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<PCパーティノベル・セフィロトの塔>


第一階層【都市中央警察署】ビジターキラー
 視線

ライター:深海残月

■Opening

 おい、死にに行く気か?
 あそこはタクトニム共の要塞だ。行けば必ず死が待っている。
 それにあそこには奴らが‥‥ビジターキラーが居るって話だ。もう、何人もあいつ等にやられている。お前だって知らない筈はないだろう?
 知ってて行くのか? 止められないんだな?
 無理だ。勝てるはずがない‥‥いや、お前なら大丈夫かも知れない‥‥
 わかった。止めはしない。だが、必ず生きて帰ってこい。俺はお前の事を待っているからな。


■Main

 ある日のセフィロトの塔第一階層入口周辺、都市マルクトの一角にて。
 何事か相談しつつ、随分と違った印象に見える――印象のみならず纏う色彩の面でも対極になる二人が連れ立って歩いていた。…片方は背の中程まである不揃いの銀髪に黒瞳を持つ、こんな場でありながらまず荒事とは無縁でありそうな――生活感が薄く線の細い芸術家風の美青年。…彼は色素に乏しいアルビノ体質で瞳色も本来は黒ではない。濃い瞳の色は、外出する際に黒く変えておく事が多くなっているだけに過ぎないと言う理由。…本来生まれ持つ色はそのまま血が透けたような赤色だったりする。
 もう片方は凛とした印象の、表情に乏しい男性。和装めいた独特なデザインである立襟のスーツに身を包んでおり、極東古来のサムライの如く腰に日本刀らしきものを二本差し。それから印象としては唐突に肩からマシンガンを一丁提げている。肌も髪も黒色で、瞳色は纏う衣服の如き深紅に染まっている。赤系色とは言えその瞳色にアルビノのようなか弱さは一切感じられず、その光の反射は硬質――よくよく見れば人工物、サイバーパーツであるとすぐ知れる。他に彼の特徴を探すなら、長く伸ばした髪の毛先が白いのもまた独特であると言えそうか。
 そんな二人――クレイン・ガーランドとトキノ・アイビスが連れ立って相談していたのは、先日ヘブンズゲートのカウンターでふと話題に上らせていた事になる。カウンターで隣り合った折、どちらからとも無く言い出した話。誘い。塔内探索。特に都市中央警察署――そこに行きたいと言う話にまではその時点で固まっており、二人共にそれぞれの思惑から用意が出来次第実行する心構えであったのだが…同行者が二人だけでは少々心許無いかもしれない、と言う結構重大な問題も同時に浮かんでいた。
 …その為、その『問題』こそが二人が今もまだ相談している本題になる。二人共、連れ立って歩いている現時点で武装や他装備、と言う意味での塔内探索準備は既に整えてあり、一応ながらこれから塔内に向かう用意はしてある。その上で、現在ビジターズギルドの本部建物方面――同時にヘルズゲートの方面とも言えるのだが――に向かいつつ、塔内探索の詳細を詰める為――特に、同行者を他に募るか否かに関して――最終的な結論を出す為、向かう道すがら相談をしているところになる。
「セキュリティ等なら私で何とかできそうですが…戦闘面が問題ですよね、やっぱり」
 うーん、と考え込みつつ、クレインがぽつり。…二人ですと、全面的にトキノさんに頼ってしまう事になりそうですし。警察署どころかヘルズゲートの向こう側に行った時点で戦闘になる率の方が高いと思うので…かなりの負担をお掛けしてしまう事になるかと。
 クレインが気遣わしげにそこまで続けると、トキノは、ふ、と瞳を和ませた。とは言え表情まではあまり動かない。…もう少し感情豊かな表情が自然に取れる人物ならば、クレインの発言に対し、自分の負担については懸念無用と微笑しているところかもしれない。そんな雰囲気。
 そして実際、そんな科白が発される。
「…私の事ならばお気遣い無く。戦闘経験を積むのが目的でもあるのですから」
 クレインさんにセキュリティを崩して頂けるのであるなら、その分の戦いを私の方で請け負うのは当然ですしね。ですが…確かに、私も私で…身一つである事はどうしようもありませんから…情けない話ですが、タクトニムから貴方をお守りすると言う点に於いて、不安材料は…あります。
 …タクトニムはとにかく数が多いから。それは取り敢えずクレイン一人くらいならトキノだけでも素で守り抜けるだけの手腕はあると言えるが――トキノの頭には更に万が一の可能性も先に浮かんでいる。場合によっては手数の面で一人では如何ともし難くなる事は起き兼ねない。…それはある意味、どうしようもない事で。だがそれでも――どうしようもない、仕方ない事ながらもそれが自分の非であるように、申し訳無さそうにトキノはクレインに告げている。
 そんなトキノの発言には、むしろクレインの方が申し訳無くなってくるもので。…そこはトキノが気に病むべき事ではないから。自分が戦力面でもう少しだけでも頼れる腕を持っているのなら、そんな懸念は初めから不要なのだから。
「…すみません。私は本当に殆ど戦力外ですし…戦いの場で足手纏いになってしまう自信なら満々です。…やっぱり無理はしないでアイスマシーンズの皆さんにパーティ募集頼んだ方が良い気がするんですけれど」
「…。万全の対策を考えるならばそうせざるを得ませんね…どなたか信用できそうな方がすぐに見付かればいいのですが」
 と。
 クレインに応じ、トキノが重々しくそう告げた時。
 何処からとも無く、トキノさん、と知っている声が掛けられた。
 声の主を辿り見れば、二人と同じくビジターズギルドの本部建物に――と言うより恐らくヘルズゲートに向かっている途中らしい人物が一人、後ろから歩いて来ていた。黒髪黒瞳、黒の功夫服に身を包んだ色白小柄な東洋系少年。頭後上部で結い上げられそのまま流された長い髪を軽やかに揺らしつつ、二人の元まで近付いて来て止まる。その少年の鼻の頭には、やはり見覚えのあるそばかすがちらほら。
 思わずクレインが声を上げる。
「瑤君じゃないですか」
「…聞こえてしまったんですが。トキノさんとクレインさん…塔内探索の同行者が足りないみたいですよね?」
「ええ。…ああちょうどよかった、宜しければ瑤君も一緒に如何でしょう?」
「そのつもりで声掛けたんですが。僕も塔の奥へ進む為の経験積みたいと思っていたところなので、ちょうど良いかと思いまして。元々これから塔内に行くつもりだったので武装もしてますし」
 少年――朱・瑤はそう言いつつ武装こと子母鴛鴦鉞の二刀を持ち上げ見せると、様子を窺うように二人をちらりと見上げる。クレインはそんな瑤を見返すと、歓迎しますよ、とにっこり微笑み掛けた。
 そこで改めて、目的地が警察署である事は聞こえていましたか、とトキノが確認。いえそこまではと瑤。警察署…警察署は初めてになりますが、宜しくお願いしますと改めて軽く挨拶。こちらこそとってもお世話になると思いますから宜しくお願いします、とすぐにクレイン。よかった、瑤さんならちょうど私の弱いところを補って頂けますから、と小さく息を吐くトキノ。…瑤は己の持つ功夫と超能力の相乗効果で、接近戦も中長距離での戦闘も、どちらにも隙がない。身のこなしも素早い上に太極拳のマスターであると言う事もあって、敵を攪乱する事等、後方支援、防御面にもまた頼れるだけの実力がある。
 …ちなみにトキノは主要武器と己のサイバーボディのカスタムの特性からして前衛、遊撃、近接戦闘が旨である。機動力が並外れてある為回避能力にも優れているが、どちらかと言えば攻撃優先の戦闘方法を取りがちと言える。中長距離用の戦闘手段として銃器火器の類を使う事も無くはないが、使っても「敵があまりに多い時」や「敵が離れた位置に居る時」等に仕方無く、と言った補助的な意味合いが強い。メインはやはり愛用のブレードや格闘術の方になり、得意はどちらと問われれば迷いなく近接戦闘になってしまう。
 瑤がパーティに加入した。そうなると、ギルドの窓口に頼んでの改めてのパーティ募集はしなくても取り敢えず何とかなりそうだと言う話になる。
 ではこのまま門番さんにお願いして中へ向かう事にしましょうか、とクレイン。同意するトキノ。同じく、瑤。パーティを組む事に決めた三人は、連れ立って再びビジターズギルド本部建物の方へ――延いてはヘルズゲートの方へと意気揚揚と向かい始めた。

