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<アナザーレポート・PCゲームノベル>


【ボトムラインアナザー≪battle2:bloody≫】

・第1バトル
■チーム名:銀狼(MS名:Katze)
■チーム名:大っきいわんこ(MS名:SilveWolf)

・第2バトル
■チーム名:ブレーヴハート(MS名:護竜)
■チーム名:アークエンジェル(MS名:紫電改)

・第3バトル
■チーム名:アライブプラン(MS名:サーキュラー)
■第2バトル勝者

・ファイナルバトル
■第1バトル勝者
■第3バトル勝者

●犬と猫
 ――口元に笑みを浮かべ、少女は赤い瞳を細めた。
「ふふーん♪ あの機体なんだ」
 望遠カメラ越しに映るMSに覚えがあったのだ。天井から注ぐライトに照り返し、装甲を輝かせる機体はバリエ――――。

 ――フェニックス。
 アメリカ南西部ソノラン砂漠の中心にある町である。
 太陽の谷とも呼ばれたこの町を訪れる者は様々だが、皆どこかに焦燥感を持っている者ばかりだ。中でも、戦場の硝煙の匂いと緊張感が忘れられない者が多く訪れる。
 ――ボトムライン。
 かつて警察の賭博だったモノが何時の間にか広まったMS(マスタースレイブ)バトルだ。
 何ゆえ金色の大海に囲まれ、気温は40度を越える町で開催されているのか定かでないが、密かな話題になっていた。
 この物語は、硝煙の匂いと鋼鉄の弾け合う戦いを忘れられない者達が、トップ・ザ・バトラーを目指して戦い合う記録である――――

「OH! なんて事でしょう!」
 スポットライトが注ぐ中、テンガロンハットを被った水着のブロンド美女が、額に手を当て仰け反って見せる。
「ボトムラインGPセカンドバトル『ブラッディバトル』の初戦を飾るのは、ピットファイトバトルの決勝戦を繰り広げたMSです! 神はリターンマッチをお望みなのか!? それとも運命の悪戯か!? いずれにしても初戦から見応えがありそうですッ! それじゃーボトムラインフリークの皆ー! ボトムライン! レディィィゴーー!!」

