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<PCパーティノベル・セフィロトの塔>


第一階層【オフィス街】逃げろ!
 …誤作動?

ライター:深海残月

■Opening

 おい、下手な所に触るなよ。ここは、元々会社関係のビルなんでな、セキュリティシステムが完備されていたらしいんだ。
 もっとも、長い間放っておかれたせいで、たいがい壊れちまってるんだが、時々セキュリティがまだ生きてる事が‥‥
 て、鳴り始めたな。お前か?
 まあ良い、逃げるぞ。この警報に呼ばれて、すぐにタクトニムがうじゃうじゃやってくるって寸法だ。
 良いから走れ! こうなったらもう、部品回収なんて後回しだ。敵はもうすぐ其処まで来てるぞ!


■Main

 …凄まじい電子音が鳴り響く。そうは言っても、正直なところ何処でセキュリティに引っ掛かったのか――そもそも誰が引っ掛かったのか、そこからしてよくわからない。
 パーティが入り込んだ場所はオフィス街の一角にあるビルのひとつ。珍しい事に――と言うべきかどうなのか、それなりに慣れて来たとは言ってもまだ『熟練した』と言う程には塔の中に慣れてはいない。そんな身にしてみれば珍しいかどうか本当のところはいまいち不明。自分たちとしては充分に珍しいとは思ったが、実際どうなのかは別の話だ。珍しいかどうか本当に知りたいのなら、自分たちとは別の、もっと塔内に――この場に、イエツィラーに慣れている古株のビジターでもひっつかまえて聞くしかない。…もっとも、今この時にそんな事を考えている余裕も無い筈なのだが。
 まぁとにかく――パーティの面子がそのビルに入って珍しいと思った理由はひとつ。ビル内があまり踏破されていない様子だったから――に尽きる。
 屋内、殆ど荒らされた様子が無い。と言うより、ビジターが侵入した痕跡が正直なところ――まったく無いのだ。ひょっとするとタクトニムの侵入すらも今まで無かったのかも知れない。とにかくそれくらい荒れた様子が無い。機械類や設備の類が破壊された様子も無く、溜まっている埃からすると、この場に元々居た人間が消えて以来、誰一人立ち入ってないのではとさえ思わせる。
 そんなところで、凄まじい電子音――恐らく生きていたセキュリティの警報と思しき、音。
 素直に考えるなら自分たちのパーティが――自分たちの中の誰かが引っ掛かった可能性が一番高い。
 が。
 警報音にぎくりとしたのは皆ほぼ同時、そして――それはセキュリティの反応や精度は様々なのだろうから一概には言えないが、パーティメンバー皆、鳴り出したその時は特に引っ掛かりそうな行動を取っていなかった。
 オールサイバーのシオン・レ・ハイが先を歩いている以上、赤外線等常人が不可視のセンサーがあったとしてもそこはシオンのサイバーアイならすぐにわかる筈。それに、【危険予測】の能力を持っているエスパーのケヴィン・フレッチャーもここまで来る時点で確りとアンテナを張っている。何か不安な要素があれば指摘していただろう。そして道を選んでいる彼らが次の空間――現在地とは別の、まだパーティが足を踏み入れていない部屋や廊下等、セキュリティのセンサーが効いていそうな『区切り』になる場所――にちょうど踏み込んだところで鳴り出した…訳でもなかったのだから、警報のタイミングが少々不自然な気もする。
 クレイン・ガーランドも特に何処か…壁や設備に触れている訳でもなかった。シオンやケヴィン同様、確りと周囲に気を配っている。その後に続いていたシャロン・マリアーノも、最後尾のリュイ・ユウも同じ事。
 だからこそ、セキュリティにいつ引っ掛かったのか何処で引っ掛かったのか誰が引っ掛かったのか――やっぱり、よくわからない。
「…詳しいところはよくわかりませんが、逃げるのを先にした方が良いですね」
「…だな」
 警報音の後、まずシオンが冷静に告げ、即座に周囲を警戒しタクトニムと遭遇しないで抜けられそうな場所を探す。短く同意したケヴィンもまた同様、シオンの探している場所とは重ならないよう、今居る場所、そこから一番行き易いだろう逃げ道を探しつつ、警戒も怠らない。
 そんな彼らの背後でクレインはひとり訝しげな顔をしていた。そして無言のまま、壁を探り――今度こそ触れている――枯れている観葉植物の植わった植木鉢の影、目立たないところでちかちかと瞬いている赤い光の付いた小さな筐体を発見。センサー部分か何かだろうか。
「…ちょっとだけ時間を下さい」
 何処のセキュリティがどんな風に作動したのかくらいは…確認しておいた方が良い気がするので。
 ぽつりと呟き、クレインはそのセンサー装置と思しき筐体へと【マシンテレパス】を細心の注意の上に発動。空に浮かんだ半透明の基盤の上にちりちりと光の粒子が躍る。光の粒子の動きが何処か神経質に見えるのはクレインがそれだけ気を遣って中を探っているからか。
 宣言通り殆ど時を置かぬ間にクレインの前から半透明の基盤が消える。
 そして浮かんだ新たなる疑問。
「………………この作動していると思しきセンサーの『見ている』範囲に、私たちは入っていないようなんですが」
 少なくとも『この警報音が鳴り出した時点』では。
 浮かんだ疑問をそのまま、訝しげな顔を変えないままで、ただ報告。
 途端、クレインにパーティメンバーの注目が集まった。
「なに?」
 思わずケヴィン。
 その疑問を受けつつ、クレインは考えながら続ける。
「ですけど…私たちより前にここに入った方が居ると言うのも…」
「………………考え難いですねぇ」
 ちらりと足許に目を落とし、シオン。…肉眼――と言うか常人レベルの視覚の時点でもわかる事はわかるのだが、念の為と言う事でサイバーアイも使用して床面を見ても、やっぱり自分たち以外の足跡も痕跡も無い。他の部分は同じ厚さで埃が積もっている。地面に足を付かなくて良い以上、空飛ぶ円盤めいたタクトニム――シンクタンク・ソーサーくらいなら出入りがある可能性はあるか。…否、宙を浮くものがうろついているならもう少し屋内は乱れているものだろう。何かが居るなら、それなりの気配は残る。…少なくともある程度空気が掻き回されている気配があって然るべき。となるとやはり、それも考え難い。
 そうなってくると、考えられる可能性。
「…それは今現在鳴っているこの警報は、よりにもよってこのタイミングでの『誤作動』と言う事になりますか?」
 さくっとずばり言うユウ。
 クレインは曖昧に頷いた。
「…この部屋では今確認しましたこれ以外のセキュリティで、生きているらしいものはどうも見当たらないんですよ。既に鳴ってるこのセンサーから辿ってもみましたが…途中で切れてて何処にも繋がってません。これは本来なら各所のシャッターや社内イントラネットの一時的な閉鎖とも連動して、このビルの警備部室と都市中央警察署の方にも通報が行くようになっているもののようですが――今はこの場所で警報音が鳴るだけみたいですね」
「…警報音が鳴るだけ、って言っても今はそれが一番問題なんじゃない?」
 ぼそりとシャロン。
「…まったく、ついてませんね」
 はぁ、と嘆息するユウ。
「…それで済むか?」
 やや呆れ顔で言うケヴィン。
「あまり呑気な事を言っている場合ではなさそうですよ」
 静かに諌めるシオンの声。
 それとほぼ同時、屋内で何者かが活動している、何やら突入でも試みているような音――が警報音の合間に聞こえた。それも――場所が、近い。素直に考えるならタクトニムか。
「…どうやら、シオンさんの仰る通りのようですね」
 クレインが同意し、それを合図にしたように――パーティメンバーはそこから走り出す。決定したのはシオンの見付けた退路。来た道を戻るのは少し危ないので別の道を。何にしろ、この建物から逃れるにはひとまず階下に向かう必要がある。サイバーアイで『現在稼動中と思しき熱源』の極力少ない方向を選び、進んだ。
 …それは、生きているセキュリティやタクトニムの存在が少ないだろう方向と言う事にもなる。



