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<アナザーレポート・PCゲームノベル>


深海樹林生態調査任務・Lv1

メビオス零




 ブゥン! と、機械を立ち上げるような音と共に、白神空の視界に掛かっていたノイズが晴れた。
 つい数秒前までは酒場のカウンター前だった。しかしノイズが晴れると同時に視界に飛び込んできたのは、緑の茂みとツタに巻き付かれた巨木。

「これは‥‥結構レアな能力を持ってるわね」

 空は、遠くから聞こえてくる得体の知れない鳴き声に驚きながら、感心したように傍らに立っている鳴海 鳴門に振り向いた。
 鳴門はテレポートの衝撃に寄っているのか、体を左右に揺らせている。時折背中に背負っているナップザックの重さにつられてよろめいている。
しかしそうしながらも手にした紙面資料に何やら書き込み、腕時計のスイッチを弄っていた。

「なにしてるの?」
「到着した時間と場所を記入してるんだにゃ。あと方角の確認も」
「あら、見た目よりもしっかりしているのね」
「これぐらい出来ないと、今の時代、街の外では生きていられないにゃ」

 鳴門は頬を膨らませながら腕時計を睨み付け、キチンと作動しているのを確認してから荷物を背負い直した。
 ‥‥現在、二人はシュバルツバルトの森と呼ばれる密林に来ている。
 “審判の日”以前から存在したという研究所周辺の密林に生息する、虫の変種の生態調査を行うため、空は雇われたのだった。

「話には聞いていたけど、なかなかのジャングルぶりね。生物が大きいっていうのは、本当かしら?」

 空はセフィロトの塔周辺のジャングルと、現在身を取り巻いている密林の規模を比較し、微かに唸りを漏らしていた。範囲こそ本物のジャングルにはほど遠いのだが、木々の高さ、太さは常識外の世界だ。目に見える範囲で一番細い木でも、空の両手では抱え切れない。
 その御陰で視界は最悪。足場も最悪。唯一の救いは、巨大化した草木を巨大化した虫達が食い散らかし、もしくは踏み荒らして進んでいるため、あちこちに進み安そうな道が出来ていることだろう。
 もっとも、その先に巨大な虫が待ち構えているということを考えると、出来れば入りたくはないのだが‥‥‥‥


「本当だにゃ。見てすぐに逃げ出すのだけは勘弁して欲しいんにゃけど、大丈夫かにゃ?」
「大きな虫なら、セフィロトにもいるのよ。追いかけ回されたこともあるわ」
「それなら大丈夫かにゃ。‥‥ああ、そこの草には触らない方がいいにゃ。血を吸われるにゃ」
「‥‥‥‥」

 ‥‥虫を巨大化させたという研究所からの薬物流出は、植物系にまで影響を及ぼしているのだろうか。もしこれが研究所を隠すための意図的なものだとしたら、その研究所に住み着いていた者達を呪いたくなってくる。
 空は、うっかり吸血植物に触れてしまった手をハンカチで拭い、鳴門の目から覆い隠す。
 覆い隠しながら肉体変化を応用して素早く傷を治し、鳴門が取り出した地図を覗き込む。

「それで、今日の行動範囲は?」
「え〜っと、前回はこの辺りまでは調査しているから、ここからもう少し‥‥西の方へ行くにゃ」
「あら? てっきり、北へ行くのかと思ってたわ」
「‥‥そっちへ行くと研究所に近くなるんだにゃ。今回は生態調査が主なわけだし、あんまり危険な方へは近付きたくないにゃ」

 鳴門は頬を流れる汗を拭いながら、地図と方角を照らし合わせて歩を進め始める。
 その姿を見ていた空は、鳴門の頬を流れた汗の意味を、目敏く察していた。

(中心部の危険度は、この辺りとは段違い、出来れば近付きたくはない‥‥って事かしらね。逆にこの辺りなら、まだ何とか逃げ切れる、と‥‥)

 空は肉体変化によって、出来るだけ外見からでは分からないように聴覚を強化し、周囲の状況を逐一チェックしながら、鳴門の後を付いていった‥‥





 ‥‥‥‥そうして、二時間が経過した。
 おおよそ三十度前後の気温。直射日光は木の葉に遮られて当たらないものの、高い湿度は汗となって空となるとの肌にべったりと張り付き、体力を奪いに掛かる。
 小さな羽虫は二人の神経を逆撫でし、突如として襲いかかってくる巨大虫への警戒のために神経を張りつめている二人を無駄に消耗させていく‥‥

