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<アナザーレポート・PCゲームノベル>


名の無き秘密の奪還

Parent■
「まあ、楽にしてよ」
 肩より少し上程まで伸びたゆるくウェーブのかかった黒髪を掻き上げて情報屋は椅子の背に身を預け、楽にしろと言いつつ自分が一番寛ぐ姿勢だ。
「今回の依頼は、これ。機密書類の奪還、ね」
 差し出されたは一人の男の写真、数枚の書類、地図、そして黒いスーツケースの写真。
「書類はこの写真のケースに入っているらしいよ。すぐに開けられるシロモノじゃないらしいから、まだこの中に入れたまま、こっちの写真の男ね…が持っているだろうって」
 でね、と言いつつ情報屋は懐から煙草を取り出し銜えた。
「これは男が潜伏しているであろう場所の地図。依頼人も自ら動いていて、この辺りは包囲してあるらしいからここからは出ていないだろうと、まあ、そういう事らしいよ」
 言い終えて、銜えたままで火をつけていなかった煙草に、ようやく赤い炎を添える。
 ゆっくりと吸い込み、ぷは、とわざとらしく煙を吐き出して情報屋は一息ついた。
 紫煙がゆらりと暗い室内を漂って空中に消えて行く。
「この男はどうやらアブナイ商品を依頼によって取り引きする個人のブローカーらしいね。手段を選ばないから悪名高い。君も聞いたコトくらいはあるだろ? 『スナッチドッグ』って名前はさ」
 言いながら傾いた木のテーブルに置かれた書類を手に取りひらひらと揺らした。
「男については簡単にここに。ま、中々巧妙に仕事してるみたいで、あんまり情報はないんだけども?」
 それでもって、と情報屋は椅子に預けていた身を乗り出して、声を顰めた。
「ここからが、大事。依頼人の組織ってのは煩い所でね。正体を一切明かしてくれないワケ。でもって、機密書類についてもぜ〜んぜん、教えてくれないのさ。ま、機密だから、仕方ないっちゃないんだけど。で、下手に詮索したら危険だってコトみたいなんだよね。ただコレはとってもイイから」
 情報屋が提示した金額は胡散臭さに拍車をかけそうな高額だった。
「報酬については俺が保障すっから。こんなアヤシイ依頼でもオッケーってなら、明日また、来てよ?」
 にっこりと、アイパッチに隠されていない方の瞳を細めて情報屋は笑った。