 パーティは取り敢えず鳴らしてしまった――と言うか鳴らしたと言うより誤作動の可能性が高いのだが、とにかく警報が鳴り出した当の部屋からは逃げだして少し離れた場所まで来た。先頭で注意深く逃げ道を探しているシオンの警戒の賜物か、現時点ではタクトニムとの遭遇は無い。ここまで来るに当たりまた別のセキュリティを引っ掛けてもいない。先程微かに聞こえた自分たち以外の侵入者――恐らく警報に呼ばれたタクトニム――と思しき音もまだこちらに近付いて来てはいない。…但し、ちょっと知能の高いタクトニムが警報音に呼ばれこの建物内に来ているならば――埃が舞い上がっている微かな痕跡の時点でそれ以上の音の印が無くとも自分たちの後は簡単に追える。背後は気を付ける必要がある。こればっかりは仕方無い。
 少し警報音から離れたそこ。パーティは警戒しつつも先を急いでいた。逃げるのが最優先ではある。但しその途中で、先程のように偶然生きているセキュリティがあるかもしれない。そう思ったら追ってくるだろうタクトニムだけに注意を向ければ良いと言うものでもない。ただ闇雲に逃げているだけでは却って危険でもある。
 そんな中、クレインは建物からの撤退の途中でまたもセキュリティのセンサーらしい場所を見付けていた。センサー自体の、セキュリティの作動状況を窺うように注意深く、それでいてさりげなく【マシンテレパス】を発動している。銃を刃を携帯し周囲を警戒している他の面子とは少々違った行動――とは言え行動の意味としては同じかもしれない行動。何も言わずともパーティメンバーはそのくらい察している。クレインの行動を認めてから頷いて見せ、まずシオンが今居る部屋の先を窺う為に動く。直後、ユウがクレインを見た。
「…何か特に手伝う事は?」
「そうですね…。タクトニムが来ましたら――いえ、タクトニムでなくとも他にも何か、危険が迫りそうでしたら教えて頂けますか」
「了解。…シオンさんは前に行きましたから、俺はひとまずバックアタックに警戒しておきます」
 元々一番後ろに居ますし。
「お願いします」
 ユウの姿を振り返らないまま言葉だけでクレインは返している。その時には既にクレインの前には半透明の基盤が形成されており、その上を光の粒子が神経質に踊っている。外から見て中がどうなっているのかはわからないが、先程と似たような状況。
「って幾ら【マシンテレパス】でもあんまりいじるとまたここでも鳴っちまいやしないか?」
 クレインを見て思わずぼそりと呟いてしまうケヴィン。
 と。
 はぁ、とわざとらしい溜息が後方に移動した者から届く。…ユウ。
「…クレインさんが何の考えも無しにセキュリティに触ると思いますか?」
「そんな事はわかってる。…でもクレインさんもこのビルのセキュリティに触るの初めて、っつかさっきの一度だけだろ? 他の場所で似たようなセキュリティ触った事でもあるんだったらいざ知らず、そうでもなきゃ探るまでも無く触ろうとした途端反応する可能性だってあるだろ。正直どうなるかわかんないじゃねーか」
「…御安心下さい。こう見えても【マシンテレパス】は使い慣れてるんですよ。ですからその辺りの勘もまぁ…【マシンテレパス】と【記憶読破】程度しかまともに使えませんがこれでも一応エスパーの端くれですからね。無理だと思ったら初めから触ってません。…さっき鳴り出した筐体を読んだ時点でセキュリティの法則性と言うか傾向と言うか…ある程度の見当は付いてます」
 戦闘ではあまりお役に立てるとは言い難いですから、精々こういった部分ではお役に立てないと。
「…そんな訳で、セキュリティの位置関係や作動条件を確認するだけではなく、生きているセキュリティを逆手に取って使えないかと思いまして。先程のは途中で切れていましたが――ある程度繋がったまま生きているものがこちらで乗っ取れるなら、色々とやりようはあるのではないかと…」
 クレインの前の半透明の基盤は消えない。筐体の内部――繋がっているセキュリティの有無を探りながら、自分の思い付いた事を取り敢えず口に出してみる。
 言っている間に、また何処か――別のところからも甲高い電子音の警報が鳴り響いた。
 途端、クレイン以外のパーティメンバーはその唐突な二重奏にぎょっとする。と、そこにクレインが小さく手を上げた。
「私です。…ここは幾つか他の警報装置ともまだ繋がって生きていたようなので――その中でも先程の警報音の位置から見て、私たちが今居るところとは反対側になるだろう場所に設置してあるものを鳴らしてみました」
 あっさりと言う。
 が、まだその筐体を読むのを止めない。
「…タクトニム、鳴ってる方に行くかしら?」
 ぽつりとシャロン。
「楽観はし切れませんが。一応、先程の部屋から考えたとしても距離的に怪しくない場所でもありますし、床の埃に気付かれなければある程度の時間稼ぎは出来ると思います。…後、他にここと繋がっているセキュリティも――タイマーを掛けて時差を付けて作動させられるか今やってみてるんですけどね」
 色々とアレンジ出来るなら…タクトニムを誤魔化せると思いますし。そうなればある程度タクトニムの数も減らせると思いますから。
「…んじゃ俺もちょいと暴れてみるか」
「ケヴィンさん?」
「ここと繋がってないセキュリティの位置とかわかるなら教えてくれ。適当に陽動に出るのもまた良いだろ」
 言いながらケヴィンは周辺を見渡す。警戒とは少し違う目配り。…セキュリティを逆手に取って、となると、難しいながらもダミーのような物を幾つも引っ掛けさせる…と言う手が思い付いた為。とは言え手持ちにはダミーになりそうな物が無いので取り敢えず近場で何か手頃な物が無いかと探している。ケヴィンは爆発物等にも詳しい為、そちらを利用してみようと思ったらしい。
 が、そこまで考えて。
「…時限装置付きの爆薬となるとかなり高度な…そっちは繋がっているところだけをクレインさんに任せた方が無難か…いや、でもな」
 考えながらも、ケヴィンの目は先に目的の物を探している。
 …爆薬の足しになりそうなものって言うと…ここ製薬会社系のビルじゃないしな…あってもインク程度だろうしそれも開封されてりゃ品質変わっちまってるだろうし変わってれば使いようも無いだろうしな…。あ、タイマー掛けられそうなものならあるかもしれないか?
 思いながらケヴィンは部屋の中を歩きつつ、何か無いかと物色している。
 そんなクレインとケヴィンの姿を受けて、シャロンもまた考えるような顔をした。
「ん〜、コンピュータは使わない訳じゃないけど…分析くらいにしか使ってないのよね…」
 そうね、じゃ、あたしはあんたたちの仕事が終わるまでの時間稼ぎでもする事にしましょう。
 …って現時点だとシオンやユウのやってる事と変わらない事になるけどね。
 言って、シャロンは持っているショットガンを持ち直し、ユウ同様後方へと向かい警報に呼ばれた追っ手を警戒する。…そう言えば先程警報が鳴り出す前、そのショットガンには自家製らしい特殊な弾薬を作って込めてあるような事を言っていた。
 が。
 シャロンが動いた直後、今度はまたごく近くから――と言うかクレインが触っているセンサーに反応したと思しき距離から、警報が。
 今度は他のパーティメンバーだけでは無く、クレインもぎょっとしている。自分がやってしまったと思ったか。
 が、今回は。
 …ふと見れば――ケヴィンが山積みになっている梱包された箱の側に居た。
 そして、しまった、とでも言いたげな顔をしている。
「…宣言通り本当に暴れているようですねぇ」
 後方を警戒しながらもちらりとだけケヴィンを見、思いっきり嘆息するユウ。
 その科白は――つまりはケヴィンが今のを鳴らしたと見た訳で。
「…」
 反論、無し。
 俄かに停止したそこで、今度はユウだけが動いている。
「…まぁ、鳴り出してしまった以上今になって消すのも余計不自然ですからね。こうなった以上、その箱の中身を邪魔にならない程度頂いて行く事にしましょう」
「あ?」
「箱書きを見るに中身はどうも小さい物のようですし、折角ですから」
 言いながらユウはケヴィンに――と言うより梱包されている箱に歩み寄り、外科技術を思わせる(?)鮮やかな手捌きで手早く箱を開封。中から大容量記録媒体・クリスタルプレートの入ったケース幾つかに、小さめのOEIC――電気の代わりに半導体レーザーを、シリコンの代わりに光ファイバーを使用するようになっている光電子集積回路――を乗せた基盤の数枚を抜き出し、当然のように白衣のポケットに滑り込ませたりしている。
 停止していたケヴィンは、そんなユウを見てから漸く動き出した。
「…相変わらずちゃっかりしてるよな、あんた」
「誰かさんと違って抜け目が無いと言って頂けると。…まぁ、クリスタルにOEIC基盤程度では――セフィロトならでは、って程の目新しい物でもないですが。それでもこれらは一度も使われていない新品のようですから、相手を選べばそれなりに高く売れるとは思いますし。外界ではこの手の代物の新品や未使用品はそう簡単に出ませんからね」
 折角、誰にも踏破されていないようなビルに来たみたいなんですから、それで戦利品が何も無し、は少し勿体無いでしょう? せめてこのくらい持って帰らないと割に合いません。



