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<PCパーティノベル・セフィロトの塔>


【専用オープニング】ヘルズゲートの向こうとこちら

ライター:深海残月


■Opening

 ビジターたちがセフィロトの探索に向かう地獄への入口、ヘルズゲート。ビジターズギルドの手により堅固に守られているそこではあるが――ビジターの求めに応じてそれなりの回数、開閉がある以上――ビジターたち同様、ゲートのその向こうからタクトニムがマルクト側に手を伸ばしてくるのもまた、日常茶飯事と言える訳で…。

 …そんな訳なので。

 門番のMSがゲートを開けたその途端。
 御挨拶とばかりにタクトニムとばっちり目が合う事もある。
 が、空白は一瞬。次の瞬間にはそのタクトニムはゲートのこちら側へと――。

 …と、こんな事も良く起こる。
 そして誰か何とかしろと怒鳴る声が響くのもまた日常茶飯事。が、そんな声に悠長に答えるような輩は存在しない。言葉より先に行動するのがここいらの連中――特にビジターと呼ばれるような連中で。



■Main

 …その日のトキノ・アイビスはビジターズギルド本部前を歩いていた。そうは言っても今日の用事は本部には無い。その先にあるヘルズゲート――その向こう側が今日の用事がある場所で。
 つまりはトキノの今日の目的は、ビジターとしてのお仕事こと、セフィロトの塔内イエツィラー探索になる。
 トキノの場合、ビジターになった理由、その目的は三つ――審判の日以前の技術への興味と、まぁ大方のビジターがそうであるように――何らかのレアアイテムの入手。
 …それから、彼の場合は自己鍛錬も目的に含まれる。
 トキノはビジター資格をとって間もなく、探索に訪れた回数はまだ少ない。だからこそ、研究所での本業との折り合いが付けば――時間が合えば、機会が出来れば――なるべく多く、ビジターとしてセフィロトの塔イエツィラー内の探索をしてみようと考えている。
 自分の目的の為には、場所に慣れ、敵となるべきモノを良く知る事――それがまず第一になると思うので。
 思う通りに、粛々と実行している。

