<PCクエストノベル(4人)>


ソーン全国サイコロの旅 〜第2夜〜

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【 冒険者一覧 】
【 整理番号 / PC名 / 性別 
             / 種族 / 年齢 / クラス 】
【 1185 / バンジョー 英二 / 男
              / 魔皇 / 30 / 俳優 】
【 1184 / バンジョー 玉三郎 / 男
            / 魔皇 / 40 / 映画監督 】
【 1333 / 熟死乃 / 男
 / ナイトノワール / 43 / ディレクター兼カメラマン 】
【 1334 / 不死叢 / 男
 / フェアリーテイル / 37 / ディレクター兼ナレーター 】

【その他登場人物】
【 NPC / トリニウム・ガーナル / 男
             / 人間 / 27 / 元騎士 】

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●振り出しに戻る【0】
 聖獣界ソーン――ユニコーン地域中央部に位置する聖都エルザード。ソーンの中心でもあるこの街には、毎日のように様々な世界から様々な旅人たちが訪れる。
 広大なるソーンの地でサイコロの旅を行っていた玉三郎・英二のバンジョー兄弟は、『タイムアップ』という言葉の下に――いったい何に対してのタイムアップなんだという疑問はさておいて――エルザードへと舞い戻っていた。
 2人はこれから何度となくこの地を出発点、あるいは通過点とすることになるのだが……今はまだ、その運命に気付いていなかった。
英二:「兄さん、とりあえずあの店に寄ろう」
玉三郎:「ああ」
 2人はそう言うと、すたすたと白山羊亭へと向かって歩き出した。
 だが、この時の2人はまだ知らなかった。2人を追って、エルザードに足を踏み入れた者たちが居るということを……。

●勢揃い【1】
 真っ昼間の白山羊亭、前に来た時と同様に客は多くもないが少なくもない。やっぱり、まったりとした空気が店内には流れていた。
玉三郎:「魔力を秘めた黄金の楽器かあ……」
 ほう……と溜息を吐き、飲み物に手をつけることも忘れ遠い目をする玉三郎。黄金の楽器とは、先日トリニウム・ガーナルから聞いた話であった。
 英二はそんな玉三郎を、呆れたように横目で見ていた。そして、くいと飲み物で喉を潤す。
英二:(そうだ、兄さんは昔っからそうだった)
 英二は何年か前の出来事を思い出していた。玉三郎は昔から物を拾ってくるのが好きだったが、あの時はもっとも弾けていた。
英二:「……何であんなに生き生きとした顔してたんだか……」
 ぼそりとつぶやく英二。あの時に見せた玉三郎の笑顔は、恐らく5本の指に入るほどの笑顔ではなかったろうか。
英二:「でもまあ、目的もなくただ行き当たりばったりで移動するよりはマシか」
 英二は自らにそう言い聞かせた。サイコロの旅なんて、行き当たりばったりの極地である。それに比べれば、遥かに仕事をした気になれるというものだ。
 と、その時だった。白山羊亭に、2人の男たちが現れたのは。
不死叢:「おっ、お2人! ここに居たんですかぁ? いやぁ、熟死乃くんと一緒に随分探しましたよぉ」
 入ってきて早々そう言ったのは、太めの体格をした30代後半くらいの、眼鏡をかけて口回りから顎にかけて髭を生やした男だった。
 その後ろには、家庭用デジタルカメラを回している黒い翼を生やした男が立っている。熟死乃と呼ばれたこちらは、40代前半といった所か。
玉三郎:「おや? これはこれは、不死叢さんに熟死乃さん」
英二:「なっ……何で居るんだよっ?」
 平然とした様子の玉三郎に対して、困惑の色が顔に浮かぶ英二。
不死叢:「おやおや、当然魔皇様たちを探してたんですよぉ」
 語尾が若干ねばる感じのある独特の口調で言う不死叢。熟死乃は黙々とデジカメを回し続けている。
 実は不死叢と熟死乃の2人、魔皇であるバンジョー兄弟に仕える逢魔である。ちなみに不死叢が英二に仕えるフェアリーテイルで、熟死乃が玉三郎に仕えるナイトノワールだ。
不死叢:「ともかくこれで、我々黄金のカルテット勢揃いですなぁ」
英二:「自画自賛してどうすんだよ! いいかい、君はだ、最初こそ立派なこと言ってて、旅が進んでったらいつもぐだぐだだ」
不死叢:「…………(カチッ!)」
 げしっ!
 英二に向かって、不死叢の足が出た。
英二:「お、蹴ったってか? 会って早々、喧嘩するか?」
不死叢:「うるさい、すずむし!」
 自分の仕える魔皇に対して『すずむし』呼ばわりはどうかという気もするが、英二と不死叢の喧嘩はもういつものことである。
熟死乃:「…………」
 熟死乃はそれをデジカメで黙って撮っている。苦笑する玉三郎。ここまで引っ括めて、いつもの光景なのだ。