 結局、クレインの試みを待っている時間も無く、その部屋からもパーティはすぐに去る事になる。ただ、箱の中から当然のようにクリスタルや基盤を複数取り出したユウの行動はやけに素早かった為、こちらは特に足手まといにはなっていない。それどころかその後撤退の道がてら、たった今獲って来た物をパーティメンバーに適当に分けて渡してもいた――分けられるくらい持って来ていた、らしい。曰く、ひとりで数持っていると少し邪魔になりますがひとつひとつはポケットに入る程度ですし初めから分配するつもりでちょっと多めに持って来ました、とか何とか。…本人が言っていた通り、確かに抜け目は無いらしい。
 パーティは撤退しながらも、作戦を考える。初めに誤作動で鳴り出した場所にクレインが意図的に鳴らした場所、ケヴィンが鳴らしてしまった場所の三ヶ所での警報。先程クレインが繋がっている各所のセキュリティにタイマーを掛け、時差を付けて鳴らそうと試みたものは実行まで至らず。敵に姿を見せないで済むのに越した事は無い以上、ただでさえ時間の掛かりそうな事は止めておいた方が無難になる。
 二手に別れて動く事も考えてみるが――いざとなった時の戦力を考えるとそれも得策とは思えなかった為、却下。
 パーティ皆で暫く進んだところで、唐突にシオンが物陰から一足飛びに前に出る。出たそこにはタクトニム共通の、敵意に満ちた何処か暗く虚ろな瞳を持った個体がひとつ。見た目だけではモンスターかシンクタンクかわからない姿。モンスターならば――生物としての機構を持つならば頚部を締める等の方法が音を立てず行える上に有効だが、シンクタンクであった場合は――その攻撃は意味が無い。
 …判別し難い時には、斬る事――切り刻む事、もしくは威力の高い銃で撃つ事が一番、確実になる。
 そう判断した時には既にシオンは高周波振動の刃でその個体を切断している。警報音に紛れ、殆ど斬った音は目立たない。すかさず確認する――続いてこちらに向かって来る個体はまだ無い。また別の物陰の向こう、やや離れた場所にたった今屠ったものと同形の個体が見えはしたが、そちらの個体はまた全然明後日の方に向かって動いている。こちらに気付いてはいない。どうやら、連中も手分けして警報を鳴らした者を捜しているよう。
 シオンが前方の一体を撃破し、その向こう側も確認したその時点。ふと振り返ったケヴィンが、何を思ったか――偶然見付けたセンサーに飛び付き、がん、とわざと殴って速攻で作動させていた。唸る警報音と共に天井部分から下がって来る防護シャッター。と、その向こう――パーティ後方に当たる廊下の先に、タクトニムの群れが見える。ケヴィンはそれに逸早く気付いていたらしい。【危険予測】の能力故かはたまたただの勘の範疇か、とにかくその行為は有効に活かされた。
 が――それでもタクトニムの動きも早かった。パーティを見つけるなり、手持ちの銃口を向け、撃ち放ちつつパーティに突進して来る。シャッターが閉まり切る。着弾音が響く。タクトニム数匹がシャッターに押し潰される嫌な音もぐしゃりと響いた。
 シャッターのこちら側に入って来てしまった連中は、来るなりシオンとケヴィンに身体を細切れにされ、ユウとクレイン、そしてシャロンからはそれぞれの銃で蜂の巣にされている。さすがに、程無く動きは停止した。シャッターで遮れた為、数が少なかったのも幸いだったが。
 …前方からも後方からもタクトニムの姿が現れる。警報音が初めに鳴り出した源、そして次やその次に鳴り出したところからも既にそれなりに離れている場所の筈だ。こうなってくるとひょっとすると警報音の位置などもう関係がないのかもしれない。誰も侵入した事がなかったと思しきこのビルで警報が鳴り出した。その時点で、このビル自体が標的になった可能性もあるのかもしれない。…確かに、ここはあまり大きな建物でもないのだから、その気になれば――タクトニムの身になれば、人海戦術は幾らでも。



