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<PCパーティノベル・セフィロトの塔>


■ 第一階層【ショッピングセンター】救援 ■


 ガラガラガラ……
 アルベルト・ルールは瓦礫の山を掻き分け、もはや道と言えない場所を進んでいた。周りには、ヒカル・スローター、キリル・アブラハム、アマネ・ヨシノがいる。もう一人、エリア・スチールもいるのだが、彼女は離れた場所にがらくたの山を見つけ、そっちの方へと走っていった。他の者も、動くのに支障ない程度に少量の物品を仕舞い込んでいる。エリアはすぐに戻ってくるだろうからと、アルベルト達は先に瓦礫を掘り始めていた。
 キリルのMS、【Katze】が、特に大きな瓦礫を横に放り投げた。

「やれやれ、ラジオを聞いてきてみれば………派手に壊れてるな。一体どんな状況になったんだか………自爆でもしたのか?」
「さぁ?この爪跡はケイブマンとかでしょうけど…………弾痕もあるわね。果たして撃ったのは人間側か、それとも…………」

 アルベルトが呟くと、キリルが更に瓦礫を豪快に退けながら言う。

『これじゃあ、救助活動と言うよりも工事の現場撤去ですよ。救助信号の場所、まだ先ですか?』
「まだもう少しだな。瓦礫を退ければ、恐らく見える位置だと思うが…………」
「透視出来ないの?」
「少し調子が悪い。なんだか妨害されているような感じがするぜ」

 アルベルトが言い、やっとの事で開いた穴を抜けていく。アマネのMSも通り抜けていくが、キリルの方が通る程の穴ではないため、先にキリル以外のメンバーが潜り抜けていく。キリルは自分のMSが通れるようになるように、少しだけ瓦礫を退かすピッチを早めた。

『何や、もうウチ通っただけでも疲れてきたわ』
「瓦礫を退かしたのはキリルでしょ。あんたの仕事はこれからよ」
『ウチの【ムーンシャドウ】な、繊細やから、あまり力仕事に向いてへんねん』

 ぼやくアマネを、ヒカルが叱咤する。ヒカルは、孫のアマネを警戒しているのか、目を離さずに視線を向けた。アマネが、MSの中で肩を竦める。
 アルベルト、ヒカル、アマネは、すぐに周囲を見渡した。そして目的の者と共に、危険なモノを発見する。
 一人の少女を、生々しく皮を剥がしたような人型の化け物が囲んでいる。少女は必死に手を翳し、自分の周囲にPKバリアー を張っていた。化け物達が執拗に攻撃するが、バリアーは特に防御力が高いのか、攻撃を弾かれてダメージを与えられていない。しかし、攻撃を受ける毎に少女の顔色が、ほんの少しずつ悪くなっている。既に何時間もああしていたのだろうから、かなりの疲労が溜まっているようだ。

「あれは……」
「ケイブマン!」
『しかも群れてるやないか!!』

 二人が呟き、アマネが叫ぶ。それに反応して、一斉にケイブマンが三人に向き直った。
 途端にアルベルトとヒカルが隣のMSを睨む。中ではアマネが、「たはは」と頭を掻いていた。
 ケイブマン達が、一斉に襲いかかる。アルベルト、ヒカル、アマネの三人は、それぞれその場から別々の方向へと飛び退いた。三人を目で追う。しかし、次の瞬間、ケイブマン達は30oバルカンの砲火を喰らって飛び散っていく。生き残った者達は、その砲火の元へと標的を変え、殺到した。

『こちらで引き付けますので、彼女を!!』
「恩に着る!」

 キリルがバルカンを撃ちながら、開けた穴から後退する。ケイブマンの群れは、キリルを追ってその穴の中へと飛び込んでいった。もはやアルベルト達には目もくれない。少女を囲んでいた者達はほぼ全員がキリルを追った。
 ヒカルが、残ったケイブマン達にサイボーグライフルを撃って牽制し、アルベルトが止めを刺していく。アマネは自分に近寄ってくるモノ達だけを三oレーザーで焼いていた。
 掃討が終わると、ヒカルが穴を見て呟いた。

