■エルザード祭〜陽の輝きのもとで〜■ |
川岸満里亜 |
【2919】【アレスディア・ヴォルフリート】【ルーンアームナイト】 |
うららかな青空の下、王女はペティ、ルディと共に天使の広場をカラフルなリボンや旗、風船などで飾り付けていた。
装飾用の道具担当のシェリルがテキパキと指示を出し、周囲の微妙な空気に気づかないままレーヴェは聖獣王と王女から頼まれた高所の飾り付けを粛々とこなしている。
広場の一番外回りには、エスメラルダの監修の屋台がいくつもおいしそうな匂いをさせる。
カレンのハープの音に吟遊詩人達も調律を始め、普段見かけないディアナの姿までもある。
今日が特別なのだ。だが何が起こるのか。
飾り付けの終わった広場に聖獣王の姿が見え場が静まり返る。
舞台上から王の声が響く。
「聖獣王の名の元に、今日を国民の祝祭日とする。皆の者、今日は無礼講である。存分に楽しむが良い」
それは王と王女のサプライズ。
今、天使の広場を中心に、エルザード祭が幕を開けた。
* * * * *
その日は錬金術師ファムル・ディートの診療所もお休みだった。
ファムルは朝から出かけており、今日はキャトル・ヴァン・ディズヌフやダラン・ローデスの姿もなかった。
「パレードの音、ここまで聞こえてくるね」
窓の外を眺めながら、診療所で療養中のルニナが言った。
外は雑草が生い茂っていて、街の様子は分からない。
「あのさ、リミナ」
ルニナは振り向いて、掃除をしている妹のリミナを見た。
「まさかパレードに参加したいなんて言わないよね」
「えへへっ」
「だーめ」
「えーーーー。いいじゃん、少しくらい」
一時はいつ命が消えてもおかしくない状態だったルニナだが、最近では1人で散歩が出来るくらいまで回復していた。
「それじゃあさ、リミナ体貸してよ」
「え?」
「体交換の魔法、余裕で使えるくらい回復してんだよ、私」
にやりと、ルニナは笑みを浮かべた。
「そっか……そうね……」
活発な姉のことだ。既に自分が出かけている時には、勝手に遊びに出ているのかもしれない。
「それでも、ルニナ1人じゃ行かせられないわ。一緒に行ってくれる人がいたら、ね」
「りょーかい。誰か来ないかな〜」
ルニナはまた窓の外に目を向けた。
草むらがガサッと動いた……誰かが帰ってきたのだろうか。
それとも来客だろうか。
|
『エルザード祭〜陽の輝きのもとで〜』
「うわあ……快適!」
錬金術師ファムル・ディートの診療所で、リミナが感激の声をあげた。
いや、リミナと入れ替わったルニナだ。
「それは良かった。こちらも想像よりも悪くなくて、良かったわ」
傍で弱弱しく微笑んでいるのは、ルニナの身体の中に入ったリミナだった。
「見慣れた体だけど、自分の体として触ってみるとまた違うものねー」
言いながら、ルニナはリミナの胸からウエストに手を滑らせた。
「ちょっとどこ触ってるのよ、もう」
リミナは少し恥ずかしげな笑みを浮かべる。
「……んーと……」
彼女達の前では、千獣がきょとんとしていた。
ルニナの魔法で、双子の姉妹であるルニナとリミナが入れ替わったのは解っている。
解っていても、不思議な気分だった。
「それじゃ、お祭り行かせてもらうわね!」
「行ってらっしゃい。羽目を外しすぎないようにね」
ルニナは凄く楽しそうな顔で髪を結び、リミナは椅子に腰かけたまま嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
(二人、楽しそうだから……いっか)
2人の様子を見ながら、千獣は一人こくこく頷くのだった。
「うん、ふふふ、ふふふ……。いい、リミナ。私の体で無理したらだーめーよー♪ うふふふふ、あははは〜♪」
怪しい笑みを残し、ルニナが診療所から飛び出していく。
「ふふっ、羽目外しすぎちゃいそうね。千獣一緒に行ってあげて?」
「……リミナも、一緒に、お祭り、行こう……?」
千獣はルニナの姿のリミナに手を差し出した。
