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困ったちゃんを連れ戻せ 〜金蔓一つ。
…頭がかたいかやわらかいかと問われれば。
…捜索対象のビジター資格の有無についてもそれは別に。
…まぁ、基本的にその辺はあんまり気にしないんだが。
…細かい事に拘っていたら今時生きて行けない。
…その『細かい事』が原因で自分に余計な被害が来た訳でないのなら何でも構いやしない。勿論被害が来るならどれ程細かい事であっても大いに構うのだが――例えば畑を荒らす輩とか。
…けれど自分から遠いところで困った行動起こしてる限り、はっきり言ってどうでも良い。
それらを踏まえて今回のこの件を考えるなら――単によさげな金蔓の一つを御紹介に与れただけと言う事で。
報酬良ければ全て良し。
仕事自体はセフィロト内での人捜し。タクトニムの危険もあるがそれは御当地である以上ついて回る訳なのでさて置き、厄介なのはただ『当人』についてだけみたいな感じの前情報。ならば特に問題無し。幾ら厄介があろうともそれが仕事の内にコミであるなら別に構わない。
…勿論、報酬が仕事の割に合う限り、だが。
何か良さそうな仕事でも無いかなと『四の動きの世界の後の』の事務所に来てみて早々、極秘――特にビジターズギルドに対して――と言うそんな仕事の話を聞かされたシャロン・マリアーノは――そのままうーんと考え込んでいる。とは言え依頼を受ける受けないで考え込んでいる訳では無く、彼女が考え込んでいるのは速やかに遂行するに当たってどうするか、の方。
シャロンは相変わらずボロなままのソファに当然のように腰掛けつつ――今日は珍しくソファを犬が占拠していない――、話を振って来た元締の片割れことケツァルコアトルに引き受けても良いけどと取り敢えず改めて意思表明。
それから、今ぱぱっと考えてみた事をおもむろに相談。
「…下準備しておいた方が良いかなぁ」
「と言うと?」
「帰って来る時――ゲート通る時とか考えるとね。…ところでこの捜索対象――アジテーターって身体のサイズどのくらい?」
「ん。…話した通り全身随時サイバー改造しまくりだから正確には言えないけど、基本的にはボクやテスカ――テスカトリポカとあんまり変わらないくらいちっちゃかった筈。でもハーフサイバーだから重さは少なくても1.5倍くらいに考えないと」
…いや今の調子だとひょっとしたらオールサイバー並――2倍近く――になってるかも。
「そっか。でもまぁそのくらいのサイズなら…何とかなるでしょ」
「…なぁんとなくシャロンさんが考えてる事はわかる気がするね?」
「…やっぱりありきたりかしら?」
「ま、ね。…でもまぁ、ありきたりって事はそれだけたくさんの人たちが考え付き実行している有効な手段って事でもある訳だし悪くないと思うよ」
「そう? そう言ってもらえると心強いけど」
「ただ、奴が大人しくしてるかが問題だけどね」
「…あら。文句なんか言わせる訳無いじゃない」
「んー…。じゃ、大丈夫か」
にっこり。
――…つまりは二重底の箱に詰め、荷物扱いでアジテーターなる捜索対象のエスパーハーフサイバーを都市マルクトまで『持ってきて』やる辺りの方法が無難では、とそんな考えであるのだが。
そうなると、ゲートの荷物チェックがどんな方法か、が気になってくる。ビジターズギルドの荷物チェック方法は、不正防止の為に敢えて統一されておらず、抜き打ちで色々変わっている。それは大抵、ゲートで門番をしている人間それぞれに任されているのだが…そこでサーチ系のチェック方法だったらこの『荷物』はすぐ見つかってしまうだろう上に誤魔化すにも少々怪しい代物になってしまう。そうでなければ言う事無しなのだが…そこはさすがに今この場ですぐにはわからない。
「…事前にシフト辺りの情報手に入れておく必要あるわね」
「得意そうな奴に頼んでみようか?」