 閉まり切る前にシャッターを越えて来たタクトニムを装備しているショットガンで撃った後、シャロンは失敗かしらね? と少し考えるような顔をして呟いている。が――今速攻で撃破したタクトニムがサイバー化したモンスターと言うよりはっきりと機械兵器――シンクタンクだった事に気付くなり、ちょっと肩を竦めている。そしておもむろに、シンクタンクじゃ『実験』にならない訳よねとあっさり。…いったい何事か。
 皆の集中攻撃により殆ど一瞬で沈黙させられた数体のタクトニム・シンクタンク。シャッターの向こう側からは硬質の引っ掻くような音や打撃音、そして銃声までも引っ切り無しに響いて来る。が――その事実は、少なくともシャッターの向こう側の連中にはこのシャッターを破る程の武装は無く、更には引き返して別の道を選ぶなり他のタクトニムと連絡を取り合うなりしてこちら側のビジターを狙う事を考える知能も無いと言う事が知れる。
 が。
「前方にもまた別の形のタクトニムが偵察に来ていますね」
 …大抵のタクトニム相手では当たったとしても余程良い場所に当たらなければ致命傷にはならないだろう申し訳程度の威力。そんな小型の拳銃を――それでもいつでも撃てるよう確りと両手で銃把を握りつつクレインはぽつり。クレインは先程のシオンの視線を追っている。彼は、撃破した一体以外にもタクトニムを見付けたのだろう事には何となく気付いていた。ただ、そのタクトニムがこちらに気付かずに去った為、シオンも今すぐにはパーティに警告をしていないだけなのだろう、とそこまで。
 シオンは静かに頷く。
「…ええ。まだ気付かれていない事と単独行動風であるのが幸いですが…ここの警報は今鳴り出したところな筈ですし、それでもうこれ程うようよ居ると言う事は――囲まれるのも時間の問題かもしれません」
「前方の連中は単独行動風って事は…そろそろ逃げ回るだけじゃなく先制攻撃に出た方が得策かもな」
「…まだ幾分手薄な内に――奴らが複数体集まる前に強行突破をする、って事ですか」
「それが一番良さそうです」
「あら素敵。…向こうは生体――タクトニム・モンスターも居るみたいだものね」
 …今シオンが倒した奴を見る限り。
 そうシャロンが不敵に呟くなり、ケヴィンが小さく肩を竦める。
「随分と肝の座ったおねえさまだ」
「…ヘルズゲート潜って来た時点で常識人みたいな顔してられる訳ないでしょ。人間開き直りが肝心よ」
「言えてますね。…確かにこちらに棲み付いてらっしゃるタクトニム側から見れば我々は無謀な強盗みたいなものでしょうから。まぁ、精々それらしくしてみましょうか?」
 さくりとユウが同意する。皮肉めいた言い方。…今に始まった事でもない。
 敵が単独行動を取っている手薄な内に開き直って強行突破。そう皆の意向が合ったところで、パーティは走り出す。
 足許に、タクトニムの残骸を見送って。