●企画発表【2】
 しばし続く英二と不死叢の喧嘩。他の客たちは不思議そうにそれを見ていて、マスターなんかは早々と見て見ぬ振りをしていた。
不死叢:「それにしても、お2人」
英二:「?」
玉三郎:「?」
 不意に改まった不死叢の言葉に、きょとんとするバンジョー兄弟。
不死叢:「何の準備もしてない?」
玉三郎:「はい?」
 不死叢の言葉が一瞬飲み込めない玉三郎。だが、すぐにはっとして不死叢たちの足元を見ると、何やら一杯に詰まったバックパックが。中から、ロープの端がちょろっと出ていた。
不死叢:「旅に出ようや、魔皇様」
英二:「うるさいわ!」
 笑いながら言った不死叢に対し、何故か半笑いで叫ぶ英二。思った通り、目の前の2人は旅に連れ出すつもりなのだ。
英二:「お前ら、そういう物はまず魔皇様に準備させるもんだろ! 自分らばっかり揃えやがって!」
不死叢:「おや? 前もって言ってませんでしたかなぁ?」
英二:「言ってねぇよ! ……いいや、それよこせ」
不死叢:「やだよ。これ、俺たちの私物だもん。会社の物じゃねぇもん」
熟死乃:「自腹だから」
 デジカメを回しながら、ぼそっと言う熟死乃。
英二:「勘弁してくれぇ……。今度はどこ連れてく気だぁっ!」
不死叢:「そうですなぁ。我々もまだここに来たばかりで、地理を把握してませんからなぁ」
 そう言い不死叢が思案し始めた時、玉三郎がちょいちょいと手招きをした。
玉三郎:「不死叢さん、ちょっとちょっと」
 玉三郎に呼ばれる不死叢。そして何やらひそひそと密談を始める。
 不安そうに見つめる英二のアップを、熟死乃がデジカメで撮り続けた。
不死叢:「なるほど! さすがは魔皇様、どこぞの頭が空っぽなすずむしとは違いますなぁ」
 感心したように言い放つ不死叢。密談も終わり、2人が英二の方へ向き直った。
不死叢:「えー、お待たせしました。決まりました」
英二:「そうかい、決まったかい。それでどこに行くんだい?」
 覚悟を決めた様子の英二。こうなったら、もう開き直るしかない訳で。
不死叢:「それでは企画の発表です。我々は……」
英二:「…………」
不死叢:「遺跡探索に行きます」
英二:「お……おお?」
 こりゃまたストレートというか、何というか。英二にとってはリアクションが取り辛い。
不死叢:「こちらの玉三郎魔皇様が、どうしても黄金の楽器を見付けたいというので、ならば夢を叶えるべく行動しようではないかと」
 反射的に玉三郎の方を見る英二。玉三郎は英二の視線に気付かず、飲み物のお代わりを注文していた。
英二:「……しかしだ、不死叢くん」
不死叢:「何でしょう?」
英二:「そら無謀だよ。我々、異世界素人の4人だ。遺跡なんか行ってみろ。死ぬぞ?」
 確かに正論ではある。玄人でも大変なのに、素人であればなおのことだ。
不死叢:「ちゃんと考えてありますよぉ。聞く所によると、魔皇様たちには遺跡探索に詳しい知り合いが居られるとか」
英二:「知り合いなんて居な……」
 言いかけて途中で止まる英二の言葉。いや、居た。相手はどう思ってるか知らないが、先日知り合ったばかりの男が1人居る――ガーナルだ。
英二:「ひょっとして、チルカカのかい?」
不死叢:「そうなりますかなぁ」
 うんうんと頷く不死叢。やっぱりだ。
玉三郎:「つまり、彼から遺跡探索のコツを享受しようと、そういうこと」
 玉三郎が口を挟んできた。いい考えだとは言える。相手が引き受けてくれればの話だが。
不死叢:「ま、ま。ここに居ても仕方ありませんから、行きましょう」
 こうして4人は、チルカカに居るガーナルを頼って移動することとなった。もちろん、出発前に魔皇2人の装備を整えてから。