 ヘルズゲートの門番はMS――マスタースレイブである事が多い。…本日もご多分に漏れずその通り。取り敢えず見えるのは『X-AMS-39 ディスタン』四体。汎用型でバランス良い設計、非常に使い易く高性能、任務を選ばない――とされているセフィロト製の代物。…ビジターズギルドの底力が垣間見える機体になる。そんなMSに搭乗した門番がトキノのビジターライセンスカードを受け取り身元確認。他のゲート通過希望者は。次にライセンスカードを門番に渡していたのは色白で鼻の頭にそばかすを付けた黒髪黒瞳、身に着けている功夫服まで黒の東洋系な少年。後頭部高い位置で結い上げた長い髪が尻尾のように背中に垂れている。カードからちらりと見えた名前は――朱・瑤。ふと目が合うと、トキノは静かに目礼。それを受け、瑤の方も胸の前で手を合わせトキノに礼を取る。姓は朱、名は瑤、初めてお目に掛かります。…告げたのはそれだけ。ビジターである事は今の状況を見ればお互い明白。わざわざ紹介にそこまで含める必要も無い。そしてそれ以上の説明の必要は――取り敢えず感じない。それ程近い身でもない。
 …トキノ・アイビスと申します。こちらこそお見知り置き下さい。瑤の挨拶を聞いてから、トキノも瑤へと丁寧にそう返している。当面の自己紹介。当面、と言えどもトキノの場合その立ち居振る舞いの一つ一つに気品が見える。ただ、それ以上は――名前以上は何を言ったものやら。少し考える。互いの戦闘手段を伝えて把握しておく必要はあるか。あると言えばあるが今この場でわざわざ他者に教えたくも無いと言えばその通り。どちらも然り。どうせ戦闘手段は必要な時になれば――共にゲートを潜る以上、共闘するような羽目にでもなれば――身体が動けばその時にはお互い自然とわかるか。…つまりはあまり今すぐ必要でもないだろう。それはお互い事前に知っている方が事が起きた時に戦略は組み易いが、そもそも共闘が前提でもない。全て、ゲートを潜ってからの状況次第。
 ともあれトキノも瑤も、初対面である上にどちらもあまりこう言ったコミュニケーションが得意ではない方になるので、自然、それ以上の会話は続かない。
 他のゲート通過希望者は。門番が簡単に周辺を確認するが、それらしき姿は見当たらない。今回は――取り敢えず二人か。門番たちはそう思い、門の脇でパネルを操作しゲート開放を実行する――実行しようとしたところで、待って下さい私も、と少し離れた位置からまた別の声が飛んできた。声に続いて聞こえてきた足音。その主は鋲の多い黒レザーのロングコートに、やや癖のある長い黒髪を後頭部低い位置でひとくくりに束ね垂らしていた。瞳は青。上品に髭を生やした渋い顔立ち、黒尽くめの紳士の姿。高周波ブレードにバルカン砲を装備品として持参している。
 そして慌て混じりでライセンスカードを取り出し門番に差し出したところで――その黒尽くめの紳士の動きが俄かに停止した。その時、彼の視界に入っていたのはトキノ。深紅の和装めいた――何処か軍服めいた印象も与えられる独特の衣裳、腰には日本刀型のブレードが二本。肌の色は濃く、瞳は赤い――それから垂らされたままの長い黒髪の毛先だけが白い特徴的な姿。それを認めると――何となく、神妙な顔付きになる。嫌そうに目を細めてもいる。と、そんな黒尽くめの紳士に、もう一人の黒尽くめの少年が思わず声を掛けていた。
「…シオンさん」
「ああ、瑤さんじゃないですか。これから?」
「はい。…たまには行かないと腕が鈍りますから」
「私も似たようなものですね」
 それは他にも目的はありますが――今は特にそちらを重視したいかもしれません。
 と、シオン――シオン・レ・ハイはにこやかに答える。が、どうもその明るい反応は――あからさまに瑤を見ている時だけの事で。それ以外の時は、どうも機嫌が悪そうに見える。…トキノが、原因なのか。
 シオンのライセンスカードが門番から返される。それで――今度こそ他のゲート通過希望者はもう居ないなと確認し、門番はヘルズゲートを開放する。
 と。
 瞬間的に、緊張が走った。す、と殆ど音も無くスライドするゲートの扉――開かれたその隙間、向こう側にまず見えたのは――何か、『動く』モノ。
 今現在、ゲートの向こう側からビジター帰還の報告は、無い。
 …と、なれば。
 それ以上を思考に乗せるまでもなく、反射の領域で動いている深紅と黒で出来た影が居た。いつの間にか引き抜かれていた白刃。門の隙間から伸びて来た動くモノ、筋肉や血管が剥き出しの如きグロテスクに鮮やかな色を持つごつい手指。がしりと門を掴み、押し退けるようにしてこちらに乗り出して来ようとする。そこで――深紅と黒で出来た影ことトキノの白刃が閃いた。直後、一拍置いてからその手の先と思しき肉塊がぼとりと落ちている。今何が為されたのかの軌跡は見えない――だが、その結果だけは明白で。
 凄まじい咆哮が轟いた――手首が切断された痛みでか。それで他の面子も気付く。その身体を覆うべき皮膚が無いような姿。人ならば手首――に該当するだろう位置から先、すっぱりと無くなっている。
「ケイブマン!?」
 ――…いや、なんだアレは…。
 驚いた声が上がる。瑤。だが口の方では驚いていても――身体の方は身に付けている技故か、冷静に次の瞬間には装備している器械を構えようと手が伸びる。…まさかこんなところにまでビジターキラーが出てきたらシャレにならないよな。ひとりごちながら子母鴛鴦鉞の二刀を引き抜く――つもりではあったが。
 そんな瑤より先にシオンの方が、先にブレードを抜き、前に出ていた。いつ切り換えたのか高周波はONになっている。開いたばかりのゲートへと力強く踏み出しながら、シオンは瑤曰くケイブマンらしき姿――にしては青味を帯びた紫色の皮膚がこびり付いていたりビジターキラーの如き異形の腕らしきものが背中にも見えたりしているのだが――とにかくそんな姿の正体不明タクトニムに斬りかかっている。
 シオンはそんな姿の全容を確認したその時にはブレードでごっそりと脇腹――に位置するだろう肉をこそげ落としている。血肉剥き出しの巨体が更なる激痛に反射的に怯んだそこで、すかさずくるりとブレードを持ち変え、改めてこそげ落とした傷と同じ位置へとブレードを叩き付けた。再生させる間を許さない――再生する前に傷の上から荒っぽく挽き切る。今度こそその胴を両断。背中の腕もついでに切断されていた。
 ケイブマンの系統となるなら――しぶとさが売りになるだろう。それでも、電源ON状態の高周波ブレードと軍事用オールサイバーになるシオンの膂力や技量を合わせるとそれ程の脅威でもない。そこまで為してからシオンは、ふ、とトキノに意識を向ける。今は先に気付かれ動かれてしまった。が、トキノにばかりいい格好をさせる訳には――負ける訳には行かない。その競争心が、今前に出た理由の一つでもある。…勿論、それだけでも無いが。
 と。
 シオンが思ったそこで――シオンが胴を切断したケイブマンらしき一体の、切り離された頭部から上半身――に当たるだろう部分へとトキノが躍り掛かっていた。その上半身、まだ宙に浮いており地に落ちていない段階での事。素早い動きで白刃が閃く――いつの間にしていたのかトキノのそのブレードの高周波もON、それで素早く細切れに斬り刻んでいる――特に頭部。素早い動きで白刃が閃く。ケイブマンらしきタクトニムの上半身は――肉塊と言うより最早血膿のような状態になって今度こそ地に落ちた。軽やかに着地するとトキノは静かに告げる。
「ケイブマンであるなら肉体再生能力は強力ですから、このくらいの用心は、しておいて然るべきかと」
 …せめて頭部を――脳と思しき部分くらいは完膚無きまでに潰しておかないと。胴を両断したからと言って再生の可能性は否定し切れないと思いますが。
 否定のしようが無いその科白に、またシオンがぴくりと反応。