 翌日、情報屋の元に再び集ったは二人。最初に集った者の四分の一にも満たなかった。それも当然と言えよう。正体の知れない依頼人、異常とも言える高い報酬。そして悪名高き『スナッチドッグ』、これだけ不穏なカードが揃えば賢明な者は手を出さないだろう。
 ではここに在るは、愚者か。
 それが判るのは――今ではない。
「んー、もう来なさそうだねえ。結局二人、かぁ」
 情報屋は部屋の隅に視線を向けた。そこには情報屋が言うように二人の青年が居た。光の弱い小さな電球しかない地下の部屋で、二人はまるで影に溶けるように、明かりが届き切らない場所に在った。
「ええと、お二人は…」
 情報屋の声に、傾きかけた木の椅子に座っていた青年が隙の無い動作で立ち上がった。
「盗人(snatcher)から奪いとれば(snatch)いいんだろう? お前も運がいい。EGでもスナッチドッグの名は聞く。丁度俺も調べてみようかと思ってた奴だ」
 目の前に立った青年に、情報屋はひゅう、と口笛を鳴らした。
「おんや、女性かと思ったら男性だったのね。こりゃまた随分な美人さんの御参加で」
 戯けてカードをくるりと指先で回す。それに青年…真咲水無瀬は眉を顰めた。
「……冗談はそれくらいにしてもらおうか? 休暇中手持ち無沙汰なのもあってここに居るが、それは下らない冗談に付き合う為じゃない」
 真咲は情報屋に整った、ともすれば女性と見間違う顔を近付け、低く囁いた。視線は鋭く、黒曜石のごとき瞳の奥には剣呑な輝きがある。
「あははァ、ごめんごめん。じゃあ、頑張って」
 情報屋はへらへらと笑って、真咲の顔の横でまたカードを回した。
 それを指先で素早く挟み、真咲は顔を離した。
「それで、あちらは? お知り合いで?」
 情報屋は二人の内の残り、未だ暗がりに身を半分隠したままの人物を指差す。
「あれは、俺の今回の相棒だ――それで、スナッチドッグの情報は?」
 一言で説明を終えて、手にしたカードをジャケットの内にしまった真咲が問う。
「んー、と。スナッチドッグに関してはホントに情報無いんだけどね。あるのはこれだけ」
 言って渡されたのはたった一枚の紙と、ピントのずれた写真だけ。
『スナッチドッグ   性別 男
 年齢 20代後半から30代前半。短い黒髪。
 アメリカ人らしいが、確かな事は不明。
 経歴不明。四年程前から名前が知られるようになった。
 神出鬼没で、その手口もあまり明らかにされていない。
 関わった者は彼の手口を記憶していない者が殆どである事から、テレパスでないかと噂されるがこれも確かではない』
「……これくらいなら、渡されなくても同じだな」
 真咲は整った面に呆れを刷いた。
「まあ、予想はしていたけどね」
 真咲の右肩を越して覗いた影が、ついと手から書類を奪う。
「だからこその、高額報酬。そういう事だろう?」
 言いながらくつと漏らした笑みは楽しげだ。
 何時の間に近付いたのか、真咲の右に並んだ青年が、真咲から奪った書類をひらと振った。
 つい先程まで距離を置いて座っていた筈の青年が、気配も感じさせずに至近に居る…その事に真咲は慣れているのか、気にした様子は無い。
真咲の相棒らしい、この青年の名はクリス・アインゼル…と言ってもこの名を知るのは今はごく親しい者だけだ。通常はシー・アイと名乗っている。
 呼び名の由来ともなった猫目石を思わせる両の目…サイバーアイに笑みの彩を浮かべて、シー・アイは書類を上から下まで眺めた。それから、真咲の手に残った写真も取り上げた。
「名は知られても実態はこの程度しか知られていない…姿と手の内を見せない用心深い彼にしては珍しいね。本物?」
「さァねぇ……、一応そのテの信用おけるルートから仕入れたんだけど……?」
 自信はないねえ、と情報屋は腕組みをして考え込む仕草。どちらかと言えば戯けたそれには、どうにもやる気が見られない。
「情報屋、の名を返上した方がいいんじゃないか?」
 さらっと真咲が言うのへ、情報屋は唇を尖らせた。
「仕方ないじゃなーい? 人には不可能な事もあるのよ。全知全能の神じゃないんだから〜?」
 拍子の外れた声で言うと、情報屋は銜えていた煙草を入っていた液体が殆ど残らないカップに突っ込んだ。
「とにかく。今回の依頼は終始こんな感じ。納得が行かないなら請けないってコトでオーケー? で、改めて聞くけど、この依頼……請ける?」
 情報屋の問いに、首を横に振る者はない。
「良かった。それで言っておくけども、ニセモノつかまされるのはゴメンなんで、スーツケースを手に入れたら、そのカードでちゃんと確認してから持って来てね。ケースにカードを認証する場所があるからそれにあててもらえば音がして判るってハナシだからさ」
「判った」
「そんじゃ、後は宜しく。あ、それと俺のコトはマーチャンって呼んでネ」
 二人はそれに返答せず、出口に向って身を翻した。

Phantom ash■
 真咲とシー・アイは情報屋に渡された地図を元にとある街に訪れていた。十数年前はそれなりに大きな都市だったようだが、現在は廃ビルが乱立し、犯罪者が多く身を隠す犯罪都市と化している。
 本来のこの街の名を呼ぶ者は絶えて久しく、現在は誰が呼び始めたか「Phantom ash」と言う通称が一般的だ。
 法の手もここには届き難く、犯罪者にとっては恰好の隠れ場所となっていた。
 真咲はこの街についての知識を自分の記憶から引き出しつつ、隣を行くシー・アイを見た。
「俺は少し周辺を見て回る……クリス、お前は」
「情報収集だろう? まあ、その辺りは抜かりなく。折角真咲が俺を頼ってくれたのだし」
 珍しく積極的なお前の為にも、と笑み混じりに続けたクリスに真咲は片眉を上げた。
「条件はフィフティだと言ったろう、クリス?」
 頼り、借りを作るつもりがないことを暗に告げて、真咲は先を行く。
「判っているよ。俺も興味がなかったわけじゃないからね」
 本当に判っているのか疑わしげな微笑みを浮かべてクリスは応じ、足を止めた。
「ここで分かれよう……俺なりに調べてみたい事があるし。情報を得たらすぐに連絡を入れる」
「通信機は」
「変更ナシ」
 短い確認を終えるだけで二人は別れた。真咲は大通りをまっすぐに、クリスは細い路地に入って行く。互いを振り返る事もなく。