「え? でもルニナの体だから。無理は出来ないし」
「おんぶ……は、恥ずかしい? なら、私、狼になる。その背に、リミナ、乗る……」
千獣は、四足歩行の狼に変身して、リミナを背に乗せることを提案した。
「体、飾り付けして、リミナも、服、キラキラにして……」
そして、パレードに加わったのなら、きっと祭りに溶け込めるからと。
「そうね、少しだけ参加しよっかな。私ならルニナと違って、この体無理させたりしないし」
言って、リミナは大切そうにルニナの身体に触れるのだった。
「それじゃ、着替えるわね」
ゆっくり広場近くの通りまで出て、沿道で座って祭を見物しよう。
それから、パレードがそこを通る時に、千獣と少しだけ加わろうと考えていた。
広場の一画で、ファムルディートは簡素な屋台を開いていた。
台に並べられているのは、手作りの焼き菓子だ。
「甘いあまーいクッキーは如何? 恋人同士で食べれば甘い夜を過ごせるぞ。むしろそこの御嬢さん、私と食べないか?」
それは微量の惚れ薬が入った焼き菓子だ。
普通の焼き菓子より高く、更には販売員が白衣姿のおっさんである。祭りとはいえ売れ行きはあまりよくなかった。
「ファムル殿、久しいな」
そんな彼のもとに近づいてきた女性が1人。
「ああ、久しぶりだな」
アレスディア・ヴォルフリート。とある事件で世話になった人物である。
「その後、薬は……」
聞きかけて、アレスディアは苦笑する。
「いや、祭りの日に無粋だな。すまない」
「別にかまわんよ。話はこれを食べてからでどうだ?」
ファムルがアレスディアに差し出したのは、屋台に並べてある焼き菓子ではなく、懐で温めていた特別製のマドレーヌだ。
「話はまた後でな。そろそろ昼だ。知人を訪ねたいと思っているのだが、手土産に何かいただけぬか?」
「知人? それは男か? 年齢は!?」
「ん? 男性で……年は私と同じくらいだと思うが」
「そう、か……青春だな。邪魔するわけにはいかないか」
ぶつぶつ言いながら、ファムルは店に並べてあったクッキーを小さな袋に入れて、アレスディアに渡した。
もちろんしっかり料金はいただく。サービスもなしだ。
「言っておくが、これは多少気持ちを高める程度のものだ。全く興味のない奴には効果ないぞ」
「ははは、このような菓子が好きかどうかはわからぬが、茶菓子として申し分ない。いただいていく」
ファムルが良く分からないことを言っていたが、特に気にすることなく、アレスディアはクッキーを受け取って、知人のところに向かうのだった。
アレスディアの知人――ディラ・ビラジスは、広場の一画で警備の仕事をしていた。
「ディラ殿」
ベンチで休憩している彼のもとに、アレスディアは近づいた。
「珍しい仕事をしているんだな」
アレスディアの顔に、思わず笑みが浮かぶ。
生活費の為だろうが、聖都の一般人を護るための仕事を彼が選び、浮けたということが、嬉しくて。
「気まぐれだ」
アレスディアから目を逸らし、ディラは端に寄って、隣を空けた。
「息災であられたか? 聖都での暮らしはどうだろうか?」
ディラの隣に腰かけ、アレスディアは訊いた。
「悪くはない」
「そうか。せっかくの祭りの日に仕事の話もなんだ。土産を持ってきた。良ければ食べてくれ」
近況を深く尋ねることはせず、アレスディアは土産として持ってきたクッキーをディラの足の上に置いた。
「……お前が作ったのか?」
一見して手作りだと判るそれを見て、ディラがアレスディアに尋ねる。
「いや、私ではない。甘いクッキーだそうだ。甘いものは大丈夫か?」
「ああ」
頷いて、ディラはクッキーを袋から取出し、口に入れた。
「……確かに甘い。美味いよ」
言って彼はふっと影のある笑みを見せた。
数年前まで、彼は菓子など口にすることは出来ない環境で、必死に生きていたのだ。
「それはよかった」
アレスディアは影のない笑みを浮かべる。
聞かずとも分かる。
幼い頃とは違い、そしてアセシナートに居た頃とも違い。
彼は今、色々な幸せを感じつつあるのだということが。