 ………………その間、ずっと彼らを誰かが見ている。
 ただ真っ直ぐに見詰める視線が、ある。



 ――…音は殆どしなかった。薄暗い中、白い光が閃き深紅の袖と裾、そして流れる黒髪と続く白が中空を舞った直後――硬質な黒い塊が幾つも続けてごとりと床に落下している。バスケットボールのような球形をした黒い塊。すぐ側に、同様の――否、ただ球形と言うよりやや楕円、雫型気味の形になるが――黒い塊が二つ繋がっているようなものも幾つか落ちている。その塊から突き出た細い節足がひくひくと力無く痙攣してもいる。ただ、それ以上は動かない。
 兵隊蟻――この場所からしてまさにそんな役目を求められて配置されているのだろう、直立した巨大な黒蟻の如き姿のタクトニム・モンスター、イーターバグ。節で三つ連なっている筈のその丸い塊が二つと一つに分かれて床に落ちている。それは――たった今音も無く抵抗する間もなくその身が切断されたから。
 トキノの日本刀型高周波ブレード。殆ど居合の形と速度で一刀を鞘から引き抜き斬り付けている。その刃が狙ったイーターバグの首――と言うか節――に到達するより前に、もう片方の手でもう一本の刀を同様に引き抜き、次にまた新たな個体を同様に狙い斬り付ける。どちらの場合も引き抜き様に高周波はON。イーターバグの装甲――と言うか外骨格――は軍事用オールサイバー並の防御力があるので仕方無い。幾らか弱いだろう関節部と言えど、そのままただのブレードとして打ち込むより高周波をONにしておいた方が確かな効果を見込める。
 目的通りその場に居たイーターバグ数体を撃破してから、トキノは一拍遅れて床面にやはり音もなく着地する。躍り掛かったその時点から、撃破するまではほんの数瞬。今この場――都市中央警察署一階北側の廊下、ここで生きて動いている姿はトキノの他に今はもう見えない。その場に居るタクトニムを斬り終え、他に敵の姿も見えず近くにそれらしき熱源も無い、と確認した時には高周波は即座にOFF。場所が場所、必要無ければ取り敢えず節電。
 それを確かめてからのようなタイミングで、壁上部に開いていた穴からクレインがひょこりと顔を出した。…床には通気孔の蓋であったと思しきひしゃげた鉄柵が落ちている。どうやらトキノもクレインが顔を出したそこから来たらしく、クレインはトキノがイーターバグを片付けるまで、そこで待機していたよう。
「お見事です、トキノさん」
「今の内に。御二人共」
 トキノのその声を聞いてから、何とかその場に飛び降りるクレイン。その足取りは少々心許無かったが、先に下に――廊下に居たトキノの助力を得て無事着地。続いて瑤が飛び下りてきた。軽やかな身のこなしでこちらは危なげは無し。トキノ、クレインに続き、三番目に潜入を果たす。
「さすが、鮮やかなお手並みですね」
「このくらい出来なくてはビジターキラーを倒すどころではありませんから」
 トキノのその科白に、軽く肩を竦める瑤。それはその通り。
 …今回都市中央警察署に探索に来た目的は、それぞれで別にある。…トキノはビジターキラーとの戦闘、延いては戦闘経験を積み自分を高める事。そして有用な情報と――出来れば強力な武器の入手。…クレインは建物の内部探索、その把握。特にタクトニムが屯する危険な位置を頭に叩き込んだり攻略に有効な手段が取れるように、その手段としての情報入手。形に残すならば以前の情報と合わせて地図を作成してもよい。そんな腹積もり。…瑤の場合はパーティ加入時に告げた通り戦闘経験を積む事――トキノの目的とある程度重なる。警察署と言えばタクトニムの活動拠点であり要塞、未だビジターが第一階層――第一区画・都市区画マルクトまでしか探索出来ていない現状、危険な施設としてビジターたちに一番良く知られた場所。ビジターとしては上級者コースとも言える。元々、攻略の厳しい場所である事は充分承知。それでも瑤は一度行ってみたいとは思っていた。
 三人共に無事建物内に侵入し廊下に下り立ったそこ、クレインは自分の武装――軽量小型で反動も小さめの拳銃を取り出す。スライドを引き弾薬装填、安全装置を外し危急時にはすぐ撃てるように準備しつつ、銃を持たぬ側の手を伸ばし廊下の壁に、す、と触れるよう近付ける。それで、有効なセキュリティが今の場所に張り巡らされているか否かを再確認。元々、通気孔内に居た時に一度は確認済みで『セキュリティの機構自体はあるが壊れていて無効』と判明した為ここから侵入する事にしたのだが、中に入ってからも一応もう一度。ひょっとするとこちら側から見れば――先程読めなかった生きているセキュリティがあるかもしれない。
 セキュリティの稼動状況に関係無く、今【マシンテレパス】を試みた時点で、その抵抗度合からやはり壁材の一部に抗ESP樹脂が使用されているとクレインは気付いている。…まぁ、場所が都市中央警察署なのだからそこに抗ESP樹脂が使用されていても――セキュリティ関係の回線や機構が組み込まれていてもおかしくない。
 何にしろ、抗ESP樹脂が使用されているのなら、可能な限り一度ではなく何度か試みるのが正解である。抗ESP樹脂が使われていては全ては読み取れない、即ち一度で全ての情報が読め、自在に操れる事など有り得ない――だからこそ、同じ遣り方をしたとしてもまた別の情報が読める事がある。ごく僅かでも断片的でも何でも。
 目に見える形でセキュリティが設置されているとは限らない。こんな場所であるなら、尚更。…抗ESP樹脂は超能力を遮る為に使われるものであり実際にそれなりの効果もあるが、逆を言えばそんな物で覆われている時点でその場所はテレパス系の超能力で触れて欲しくない場所だと教えている事にもなる。
 取り敢えず今クレインが【マシンテレパス】を試みた場所には稼動しているセキュリティは無し。今出た一階北側廊下、大丈夫のようですと告げつつ、トキノと瑤の顔を見、頷く。
 と、同じタイミングでトキノの瞳に怪訝そうな色が浮かんでいるように見えた。クレインは小首を傾げる。何が怪訝なのか。その旨問うとトキノはいえ大した事では無いのですが、と否定しつつ――それでも怪訝そうな瞳の色を変えない。

