PSYCOMASTERS TOP
新しいページを見るクリエーター別で見る商品一覧を見る前のページへ


<アナザーレポート・PCゲームノベル>


■うさ耳になった日■

「こんな依頼が来るなんて、プラハ平和条約機構“エヴァーグリーン”もヤキが回ったか」
 ぴょんぴょんと足元の沼地を跳ねる蛙たちをぼんやり見下ろしつつ、シノム・瑛(─・えい)は、思わずそうつぶやいてしまった。
 依頼は、とある研究員から。
 どうしても、今研究しているものにこの蛙たちが必要だというので、蛙捕りを引き受けたのだが───まあ、こんな依頼も平和でたまにはいいだろう、となんとか思ってみる。
 依頼に協力してくれている者達も、なにしろ依頼の蛙の数がけっこう多いものだから、必死になって捕っている者もいる。
 ふとそこに、くすくす、と笑い声が聞こえた。
「みーんな、ぼくと一緒になっちゃえ〜」
 声の主を確かめようとしたとき、ぽんっと瑛の頭のすぐ上で音がした───嫌な予感がして、そろりと手をその部分に当ててみる。
 ───ふかふかした本物のウサギの耳の手触りだった。
「っ……誰だっ!」
 瑛の怒鳴り声にも、あはは、と声が響き渡るだけである。
 どうも、沼地に続いている畑から聞こえてくるようだ。
 そういえば、と瑛は、依頼してきた研究員が妙なことを言っていたのを思い出す。
『あそこの沼地には、管理人がいる。そこの息子らしき子供が、時々悪戯をするんだ。その子供っていうのがまた特殊な超能力を複数持ったエスパーでね。超能力のひとつは、なんでもかんでも好きな動物の姿に変えちまうこと。それと、動植物にあらゆる作用を持たせること。ま、状態変化だと思ってくれればいいが、気をつけてくれよ』
 その時は話半分で聞いていた瑛だが、実際にウサギ、いや、しかもウサギの耳だけが頭につけられたとなると話は別だ。
 周りを見ると、協力していた者達全員の頭に、瑛と同じウサギの耳が生えていた。
「元に戻りたかったら、畑の改良された野菜掘り起こして、食べないとなおんないよ〜♪」
 あはは、と声が遠のいていく。
「機械で声を流してんのか? クソっ! どこにいる!」
 瑛は探してみるが、それきり声はやんだ。
 どうやら、蛙捕りにプラスして、改良された野菜の掘り起こし&食事会を開かねばならないようだった。



