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<PCパーティノベル・セフィロトの塔>


都市マルクト【ビジターズギルド】初めての会員登録
〜ドキドキ会員登録〜

ライター:壬生ナギサ

 ビジターズギルド。ゲートの前のでかい建物だと言えば、その辺の婆ちゃんだって教えてくれる。
 中に入っても迷う必要はないぞ。上のフロアにお偉方の仕事場があるんだろうが、用があるのは一階の受付ロビーだけだ。階段昇らずまっすぐそっちに行けばいい。
 軌道エレベーター『セフィロト』探索を行う者達は、まずここで自らを登録し、ビジターとなる。書類の記載事項は余さず書いたか? 書きたく無い事があったら、適当に書いて埋めておけ、どうせ誰も気にしちゃ居ない。
 役所そのまんまで、窓口ごとに担当が別れている。お前が行くのは1番の会員登録窓口だ。
 並んで待つ事になったり、待合い席に追いやられる事もあるが、気長に待つんだな。
 同じような新人を探して、話なんかしてるのもいいだろう。つまらない事で喧嘩をふっかけるのも、ふっかけられた喧嘩を買うのも悪かない。
 まあ何にせよ、書類を出せば今日からお前はビジターだ。よろしく頼むぜ。

■ようこそ、セフィロトへ
 殺伐とした受付ロビー。武器を持ち物騒な身なりをした、あまり近寄りたくない者達が屯するロビーに不釣合いなほど明るい受付嬢の声が響く。それに、可愛らしい少女の姿も。
「へぇ〜ここがビジターズギルドかぁ」
 辺りをキョロキョロと見渡しながら響月・鈴音は真っ直ぐ1番の会員登録窓口へと向かう。
「いらっしゃいませ〜会員登録ご希望ですか〜?」
「ハイ。ボクでも登録できますか?」
「問題ありません〜それでは、番号をお呼びしますので暫くお待ち下さい〜」
 順番待ちの数字が書かれたカードを受け取り、鈴音は一旦窓口を離れた。
 そんな彼女を周りの者達が好奇の目でみる。
「嬢ちゃんよ。ここは子供の遊び場じゃねーんだぜ?わかってんのかい?」
「ま、失礼ですね!これでも成人しているんですからね」
 ぷぅと頬を膨らませる様はどこからどう見ても12,3歳くらいの少女である。が、実際の年齢は21歳であり、非常勤だが学校の教師もしている立派な社会人である。
 本人は気付いてないようだが、頬を膨らませたりという言動がまた子供っぽくしているが、まぁそれはそれで良いとしよう。
 キョロキョロと御のぼりさんのように暫く鈴音は受付ロビーを歩く事にした。

