<聖獣界ソーン・黒山羊亭冒険記>


【妖精の森】

●オープニング
―――ラルツの町―――
「ねー、妖精の森ってどの森?」一人の若い旅人が老人に尋ねた。
「お姉さん妖精の森に行きたいのかい?」老人はびっくりしたよ
うに答えた。
「そうよ。妖精の森に行けば世界一の財宝があるらしいわ
冒険者としてのがすわけがないでしょ?」
そして老人は少し黙り込んだ後答えた。
「お嬢さん悪いことは言わないからやめといたほうがいい
あの森には魔物が住んでおる・・おそらくお嬢さんが戦ってきた
どんな魔物よりも強いだろう。勇者と呼ばれていたものさえ
一人で森に入りあの森から帰っては来られなかった。」
しかし彼女は老人も予想できないような意外な言葉を口走った。
「なら、最高のパーティーをくめばいいのね?勇者は一人で森に入って
帰ってくることができなかったのよね?なら最高のパーティーを組めば
いいわ。」
老人は彼女の自信をみて「お前さんなら財宝を探し出せるかもしれない
地図を描いてあげよう・・・」
彼女は老人から地図をもらった。
そして彼女は最高のパーティーを探すことにした。


●パーティー
「たくさんいるわね。どの人が腕が立つのかしら」
「お姉さん、腕の立つ人を教えてあげようか?」
小さな女の子が声をかけてきた。
長いピンク色の髪を2つに結わえ彼女の前に立った。
「こう見えてもここのお店の娘。腕のたつ人くらい分かるよ」
少女は彼女の手を引っ張った。
「あの2人だよ。よかったね、同じテーブルにいるよ。
あの2人と組めばいいパーティーになるよ。
彼らの名前はライオネル・ヴィーラーとバルバディオス・ラミディン。」
少女はそれだけをいうと多くの店の常連客にまぎれて分からなくなった。
彼女は少し迷ったが少女を信じて声をかけた。
「あなたたち腕のたつらしいわね」女性は彼らのテーブルについた。
「あなたは?」ライオネル・ヴィーラー(ライオネル・ヴィーラー)
が尋ねた。ライオネルはなんとも優しそうな顔をしており
綺麗な金髪に綺麗な青色の眼と色白の肌が周りの誰よりもひきたっている
「私はセレナ・カリュウド、セレナでいいわ。所で精霊の森って知ってる?」
「ああ・・あそこか。あんたあそこにいきたいのかい?」
バルバディオス・ラミディン(バルバディオス・ラミディン)が言った。
彼は大きな体系に身長、小麦色にやけた肌のせいか、
よりたよりがいのある男の見える。
それにその青い眼が彼をいっそう引き立たせている。
「ええ、最高の財宝をこの手にしてみたいの。」
「しかし、あそこは危険ですよ」ライオネルがいった。
「そうね、けど私はこれでも世界一を目指す冒険者よ。」
そしてそれをきいたバルバディオスは笑い出した。
「姉ちゃん!気に入った!!仲間になってやろうじゃないか。
それにそこの金髪頭の兄ちゃんも隣にいたのも何かの縁だ!
付き合ってやろうじゃないか」
ライオネルも「縁ですか・・・そうですね。いいでしょう」
2人は承諾した。
「俺はバリイだ。腕っぷしの方は任しとけや。宝捜し、秘境探索の類なら
お手のもんってやつだぜ。ただし、頭を使うのは少々苦手だ。
そのへんはあんたらに任せるわ。
あくまでも俺は、目的地までの障害物を取り除く役目に徹させて貰う
ってことで。
財宝の方にはあんまり興味はねえんだ。妖精の森の妖精に、
手形でも1つ、冒険をしてきた証として貰えりゃ十分だ。
貴族のお偉いさん連中相手にゃあ、ありふれたお宝なんぞよりも、
こういう冒険談のほうがうけもいいしおもしろそうだ。楽しくいこうな!」
バルバディオスは普段のありふれた冒険よりもこういう愉快な冒険もいいと
思ったようだ。
「私はライオネル・ヴィーラー。愛称はライなのでライと呼んでください
財宝を無理して手に入れるのはだめですよ。
あくまでも命を守るのは基本です。無理な冒険はさけましょうね。」
とにかくセレナはパーティーが組めたことに一安心をした。