■うさぎ達の謝肉祭■

 この年で、うさ耳か。
 未だ状況に慣れない瑛がうずくまっていると、ぽむぽむ、とそのうさ耳を誰かがやわらかくたたく。
「ぴゃっぽ〜! シノム〜、か〜い〜ねぇ〜♪ って、プーも似合う?」
「かっ」
 可愛くなんてない、と立ち上がり、振り向いて抗議を言いかけた瑛は、そこに、依頼で大抵一緒になっているプティーラ・ホワイトのうさ耳姿を発見した。
「……可愛い」
 ぽつりと言ってしまい、「そうじゃない!」とすぐに正気に戻る。
「感触まであるぞこのうさ耳!」
「精密に出来ているのね」
 11歳、と聞いていたがその口ぶりはクールで、もしかしたらこの中で一番「こうなってしまった場合の頼りがいがある人間」かもしれない、とメイ・フォルチェを見て瑛は思ったものだ。
 なにしろ残りの一人の、唯一瑛と気持ちを共有できると信じていた、男性であるキウィ・シラトは、
「皆さんかわいいです〜おそろいです〜」
 と、実に楽しそうにしていたからだ。
(こいつ……去年のクリスマスの時にはこんな趣味があるとは知らなかったぞ)
 キウィには去年のクリスマスに会っただけの瑛だが、ついそんなことを思ってしまう。
 おのおの一頻り楽しんだり落ち込んだりしたあと、さてどうしよう、とやっと現実的な問題になった。
「野菜の掘り起こしか……まったく犯人(?)の意図が分からないのが難点だな」
「あ、野菜掘り起こすのはいいんだけど、その管理人さんに許可もらったほうがいいと思うよ。管理人さんが全然知らないところで勝手に掘り起こしたりして、あとでややこしいことになっても困るしね」
 相変わらずおとなびた、プティーラである。それもそうだな、と瑛は管理人の電話番号を常備している調査機で検索し始める。この瑛専用の調査機、掌にすっぽりと入ってしまうほどに小さいが、その性能は抜群で、瑛は気に入っている。
「ぼくと一緒、っていう言葉が気になるんだけど。一緒……同じ……うさ耳が同じ? 会ってみないとどうにもならないと思うんだけど、一緒に散歩して案内してもらったりなら歓迎するのに、どうして『会えない』のかしら」
 気にはなるけどまずは野菜探しと依頼達成よね、と言うメイは、子供のことが引っかかるらしい。
「子供さんは一緒に遊びたいのかもしれませんよ? 私は会ってみたいです。兎さんのお耳がとても可愛いに違いありません! 兎さんがお好きなのだとしたら兎さん好きに悪い人なんていません!」
 何故か自信たっぷりに言い放つキウィの足元を、彼がこの依頼に参加するにあたって瑛の許可をもらい、連れてきていたペットのうさぎがぴょんぴょん飛び跳ねているのを、じろりと瑛が見下ろす。
「お前それは、自分が悪い人間じゃない、と言っているのと同じだぞ」
「えっ……あっ、いえ、私は別にそんな」
「気にしない気にしない、キウィちゃん、シノムは皮肉言ってるだけだし」
 焦るキウィをなだめるプティーラ。どちらが大人なのか。
 むすっとした顔の瑛だが、頭にうさ耳がついているのでどうにも格好がつかない。
 やや不機嫌に「管理人」と連絡をつけて野菜の掘り起こしの許可をとると、その旨を全員に伝えた。
「うーん……私は探査しか出来ないし、地面にはさすがに厳しいから、地道に捜索して……すばしっこい蛙なら発見したら知らせるから、お願いね」
 と言うメイに、プティーラが何か思いついたらしく、目を輝かせる。
「ついでに蛙のほうも依頼とは別にとらせてもらって、料理しようよ! そのほうがバリエーションが増えて、おいしいだろうし。あと、管理人さんやうさ耳はやした子も探して誘ってみようよ」
「蛙肉は調理方法さえ間違わなけりゃ美味いけど、後半部分は難しいかもしれないぞ。管理人は書類がいっぱいで忙しいらしいしな」
 瑛の言葉に、プティーラは「誘い出しちゃう感じなら、出てきてくれるかもよ?」と断然乗り気である。
「お料理は私もやります! 蛙とりもします! 皆さんおそろいうさ耳で食事会したら楽しいと思いますし、プティーラさんの案に私は賛成です!」
 早速、大方依頼ぶんの蛙を捕り終えてしまったキウィが、食べられそうな蛙を見分けて捕り始めながら同意する。
「じゃ、私はとりあえず触れて歩いてみるわ」
 と、メイ。
 彼女が依頼に参加する時に聞いていたが、彼女には探査という能力があり、人、物に関わらず触れる事で過去視を行える、というものらしい。意識しなければそれが行われることはないので、普通に普段、生活において人に触れる分には「大丈夫」らしいのだが。
「ああ、それじゃ俺も護身についてくよ。依頼で来てくれたのに、こんなことになっちまった上、何か起きたらそれこそ申し訳ないしな」
 そしてメイと瑛は探査・捜索に専念し、プティーラとキウィは食材(蛙・野菜)集めと料理をすることになった。