「居る?」
適任な奴。
「うん。今日の午後一でここに報告に来るって言ってたから…タイミング的に頼めると思うし」
ちょっとはっきりしないけど…多分大丈夫だと思う。
「じゃ、後からその辺りの情報持って来てもらうとして。…そいつの名前は聞いていい?」
「スティンガー。勿論通り名。金払いが確りしてるとこなら絶対裏切らない」
よってこの場合適任。
後は奴の今後の予定が空いているかだけが問題。…予定詰まってるようだったら頼めないからさ。
「…もし空いてないようだったら何とか都合付けて他の誰か送りこんどくよ」
何ならボクかテスカでも。
と。
そこまで二人の話が進んだところで、とんとんと部屋のドアが叩かれ、小さく開かれる。そこからひょこりと顔を出したのは髪にも肌にも黄砂の色を纏う可愛らしい少年の顔と――メタルだったり無駄にカラフルな色彩である体毛の個性的な犬が数匹。…どうやら事務所のソファを犬が占拠していなかったのは単に留守だったかららしい。とにかく皆、殆ど同時にドアの隙間から乗り出して中を見ている感じ。
「ケツァーさん、犬の御散歩終わりましたー」
「ん。ありがと。…あ、エリニュスこれから暇?」
「はい? ええまぁ、特に用事無いですけど」
「じゃあこちらのお姐さんと一緒に一つ御仕事頼まれてくれないかな」
人捜しの。
■
…そんな訳で。
イエツィラー内と言う危険な場所で人捜し、となればあまり単独行動は向きではない。ケツァルコアトルは当然のようにそう考えていたようで、シャロンとの相談が一段落付いたそこで犬の散歩から帰ってきた素直そうな少年――エリニュス・ストゥーピッドを今回の仕事の同行者として付けてきた。曰く、この少年はこう見えてもビジターであり『四の動きの世界の後の』の外部契約傭兵――それも準専属扱い、請負は荒事方面までOKの――でもあると言う。ついでに言うとブラッドサッカーの弟分でもありミクトランテクトリの家に居候しているとか何とか、小柄で可愛らしい見た目や大人しそうな言動に反してかなりのツワモノらしいとも聞かされた。
…まぁ元々、シャロンもシャロンで誰か他に同行者が居れば一番だけどとは思っていたので好都合だが。
ヘルズゲートを潜って暫し、二人は前情報通り旧居住区の方角へと向かってみる。…唯一の頼りがそれだけと言うのも何だが。後はあまり見た目の当てにならない写真くらいなもの。『四の動きの世界の後の』の方ではこのアジテーターの捜索依頼、何度もある慣れた話のようだが――殆ど準専属扱いだと言うこのエリニュスの場合は同様の依頼を担当した事がないらしく今回が初めてになるらしい。
そうなると、当然知らない訳だから以前の場合はどうしたのか等の話もこの子には聞けない。…近場まで行けば捜索対象はすぐわかるとは事前に言われたが――よくよく考えれば何故近くに行けばすぐわかるのか。イエツィラー内となればタクトニムの存在がある以上人間様は基本的に身を潜めているのが普通ではないのか。…何かが釈然としない。
そもそもそのアジテーターとやら、ビジター資格を持たずに中に入った『目的』は何なのか。
普通、大前提であるだろうそれすら明らかにされていない。
…そこがわかった方が捜し易いのではとも思うのだが。
いや…ひょっとするとそここそが一番の謎だとか。
色々考えたり相談したりしつつ、それでいて注意深く動きながらシャロンとエリニュスは旧居住区の一角にまで辿り着く。途中、タクトニムの姿を見掛けはしたが今のところかち合っては居ない。無論わざわざタクトニムの前に飛び出して行く気も無い。余計な戦闘は無いに越した事は無い。…戦わずに済めばそれが一番。
さてここからどうしようか。取り敢えず家を一つ一つ調べてみるしかないかと二人は仕方無いながらも実行し始める――し始めようとした。
その時。
何処からとも無く調子のいい機械的なノイズ混じりの『歌』がぽつりぽつりと聞こえて来る。
