<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>


このこどこのこ?
●オープニング【0】
 今日も今日とて賑やかな白山羊亭。様々な職業の、様々な種族の人々が今日も集っていた。
 そんな中、白山羊亭に見覚えのない小さな少女が入ってきた。年の頃なら5、6歳だろうか。何かを探すかのように、きょろきょろと店内を見回していた。
「あの娘、きっと親御さんを探しにきたんじゃないかなあ?」
 白山羊亭の看板娘・ルディアが仕事の手を止めて言った。
 ああ、なるほど。酒を飲んで、なかなか帰ってこない親を探しにきたのかもしれない。そのルディアの言葉を証明するように、少女は誰かの顔を見つけてぱぁっと顔を輝かせた。
「もー、ずっと家に帰ってこないから、あたし探してたんだよーっ! あたしの親なんだから、もっとしっかりしてよねー」
 ん……『ずっと』? 何か少し違いませんか?
「一緒にお家に帰ろうねっ☆」
 そう言って、少女が駆け出した。何故かこちらの居る方に。
 ……ちょっと待て。何でこっちへ向かってくるんだっ!?
 こっちは親じゃない、本当の親はどこに居るんだよっ?

●皮肉の応酬(未遂)【1C】
「パパ!」
 父親の姿を見つけた金髪の少女が、エルフ女性の座っているテーブルの脇を通り、奥に座っていた魔導師らしい青年の方へ向かっていった。だが青年は困惑の表情を浮かべている。父親ではないのだろうか?
「僕の知らない間に……だと思ったんだけど」
 その様子を見つめていた青年、湖碧風が傍らに居た小麦色の肌の青年に笑みを浮かべ言った。その肌は白く、女性と見紛う程の綺麗な顔立ちであった。
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ」
 小麦色の肌の青年、紅飛炎は碧風をじろりと睨んで言った。肌の色もそうだが、燃えるような赤く短い髪もまた、隣に居る碧風の束ねて左肩に乗せている銀髪とは対照的であった。
「飛炎、本当に覚えないの?」
 碧風が楽し気な視線を向ける。飛炎は何か言い返そうとしたが、ぐっと口をつぐんだ。言い返してみた所で、碧風から皮肉と嫌味の応酬を受けることは予想がついたからだ。そして自分がまず勝てないことも。
 飛炎と碧風の2人は各々朱雀族の族長と白虎族の次期族長であった。飛炎に誘われこの白山羊亭に入った所、目の前の光景にぶつかったのだ。
「で、どうするの。僕たちには関係ないようだけど……」
 碧風に言われ思案する飛炎。子供は苦手だが、見過ごして行くのも……という気がする。
「あの娘を碧風が対応するなら、俺は探しても構わないが」
 冷静に考えた上で飛炎はそう判断した。碧風は少し飛炎の顔を見つめていたが、何かを察したようにこう答えた。
「ならこうする? あの娘の親をお互いに探して、見つけた方がまたこの店で奢る……って」
 飛炎はすぐさま頷いた。

