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<PCパーティノベル・セフィロトの塔>


都市マルクト【ヘルズゲート】出陣

メビオス零



【オープニング】
 さて、こいつが地獄への入り口。ヘルズゲートだ。
 毎日、誰かが門をくぐる。そして、何人かは帰ってこない。そんな所さ。
 震え出すにはまだ早いぞ。
 こっちはまだ安全だ。敵がいるのは、この門の向こうなんだからな。
 武器の準備は良いか? 整備不良なんて笑えないぞ? 予備の弾薬は持てる限り持てよ?
 装備を確認しろ。忘れ物はないか? いざって時の為に、食料と水は余分に持て。予定通りに帰ってこれるなんて考えるな。
 準備は良い様だな。
 じゃあ、行くぞ。地獄へようこそだ。






◆◆◆

 ヘルズゲートを抜けると、まるで廃墟の様に無人になっている建物群があった。そこら辺の一番高いビルにでも上れば、巨大な内壁に覆われている広大な都市群が見えたであろう。その全てが廃墟であり、化け物達の巣窟であると言うことを考えると背筋が寒くなる。
 宵待・クレタはこの区画にある失われたテクノロジーにある興味と、ESPと言う力に対する疑問からここへと訪れた。簡単な調査ならば、手練れのパーティーを組んで向かえばそう難しいことではないのだが、過去の経験上、クレタが率先してパーティーを組んで行動するなど無かった。単独でこの場所に乗り込むことに多少の不安はあったが、逃げることぐらいはやってのけることは出来るだろう。
 門から吹いてくる風を受けて、クレタの漆黒のマントが小さくはためいている。何処までも続くのではないかという廃墟を見ながら、クレタはマントに付いている大きなフードを被り直した……

「…………」

 クレタと同様にヘルズゲートから入ってきた………いや、出てきたビジター達は、ジッと廃墟を見つめているクレタの存在など目に見えないかの様に、当然の様に無視してあっちこっちへと散っていく。誰も居なくなった頃、クレタはようやく動き出した。






 手近な建物を盾にし、それに沿って静かに移動していく。
 暫くすると、周りからタクトニム達と交戦するビジター達の声や銃声が響いてきたが、クレタは自分が無視された時と同じように、自分も彼らの存在を完全に無視し、避けて通った。気になるとしたら、彼らの戦闘音の所為で、自分の近くにいるタクトニム達の気配を逃す可能性が上がることぐらいだ。
 気配を殺し、隠れ、ひたすら戦闘を避ける。建物は外周に沿い、辺りを見渡してタクトニムが居ないかどうかを確認した。それからシンクタンク、タクトニムが居ないと判断した時のみ、中に入って調べていく。一人で一つの建物を全て調べるのは難しいため、簡単に一階部分の調査のみで、次の建物へと向かっていった。

「………!」

 崩れ落ちている建物の壁に背を貼り付け、向かう先に感覚を総動員して向けた。ガシャンガシャンと、遠くからシンクタンク達が歩いてくる音が聞こえてくる……
 シンクタンクは厄介だ。本能で動いている奴らならまだ色々と誤魔化しが効くのだが、ああ言うプログラムに従っている奴らに見つかった場合、すぐに仲間を呼ばれるし、何より痛みで退いてくれることは絶対にない。しかもセンサー系は贅沢に作られていて、隠しようのない体温などを感知されたら、隠れることも出来ない……
 クレタは近付いてきたシンクタンクがこちらに気が付かないよう、出来るだけ距離を離して建物の中に入った。ああ言う奴らには稼働範囲が大抵は決まっているため、巡回ルートに引っかからなければ大丈夫なのだ。もっとも、ここに来る前に情報屋から聞いた話なので、何処まで信頼出来るかは不明だが………
 やがて姿を現してきたシンクタンクは、蜘蛛の外見そのものだった。足は左右四本ずつ。手足の先は鋭く尖っており、その先端でコンクリートに小さなヒビを入れながら徘徊している。顔はないようだが、紅く光っている“目”に相当する部分が胴体に埋まっているのが見えた。
 こんな奴の相手をする必要はない。
 別段急いでいる訳ではないので、クレタは万全を期すために、完全に視界外にタクトニムが移動するまで、建物の中から様子を伺ってやり過ごす………
 クレタは、蜘蛛の姿が見えなくなりかけた所で、ハッと身を反らして背後を振り返った。同時に、今まで顔をおいていた所に9o弾が突き刺さり、建物の壁を焼き切って穴を開ける。振り向いた先には小さなUFOが無数に集まってきており、背後に音もなく近寄ってきたUFOは下面から伸びた腕の様な銃口をクレタに向けて、今度は一斉に発射してくる。