「…そんな事は貴方に言われなくともわかっています」
「そうでしょうか。…まぁいいでしょう」
 今はそれどころではない――新手が、来ていますから。
 トキノがそう言ったのと同時か少し早いくらいのタイミング。門の向こう側へと門番たちの20mmオートライフルが火を吹く――逆からの攻撃もまた然り。タクトニム。まだ居た。門の向こうとこちら、両方から火器での砲撃が為されている――と思ったが。
 何故か、門のこちら側にはあまり弾が飛んで来なかった。音はする。マズルフラッシュも見える。火薬の匂いも煙も立ち込めており視界も悪い。けれどそれは主に門の向こう側での事。こちらにまでは殆どの場合で弾が届いていない。影響が少ない。何故か――誰かが何かをしている。わかったのは煙の切れ間から門の向こう側が見えてから。そこにいる数体のタクトニム、その周りに不可視の柔軟極まりないゴム製の網か膜か何かが張ってある――ようだった。タクトニムが門のこちら側へと発砲する――と、その網で弾丸が捉えられ、勢いのまま少し伸びるが――やがてある点で止まり、殆ど勢いを殺さないまま撃った者へと跳ね返る。…それで、撃った当のタクトニムに直撃。
 無論、火器を持つタクトニムの全部が全部をその網で取り囲めた訳ではない。そこまで広範囲・多数対象で一度に使える能力でもない――特に危険な火器を装備していると見えた門の向こう側のタクトニム数体に予め見当を付いておいたから出来た事。
 気功とPKのコラボ――これら、トキノやシオン、門番から一拍遅れての瑤の仕業。力を殺すのではなく逃がし転じて己の力と為す太極の拳法が活かされた気の網――【PKバリアー】の発展系とでも言うべきか。ただそれでも、それだけでは跳ね返った弾が標的にとって効果的な威力を持っているか、標的の急所に当たるかどうかまでは――さすがにその時点で見極められる訳では無くて。
 運が良ければそれ以上の効果はあるだろうが、取り敢えず足止めくらいの意味でしか確実性はない。元々それは承知。瑤は改めて気の網を張りつつも何処が急所か見極めに入る。跳ね返った弾はどのくらいのダメージを齎せているか。特に弱そうな部位は。強そうな部位は。
 網に囲まれたタクトニムの銃撃が止まったところ。そこを見極め、【PKフォース】と言うべきか【ソニックブーム】と言うべきか――それとも外気発勁と見るべきか。門番の掃射で倒れなかった個体を狙い、瑤は気の網と切り換える形でそんな技を叩き込む。それで数体、撃破。
 したが。
 それで終わりでもなく、他の個体がまた門のこちら側へと襲い来る。また別の個体からの銃撃も来る。瑤はひとまずそれら銃撃戦に巻き込まれぬよう転がって避け、再び戦況を確認。特に動きが速いと見た個体へと再び気の網を張り、動きを止める事を試みる。タクトニム側と門番側の銃弾がまだ飛び交っている。…フルオートで撃ちっぱなしならそろそろどちらも弾切れになりそうなところだが。思っているところで程無く、予想通りと言うか何と言うか、がきん、と重苦しい金属音も耳に届いた。それが、何度か続く。
 …先程撃破したのとはまた別のケイブマンらしき個体が門番の一体へと硬い爪を振り下ろしている。門番はその爪をMS仕様な盾で受けていた。…そうは言っても襲い来るその爪はMSの装甲を引き裂く事も難しくないだけの力があり――盾がその力に耐えられるかは微妙なところ。暫しの膠着。
 と、そこにシオンが躍り掛かっていた。その時、タクトニムの意識は目の前の門番に全て向いている。シオンには今のままでは門番のMSが咄嗟に構える事が出来た盾も危ないと見えていた。タクトニムの背後、先程トキノに言われた事も意識の内にあったか――シオンはまず頭部にブレードを突き入れている。充分な手応えの後、その個体の身体も駄目押しの如く数回に分けて挽き斬った。門番の盾にかかる爪から力が抜ける。その事で救われた門番からシオンへと簡単な礼が返る。…大した事ではありませんとシオンもそれに返しつつ、また別の個体へとブレードを閃かせていた。
 僅かな間ながら銃撃が一旦途切れたタイミングから――つまりは一時弾切れしてから、門のこちらにまで力技で直接激突してくる個体が少し増えている。…それは当然、弾を込め直して再び銃撃している個体も多いのだが、この段階に来たら元から格闘戦狙いらしい輩もまた多いようだった。まず銃撃戦で露払い、そして弾が尽きたら即特攻、後は任せた、と。
 シオンが門番を救った返す刀で続けて別のタクトニムを屠っている。シオンの視界に入ったトキノも同様、敏捷性を活かし舞うようにタクトニムを屠っていた。二人とも、気のせいか――何故か一番意識しているのは直接相対している敵ことタクトニムと言うよりお互いのようで。トキノが一体を難無く倒すと、負けじとばかりにシオンがまた別の一体を倒している。…そして一体倒す毎にさりげなくだがお互いの動きを確認している――と言った具合。ただそうは言っても、到底協力し合っていると言う風ではなく、お互い突っ撥ね合っているような雰囲気で。そんな感じながらも――タクトニム連中を少しずつ門の向こう側まで後退させていた。
 二人とも、遠距離攻撃法が無い個体もしくは一時的にでも銃撃を途切れさせた個体を中心として狙っている。トキノのサイバーボディは戦闘用のオールサイバーとしては大した事のない装甲なのだが、その反面――高機動運動を使わぬまでも回避能力に突出して優れている。軽い身のこなしで大抵の攻撃の隙間を縫える。が、そうは言ってもそれで銃撃を完全に避け切れるかどうかはまた別の話になるのだが。…ただ少なくとも、避けるのみならず攻撃を仕掛ける方でも隙が衝ける可能性が高い。日本刀形の高周波ブレードは無類の切れ味。
 他方、シオンは――持ってはいるが、極力バルカン砲を使う気はない。弾の無駄遣いは極力したくない――銃撃より直接ブレードを使った方が効く相手が今のところ多く感じる為、好都合とも言える。それに銃撃が必要となれば門番が、銃で無くとも中長距離の攻撃ならば瑤が得意としている。だからそちらに任せて良いと言う頭もある。…それらの理由から、近距離は私が、とトキノもシオンもそれぞれ思い、己が得物のブレードで直接出ているらしい。
 圧している中ゲートを潜って暫し、心持ち敵からの銃撃が増えた。弾の種類も少し違うと確認――殆ど同じくらいのタイミング、トキノがまた別のタクトニムの腕を斬っている。瑤が気の網で押さえていた一体。火器――アサルトライフルを持っていた腕。その個体にブレードでとどめを刺しつつ、流れるような仕草で火器を取り上げ、取り上げるそのモーションの途中で残弾数及び銃の状態を確認、すぐに狙いを定め発砲している。
 狙いは頭上――中空に浮遊、銃撃しながらゆっくりと移動して来たソーサーのような浮遊形のタクトニム・シンクタンク。先程増えた「種類の違う弾」での銃撃はこいつらの仕業。数発ぶち込むとすぐにふらりとバランスを崩し、落下する――避けて下さい、爆発の可能性があります! すぐに注意を喚起する。言葉通り己も物影へと転がり込む。それを聞きトキノ同様隠れながらも――爆弾同然の個体にわざわざ弾撃ち込みますか!? とシオンの怒号。…トキノは無視。
 が、残骸が落下したのを確認して少し置いても、運が良かったか爆発には至らず。そこで――トキノさん! とどめを! と、意識していなかった方向から声が掛かる。瑤の声。トキノは答えるまでもなく殆ど皮膚感覚で察知。瑤が気の網で捕らえた個体。位置関係が近い――だからトキノの名が呼ばれたか。そこまで察知してから、トキノは言われるまま――その個体にとどめをさしていた。先程対ソーサー用にタクトニムから奪ったアサルトライフルを放り捨てる間も惜しんだか、己が愛刀を握っていた片手だけで、とどめを頼まれた個体の喉輪を容赦無く刺突。一拍置いて、刺されたその個体は崩れ落ちた。
 それが、最後の一体。