「はぁ、ふぅ‥‥まったく、最初からこうしていれば良かったわ‥‥」
「はぁ、はぁ‥‥何がにゃ?」

 息も絶え絶えになりながら、空は首を左右に振って鳴門の問いを受け流した。
 密林の中をずっと歩き続けた二人は、草木を掻き分け、情報を集めながら進み続けていた。
 最初の一時間は、ろくに進むことも出来ずに植物の観察ばかりを繰り返した。
 植物は、どうやら流出した薬物を直接吸い上げてしまっているらしく、虫よりも厄介な進化を遂げていた。順番で行くと、薬物が雨などによって広がり、地面に吸い込まれて草木が以上成長を遂げて変異する。そしてその草を虫達が食べて進化する。この行程の中で、もっとも薬物の影響を強く受けるのが、植物だ。
 空が先に触れた吸血植物は、序の口でしかなかった。
 一見すると何の変哲もないような細長い草が、触れた途端に動いて拘束しようと襲ってくる食虫植物となっていたり、腐臭を放つ巨大なラフレシアの中心には巨大な牙が生えていたり、花粉に強い催眠効果を持っていたり‥‥‥‥
 それらの障害を記録し、サンプルを採取したりするだけでも一苦労だった。
 本来の目的である虫の相手など、満足に出来もしない。

『と言うか、こんなろくに動けない状況下で虫に襲われたらひとたまりもなかったにゃ』

 とは鳴門の談。
 なるほど。確かに、こんな奇妙な森の中で戦闘行為を行うなど、普通の人間ならば死に直結するだろう。
 ‥‥もっとも、空が自身の能力を人目を気にすることなく行使すれば、その限りでもなかったりするのだが‥‥

(今まであんまり日の目を見ることはなかったけど‥‥なるほど。こうして使ってみると、やっぱり便利なものね)

 空はこの森に来た経験によって、【妲妃】の使い勝手が良くなってきていることを、体で感じていた。
 まともに調査を始めて虫に出会い始めた時には、空は既に、虫に対する攻撃・防御方法を編み出し始めていた。
 当初空は、巨大虫に出会った時には、どうやって倒すべきかを必死に考えていた。
 力ずくで叩き落とすか? それとも、逃げるのか?
 力ずくで叩き落とすのならば、【玉藻姫】などへの変身は欠かせないだろう。まだ付き合いが浅い鳴門の前で、能力をおおっぴらに行使することは避けたい。その為、これは出来るだけ最終手段にまで取っておきたい。
 逃げるとしても、それが有効に働くのは鳴門がいない時のみ‥‥だ。
 通常の空の身体能力は、それほど一般人とかけ離れているほど優秀というわけではない。
 人間の体力と脚力と、巨大化した虫の体力と脚力(飛んでいる可能性も高いが‥‥)を比べると‥‥人間には勝ち目などない。小さな時でさえ人間よりも優秀な性能を持つモノは多いのだ。それが巨大化しているとなれば、速さ勝負はまともに出来ない。
 ‥‥これも空の変身能力を使えば拮抗、もしくは凌駕することが出来るかも知れないが、それは【玉藻姫】と同様の理由で最終手段だ。
 では、一体どうするのか‥‥
 それを解決したのが、第三の選択肢。
即ち、“敵に会わない”事である。
虫を相手にそんなことは不可能だと、大抵の者は思うだろう。
しかし外見的にはまったく変化を起こさない空の変身形態の一つ、【妲妃】がそれを可能とした。
【妲妃】の能力は、他の形態に比べると異質なものである。
体内の血液、神経、毒素やそれらの除去物質の生成、生体電気や体臭に至るまで‥‥他の変身形態が外見の変化とすると、こちらは体内の変化を優先して行うものだ。
様々な木々の変異体を見るたびに、空はその機能を試してきた。鳴門には出来るだけ見られないように葉に触り、毒を浴び、そしてその異臭を嗅ぎ取って学習した。
植物たちの変化は、環境によって決まる。この森で虫を狩っている植物ならば、植物を招き寄せる匂いを持ち、逆に狩られないように毒を持っているものも沢山ある。
 それらの特徴を【妲妃】によって再現することで、空は鳴門に気付かれないよう、さり気なく虫を遠ざけていた。