 曰く、トキノが気になっているのはずっと自分たちを監視しているような視線についての事らしい。
 …ひとまず今撃破したイーターバグが視線の主、と言う訳でない事だけは明らか。実はトキノは――視線自体は結構前、警察署どころかヘルズゲートを潜る前から感じていた為、ずっと死角からの攻撃等あるのではないかと注意もしていたのだが――その主が人間にしては良い意味にしろ悪い意味にしろこちらに何もアクションを起こさない事がおかしく思え、だがタクトニムにしては敵意も害意も殺意も競争心も…何もない事がおかしく思えた。この視線からは感情が一切見えない。
 そして今ここに至るまで――こんな危険な場所に来てまで付かず離れず、完全に傍観に徹している視線であるのが逆に不気味でもあり、怪訝に思ってしまったと言う訳である。
 その視線は今もまだ感じる。何処からか。…トキノであって、辿れない。言われ、瑤もまた感覚を研ぎ澄ませてみる。確かにトキノの言う通り『何か』がこちらを監視しているような視線を感じる気がする。けれどやはりトキノ同様、意図が読めない為に何処かぼやけてしまい――源がやはり掴めない。

 …この視線は、いったい?



 ――…侵入した北側廊下より少し中央奥側へと移動し別の部屋に入ってから。先程同様、クレインが壁に触れる寸前のところで手を止めている。今度は当たり。外からはどうとも見えないが、張り巡らされているセキュリティらしき機械の端緒を発見した。クレインはそのまま【マシンテレパス】を展開。手と壁の間にある僅かな隙間、半透明の基盤らしきグリッドが現れ、光の粒子がその上を不規則に飛び交っている。ちかちかと瞬くその光は何事か考えているように唐突に留まり、再び疾り出す。光の色もまた場所によって偏りがある。赤い色、黄色にオレンジ、青に緑、白色――ただ光。
 建物の構造を把握する。まずは全体に対しての自分たちの位置を確認。そこを中心に、これから通りそうな通路、攻略に邪魔になりそうな位置にある監視カメラや警報等のセキュリティを落とせるだけ落としておく――抵抗があり操り難い為あまり数多くは落とせそうにないが、取り敢えず幾つかの監視カメラは無効化出来そうだと思う。…電圧の問題か、抗ESP樹脂内に形成される抗ESPフィールドの出力が弱い個所が幾つか見付かった。
 以前来た時の情報も考え合わせ、タクトニムの数が多いだろう場所、都市中央警察署の中でも特に拠点としているだろう場所――棲息地域を探ってみる。【マシンテレパス】でセキュリティのセンサーを辿って掴み難い場所――堅牢な場所がまず候補。
 抗ESP樹脂が使用されている機械に対して【マシンテレパス】を展開する時は、普通の機械相手にする時以上に、より集中する必要が出てくる。戦闘には殆ど参加しなくともこれはこれで相当な負担になる。その証のように【マシンテレパス】を展開中のクレインの額につぅと細く伝う汗。…そこまでしても完全は求められないのは承知。だがある程度読めればそれで、何とかできるだけの手数も知識もクレインは持っている。
 クレインの傍らでは瑤が隙無く護衛。物影から表――廊下の様子を窺っている。【マシンテレパス】展開中――それも抗ESP樹脂が使われている物に展開しているなら尚更、他の物事に対して無防備になってしまうのは仕方無い。だからこそ今クレインの側に瑤が居る事になる。瑤のその足許には先程同様、イーターバグの死体が数体。…とは言っても先程トキノが倒したイーターバグでは無く、別口。どうやら今回三人が踏み込んだこの辺りはイーターバグが多いらしい。
 この死体は先程クレインと瑤の二人を見付け襲って来た斥候らしき個体になる。こちらは瑤が撃破した。銃を撃ってきた――引き金を絞ろうとしていたそこをすかさず見極め、発砲前に【PKバリアー】の応用で銃器を封印。その個体が動揺を見せたそこで瑤はその個体に肉迫する。空いた――その動きで空けさせた隙に、太極拳独特の柔らかく掴み難い動きを持って気を――【PKブレード】の如き力をも込め強化した子母鴛鴦鉞の連撃を叩き込み、イーターバグの外骨格を破壊する。…ここまで人間離れした容姿だと何処が急所か考えるよりただ破壊した方が早い上に確実。ケイブマンでもない限りそう簡単に再生はしない。
 結果、イーターバグは頑丈な球体の大部分が陥没し砕け絶命。装甲が硬いと警戒して極力威力を上げて――同時に新たな火種を呼び込まないよう、極力音を立てないよう目立たないように抑えもして打ったのだが、その加減はちょうど良かったらしい。また一つ功夫を積めた。思いながらクレインの様子を確かめる。…まだ、セキュリティの回線から離れられない様子。
 ふぅ、と息を吐くクレイン。…タクトニムが多い場所は。先程から何度か読み取った断片的な情報を頭の中で組み上げると、恐らくは現在向かっている方向――中央方面の幾つかの部屋になる。留置場らしき同じ構造の小さな部屋が連なる場所もまた怪しい。会議室か何からしい広めの部屋も。…できそうならばドアとその鍵なり防火シャッターなりを使ってその場所の封鎖を試みる事も思考の内。今回の場合、パーティメンバー――特にトキノが目的とする戦闘対象はあくまでビジターキラー。戦闘自体も目的の一つとは言え、弾薬数や高周波用の電池の持ち具合を考えるとある程度敵との遭遇確率は絞った方がいい。思いながらセキュリティを辿り続ける。
 …ある程度、やろうとした事は進められた。
 そう思ったところで、瑤が警戒していた廊下から、またイーターバグ二体が現れアサルトライフルの弾をフルオートでバラ撒いて来る。殆ど反射的に瑤が【PKバリアー】をいつものように応用、能力展開と同時にイーターバグからの銃撃が止む。が、その前に幾つかこちらのすぐ側に着弾。クレインにも瑤にも当たる事はなかったが――その銃弾はクレインが【マシンテレパス】で読んでいた当の壁を派手に穿ち変形させてしまっている。
 …この壁に布かれていたセキュリティの回路が切断された。これ以上この場で辿るのは不能。クレインはすぐに判断し壁から離れ物影に身を翻す。瑤の後ろにもなるそこで、装備していた拳銃を両手で確りホールド、タクトニムを狙い攻撃態勢に移る。ただ、そうは言っても考え無しには撃たない。この銃の威力と自分の射撃技術でイーターバグの外骨格が傷付けられるか――答えは否だろう。そのくらいの判断は事前についている。けれど、敵の銃を落としたり転ばせるきっかけを作るとか他に注意を向けさせるとか、そういう使い方は出来なくも無いのではないか…と考えているところ。
 すかさず瑤の手から子母鴛鴦鉞が投擲される。風を切り――鋭い弧を描き、イーターバグの下方、屈伸可能な足――人間で言うなら膝と同じ役割と思しき位置に打ち込まれている。ごとりと黒い塊が頭一個分の高さ足を踏み外したように落っこちる。動きが止まる。…銃撃と個体の動きを止めれば、まず問題無い。イーターバグは口腔から強酸を飛ばすと言う攻撃もするが、今くらい離れていればその心配は無し。それ程強酸の射程距離は長くない。
 瑤がイーターバグの足許を崩し動きを止めるのと前後して、クレインの銃弾も連続して数発撃ち放たれている。当たりどころは問わない。この銃撃は敵の個体に直接ダメージを与える為と言うより瑤の援護、状況の攪乱――現れたイーターバグの意識をこちらに引き付ける為撃ったもの。…足許に実際打ち貫かれた子母鴛鴦鉞、続く9mmパラベラムの銃撃。それらに咄嗟に反撃、とばかりにイーターバグの持つ銃口が無造作に再度クレインと瑤に跳ね上げられる。殆ど同時、トキノの姿が計ったようにイーターバグのすぐ脇に到達。クレインと瑤にイーターバグの意識が行ったそこ、すかさず愛用の日本刀型高周波ブレードでその個体の頭部を刎ねていた。