「スナッチドッグってのを知っているか?」
 真咲は大通りの比較的賑やかな一帯で聞き込みをしていた。
 この街は影に犯罪者を多く抱えるが故に情報も混沌としている。取捨選択は個人の力量にかかっていると言って間違いはない。
 店の隅で背を丸くして座っていた男は、目も据わっていた。明らかに泥酔している様子の男に真咲が敢えて声をかけたのはひとえに勘である。
「はん?……そのホットドッグだかななんだかが、何をやらかしたんだい? 兄ちゃんのケツでも触ったてえのかい?」
 その顔じゃあ、仕方あるめえなあ、と男は酒量の少なくなった瓶を振り上げた。
「おらあ、客が待ってるんだ…早く次を持って来いやあ!」
 酔い潰れ寸前の見目からは想像できないほどの大音声で言う赤ら顔から目を離さず、真咲は向いに腰を降ろした。世辞にも座り心地が良いとは言えぬ椅子がかすかにきしりと音を立てる。
「随分と羽振りががいいな?」
 煙草を銜えながらの真咲の台詞に、男はにたりと笑った。
「さあなあ……誰かさん次第じゃねえか? 俺は自分じゃあ支払わねえよ」
 ちろり、と上向いた視線を真咲は受けて、ちょうど新しい酒を瓶ごと持って来た店主にコインを渡す。
「ありがとよ……よく分かったじゃねえか、キレイな顔してヤるなあ、ニイちゃん?」
 早速ありついた酒を呷って、男は真咲の顔を舐めるように見る。
「この席からなら店全体を見渡せる、だが、逆は視界が悪く見付け難い……それだけだ」
 無表情に煙を吐きだして、真咲はぼそりと言う。
「ふん……わかっちゃあ、いるようだなあ?」
 とん、と手した瓶をテーブルに置いて、男はくく、と笑った。
「で? 知りたいのはスナッチドッグの、何だ?」
「ヤツの情報なら何でもいい。居場所が分かればベストだが」
「フン……ヤツぁ最近頓ににモテてやがるなァ。秘訣を教わりたいモンだぜ――で、何をやらかしやがったんで?」
「それが判らないと情報が出せないのか?」
 自分が吐き出した紫煙の行方を追いながら、真咲が低く言う。
「そう、言うなよ、ニイちゃん……ちぃとばかりの好奇ってヤツじゃねえか――、ヤツなら最近この辺りをウロチョロしてるぜ? こないだも、黒い服来た連中とやりあってたしなあ……逃げ果せはしたようだが、旗色はよかねえな、ありゃあ?」
「そいつの顔は、コレか?」
 真咲は取り出した写真を男に見せた。ピントのずれたそれは、辛うじて顔形と髪の色が判る程度。それでも他に手がかりがないのだから、仕方がないが。
男は渡された写真を近付けたり遠ざけたりして暫く眺めて、終いに大きく肯いた。
「ああ、ちっと見難いが……確かにこんな顔だったぜ?」
「……ふん? ……確かに、ね」
 小さく鼻を鳴らした真咲の様子に気付かぬまま、男はぺらぺらと喋り出す。
「現在の居場所ってな、わからねえが、ここんとこスナッチドッグを血眼になって探してるヤツがこの辺をうろうろしててな、ヤツも身動きを取れん状態の筈だ。この辺を張ってりゃあ、その内引っ掛かると思うぜ?」
 話し終えて、男はどうだ、とばかりの目を真咲に向けた。
「まあ酒瓶一本の情報としては上等な部類だな」
 そう言いながらも、相変わらず吐き出した紫煙のみに注視を向ける真咲に、それでも満足したのか男は残りの酒を一気に注ぎ込んだ。
 男が酒を呑み終え、瓶を置くと、それまで黙していた真咲が、煙草を灰皿に擦り付け、立ち上がった。テーブルに左手を付き、男を見下ろす。
「最後にこれだけははっきりさせておくが……」
「なんだい、美人なにーちゃん」
 ぴくり、と真咲の眉が動く。
「……俺は、ケツを触られたりするのが当然と言われるような『美人』とやらじゃない――いいな?」
 眦の上がった黒い瞳の危険な輝きはやはり男にには美しく見える…が、それ以上に男は命が惜しかった。赤ら顔を幾度か上下させての肯定するのを見やって、真咲は無言で踵を返した。
「ふえ…、べっぴんには刺があるって言うがほんとだぜ……」
 呟かれた言葉が真咲に届いたかは、その直後、男の足元に突き立ったナイフで分かるだろう。
 にっこりと微笑を浮かべて手が滑った、と言い切りナイフを男の足元から引き抜くその姿に、男のみならず目撃した者達も背筋を凍らせて硬直した。