「むぅ‥‥こんなものなのかな。あんまり虫に出会わなかったね」
「そうね‥‥でも、こんなもので良いんじゃないかしら? 植物の方のデータは取れたんでしょ?」
「そうなんだけどねぇ‥‥これじゃあ、昆虫図鑑じゃなくて植物図鑑になっちゃうにゃ‥‥‥‥‥‥」

 もうそろそろ潮時かと、腕時計を確認しようとする鳴門の動きが固まった。と同時に、空も足を止めている。
 鳴門は恐らく直感で、そして空は、強化した聴覚が捕らえた羽音を聞き取り、その驚異の度合いを読み取っていた‥‥

「ちょいと用心坊さん。お仕事は頼めるかにゃ?」
「そうねぇ。でも数が多そうだし。走った方が懸命かも」
「やっぱりそうなるのかにゃ!」

 言い終わらないうちに、鳴門はすぐに走り始めた。空は音のした方に耳を傾けながら、すぐにその後を追い掛ける。
ブブブブブブブブブブ‥‥!!
 忙しない羽音。全く合間の見えない羽音の大群は、空達の背後十数メートルにまで迫っていた。羽音が鳴っている以上、追っ手は空を飛ぶタイプの羽虫型。小刻みな音は蜂か、それとも‥‥

「蝿なの? 何でよりによってこっちに来るのよ‥‥私達は死体じゃないわよ?」

 空は八つ当たり気味に声を上げながら、鳴門を守るために両腕だけを【玉藻姫】化させた。
 幸い蝿達は木々が邪魔らしく、すぐには寄って来れない。しかしそんな条件は、こちらもさして変わらない。空を行くモノと地を駆ける者との速さ比べでは、結果など分かり切っている。

(蝿か‥‥あれを遠ざけるタイプの植物は、そう言えばなかったわね)

 死体を糧にして次々に繁殖する蝿は、植物の敵にはなりにくい。その為か、これまで空が植物から取り入れた対処方法では効果がなかったのだ。
 むしろ受粉のための花粉の運搬、食虫植物の補食対象として、誘惑されるタイプの虫である。空がここまでに行ってきた対処方法をかいくぐれる数少ない“難敵”だった。

(単純に蝿達を殺せるほどの毒を撒き散らすか‥‥ダメね。下手に使って鳴門ちゃんまで倒れられたら、脱出方法がなくなるわ)

 空は背後から迫る蝿軍団と、前を走る鳴門を交互に見比べ、憂鬱そうに溜息を吐いた。
 背後から来る蝿軍団を倒すことは、出来なくはない。蝿を殺すような殺虫作用のある薬物なら、マルクトにいる間にも取り入れている。が、あのサイズのモノを殺すとなると、人体にも悪影響は出るだろう。これまでにも似たような手口で虫を遠ざけていたが、それでも傍にいる鳴門に影響が出ないように、細心の注意を払ってのものだった。
 手加減無用ではなった時には‥‥鳴門の命は保証出来ない。

(やっぱり、玉藻姫で地道に叩き落とした方が良いかしら?)

 チラリと蝿達を観察する空は、脳裏を過ぎった最終選択の一つを否定した。
 木々に隠れているモノもいる上、走りながらなので正確な把握は不可能だったが、それでも羽音の数から十匹以上の蝿が追ってきていることが分かる。
通常のサイズならば鬱陶しいだけで済まされるのだが、この密林の蝿は、体長約五十センチ前後。得物は牙と‥‥蜂のような針。いや、恐らくは卵管か。ジャングルには、隙あらば卵を直接生物に産み付けるタイプの蝿もいるが、運の悪いことにそのタイプの蝿が巨大化したらしい。
 それが360°、あらゆる角度から襲ってくるのである。全ての攻撃を捌ききれるような自信は、空にはなかった。そもそも、全てが空に対して攻撃を仕掛けてくれればまだいいのだが、一匹でも空を置いて鳴門の方へと向かってしまっては追いつけない。
 空は段々と追いついてくる蝿達に焦燥しながら、この事態の打開策を必死に考えていた。
 ‥‥時間はさほど無い。
 空はともかく、鳴門の体力は一般人に毛が生えた程度だろう。
そんなものでは、とてもこの蝿達からは逃げ切れない。

(何か‥‥何か‥‥‥‥あ!)