 別行動――殿で後続タクトニムの殲滅をしていたトキノは、二人に合流するなり瑤が遠隔で動きを止めクレインが銃撃で攪乱をしていたイーターバグ二体に躍り掛かり撃破している――瑤もトキノが戻って来る気配、高周波の電源を切らないままこちらに走って来る気配を感じた為、任せる為に今のイーターバグに対し足止めだけを考えて動いたのだが。…トキノの得物の方が余計な音をさせずスマートに敵を獲れる。
 ただ、二人に合流したトキノは今度はブレードの高周波をすぐOFFにしない。まだ倒し切っていないのか――まだ生体らしき熱源が近くにある事がトキノのサイバーアイには判別されている。敵。またイーターバグか、それとも別種のタクトニムか。
 その時、瑤の手の中には投擲した子母鴛鴦鉞が戻って来ている。トキノが先程のイーターバグの首を刎ね――無音のまま着地するのと同じタイミング、弧を描き中空を飛んで瑤の手の中に再び落ち着いている。
 トキノ、瑤、クレイン――三人共に周囲を警戒、次の行動を頭の中で考えそれぞれその答えを弾き出す。互いの視線を交わし頷き合う事さえしないがそれは元々役割分担が出来ているから。何はともあれまずは新手の熱源の正体を確認。ここはトキノのサイバーアイを一番に頼る事になる。瑤は戦う者としての判断力の早さとすぐに行動に移せる速さがある為、トキノが見定めた直後からのトキノへの直接的な援護をまず考える。クレインはそのまた後ろで必要な時に援護を行いつつ隙を見て戦線から離脱、幾らか安全と言える場所から出来ればセキュリティの端緒を見つけ、今の状況で要される事――先程の続きをしようと考える。
 そうは言ってもまだ行動は出来る限り密やかに。…まだ騒ぎを起こす段階ではない。まだ今のままで奥へ行ける余地はある。まだビジターキラーとも遭遇していないのだから――ここで騒ぎを起こしてすぐ帰るような羽目になってしまっては、わざわざ都市中央警察署まで来た甲斐がない。
 廊下。まだ離れた位置からぽつぽつと増えて来る熱源の正体をはっきり確かめる為――トキノはサイバーアイの機能をIRアイから他のものに切り換える――切り換えようと意識した。
 が。
 その直前で少々引っ掛かる事に気が付いた。
 反射的にトキノは顔を顰め、何か心を決めたかのように一度瞼を閉じるとすぐ開き、結局IRアイのまま熱源の方へと滑るように廊下を疾走する。迷いの無い姿。続いてトキノの姿を目で追う為瑤も廊下に出た。影の如き密やかな移動。この薄暗さで遠方からではサイバーアイやIRもしくはスターライト等のゴーグルでも持たない限り瑤の姿を確認する事は難しいだろう。そしてトキノが見付けたと思しき相手の気配の動き方からして、相手側はそんな特別な光学的機能の目は持たない。瑤の方でも相手方の正体が見える訳ではない。
 けれどそれでも、視界を確実に確保する為、瑤は少し遅れてトキノの後を追う。殺気等の気配を読む事と合わせれば殆ど皮膚感覚で動ける為暗闇でもあまり戦闘に支障は無いのだが――もし相手がシンクタンクだったりしたら気配云々に関しては何とも言えない。確実性を考えると目で見える位置まで移動すべきだと思う。…今のトキノの迷いなく取った行動からして、今は恐らく一人で大丈夫だと見たのだとは思うが――いつ何時戦況が変わって瑤の援護が必要になるかもわからない。
 思うだけでは無く実際に行動に移り瑤はトキノの向かった方向に廊下を進む。クレインも部屋の際まで来て廊下を覗き、瑤に続いた。そのまま二人が少し廊下を進んだところで、その途中開け放したままになっているドア――但しそこには何の気配もない――を見るともなく視界に入れるなり、ふと違和感。
 一度はその部屋の前を過ぎたのだが、瑤もクレインも二人とも立ち止まって振り返る。
 視界に入ったのは――何の気配も無い筈のそこで、さらりと廊下に僅か靡いた粉雪のような真っ白な繊維――長い、髪の先。それが当の部屋の中に消えていた。
 足許近くに靡いて見えたとても長い三つ編みの先。それを纏める赤色のリボン。
 薄暗い中では目立つ色。
 少し動揺した――焦ったような気配が当の部屋の中にいきなり現れる。…直前までそこには何の気配も無かった筈なのに。
 …何となく違う気はするが――万一それがタクトニムだったなら、背後から襲われては最悪。思わず数歩戻ると瑤は当の部屋へと前転気味に転がり込み、子母鴛鴦鉞を部屋内の何処にでもすぐ打てるよう考えつつ索敵。少し遅れてその後ろ、反射的にクレインは部屋の中へと銃口を向けいつでも撃てるように構えている。やはり瑤と同じく部屋内を索敵している。
 と。
 そこには――子供が何かから隠れるように、頭をぎゅっと抱えて小さくなって座り込んでいる少年――のようにも見える青年がドアのすぐ側に一人居た。
 何処かで見たような柔らかそうな綺麗な白髪に紅瞳、さらっとした黒色の肌。
 塔攻略に、と言うより遠足だかピクニックにでも行くような装備――格好をしている。
 彼の片手には何故か材質不明の黒光りする小さな破片が握り持たれている。…何処かで拾ったものだろうか。
 ともあれその姿を見た途端、二人ともここは塔内都市中央警察署の中であると言う事を一瞬忘れた。
「………………キウィさん?」
「………………ですよね?」
 そこに居た姿に、ぽつりと確かめるクレインと瑤。
 と、キウィと呼ばれたその青年は――恐る恐る顔を上げ、声を掛けて来たのがクレインと瑤だと確認すると、はい! と元気に笑って頷いた。…タクトニムの要塞の中であると言う場の状況も完全無視。そこに居たのがキウィだと確認後、即座にクレインは銃口を下ろす。瑤もまたほっと肩を下ろした。
 が。
 唐突にほのぼのとした空気が醸し出されたその場に、容赦無くさくりと水が差される。
 …キウィの返事から殆ど時を置かず、氷点下の如き寒々しい気配がクレインと瑤の背後から漂って来た。
 その源は――先程廊下の遠方にあった熱源――新手のタクトニム複数を愛用の二刀で音も無くあっさり片付けて、戻ってきたトキノその人。…どうやらサイバーアイの機能切り換えの際に本当に偶然自分へ――自分たちへとずっと向けられている視線の具体的な源の位置に気付き、気付いた途端それがキウィ――キウィ・シラトである事までがトキノには即座に悟れていたらしい。そして熱源ことタクトニムと彼と自分たちの位置関係もすかさず考え、ひとまず皆の安全を図り同時にキウィと話をする時間を作る為、何はともあれと速攻で熱源の方を片付ける事を選んだ模様。
 そしてそれは成功。
 トキノは愛刀の高周波用電源の残量を確かめつつもキウィの姿を見、すぅと目を細め問い質す。
「…キウィさん、仕事はどうしたんですか」
「…。それはそれこれはこれです。あっそうだ、探偵ですからトキノを調べるのが仕事なんです!」
 やっぱり今度も場違いなくらいにぱあっと顔を輝かせ、キウィ。…上手い事言った、とでも言いたげな得意げな表情。
 暫しその顔をじっと見てから、トキノは目を伏せ仕方なさそうに嘆息。
「…つまり。溜まった仕事が面倒になったんですね」
 それで昔取った杵柄を駆使してここまで私に付いて来たと。
「…。そんなっ、私は研究用にタクトニムのサンプル採取がしたかったんですよっ!」
「…探偵じゃないじゃないですか」
 今はっきりと『研究用に』、と仰った。
「…。今時の探偵はこのくらいするんですっ! タクトニムのサンプル採取だって情報収集だって、審判の日以前の先端技術は貴重なんですからっ!」
「…目的変わってますよ」
 私を調べている探偵なんじゃなかったんでしょうか?
「…。うわああああんトキノが苛めるですー」
 と、キウィはクレインと瑤に泣き付く。
 泣き付かれるままよしよしとキウィを宥めるクレインに、仕方なさそうに苦笑しつつもいまいちどう反応するべきか出方に困っている瑤。…いや場所柄こんな事をしている場合ではないのはわかっているのだが。
 それでも、誰もキウィを責めない。
 むしろキウィではなくトキノに対しそこはかとなく責めるような気配が。
 …。
 …何故この状況で私が悪者になるのでしょう。
 トキノ、内心でふと苦悩。
 そんなトキノの姿に気付いたのか、キウィはクレインにしがみついたまま、潤んだ目で縋るようにじーっとトキノを見詰めている。
 そのまま、無言。
 トキノもまた、眉間に皺を寄せたまま、無言。
 気まずい。
 …と言うか何度も言うがこんな場所でこんな場合にずっとこうしている訳にも行かない。ので、まぁまぁ、とクレインが二人の間に入って口を開く。
「…トキノさん、こうなったらもう仕方無いと思うのですが。場所が場所ですし」
 ここからはキウィさんも一緒に行きましょう。
 キウィさんが何故付いてらっしゃったのかの詳しいお話も、キウィさんのお仕事放棄についてのトキノさんのお小言も取り敢えず後回し、と言う事で。