「大丈夫かしら?」
「あいつならケイブマンに後れを取ったりしないだろ。それより、この子を助けなきゃな……大丈夫か?」
「は、はい……」

 少女の張っていたバリアーは指定の者を中に入れることが出来るようで、残った三人は、少女の周りのバリアーを通り抜けて側に駆け寄った。少女は足に大怪我をしている上に、回復力は並みらしく、動けないようだ。
 アルベルトが助け起こす。

「あっ!?」
「ン?どうしたんだ?」
「いえ、私のバリアーって、私が動いてると消えちゃうんで……」
「そう言うことは早く……っておい?」

 言ってる側から、バリアーが掻き消えていく。その反動か、少女も「ふぅっ」と言って気絶した。長い間気を張り詰めていたため、安心したのもあるだろう。アルベルトは半ば呆れながら、「ッたく」と言って少女を背負った。
 だが、このタイミングはあまり良いことではなかった。

「危ない!」
「なっ!?」
『うわっと!』

 ヒカルの声に反応し、アルベルトとアマネが左右に跳ぶ。三人が固まっていた場所に大型のグレネード弾が飛来し、爆発を起こした。その爆発が起こす土煙の中、ヒカルは素早くサイボーグライフルを撃つ。その弾丸を、少し遠めの岩陰からグレネードを撃ち込んできた異形は素早く身を引っ込めて回避した。

「ビジターキラー!?アルベルト、アマネ!大丈夫?!」
『大丈夫や。これぐらい何ともあらへんわ!』
「ぐ………くそっ!」

 アルベルトが苦悶の声を漏らす。見ると、少女を庇ったために吹っ飛び、瓦礫や壁へ衝突してダメージを受けたらしい。身体の様々な所から出血していた。傷口は見る見るうちに塞がり、あっと言う間に後も残さず消えていった。

(……回復が早すぎる!)

 走り寄ろうとするヒカルに、今度はガトリングガンの掃射が襲いかかる。ヒカルは舌打ちすると、すぐに体を手近な壁に滑り込ませた。壁が弾丸で削られていく。その時、アマネの声が響いた。

『上や!避け!』

 ろくに休み間もなくヒカルとアルベルトが跳ぶ。二人で交叉するようにすれ違う。アルベルトは、頭上から来た弾丸を、PKで弾き飛ばす。交叉した時に、守っていた少女をヒカルにしっかりと預けているため、手加減抜きだ。まぁ、元々制御出来ているモノでもないのだが……
 アルベルトの目の前に、ビジターキラーが降ってきた。これは頭上から撃ってきた奴だ。計二体。これ以上は居ないようだ。もし居たとしたら、流石にこのメンバーでも持ち堪えられなかっただろう。
 降ってきたビジターキラーがアルベルトに巨大な背中の腕を振り下ろす。その腕が到達する直前に、アルベルトはPKを全力で放った。ビジターキラーの巨体が吹っ飛んでいく。弾け飛ばない辺り、何らかの方法で強化しているのだろう。こっちに向かってガトリングガンを撃ってきていた奴の足下にまで飛んでいく。
 アルベルトは膝をつくと、ビジターキラーを鋭く睨んだ。

「コントロールがきかねぇ……てめぇら、どうなっても知らねぇぞ!!」

 PKが乱気流のように、アルベルトの周りを砂塵で荒れ狂わせた。アマネが『おおっ!』と感心した声を出すと、ヒカルがそのアマネを、『早く退くわよ!』と言って急き立てた。少女はヒカルが背負っている。ヒカルは背負っていた少女をアマネのMSに無理矢理渡し、後衛に陣取って穴から抜け出した。
 二体のビジターキラーは、逃げていくアマネとヒカル、そして目の前でPKを行使しようとしているアルベルトに向け、そしてすぐに顔を見合わせて頷き合う。そしてすぐに行動した。一方はアルベルトへ、もう一方は先程頭上から射撃してきた時と同じように、天井に開いていた穴へ潜り込み、アルベルトからは見えなかったが、ヒカル達を追って走り始める。

