<PCクエストノベル(2人)>


星空の下で・・・
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【冒険者一覧】
【整理番号 / 名前 / クラス】

【1285 / オズ・セオアド・コール/騎士】
【1284/エンテル・カンタータ /女騎士】
【 / /】
【 / /】
【 / /】

【助力探求者】
【/】

【その他登場人物】
【/】
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 聖獣界ソーンにも色々な場所がある。
36の聖獣で加護されているこの国にも、
観光施設のようなものがあったり・・・。
その中の一つが温泉。
二人の冒険者がこの温泉で有名なハルフ村へとやってきていた。

オズ:「やっとついたな」
ぽそりと一言呟いた青年はオズ、藍色の髪に綺麗な白い花を咲かせている。
それも湯煙でうっすらとぼやけてしまっているが。
 オズは騎士の称号を持つ。
 今回、冒険の疲れを癒すために隣にいるエンテルとともに
 この温泉にやってきたのだ。
エンテル:「わぁ〜すごいね!霧みたいな湯煙!」
 目を輝かせはしゃいでいるエンテルも女騎士。
 ふたりは共に冒険をしているいいコンビだった。
 湯煙でエンテルの美しい金髪が色濃くなった。
 少々多めの湿気を気にすることもなく、
 オズから一定の距離を保ちながら、キョロキョロと辺りを探検している。
 小さなエンテルはオズとはぐれてしまったら大変だと分かっていたので。
オズ:「先に宿へ行こう。荷物を置きに」
エンテル:「うん!身軽なほうが楽しめるもんね!」
 二人は意気揚々と宿へと向かった。

◇宿に着き・・・

エンテル:「こんにちは〜」
 エンテルは元気良く中へ声をかけた。
 にこにこと従業員が出てくる。
 「ようこそいらっしゃいました」と快く迎えてくれる。
オズ:「先に荷物を置いておきたいのだが・・・」
 それにも快くうなずくと従業員は二人を部屋へ案内した。
エンテル:「わぁ〜。すっごーい!」
 思わず感嘆の声があがる。部屋は和室になっていた。
 この世界に来た人間が教えたのだろう。この世界には珍しい畳の和室。
 広々とした一室にテーブル。その上には甘いお菓子が置いてあった。
 従業員は部屋の説明をするとさっさと出て行ってしまった。
 二人の邪魔をしてはいけないと思ったのだろう。
オズ:「ちょっと休憩するか」
 オズは畳みに腰掛けた。
 向かい合わせる形でエンテルも腰を降ろす。
エンテル:「これ、食べてもいいのかな?」
 甘そうなお菓子に興味津々の様子。
オズ:「いいんじゃないか?甘そうだから俺の分も食べていい」
エンテル:「え?!いいの?ありがとう!」
 エンテルは白い紙に包まれた小さな菓子を開ける。
エンテル:「あっまーい!けどおいしい!!」
 とても嬉しそうなエンテルの様子にオズも嬉しそうだ。
エンテル:「オズ、オズ」
オズ:「ん?」
 エンテルは自分の食べている菓子を一口分小さく分けると
 オズの口元に差し出した。
オズ:「なんだ?」
エンテル:「一口くらいいいでしょ?おいしいよ?」
 ほら、あーん。とエンテルはオズの口に菓子を放り込んだ。
エンテル:「おいしいでしょ?」
オズ:「あぁ・・・」
 そんなに甘いものが得意ではないオズも、
 エンテルが食べさせてくれたのだから不味いはずはなく・・・。
エンテル:「ごちそうさま!」
オズ:「もう一つ残ってるぞ」
エンテル:「また後で食べようと思って」
オズ:「そうか・・・ならそろそろ外へ行こうか?見て回ろう」
エンテル:「うん!行く!行く!」