 広大な野菜畑なので、プティーラとキウィの、些か原始的な料理の準備を始めている姿が遠目からでもよく分かる。
 しばらく地面に手を当てていたメイは、やがて深いため息をついた。
「何か分かったのか?」
 瑛の問いに、「あまり人間として分かりたくなかったけど」とメイ。
「? どういうことだ?」
 全員いるところで話すほうがいい、と判断し、メイは少し考えると、再び料理組のほうへ戻っていく。察して、瑛も後を追った。
「わー、改良されてるってあの子いってたけど、ずいぶん美味しそうな野菜だねー」
 マイペースに、どちらかといえば休憩のほうが多いキウィをせかしながら、彼の掘り起こした野菜をしげしげと見つめる、プティーラである。
「いろんな野菜があるのですね。にんじん、きゅうり、ナス、トマト……ジャガイモにキャベツ、サツマイモ。なんの変哲もなさそうなんですが、どこが改良なんでしょう?」
 キウィのペットであるウサギは、先ほどから何かひとつのものを一生懸命かじっている。それを取り上げたのは、戻ってきたメイだ。
「? なにかしら、このにんじん……小さな羽根みたいのがくっついてるわ」
「真相はこれしか改良されてないとか、な」
 そうであってほしいと願う、瑛である。
 戻ってきた二人に、プティーラは目を丸くする。
「あれ、もう戻ってきたの?」
「何か分かったんですか?」
 野菜堀りをやめ、既に蛙も人数分捕り終えていたキウィも歩いてくる。
 全員が集まったのを確認し、メイは分かったことを伝えた。
「どうやらあの子、過去に何度も入退院を繰り返しているみたい。あんまり綺麗じゃない病室で、『遊びたいよう』って、すっかりやつれている姿が見えたの」
「じゃ、今はあの子は退院しているってことですか?」
 キウィが驚いたように身を乗り出す。瑛のジープから持ってきた調理器具に手が当たり、ちょっとやけどをしてしまった彼である。
「『ぼくと同じ』って、どういうことなんだろ? あんまり遊べなくなる、自由がきかなくなるってことかな」
 そんな涙目のキウィをなだめ、治療してやりながら、プティーラ。
 うなずいたのは、瑛だ。
「多分、そうだろうな。っと、それ、もう出来てるんじゃないか?」
 瑛の言葉に、プティーラとキウィが、慌てて焦げ付かないよう、それぞれに調理していたものの火を消す。
 美味しそうに出来たのは、瑛がいつでもキャンプできるようジープに常備していたもので作った、野菜と蛙肉に調味料を加えて作った炒め物、それにスープ、新鮮サラダだった。
「あっ、あの子」
 味見するより早く「件の少年」を見つけたのは、メイだ。
「楽しそうにしてよう?」
 プティーラが言って、手ごろな岩を設置して椅子のようにしていたそれのひとつに、腰掛ける。なるほど、と瑛も察し、その隣に。キウィはその向かいに座り、「メイさん、早く早く。食事会ですよー」と楽しそうに───彼の場合は心底楽しんでいたのかもしれないが───手招きし、意図が分かったメイもその隣に着席する。
 そう、これはいわば天岩戸。
 天岩戸作戦とでも言おうか。発案者はプティーラであった。
 うさ耳にも負けず、それを苦ともせず、食事会まで開くほどに楽しんでいる姿を見せつけられたら───絶対に、引っかかるに違いない。少なくとも、何かリアクションは起こしてくるだろう。
「いただきまーす♪」
「いただきます」
「いただきますー♪」
「右に同じ」
 プティーラとメイ、キウィの順に手を合わせて食事に手をつけたところに、瑛の低音。にこにこ顔で、プティーラに弁慶の泣き所を蹴られた。仕方なく、まあ苦手ではない演技をすることにする瑛である。