 必死に打開策を考えていた空は、風に乗って運ばれてきた異臭を感じ取り、思わず足を止めそうになってしまった。
 この先ではない。異臭がしてくるのは、二人が逃げている方角とは少しずれている所で、このままならば素通りだろう。‥‥本来ならばそれで良い。しかしこの異臭に覚えがある空は、急いで走る速度を引き上げた。

「鳴門ちゃん、こっちに来て!!」
「え? に、にゃ?!」

 先行する鳴門の手を取り、走る方角を修正する。手を引く空の速さに鳴門がついて行けていないため、まるで鳴門を引きずって走っているようだ。
 長く走れば走るほど、鳴門に負担が掛かるだろう。しかし、空もそんな走りを長く続けるつもりは毛頭なかった。異臭が以上に強くなり始めた頃合いを見計らい、“それ”を視界に納めた瞬間、空は鳴門を抱き寄せ、勢いに任せて地面に転がり倒木の陰に身を滑り込ませた。

「ちょ! こんな所じゃ隠れたことにも‥‥!」
「ならないと思うけど、別に良いのよ。‥‥少し変な感じがするかも知れないけど、少し我慢して頂戴」

 空は抗議してくる鳴門を胸に抱きしめて口を塞ぐと、すぐに体の内部に意識を向けた。
 既に、他の虫達を遠ざけていた毒素は体から除去している。走っている間に準備を完了させていた空は、体内で生成した物質を静かに周囲に散布し始めた。
 ‥‥‥‥蝿達の羽音が響き渡る。

「ひーーーっ!!」

 鳴門が声を上げる。
 それも当然だろう。必死に逃げていた怪物の羽音が、すぐ耳元で鳴っているのだ。恐怖で竦んでしまっても致し方ない。
 鳴門は空の体を力一杯に抱きしめて、襲い来るであろう激痛に備えて覚悟を決めた。
 が‥‥‥‥‥‥

「んーーーー!! ‥‥‥‥‥‥‥‥‥あれ?」

いつまで経っても、その痛みが襲ってこない。
羽音は相変わらず鳴り続けているのだが、肝心の攻撃がこちらに来ない。
空に抱きつきながらも、周囲の様子を窺おうと顔を上げた鳴門は、そこでようやく事態を飲み込んだ。

「うわっ‥‥えげつな」

 鳴門は思わずそう漏らした。
 けたたましい羽音は相変わらず鳴り響いているが、それは二人を目掛けてのことではない。異臭の正体‥‥まるで腐った死体のような強烈な匂いを放っている変異ラフレシアの匂いに惹かれた蝿達が、次々にラフレシアにとまって“食われて”いるのだ。

「そう言わないでよ。これでも精一杯だったんだから。‥‥それにしても良かったわ。まさか食虫植物に変異したラフレシアが、こんな所にもあったなんて」

 そしてそんなラフレシアの異臭を体に纏わないため、その匂いを中和する物質を放ち続けている空は、ホッとしたように息をついた。
 ‥‥いくらラフレシアが蝿を惹き付けるために異臭を放っているとは言え、空達の体にもその匂いが付いてしまえば、二人の方にも蝿が来てしまうかも知れない。その為空は、自分の体からその匂いを中和して無臭状態にする物質を散布することで、蝿達の興味を自分達からラフレシアの方へと移したのだ。

「はぁ‥‥‥‥ところで、時間はどうかしら?」
「え? えっと、ああうん。三時間経ったにゃ」
「能力は?」
「ん〜‥‥大丈夫。使えそうだね」
「そう‥‥良かった。」

