<PCクエストノベル(2人)>
思いやる気持ち
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【冒険者一覧】
【整理番号 / 名前 / クラス】
【1284/エンテル・カンタータ /女騎士】
【1285 /オズ・セオアド・コール /騎士】
【助力探求者】
【/】
【その他登場人物】
【/】
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冒険者があとをたたない聖獣界ソーンでは、様々な鉱石があったり、
伝説があったり・・・それはもう冒険者の心を擽る。
今日も一人、かわいい冒険者が白山羊亭の前で意気込んでいた。
金髪の髪が軽く揺れる。小さくガッツポーズをし、気合を入れている。
準備はいいよね?蝋燭持ったし、水分も食料も・・・。
大丈夫!いざ!貴石の谷へ!!
かわいい女騎士は意気込んだ。
今回の冒険はいつも一緒に冒険している相棒の誕生日プレゼントのため。
そこで採取できる「虹の雫」でお守りをつくるためだ。
女騎士ことエンテルは、深呼吸して白山羊亭へと入って行った。
後ろにはその相棒のオズも。彼も騎士の称号を持つ。
エンテルとともに数々の冒険をしてきた心強い仲間。
エンテル:「マスター!!」
白山羊亭のマスター:「おぉ、エンテルどうした?」
エンテル:「教えて欲しいことがあるの!」
白山羊亭のマスター:「何だ?」
エンテル:「貴石の谷についてなんだけど」
マスターの周りにいた人々はざわめいた。
貴石の谷という美しい名前とは裏腹に、魔物が出る危険なところとして有名だった。
珍しい鉱石がとれることで有名で、
魔物が出るようになってからは怖いもの知らずの冒険者が
冒険へ繰り出す場所。
白山羊亭のマスター:「エンテル・・・貴石の谷へ行くのか?」
エンテル:「うん・・・虹の雫がどうしても欲しいの!」
マスターに耳うちするようにコソコソと話す。
側にいるオズには内緒なのだ。プレゼントしてびっくりして欲しいから。
エンテルのそんな様子でだいたいの経緯を察したマスター。
白山羊亭のマスター:「あそこは本当に危険だぞ?魔物が出るし。
虹の雫はあの谷の奥深くにあると言われている」
エンテル:「うん!知ってる!道とか聞けたら嬉しいんだけど・・・」
マスターとこそこそ話しているエンテルに向かって一人の冒険者が声をかけた。
「俺、地図持ってるけどいるか?」
エンテル:「欲しい!是非!」
「この地図はあまり当てにならんかもしれんがやるよ」
エンテル:「ありがとう!!」
エンテルは満面の笑みを浮かべる。
冒険者はそそくさとその場から離れる。
側のオズに気おされたのだ。
オズは無言で、用が済んだら離れろ・・・と言っていたから。
白山羊亭のマスター:「宝石(いし)喰いが出るから気をつけろよ、
エンテル」
エンテル:「宝石(いし)喰い?」
白山羊亭のマスター:「あぁ、魔物だ。やっかいだからな・・・」
エンテル:「う・・・うん分かった。ありがとう」
白山羊亭のマスター:「気をつけて行ってこい」
エンテル:「うん!!行ってくるね!」
エンテルとオズは白山羊亭を出た。
その前で、エンテルはオズに仕入れた情報を見せる。
エンテル:「オズ、これこれ貰った地図」
オズ:「少し分かりにくいな・・・無いよりはましだが」
エンテル:「そうそう!無いよりはいいよ。
宝石(いし)喰いに気をつけたほうがいいって」
オズ:「あぁ・・・魔物だからな。充分に気をつけよう」
エンテル:「とにかく!貴石の谷へ行こう!」
オズ:「あぁ・・・行こう」
オズは一歩先へ進むエンテルの背中を見ながらぼんやり思った。
エンテルが何故貴石の谷へ行くのか知っている。
虹の雫が欲しい理由も。
あんな危険なところ一人では行かせないとついてきたのだ。
エンテルには知らないふりをしている。
折角驚かせようとがんばってくれているのだから。
エンテル:「オズ!早く〜!」
エンテルはオズを急かした。早く虹の雫が欲しくてたまらない。
オズの驚いてそして嬉しそうにする顔を見たかったから。
オズは急かされてエンテルの後を追った。
◇貴石の谷にて・・・
貴石の谷は昔まだ鉱石の採取が盛んだった名残が色濃く残っていた。
洞窟とまではいかないが、薄暗い谷間なので蝋燭に火をつけた。