●ただいま移動中【3】
 大きな湖に浮かぶ島であるチルカカへは、馬車やら連絡船を乗り継いで行くこととなる。一行は連絡船に乗るべく、馬車の中の人となっていた。
不死叢:「だいぶかかりますかなぁ」
英二:「いやあ、結構かかるぞ」
 窓の外を眺めながら、時間の話をする2人。玉三郎は疲れているのかうとうととし、熟死乃は反対側の窓から流れ行く景色をデジカメで撮影していた。
不死叢:「おっ、向こうに整然と進んでゆくキャラバン隊が見えますなぁ」
 指差す不死叢。馬車からは小さくしか見えないが、馬などにまたがって駆けてゆくキャラバン隊の姿が見えていた。
英二:「今の撮れたかい?」
 英二が熟死乃に尋ねた。が、熟死乃はあまり表情を変えることなくこう言った。
熟死乃:「分かんねぇ」
 どうやら撮れたかどうか、微妙な所らしい。
 馬車はさらに進んでゆく。と、今度は葉の部分が半径10メートルは優にありそうな木が見えてきた。
不死叢:「おおっ! あれこそまさしく気になる木ですなぁっ!!」
 感嘆する不死叢。英二もこれは面白いといった表情を浮かべていた。
英二:「熟死ー、どうだい?」
熟死乃:「…………」
 英二の問いかけに、今度は無言を貫く熟死乃。
不死叢:「……見事だよ。撮れてねぇもんだから、何も喋んねぇ」
 どこ撮ってたんだ、熟死乃。