「大した腕ね……あれだけの暗い場所で、目標過たず、指一本の隙間無く、なんて」
 大股に店を出てきた真咲を振り向かせたのは女の声。向いた先には見事な銀の髪を高く結い上げた女が立っていた。背が高く、頭部が真咲に並ぶ程だ。
 スレンダーな肢体にブルーグレーのパンツスーツを身につけ、自信に満ちた表情と、覇気を抑える事もせずにいるその姿は人目を引く。通りすぎる周囲が彼女へちらちらと向ける視線を感じながら真咲は問うた。
「何か用か?」
「何故スナッチドッグを探っているの?」
「……盗み聞きか? 趣味が良いな」
 斜に笑みを浮かべて真咲は上着のポケットを探った。女の瞳が僅かに険を帯びるのを目の端に収めて取り出した煙草の箱から一本を銜える。
「隣に居れば嫌でも聞こえるわ。スナッチドッグの事、何にも知らないのね?」
「名くらいは知っている」
 女の言葉の意味を知りつつもとぼけてみせる真咲に、女はいらだたしげに髪をかきあげた。癖の無い艶やかな銀が、揺れる。
「ふざけないで」
「用件は?」
「……真面目に聞く気があるのなら、教えてあげてもいいわ……彼のこと」
 言って朗らかに女は笑った。表情が良く変わる女だ、と心の隅で呟いて真咲は紫煙を吐きだす。
「真面目に教える気があるのなら、聞こう」
 女の前言を捉えてのいらえに、女は顔を歪めた…笑みの残滓をこびりつかせたそれは苦笑に似て。
「アンタ、顔の割に性格がアレね……まあ、イイわ。ついて来て」
 声なく肯く真咲を一瞥してから、女は身を返した。そして、走り出す。
「……おい」
 思わず声が出たのは、女の走りに呆気に取られたからだ。
 女は、確かに走り出した――猛烈なスピードで。その速度は凡そ普通の人間のものではない。
「能力者だったか」
 ボディESP能力による敏捷度上昇と筋力強化の応用だろう、と真咲は慌てもせずに予測を下した。
 あ、も言わせずの速度で走り去った女の姿は既に真咲の視界にない。だが、真咲には視えている。能力による透視、「千里眼」である。
「俺の能力を知っているのか……それとも」
 この程度で彼女を見失い、追えぬ人間に用は無いとの意志表示か。
 真咲はくすり、と小さく笑みを零す。煙草を足元に落として踏み消し、意識を集中させた。

「さて、どうしようかな」
 クリス――シー・アイは瞳を楽しげに細めて、端末のキーボードにそ、と手を置いた。
 現在、彼が居るのは今にも崩れそうな殆ど廃ビルと化している建物の地下。知己である情報屋の塒である。
「スナッチドッグの情報とはねぇ、またマニアックな」
 情報屋が髭に埋もれたような顔を、くしゃりと笑いに崩した。
「ヤツを捕まえるのぁ、難しいぜ? いくらアンタと言えどもな」
 シー・アイの背から手許を覗き込んでの台詞に、ふふ、と笑う。
「簡単に行ったら面白くない。難しいくらいがちょうどいいんだよ」
 滑らかな指の動きが、次々と情報と言う名の文字を画面に打ちだしてゆく。
 探すのはスナッチドッグが関わったとされる依頼、事件――。いくら姿を捉えさせぬと言っても、全く痕跡を残さないのは不可能と言うもの。何処かに隙は有り、何処かに手がかりはある。
 シー・アイには長年の経験が培った情報網と、独自のコネクションやスポンサーがバックに在る。それは裏の世界は言うに及ばず、政財界や軍等にも及び、呆れる程幅広い。
 それを以ってしても全く情報が得られないのであれば、それは存在しないに等しい。それ程の自負がシー・アイにはあり、そしてそれは決して実の無い自信ではない。
「彼が最近関わったとされる人物、事件――それらから洗い出せるものを篩いにかける」
 呟きながら、シー・アイの指は電子の海に散らばる様々な情報を、その小さな端末から拾い上げ、言うように篩いにかけてゆく。増えては消え、消えては増える文字の列。
「そして、彼は現在この街にあると言う……、いくら彼とて人の目、機械の網に全く捕われる事なく存在する事は出来ないだろう」
 リズム良く踊るような指に合わせるような声は、それもまた等しく生じ。その楽しげな様子に誰もが捉えられずにいるスナッチドッグを、彼こそが得るのではないかと、傍らに立つ情報屋は背筋を震わせた。それが何の感情に因るものなのか、判然とせぬままに。
 シー・アイがこのビルに訪れて1時間程経ったろうか。
 不意にシー・アイは顔を上げた。
「おや、どうやら接触出来たようだね」
「本当かよ?」
 思わず身を乗り出した情報屋に、シー・アイは極上の笑みを見せた。端末は既に電源が落とされている。
「会ってくれるそうだよ」
 ますます楽しくなって来たね、とシー・アイは立ち上がった。
「協力、感謝するよ。謝礼は後程。いつもの方法でいいかな?」
 慌てて落とされた電源を入れ直している情報屋の背に、シー・アイは声を掛けた。情報屋からの返事は無い。
「ああ、言っておくけど。データは一切残していないから」
 その言葉に漸く情報屋は振り向く。その様はまるで弾かれたよう。
「彼との接触を、知られるわけには行かないんでね」
 にこやかなその表情に、これ以上の詮索は危険であることを、情報屋はこれまでの彼との付き合いから得た経験で、悟っていた。