●May I help you?【2】
「え、パパじゃないの!?」
 少女が驚いたように言った。リュタン・シュファースは複雑な表情をしたまま、こくんと頷いた。
 事実を正直に告げるのはどうかと一瞬迷ったが、差し当たっては誤解を解くために少女に懇切丁寧に話していたのだ。
「じゃあパパどこに行っちゃったんだろ……パパ〜」
 くすんくすんと涙を浮かべる少女。それを見てリュタンはおろおろとし始めた。
「あらあら……泣いちゃ駄目よ」
 そう言いながらやってきたのはエルフ女性のヘレン・G・ウィングベルだった。ハンカチを取り出し、少女の涙を拭ってやった。
「……ありがとう、おばさん……」
 泣き顔のまま、礼を言う少女。
「こういうときは『マダム』と呼ぶのよ」
 ヘレンは優し気に少女に言ったが、その目は決して笑っていなかった。『おばさん』は禁句なんでしょうか、おば……もとい、マダム。
「女の子を泣かせちゃ駄目だよ〜」
 騒ぎに気付き、パタパタと羽根を動かしてやってきたのはシフールの少女、ディアナ・ケヒト。その後ろからはディアナの召喚したエンジェルのヴィジョン、ミリティアの姿もあった。
「あ……天使さんだっ!」
 今まで泣いていたのに、ぱっと表情を輝かせ、少女はミリティアの方へ駆け寄っていった。ミリティアはそばにやってきた少女の頭を優しく撫でてあげた。
「ディアも一緒に探してあげるね〜」
 わくわくとした目付きで、少女に話しかけるディアナ。
(かくれんぼみたい……わくわく)
 ディアナがそんなことを考えていると、それが伝わったのかミリティアが困った笑顔を向けていた。かくれんぼとはちょっと違うんじゃなかろうか。
「何か困ってるの?」
 ミリティアの後ろからひょいと顔を出したのは白い髪のパラの男性、ナトリ・ウェザリーだった。
「あら、ナトリさん」
 ヘレンがナトリの姿に気付き、そして何かを確信するように少女にこう断言した。
「大丈夫。ナトリさんが見つけてくださいますわ」
 根拠なしに言い放った言葉だったが、それでも以前ヘレンの家の猫が逃げた時に、ナトリが見事見つけていたのだから、ヘレンの言葉も嘘とは言えない。猫と人が同じかといえば、その辺りは……だが。
「え?」
 一瞬戸惑うナトリ。しかし、この場の様子からおおよその事情は察した。何しろ魔導師らしき姿のリュタンが、困惑の視線を少女に向けていたのだから一目瞭然だ。
「なるほど。間違えられて困ってたんだ」
 くすっと笑ってリュタンに話しかけるナトリ。頷くリュタン。
「ああ。探してあげようと思ってたんだけど……」
「探すのよかったら手伝うよ。ああ、実は俺は『パースト』っていう魔法で捜し物や探し人の仕事をしてるんだよ」
 ナトリが自らの生業を説明すると、リュタンは感心したような視線をナトリに向けた。
「『パースト』使う時は前金、もしくは1食で手を打つよ」
 指を1本立て言うナトリ。何ともしっかりしていた。
「おっと待った! その手のことなら、俺も得意だね」
 リュタンがナトリと契約しようとしたその時、人当たりのいい陽気そうな青年が割り込んできた。
「誰?」
 怪訝そうな表情を向けるナトリ。
「おっと、名乗るのが遅れたようだね。俺はクォドレート・デュウ、クォって呼んでくれ。一応占い師だ」
 笑顔で話すクォドレート。占い師と聞き、ピクッとナトリの眉が動いた。
「俺の方は仕事後に1杯奢ってくれればいい」
 こちらも指を1本立てるクォドレート。やはり何かしらの代価は必要なようだ。
「それなら、両方に頼もう……か」
 少し考えてからリュタンが言った。1人より2人、2人より3人だ。人探しは人数が多い程よい。ナトリもクォドレートもリュタンの言葉に納得した。
「親御さんを探すのなら、僕たちも手伝いましょう」
 近くのテーブルの銀髪を束ねて左肩に乗せていた穏やかで優しそうな青年が、すくっと立ち上がって集まっていた皆に言った。隣では燃えるような赤く短い髪をした青年が、様子を窺うように切れ長の目で見つめていた。
「誰ですの?」
 ヘレンが青年に尋ねた。
「これは失礼。僕の名前は湖碧風、隣に居るのが……」
「紅飛炎だ」
 碧風に促され飛炎が名乗った。