●妖精の森に突入
森の入り口に大きな岩が一つある。傷ははいっているようようだが
今まで冒険者は皆あきらめてきたようだ。
「セレナ、これどうしますか?」ライオネルが聞いたと同時に
石が砕けた。
バルバディオスのこぶしで軽く叩いたら岩は砕けた。
2人はバルバディオスを呆然と見た。
《今までの冒険者が弱いかのようです》
ライオネルは苦笑いでバルバディオスをみた。
セレナはしゃがんで岩にふれた。「!!!」
《す・・すごい・・ただやみくもに壊しているのかと思ったら岩の急所を
ちゃんとついている》セレナはバルバディオスを見た。
「なんだ?2人とも。意外と綺麗な森だな。それに平和そう・・・」
バルバディオスの声がとまった。
向こうのほうから大きな足音が聞こえ、3人のもとを通過した。
「バリィ、セレナ・・・今見ました?」
ライオネルは苦笑いをしながらこちらを見た。
「あれは、一般的な魔物だよね?しかも人間を素通りしたし・・」
セレナが確かめるように聞いてきた。
「ええ・・3倍のサイズですけどね」ライオネルが言った。
なんと動物たちが大きいのである。
「なるほど・・倒すのにも3倍、苦労するわけね」
セレナは老人が言っていた言葉をおもいだした。
『あの森には魔物が住んでおる・・おそらくお嬢さんが戦ってきた
どんな魔物よりも強いだろう。』その言葉が今納得できた。
「そういえば聞いたことあるぜ。妖精の森の動物や魔物たちは強いと・・
その理由は妖精が住んでいるといわれる湖の水を飲んでいるからと。
あくまでも噂だがな」バルバディオスは笑いながら言った。
「でも、本当かも知れないわね」
「所で姉ちゃん一つ気になっていたんだがなんでそんな格好なんだ?」
セレナは冒険者といえるかどうか分からないほど細身の体をしており
剣も細くて軽そうなものを使用している。
おまけにそこらの女よりは少し美人顔をしているだけであまりかわらない。
めずらしい感じの冒険者である。
「なによ〜変?」バルバディオスが変!と言おうとしたときライオネルが
バルバディオスの口をふさいだ。
「ライなにすんだ!!」ライオネルは小声で言った。
「バリィ、セレナは女の子といっても冒険者です。
それは禁句かもしれません」ライオネルは小声で言った
実はライオネルも少しだけバルバディオスと同じ考えを持っていたらしい。
そして森の中へと一行は入って行った。
相変わらず大きな魔物が素通りする。