 先に向かったのはケヴィン。シオンとクレインが次。シャロン、ユウ。そんな順番で結局動いている。逃げ道を切り開く為にシオンとケヴィンのふたりが先陣を切り、連携を取る。クレインはそんな彼らへの援護と言う名目で少し離れたその後ろに付いている。シャロンとユウはバックアタックを警戒する方に回った。後ろにあるのは先程閉めたシャッターだけではない。この先、ずっと一本道である訳でもない訳で、ビル内をタクトニムが徘徊しているならば後ろから来る可能性は幾らでもある。
 警戒しながら進む。そして前方、先。見通しの悪いそこの空気が変わる。瞬間的に緊張する。際立った音はしない。シオンかケヴィンか両方か――タクトニムと交戦中か。セキュリティの警報音は微妙にずれた四重奏にまでなっている。そろそろどれが何処で鳴っているのかわからない唸る大音響がビル内に響き渡っている。そして現在、後方のふたりにはクレインまでもが時折前方へと発砲しているのが見える。
 彼ら三人が前への攻撃をしているそんな時――走りながらも警戒し背後を時折振り返っていたユウが、武器――カービンを携えた人型に近いタクトニムを発見。反射的に腕が動きその個体に照準、トリガーを引こうとするが――すぐ側で弾が装填される金属音がしたのが先だった。シャロン。
「…ちょっと試していい?」
 短く言うと、シャロンは答えも待たない内に――構えていたショットガンを、ユウが見付けたタクトニムに向け、発砲。着弾。衝撃で背後に吹っ飛ばされるタクトニム。が――命中はしたようだが絶命した様子は無い。すぐに起き上がり、足許が覚束無いながらも前進しようと試みている。
「上手く発芽して育てば足止めくらいにはなると思うんだけど」
「…発芽?」
「タクトニムを好んで栄養素にするように仕向けてみた植物の種を弾に仕込んでおいたのよね。熱にも強いし、成長も極端に早い野菜掛け合わせてあるんだけど。…何にしろ、普通より発芽するのはずっと早い筈」
 と、説明しながら、シャロンは嵌めていた腕時計を何やら操作。どうやら時間を計る気らしい。着弾から発芽までの時間とでも言うつもりか。
 確かに人型タクトニムの動きは不自然に止まっている。ぎこちなくなる。今になって銃弾を撃ち込まれたダメージが来たのか――それにしてはやや不自然だ。
 が。
 ――それ以上は、特に何も。
 殆ど時を置かずそのタクトニムは…元通りに復活。一番間近にいる侵入者ことシャロンとユウ目掛け、カービンの銃口を向け、引き金を引く――が、その行動を起こせるよう相手が復活する前に、ユウの方が冷静にタクトニムを撃っていた。再びタクトニムの身体が吹っ飛ぶ。
「………………どうも効果は無かったようですが」
「でも一時的に止まったわよね?」
「確かに。ですが体内の異物が引っ掛かっての違和感で止まった、程度の気もしますがね。まぁ、貴方が『実験』と仰ってましたから…取り敢えず一息に急所を狙わずに武器を持つ腕を狙ってみたのですが」
 言いながらユウはたった今撃ったタクトニムへと警戒しながら近付く。ユウの撃った思惑通りにまだ生きている。そこまで確認出来たところで――そのタクトニムは近付いてくるユウへ向け右腕を跳ね上げた。が、そこでまたも不自然に一時停止。何事かわからないながらもユウは咄嗟にその跳ね上げられた右腕を躱しており、躱し様に接敵。更に条件反射的にその腕を押さえ、動きを完全に封じる為極める――極めようとする。が、その時点で違和感に気付いた。…腕が妙に、硬い。がちがちの筋肉と言うのではなく、もっと無機的な――金属?
「…ひょっとして、サイバー化しているんでしょうか」
 腕を捕らえた感覚から、ユウはぼそりと呟いている。
 人型タクトニムの方は――撃たれた手傷故かユウの武道の腕故か、とにかく、まともに動けない。