●情報収集【3】
 碧風はルディアにノンアルコールの飲み物を頼むと、それをミリティアにあやされていた少女に手渡した。話を聞く前にまずは少女を落ち着かせようとしていた。
「名前は何というの?」
 尋ねるヘレン。そういえばまだ少女の名前も聞いていない。
「レニィ……」
 少女は飲み物を一口飲んでから答えた。
「何でこの人を親だと思ったのかな?」
 続けて尋ねたのはナトリだった。何もなくリュタンを父親と間違える訳がない。そこには何らかの原因が存在するはずである。
「パパと同じ顔だったもん……街中で見かけたから追いかけてきたんだもん」
 皆の視線がリュタンの方を向いた。なるほど、この顔をした男性がこの街のどこかに居るらしい。自分と同じ顔をした人間は世に何人か居るとはいうが、まさか本当にそうだとは……何とも不思議な物である。
「そのパパはどのくらい居ない? キミを放ってあちこち出歩くなんてこと、今までにもなかったのかな?」
 さらりとレニィに尋ねるクォドレート。言ってることは何気にきつかったりするのだが。
「1週間……。パパ、あたしとママを放ってどっか行くなんてこと今までなかったのに……」
 他の者がそうやってレニィに尋ねている間、飛炎はルディアから話を聞いていた。
「最近、あの男と似た容貌の者が来なかったか?」
 リュタンを指差す飛炎。
「さあ……ここ1ヶ月は間違いなく来てないと思うけど。来てたら覚えてるもの」
 それはまあそうだろう。常連であれば間違いなく顔を覚えているだろうし、つい最近来ていれば見覚えはあるはず。ルディアの言葉に偽りはないと考えられた。
「父親の名は? どうして出かけたのか知っていますか?」
 レニィに碧風が尋ねた。
「パパの名前はガート。朝お仕事に出かけたきり、帰ってこないの……パパのお友だち、パパは夕方にちゃんと帰ったって言ってたのに……」
 また涙を浮かべるレニィ。ヘレンが慌ててハンカチで涙を拭ってあげた。
「とすると、夕方に何かあったのかな?」
 前髪を掻き揚げるナトリ。帰宅途中に何かがあって、そして姿を消した――そう考えれば辻褄が合う。その『何か』さえ分かればガートの足取りはつかめるかもしれない。
「……この娘の家に行って、近所の人たちに聞き込みをしてみようか」
 ここまで黙っていたリュタンが口を開いた。ひょっとすると近所の者がガートを見かけているかもしれないし、レニィの母親が詳しい事情を知っている可能性もある。一同はそのリュタンの提案に賛同した。
 白山羊亭を出て、送り届けがてらレニィの家を向かう一同。出かけ様にディアナがルディアに言った。
「ルディア〜。ディア、この娘とかくれんぼしてくるね〜」
 ……だから違います。

●ガートが消えた日【4】
 レニィの家へ着くと、母親がリュタンの顔を見て激しく驚いた。よっぽどリュタンに似ているようだ。
 一同は詳しい事情を尋ねるが、母親にもよくは分からないらしい。ただ、ガートは少し頼りない所はあるものの2人にとても優しく、夫婦喧嘩をしたこともなく、ましてや2人を放ってどこかへ行くような性格ではないとのことだった。
「誰かに恨まれるようなことはなかったのか?」
 飛炎がそう尋ねたが、そういうことも別になかったようである。逆に誰かを恨んでいたこともないそうだ。
 レニィの家を辞した一同は、明日朝からガートを探してみることを確認した。夜遅くから調べても収穫は少ないだろうからだ。
 そして白山羊亭へ戻りがてら、近所の者にも聞き込みを行っていると、とある男性から妙な話を耳にした。ガートが仕事へ行く途中の道で何か拾っていたというのだ。
「赤い……宝石かな、あれは。あの日の朝に道で会ったら、『落とさなかったか』ってガートさんが尋ねてきたんだよ。当然知らないからそう答えると、『仕事終わってから詰め所に届けに行こうか』なんて言ってたけど。結局あれ届けたのかな、ガートさん」
 しかしガートはその拾ったという宝石と共に姿を消してしまった。これはどういうことだろう?

●1週間前の光景【5A】
「ここ、ここ。この裏手で1週間前の夜、激しい物音が聞こえたらしいんだよな〜」
 クォドレートがこの辺りの地図を片手にリュタン、ナトリ、飛炎の3人を案内してきていた。
 4人はガートの仕事場から家までのルートを辿ってきていた。もしまっすぐ帰っている間に何か起こったのなら、この範囲である可能性が高い。そして先程、クォドレートが有力な情報を聞き込んできたのだった。
 そこは行き止まりの細い路地だった。ふと見ると、奥の壁の木材が衝撃でも加わったのか少し壊れている。
「で、彼が目撃者」
 手招きをして1人の青年を呼び寄せるクォドレート。青年はリュタンの顔を一目見るなり、こう叫んだ。
「あっ! あなた大丈夫だったんですか!?」
「え?」
 思わず尋ね返すリュタン。恐らくガートと間違われているであろうことは明白だった。
「柄の悪そうな男に追われてたから心配だったんですよ〜!」
 ナトリが顔を見上げ、飛炎と顔を見合わせた。追われていたとはいったい?
 ナトリはおおよその時間を青年に尋ねると、さっそく両手で印を結び詠唱を始める。『パースト』の魔法だ。
(これは……)
 ナトリの脳裏に当時の光景が浮かび上がってくる。それはリュタンと同じ顔の青年が、黒髪で頬に傷のある男に殴られて奥の壁にぶつかっている光景だった。必死にこの場から逃げ出す青年、追う男――そこで終わった。
 見えた光景を他の3人に話すナトリ。
「恐らくは……その男に追われ、帰るに帰れないんじゃないか」
 飛炎が自らの考えを話した。その可能性は十分あり得る。
「逃げて、問題はその後かな」
 リュタンがつぶやいた。逃げてどこへ行ったのか、次はそれだ。本能的に家へ向かったか、それとも反対側へ向かったのか。
 4人はとりあえずこのままガートの家へと向かってみることにした。
 その道中、飛炎は妙な視線に気付いた。同じくそれに気付いていたナトリが振り返ろうとして、飛炎に止められた。
「絶対振り向くな」
 小声で他の3人に話す飛炎。何者かが、4人の後をつけてきていたのだ――。