●遺跡探索講義・理論編【4】
 一行がチルカカに着いた時には、すでに日も暮れて夜となっていた。
不死叢:「着きましたなぁ。それで、ガーナルさんのお宅というのはどこなんですか?」
玉三郎:「確か……あっちだったかと」
 玉三郎を先頭に、英二、熟死乃、不死叢という順でぞろぞろと歩いてゆく一行。やがて、見覚えのある家の前にやってきた。
玉三郎:「ここだ、ここだ。さてさて、居るかどうか」
 扉を叩く玉三郎。一瞬、辺りが静まり返った。
英二:「もし居なかったら、野宿かい?」
 嫌そうに言う英二。野宿だけは勘弁だった。
ガーナル:「はい、どなたです?」
 扉が開かれ、中から金髪の青年が顔を出した。ガーナルだった。
ガーナル:「あなたたちは……」
 ガーナルはまずバンジョー兄弟の顔を交互に見た。そして、後ろに居る熟死乃や不死叢の存在に気付き一瞬ぎょっとした。
ガーナル:「な、何だ!?」
玉三郎:「あー、驚かせてすみません。実は……」
 玉三郎はガーナルに後ろの2人が仲間であることと、またここにやってきた理由について説明をした。
ガーナル:「なるほど。そういうことなら」
 事情を知ったガーナルは、一行を家の中へと招き入れた。遺跡探索のコツも、ちゃんと教えてくれるそうだ。
不死叢:「ここにはお1人なんですかな?」
 何気なくガーナルに質問をする不死叢。後ろでは、熟死乃が家の中の様子をぐるりと撮影していた。
ガーナル:「……ええ、まあ。ここは仮の住まいで、今日戻ってきたばかりなんで」
英二:「おい、1日ずれてたら野宿だったじゃないか」
 文句を言う英二。だが不死叢はそれをすぱっと聞き流した。
 簡単な夕食の後、いよいよガーナルによる遺跡探索についての講義が始まった。
英二:「まさか、イロハのイで死ぬなんてこたないよね?」
不死叢:「いくら何でも、そりゃないでしょう」
 笑みを浮かべながら言い合う英二と不死叢。しかしガーナルはさらっと答えた。
ガーナル:「死にますよ」
玉三郎:「死にますかあ……」
ガーナル:「遺跡を甘く考えていると、死はすぐそばにやってくる。いくら簡単そうに見えても、少しの気の緩みで大変なことになる」
 大きく頷くガーナル。経験談からなのだろうか、重みのある言葉だった。
英二:「帰してくれんかぁ……」
 天井を見上げて言う英二。
不死叢:「大丈夫ですよぉ。気を緩めなければいいんです」
英二:「そう言う君みたいな甘く考えてる奴が、真っ先に死ぬんだぞ。分かってるか、ゲンゴロウ?」
不死叢:「何ぃ? 表に出るか、すずむし?」
 また喧嘩が始まりそうになったが、玉三郎が割り込んで事なきを得た。
ガーナル:「遺跡を探索する時、覚えていると役に立つのが『右手法』と『左手法』です。これは右手、あるいは左手をずっと壁につけたまま進んでゆくというもので、時間はかかるもののほとんどの場合は目的の場所に辿り着きます」
 『右手法』『左手法』は、遺跡探索における基本的な手法である。順調に行けば早く目的の場所に辿り着くことも出来るが、最悪の場合は全ブロックを歩くことになる。
英二:「不死叢くん。今、彼は少し気になることを言ったよ? 『ほとんど』って、『必ず』じゃないだろう?」
ガーナル:「ええ。ループしていたり、魔法で空間がねじれていたら役に立ちません」
 きっぱり言い放つガーナル。そりゃまあ、当たり前の話だ。
 例えば目的の場所が遺跡の中央部なのに、外周がループしている場合を考えるといい。『右手法』『左手法』では絶対に辿り着けないから。
 ガーナルの講義はその後もしばらく続き、練習に手頃だという小さな遺跡があるというので、翌朝そこで実地練習を行うことに決まった。
熟死乃:「習うより慣れろだね」
 ぽつっとつぶやく熟死乃。まさにその通りだった。