Contact■
 女は顔を左右振ってから背後を見る。何者の気配も無かった。誰も自分を追尾出来ていない、それを十二分に確かめて詰めていた息を吐き出した。
「やっぱり、気のせいかしら、ね。アイツの」
「アイツとは?」
 女は即座に声の方向へ身を返した。驚愕の視線が捉えたのは真咲。
 真咲はゆっくりと紫煙を吐き出して、どうやって追って来たのか息一つ乱れさせていない。
「……アンタ、能力者ね。テレポートなんて、反則能力……ズルいわよ」
 憎憎しげに吐き捨てる女にちらりと視線を寄越して真咲は笑った。
「反則とは随分な言われようだが……。どうやら俺の能力を知っていたわけじゃないようだな。アイツ、とやらは何を気にしていた?」
「アンタに関係ないわ」
「スナッチドッグの事を教えてくれるんじゃなかったのか?」
「さっき、あの男から聞いてたじゃない? 言われた通りに張ってれば良かったのよ」
 言って、女は軽く身構えた。攻撃の意志を隠しもしない。
「確かに言われた通り引っ掛かったな……お前が」
 真咲は銜えていた煙草を落とした…それが地に着く前に二人は動く。
 女が突き出した右手を、真咲は軽く内から払って女の左側面に身を回した。そのまま女の左手を掴もうとするのを、女はとっさに身を引く事でかわし、真咲に近い左拳を顔面に振った。それは単なる女の拳ではない。能力で強化された筋肉が打ち出す、肉の弾丸である。髪一重で頬の横に逸らしたそれは、だが真咲の白い頬に赤い筋を残した。
「分が悪そうだ」
 続けて放たれる凶暴な腕をなんとかかわしながら、真咲は呟いた。
「もう少し遊んでいたい所だが」
 ふっ、と短い息をついた直後、真咲の姿がぶれ、女の前から消えた。
「! また、テレポート?!」
 思わず後顧した女の後頭部に、固い物が押しつけられた。
「残念。こちらだ」
 ゆっくりと前方に顔を戻せば、真咲の位置は消えた位置より少し後ろに下がっただけだった。
 それはちょうど、銃を構える距離。
「悪いが、あまり時間が無い。スナッチドッグが奪ったケースは――書類は何処だ?」
 女は右腕を動かしかけて、下ろした。身体を撃たれても強化している為に死ぬことはない。だが頭部となれば話は別だ。真咲からは隙が感じられず、瞬時に照準を外れさせるのは至難だろう。
はあ、と観念の吐息で、女は言う。
「……アンタ、やっぱりアイツが睨んだ通り――タダ者じゃないわね。……名前くらい聞かせてよ」
「真咲水無瀬だ」
「マサキ、ね。アタシはヴィックス。……こうなったら仕方ないわね、今度こそ案内するからついて来て」
 くるり、と背を向けてヴィックスが歩き出す。真咲はその背に銃を向けたまま、後についた。
「それ、しまってよ。逃げたり出来ないのは、アンタが一番判ってるでしょ? 女をいつまでもそんなモノで脅しておくもんじゃないわよ」
「それもそうだな」
 言われてあっさりと銃口を下げた真咲を振り返って女は笑う。
「結構甘いのね?」
「たまにはな」
 本当にたまになの、と笑いながら問うのへ、真咲は首を傾げてみせた。