 暫し後――と言ってもそれ程経った訳では無く、精々一分も経たないくらいの話。高周波ファイティングナイフの刃をタクトニムの体液と機械油で濡らしたケヴィンが様子見がてら振り返り――必死で自分とシオンを援護しているクレインのそのまた後ろ、今現在は誰も居ないパーティの後方に向け警戒するよう銃を構えるだけ構えたシャロンの横、彼女のすぐ脇でユウが座り込んで何やらやっているのに気が付いた。ユウのその前には人間――と言うかこんな場所である以上人間では無く襲撃に来た人型タクトニムだろう。何故かそんな姿があり。そしてユウの手には何故か大振りのナイフと見紛うちょっと物騒な印象の解剖用メス。…治療には間違っても使わない代物。それは武器にするには良いかもしれないが。
 ユウはその解剖用メスや他、細かい仕事に使えそうな道具を取り出し、何やら考え込んでいる。こちらに背を向けている為何をしているのか具体的にはわからない。
 その状況を見て、ひとまず危険そうでは無いなと安堵はしたが――同時に、やや呆れた。
 自分たちはこの建物から急いで逃げているのではなかったのか。
「…何してんだ?」
 訝しげなその声でクレインもシオンも振り返る。ちょうど前方にいたタクトニムは撃破して戦闘自体は落ち着いたところ。とは言え警報音に煽られてしまうので気分的に落ち着いているのも少々難しいが。
 問い掛けながら、ケヴィンはユウとシャロンの居る方へ歩み寄る。
 と。
 すぐに返って来たのは、殆ど独白。
「随分と神経の繋ぎ方が細かいようですね」
 腕部パーツとしては軽量でもあるようですし、使い勝手も良さそうです。五本ある指部分が薬室になっていますね。まるで隠し武器。細かいギミックでもこれは使い捨てじゃないでしょう。連続使用に耐えられるだけの代物でもあるようです。
 感心したように言いながらユウが取り上げたのは切断面から血が滴る(…)それ単体のヒトの右腕――否、切断面と思ったらきちんとそれ用になっているタクトニムの体液に塗れた右腕用サイバーパーツ。つまりはユウの前で瀕死の状態のその人型タクトニムから切り離してみたと言う事で。ちなみに人型タクトニムの方は壮絶に顔色が悪い。猿轡を噛まされ、うーうー唸りながら油汗をかいている。…猿轡が無かったらセキュリティの警報音まで劈くくらいの絶叫を上げていそうだ。
 まぁ、それはそれで別にいいのだ、が。
 この状況でそんな物を嬉々として見せられても…正直、グロい。
 そこまで見た瞬間、ケヴィンは引いた。
「…あんたら」
「後続は来ないようでしたからね。ついでですから――以前教えてもらった話を試させてもらおうと思いまして」
 白衣の傭兵さんに教えて頂いた、タクトニムからサイバーパーツを直接取り離してみる件。
 今度は相手へ答えるようあっさりと言いつつ、ユウは改めてサイバーパーツの構造を確認している。
「シャロンさんの『実験』の方は…成否が良くわかりませんね?」
「まぁね。さすがにすぐに発芽するのは無理だったみたいだから一応失敗って言うべきなんだろうけど。…でもここまで弱らせてあれば――『これ』連れて帰って成長の様子見るって手もあるわよね。ちゃんとした機械に掛けて分析する必要もあるし。改良の余地はまだあるから」
 塔攻略の武器にはならないにしても――今時、土壌も悪いところ多いから。肥料代わりにタクトニムを栄養素に出来るようなら随分助かるもの。使いどころよ。
「そう言えば植物学者さんだと仰ってましたね」
「元だけどね。今は作る方専門」
「それで、『実験』ですか」
 ええ。とシャロンは頷く。
 そして。
「ま、そんな訳で、余裕がないなら――無理そうだったら仕方ないけど誰か、良かったら『これ』連れてってくれないかしら?」
 ユウ始め男性陣に向けにっこり微笑みつつ、シャロンはむしろ気の毒にすら見える瀕死のタクトニムを無造作に指差している。…ひょっとすると、これは即死の方が余程楽な状態なのではなかろうか。
「…」
「…」
 回答。…パーティメンバーでも人間でもない半死半生なタクトニムを――それも今のこの状況なら余計に――担いで行くのはさすがに勘弁願いたい。
 相変わらず警報音の四重奏は続いている。
 その音だけが現実を叫んでいると思えたのは何故だろう。
「…あー、ちょうどいいから俺もこれもらう事にするわ」
 やがてシャロンの頼みが聞こえなかったような形でぼそりと呟き、ケヴィンは人型タクトニムの左手、まだカービン銃に辛うじて掛かっている指を一本一本引き剥がし、そのカービンを取り上げる。力無く呻く意味の無い声がタクトニムの唇から時折漏れる。その様子にケヴィンはまた停止。一拍置いて溜息。