 二人は外へとくりだした。
 このハルフ村は自然が多く、湯煙と自然が落ち着いた雰囲気を
 醸しだしていた。
 二人は並んで歩いていた。
 辺りをキョロキョロと興味津々なエンテルを他所にオズのほうは一つ、
 気がかりなことがあった。
 骨休めにきた冒険者たちがこちらをチラチラと見ている。
 正確にはエンテルを・・・。
オズ:「はぁ・・・」
 人知れずオズはため息をついた。
 中々栄えているだけあって人が多い。
 オズがいなければ、今ごろエンテルは男たちに声をかけられていただろう。
 オズとエンテルのようにコンビを組んでいればまだしも、
 一人で冒険している男などは、エンテルを見れば、それは声もかけたくなる。
 無防備だし、小さくてかわいいし。何よりくるくると変わる表情がいい。
 オズは、周りに牽制しつつエンテルとの観光を楽しんだ。
 一方エンテルは・・・
エンテル:「オズ!さっきのお菓子が売ってるよ!帰るとき買っていこうよ!!」
 楽しくて仕方が無いようだった。
 それもそのはず、オズと温泉に来たのは初めてだった。
 エンテルの視界には男たちは入っていなかったが、恋人たちが仲よく
 楽しげに店などを回っている姿が目に入る。
 自分たちもそんなふうに見えるのだろうか・・・と少しドキドキしていた。
 二人とも一様に何か考えているのだが、
 純粋に楽しんでいたのも本当だった。

エンテル:「はぁ〜いっぱい歩いたね!」
 エンテルは畳みに腰を降ろした。
 一応全て見まわった二人は宿へと帰って来た。
 時間は夕暮れ、ちょうどいい頃合だった。
オズ:「疲れたか?」
エンテル:「ううん。楽しかった!!」
 エンテルの嬉しそうな笑顔を見てオズも嬉しそうだった。
 そこへドアをノックして従業員が入ってきた。
 「一時間後に夕食をお持ちしますから先に温泉に入ってはどうですか?」と。
 二人は言われるままに温泉へ向かった。

エンテル:「わぁ〜いっぱいあるよ!オズ!」
オズ:「あぁ・・・そうだな」
 エンテルもオズも水着になった。
 この温泉では混浴が多いため、着用する決まりになっているらしい。
 二人は平静を装っているが、二人ともに目のやり場に困っていた。
 エンテルはいつも服に包まれているオズの引き締まった体にドキドキするし、
 オズもオズでエンテルは水着を着ているとは言え、
 体のラインはハッキリ見てとれるし、スラリの伸びた足が美しい。
 そして水着姿もかわいい。
エンテル:「・・・・」
オズ:「・・・・」
 小さな沈黙が二人の間を過る。
エンテル:「あっ!露天風呂だって!入ろうよ」
 先に沈黙を破ったのはエンテル。
 オズもほっと気を抜いてエンテルの後ろについていった。
 湯がゆるやかに揺れた。
エンテル:「はぁ〜気持ちいい」
オズ:「あぁ・・・」
エンテル:「疲れがとれるね!また冒険がんばろうって気になる」
オズ:「そうか・・・」
 それはよかったとオズは安心した。
 夕暮れの温泉は見晴らしが良いのがよかった。
 沈みゆく夕日を眺めながら、気持ちのいい一時を過ごせる。
 様々な湯があったが、この一時を壊すのが惜しくてエンテルは、
 オズの隣でゆっくりと浸かった。
 また夕食の後に入ってその時楽しもうとちゃんと計画を立てることも忘れずに。
オズ:「綺麗だな・・・」
エンテル:「うん・・・最高の贅沢だね」
オズ:「あぁ・・・」
 オズは夕日が綺麗だなとも思ったけれど、実際、口について出たのは、
 エンテルへの綺麗だった。
 夕日に染め上げられたエンテルの金髪はなんとも言えない輝きを放ち、
 その瞳には夕日を映し、一層、煌いていた。