●遺跡探索講義・実践編【5】
 翌朝早く、一行はガーナルに連れられて小さな遺跡にやってきた。中にはもう宝物はないけれども、罠は全て解除され、最初に居た怪物たちも排除されている。ゆえに比較的安全であり、練習に最適であった。
ガーナル:「こっそり、外の怪物が入り込んでいるかもしれないが……そのくらい、何とか出来るだろう?」
 すみません、それ洒落なってません。
 ガーナルを先頭に、玉三郎、英二、熟死乃、不死叢という順番で遺跡に入ってゆく。さすがに遺跡と言うだけあって、内部の壁や天井、床などは人工的な造りとなっていた。
 しんと静まり返った遺跡の中、響くのは一行の足音のみ。
不死叢:「遺跡ですなぁ」
 もとい、響くのは一行の足音と不死叢の笑い声のみ。
 一行は教えられた通り、『右手法』を使って遺跡を進んでいった。
 うねうねと曲がる通路を歩いてゆき、途中いくつかの部屋を抜け、時間はかかっていたが何とか順調に進む一行。
 けれども、一行のこと。ただで終わるはずがなかった。
玉三郎:「下がって下がって下がって」
 ガーナルに続いて通路の角を曲がったばかりの玉三郎が、慌てて引き返してきた。
不死叢:「おや、どうしました?」
玉三郎:「蛇、蛇、蛇!」
 玉三郎曰く、前方に蛇が出てガーナルに戻るよう言われたのだという。
 しばしその場で待機する一行。少し経ってからようやくガーナルに呼ばれ、一行は角を曲がっていった。
英二:「もう蛇は居ないだろうね?」
 不安そうに、きょろきょろと辺りを見回す英二。しかしとっくに逃げてしまったのか、もう蛇の姿は見当たらなかった。
 さて、これで一安心と思ったその時、またしても困った事態にぶつかってしまった。何と通路が落盤を起こしていたのだ。
ガーナル:「地震か何かで、天井が落ちてしまっているんだ」
 4人にそう説明するガーナル。最初に誰かが入った時から、こうなっていたのだろう。
 けれども、通路が塞がれているという訳ではない。狭いながらも、通り抜けることは出来るのだ。
 ガーナルが先に行き、玉三郎がさっさとそれに続いてゆく。残されたのは、英二と不死叢と熟死乃の3人。
熟死乃:「あー……こりゃ不死やん通れないかもしんない」
 落盤して狭い通路を見て、しみじみとつぶやく熟死乃。言われてみると、不死叢の体型だとぎりぎりかもしれなかった。
不死叢:「嘘っ! 俺ダメかよ! デブで髭だとダメなのかよっ!!」
英二:「髭は関係ないだろ!!」
 慌てる不死叢に、英二が言い放った。英二はそのまま狭い通路を抜けようと思ったが、何を考えたのかずいっと不死叢が前に躍り出ようとした。
英二:「おい、何してんだよ! お前は後ろからゆっくり来ればいいだろぉっ!?」
不死叢:「俺を置いてく気かっ? お前が最後に行けばいいだろ!」
英二:「出演者がディレクターとカメラの後から行ってどうすんだよ!!」
 揉める英二と不死叢。熟死乃の回すデジカメは、そんな2人の醜い争いをも余すことなく撮り続けていた。
 結局、当初の通りに英二、熟死乃、不死叢という順番で狭い通路を抜け、かなり先に行っていたガーナルや玉三郎と合流を果たしたのだった。後はもう、近くにあるという出口に向けて歩くのみである。
 ちなみに不死叢、大方の予想通り抜けるのに少々手間取りました。

●帰してくれんかぁ【6】
 遺跡を無事脱出し、何とか実地練習も終えた一行。ガーナルに礼を言ってから別れ、今後の方針を確認していた。
不死叢:「これで我々は遺跡探索のコツを、びしっと身に付けましたなぁ」
英二:「ああ。これでいよいよ楽器探しに行けるのかぁ」
 感慨深気に言う英二。これからは、どの遺跡に目指す黄金の楽器が眠っているかを見定めて、そこを探索してゆくことになる……はずだった。玉三郎が、口を開く前までは。
玉三郎:「あ、その前にサイコロ振ろう」
英二:「へっ?」
 きょとんとする英二に構わず、玉三郎は紙製のちゃちなサイコロを取り出した。その様子を見て、げらげらと笑う不死叢。
不死叢:「おや、サイコロ振りますか、お2人。そうですかぁ、振りますかぁ。実は私、エルザードでこのような物を……」
 そう言って不死叢が取り出した1冊の本。それは『ソーン観光ガイドマップ』という物であった。
不死叢:「さ、これでどこへなりとも行けますなぁ」
英二:「こんなもん、どこで売ってんだよ!! 熟死ー、何か言えよぉっ!」
熟死乃:「いやっ、俺は別に……」
 キレ気味の英二に対し、いつものように淡々と返す熟死乃。見れば、玉三郎はもうすでにサイコロを振る気まんまんであった。
 かくして――まだまだ一行の珍道中は続くのだった。この先どうなってゆくのか。それを知るのは、サイコロの神様のみである――。

【ソーン全国サイコロの旅 〜第2夜〜 おしまい】