オズは白い小石を迷わないように一定の距離ごとに落としている。
エンテル:「オズ?何してるの?」
オズ:「帰り迷わないための目印だ」
エンテル:「あ!そうか。それは準備してなかった・・・」
オズ:「他のものはエンテルが用意してくれたんだろ」
エンテル:「うん。あとは万全」
オズ:「それなら俺がこのくらい用意してもいいだろ?」
エンテルはオズの気遣いが嬉しかった。
エンテル:「うん。ありがとう」
蝋燭の火が不審に揺れた・・・。
岩陰からゴトリ・・・と音がする。
二人はとっさに構えた。
出てきたのは小さな宝石(いし)喰い。
姿は両生類のようで、鋭い牙が特徴。
宝石(いし)喰いといわれているが、
実際は採取を目的としてきた人間を喰らう。
エンテルとオズは辺りを見回した。いるのはこの一匹だけのようだ。
エンテル:「炎の剣」
宝石(いし)喰いへ炎の剣が容赦なく飛んでいく。
宝石(いし)喰いはすかさずそれを避けはしたが、怯んだのか、
次の攻撃を警戒している。
オズ:「今のうちだ!」
エンテルはオズの声に反応し、走り出した。
エンテル:「はぁっ・・・はぁっ・・・」
結構な距離を走った。宝石(いし)喰いは炎の剣に怯んでいた。
炎に弱いのかもしれない。
結構奥までやってきた。
ここらへんにないものか・・・エンテルは周りをキョロキョロと見回した。
しかし、まだ虹の雫は見つからない。
噂通り、もっと奥深くにあるのだろう。
しばらく進んだだろうか、蝋燭の火を頼りにするほど暗いところまで来た。
さっきとは違ってもっと重い音がした・・・。
シュッ・・・と何かが飛び出すような音が同時にする。
オズ:「エンテル!!」
オズはエンテルをとっさにかばった。
二人とも無傷だが、目の前に現われたものに言葉を無くす。
エンテル:「ちょっと・・・これは・・・」
エンテルが呆然とするもの無理はない。
オズ:「構えろ!どうにかして隙を見て回避する!」
さっきとは比べ物にならない大きさの宝石(いし)喰い。
牙は大きく鋭い、あんな牙で噛み付かれたら、
人間などひとたまりもないに違いない。
オズ:「スラッシング!!」
宝石(いし)喰いに斬りかかった。
ザシュッっと手ごたえはあったが、大きさが半端ではないので、
それほど痛手になっていないようだ。
エンテル:「炎の剣!!」
高熱の炎で形作られた剣が飛ぶ、大きい割に動きがすばやく、
中々しとめられない。
宝石(いし)喰いのほうにも隙がなく、回避しようにも、
もう少し、痛手を追わせてからでないときつそうだった。
一瞬、深呼吸したエンテルを宝石(いし)喰いは見逃さなかった。
一瞬だけできた隙をついてエンテルへ襲い掛かる。
エンテル:「きゃぁぁぁ!」
エンテルは後ろへ倒れこんだ。
オズはすぐさまスラッシングで斬りつける。
隙を作らないようにしながらオズはエンテルの元へと駆け寄った。
オズ:「けがは?!エンテル!!」
エンテル:「大丈夫。服が少し破れただけ」
そう言ったエンテルの服を見ると足元の服が少し破れている。
オズ:「けがはないんだな?」
エンテル:「うん、びっくりして後ろに下がったのがよかったみたい」
オズ:「ここにいろ」
エンテル:「オズだけ危険な目には合わせられないよ。私は無傷。
ちゃんと戦える」
真剣な表情のエンテルに負け、オズはエンテルを支援につかせた。
オズ:「炎の壁!!」
宝石(いし)喰いを囲むように、炎の壁が現われた。
さすがの宝石(いし)喰いも、囲まれてはどうすることもできないらしい。
オズ:「グリフォン召喚!」
オズは、グリフォンを召喚し、エンテルを先に騎乗させ、自分も騎乗した。
そしてなんとか回避できた。
炎の壁越しに宝石(いし)喰いの唸り声が響く。
エンテルとオズはその唸り声を背に奥へと向かった。
二人が奥へと向かうと光を反射し、キラキラと光るものが目に止まった。
エンテルは慌てて駆け寄る。
エンテル:「みつけた・・・虹の雫だ」
そこで輝いていたのは、紛れも無く虹の雫だった。
山にかかる霧を濃縮したような、白い半透明の石。
それが光を当てると虹色に輝き、角度によって様々な色の変化を見せてくれる。
稀に暗闇でも光を放つと言われている。
その虹のような輝きから虹の雫と呼ばれる魔法石・・・
やっと見つけた嬉しさでエンテルはほうっと安心のため息をついた。