いや、『歌』と言うより『語り』。…と言うか『ライム』とでも言った方がより正しいだろうか。
…つまりはラップである。
男の声とも女の声とも付かない、コンピュータで作った電子音が途切れ途切れに掠れたような『声』での、伴奏も何も無しのラップ。
ただ、妙に無視できない――惹き付けられるその抑揚。
シャロンとエリニュスは顔を見合わせる。幻聴ではない。今実際聴こえている音。それをお互い確認してから、『声』の源と思しき方向へと向かってみる。
と。
幾つかの家屋を越えた向こう。
とある家屋のベランダで無防備にごろりと寝転がり、一人で調子を取りつつその『歌』を歌っている小柄な人型タクトニムが居た。
…いや、タクトニムでは無いのか。ただ人間らしくないだけで。
寝転がっている身体の――見えるところはもう殆ど機械。とにかく鈍い色の金属に覆われたサイバーパーツの光沢が、ボロなのかファッションなのかいまいち判別付け難いルーズな印象の――それでも一応普通に人間のものだろう範疇の服に包まれ、計算なのかそうでないのか服の穴からちらちら金属部分の色が見えている。かと思えばやけに懐古趣味な――サイバーパーツと言うよりむしろ旧式の機械義肢、と言った方が相応しいような工業ロボットめいた構造剥き出しの左手が袖から普通に覗いていたりして。
顔も右耳から頬に掛けてと頭頂に掛けて広い範囲をサイバー化、それもあからさまに金属部分が剥き出しになっている。生身部分にしか髪は無い。生身部分の髪は結構長く、結んであったり飾ってあったり染めてあったりと色々といじくってある。いや本物の髪では無くエクステと言う事も有り得るのか。…謎だ。
僅か残る生身と思しき部分の肌色からすると混血だろうが目鼻立ちは白人に近い。そんな顔に掛けられているのが目の表情を完全に隠すミラーゴーグル。…なるほど、確かに写真とは全然違う。だが、写真の面影が全然無い訳ではない。顔のパーツはまだ生身部分が多い。首っ引きで見れば写真と同じ人物とわかる。
予想通りこの『声』の主はアジテーターであったらしい。
近場まで行けばすぐわかる。
…何だか凄く納得できた。
■
取り敢えず声を掛けてみる。
あんたがアジテーター? シャロンのあっけらかんとしたその呼び掛けを受け、電子音の『歌』が停止する。一拍置いてから声の主ことシャロンを見、寝転がったそのままで――ノイズ混じりの掠れた電子音な声でどちらさまかしらん? と返してくる。呼ばれた呼称を否定はしない。
「…あたしたちはあんたを連れ帰るように頼まれた者なんだけど」
ちょっとそこ動かないでよね。シャロンは続けてアジテーターにそう告げると、エリニュスは外から見張っててと残して――アジテーターがベランダに寝転がっている家屋へと突入する。
「…」
「…」
その場に残されたアジテーターとエリニュスの視線が思わず合ってしまう。
暫し、間。
そして再び動きが起きたのはシャロンがアジテーターの寝転がるベランダに現れてから。
アジテーターはすぐ側に現れたシャロンをのほほんと見上げて寝転がったまま愛想を撒いている。
「はぁい☆」
「…。取り敢えず逃げる気は無さそうね。大人しくこっちの言う事聞いてもらうわよ?」
「…。…ったく。執事の奴速攻ケツァーのところに駆け込みやがって」
「あら『四の動きの世界の後の』からの仕事って承知?」
「まーねぇ。あいつそこにしかオレの事頼んでねぇからねぇ。それで実績積んでりゃわざわざ依頼先変えたりしないっしょー」
基本的に大っぴらに言いたくない訳なんだからさー。
「だったら話は早いわ。クライアントが待ってんだからとっとと帰りましょ」
「…いやそりゃ帰るのは別にイーんだけどさぁ。もうちょい待ってもらえなーい?」
「なんで?」
「まだ来た用事全部済んでないから」
「…どう見てもあんた今暇そうに寝っ転がって念仏唱えてたようにしか見えないけど」
それでまだ何の用事があると?