「わ、すごく美味しい! やっぱり途中でキウィちゃんの手から野菜と蛙肉、保護してよかったよ〜」
 食べてみると、本当に美味しい。プティーラは「こういう世界で生きている以上、一応そういう材料をそれなりの料理にはできるから」とは言っていたが、言うだけのことはある。確かにどれも美味しかった。
「私も一生懸命作ったんです……」
 でも美味しいです、とすぐに機嫌をよくしたのは、料理の腕を疑われたキウィである。
「一生懸命作ってたんなら、お前の味も入ってるさ」
 慰めるように、瑛。
「本当に美味しい。外で食事というのも、悪くないわね」
 否、外でのほうが数倍美味しい。メイはそう思い───ふと、いつの間にかいなくなっていた「白いもの」に気がついた。
「あれ……キウィさん。あなたのペットのうさぎは、どこにやったんです?」
「そういえばいないね」
「さっき、キウィがやってた野菜炒め食ってたところは見たぞ」
 一瞬、まさか一緒に料理したのではと言いそうになった瑛だが、記憶に残っていたことを思い出したのでやめた。
「よかった、プー、料理に夢中だったから一緒に料理しちゃったかと思った」
 瑛が言う前に、プティーラも同じことを考えていたらしい。ぎょっとしたキウィ、
「そんなことされたら、一生泣いて暮らしますっ!」
 と、早くも泣きそうである。
「あ。あれを見て」
 やや小さな声で言ったメイの、隠すように指差した先に。
 彼のペットは、いた。
 少しだけ離れた岩陰に、ちょこんと座った少年の周囲を、ご機嫌のように飛び跳ねている。
「……キウィ。お前のウサギはイキがいいな」
「食材みたいに言うのやめてください〜。うちのうさぎさんは、元気がいいんですっ」
「でもなんだか、ハイになってる感じもするね」
「……ふふ」
 瑛、キウィ、プティーラ、そしてメイ。
 最後のメイが、不穏な含み笑いをしたので、他三人は思わず、少年とうさぎから、メイへと視線を転じた。
「なにしてるの? さ、もっと食べましょ! 踊りましょう!」
 およそメイの性格からは考えられないとびっきりの笑顔、そして台詞。
「ど、どうした、メイ」
「まさか、この料理、もとい食材の野菜の効果なんじゃ」
「でもプーはなんとも」
 ないよ、というプティーラの声はかき消され、あっという間に掌大のうさぎにまるまる変化してしまった。
「うわあ、プティーラさん、かわいいですっ!」
「第一声がそれか、キウィ」
「いいじゃない、ほら瑛さんも!」
「あんなうさぎになってたまるか!」
 もしかしたらハイになるだけではなく、様々な効果があるのではと気付いたときには、遅かった。
 キウィは「料理やみんながおっきいよ」とうさぎ姿でも喋れるプティーラに、「くれぐれも踏まれないようにしてくださいね」と注意していたところ、身体中からいっせいに、様々な花が咲いた。
「シュ、シュールだなおい」
「綺麗ね! 食事会って楽しいわね」
 どこまでもハイになってしまっている、メイ。
「手品師みたいだよ、キウィちゃん」
 うさぎ姿で笑う、プティーラ。
 その頃には、主人の意図が通じたのか自分の意志なのか、キウィのウサギと、そして楽しい雰囲気と美味しそうな料理の香りとにつられてついにすぐそばまで、少年がきてしまっていた。
「驚いたな、こんなに美味しい料理、食べたことない……病人食に慣れていたから」
 座らされることにも抵抗せず、野菜炒めやスープに口をつけた少年は、感動したように言い、名前を「エイチ・ミサ」と名乗った。
 彼の話は、瑛たちの想像と少し、違っていた。