危険を侵してまで採取しようとする冒険者が後をたたないのも頷ける。
一見半透明の白い石なのに、光に当たると、
虹のように色を交差させながらなんともいえない輝きを放っている。
オズ:「エンテル・・・よかったな。見つかって」
エンテル:「うん!嬉しい!来たかいがあったね。よかった〜!」
エンテルは嬉しそうに虹の雫を拾い、手の中に治める。
色々光を当てる角度を変えてその美しさを楽しんでいた。
オズも見つかって一安心した。
これ以上奥に行って、もっと巨大な宝石(いし)喰いが出たら、
無傷では帰れないかもしれないからだ。
オズは、こっそり虹の雫を拾った。
そして腰に下げている小さな袋に入れようとしたとき・・・。
エンテル:「オズ?もしかして虹の雫拾った?」
不安げな声でエンテルがオズを見上げる。
オズ:「いや・・・。手に少し持っていた目印の石を入れていた。
もうあとは引き返すだけだからな」
エンテル:「そっか」
エンテルは安心したような表情を浮かべる。
自分がプレゼントする虹の雫を今、オズ自身が手に入れてしまったら、
プレゼントする意味がないと思ったから。
オズには絶対に喜んで欲しかった。
オズ:「もう、帰ろう。ここは危険だからな」
エンテル:「そうだね!!」
二人はまた歩き出した。
虹の雫が護ってくれているのか、宝石(いし)喰いにでくわさない。
お守りとして使われているだけあるといったところかもしれない。
宝石(いし)喰いが襲ってくる様子がないので、
安心して二人は街へ戻った。
◇街にて・・・
二人は、街に着いた。エンテルは目的のものが入って嬉しそうだった。
オズ:「エンテル、ちょっとここで待っていてくれ。この店に用があるんだ」
エンテル:「ん?分かった」
何も知らないエンテルは素直に店の前でオズを待った。
オズが入って行ったのは、宝石店。
数十分でオズは店から出てきた。
エンテル:「宝石店になんの用だったの?」
オズ:「エンテル、目つむって手を出して」
エンテル:「何?」
オズ:「いいから」
エンテルは不審に思いながらも素直に瞳を閉じ、手を出した。
シャラ・・・と滑らかに自分の手に何かが落ちてくる。
冷たい感触。
不思議に思いながら、おそるおそる瞳を開けると、
エンテルの手の中には虹の雫で作ったペンダントがあった。
エンテル:「これって・・・さっき拾ったの?」
オズ:「あぁ・・・虹の雫はお守りにもなるらしいしな」
エンテル:「あ・・・ありがとう!!」
嬉しくて涙がうっすら浮かんでいるようだった。
さっそくつけようとエンテルは首の後ろに手を回すけれど、うまくできない。
オズ:「かしてみろ」
オズはさりげなく、エンテルからペンダントを受け取り、付けてやった。
エンテル:「わぁ・・・綺麗」
日の光を反射して虹の雫はキラキラ輝いていた。
自分の胸元で輝く虹の雫はきっと他の虹の雫より、
一層美しく感じられるだろう。
オズ:「ずっとつけててくれ」
エンテル:「本当にありがとう!」
オズ:「もう、エンテルがあんな危険な目にあうのはご免だからな」
エンテル:「このペンダントがあれば大丈夫!
今日だってオズがいたから無傷だったんだよ!」
オズ:「そうならよかったが・・・」
エンテルの破れた服の裾を見てオズは切なそうだ。
エンテル:「オーズ!!気にしないで?ね?」
そんな表情をされるとこちらも切なくなってしまう。
エンテルはオズの誕生日が楽しみでしかたないのに。
エンテル:「オズ!オズの誕生日どこか行こうよ!」
プレゼントもあるし!とエンテルは心の中で言った。
オズ:「あぁ・・・」
エンテル:「今日は疲れたねぇ。帰ろうか」
オズ:「あぁ・・・ゆっくり眠ろう」
二人は仲良く、家路に着くために歩き出した・・・。
END
◇ライターより
たびたびの発注ありがとうございます。
いつも楽しく書かせていただいています。
毎回、ノベルの内容楽しく読ませていただいていました。
お二人の関係を上手く書けているといいなと思います。
何度も冒険させていただいて楽しかったです。
また機会があれば、是非またお二人と共に冒険へ行きたい
と思っています。
よろしくおねがいします。
また感想など聞かせていただけると嬉しいです。
ありがとうございました。
古楼トキ
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