「ちっ……俺はこいつを何とかしねぇと、どうしようもねぇな………」

 ビジターキラーが、瓦礫の合間を抜けて迫ってくる。
 アルベルトは、体から溢れてくる力を、周囲に向けて一斉に解放しだした…………





 ケイブマンを引き付けていたキリルは、バルカンとレーザー砲を駆使し、何体もいるケイブマン達から逃れながら同時に迎撃していた。アルベルト達の救出の邪魔にならないように、出来るだけ侵入・脱出ルートと重ならないよう、それでいて絶対に迷わないようにと絶えず動き回っている。
 その途中で、様々な物品を抱えていたエリアに出くわした。どうもあっちこっち行っていたらしい。両手にいろんな物を持っている。だが、それらはケイブマン達を引き連れたキリルの逃走に巻き込まれたことで、完全にあっちこっちに散らばってしまっていた。
 エリアがスリングショットを打つ。しかしケイブマンは思いの外素早く、またエリアの射撃の腕がそれ程高くないのもあって、命中するのは五回に一回と言った所だ………とてもじゃないが実戦のレベルではない。折角集めた物を台無しにされた恨みもあるのか、当たらないのが積み重なると、ついに両手にPKブレードを発生させて斬りかかった。キリルの援護射撃とエリアの接近戦によって、何体もいたケイブマン達が倒れていく。
 とうとう残り数体となった所で、ケイブマン達は散りじりになって逃げていった。

「疲れた上に、折角集めた物がどこかにいっちゃった。アルベルト様の探していた金属もあったのに〜〜……!!」
『諦めてくださいよ?またこられたら、もうあまり弾がないですから』
「はぁ…………とにかく合流しよっか?」
『そうしましょう。とにかく、正規の脱出ルートに戻ります。後衛を頼めますか?』
「頼まれまーす!」

 辺りに散らばった物の中で、使えそうな物だけをピックアップしていたエリアが、キリルのMSの後を付いていく。ケイブマン達は諦めたらしく、既に周囲にはいない。
 いや、この先にいる者達を警戒して、本能的に避けているのかも知れないが………

『あ、ヒカルさんとアマネさんですよ』
「本当だ!お〜い!」

 エリアが手を振る。穴から抜け出て、脱出口まで後少しという所で鉢合わせた。アマネは少女をMSの腕に抱き、ヒカルは時々頭上にサイボーグライフルを撃っている。

『お二人とも、どうしたんですか?』
「そんなに慌てて………」
「そんなこと言ってないで走りなさい!どうしても知りたければ上を見なさい!上を!」
『見上げる余裕もない思おけどな!!』

 ヒカルとアマネが突っ走りながら叫ぶ。キリルとエリアは、その走りについて行きながら頭上を見上げる。そこには黒い、大きな猿のような三本腕の化け物がいた。背中の腕と、何も持っていない右腕で高い天井や壁に捕まり、あっちこっちと跳び移っている。その姿を確認した途端に、数発の弾丸がすぐ後ろの瓦礫を貫いた。

「きゃっ!」
『猿?ビジターキラー!?あんなのもいたんですか!?』
「この子の救助が来るのを待ってたみたいなのよ。アルベルトの方にも一匹行ったみたいだけど……大丈夫かどうかは不明!」
『不、不明って!?』
「確かめようがないからしょうがないでしょ!それより来たわよ!!」

 更に射撃。腕の一方をガトリングガンその物に改造しているようで、それに見合った大型の物だ。弾一発一発も大きく、喰らったらMSでさえ穴が開くだろう。人間が使ったら、反動で腕も吹っ飛びそうな物も関係ないらしい。あちこちの瓦礫の山が粉砕され、こちらはその陰に隠れながらも、ほとんど全力疾走で移動を繰り返す他無かった。

「ほとんど反則的な攻撃力ね。弾は後どれくらい有るのかしら?」
『さっきから撃ちまくりや。もう、そないに無いんちゃう?』
『だと良いんですけどねぇ』
「このままじゃ、脱出口まで行けないよぉ!」

 エリアが悲鳴を上げる。先程からかなりの数を撃ち返したが、遠距離射撃ともなると、当然のようにエリアの弾は掠りもしなかった。キリルのMSは、進行方向の瓦礫を撃ち抜いて通路を作っているために余裕がない。アマネの三oレーザーでは、それこそどうしようもなかった。ただ唯一、走りながらもヒカルのサイボーグライフルだけが掠めるぐらいの命中精度を見せている。

「こう走ってたんじゃ、当たる物も当たらないわ。どっちにしろ、一発二発喰らったってびくともしないでしょうし……どうにかして降ろさないと!」
『でも、きっと弾が尽きない限りは降りてきませんよ?』
「でしょうね。気長に待つ?」
「その間に死んじゃいます!」
『そや!』