 シー・アイが接触したのは三十過ぎ程の男だった。
 この仕事をもたらしたアイパッチの情報屋に見せられた写真とは、随分と印象が違う。
 ピントがずれていた事を差し引いても――違うと断言出来る。男は端整とまでは言えないが、鼻筋の通った精悍な顔立ちをしていた。
 斜陽さし込む一室で、男は窓を背にして立っている。男の横顔は、どうやら窓外を見つめているようだ。
 室内には何もない。がらんとした部屋に、男とシー・アイだけである。
 シー・アイは部屋の扉を背にしている。互いに向いあい、互いに部屋の端に居る状態でもせいぜいその距離は二メートル程だ。物置にでも使われている部屋なのだろう。
 シー・アイが呼び出され赴いたこの部屋に、男は既に居た。今の姿勢のまま、シー・アイが到着してから既に十分以上経過しているが、まるで物言わぬ彫像のように、動きも話しもしなかった。
「拗ねているのかな?」
 含んだ笑いに気付いたか、漸く男がシー・アイを見た。
「誰が?」
 睨む目は鋭い。だがシー・アイはそれをやんわりと受け止めて、また笑う。
「おや、違うのか。一言も喋ってくれないから、尻尾を掴まれて拗ねてしまったのかと思ったよ」
「何が目的だ? ……アレを取り戻しに来たんじゃないのか?」
 油断をすれば噛みつかれそうな程の、迫力を向けられてもシー・アイは変わらない。
「身元も明かさず詮索するなと言われてもね。するな、と言われるとしてみたくなるのが人間の性とは思わないか?」
「何の、事だ?」
 眉根を寄せる男に、シー・アイは無造作に歩み寄った。男が僅かに身を固くする様子に気付いても、止まらずに終には横に並ぶ。
「俺達は盗まれた書類の内容も、盗まれたと言う依頼人の事も知らされていない。君なら両方共に答を持っているんだろう? スナッチドッグ?」
「それを知ってどうする?」
「内容によっては協力すると、そう言っているんだが」
 窓下の景色を眺めていたシー・アイが、あっさりと言う。追わねばならない相手に、協力すると。
「それでお前に何の得がある?」
「得、ね……。敢えて言うなら、好奇心が満たされる、と言った所かな。正直俺が依頼を請けたのは、楽しめそうだったからだよ。そして、どちらにつけばより楽しめるのか、それが現在の最重要事項と言えるかな。それにはこの依頼の全貌を掴んでおかないとならない……」
 猫の瞳が、スナッチドッグを捉える。それは光を反射して金に輝き、シー・アイの笑みに深みを増した。
「これは取引だよ。君達はタダでさえ追い詰められた状態にある。敵は少ないに越したことはないのじゃないかな?」
 スナッチドッグは、問いには答えずシー・アイの瞳を探るように見る。シー・アイの、胸の奥を透かすかのように。シー・アイはそれに誘発されたのか、スナッチドッグについて与えられた情報を思い出す。テレパスではないかと噂されている――確かにそう、書かれていた。だが思い出された情報に、シー・アイが怯む事は無い…どころか、増々愉快げな色が表情に上った。
「腕はあるみたいだし受け渡してしまうには惜しい」
「こちらに選択の余地はない、と。脅されちまってるわけか」
 く、と自嘲気味に笑って、スナッチドッグはポケットに無造作に手を突っ込んだ。
 取り出したのは葉巻。共に取り出したマッチで火をつけた。
「だが」
 その動作に予備はなかった。それと思わせぬあまりにさりげなく、また最小の動きで向けられた銃口にも、シー・アイの表情は楽しげな笑みを消さなかった。僅かな動揺すら、見られない。
「ここで俺を殺しても、無駄だ。君の情報は既に仲間に流してある…そしてその仲間は俺以上に執拗だよ」
「……それが命乞いの言葉か? 陳腐だな」
 スナッチドッグは隙なく銃を構えたまま、シー・アイとの間を詰めた。開いた手で、シー・アイの高頭部の髪を掴み、仰向け、顳かみに銃口を押し付けた。。
「嘘だと思うなら、どうぞ、そのまま引き金を」
 引くといい、とシー・アイは目を閉じた。だが、ややあっても銃声はない。
「お前の方が余程、好奇心を刺激してくれるがな……」
 低い呟きとともに、シー・アイの顎が強く掴まれた。
「いいだろう。取引とやら、してやろうじゃないか」
 引き寄せられて、至近で見る男の薄い茶の瞳は沈む陽の光を受けて、赤味を帯び爛と燃え。
「ただし、俺の銃口はいつでもお前を捉えている事を忘れるな?」
 にやり、と太い笑みを触れるほどの距離で見せる。それに、シー・アイも笑みを返した。
「ああ、判っているよ」