 彼には、双子の弟、エセラがいる。
 エイチはまだ病状はいいほうで、入退院は繰り返す程度だったのだが、エセラはもう赤ん坊の頃からずっと、病室から離れられないのだ、と。
 母親はとうに亡くなっていたし、父親である管理人は、この双子を治すものをと自分の所有する野菜畑の野菜の改良を始めて今に至る。
 でも、その野菜を食べても、ちっとも美味しくないし、それどころか妙な症状まで出るので病院から、差し入れも完全にとめられてしまったのだという。



「じゃ、エイチちゃんは弟の気持ちをかわりに伝えるために、助けを求めるために、こんなことしたんだね」
 うさぎ姿のプティーラの言葉に、エイチは、こくんとうなずく。
「やけになってたってことも、ある。これでみんなを動物に完全に変化させて、どこかに売り飛ばせばいい、閉じ込められる気分を少しでも他の人間達にも味わわせたかったから」
「確かに妙な症状は出ますけど、『悪いほうの症状』は、今のところでていませんよね」
 キウィが、「この花は特に身体に悪い影響はないみたいですし」と付け加える。
 ハイにはなっていたものの、話をちゃんと聞きながら黙々と食事をしていたメイが、そのとたん、二度目の「変化」をとげた。
 メイ等身大の、あらいぐまだった。
 そして、プティーラのほうは掌大から普通のサイズのウサギに変化し、キウィはというと。
 きょろきょろ周囲の人間を見渡していたかと思うと、一番近くに座っていたエイチ少年に、いきなり抱きついた。
「わっ!?」
「好きですっ!」
 驚くエイチ少年と、頬を染めて突然告白する、キウィ。
 ハイな気分ではあったものの、あらいぐまに変化したことに仰天していたメイも、これには引いた。プティーラはキウィのペットのウサギと遊んでいたが、こちらも驚いた。
「なるほど。さしずめ今度は、一番近くにいた相手に異様に好意を持ってしまう、とかか?」
 うさ耳はそのままに、それ以外は全身銀色狼になっていた瑛が、ふっと哀愁を漂わせながら、言った。



 その後、エイチ少年とキウィの「追いかけっこ」や「抱擁」を傍目に楽しみながら、そのままの格好でもなんとか他の料理をしてみたり、味付けを変えてみたりして「身体の状態を一時的にでもよくする」、できるだけ小さな、隠して病室に持って入れるような料理をメイとプティーラは試行錯誤で編み出し、瑛はその旨を管理人に連絡し。
 数日後、ようやく「効果」が切れた彼らは、エセラ少年のもとへ向かい、見事、エセラ少年を病院から連れ出したのだった。



 連れ出したそのあとは、しあげもごろうじろ。
 今度はほろ酔い気分になる効果だけの料理をついでに編み出していたプティーラとメイによって作られたものを食べた全員で踊り、ときには遊びでウサギ姿になり、双子達を巻き込んで、さながら謝肉祭のように。
 楽しい毎日が、繰り広げられたのだった。
 管理人ももちろん瑛の連れてきた三人が編み出してくれた料理をもとに喜んで研究を進め、ついに「定期的に食べれば心身ともに健康になれる美味しい料理」を作り出し、
 それを食べて、双子は元気になったという。
 むろん、本来の依頼であった「蛙捕り」も忘れてはいない瑛が、全員の集めたそれを研究員の元に持っていって謝礼をもらって、ここ最近の恒例である「謝肉祭」の場所、あの野菜畑に行ってみると、はたしてプティーラとメイ、キウィ、そしてエイチにエセラ少年は楽しそうに食べたり踊ったり、時折様々な動物になっては楽しんでいた。
「ね? 食事会も捨てたものじゃないでしょ?」
 プティーラが、エセラ少年と踊りながら、片目をつぶる。
「ええ。本当、なにより双子さんがよくなったのなら、いうこともなしだわ」
 やってきた瑛に食事を取り分けながら、メイも少し微笑んでいるようだった。
「しかしあれだな、あれはいつもああなってる気がするんだが、なんとかならないのか?」
 もはや苦笑するしかない、といった感じで「またあの料理を食べたのか」と思いつつ、メイのとってくれた料理を食べ、キウィとエイチ少年を見やる、瑛である。
 誰かがいつも、意図的に───明らかに楽しむために「その料理」を出して混ぜているとしか、思えない。
「エイチさーん、待ってくださあああい! 私のこの想い、偽りではありませーーーーーん!」
 情熱的に、今日は赤い薔薇の花束を持ち、エイチ少年を追いかける、キウィの姿がそこにある。
「効果が切れたらその想いがなくなるんなら、偽り以外のなにものでもないっての!」
 必死に逃げ回るエイチ少年の姿も、そこにあるのだった。