 ――…三階。
 建物の構造、部屋の間取りやセキュリティの配線が集中している事からして、セキュリティのコントロールルームと思しき部屋。
 一行――四人は取り敢えずそこを目指す事にする。トキノたち三人と正体不明の視線の主――キウィが合流してからは、一階二階と極力タクトニムの数が少ない場所を選び地道に進む――そうしているつもりなのだが結果的にタクトニムとの交戦は先に進むに連れ多くなっている。セキュリティの様子がおかしい事に気付かれたのかもしれない。戻って来ない斥候役の様子を新たに見に来ていると言う事もあるかもしれない。重要拠点や駐屯地になっている部屋が近いのかも。…まだビジターキラーに遭遇してはいないが、とにかくタクトニムの出現率が上がっている。
 結果、日本刀型高周波ブレードのみならず、トキノの武装銃器であるマシンガンも既に何度か火を吹いている。的確に個体を選び数発ずつ短連射、現れるタクトニムの急所――元々知っている種類の個体についてははっきり急所と言えるがそうでないものの場合は重要そうな臓器や部品が詰まっている、もしくは少なくとも行動不能にできるだろうと思しき位置――をピンポイントで狙いそれぞれ撃破。残弾に気を遣ってはいるのだが、それでも既に給弾用ベルトに――給弾用金属製リンクに残された弾薬はかなり減っている。
 …コントロールルームらしき目的の部屋の情報は、また別の場所で掴んだセキュリティの端緒からクレインが【マシンテレパス】で読み取ったもの。そこからして――重要拠点だろう事からビジターキラーが居る可能性も高そうな、それでいてあまり面積が広くも無い為タクトニムの数もあまり居なさそうな――余計な敵は少なそうな場所はそこだろうと結論付けた。
 同時に、セキュリティの配線が集まってもいる事からして、そこに行けば中途半端な場所から【マシンテレパス】でちびちび辿るより、もっと簡単にはっきりした内部情報が入手できるかもしれない、と言う思惑もある。…まぁ、目的の部屋がコントロールルームとはっきり言い切れる訳でも無いしそんな用途の部屋が一つとも限らないが。むしろこんな中途半端な場所にある以上、メインのコントロールルームでは無くまた別の用途に使われる部屋、もしくはいつでも切り離せるようなシステムになっているサブコントロールルーム辺りになるのかもしれない。…これはあくまで、クレインがこの建物のセキュリティから【マシンテレパス】で集めた断片的な情報から導き出された推測に過ぎないのだから。
 けれど少なくとも、トキノやクレインの目的からして、突入してみる価値はある場所。
 だから今、そこを目指している。

 階段を上り、目的の場所へは後少し。階段を上り切る直前、その時点でパーティは現在の武装を確認。一番稼動率の高いトキノの日本刀型ブレードの高周波用電源は、既に二刀両方とも切れている。それでビジターキラーを、となると少々心許無い。
 トキノが厳しい顔で目を細め、何も言わないまま当のブレードを見つめていると――はいはいはーい、とキウィが元気よく片手を挙げる。高周波ブレード用予備電池持ってきてありまーす、とリュックの中をごそごそ。ちゃきりと見せ付けるように取り出しトキノに差し出す。
 一拍、間。
 それから、有難う御座いますとキウィに対して素直にトキノ。そんなトキノに、お役に立てたならよかったですと芝居がかった仕草でぴっと敬礼するキウィ。…元々、何かあったらすぐ助けになれるように――と言うかむしろ自分が助けてもらう為に、そのくらいの間隔を開けて付いて来た訳でこのくらいの用意はリュックの中にひっそりあったりする。
 クレインは手持ちの拳銃のマガジンを引き抜き残弾数をチェック、補充してから再び押し込み元に戻す。あまり使ってなかったつもりなのに案外減っている。トキノはブレードの電源に続きマシンガンの残弾も再度チェック――はっきり少ない。またトキノの顔が厳しくなる。
 と、はい、とこれまた当然のようにキウィからトキノに二つのマガジンが差し出された。先程瑤とクレインが足止め、トキノがとどめを刺したタクトニムの使っていたアサルトライフル――そこから抜き取ったライフル弾。確かトキノさんのそのマシンガンはこれと同じライフル弾で――ボックスマガジンでの給弾も可能なタイプだったと思ったので確保しておきました、とクレインが続ける。どうやらこの二人、隙を見てひっそり使えそうな武器弾薬の類を拾って回ってもいたらしい。
 特にキウィは他にも色々拾っているようなのだが――拾った物は殆どすぐ自分のリュックに仕舞っている。瑤が興味を抱き訊いてみると、キウィは研究所運営資金の為なのです、と小さな声でひそっと告げつつ、内緒とばかりに口の前に人差し指を立てて、しー。…この距離でそんな事をされても瑤以外の皆にも聞こえているのだが…それでも内緒にしておきたいような物を拾っていると言う事らしい。ちなみに先程パーティに合流した時に手に持っていた黒光りする破片――恐らくイーターバグの外骨格の欠片と思われる――もいつの間にやらさりげなくリュックに仕舞い込まれている。
 キウィの思惑――研究目的のサンプル採取やらお小遣い目的の戦利品の拾得――を察しつつも、今は取り敢えず後回しとばかりにトキノは無言。素直に差し出されたライフル弾のマガジンを受け取り、礼を言う代わりに頷いて見せる。改めて手持ちのマシンガンにマガジンを叩き込むと、今度は瑤にも現在の消耗度合を確認――超能力の強弱や効能は精神力や集中力に大きく影響を受けてしまうと聞いているから。彼の場合、銃の弾薬のように消費する武器は持たないが、己の功夫にPKをコラボレーションして使用する分、精神的体力的な消耗度合はどうかの方が肝心になる。…問われてすぐに力強く瑤は返答。まだ何の問題も無く行けます。頼もしい返事。
 改めてこれからの作戦確認。目的場所、突入方法。手順。
 手早く簡単に示し合わせてから――トキノと瑤は床を蹴り階上の廊下に飛び出した。
 そして目的の部屋の前まで辿り付くなり、そのドアへとトキノはマシンガンをフルオートで連射する。殆ど時を措かず穴だらけ――までは頑丈過ぎて行かなかったがそれでも派手に弾痕が穿たれバカになったドアを、今度は瑤が軽やかな動きの中に凄まじい勁力を込めた蹴打を放ち――あっさり中へと蹴り飛ばした。トキノは元々用意していた手榴弾の安全ピンを抜いて、本体を部屋の中へと投擲する。すかさずトキノと瑤はそれぞれ廊下の壁に隠れ、部屋の中で爆発が起こるのを待つ。