●狼再び――SilveWolfvsKatze
「先手必勝ってね♪ 遣られる前にコッチから行くよ!」
 クリスティーナ・クロスフォードの駆る銀色のバリエ――SilveWolfは、機動性を活かして躊躇う事なく床を蹴った。それは正に銀の閃光だ。シャープなシルエットの腕部には、肘の部分に幅広のロングソードが斜めに突き出ている。前回のバトルで得た優勝商品だ。優美に風を切る刃が残像を描き、胸部装甲にあしらわれた金色の星印が光輝く。
 ――――!!
 望遠カメラ越しに映る敵機との距離が次第に縮んでゆく中、少女は例え様のない感覚に襲われた。銀髪が一瞬舞い、赤い瞳を見開く。
「なに? この感覚? やだ、気持ち悪いよ‥‥」
 僅かに集中力が欠如した。誰かに覗かれているような感覚‥‥。だが、クリスティーナは頭を振ると、瞳を研ぎ澄まし、意識を敵機――Katzeへと向ける。
「あれ? やな感覚が消えた? ま、いっか♪」
 さっきまで感じた不愉快さが掻き消えた。このまま接近戦に入れば前回のバトルと結果は同じだ。しかし、状況は前回と同じでは無かった。接近している筈なのに、なかなか距離が縮まない。
「あれ? 敵もバリエなのに差が縮まらないよ。こっちは機動力を上げているのに‥‥改造が失敗したのかな? ん?」
 望遠カメラをズームさせると、違和感を覚えた。Katzeは歩いていないのだ。その代わりに脚部に映るローラーが回転していた。導き出される答えは一つ――――。
「メカニックを雇ったの!? やばッ!」
 望遠カメラに映るKatzeが銃口を向けると、7.62mmバルカンが唸り声をあげた。クリスティーナは素早くSilveWolfに回避運動を行わせたが、そう簡単に躱せるものではない。狭いコックピットが衝撃に揺れる。
「あんッ! 当っちゃった!?」
 ――過信していたのだろうか? 
 機動性を活かして接近戦で畳み掛けるつもりが、相手も機動性を高めていれば簡単ではない。況して、クリスティーナは接近戦を試み、Katzeは遠距離から銃弾を撃ち捲ったのだ。圧倒的な差が無ければ、MS戦は僅かな判断が命取りになる。
「体勢を立て直さなきゃ! クッ! また当った!」
 接近を試みていたSilveWolfは、小刻みに動きながら、40mm榴弾機銃を放ち、後退を始めた。機動音に合わせて上下に揺れる視界の中で、敵機が爆炎に包まれた。しかし、バルカンの雨は尚も装甲に叩き込まれ、ダメージを蓄積させてゆく。
「このッ! 沈んじゃえ! 沈んじゃえ!」
 一概にどちらが有利な戦況か判断は困難だった。双方機動力を活かし、移動しながら銃声を響き渡らせるものの、互いに装甲に火花と爆炎を浮かばせていたのだ。銃弾が飛び交う戦闘が続く。
「まだ沈まないの! ‥‥きゃあッ!」
 激痛が疾り、視界に鮮血が舞い散った。叩き込まれる銃弾に装甲が悲鳴をあげ、遂に機体の破片が少女の白い肌を傷付けたのだ。それだけじゃない。
「‥‥クッ、駆動系をやられたの!?」
 罅(ひび)の入ったカメラにバリエが映る。このままバルカンの雨を食らい、エンジンに直撃を受ければ機体は爆発してしまうかもしれない。否、そのまま装甲が疲弊すれば、いずれは貫通し、血の雨を身体中から飛び散らせて踊る羽目に成りかねないのだ。
 ――ブラッディバトル。
 クリスティーナは恐怖に震えた。バトラーを死亡させたら失格となるルールだが、遠距離戦で明確に敵の状況を把握できるだろうか? 競技として行われているが、戦闘に変わりはない。銃声が鳴り響き、硝煙の匂いが戦場を呼び起こす。
 ――ゴンッ★
 鈍い衝撃が伝わり、視界が傾く。次の瞬間、少女はコックピットの中で強かに背中を打ち付けた。一瞬、何が起きたのか分からず、クリスティーナは赤い瞳を見開き、呆けたような表情のまま固まる。
 刹那、耳に飛び込んだのは大きな歓声だ。
『チーム名、銀狼! ウィナーKatze!!』
「‥‥僕‥‥負けちゃったんだ」
 メカニックパートナーが胸部ハッチを開くまで、少女は呆然としたままだった――――。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/クラス】
【0656/クリスティーナ・クロスフォード/女性/16歳/エキスパート】
【0592/エリア・スチール/女性/16歳/エスパー 】
【0351/伊達剣人/男性/23歳/エスパー】
【0577/神代秀流/男性/20歳/エキスパート】
【0580/高桐・璃菜/女性/18歳/エスパー 】
【0634/キリル・アブラハム/男性/45歳/エスパーハーフサイバー 】
【0552/アルベルト・ルール/男性/20歳/エスパー】

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■         ライター通信          ■
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 この度は御参加ありがとうございました☆
 お久し振りです♪ 切磋巧実です。
 続けての参加とても嬉しく思っています。面白かったとの感想も有り難うございました☆
 始めに『この物語はアメリカを舞台としたボトムラインです。セフィロトにボトムラインはありませんので、混同しないようお願い致します』。また、MSの演出面もオフィシャルでは描かれていない部分を描写したりしていますが、あくまでライターオリジナルの解釈と世界観ですので、誤解なきようお願い致します。
 なんとー! 番狂わせ発生ですね。なぜ!? 接近戦? このまま遠距離戦の撃ち合いなら結果が変わった可能性もありました。
 ノベルで起きた不可解な現象は、他の方のを参照して見て下さい。ポイントに助けられましたね。次回頑張って下さい。
 尚、今回からチーム名もPCプレイングデータとの事ですので、ノベルに登場していないPCも名前を一覧に記載してあります事をご了承下さい。
 楽しんで頂ければ幸いです。よかったら感想お聞かせ下さいね。
 それでは、また出会える事を祈って☆