●罠【6B】
 リュタンは1人で街中を歩いていた。次第に人気のない方へ向かってゆき、やがて行き止まりの路地へと入る。
 その後を男が1人つけていた。黒髪で頬に傷のある柄の悪そうな男だった。男は辺りに誰も居ないことを確かめると、リュタンに続いて路地に飛び込んでいった。
「見つけたぜ。さあ、宝石を出してもらおうか」
「宝石……?」
 男に振り返らず、つぶやくリュタン。
「とぼけるんじゃねえ! てめえが拾った赤い宝石だよ! 出さねえんなら、こないだみたいに痛い目に遭わせてやるぜ……」
 男が腰から短剣を引き抜いた。
(なるほど、これで謎が解けた)
 リュタンはゆっくりと男に振り返った。
「残念だけど人違いさ。それよりも、事情を話してくれてありがとう。誘い込んだかいがあったよ」
 笑みを浮かべ、静かに話すリュタン。それを聞いて、男の表情がさっと変わった。
「て、てめえ……あの時の奴じゃねえなっ!」
「はい、残念だね〜。こんな単純な罠に引っかかるなんて。詰め所へ行くなら一緒に行ってやるけど、どうする?」
 男の背後から笑いながらクォドレートが姿を現した。隣にはナトリの姿もある。
「うん、こいつだね。『パースト』で見えたのはこいつだ!」
 男を指差しナトリが大きく頷いた。どうやらガートを襲った犯人に間違いはないようだ。
「くそっ! そこをどきやがれっ!!」
 短剣を振りかざし、クォドレートたちの方へ向かってくる男。そんな男の肩を目掛けて、上空から『炎の矢』が飛んできた。
「ぐあぁっ!!」
 短剣を地面に落とし、その場に倒れる男。上空では紅い翼を出した飛炎が、次なる『炎の矢』を手の中に作り出し、攻撃の準備をしている所だった。

●再会【7】
 リュタンたち4人はガートを襲った男を詰め所に突き出した後、ここまでの経緯を報告するためにガートの家に向かっていた。
 そしてガートの家近くまでやってくると、反対側からヘレンたち3人が姿を見せた。そこには頭に包帯を巻いた、ガートらしい青年の姿もある。確かにリュタンそっくりの姿をしていた――。
 驚くリュタンたちに事情を説明するヘレンと碧風。ガートが頭に傷を負って記憶を失っていること、そして赤い宝石を持っていたこと等を話して聞かせた。
 するとクォドレートがそれを補完するような説明を始めた。そのガートの頭に傷を負わせた男を先程詰め所に突き出してきたこと、そして男が10日前に赤い宝石を盗んで逃げていたことを。これで全ての謎が解けた訳だ。
「後はガートさんの記憶が無事に戻ることだけですわね」
 しみじみと言うヘレン。最後の、かつそれが最大の問題だった。物が記憶なだけに、こればかりは7人にもどうしようもない。
 ガートを連れ、家を訪れる7人。ドアを開き、レニィが姿を見せた。
「はーい……パ……パパッ!?」
 ガートの顔を見つけるなり、レニィが叫んだ。そして駆け寄る。
「パパッ! 本当にパパだよねっ!?」
 ガートの身体を揺らすレニィ。ガートはしばらくぼんやりとレニィを見つめていたが、やがて何かに気付いたようにはっと目を見開いた。
「レニィ?」
「パパァ……」
 ガートを見上げるレニィの目には大粒の涙が浮かんでいた。
「レニィ、逃げなさい! あいつが追ってきて……」
 きょろきょろと周囲を見回すガート。そして7人に気付く。
「……あなたたちは?」
「犯人は捕まえたから、もう大丈夫だよ〜」
 にこにことディアナが言った。ナトリが言葉を続ける。
「もう狙われることはないよ。宝石は詰め所にきちんと届けるし」
「よくは分かりませんが……どうやらいいことのようですね。ありがとうございます」
 安堵の表情を浮かべ、ガートが深々と頭を下げた。
「パパ、ママにも顔を見せてあげて! 心配してたんだよ……」
 レニィがガートの手をぐいぐいと引っ張ってゆく。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、みんなありがとう! パパ探してくれて、レニィ嬉しかったよ!!」
 涙を浮かべたままレニィはにっこりと微笑み、そしてガートと共に家の中へ消えていった。
 家族の再会を邪魔するのは野暮というものだろう。7人は家の前から各々立ち去ることにした。
 だがその時碧風は見逃さなかった。ずっと無言だった飛炎の目に、うっすらと涙が浮かんでいたことを――。