「こ、ここが……ビジターズ・ギルド、かぁ」
 ごくりと唾を飲み込んだティファ・ローゼットは建物を見上げた。その様子はどこからどう見てもまだ会員登録をしていない新人さん。
 左を見て、右を見て、もう一度建物を見上げたティファは自分で自分に気合を入れ一歩足を踏み出した。
「よ、よし!行くよ!!」
 中に入ったティファだが、その独特の雰囲気に入れた気合もどこからか抜けていく。が、それでも恐る恐るといった感じで奥へと進む。
「あっ!す、すみません!!」
 おっかなビックリ歩いていたティファは、余所見をしている時に肩がぶつかった。相手は大きい熊のような男で、ティファの体がぶつかったぐらいではビクともしないような……実際、相手の男はティファの謝る声で気付いたらしい。
 ティファを見下ろす男はひとつ口笛を吹いた。
「こりゃ〜またカワイイねぇちゃんがいるじゃねーか。何だ?夜の相手でも探してるのか?」
「ち、違います!!」
 下卑た笑いを上げる男に真っ赤になって否定するティファだが、男のちょっかいは続く。
「そりゃ、もったいねぇなぁ……こんないい体してるのによぉ」
 そう言いつつ、男の手がティファの腰を撫でた。
「い、いやぁぁあ!!!」
 それを科学的に脊髄反射という。
 悲鳴とともにティファの掌が男の腹に繰り出され、男の巨体が一瞬波打った。そこへ間髪いれず、素早い回し蹴りが綺麗に決まり男は壁に激突した。
「どいてどいて〜何かありましたか?!」
 静かになるロビーに響く少女の声は、ティファの叫びに駆けつけたらしい。
 少女の声に振り返ったティファはその声の主が見知った人物である事に安堵と先ほどの緊張からか涙ぐみ、鈴音に抱きついた。
「うわ〜ん!響月さ〜ん、怖かったよ〜〜!!」
「ティファくん?!おーよしよし。どうしました?さっきの悲鳴はキミ?」
 泣きじゃくるティファの頭を撫でながら、コンクリートの壁にヒビを作りめり込んでいる男を見た鈴音は苦笑する。
「うんうん。怖かったですね〜でも、もう大丈夫ですよ〜」
 外見12歳くらいの少女が17歳の少女をあやす様子はかなりの違和感を周囲に与えるが、流石は非常勤講師といったところか、鈴音のあやす様はなかなか形になっている。
「落ち着いた?じゃあ、場所変えようか」
 まだ鼻をぐすぐすと鳴らしているが、少し落ち着いたらしいティファを見て落ち着いて座れる場所へと移動しようとした鈴音たちの周りに男達が立ち塞がる。
「おい、待てよ。俺らの仲間にあんな事したまま黙っていく気か?」
 いかにもガラの悪い三人の男達を真っ直ぐ見据えると立ち上がり、精一杯無い胸を張る。
「君たち!恥ずかしいとは思わないの?か弱い女の子を寄ってたかって、それでも男の子なの?!」
「いや、大男一人吹っ飛ばしておいてか弱いか?」
「っつーか、男の子じゃねーし」
 茶々を入れる男達に指を突きつけ、更に先生の講義は続く。
「茶々を入れるんじゃありません!男子は女子を守るのが当然でしょう。それを……」
「あーウゼぇ。いいから、黙れガキ!」
「むぅ〜先生はガキじゃありません!!悪い子はおしおきですよ!」
「へ〜おしおきしてくれるんでしゅか〜コワイでしゅね〜」
 赤ちゃん言葉を発し、おどけて見せる男に鈴音の我慢も限界らしく無言で戦闘用プログラムのダウンロードを始める。
 所要時間0.5秒。
「……ダウンロード完了」
「は?」
「悪い子は、おしりペンペンです!」
 受付ロビーに男達の情けない悲鳴が響いた。

「137番のお客様〜」
 受付嬢の明るい声が響く。
「響月さんのお陰で助かりました。やっぱり強いんですね!」
「えへへ、それほどでも〜あ、一緒に受付に行きましょう」
 男達をボコボコにお仕置きした鈴音を尊敬の眼差しで見るティファに、照れ笑いを浮かべる鈴音は1番の受付窓口へと向かった。
「あの、知り合いも一緒にいいですか?」
「はい。では、この書類に記入してください〜」
 差し出された二枚の書類にそれぞれ必要事項を記入していく。
「えっと、名前……ティファ・ローゼットっと」
「んと、職業……△◎高等学校非常勤講師っと」
 確か、職場には秘密にしてるんですよね?鈴音さん。正直に記入していいんですか?
「出来ました!」
「私も書けました」
 書類を受け取った受付嬢は目を通し確認し、鈴音とティファを見た。
「はい、確かに。おめでとうございます。今日からお客様はビジターとなりました」
『やった〜♪』
 笑顔で手を合わせた二人の書類に朱印のスタンプが押された。

 今日もまたセフィロトへ立ち向かう新たな勇士が誕生した―― 

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┃登┃場┃人┃物┃紹┃介┃
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【整理番号】 PC名:クラス

【0499】 響月・鈴音(きょうげつ・すずね):オールサイバー
【0450】 ティファ・ローゼット:オールサイバー

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┃ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 初めまして、壬生ナギサでございます。
 お届けが遅くなり申し訳ございませんでした。
 お話の方は如何でしたでしょうか?
 今年は気合を入れなおして頑張るつもりですので、どうぞこれから宜しくお願い致します。