A false alarm■
 真咲は、ヴィックスにより、比較的開けた場所に案内されていた。
 周囲には建物もまばらで、どうやら元は何かしらの建物があった所が、解体後に放置されていたらしくそこここに廃材等が散らばっていた。
「追っ手は、ないかしらね?」
「今の所は、な。気配は無いようだが」
 周囲に気を配り乍ら、真咲はヴィックスの傍らに立つ。
 ビックスの右手には情報屋に見せられた写真と同じスーツケースが提げられている。
「じゃあ、コレ」
 真咲は目の前に置かれたスーツケースを無言で見下ろした。『千里眼』で中を見通そうとしたが、ESPを遮断する材質で作られているのか透視は出来ない。
「――随分と、あっさり渡すな。アイツとやらに叱られないか?」
「命を賭してまで守る必要は無いって言われてるの。……じゃ、アタシはこれで」
 言うが早いか立ち去ろうとする女の腕を、真咲は掴んだ。
「まだ何かあるの? アタシ、奴等に見付からない内に逃げたいんだけど? それとも、アンタの目的はアタシ達も含めて? それともソレがニセモノだって疑ってるの?」
「……いや、何でもない」
 真咲がヴイックスの腕を掴んだのには明確な理由があったわけではなかった。違和感が拭えなかった、敢えて言うならそれだけだった。
「じゃ、離して」
 真咲は言われるままに手を離す。
 ヴィックスの姿は、すぐに先の建物の影に消えた。
 真咲は女が消えるのを見送ってから、再びスーツケースを見下ろした。先程ヴィックスの腕を掴んだ時の違和感はまだ胸に残っている。
 ヴィックスの台詞が繰り返される。命を賭す必要は無い…では何故、周囲を敵とも呼べる者達に囲まれた状態でこのケースを手放さなかったのか。
 そして、スナッチドッグの情報を得意げに話した男を思い出す。真咲は男の言う事を信用してはいなかった。あれは、傍に居たと言うヴィックスに真咲が何を得ようとしているのか探らせる為の存在だったのだろうと…真咲は考えている。
そうでなければ、あの暗がりでピントのずれた不鮮明な写真を見て「確かに」などと断定は出来なかったろう。
 だが、そうやってまで真咲の目的を知り乍ら態々ヴィックスが真咲の前に姿を現したのは、それ以上何が目的だったと言うのか――
「まるで、始めからこのケースを渡すつもりだったかのような……」
 確かめるように、導き出された言葉を唇に乗せた。
 ヴィックスの言うアイツとはおそらくスナッチドッグだろう。その彼が奪ったケースを、真咲に態と渡す理由が判らない。
 しばし沈黙と共に思案にくれた真咲は、ジャケットからカードを取り出した。
「考えても始まらないか。……要は本物か、偽者か……確認すれば済む事だ」
 言い聞かせるような自分の声に、まだ納得出来ずにいる。何がここまで自分を踏み止まらせるのか、掴めないその正体がもどかしく思い乍らも真咲はカードをスーツケースの端に刻まれた、ちょうどカード一枚が収まる程度の薄い窪みに充行おうと手を伸ばした。
「真咲!」
 知った声に、真咲の手が止まった。
「シー・アイ……?」
「真咲、それを開けるな!」
 常に声を荒げる事のないシー・アイの珍しくも叫ぶようなそれに、真咲はまさに嵌めようとしていたカードを身許に引き寄せた。
 シー・アイが歩み寄って来、真咲の手からカードを取り上げる。
「まさかもう手に入れているとは思わなかったな」
「どういう、事だ?」
 取り上げられたカード見、スーツケースに視線を振る真咲の前で、シー・アイはカードを指先に挟んで真咲の眼前に翳した。
「俺たちは、あの男に『売られた』んだ、真咲」
「あの男? 情報屋か? この仕事を斡旋した……マーチャンと呼べと……まさか」
「そう、『商人(Merchant)』だよ」
 シー・アイはマ‐チャンと呼んで、と言った彼の言葉が引っかかっていた。今となってもどういうつもりかは判らない。わざわざ自分の正体を明かすような真似をしたのは、何故か。
だが、それが彼らに対する何らかのヒントであろうことは感じていた。それが、スナッチドッグに会い、話を聞く事で確信したのだ。
「……このスーツケースは、人の手によってカードが使われる事で開く、が同時に爆発を起こすように作られている」
「……何」
「中に書類があるのは確からしいけれどね……それはまた中で別の防護ケースに入れられていて、書類には瑕一つ付かないそうだけれどね」
「はじめから、俺たちにこれを手に入れさせ、開けさせるのが目的だったと……?」
 それでも、真咲は納得が行かない。奪われた書類は最初からスーツケースに入っていたと言う。とあれば、入れたのは当然これを捜している「組織」なのだろう。自らが入れた物を、何故真咲達に開けさせる必要があるのか。
「判らねえって顔だな、坊や?」
「!」
 真咲は咄嗟に懐に手を差し込んだ。ジャケットの下で握られるのは、真咲の銃だ。
「安心しな。今の所俺は敵じゃない……そこのソイツと取り引き中なんでな」
 言ってシー・アイの背後に立った男は太い笑みを浮かべた。
「彼がスナッチドッグだよ、真咲」
「……スナッチドッグと取り引き、だと?」
「成りゆき上、仕方なく、ね」
 仕方なく、でスナッチドッグが苦笑いを浮かべるのを見て、真咲は親指で顳かみを押さえた。
「クリス……」
「お陰で命拾いしたんだよ、真咲?」
 にっこりと笑みを浮かべるシー・アイを睨んでから、真咲はスナッチドッグに視線で問う。
「ヤツ等がお前等を利用してケースを開けようとしていた……それを俺達も利用させて貰おうと思っただけさ」
「盗んだお前等はともかく、何故依頼人が……」
 続けようとした台詞は、銃声に遮られた。
 三人が同時に振り返れば、そこには黒いスーツに身を包んだ男達が立っていた。
 全員が銃を構えている。その内、銃を真上に向けて中央に立った男が、銃を前方に構え直し、一歩前に出た。
「そのスーツケースを返してもらおうか?」
「……誰が渡すか」
 吐き捨てるように応えたのはスナッチドッグだ。
「これは元々お前等のモノじゃないだろうが……譲って下さい、の間違いだろう?」
「……」
 真咲がスナッチドッグの顔を見る。それに僅かに視線を返したスナッチドッグは更に声高に言い放つ。
「こいつ等にも教えてやったらどうだ? そもそもこれはお前等がプラハ研から盗み出したモノだってな!」
「……何だと」
 男達から殺気が噴き上がった。
「真咲」
「……判っている」
 シー・アイがスーツケースを手にするのと同時、真咲がスナッチドッグとシー・アイの腕を掴む。男達が銃の引金に手を掛けた。
 次の瞬間、数多の銃声が捉えたのは何も無い空間だった。跳弾の音が空しく地を削った。
「瞬間移動……あの男も能力者だった、か」
 忌々し気な声と共に空しく銃声が一つ、地を穿った。