「……あのさ」
突然、ディラは横を向き、アレスディアと目を合わせた。
「今晩、空いてるか?」
「今晩? 稽古の予定があるが、どれくらいだ?」
「祭りの後。できれば……朝まで」
「打上げか。それなら仕事の仲間と」
「いや、お前と過ごしたい」
「ディラ殿……」
ディラの真剣な目に、アレスディアは彼の気持ちを察した。
「足りないんだ。今も、俺にはなにもない。だから、俺はお前に……もっと側にいてほしい」
ディラがアレスディアの手に自分の手を重ね、握りしめた。
「今言うのも、なんだが……っ、つ、つきあってくれないか?」
彼の熱い思いが手からアレスディアに流れ込んでくる。
「わかった。ディラ殿の真剣な気持ち、しかと受け止めた」
アレスディアはディラの手を強く握り返し、立ち上がった。
「しかし待て、今晩では準備が間に合わぬ。数日時間をいただけないか?」
「あ、ああ」
「よし、準備が整ったら連絡する。……熱い夜になりそうだ」
不敵な目でアレスディアが言うと、ディラは僅かに顔を赤らめて、頷いた。
「今日は会えて良かった。これからも、幾久しく健やかに。それでは、また」
アレスディアは立ち上がってお辞儀をし、ディラと別れる。
「……朝まで手合か、突き合う為の武器を準備せねばな。ランスでは重すぎる、レイピアか!」
そして、真面目な顔で武器屋に向かっていくアレスディア………。
「ち、ちがーーーーーう!」
ディラの叫びは、祭りの音にかき消されたのだった。
診療所近くの大通りで、千獣とリミナはアルマ通りへと向かうパレードに加わった。
「皆楽しそう。私は踊りとか得意じゃないし、千獣が一緒じゃなかったら、見てるだけだったかも」
飾りを巻き付けた千獣の背に、リミナが乗っている。
ルニナの体を疲れさせないため、少しだけの参加の予定だった。
「ありがとね、千獣」
お礼を言いながら、リミナは千獣の背を撫でる。
完全に獣化しているため、千獣は言葉をしゃべる事が出来ない。
返事の代わりに、千獣は気持ちよさそうに体を丸めて目を細めた。
「あははははははっ、さあ、見てみて、私の踊りを観なさ〜い。どう、セクシーでしょ♪」
響いてきた声に、ぴくっと千獣の体が反応した。リミナの声だ。
「ん? 今の声……私の声?」
振り向いたリミナは派手なダンス衣装をまとった集団の姿を見た。
その集団を率いるような位置に、自分が、いた。
際どいビキニのような衣装を纏い、激しく体を動かしている。
(あれ、ルニナ……?)
千獣には、リミナの体の中に入ったルニナに間違いないと分かるのだけれど、なんだか凄く違和感を感じた。
リミナの体なのに、全然リミナじゃないのだ。
リミナは千獣の背の上で、しばらく固まっていた。
「見よう見まねで覚えたダンスだけど、結構様になってるでしょ〜。ボディがいいからね、うふっ」
頭に手を回し、腰を振ってポーズを決めるルニナ。
沿道の男性から歓声があがる……。
「やっ、や……やめてーーーー、やだやだ、やーめーてぇーーーーー!!」
固まっていたリミナが突然大声を上げて、暴れ出した。
「ん?」
酒瓶片手に歩いていた、ケヴィン・フォレストが何事かと振り向く。
暴れているのは、ルニナの姿をしたリミナ。
「今日は一日、踊りまくるわよぉ〜」
そして、ルニナの視線の先にいたのは……リミナ。
「うわっ」
ケヴィンは思わず視線を逸らす。
リミナのようだが、ケヴィンが知っている彼女とは明らかに違う。
「やだーーーっ!」
(リミナ、危ない……)
千獣は足を止めて、不思議そうに暴れるリミナを見た。
「いや、やめてっ、何してるの、ルニナーーーっ!!」
リミナが千獣の背から、転がり下りる。
千獣はすぐに、人の姿に戻った。
「……リミナ、ダメ……どうしたの」
ルニナの所に向かおうとするリミナを、千獣は抱きしめて止める。
「イヤイヤ千獣、あんな格好やめさせて、恥ずかしい。やだあーっ」
真っ赤になって、リミナは叫んでいる。
