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【ビバ☆裏側生活】
■志摩■

<天道ミラー/Beast's Night Online(fa4657)>

 今日はドラマ『ビバ☆悪魔生活』の撮影日。
 すでに今日の撮影は始まっており、自分が出演するところにあわせて少し遅い入りをした天道ミラーは自分の役、ガルムの衣装を着ていた。。
 軍服のような服に耳と尻尾、そして首輪。手には台本を持って。
「おはよーございマス!」
「はよー、お手!」
「わん!」
 おはよう、といいながら手のひらさしだされると条件反射でお手。
 お手、お手、お手。
 連続でくりだされるそれにも持ち前の明るさをもって楽しんで応えていく。
 撮影スタッフとのお決まりの挨拶になっていた。
「アイジ発見!!」
 と、なにやらちょっとした休憩挟んでの打ち合わせ中のルシファ役、璃久アイジをみつけてミラーはうずうずする。
 出会えばいつも人差し指でほっぺぷに、の挨拶。
 もうきっとひっかからないだろうなぁ、でもしたいなぁ、と思う心でゆれまくる。
 肩叩いて人差し指で頬をぷにっと、したい。でもやっぱりどうしようかなと思っていると、話は終わったようで。
 やっぱり今やらないでいつする! という結論に辿りついていた。
「おはよーございマス!!」
 肩をポム。
「おは……ようございます」
「おおお、さすがにひっからなかった!! 成長してる!」
「今日もよく伸びる頬だなぁ、この伸びも成長してるようだ」
 突付かれる寸前で動きを止めたアイジ。
 突付かれてはいない。
 だがしかしなんとなくなのだろう、お決まりのようにミラーの頬を伸ばして遊ぶ。
 やっとその手が離されて、ミラーはうらめしそうにアイジをみた。
「俺の頬が伸びて緩む」
「大丈夫だ、手加減はしてある」
 そういう問題じゃない! とミラーは言いつつ笑う。
 と、アイジの目にとまるミラーの台本。
「ちゃんとセリフ、憶えてきたのか?」
「ばっちり! ほら波線とかもひいてある!」
 ぺろっと一ページめくられる。
 そこには赤いラインや丸で囲まれた文字。
 そして、漢字横に読み方が書いてあった。
「……漢字……ひらがなは読めるんだな」
「ちょ、違っ! 読めないんじゃないぞ。読めるけど、もしも! もしもに備えてだから……!」
「必死すぎると逆効果だぞ」
「うっ!!」
 からかわれているのはわかっている。
 本当に読めないわけないのもわかっているのだろうけれどもアイジはミラーを弄る。
「……逆向きの『す』、あれを信じたっぽい人から平仮名練習帳が贈られてきたんデスけど!」
「あの台本を書いたのは監督だから俺に言っても何もでないぞー。で、それは使ったのか?」
「あれ貰ったときはちょっとしんみりした! 見た瞬間もう一回送られてきた封筒にしまった! 使わず大事においてある」
「あはははは、まぁ本当に心配してくれたんだろうな」
 笑われているが、本人にとっては大事件だった。
 ミラーが笑うなんて、と頬ふくらますとアイジは悪いと苦笑する。
 話の転換、ふとミラーは思い出したようにあることを報告する。
「あ、俺ちゃんとキムチオムライスの練習してるんだ。だいぶイイ感じになってきた!」
「お、それは楽しみだな」
「あとやっぱり何か描かなくちゃいけないよな。ケチャップじゃなくて…………何だろう???」
 オムライスには絵を描くもの。
 だがキムチオムライスにケチャップはどうだろう、と思案の真っ最中。
「ケチャップでよくないか?」
「えー……うーん、でも一回試してみるかな、うまかったらケチャップでいいや!」
 と、本番ですと声をかけられるアイジ。
「あ、先いってくる」
「いってらっしゃーい!」
 一言かわしてさっきまでの表情とがらりと変わる。
 その切り替え様子をみていたスタッフと一緒にミラーは話を始める。
「一瞬だ、やっぱり俳優なんだなぁ」
「一気にムダにフェロモンですよね!」
「キャー、せくしー! みたいな!」
 ミラーは手で顔を覆っていう。
 その様子にスタッフは笑い、雰囲気は和やかだ。
 そうしているうちに他のスタッフには仕事があってもてあます時間。
 一人になり出番までまだある時間は台本読んでの最終チェックに。
「NG出さないようにしなきゃ! 頑張るぞー!」
 邪魔にならない場所でひっそり気合を入れる。
 そして台本開いて、自分の台詞も相手も台詞も、もう一度確認。
「……よし、大丈夫」
 撮影真っ最中のセットでは共演者たちが熱演中。
 その音を聞きながら自分のことに集中する。
 シリアスからコメディまで、幅広くこなしていくその姿をすごいなぁ、とミラーは感じていた。
「それじゃあ次のシーンいきまーす、天道さんおねがいしまーす!」
「ハイ!」
 声をかけられて立ち上がり、台本を置く。
 そしてこっそりと小指をビシッとたてて気合入れ。
「ヨシ! ダイジョウブ!!」
 よろしくお願いしマース! と元気にセットの中へ。
 この後、NGだしつつも無事に撮影は終了。
 もともとミュージシャンのミラーが、まだまだ一発OKをだすのは先のお話。



 でも、演技も音楽も突き詰めていくものの根本はきっと同じものだとどこかで感じている。
 まだまだ長い芸能生活、いろいろなことにチャレンジしていくのは、重要なことだ。



<END>




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この小説は株式会社テラネッツが運営するオーダーメイドCOMで作成されたものです。

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