 二人が部屋へ帰ると、テーブルの上にはたくさんの料理が並んでいた。
 川魚の塩焼きから山菜料理まで。山の幸を豪華に使ってあった。
エンテル:「わぁ〜いっぱい!おいしそう!」
 目の前に並ぶ料理に思わず感動している。
オズ:「こんなにたくさん・・・」
 あまりの量の多さに食べきれるか不安になってしまう。
 どれもこれも美味しそうなので、それは嬉しい。
 二人は席に着き、さっそく食べ始めた。
 いつもはあまりお目に掛からない料理に舌鼓。
 オズは、さりげなく用意されていたお酒を飲んでいる。
 湯上がりの一杯はまた格別なのだ。
 オズのそんな様子をエンテルは見逃さない。
エンテル:「いいもの飲んでる!オズだけ!」
オズ:「エンテルが飲むと・・・酔う」
エンテル:「せっかく温泉に来たんだよ?少しくらい!ね?」
 オズの前で手を合わせ、「おねがーい」とねだっている。
 オズがしぶしぶ、グラスに少しだけつぎ、エンテルへ渡した。
エンテル:「どれどれ?・・・何?カーッってなる!」
オズ:「だからきついんだ。飲めるか?」
エンテル:「せっかく貰ったし飲む」
 さすがに、以前のようにジュースがごまかしてくれない。
 チビチビとエンテルはお酒を舐めるように飲んだ。

 あれだけたくさんあった料理を二人は全て胃の中へ治めた。
 温泉に来たということと、料理そのものの美味しさが二人の食を勧めた。
エンテル:「ふぅ・・・おなかいっぱい」
オズ:「あぁ・・・」
 二人してふぅ・・・とため息をつく。
 満腹で気持ちのいいため息。
エンテル:「オズ、この後もう一回温泉に行こう?」
オズ:「あぁ・・・別にいいが。まだ入り足りない?」
エンテル:「まだ全部制覇してないもん!しなくちゃ!」
オズ:「じゃぁ、温泉に入ったあと外に涼みに行こうか」
エンテル:「本当?嬉しい!」
 二人はしばらく休み温泉へ向かった。

エンテル:「美人の湯だって。女性限定って書いてある」
オズ:「入って来るか?」
エンテル:「一番後にする!」
 二人は、檜風呂など様々な湯を回った。

エンテル:「美人の湯へ行ってくるね!」
オズ:「俺も男限定の風呂とやらに行って来るか」
エンテル:「じゃぁ、30分後に玄関の前ね?」
オズ:「あぁ。わかった」

◇美人の湯
 ここは女性限定なので、水着を着用しなくていいらしい。
 エンテルはゆっくりと美人の湯に使った。
エンテル:「お肌ツルツル〜!」
 かなりご満悦だ。
 隣に浸かっていた女性が声をかけてきた。
 「ねぇ、知ってる?この湯って本当に美人になるんだって。
 好きな人に入ったあと会うといいっていう噂よ」
 女性は、きっと一緒にきている人があるのだろう。
 さっきからずっと浸かっていた。
 エンテルもそれならば!と肩まで深く浸かった。
 しかし、食事の時アルコールを飲んだのが悪かった。
 すぐ回ってフワフワしてくる。
 エンテルはここでのぼせて倒れるわけには!と
 名残惜しいが美人の湯から上がった。
 脱衣所へ戻ると、「浴衣」という服が一人一着ずつ与えられた。
 紺に白い花が咲いている柄だ。
 エンテルは苦心しながらもそれを着て、脱衣所を出た。

◇男性限定の湯?