●妖精の森の奥
森はだんだんおい茂っており日差しがあまり入らないせいか暗くて
少し肌寒い。
「くちゅん」セレナはくしゃみをした。その時その声に反応したのか
魔物があらわれた。
「きゃぁぁ!!」セレナは思わず声をだしてしまった。
「姉ちゃん、少しは慣れろって・・ずっと素通りされてるんだから」
バルバディオスはあきれた顔で言った。
「バリィ・・・今回はそうでもないみたいですよ」ライオネルが言った。
「まじ!こんな巨体倒すのかよ!!」バルバディオスは驚いた。
「怖いの?」セレナが挑発するような言葉を吐いた。
「まさかー、姉ちゃんこそ巨体相手に細い体しているうえに
細い剣だし吹っ飛ばされるなよ。」
セレナはそれを聞いてバルバディオスに微笑みながら言った。
「自信あるんじゃない。退くような言葉をはかないでよね」
「さーて、私は上空からいきますよ」ライオネルは相棒の守護聖獣を呼んだ。
「ライファーズ、行きますよ。」
ユニコーンはライオネルとともに鮮やかに空へ飛んだ。
「俺の相棒のイーグルも空から援護してくれよ」
バルバディオスはイーグルを離した。なんとも大きな羽が空へ舞って行く。
「姉ちゃんいくぜ」セレナはバルバディオスの言葉に反応した。
「あ・・うん」どうやら守護聖獣にみとれていたようだ。
セレナは剣をとった。そして剣を振った。「えいっ!!」
しかしセレナは傷をつけるどころか跳ね返された。
「・・・ね・・姉ちゃんなにやってんだ?」サレナは起き上がって
思い出した。
「威力も3倍ださなきゃだめなんだよね・・・」
バルバディオスも意味がわかった。つまり攻撃だけでなく防御も
3倍と言う事だ。
「姉ちゃん、それなら急所をつけばいいんだ」
バルバディオスはセレナに言った。
そしてバルバディオスは勢いをつけて走り魔物めがけて走った。
「とりゃぁぁ!!!」魔物は危険を感じたのか手を振りかざしてきた。
「げっ!」バルバディオスは止まるに止まれない。
その時上から弓が跳んできた。「バディ、援護するので安心してください。」
「サンキュ!」バルバディオスはそのまま突っ込んだ。
しかしバルバディオスは突然動きを止めた。
「バディ?!!」セレナとライオネルは声をあわせて言った。
「いや・・もう大丈夫だと思うぞ。笛の音・・・おそらく使い魔だろう」
「バディってば・・・物知り・・」セレナは少しうらやましく思った。
「そりゃー、腕1本で世界を渡り歩き、財宝探しや秘境探険といった「夢」
を売る商売をしているくらいだからな。」
そしてライオネルがゆっくりとユニコーンと一緒に下りてきた。
「笛の音ですか?使い魔ですかね・・」セレナはライオネルの言葉を聞いて
《ええ!!もしかして常識?》突然、笛の音が止まった。
ふと巨体の魔物を見上げると頭の上に女性がたっていた。
長い黒い髪をなびかせこちらを見ている。
「私の領土に踏み入れるとは何のようだ・・・」
女性は剣をこちらに、むけていった。
剣が日差しで光ったと同時に風が起きた。
「やばいっ!!ライ!!俺が姉ちゃんを守るから上空にいけ!!」
バルバディオスはセレナを守る形で風にぶつかった。
「ライファーズ、イーグルおいで!!」
ユニコーンにのりライオネルは上空へ向かった。
「・・・逃がさない。」女性は風をおこしてから笛を吹き出した。
「ピーピロピ〜♪」守護聖獣たちはスピードが落ち落下し始めた。
「ぐるぅぅ〜」魔物が大声をあげた。
女性はライオネルを受け止めた。「ぐりゅぅぅ・・」
「人間どもを助けてなんになる・・今まで何人の人が財宝を手に入れようと
来たことか、この森の妖精も美しさも奪っていく人間どもに何を期待している」
女性はライオネルを地面に置いた。そして魔物をなでてから
「お前の好きなようにすればいい」女性の後姿を魔物は見つめた。
「ぐるぅぅ〜」魔物はほほでライオネルの傷ついた体をなでた。
「つれていくのだろ?いくぞ」
――――― 一方 ――――――
「・・ゃん・・ぇちゃん・・姉ちゃん!!」
セレナはバルバディオスの声で眼を覚ました。
しかしうつろになっている。
「しっかりしな」バルバディオスはセレナの体をおこした。
「ごめん・・私のせいで」
セレナはバルバディオスの怪我をしたところを気にした。
「なーに頑丈にできている体だ!心配ない・・しかし迷ったな・・」
「水の音?」
バルバディオスは分からなかった。「姉ちゃん?」
「聞こえない?私、小さい頃から耳がいいんだ」
セレナは言った。