●賭けの結果【8A】
「涙を見せるなんて朱雀族の族長にしては珍しい。明日は雨じゃないかな」
 笑みを浮かべ、ややからかうように碧風が言った。
「ふっ……」
 そっぽを向く飛炎。レニィとガートの再会の場面を見て、不覚にもつい涙を浮かべてしまったのだった。
 だがこんなことを言っているが、碧風には分かっていた。飛炎が自分以上に安堵し、親子の再会を喜んでいることを。
「賭けは僕の勝ちだね。一応見つけたのはこっちが早かったし」
「負けは負けだ。奢ってやる……」
 そう言って白山羊亭へ急ごうとする飛炎。
「けどね」
 飛炎の後をついてゆきながら、碧風が言葉を続けた。
「犯人捕まえたりして、しっかり手伝ったから1杯奢ってあげるよ」
 笑顔で言う碧風。飛炎が立ち止まって振り返った。
「……そいつはいい」
 飛炎が切れ長の目をさらに細めて笑った。

【このこどこのこ? おしまい】


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【 整理番号 / PC名 / 性別 
             / 種族 / 年齢 / クラス 】
【 0128 / 紅 飛炎 / 男
            / 朱雀族 / 772 / 族長 】◇
【 0129 / 湖 碧風 / 男
         / 白虎族 / 518 / 次代の族長 】◇
【 6313 / リュタン・シュファース / 男
        / ヒュムノス / 20 / 超常魔導師 】☆
【 0160 / ヘレン・G・ウィングベル / 女
       / エルフ / 29 / 専門家(仕立屋) 】◇
【 5967 / ディアナ・ケヒト / 女
     / シフール / 18 / ヴィジョンコーラー 】☆
【 0829 / ナトリ・ウェザリー / 男
             / パラ / 32 / 旅芸人 】○
【 0122 / クォドレート・デュウ / 男
          / ヒューマン / 20 / 旅芸人 】○


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■         ライター通信          ■
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・『白山羊亭冒険記』へのご参加ありがとうございます。担当ライターの高原恵です。
・高原は原則としてPCを名でで表記するようにしています。
・各タイトルの後ろには英数字がついていますが、数字は時間軸の流れを、英字が同時間帯別場面を意味します。ですので、1から始まっていなかったり、途中の数字が飛んでいる場合もあります。なお、今回はマイナスの場面番号も存在しています。
・参加者一覧についているマークは、☆がMT12、○がMT13、◇がソーンの各PCであることを意味します。
・なお、この冒険の文章は(オープニングを除き)全16場面で構成されています。他の参加者の方の文章に目を通されると、全体像がより見えてくるかもしれませんよ。
・コミカルでほのぼのといこうと思ったんですが……どうなんでしょうね?
・ちなみに行きがかり上、宝石盗難事件を解決しているので多少ですが賞金が出ています。高原担当の冒険ではお好きにお使いください。
・紅 飛炎さん、翼の使用は本文中にあるような感じになりました。楽しくプレイング読ませていただきましたよ。OMCイラストを参考にさせていただきましたが、果たしてイメージ通りだったでしょうか?
・感想等ありましたら、お気軽にテラコン等よりお送りください。
・それでは、また別の冒険でお会いできることを願って。