 オズは温泉を見て唖然とする。とにかく広い。
 泳いでいる人までいた。
 オズは効能と書いてある看板へ視線を移した。
 「筋肉痛、神経痛など。精力回復にも・・・」
 オズはこの看板で男性限定の意味を理解した。
 まぁ、筋肉痛など疲れにも効能があるので、ゆっくりと浸かった。
 そろそろかなと上がるとこちらにも「浴衣」が。
 こちらに「浴衣」があるのなら当然向こうにもあるだろう。
 表情には出ないがオズはエンテルの姿を見るのを楽しみにしていた。
 それをさっさと着てしまうと、オズは玄関へ向かった。
 エンテルを待たせないようにと。

◇夜空の下で・・・
 
 オズが玄関先に着いた。まだエンテルは来ていない。
 ほっと一息つきのんびりとエンテルがやってくるであろう方向を見つめた。
 すると、一人の女の子が歩きにくそうにこちらに向かってくる。
 エンテルだった。
 エンテルは器用に髪を纏め、借りた浴衣を着ていた。
 紺は金髪に栄え、湯につかってほんのり上気した頬が浴衣と
 あいまって色っぽい。
 オズはいつもと違う雰囲気を纏ったエンテルにとまどう。
 エンテルもオズの浴衣姿にドキドキしていた。
 服で着痩せしていつもは分からないが、薄い浴衣一枚だと、
 オズの男らしい体つきがよく分かった。
 二人は、お互いに照れながら外へと出て行った・・・。
 満点の星空が二人に降り注ぐようだ。
 月は満月。美しく辺りを照らしている。
オズ:「それ・・・似合うな」
エンテル:「あ・・・浴衣?着なれないから変な感じ。本当に似合う?」
 エンテルはオズを見上げる。
オズ:「あぁ・・・」
エンテル:「ありがと・・・オズも似合うよ」
オズ:「ありがとう・・・」
 会話はぎこちないものだったが、それが苦になっているわけではない。
 どちらかというと、この雰囲気を味わっている感じだ。
 二人以外は、夜ということで恋人同志しかいない。
 一人で骨休めに来ているものは、
 さっさと疲れを癒すべく寝てしまっているからだろう。
 エンテルは少し居心地が悪かった。
 周りは仲のいい恋人同志が腕を組んだりして歩いている。
 エンテルは、よしっ!と心の中で意気込むと
 そっとオズの腕に自分の腕を回した。
 嫌がられないかな?とオズの様子を窺ってみるけれど、
 嫌がっている様子はない。心なしか嬉しそうだ。
 エンテルは安心してオズと歩いた。
 オズは、エンテルの腕が自分の腕に回ってきたことに驚いた。
 辺りを見回すといるのは恋人たち。
 一気に了解して、腕をそのままにした。
 こんな幸運を逃す手はない・・・。
 照れたようにこっそり自分の様子を窺うエンテルのけはいがする。
 嫌じゃないよと心の中で言った。

 二人はしばらく歩くと広い広場のようなところへ着いた。
 二人は何の相談をすることもなく、その一角に座った。
 もう腕は離れてしまったが、柔らかく手を繋いでいる。
エンテル:「ありがとう」
オズ:「ん?」
エンテル:「温泉に連れてきてくれて。すごく楽しい」
 本当に嬉しそうに笑みをこぼすエンテル。
オズ:「良かった。そうだ美人の湯はどうだったんだ?」
エンテル:「すっごいよかったよ!お肌ツルツル!」
 噂の方は伏せておいた。
オズ:「良かったな。俺の方はやたらと広かった」
エンテル:「いいなぁ・・・行ってみたいかも」
オズ:「いや・・・エンテルには美人の湯の方がいい」
 まさかあんな効能を言えるはずもなく。
エンテル:「美人の湯につかって美人になってこいって?」
オズ:「いや・・・そういうわけではなくて」
 オズの少し焦った様子にエンテルは笑っている。
 オズをからかえる機会なんてそうそう無い。
 二人は、寄り添いながら星空を眺めていた・・・。

                             END
◇ライターより
今回も発注ありがとうございます。
温泉ということで、お二人には浴衣を着ていただきました。
いかがでしょうか?
色々エピソードを思いつき、字数が足りなくて残念です。
いつもは冒険をしているお二人ですが、時々甘い
雰囲気のお話を書かせていただくとまた違う楽しさがありました。
また、お二人とは冒険に出かけられるので、楽しみにしています。

気に入っていただけると嬉しいです。
それではまた・・・。
                         古楼トキ