●美しき財宝
「ん・・」ライオネルは目を覚ました。「目を覚ましましたか?」
さっきの女性だ。ライオネルは起き上がった。
「っっ痛」体に激痛が走った。
「大丈夫か?これを飲め。この森の湖の水だ」
ライオネルが水を飲んだ瞬間、体の痛みが和らぎ傷も癒えた。
「バディとセレナのところへいかなければ!」
ライオネルは立ち上がった。
「大丈夫だ、あの2人は聖なる泉に向かってる」
ライオネルは女性を見た。
「どうして分かるんですか? 」ライオネルが聞いた。
「私は森の番人すべてみえる」
「とにかく案内する。ユニコーンは飛べそうか?」
「ええ・・なんとか」ライオネルはゆっくりと確かめるように乗った。
「イーグル、私を貴方の主人の下へ」
イーグルは言葉に反応したのか女性を背中に乗せた。
そして空高く舞い上がった。
――― 一方 ――――
「姉ちゃんどこまでいくんだ?」
バルバディオスが聞いたと同時にセレナが言った。
「あった!!ここよ」セレナは湖を指した。
バルバディオスはそれを見て感動した。
「きれいな湖だなー。こんな綺麗な湖、初めて見たぜ」セレナを見て
嬉しそうに言った。「本当、底が深いのにちゃんとみえるわ」
セレナも感動していた。
「君たち何してるの?」綺麗な金髪の男が現れた。
「人間が来るなんてめずらしい・・」男は2人を敵意してないようだ。
「ボクはレイ、財宝目当てなら残念ですね、だって・・」
その時上から声がした。
「2人とも無事ですか?」2人は空を見上げた。
「わー綺麗な湖ですね」ライオネルは光る湖を見つめた。
「・・前を見たほうがいいぞ」女性がいった。
その時前から火の玉が飛んできた。
「ここから先は私にも制御できない魔物だ」
ライオネルは上手にかわした。
「やばいな」バルバディオスはイーグルを呼んだ。
女性をひょいっと持ち上げておろし空へ高く舞い上がった。
「俺も手伝うぜ、ライ」ライオネルに叫んだ。
「ありがとうございます」ライオネルはバルバディオスに言った。
そしてバルバディオスはいきよいよく魔物にこぶしをぶつけた。
「リミル!」男が言った。女性の名前はリミルというみたいだ。
「レイ、お前はこの人間たちをどう思う?」
セレナは2人を心配して聞こえていないようだ。
「綺麗な心を持っていますよ。ボクは人の心が見えますがとてもきれいだ。
今までの者たちはこの湖はお金儲けになるとか考えていましたがこの湖を
心から美しいと・・」
ライオネルは剣に精神を込めて魔物に振りかかった。「とりゃゃーー」
魔物に少し傷がいったようだ。
「少ししか効いてないな」バルバディオスの額から汗がながれた。
その時リミルが空高くジャンプをして魔物の目の前で笛を吹いた。
「お前、元の場所へお帰りなさい」
魔物は術にかかったのかふらふらと帰っていった。
「そなたたち強いな。おかげですぐに催眠術をかけられた」
2人は地上へと降りた。
「2人とも大丈夫?」セレナが心配する。
「ええ、かすり傷程度です」ライオネルは笑顔でいった。
リミルはレイの手をつかんで言った。
「この森の財宝はこの湖とそして・・」
リミルが笛を吹くと妖精たちが出てきた。その光がとても美しい。
「これよ・・私たちが小さい時に冒険者が来てこの森の水を売りさばいたの、
それだけでなく妖精を捕まえ貴族に売りつけた。
だから私たちはそれ以来、人を近づけさせなかった。」
だから精霊が見れなかったようだ。
「俺はこの森があって精霊がいて心優しい魔物がいるからこの湖の
価値があると思うんだがな。」
バルバディオスが言った。
「ええ、私もそう思います。」ライオネルが笑顔で言った。
「そうですわね、財宝の証は手に入れられなかったけど目に焼きついたわ」
セレナも満足そうにいった。
「いい、土産話になりそうだ」バルバディオスも満足のようだ。
「ではこれを差し上げよう」
リミルが差出したのは小さなびんに入った湖の水だ。
透き通って濁りの無い色をしていた。
「ありがとう!」3人が言った。
「じゃー行くか!」バルバディオスの声でセレナとライオネルは出発した。


●その後
「・・・っという話だ!どうだ面白い話だろ?」
バルバディオスが旅の途中小さな村でこんな話をしていた。
周りには小さい子から大人までいる。
バルバディオスの話にどうやら魅入っているようだ。
「お兄ちゃん、私もその森行ってみたいな。妖精さんと湖をみてみたい〜」
小さな女の子が言った。
「お兄ちゃん、初めて妖精の森を抜けたんだよね、かっこいいー。
ボクもお兄ちゃんみたいなかっこいい冒険者になる!!」
小さな男の子が言う。
「ああ、そのときを楽しみにしてるぞ!」バルバディオスは豪快に笑った。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / クラス】
6310/ライオネル・ヴィーラー/男/18/グリフォンナイト
0054/バルバディオス・ラミディン/男/27/冒険者


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■         ライター通信          ■
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初めまして、今回担当させていただきました葵桜です。
聖獣界ソーンでの執筆は初めてだったためとても楽しく
お話を進行させてもらいました。
私の傾向では戦闘シーンは結構多いほうですが今回はストーリーが
少し重視しているかもしれません。
お話は気に入っていただけたでしょうか?
まだまだ未熟ですがこれからもよろしくおねがいします。