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<アナザーレポート・PCゲームノベル>


【ボトムラインアナザー≪battle2:bloody≫】

・第1バトル
■チーム名:銀狼(MS名:Katze)
■チーム名:大っきいわんこ(MS名:SilveWolf)

・第2バトル
■チーム名:ブレーヴハート(MS名:護竜)
■チーム名:アークエンジェル(MS名:紫電改)

・第3バトル
■チーム名:アライブプラン(MS名:サーキュラー)
■チーム名:ブレーヴハート(MS名:護竜)

・ファイナルバトル
■チーム名:銀狼(MS名:Katze)
■第3バトル勝者

●サーキュラーと少女
「これか、1回戦でシードだったMSは」
 神代秀流の視界に映るのは純白のMSだ。優麗なシルエットに描かれた機体は、腰から膝までがスカートのように装甲に覆われており、イメージ的にも女性的に見える。それにしても――――。
「この機体の原型は何だ? 軽量型に見えるが、バリエよりも細いな。機動性は高そうだ」
 秀流はバトラーだが、メカニックにも精通している。冷静そうな黒い瞳は、食い入るように敵機――サーキュラーを分析していた。
「武器はアサルトライフルとブロードソードか。遠距離から撃って来るか、接近して中距離で戦うか‥‥ん? 通信だと?」
『‥‥もしもし?』
 メカニックパートナーからの通信かと回線を開くものの、飛び込んで来た声は、違う少女の声だ。
『わたし、キサト・テッドです☆ これから戦う事になるけど、ヨロシクね! えっと、キミの名前聞いて良いかな?』
「名前? ‥‥神代、秀流だけど。おい、これから戦う相手の」
『神代秀流さんね☆ スゴイよね、この怪獣みたいなMS』
「か、怪獣だと?」
 青年は素っ頓狂な声をあげた。
『だって怪獣でしょ? 口あるし、尻尾あるし』
「せめて恐竜って言ってくれよ」
『えー? 怪獣と恐竜なにが違うのよ?』
「それはだな‥‥」
『あ、サイレン鳴っちゃった!』
 けたたましいサイレンが鳴り響き、バトルは開始された。

 ――フェニックス。
 アメリカ南西部ソノラン砂漠の中心にある町である。
 太陽の谷とも呼ばれたこの町を訪れる者は様々だが、皆どこかに焦燥感を持っている者ばかりだ。中でも、戦場の硝煙の匂いと緊張感が忘れられない者が多く訪れる。
 ――ボトムライン。
 かつて警察の賭博だったモノが何時の間にか広まったMS(マスタースレイブ)バトルだ。
 何ゆえ金色の大海に囲まれ、気温は40度を越える町で開催されているのか定かでないが、密かな話題になっていた。
 この物語は、硝煙の匂いと鋼鉄の弾け合う戦いを忘れられない者達が、トップ・ザ・バトラーを目指して戦い合う記録である――――