 数秒後、目的の部屋の中に閃光と爆風が迸る。混乱の気配。すかさずトキノは内部へと再度マシンガンの連射を開始した。生身と機械の両方を破壊する音が響く。少し遅れて中からも銃撃が飛んでくる――その前に瑤がトキノの身に【PKバリアー】を展開している。銃撃無効。そのままでトキノはその部屋に侵入する。索敵。弾痕穿たれたモニター前に座っている死体と残骸が幾つか。人型に近い――ハーフサイバーのような構造になっているタクトニム。二度目のマシンガンの銃撃により殆ど一瞬で殲滅していたらしい。トキノは部屋に乗り込んですぐそこまでを確認すると即座に連射を停止。
 …ビジターキラーは居ない。
 遅れて、瑤に伴われキウィとクレインが部屋に顔を出す。モニターがずらりと並びその前にセキュリティに繋がる端末がある。クレインは失礼しますとオペレーターだったらしいタクトニムの死体に声を掛けその身をその場から退かさせてもらうと、端末に張りつきすぐに【マシンテレパス】を展開。モニター画面は銃撃で幾つか壊れているが、端末の方は生きている。
「辿れそうです」
「抗ESP樹脂の方は?」
「…まぁ何とかなると思います。さっきまでよりはずっとマシですので」
 何ならマニュアルでやりますし。ここならマニュアルでいじくれる端末がある訳ですから。
 と。
「私もやりますー☆」
 はーい、とやっぱり両手を挙げつつ無邪気に笑い、キウィが自分のリュックをまたがさごそ探り出す。出て来たのはハンディコンピュータ。皆まで言わない内にコードを引っ張り出しセキュリティ端末と直結、楽しそうに何やら操作し始めた。それを見てクレインはキウィににっこりと微笑み掛ける。
「では手分けして」
「りょーかいですー☆」
 キウィもクレインににっこりと微笑み返して、操作続行。
 そんな二人の姿を認めつつ、トキノと瑤は部屋の外を警戒。今この部屋にはビジターキラーは居なかったが――今ここを制圧した事により、今度こそここへ現れる事も考えられる。…そうでなくともこんな場所である以上、タクトニムへの警戒はしておいてし過ぎる事はない。



 キウィはある程度ハンディコンピュータを操作した後、中のソフトにセキュリティへのハッキングをあっさり任せてしまうと――今度はリュックからこぢんまりしたバスケットをいそいそと取り出している。まるでサンドイッチか何かが入っていそうなバスケットだが…そのバスケットが開けられたら本当にその中にサンドイッチが入っていた事には…その様子を見るともなく視界に入れていた面子は思わず脱力した。続いて取り出されたのは水筒。つまりははっきりお弁当。遠足かピクニックかと思った彼の装備の第一印象大当たり。
 …キウィはタクトニムの出来たてほやほや死体が数体転がっているその場所で、まだ生きているモニター画面をのほほんと見ながら、はむと嬉しそうにサンドイッチを頬張り始めている。
「皆さんの分もありますからどうぞ。クレインも」
「お心遣い有難う御座います。…ですが取り敢えず今はそれどころではないので後で頂きたいと」
「そうですか? じゃあ瑤は…」
「…。俺も後で良いです」
「紅茶もありますけど、トキノ?」
「そんな悠長な事をしている場合ですか。…キウィさん、まず第一に身の安全を考えて下さいね?」
「勿論。だからトキノの側に居るんじゃないですか」
「………………そうですか」
 護衛として信用されているのは良いのだが、そんな言葉が掛けられて素直に喜べるか否かは場所と状況による。
 と。
「あ、ビジターキラーです!」
 緊張感の無いキウィの声が上がった。キウィは指摘すると同時に残ったモニター画面――まだ生きている内の一つをぴっと指差している。皆の視線が集まる。…確かにそこに居た。モニターに映っている白色の頭部に紫の皮膚の異形、武装サイバー化した両腕、そして背中にもう一本生えた更なる異形の腕――ビジターキラー。何かに気付いたように慌しい動きを見せ移動を始めている。これは何処か。座標を詳しい位置を確かめる――ここから、近い。となると今のマシンガンと手榴弾の轟音が聞こえたか。
 トキノは瑤に目配せる。それから改めて手持ちのマシンガンの残弾を確認――先程追加はしたがここを制圧するのにもかなり消費した。少なくとも給弾用金属製リンクに残っていた分は完全に切れており、ベルト給弾より明らかに装弾数の少ないボックスマガジン――更に言うならタクトニムの持ち物から掻っ攫った物でもあるので入手時点でマガジンに入るだけ全弾あった訳でも無い――の方に給弾を切り換えてからも幾らか撃っている。それは確かにボックスマガジンはもう一つある事はあるが、特筆すべき敏捷性を持つビジターキラーと交戦中に再装填している間はあるか――そう考えると残弾数がやや心許無い。…使いどころを見極めて使わないと。
 私たちで足止めをしますからここで出来る限りの情報をお願いします。キウィとクレインにそう言い置いて、トキノはその部屋から飛び出した。瑤もそこに続く。