「いや身も蓋も無い言い方っスねオネエサン」
「違うかしら?」
「見たところはそー見えちゃうかしらねぇやっぱり。でもこーやってぼーっとしてるのもまず大事な用事の一つなんだよねー」
「は?」
「こーいういつタクトニムが来るかわかんねーようなところに無防備に居る事自体がさ、イイ具合にインスピレーション湧くコト多いんだよねー」
イロイロと。
「…。あ、そう。…何のつもりだか知らないけど、そのインスピレーションとやらはすぐ湧きそうな訳?」
「いやいやいやそれはねぇ。今こうやって話しているたった一瞬後にびびっと来るかもしれないしまだまだ幾日も掛かるかもしれないしオネエサマとこうやって話している事によってイイ方に転ぶかもしれないし、全然予測付きまっせーん☆」
「…だったら全然『もうちょい』じゃないじゃない」
「そこは言葉のアヤって奴で。…ダメ?」
「駄目」
「…いけず」
と。
そこまでシャロンとアジテーターの舌戦が続いたところで、何処からともなく無線着信らしき応答を求める音がする。声がする。誰かと思えばエリニュスの持っている小型無線。届く声はシャロンには覚えが無い。
が、エリニュスの方は覚えにあったようで、すぐ無線に出ている。
「…はい。すぐ見付かりました。大丈夫です。…合流地点は羽の蛇さんから聞いてる場所で。はい。はい、わかりました。…了解です」
通信終了。
エリニュスはベランダの二人に――と言うかシャロンに頷き掛ける。
今の無線は、後発予定のスティンガー。事前に依頼された情報を持ってヘルズゲートを潜ったところと報告を入れて来た。
シャロンはエリニュスの頷きを受け頷き返すと、今度はわざとらしいくらいににっこりとアジテーターに笑い掛ける。
アジテーター、微妙に不安。
「…?」
「じゃ、懸念がなくなったところで」
行きますか。
あっさりと言いつつ、シャロンは何処からともなく取り出した頑丈なガムテープの一巻をアジテーターの目の前でこれ見よがしにびーっ、と引っ張って見せている。
■
…これはむしろ拉致にならないだろうかとかひっそり思いつつ。
ちょいと大きめの箱を台車に乗せ合流地点までシャロンとエリニュスは持参していた。スティンガーの方は先に合流地点に到着していたようで、大きめの瓦礫に座って待っている。
スティンガーは現れた二人の様子を見て、暫し無言。…二人と一緒に居るべき肝心の捜索対象の姿が見えない。そして二人の持参した箱は人の一人くらい軽く入りそうな大きさ。当然のような澄ました貌のシャロンに苦笑混じりのエリニュスの貌。…すぐに導き出される答えが一つ。
「…それか?」
荷物。
「そう」
即答するシャロンの艶やかな微笑み。
スティンガー、暫し無言。
その後。
「…。…行こうか」
はい。
で、後発のスティンガー曰く、ゲートキーパーのシフトについては即調べがついたそう。それからチェック方法の情報までもあっさりと入手出来たらしい。どうやら今から何事もなく最速でヘルズゲートに着いたと仮定したなら居るだろうゲートキーパーは、結構杜撰で箱なら開けて覗いて簡単に確認するだけと言う。…資格持ちのビジターの獲って来たものなら何でも構わないだろと言う豪快で大雑把な性格であるらしい。
少し後――こちらでヘルズゲートまで戻るのに手間取ったらそちらになるかも程度の――シフトになる奴はチェックが厳しい事が多いとか。シャロンが懸念のサーチ系も確り使ってチェックに時間を掛ける為、ビジターからは不評な事が多い、と。…但しそのゲートキーパー、不審な点がある場合でも袖の下次第、と言う性格でもあるとか。それで余計に嫌われ者と言う話。
「…じゃあ早く行った方が良さそうね」
「確かにその方が厄介が少ない。…カモフラージュは何でした?」
「居住区だから台所用品辺りでいいかなと思って色々入れて来たんだけど?」
「…サルベージ品としてはあまり魅力なさそうな品に思えるが」
それで本当にカモフラージュ出来るか?
「大丈夫だと思うけど。…実際に使い易いものも多いし、鋼材として考えても外のものより優れてるし」
「実際、御近所の奥様方には案外受けがいいですよ。中の台所用品って」
エリニュスもシャロンの言葉に同意する。
スティンガーは頷いた。
「…そうか。俺の場合あまり縁が無いからな」
そこまで言うなら任せる。
と。
アジテーター+台所用品の入った箱を運びつつ三人が話していたところで。
おーい、とくぐもった声がした。
源は何処かと辿れば、箱の中。
アジテーター。
「…どうした」
こっから南東300mくらい先のビルっぽい建物の向こう、タクトニムいっぱい来てっから気ィ付けてねん☆
「…わかるの?」
いちおーね。センサリティ全般も結構強いから☆ つーかこんなトコに閉じ込められちゃこちとら手も足も出ねーんだから、勿論オネエサンたちが確り対処してくれるんだよな?