 一方のユウは停止はしないでただシャロンを見返す。…こちらは答えを逃げる気は無いよう。 
「さすがにこの状況で人間と同程度の体積のお荷物を持ち帰るのは…少し難しいと思いますよ?」
「…やっぱり駄目か。…ま、仕方無いわね。まだまだ次の機会はあるだろうし」
 きっぱり言われ、シャロンは小さく肩を竦めた。…初めから駄目元で言っていたらしく、特にしつこく頼み込む事も無い。一応、あくまで一応ながらだが、セキュリティの警報音が鳴り響いている緊急事態であると言う事くらいは頭にある。
 と。
「…貴方たちはこんな場合に何を呑気な事をしてるんですか」
 その様を見、はぁ、と嘆息するシオン。片手にぶら下げられている高周波ブレードにも心なしか力が無い。
 思ったところで。
 皿が二枚重なったが如き形の浮遊する円盤――シンクタンク・ソーサー。それが視界の隅、階段の踊り場に現れた。円盤の影が見えた気がした、その時点でシオンとケヴィンは即座に接敵。直前まで気が抜けていたり全然別の行動を取っているようでも、敵が現れればそちらへと確り意識は向く。どちらも、切り換えは早い。
 ソーサーは発砲させたら――弾を撃ち尽くさせたら少々面倒になる。ただ、知能は低めで行動も遅いとなれば――彼らふたりにとってはそろそろ大した事も無い。スピードを活かし先制攻撃をすればいいだけだ。そして、高周波武器を使うならば鉄の塊もさっくり切り裂けるもの。ふたりとも、使い慣れているのはブレードにファイティングナイフと形は違うが高周波武器。都合は、いい。
 殆ど時を置かずシンクタンク・ソーサーの残骸が階段に落ちる。そこまではよかったが――弾撃ち尽くすと自爆するって事は爆弾内蔵してるって事だよなとケヴィンはそのまま屈み込み、ソーサーの残骸をその場で物色し始めている。…待て。
「…あのぉ、ケヴィンさん?」
 そんな姿を見、今度はクレインがケヴィンを諌めに入る。
「今鳴っているこの音はなんでしょう?」
「…セキュリティの警報」
「よく出来ました。さて、では私たちがこれから取るべき行動は?」
「…撤退、だな。…いや、爆弾が手に入るなら獲ってって損は無いからさ」
 つい。
 言いながら立ち上がり、悪ィ、とぽつり。
 それを認めて何処からとも無くまた、誰かの溜息。
 直後。
 また別の場所から、警報音が響き渡った。それも、鳴った――と思ったら、ほんの僅かな時差で、次。二連続で鳴り響く。それも――クレインの耳には、音の位置は全然別の場所からだったと判別は付いた。音は空気の振動。音の発生源、その距離や場所が違うならば元の音が同じでも音程がそれぞれ微妙に狂うから。絶対音感の耳にはその僅かな狂いも簡単に聴き分けられる。少なくとも、鳴り始めた時点では。
「…何だか警報音がまた増えましたね」
 オフィス街のセキュリティって、死んでる方が多いんじゃありませんでしたっけ?
 ふと疑問を口に出すシオン。
「このビルの警報は…他の場所との連動は切れてしまっているようですが、殆どの場合で単独での作動だけはするみたいです。【マシンテレパス】を使った時に確認してますから」
 シオンの素朴な疑問にすぱっとクレインが回答。
「…」
 五重奏だか六重奏になった――と言うか最早そこら一帯で鳴りっぱなし状態になっている警報音。
 四重奏の時どころで無く、完全に何処が鳴っているかの源は消えた。強いて言うなら何処で聞いても同じくらいの大きさの音で鳴っている。そろそろ、判別不能。すべてが混じって凄まじいひとつの音になっている。
「…少々予定とは異なりますが、これもまぁ逆手にとって攪乱出来た事にもなるんでしょうかね?」
 はぁ、と溜息を吐きつつクレイン。…全体が鳴りっぱなしであるなら確かに建物内何処にいても区別は付かない。それに五重奏めと六重奏め――最後のふたつを引っ掛けたのは恐らくは警報に呼ばれて当パーティを追撃に来たタクトニムだろう。そうなるとこれ以降は幾らセキュリティに引っ掛かってもそれがビジターのパーティかタクトニムかはタクトニム側も判別し難くなるだろう。…何も考えない奴ならばいざ知らず、少しでも知能の高めな個体があれば、尚更。
「…でもこうなると、この建物内部と言うより建物出てからの方が危険な可能性もあるかもしれないわね」
 この建物の中で所在を狙われるどころか、オフィス街に居たタクトニムが外に集まって来てたりして。シャロンがさらりと口に出す。
「…どちらにしろ、もう寄り道も道草も無しで、真面目に撤退に専念しますからね」
 行きますよ、といつの間にやら保父さん状態のシオンが促し、パーティメンバーは先へと向かう。階下へと。このビルから逃れる為に。