「ッ……!」

 他の者達ならば舌打ちするのだろうが、クレタは無言で体を大きく動かし、建物から飛び出した。UFOの撃った弾丸は、集団で同じ標的を狙ったからか、壁に穴を開けるだけでなく、その先にある地面を一斉に掘り、大きな傷跡を残していた。
 一斉掃射が自分の足下ギリギリで止まったことに僅かに安堵しながら、飛び出した勢いで倒れ込んでいたクレタは急いで身を起こした。この場にグズグズしては居られなくなった。あの謎のUFOはクレタが隠れていた建物の中のみが行動範囲らしく、追ってくる様子はない。だが飛び出して倒れた時に、こちらを振り返って来た蜘蛛と完璧に目が合ってしまった。蜘蛛は紅い目を紫に変え、大きな警戒音を発し始める。
 クレタはすぐにPKを発動させ、“光の刺”で効果範囲ギリギリにいる蜘蛛に向かって攻撃する。胴体に埋まっている目を全部、一瞬で刺し潰された蜘蛛は、ギーギーと唸りながら、目標を見失ってその場で動きを止めた。
 だが、既に仲間を呼んでいる可能性は想像に難くない。クレタはすぐにその場を走り、敵が集まってくる前にその場を去ろうとする………しかしそれでも遅かった。ガシャンガシャンと四方八方から先程の蜘蛛達が集まってきて、騒がしい音を立てている。
 クレタは相手が攻撃態勢に入る前に駆け出した。出来るだけ姿勢は低く、廃墟の瓦礫に身を隠す様にして疾走する。
あちこちからこちらへと来る蜘蛛達から隠れきることは出来ないだろうが、それでも少しでも狙い難い様にし、ひたすら出口を目指す。
 ここまで来たことで大分距離が開いているが、それでもチマチマ建物に入って捜し物をしていたため、ヘルズゲートまでは一q程の距離だった。一直線に行くことは出来ないが、建物を迂回していっても逃げ切れる。
 一体の蜘蛛が、ようやく目を潰された仲間から送られてきた攻撃目標を見つけ出す。その途端、データを共有していたのだろう。周りに居た蜘蛛達は、一斉に合間合間を駆け抜けていくクレタへと銃口を向けた。
放たれる弾丸は小口径の鉛玉だった。クレタとしては体力も精神力も温存しておきたい所だったが、死んでしまってはそんなものあったものではない。クレタはPKバリアー、“光の護り”を展開し、周りから飛んできた弾丸を弾き返しながら走り続けた。
 どちらにせよ、ここまで狙われてしまっては完全に振り切ることは難しい。今回の調査は諦める以外にない。欲張ってしまった時の報酬は、必ず命で払うことになってしまう……
 目の前を塞ぎに掛かる蜘蛛を無視して、ひたすら走り続ける。だがスタミナが無限に存在するシンクタンクと体力勝負をしても、勝つことは出来ない。そしてクレタの能力を全て攻撃に注ぎ込んでも、流石に数が多すぎた。
“光の刺”と“光の守り”を駆使して敵を倒していくが、一度に全員倒しでもしない限り、応援を呼ばれてしまうだろう。
 振り切ることも迎撃することも出来ず、クレタは冷静に状況を判断し、とにかくバリヤーを維持することに集中した。相手の火気は決して強くはない。ならばこのバリヤーさえ維持していれば、怪我をすることだけはないと判断したのだ。
 これだけの大騒ぎをしていても、他のタクトニム達がこちらへと向かってこないのが救いだった。これ以上増えられては、流石に逃げることすら危なくなる。
 迂回しながら全力で走っているため、クレタは肩で息をし、そろそろ体力も危なくなってきている。いくらバリヤーを維持しても、体力低下と長時間継続によって、段々と穴が開く様になってきてしまった…………

(………見えた)

 閉ざされているヘルズゲートが段々と開けられていく。流石に普段から開けっぱなしにしておく訳にもいかないため、監視員が、必要になった時だけ開ける様にしているのだ。そして監視員はこちらへと走ってくるクレタを見つけ、慌ててゲートを開けてくれたのだった。
 クレタはゲートを潜る直前、バリヤーを解除し、精神力を全て攻撃へと注ぎ込んだ。ここへ来るまでに倒した分、敵は約十体程………まだ多いのだが、こんな奴らをゲートの外に出す訳にも行かない。
 振り向き様に、こちらへと銃口を向けている蜘蛛達の機銃へ“光の刺”を放った。多くの対象へ攻撃する場合威力は落ちるが、それでも連続射撃で熱くなっている銃の温度を、一気に上げてやるぐらいは何て事無いことだ。溶解した銃からは弾丸は出ず、内部で破裂し、爆発する。
 クレタは爆発する蜘蛛達から視線を外し、巨大なゲートを走り抜ける。背後で閉まる扉を振り返りながら、所々穴が開いたマントをバサッと翻して着直した。深く被っていたフードは走っていた時に背中へと戻っていてしまったので、もう一度被り直す……

「………………次こそ……」

 クレタは極度に疲れた体を休めることもせず、ゲートの前から静かに離れていった………











☆参加メンバー☆

0692 宵待・クレタ

☆ライター通信☆
 初めまして、メビオス零です。今回のご依頼、誠にありがとう御座いました。
 今回は文字ばかりです。一応セリフなどは最小限(と言うか喋ってない)に押さえてあります。要望通りに状況描写ばかりですが………えっと、失礼ですけど一つだけ。
 『ヘルズゲート』は『塔』の中にあるんですよ〜〜。と言うか、セフィロトの塔の物語では、塔の第一階層はほぼ攻略されている状態です。マルクトも、第一階層にある都市なんです。
 と言うわけで、プレイングの方をかなり変えさせて頂いてしまいました。申し訳ありません。勝手にやってしまって………
 要望・苦情・感想の類は、随時受け付けております。ファンレター(中身はそうではない場合有り)以外にも、HPにBBSがあります。そちらへも、お暇でしたらどうぞ。
http://mebiosuzero.poke1.jp/
では、またご依頼を頂けたら幸いです。今回はありがとう御座いました。(・_・)(._.)