 部屋から飛び出したその時点、廊下の向こう、こちらに曲がって来ようとしているビジターキラーらしき影がほんの僅かだけちらりと見えた――そう思った時にはトキノが手榴弾を投擲。先手を取る。ほぼ同時、瑤は【PKバリアー】をトキノの身を包む形に展開――【PKバリアー】を纏ったそのままトキノは己が投擲した手榴弾の爆心へ向け迷わず突進。サイバーアイ切り換え稼動、索敵。
 廊下を曲がった先すぐの部屋。咄嗟に爆発を避け後退していたビジターキラーの姿。部屋の入口に隠れ爆発が晴れるのを待ちつつ廊下からの追撃を警戒する姿に――トキノはブレードの高周波をONにし躍り掛かっている。その時まだビジターキラーは視界を確保出来ていない。幾ら警戒していたと言ってもさすがに爆発と同時に突っ込んで来るとは思わない――ビジターキラーはトキノが躍り掛かり己に近接した刹那咄嗟に反応はしたが、銃口をトキノに向け跳ね上げるまでで引き金を引くところまでは間に合わず。トキノが白色の頭部を――首を獲る形で的確に斬り込んでいたのが先だった。
 ビジターキラーは特別硬い身体を持つ訳でもない。サイバー化部分もあるとは言え基本は生身のモンスター。高周波が無く元々切れ味のよい日本刀型ブレードであるだけでも上手くすれば獲れるだけの柔らかさはあるそこに、容赦無く高周波の刃が深々と吸い込まれ、そのまま頭部が刎ねられる。
 その段になって漸くトキノに向け跳ね上げられていた右腕バルカン砲の引き金が絞られ、7.62mmの弾幕が隙間無く張られている――が、バルカン砲から弾薬の射出が開始されたその時には既にトキノはビジターキラーの肩に手を突きその手を軸にしてビジターキラーの後方に前転、ひらりと中空に舞い上がり――首を獲ったビジターキラーを飛び越えるような形で弾幕を躱している。更には中空にいるそのままトキノは背中から生える腕の根元を高周波の刃で狙い、上から押さえ込むような形にそのまま落下。ぞん、と音がして三本爪の腕がどさりと落ちる。続いてトキノは無音のまま床面に問題無く着地。一拍置いてビジターキラーの首と背の腕の切り口から体液が噴出する。そのビジターキラーは酔っ払いのように数歩よろけると、ずずんと転倒した。絶命。

 他方、廊下。煙が薄れると廊下には手榴弾の爆発を至近でもろに食らい激しく損傷しているビジターキラーとその後ろにもう一体ビジターキラーが存在した。咄嗟に部屋に隠れた――トキノの急襲で倒されたビジターキラーの更に後方に居たと思しき個体。その眼前に子母鴛鴦鉞の刃が迫っている。瑤が投擲したその器械を、三体目のビジターキラーは咄嗟に激しく損傷した二体目のビジターキラーを後ろから抱き付くような形で盾にし防御、直後、損傷したビジターキラーの頭部に深々と子母鴛鴦鉞の刃が突き刺さる。が、三体目は迷いなく損傷した――いやたった今絶命した――ビジターキラーの両脇から7.62mmと12.7mmの弾幕を張っている。
 が、その弾幕の射線上にもう瑤は居ない。ならば何処か――三体目のビジターキラーの、その後方、中空。咄嗟に【テレポート】でそこに出ていた瑤は即座に掌に外気発勁――【PKフォース】発動。三体目の頭部を狙い全力で思い切り叩き込み、続けて手に持ったままである二刀目の子母鴛鴦鉞をも流れるように振るい駄目押しで打ち付ける。
 首と思しき位置の骨を切断した手応えを感じると、瑤は床に着地するより前、即座に今居る座標位置から【飛行】で何もない中空を床面のように蹴り移動、本来床面から生身の跳躍力で咄嗟に跳び上がれるだろう位置より遥かに高く跳び上がり、先程ビジターキラーの正面に――二体目の顔面に投擲した子母鴛鴦鉞を引き抜く。引き抜いたその勢いを活用し殺さないまま――滑るような円運動で両手にそれぞれ握った子母鴛鴦鉞二刀を用い三体目と二体目のビジターキラーを諸共に斬り裂いた。先程の時点で獲った手応えは感じたが、それで本当に絶命したのかいまいち信用出来ない上に、急所等何処を狙うべきか冷静に考えている心の余裕が無いので――人間ならば急所と思しき位置をただ闇雲に破壊する。そこまですればさすがに確実だろうから。
 …実際、個体の敏捷性だけで言うならビジターキラーの方が瑤より上だ。PKの併用で漸く隙が付けるか。そんな相手。ついでに言うなら瑤が背後に回ったその時、背の三本爪の腕は何やらハンドシグナルを出していた――まだ後続が、居る。

 三体目のビジターキラーが躊躇いなく撃ち放っていた銃撃による轟音。その名残に重なるように、やや軽く聞こえるトキノのマシンガンの連射音が鳴り響く。二体目三体目のビジターキラー、そして瑤の後方に当たる方向へ――先程一体目を獲る為転がり込んだ部屋からマシンガンを握る片腕だけを出し、後続ビジターキラーの足止めの為弾幕を張っている。後続――四体目だろうビジターキラーの姿はまだ見えない。いや、トキノの弾幕で咄嗟に下がったのだろう。また廊下の向こう、物影に姿を隠している――けれど左腕のオートライフルだけは出されこちらに向けられている。
 銃撃による轟音の中、瑤さん! と強く叫ぶトキノの声。殆ど同時、オートライフルから取付型40mmランチャーが撃ち放たれた。炸裂弾――強力に効率的に15m四方を破壊する炸薬入りの弾体が着弾、名の通り炸裂する。先程トキノの使用した手榴弾より遥かに強烈な威力。強化されている筈の壁や床の素材が炸薬に穿たれ衝撃で歪み、ある程度元の廊下の形は残っているがあちこちが罅割れ砕かれて瓦礫だらけになっている。
 爆風と吹き飛ぶ破片、煙や埃で視界が遮られ、そこに居た生身は敵も味方も自分以外どうなったのかわからない――が、視界が利くようになった時、炸裂弾が着弾した筈のそこには、またも生きている者は誰も居なかった。あったのは着弾前に絶命していた二体目三体目のビジターキラーの残骸だけ。
 避けられないだろう位置に居た筈の瑤は今は廊下の向こう側――四体目のビジターキラーの足許、床に這うようなかなり低い位置に居た。二体目三体目を撃破した後即座に念の為の防御として――抗ESP弾などが敵の銃に装填されていたら頼り過ぎるのも結構危ないのであくまで念の為――【PKバリアー】を己が身に展開、振り返るなり左腕オートライフルの出された位置から四体目ビジターキラーの位置を確認。殆ど同時に【テレポート】で廊下の向こう側四体目ビジターキラーに接敵。その位置から子母鴛鴦鉞を二刀とも別の軌道を描くようそれぞれ投擲する。今自分がすぐ側に居る四体目のビジターキラーに向けてだけではない。そのまた後続の一体――そこに来て見付けた五体目をも翻弄する囮にする為。そして自分も四体目の足許を太極拳独特の円運動、螺旋状の動きで極め、そのまま勁力を打ち込んでいる。