 だが。
 ………………こんな調子で本当に、大丈夫か?

 Fin.(?)

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┃登┃場┃人┃物┃紹┃介┃
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 ■整理番号/PC名

■主発注PC
 ■0474/クレイン・ガーランド

■副発注PC
 ■0375/シオン・レ・ハイ
 ■0486/ケヴィン・フレッチャー
 ■0487/リュイ・ユウ
 ■0645/シャロン・マリアーノ

 ※各表記、整理番号順

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┃ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 今回も発注有難う御座いました。
 元々休日絡みで納期も怪しかったのにリテイクやらかしまして更に遅れました…。大変申し訳ありません(謝)
 漸くのお渡しになります。

 それから…何だか発注文章と結果ノベルが随分と違った事になって来ている気がします…(汗)
 何やら頭っから誤作動前提っぽい状態になってますし…。

 …選択されましたこのシーンデータですと…セキュリティ鳴らしちゃって逃げているとゆー、真面目に切羽詰まった話が基本の筈なのに…何故かノリが軽くなってます(特に最後が/汗)
 いえ、こう軽くなったのは…リュイ・ユウ様とシャロン・マリアーノ様の描写内容の中にありました…『試したい件』が一番の理由かも知れません…(笑)。ケヴィン・フレッチャー様の描写内容の中の後半に書いてあった三件もそう傾いた理由のひとつのような気がしますし…。
 それとシオン・レ・ハイ様PL様、描写内容に関しては特にお気になさらず。…当方予告無く唐突に窓開けるライターですし、こちらの行動の方が普段からして…もー纏まり無いですから(え)

 …なお、アイテム登録&システムでお渡ししてませんが…ノベル内で実際に出て、PC様が入手した扱いになった物は、入手したと考えて頂いて当然構いません(汗)。入手した物を使いたい場合は、能力等設定欄に余裕があったら書いておくなり、使いたい時のプレイング(描写内容等発注文章)やらにその件を書いて頂ければ…システムで持っていなくとも普通に持っている事になると思いますし(人任せですみません…)
 ちなみに今回で言えば新品のクリスタルプレート&OEIC基盤に人型タクトニムの持っていたカービン銃、同じく人型タクトニムが装着していた指部五連発式銃内蔵型の腕部用サイバーパーツ辺りになりますけども。いえ、武器や消耗品等有り触れた効果や能力しか無い程度の(?)通常アイテムまでアイテムシステム使い始めると今はまだよくても後々キリが無くなって収拾付かなくなりそうな気もしまして…。
 そんな訳で、当方では『様々な意味で特殊な物・キーアイテム』もしくは『一見普通に見える物でも性能や効能が普通とは極端に違っている物・かなり変な物』でないとシステム使用でお渡ししないと思います。
 どうぞ御了承の上、御容赦下さいまし(礼)

 少なくとも対価分は楽しんで頂けていれば幸いです。
 では、また機会がありましたら…。

 深海残月 拝