「勿論。当然避けるわよ。…ねぇあんた、そういう事ならタクトニム情報ちゃきちゃき教えて頂戴ね☆」
その辺わかるんだったらとっても好都合なレーダー役だもの。戦闘回避に時間短縮にも役立つし。
…。
赤毛のおねえさまの方がどうやら上手。
と、そんなこんなでタクトニムと一回もかち合わぬまま(!)、一行はヘルズゲートのイエツィラー側に到着。ライセンスカードと連絡入れて、ヘルズゲートの扉を開けてもらう。
そしてゲートの向こうにいたゲートキーパーは。
有難い事に、まだ、豪快で大雑把な人の方だった。
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…それから、『四の動きの世界の後の』事務所にて。
はい御苦労様でした、報酬ねー、とケツァルコアトルから手取りであっさりシャロンに渡されたのが50レアル紙幣を適当に括った分厚い札束二つ。多分、一束で百枚相当に分けてはあるんだろう。いやひょっとしたらもっと多いかもしれない。…これまでの人生であまり札束を見るような機会には恵まれていないのでよくわからない。
…牛が何頭買えるやら。
「余程良いとこのお坊ちゃんみたいね」
あのアジテーターって。
「んー。確かに凄く金持ちなんだよね。普通これだけの仕事でここまではぽんと出さない」
「よね。さすがにちょっとびっくりしたわ。ま、何処のどちら様なのかって詮索するつもりはないけど」
これだけあればかなりの足しになるし♪ 沈黙は金ってね☆
「何ならまた同じ仕事来たら声掛けよっか?」
依頼来る回数がやたら多いからこの仕事って報酬の割に案外競争率少ないし。
「悪くないわね。…あんまり毎度同じ遣り方じゃ通らないとは思うけど」
次があったらどうしよっかなー。色々対策考えておくべきかしら?
つらつら考えつつ、和気藹々。
と。
そこで事務所の扉が叩かれる音が響く。はーいどーぞーと入室を促すケツァルコアトルの声。すると顔を出したのは、さりげなく金が掛かっている身形の、苦悩に満ちた表情の初老の男性。その姿を見るなりケツァルコアトルはきょとん。
一拍置いてから、苦笑。
「…ありゃ」
「度々の事で、大変申し訳無いのですが…」
「?」
二人の反応に、シャロン、思わず首傾げ。
と、まただとさ、と肩を竦めつつケツァルコアトルに振られ続けられ、シャロンにも今現れたその初老の男性が――アジテーター捜索依頼のクライアントだと察しがついた。
…。
何が理由か知らないが。
帰って早々、また、なのだそうである。
確かに、事前に聞いていたケツァルコアトルの口振りにしてはあのアジテーター、妙に素直にこちらの言葉に従ったとは思っていたのだが。
………………あいつまさか、こんな感じで永久リピートしてるんじゃなかろうな?
Fin.
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登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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■整理番号/PC名
性別/年齢/クラス
■0645/シャロン・マリアーノ
女/27歳/エキスパート
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…以下、登場NPC(□→公式/■→手前)
■アジテーター(未登録)/捜索対象
■NPC0120/ケツァルコアトル(羽の蛇)
■NPC0186/エリニュス・ストゥーピッド
□NPCP009/スティンガー
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ライター通信
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毎度の発注有難う御座います。いつも御世話になっております。
今回はこちらの窓明けの都合もあり御一人様の御参加になりました。
困ったちゃんの連行(いや荷物扱いである以上「連行」ではないか)引き受けて下さり有難う御座います。
こちらの都合でPC様募集は早々に閉めてしまったのですが、やっぱりPC様の能力設定で塔内に御一人だと少々危なそうで不自然かなとも思いまして、用心棒がてら「同行者」は事務所の方から付けさせて頂きました。PC様の場合ブラッドサッカーやミクトランテクトリと一応面識が付いてらっしゃるので、今回はそちら関連の素直な少年を。
それと「後から入る奴」として某ビジネスライクなフリーランスの傭兵を巻き込んでみたり。
…如何だったでしょうか。
少なくとも対価分は楽しんで頂ければ幸いです。
では、また機会がありましたらその時は。
深海残月 拝
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