 ともあれ、うさ耳で始まった物語は、
 双子少年の幸せで、こうしてつつがなく、幕を閉じる。


《完》
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0026/プティーラ・ホワイト (ぷてぃーら・ほわいと)/女性/6歳/エスパー
0712/メイ・フォルチェ (めい・ふぉるちぇ)/女性/11歳/エスパー
0347/キウィ・シラト (きうぃ・しらと)/男性/24歳/エキスパート
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
こんにちは、東圭真喜愛(とうこ まきと)です。
今回、ライターとしてこの物語を書かせていただきました。また、ゆっくりと自分のペースで(皆様に御迷惑のかからない程度に)活動をしていこうと思いますので、長い目で見てやってくださると嬉しいです。また、仕事状況や近況等たまにBBS等に書いたりしていますので、OMC用のHPがこちらからリンクされてもいますので、お暇がありましたら一度覗いてやってくださいねv大したものがあるわけでもないのですが;(笑)

さて今回ですが、まずは納品日ぎりぎりになってしまい、本当に申し訳ありませんでした;
サイコマでは初めての試みとなります、ほのぼのコメディ(?)サンプルをUPしてみましたが、これが案外書きやすく、書いていて楽しかったので、機会があればまたやりたいなあ、なんて思っております。また、皆さんの効果については、それぞれ振っていただいていた二つのダイスの目のとおり、作っておいた結果とてらしあわせたものになりました。ご不快になられてしまったら、すみません;
また、今回は御三方とも同じ文章とさせて頂きました。

■プティーラ・ホワイト様:いつもご参加、有難うございますv 楽しくノリに乗ったプレイング、嬉しかったです。どうせなら踊ったり、のあたりで今回の「謝肉祭」が決まったようなもので……(笑)。うさぎの姿に、ということでしたのであらいぐまや狼、虎などあったのですが、無事に(?)うさぎさんの姿にあたって東圭もほっと致しました(笑)。
■メイ・フォルチェ様:初のご参加、有難うございますv 大変真面目な方だな、と認識していたにもかかわらず、内容がこんなぱやぱやなものになってしまってすみません……; 二つ目のダイスが「動物に変化→あらいぐま」になってしまいましたが、ご不快になられたら本当にすみません; 探査、というのは本当に助かりました。
■キウィ・シラト様:お久しぶりのご参加、有り難うございますv 食事会、という案はプティーラさんと同じでしたので、のりまくって書かせていただきました。ペットのウサギさんはキウィさんの意図を汲んでか、勝手にエイチ少年を誘い出したのですが……くじの結果とはいえ、「近くにいた人間に異様に好意を持つ」効果になってしまい、大変申し訳ありませんでした; いえ、書いてるほうは楽しかったのですが……効果の間だけのことと思って、水に流してくださいませ〜(ひたすら平伏);

「夢」と「命」、そして「愛情」はわたしの全ての作品のテーマと言っても過言ではありません。それを今回も入れ込むことが出来て、本当にライター冥利に尽きます。本当にありがとうございます。なんとなく、今回のは「そこらへんに転がっている何気ないもの」になったとは思いますが、テーマを遂行できたのは間違いありませんので(笑)。また、こんな感じのノベルが書けたら楽しいだろうな、と思います。

なにはともあれ、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
これからも魂を込めて頑張って書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します<(_ _)>

それでは☆
2005/11/28 Makito Touko