「……格好が嫌? わかった……わかった、から。リミナ、落ち着いて……体に、よくない……」
「サービスサービス。聖都のみなさーん、おひねりよろしくぅ〜♪」
ルニナはリミナに気付かず、魅惑的なダンスを踊り続けている。
「やめて、やだ……はあ、はあ……やめて、やめ、て」
リミナの声が掠れていく。酷く苦しそうに見えた。
「……ルニナにやめてって、言うから。その前に、体、休ませないと……」
千獣は苦しげに息を切らしているリミナを抱き上げて、沿道の休憩用テントに向かった。
「人は見かけによらないものだな」
パレードから離れ、ケヴィンは酒のつまみに何か買おうと、広場へ訪れた。
姉妹が6人もいるケヴィンは、半裸の女性を見ても動揺することはないが、真面目で大人しいイメージだったリミナの本性?にはいささかびっくりした。
「昼間っから飲んでんじゃねーよ」
「ん?」
突如足を軽く蹴られ、ケヴィンは振り向いた。
仏頂面でその場にいたのはディラ・ビラジスだ。
「祭りだからな。……あんたは仕事か?」
普段は無口なケヴィンだが、酒を飲めば普通に話もする。
「まあな」
ディラは警備団の腕章をしていた。正式な団員ではなく、臨時バイトのようだ。
「一緒に祭りを楽しむ相手もいないし……こういう時こそ、やることないからな」
「ふーん。最近、どうしてる?」
「適当に依頼を受けながら、その日暮らし。悪くはないが……張り合いがない」
広場は祭りを楽しむ人々で溢れており、賑やかで皆楽しそうで、平和そのものだった。
そんな人々の姿に、ディラは自嘲気味な笑みを見せる。
「昔とどっちがいい?」
ケヴィンのその問いに、ディラは「今」と即答した。
ディラには家族がいない。友人も仲間もいない。
生きるために、自分のためだけに戦ってきた、必死に生きてきた昔と、何の目標も目的もなく、ただ生きている今。
今の方が楽だと断言できるけれど、何かが足りなかった。
ディラはまだ、食べ物ではない、力でもない、何かに飢えていた。
「彼女でも作ったらどうだ」
酒を飲みながら、ケヴィンは何気なく言った。
「どうやって」
苦々しげな顔でディラはケヴィンを見た。
「どうやってって……気になる女を口説けばいいだろ。事情を知ってる奴なら、ルニナとリミナとか。リミナの方は家庭的で人気が……あ、いやそうでもないか」
先ほどのパレードを思いだし、ケヴィンは口を濁した。
「家庭的とか、お嬢様とか、そういう部類の女性は好きになれない」
「それじゃ、どういう女性が好みなんだ?」
ケヴィンの問いに少し考えたあと、ディラは純真な少年のような顔で、どこか遠くを見つめながら答える。
「背中を預けられる人。背中を任せるという意味でも、互いに寄りかかれるという意味でも」
パートナーであり、家族であり、同志であり、戦友でも仲間でもある。
そんな人をディラは求めているようにケヴィンには思えた。
もしかしたら、既に意中の人がいるのかもしれない……。
「焦ることはない。まだ若いんだし」
ケヴィンはディラの方をポンと叩いた。
「そうだな……。で、おま……ケヴィンは今晩、空いてるか?」
「このまま祭りと酒を楽しんでる予定だが」
「それなら、仕事が終わったら付き合ってくれ。あ、交際でもなく、突き合いでもないぞ!」
何故かディラは槍で突く仕草をしている。
「ん? ああ。黒山羊亭で仕事の依頼でも見るか」
「ん、割のいい仕事があるんだ。一緒に受けれないかと思ってな」
ケヴィンと一緒なら、楽だからとディラは少し恥ずかしげに続ける。
「了解、それじゃ夜に黒山羊亭で」
軽く手を振って、ケヴィンは祭りの中へと戻っていく。
ディラの中での自分は、消したい過去から、友に変わっているのかもしれない。
そんなことをぼーっと考えながら、ケヴィンは広場を歩いて行く。
噴水の近くでは大道芸が行われており、子供も大人も目を輝かせながら観賞している。
親子は手を繋ぎ、恋人達は身を寄せ合って、ショーや屋台を楽しんでいた。
「あー楽しかった〜!」