Endless end■
 真咲のテレポートで、三人は街の外れに移動した。
 警戒の為に、人気の無い建物を選び、その一室に身を潜めていた。
「まさかお前の依頼主がプラハ研とは、な」
 真咲は傍らに立つスナッチドッグを座った姿勢で見上げ、苦笑した。
 国連超能力研究所、通称――『プラハ研』。
 真咲が所属するエヴァーグリーンは、プラハ研の力を背景に成立した都市・離村間協定…その名をプラハ平和条約と言う…の執行機関である。
 知らなかった事とは言え、真咲は自らが所属する組織から盗まれた物をその盗人に返す手引きをする所だったのだ。
「それはこちらの台詞だ……まさかエヴァーグリーンが直々にお出ましとは思わなかったぜ」
 硝子の嵌まっていない窓から外へ目をやりながら、スナッチドッグが笑う。
「お陰で助かった。礼を言わないとな?」
「知らずにやった事だ。礼を言われてもな」
 苦笑を張り付かせたまま言う真咲を見下ろして、スナッチドッグが更に笑う。
「真咲、一つ貸しだね」
 それまで黙って二人の会話を見ていたシー・アイが微笑む。
 シー・アイがスナッチドッグと接触し、情報を引き出していなかったら、真咲の命は今頃なかっただろう。しかも、プラハから盗みを働いた組織に手を貸す形になっていた。
 真咲は敢えてシー・アイを見ずに、立ち上がった。
「報酬は規定通り支払う。それでいいだろう」
 依頼主から何らかの事故等で報酬が支払われなかった場合の、報酬の話は予め終えている。
 通常通りの仕事の範囲内であることを暗に告げて、真咲は室の出口へ足を向けた。背後で笑う気配が上がったが、振り返らない。
「貴方が生きてて良かったわ」
 向かった出口から掛けられた声に顔を上げればそこにはヴィックスが立っていた。
「あんな事をしておいて、と思うかも知れないけど?」
 首を傾げるヴィックスの肩を真咲は軽く叩く。女はくすぐった気に笑った。
「また、何処かで会えるかもね……マサキ?」
「ああ」
 口の端に微かに笑みを上らせた真咲の頬に、ヴィックスは軽いキスを残して離れた。
「シー・アイ、行くぞ」
 応える声を背にそのまま出口を出掛けて、顔だけを後方の、スナッチドッグに向ける。
「次は味方とは限らない……覚えておけ?」
 言って真咲はすぐに出口の向こうに消える。
「さて、俺も帰らないと。名残惜しいけどね?」
 本気か冗談か、相変わらず区別のつき難い軽口のシー・アイを、スナッチドッグは睨んだ。
「……シー・アイ」
「何かな?」
 低く、唸るような呼び声にも、シー・アイはにこやかに応えるのみだ。
 スナッチドッグは肩を竦めた。
「次こそは鉛玉をぶち込んでやれるかもな?」
「楽しみにしているよ……ところで」
「?」
「君達の記憶を、奪わなくてもいいのかな?」
 瞬間。
 スナッチドッグの気配が急激に凍えた。
「忘れさせて、やろうか?」
 殺気すら籠った視線で、シーアイを見る。その瞳の暗さ。底見えぬ闇のような、それでいて苛烈な光が宿る。対してシー・アイはやはり、変わらぬ微笑みをたたえて。
「俺は忘れたくないけれど? そちらの都合を聞いただけだ」
「……行け。次に俺の邪魔をした時は容赦しない」
「楽しみに、している」
 繰り返された台詞は、再会の約束にすら似て。
 シー・アイは、真咲の後を追って室を出て行った。 

 次の出会いの予感は、既に胸に在る――それも、遠くないと。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0139 / 真咲・水無瀬 (まさき・みなせ) / 男性 / 20歳 / エヴァーグリーン所属平和条約巡察士】
【0430 / クリス・アインゼル(シー・アイ) / 男性 / 27歳 / 情報屋?】

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■         ライター通信          ■
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大変、お待たせ致しました……。
お初にお目に掛かります、匁内アキラと申します。
言い訳は致しません。本当にただただお待たせしましたこと、お詫び申し上げます次第です。
しかもまだ色々と謎が残ってしまっております。
謎の情報屋「商人」そして結局正体の知れなかった「組織」。彼等が何者であるのか、もし興味を持って頂けましたら、再び巡り会いました折に宜しくお願い致します。

クリス・アインゼル(シー・アイ)様■
スナッチドッグに興味を持って頂いたようなので、このような展開とさせて頂きました。まだまだ彼にも謎はあるようです。
もし、まだ興味が尽きぬと思われましたなら、次回も探ってやって下さいまし。

この度は当シナリオを御選択頂き、誠に有難うございました。