 口々にコメントを残してから、四人は目前に大きな岩が転々とある場所と遭遇した。元々はかなり厚い壁があったようで、今でも相当な硬度を誇っていそうだ。ヒカルとエリアが大きな岩の陰に隠れた。続いてアマネとキリルも、それぞれ別の所に隠れる。
 飛来する弾丸が治まり、上で時々ガシャガシャとビジターキラーが跳ぶ音が聞こえた。

(さて……どうするのかな)

 エリアが、同じ岩に飛び込んだヒカルに目配せする。するとヒカルは、エリアに向かって目配せし、アマネ達にも銃を掲げて何かを示した。
 その意図を計りかねていると、突然、自分の身に影が差す。反射的に体をずらすと、一瞬前までいた場所に太い爬虫類のような腕が突き立った。頭上から奇襲を掛けてきたビジターキラーが、更にガトリングガンをエリアに叩き付けようとする。

「『『てぇっ!!』』」

 ヒカル、アマネ、キリルの三人が、同時にそれぞれの装備の物を一斉に撃つ。至近距離でこちらもかなり危ないが、もしここで躊躇していたら、エリアは押しつぶされていただろう。

「てぇぇぇい!!」

 エリアはその砲火が治まると同時に踏み込んだ。PKブレードが、一斉砲火を喰らったビジターキラーの、削られている首に追い打ちを…………いや、止めを刺す。
 ビジターキラーの首が切断され、体が後ろに向かって倒れていった。

「はぁぁぁ………寿命縮んだ」
『いきなり落ちてくるとは思わなかったですからね。でも、ヒカルさんは気が付いてたんじゃありません?』
「さぁ?流石にタイミングまではね……それより、早く脱出するわよ。その子のこと、あなた達忘れてないでしょうね?」
『ウチが忘れるわけないやろ!無理矢理抱かされよってんに』
『……忘れるわけ無いでしょ?最初に走ってた時から知ってますよ』
「今一瞬間があったね」
『エリアさんはどうなんですか!?』
「私は今が初見だから良いの〜」
「はいはい!言い合いは良いから、とにかく脱出するわよ。………アルベルトの方は、もう戻るわけにも行かないけど……あら?」

 ヒカルが声を上げ、あさっての方向を見る。そっちは四人が逃げてきた方角で、アマネ達がつられて見ると、何とアルベルトが四人の方へと走ってきていた。

「そんなに慌ててどうしたの?やっぱりビジターキラー相手じゃ倒しきれなくて、逃げてる最中だとか?」
「…………いや、それがな」

 アルベルトが追いつき、皆に走ることを促しながら説明を始めた……






 時間を少し戻す……

 アルベルトの右腕が吹っ飛んだ。ビジターキラーのグレネードの直撃だ。流石に至近距離なだけ合ってよく効く。だが、アルベルトの右腕はものの数秒で再生する。その腕にPKを溜めて突きを放つ。ビジターキラーは回避し、その直撃を防いだが、溜められたPKの衝撃で体が吹っ飛んでいく。だがその衝撃をバックステップで軽減し、更に後ろに跳んで衝撃をほとんどゼロにした。どれほどの実戦を積んできたのかは解らないが、相当に年季の入っているのが窺える。
 アルベルトはボディPKをフルに活動させ、一気にそれを追い、追い打ちを掛ける。PKを使ってビジターキラーの体を数メートルに渡って、弧を描かせて飛ばしてやった。ビジターキラーは、これまでの戦闘でボロボロになっていた壁に激突し、その向こう側へと消えていく。

「これでしばらく眠ってろ!!」

 アルベルトがより一層強くPKを行使すると、目標となっているビジターキラーの消えた地点の天井が盛大に崩れ始めた。周囲の瓦礫も突撃させ、出来るだけ多めに埋めてやる。
 本当は思いっきり砕いてやりたい所だが、目標が見えていないためにこういう手段となった。出来るだけ瓦礫を叩き付けた後、アルベルトはすぐに身を翻した。