 今回の調査は無事終了。
 鳴門の能力が再び使えるようになったのならば、こんな場所に長居は無用だ。調査結果はそれなりに稼げたし、言うこと無しの成功である。

「それじゃあ、これを置いていかないと。ちょっと待っててね」

 そう言いながら、鳴門は荷物の中から水晶玉のような物を取り出した。
 鳴門のテレポート能力“セーブポイント”は、正確にイメージ出来る場所か、もしくは念を込めた物を置いてきた場所にテレポートすることが出来る。しかしイメージでの移動は、地形の変化やイメージの風化によって正否が大きく別れるため、普段は使用しない。
 その為、鳴門はこの密林から脱出する時には、必ずこの水晶玉を残して行くことにしていた。
 地面に水晶玉を置き、安心して能力を使用しようとする鳴門‥‥
 しかし空は、鳴門の置いた水晶玉を拾い上げ、首を左右に振って突き返した。

「鳴門ちゃん‥‥‥‥いいの? この場所に置いたら、次にここに来る時に地獄を見るわよ」
「‥‥‥‥あ」

 鳴門は強烈な匂いを発しているであろうラフレシアを見つめ、コクコクと頷いた。
 空が匂いを中和している御陰で匂いがなくなっていたため、つい忘れていたのだろう。しかし次回にこの森に入った時に、テレポートが終わった瞬間に強烈な匂いに襲われたとしたら‥‥‥‥テレポート“酔い”が増して、それなりの惨劇が起こりかねない。

「‥‥‥‥プッ」
「‥‥アハハ」

 ‥‥その状況を想像したのだろうか。それとも、鳴門のついうっかりとしたミスが面白かったのか、二人は顔を見合わせて笑い出した‥‥










☆☆参加キャラクター☆☆
0233 白神・空


☆☆後あとがきという名を借りた短編ホラー小説☆☆
 そう‥‥あれは数日前のことだった。
 ちょうどその日、私は以前から取りかかっていた仕事、小説の執筆の仕上げ作業にかかっていた。
「ああ、やっと完成だ‥‥」
 私はノートパソコンに刺していた記憶媒体を抜き取り、ネット回線が繋がったままであるデスクトップパソコンの前に移動した。
 しかし、私のデスクトップパソコンは、なぜか簡単にネットに繋がらないという現象が起こる。これは回数をおおよそ三分の二程の確率で起こり、私を長年苦しめていた。
「またか‥‥もう深夜だし、寝るかな」
 深夜に納品したとしても、実際に納品されるのは会社が動き出してから‥‥
 そう判断した私は、一度パソコンを落とし、翌朝に改めて納品作業を行うことにした。納品日は明日なのだ。何とか間に合ったなと、私は安心して眠りについた。
 ‥‥‥‥‥そして翌朝。
 気持ちよく目覚めた私は、朝一番、起き抜けにパソコンのスイッチを入れて食事を済ませ、悠々と納品作業を進め――

【フォーマットされていません。再フォーマットを行いますか?】

 ‥‥‥‥よし、私の目はまだ目覚めていない。
 さぁ、落ち着こう。
 まず、記憶媒体を安全に抜き去れる状態にしてから外し、もう一度差し込む。
 そして現れたアイコンをダブルクリック――

【フォーマットされていません。再フォーマットを行いますか?】

「な‥‥‥なんとぉーー!!」

 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 ‥‥‥‥‥‥‥‥
 ‥‥‥‥

 あそこまでフリーズしたことは、これまであまりありませんよ。(決してないとは言わない)
 なんというか‥‥なんで納品日当日に? これまで使いまくった事への反抗ですか?
 少なくとも、私にとっては恐ろしいホラーでした。そんな経験をした、メビオス零です。
 なんかもう、今回の執筆では地獄を見ました。なんて恐ろしい。お陰で、内容も結構カット気味です。何しろプロットも原稿も消えてしまいましたからねぇ! 時間も全くなかったし!!
 いや、すいません。記憶媒体に一緒に入っていた資料とか作ってたゲームとか投稿用作品とか‥‥‥‥軒並み消えて精神的ダメージを負いまくったせいか、ちょっと壊れ気味です。
 次回までには何とか回復します。ので、これからも、その‥‥よろしければこれからもよろしくお願いします。ちょっと呪われてるかもしれませんが‥‥‥‥


 では、今回のご参加、誠にありがとう御座います。
 作品に対する批評、ご指摘などが御座いましたら、遠慮容赦なく送って下さい。しっかりと読んで参考にさせて頂きます。
 では、改めまして‥‥今回のご発注、ありがとう御座いました(・_・)(._.)