●黒星バトラー――護竜vsサーキュラー
 ――戦況は一方的だった。
「何だよキサト!」
 護竜はベイルを構えてバルカンを吹き荒らすものの、サーキュラーの銃弾は一向に当っていない。恐竜には余裕すら感じられた。望遠カメラに映る純白の機体は、次々と銃弾を受けて装甲の彼方此方から火花を迸らせている。
「こんな腕でシードだと? 噂通りってやつか?」
『わたしだって頑張っているんだもんッ!』
 ――はっ?
 通信機に飛び込んだキサトの声に、一瞬言葉を失う。てっきり回線を切ったと思っていたものを、通信機はONのままだ。
『それに、噂ってなによ!』
 ボトムバトラーが集う酒場には、こんな噂が流れていた。
 ――金持ちの娘が遊び半分でボトムラインに参戦している。
 今まで対戦した誰よりも拙い腕だ。秀流は苦虫を噛んだような表情を浮かべ、護竜を接近させた。この少女の銃弾が当るとは思えなかったからだ。望遠カメラに純白のMSを捉える。サーキュラーは左腕のブロードソードを構えた。
「格闘戦の腕はマシなんだろうな!」
 秀流は我流とはいえ、格闘にも精通している。もはや対戦というよりは、出来の悪い後輩に指導する先輩のようだ。ベイルを構えたままだが、バルカンは火を吹いてはいない。
「‥‥上段斬りか!?」
 望遠カメラに映るサーキュラーは刀を大きく振り被っていた。勢い良く振り下ろされるものの、サイドへと跳び、切っ先を躱す。そのまま視界を流し、純白の機体を捉え続けた。
「無駄が多過ぎるぞ! これで俺は捉えられん!」
『来ないでーッ!!』
 刹那、サーキュラーのマスターアームが眩い位に青白く発光すると、球状の光体を放ったのだ。護竜の構えたベイルが衝撃に半壊し、コックピットが揺れる。
「早いッ! クッ、当っただと!?」
 ――避けられなかった? MS内蔵の火器か? しかし?
『当った♪ どう? よーし、もう一発いくからねッ!』
 キサトは笑顔を浮かべているに違いない。そんな音色の声だった。
「冗談じゃない! 食らって堪るかッ!」
 護竜はそのまま接近して自分の距離を掴む。
 ――この距離で受けたら多分やられるか‥‥。
 不安が一瞬過ぎり、秀流は表情を曇らせた。頬に汗が伝う。
『あれ? なんで出ないの!? あ‥‥れ』
 サーキュラーのマスターアームがダラリと力を失うと共に、MSのスレイブアームが降りる。
「‥‥!? どうしたキサト! おいッ! ちぃッ!」
 このまま戦意喪失と判断すべきか? 何かのトラブルか? いずれにしてもバトルを止める訳にはいかない。況して相手と通信していたと知られた日には八百長と思われる可能性もある。
「やる気が無いなら倒れてくれよ」
 恐竜は咆哮をあげる如く、大きく振り被り、鉄拳を繰り出した。スレイブアームの拳が純白のMSにヒットした事を軽い衝撃が伝える中、抵抗も見せずにサーキュラーは仰向けに倒れる。響き渡るはバトル終了を知らせるサイレンを音だ。
「キサト! 大丈夫か? お‥‥」
 胸部ハッチを開き、秀流がMSを降りようとした時だ。視界に割って入ったのは一人の青年だ。
「バトルは終わりました。戻って下さい」
 彼の背後で数名の黒服の男達が動き回り、サーキュラーのハッチを開くと、息を荒げる少女を引き摺り出す。ボリュームのある癖っ毛の短か目な赤毛の少女だった。年齢は彼女と同じ位か。腰や肩にフリルが施されている胸元の大きく開いた、白いワンピースの水着を身に着けているようなバトラースーツだ。それよりも、手首と足首の先が欠如している事に戦慄を覚えた。
「おまえ等はキサトに何をしているんだ!?」
「‥‥次は決勝戦です。用意しなくて良いのですか?」
 秀流はいつでも戦えるよう身構えると、端整な風貌の青年を睨む。刹那、弱々しく聞えたのは少女の声だ。
「‥‥大丈夫だから。ちょっと疲れただけだよ。エヘ☆ やっぱり強いね。‥‥決勝がんばって‥‥」
 微笑みながら少女は瞳を閉じると、そのまま運ばれて行った。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/クラス】
【0577/神代秀流/男性/20歳/エキスパート】
【0351/伊達剣人/男性/23歳/エスパー】
【0580/高桐・璃菜/女性/18歳/エスパー 】
【0634/キリル・アブラハム/男性/45歳/エスパーハーフサイバー 】
【0552/アルベルト・ルール/男性/20歳/エスパー】
【0656/クリスティーナ・クロスフォード/女性/16歳/エキスパート】
【0592/エリア・スチール/女性/16歳/エスパー 】

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■         ライター通信          ■
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 この度は御参加ありがとうございました☆
 お久し振りです♪ 切磋巧実です。
 続けての参加とても嬉しく思っています。
 始めに『この物語はアメリカを舞台としたボトムラインです。セフィロトにボトムラインはありませんので、混同しないようお願い致します』。また、MSの演出面もオフィシャルでは描かれていない部分を描写したりしていますが、あくまでライターオリジナルの解釈と世界観ですので、誤解なきようお願い致します。
 強制イベント発生しました。キサトのシード列はダイスで決定しています。別に彼女との仲を悪くさせようとか考えていませんので、ご安心下さい(笑)。
 決勝は惜しい! ESPを被りました。敢えて判定方法は記しませんが、発動すれば必ず負けるものではありませんとだけ伝えておきますね。次回頑張って下さい。
 尚、今回からチーム名もPCプレイングデータとの事ですので、ノベルに登場していないPCも名前を一覧に記載してあります事をご了承下さい。
 楽しんで頂ければ幸いです。よかったら感想お聞かせ下さいね。
 ファンレター有り難うございました★ お返事が遅れており、申し訳ございません。記したのですが文字化けを起こしてしまい、修復もできないらしく、書き直すタイミングを計っております。もう少しお待ち下さいね(汗)。
 それでは、また出会える事を祈って☆