 マシンガンに装填したボックスマガジンの弾薬が尽きるのと取付型40mmランチャーの炸裂弾が飛んで来たのがほぼ同時。瑤を強く呼ばわったトキノは、弾薬が尽きたマシンガンを放り捨て炸裂弾による暴力的な破壊をやり過ごす為――当の部屋の奥へと身を躍らせ己を衝撃から庇う。瑤の取っただろう行動を考えて即座にサイバーアイ稼動、敵の現在位置を確認――爆風が幾らか薄れ取り敢えず活動が可能になったと見るなりトキノはすぐに廊下に出、確認した敵の位置へと走り込む――そのまま高機動運動に入る。敵の足許を崩し動きを止めた瑤の姿を確認。
 五体目のビジターキラーは鋭く投擲された二刀の子母鴛鴦鉞と四体目の足許へ攻撃している瑤のどれを狙うべきか俄かに迷う。四体目のビジターキラーは自分の足許が崩されるなり――そこに瑤が居るとわかるなり右腕バルカン砲を照準、引き金を絞る――が、トキノの一方の日本刀型高周波ブレードがバルカン砲の銃身を切断している。そしてもう一方の日本刀型高周波ブレードは同じ個体の胸部を深々と貫きそのまま斜めに斬り裂いていた。その速度の外側から見ればまさに瞬間移動して来たかのような速さでの出来事。
 切断された事に反応出来ないまま引き金が絞られ右腕バルカン砲は暴発、至近距離の爆発で四体目ビジターキラーの右腕は肩口から丸々吹っ飛ばされた。瑤も衝撃で吹っ飛ばされる――が、展開したままだった【PKバリアー】のおかげか内気の運びようか元々目的を達し退こうとしていたタイミングだった故か、それ程のダメージはなく済んでいる。
 瑤が態勢を整えようと起き上がったその時には、投擲された子母鴛鴦鉞二刀それぞれに照準を合わせていたと思しき立ち姿のまま五体目ビジターキラーの頭部がなくなっていた。そのタイミング、いつの間にか何事も無かったよう佇んでいたトキノの日本刀型ブレードの高周波がかちりとOFFにされる。続けて地に落ちる異音。ごとり。人の頭程度の大きさの、円筒形に近い白い塊――ビジターキラーの頭部。
 ひとまず、今現れた分は――撃破。後続は。索敵――居ない。
 …これでやっと一段落、か。

 廊下を少し戻り、トキノは先程弾切れになり自ら投げ捨てたマシンガンを拾い上げる。今度こそ二つ目の――手渡された最後のマガジンを叩き込む。この段になり瑤は汗だくになっていた。立ち止まると自分の両膝に手を突き下を向いている。息も上がっている――さすがにそろそろ消耗が激しい様子。彼の超能力にはトキノも助けられた。…これ以上無理はさせられない。
 それは心臓がサイバノイド化されている身なのだから急激かつ圧倒的な運動量で掛かる心臓への負担についてだけは恐らく問題なかろうが――それでも瑤は身体の大部分が生身である。
 反面、オールサイバーである自分であるなら、疲労とは縁が無いのは間違いない。
 ここからは、私が確りしなければ。…思いながらトキノは口を開く。
「そろそろ、引き際ですかね」
 ――…新手が来ない内に、キウィさんとクレインさんと合流して…撤退を考えましょう。



 その頃。
 クレインとキウィが居るコントロールルームらしき部屋。
「だいたいこんなものですね」
 と、クレインはセキュリティの端末に対して展開していた【マシンテレパス】を切り上げる。セキュリティの端末から読んだものを手持ちのハンディコンピュータにこれまた【マシンテレパス】で適宜入力。…この方がマニュアルでするより時間短縮にはなるので。こんな場所ではその方がいい。
 それから、キウィの組んだハッキング用プログラムソフトで入手した情報も、クレインのハンディコンピュータに手渡す。クレインは両方を【マシンテレパス】で再構築。それから、お互いのハンディコンピュータに今入手した情報を――都市中央警察署建物の構造情報を、共有させる。
 但しやっぱり、完全ではない。
「…どうもセキュリティは各所で分けられているようですね。やはりこんな中途半端な場所にコントロールルームがある以上そんな気はしてましたが…構造はここからだと北側区画の詳細しか辿れないみたいで」
「えーとクレイン、今確認し直したらちょっと扱いに迷う情報が取れてました」
「?」
「いえ。このソフトでデータバンク内に侵入した際、被疑者リストとか押収物リストとかやたらと見付かってたみたいなんですが…クレインはこれ、どう思います?」
「色々と目安になりそうじゃないですか?」
 テックレベルSなアイテムの記載があるようなら、塔内サルベージの際の目安にとか。それから今ここに居るタクトニムはセフィロトが普通に高層都市として稼動していた時代のテクノロジーを使って武装している訳ですよね。ならタクトニムはどの程度の武装をしているのか――敵を知る目安にも使えるかもしれませんし。
 …取り敢えず取っておいて損は無い情報だと思いますけど。
「ですね。確かにサイバーの身体的特徴とかの記載で聞き覚えない名称のパーツがあったりしますし。押収されてる薬品や銃器の記載でも見慣れない物がちらほらあります」
 うん。と頷きつつ、キウィ。
「ところでクレイン」
「はい?」
「やっぱりサンドイッチ食べませんか。力作なんですよ」
「…出来れば都市マルクトに戻ってから皆さんと一緒に頂きたいと」
「そうですね、皆で食べた方が美味しいですもんね!」
「…と言う訳で」
 ぽむ、と促すようにクレインはキウィの背を叩く。
「行きましょう」
 …トキノさんと瑤君に合流して、撤退です。

 Fin.


■━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃登┃場┃人┃物┃紹┃介┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━□

 ■整理番号/PC名

■主発注PC
 ■0289/トキノ・アイビス

■副発注PC
 ■0347/キウィ・シラト
 ■0474/クレイン・ガーランド
 ■0614/朱・瑤(しゅ・よう)

 ※各表記、整理番号順

■━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━□

 いつも御世話になっております。
 発注有難う御座いました。漸くのお渡しです。
 何だかやたらと長引いてしまっております…と言うか前置き(塔内突入前描写&VSビジターキラー以前の攻略及び戦闘)が長過ぎたかもしれません…当方の悪癖がもろに出、どーも短く纏まりがつかず…(汗)
 相変わらず御言葉に甘えて好き勝手率が高い模様です。

 …今回はキウィ様の途中合流で場所が場所なのに微妙にのほほん気味になっている気もしております。
 当方、VSタクトニムの戦闘では特に色々容赦無い事している率が多い気がしているのですが(…)、その殺伐ムードを軽やかに破壊して下さるキウィ様のその言動。決めるところは決めつつも何だかんだと振り回されているトキノ様はじめパーティの皆様。
 と、そんな感じでやらせて頂きました。

 それから、瑤様の能力はPKなら一通り、とあったのであまり細かく言及されていない種類のPK能力(テレポート・飛行・PKブレードもどき?)も含めて使ってしまったのですが、如何だったでしょうか。
 主発注のトキノ様に味方側も敵側も連携での交戦を希望されていたのに、これは連携なのか何なのか微妙な線(…)の描写な気もしますし。いえ、ビジターキラー高機動運動スイッチ前、と考えると奇襲・急襲する事以外に有効な戦法が当方いまいち思い付かず…。敵味方双方で敏捷性が売りですからして…ですが真っ向から行ったら総合的な敏捷性ではビジターキラーチームに軍配が上がりそうな気がしてしまい…。そうなると色々とヤバいので(まず怪我では済みそうにないと言うか)…うーん。
 …何か勘違いしているようなところがあったら申し訳無いです。

 特にキウィ様、初めましてなので性格口調行動等何か不自然なところがありましたらお気軽にリテイクお声掛け下さいまし。トキノ様クレイン様瑤様も何か気になるところがありましたら同様に。

 少なくとも対価分は楽しんでやって頂けていれば幸いです。
 では、また機会がありましたら…。

 深海残月 拝