 …まだ煙が残り埃が舞っている。肉眼での視界がまだ悪い中、MSとオールサイバーそれぞれの光学的機能で周辺を確認。ゲート前、未確認の熱源無し。生存しているタクトニムの姿は確認出来ない。掃討終了。
 そこまで確認してから、皆、漸く一息。門番からビジターへと軽く労いの言葉を掛けられる。門番同士でも似たような遣り取りは交わされている。多少MSの装甲が凹んでいたり装備品に傷が付いていたりもするが、終わってみればそれ程大事だったような風はない。…短い時間であってもここまで派手にドンパチやった上でこう来るなら、それは確かに日常の延長なのだとしみじみ思わされる。
 まぁ、どう言う加減でか――今回は少し敵の数が多かったようではあるのだが。
 グッドラック。苦笑混じりの声で門番から言われて気が付く。…まだここはヘルズゲート。つまりはここから先の道程の方がビジターとしては本題な訳で。
 まだまだ文字通り序の口もいいところ。
 今ここで、安心してしまう訳にはいかない。

「…私は、お先に失礼致しますよ」
 と、少し落ち着いたところでやや不機嫌そうに――どうやら銃撃が避け切れず服の裾に僅か開けられてしまった穴が機嫌が悪くなった理由であるらしい――そう告げると、トキノは他の二人を置いて先に悠然と塔内奥へと向かって行く。
 そんなトキノの姿に――つまりはこれだけの事でもトキノに先に行動された事にむっとしてか、シオンもまたすたすたと足を早めて塔内奥へと歩き出す。それも、トキノの向かったのとは別の方向――と言うか、明らかにバッティングの可能性が無いくらい正反対の方向へと歩いて行っている。
 で、最後、門番と共に残された瑤は――二人とはまた別の場所に探索に行く事を考えるべきか、はたまたどちらかに付いて行くべきか――思わず、少し、迷ってしまった。

