは――わたくしが勝手に思っているだけのことではありますが。
それでも、幾らかは。
秋白様のお心を解すことができたような気はしています。
――――――もう止めても良いかもしれないな。
ぽろりと零したその科白。
言われたその瞬間は何のことかわかりませんでした。
けれどそれは、秋白様がこの世界でなさろうとしていること、についてなのでは――と、言われて少し経ってから思い至りました。
それは秋白様にとっては譲れないこと、の筈なのに。
…止めても良いかも、などと。
それが、秋白様の本心からの言葉なのか、気まぐれなのかまではわかりませんでしたが。
でも。
わたくしは。
…そうしてもらった方が秋白様の面が曇らないで済むのでは…とは思いました。勿論、わたくしがどうこうできることではありませんし口を挟むことでもない。秋白様がお決めになることです。
前にお会いした時、秋白様は笹を握らせた、という言い方もしてらっしゃいました。
それは、わたくしの理解した通りでいいのなら――笹を握って舞うのは、能楽に於ける、狂れを示す暗喩になります。
懐かしい服装の方ではあります。元居た国の文化もわたくしと近いのかもしれません。ですがそれでも…暗喩されているのが同じ意味とは限りません。
ですが、心配にはなります。
「握らせた」という言い方――そして、ご自身がもう壊れているなどという言い方。
笹を握るという言葉に託して秋白様が言いたかったのは、どういう意味だったのかと、心配になります。
笹を握ったのがどちらにせよ…わたくしには、その面が曇ることのないように祈ることしかできませんが、それでも…秋白様には心安らかでいて欲しい。
勝手なこととは承知です。ですがわたくしは、そうあって欲しいと――祈りたいのです。
【了】
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登場人物（この物語に登場した人物の一覧）
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■整理番号／ＰＣ名
性別／年齢／職業
■PC
■2377／松浪・静四郎（まつなみ・せいしろう）
男／25歳（実年齢34歳）／放浪の癒し手
■NPC
■秋白
×××××××××××××××××××××××××××
ライター通信
×××××××××××××××××××××××××××
再びの発注どうもです。
今回は『炎舞ノ抄』三本目の発注、有難う御座いました。…日数上乗せしている上に今回は土日絡みでお渡しが納期遅れになっております。大変お待たせしました。
ノベル内容ですが…松浪静四郎様には本当にいつも秋白の事を色々と気遣って頂けて有難う御座います。
色々と心配もして頂いて。
今回は秋白の様子が少し変わりました。
松浪静四郎様の気持ちが、色々と伝わってはいるようです。
それで、秋白がこれからどうするつもりかは…また別の話にはなりますが。
今回もまた、頂いたプレイング以上の反応は…PCデータ等からPC様ならこう反応しそうか、と思ったように書かせて頂いております。…ただ、今回静四郎様に少し強い言い方をさせてしまっている部分があったり、御自身の過去の事を話して頂いている部分があったりしますので…どうだろうと少し気になってはいるのですが。
…如何だったでしょうか。
少なくとも対価分は満足して頂ければ幸いなのですが。
では、また機会を頂ける時がありましたら、その時は。
深海残月 拝
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