ルニナは千獣と共に、着替えてからリミナのもとに戻ってきた。
「あれ、リミナどうしたの?」
「どうしたの、じゃ、なーい……はあ、はあ……っ」
リミナは涙目でルニナを見た。
言いたいことは山ほどあるが、興奮すると息苦しくなってしまい、まともに喋る事が出来ない。
「まさかパレードで踊ったの? 私の体無理させないでって言ったでしょ」
「お、おどって、なーい……っ」
「リミナ、無理、しないで……ルニナ、もとに、もどって……」
興奮しているリミナより、冷静なルニナが戻った方がいいだろうと思い、リミナを支えながら千獣が言った。
「もしかして、そんなに、嫌だった?」
悪戯気に言うルニナに、リミナは涙目でにらみながらこくこくと頷く。
「ごめーん、えへへへっ。……はううう……」
自分の体に戻ったルニナは千獣に凭れて、目を閉じる。
「こ、こりゃ辛いわ。お相子ってことで……」
「お相子じゃなーい!」
「うううっ、これじゃ夜の花火も楽しめない……」
「……もうっ。自業自得なんだから」
苦しげな姉を、リミナは頬を膨らませて睨む。
「……診療所で、休む?」
「ええ、戻りましょう。千獣、だっこしてあげて。お姫様だっこ!」
こくりと頷いて、千獣はルニナを抱き上げた。
「ああー、情けない。どうせこうなるなら、自分の姿でパレード参加すればよかった」
「そうね。その体じゃ、あんな激しい踊り出来なかったでしょうし」
「これにこの体じゃ、色気が足りないからあんな格好も出来なかったねー」
「もうっ」
リミナは赤くなってルニナを咎めるような目で見る。
ルニナは弱弱しくも、楽しそうな笑みを浮かべていた。
2人とも、今までは楽しそうにしている時にも、どこか影があった。
でも、今は影は感じられない。
(今の2人には未来があるから)
2人の変化の理由に気付き、千獣は胸にほんのりした暖かさを感じた。
「……ねぇ……二人の、将来の、夢って、何……?」
突然の千獣の問いに、2人とも少し驚いた顔をした。
「夢……不思議。普通の夢、持てるようになったんだね、私達」
「うん。リミナの夢、解ってるよ。『お嫁さん』だよね!」
「えっ!?」
「普通の家庭を持つこと。私の介護なんていつまでもやってちゃだめだよ。いいひと見つけないとね。……でも聖都の男は勘弁してほしいな。今日のパレード見て言い寄ってくるヤツなんて絶対ダメだからね」
「う、うーん……」
リミナは複雑な顔をしている。
「私の夢はね」
ルニナは手を伸ばして、千獣の首に絡めた。
「……これから考える!」
未来を生きられるのなら、やりたいことはいっぱいあるんだと。
ルニナは千獣に抱きつきながら言うのだった。
祭りの音が、街中に響いている。
街路に植えられた桜の花が、ふわりふわりと舞って、人々と共に街を巡っていく。
聖都エルザードの幸せな一日は、まだ終わらない。
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【3087 / 千獣 / 女性 / 17歳 / 異界職】
【2919 / アレスディア・ヴォルフリート / 女性 / 18歳 / ルーンアームナイト】
【3425 / ケヴィン・フォレスト / 男性 / 23歳 / 賞金稼ぎ】
【NPC】
ルニナ
リミナ
ファムル・ディート
ディラ・ビラジス
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■ ライター通信 ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
ライターの川岸満里亜です。
エルザード祭のゲームノベルにご参加いただき、ありがとうございました!
皆様の穏やかで楽しい時間を、楽しく書かせていただきました。
もう少し、ソーンの世界の物語を皆様と描いて行きたいと思っております。
もし、ご都合がつきましたらまたお会い出来ましたら嬉しいです。
ありがとうございました!
|