 Fin.



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┃登┃場┃人┃物┃紹┃介┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━□

 ■整理番号/PC名

■主発注PC
 ■0289/トキノ・アイビス

■副発注PC
 ■0375/シオン・レ・ハイ
 ■0614/朱・瑤(しゅ・よう)

 ※各表記、整理番号順

■━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━□

 今回は発注有難う御座いました。
 トキノ・アイビス様とシオン・レ・ハイ様には他ゲーム含めPL様にはいつも御世話になっております。
 朱瑤様にははじめまして。
 …作成日数上乗せの上にぎりぎりのお渡しになっております…。

 このたびは…『パーティノベル』なのにしみじみ参加したPC様方が一丸となってない状況でお送り致しました(笑)。トキノ様とシオン様の仲が宜しくない、との事ですが…何だか最後落ち着いたところからして…トキノ様シオン様どちらともあまり悪くない関係?である瑤様が…板挟みと言うか一番気の毒な感じになってしまいました(汗)

 取り直しまして、トキノ様にシオン様もですが、特に今回は――はじめましての朱瑤様。
 PC様の性格・口調描写等で引っ掛かったり、何か問題があるようでしたらお気軽に言ってやって下さいまし。
 出来る限り善処致します。

 少なくとも対価分は満足して頂けていれば幸いです。
 では、また機会がありましたら。

 深海残月 拝