「くそっ、使いすぎたか………疲れてやがる」

 悪態をつきながらも、ボディPKを行使して少しでも早く離脱する。タイマンでいつまでも戦っていられない。あいつ等には人間並みの知能がある分、他の仲間が嗅ぎ付けてきたら厄介すぎる。そもそも、一体でも手に余るというのに……

「こうなったら逃げるが勝ちだ。あいつ等のことも気になるしな……」

 アルベルトが、瓦礫の合間をどんどんと抜けていく。足下に広がる弾痕後を見て、こちらの方に向かったビジターキラーと激しく戦っていたことを理解し、更にスピードを上げる。
 そして、脱出口目前となって、やっとの事で追いついた。






「と言うことだ。さっきの奴が追ってきてるかも知れねぇから。ここから早く出ておこうぜ。怪我人付きじゃ、やっぱきついからな」
『賛成や!早いとこ出とこ!』
「でも残念だな〜、折角良い金属見つかったのに、みんな無くしちゃいましたよ」
「あの戦闘じゃ、しょうがないでしょ?諦めなさい。手持ちにある微々たる物で我慢よ」
『さり気なく毒がありますよ、それは………。っ!!』

 キリルが言い終わるや否や、振り向いてバルカンで弾幕を張る。その弾幕に撃墜されて、飛来してきたグレネードは半ばという所で爆発した。

「まだいたのか!しつこいんだよホント!」

 アルベルトがPKを再び発動させる。先程のように、その場にいる全員が、それぞれの持つ最高の武装を、グレネードで広がった土煙の中に集中させた。
 そして、そこから影が跳びだしてくる………

「「「『『これで終わりだ(よ)(や)(です)』』」」」

 今度こそ、このメンバーで考えられる最高の火力を一身に浴び、アルベルトとの戦いで傷ついていたビジターキラーは、瞬く間に身を削られて消滅した………



 皆で揃って脱出し、救助した少女を最寄りの医療施設へ預けたあとで、ようやくメンバーは一息ついた。

「今回は散々だったな。よりにもよってビジターキラーに追われるわ。宝物はろくな物が手に入らないわ………」
「良いじゃない。助けた子は助かったんだから」
「しかしなぁ…………」
「大丈夫ですよ〜、少ししかないですけど、目的の堅い金属なら手に入ってますし………本当にちょっとだけですけどね〜」
「慰めになってるのかどうかって所だな。キリル達はどうだ?」
「腕試しにはちょうど良かったですよ。ビジターキラーと戦えたんですし。こんどは逃げながらでなく、真っ向から戦いたいですよ」
「あんさん、度胸あり過ぎや」

 アマネが言うと、キリルも含めて皆が苦笑した。重くなっている腰を上げ、外に出て伸びをする。ほとんど一晩中動いていた御陰で、ずいぶんとくたびれている。何せ、滅多に会えないとされる畏怖べき存在のビジターキラーを、二体も倒したのだから、これぐらいですんで運が良かったとしか思えない。もっとも、ほとんど火力で押し切っただけのような感じだったが、十分に腕の証明にはなっただろう。
 だが、それでもそれぞれが折角サルベージした物をあちこちにばらけさせてしまったのは堪えたのか、皆が溜息を吐いて空を見上げた。

 ……セフィロトの塔は、そんなことお構いなしで、悠然とそびえ立っている………





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 ■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0552  アルベルト・ルール 男 20歳 エスパー
0541  ヒカル・スローター 女 63歳 エスパー
0592  エリア・スチール  女 16歳 エスパー
0634  キリル・アブラハム 男 45歳 エスパーハーフサイバー
0637  アマネ・ヨシノ   女 16歳 エスパー

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 ■         ライター通信         ■
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 初めまして、メビオス零です。私の【PCパーティノベル・セフィロトの塔】の初作品となりましたが、如何でしたでしょうか?たぶんでなくとも、PLキャラも敵モンスターも扱い切れてません。ビジターキラー、もっと強いと思いますし。(でも集中砲火喰らえば砕け散るよね?)
 まだ駆け出しの段階ですので、出来れば感想の類を送って頂けると幸いです。反省点は出来るだけ解った方が良いですし。HPのWORKSにも、感想用の掲示板があります。気が向いたらどうぞ。
 では、もしまたの機会がありましたら、今度こそは使いこなせるように頑張らせて頂きます。
 これからもよろしくお願いします。(・_・)(._.)