<PCクエストノベル(1人)>


なにか用事はありませんか?
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【 1780 / エルダーシャ / 旅人】

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 エルダーシャは再び、遠見の塔を訪れていた。
 旅をするのは好きなのだが、いかんせん、目的がない旅ばかりをしていると、気持ちがゆるんでくる。
 なので、なにかお使いでもなんでも、用事を言いつけてもらえれば――ということで、エルダーシャは遠見の塔に住む賢者の兄弟、ルシアンとカラヤンのもとを訪ねたのだった。

エルダーシャ:でも、今度は会ってくれるのかしら〜。

 エルダーシャは、ふと、塔の前で首を傾げる。
 気分屋な賢者の兄弟は、以前会えたからといって次も会えるとは限らないのだ。

エルダーシャ:大丈夫だといいのだけど〜。

 おっとりと、あまり困っているふうでもなく口にすると、エルダーシャは思い切って塔の中へと足を踏み入れた。
 一階は前回と同じように、広いホールになっている。やはり、人の姿はない。
 そして前回と同じく、ホールの中央には、どこへ続くかもわからないような螺旋階段があった。

エルダーシャ:今回も〜、ここをのぼっていけばいいのかしら〜?

 前回同様、エルダーシャはゆっくりとした足取りで階段をのぼりはじめる。
 するとすぐに二層目へとたどりつく。
 どうやら、今回もなんとか受け入れてもらえたようだ。エルダーシャはほっとため息をついた。

ルシアン:エルダーシャ、また来てくれたんだね。

 エルダーシャがノックするよりも早く扉が開いて、ルシアンが顔を出した。

エルダーシャ:こんにちは〜。また、来ちゃいました〜。
ルシアン:ちょうど退屈してたところなんだよ。ね、カラヤン?

 ルシアンが部屋の中にいる、カラヤンに向かって声をかける。
 カラヤンは顔をあげると、すみません、とでも言うようにエルダーシャに向かって会釈した。

カラヤン:いつも、すみません。弟が……。
エルダーシャ:ああ、いえ〜。いいんですよ〜。私も、お招きいただけて嬉しいですし〜。
カラヤン:そう言っていただけると、こちらとしても助かります。
エルダーシャ:そうですか〜? よかった……。あ、そうそう、それで、私、なにかお使いとかないかな〜って思って来たんですよ〜。
カラヤン:お使い……ですか?
エルダーシャ:そうそう、そうなんです〜。なんだか、久々に目的のある旅がしたくって〜。
ルシアン:あれ、呪いを解く方法を探してるんじゃなかったっけ?
エルダーシャ:まあ、そうなんですけど〜。あれはほら、そのうちどうにかなるかな〜って。
ルシアン:まあ、たしかに、そういうもんだよね。
エルダーシャ:そうなんですよ〜。それで、なにか、ありませんか?
カラヤン:なにか……うーん、なにかね……。

 カラヤンは考え込みながら、あたりを見まわす。
 そしてしばらくして、置いてあった一抱えくらいの大きさの鉢植えに目を止めると、ぽんと手を打った。

カラヤン:そうだ、実はあの鉢植え、かなりの老齢なんですよ。
エルダーシャ:あら……じゃあ、もしかして、レンに?

 レン、というのは、老齢に達した草木がかかる病気だ。放っておくと、あたりに障気をはっしてしまって、大変なことになる。
 それを治せるのはリレン師だけで、この国でリレン師といえば、フェンリー・ロウを指した。

カラヤン:ええ、その危険性があるんですよ。だから、この鉢植えを持って、フェンリー・ロウ師のところへ行っていただけませんか?
エルダーシャ:はい、わかりました。がんばりますね〜。

 エルダーシャはにこにことしながら、その鉢植えを受け取った。

カラヤン:それじゃあ、よろしくお願いしますね。

 カラヤンがエルダーシャに向かって微笑みかける。
 エルダーシャはそれに、力強くうなずき返した。

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【ライター通信】
 こんにちは、これで4度目の発注ですよね。発注、ありがとうございます。浅葉里樹です。
 今回はおつかいを頼まれに行く――とのことでしたので、このような感じになりました。いかがでしたでしょうか。
 エルダーシャさんに頼むおつかい……としばし悩んだのですが、やはり後衛であろうエルダーシャさんだったら、こういった依頼の方がいいのかな? と……。お楽しみいただけていれば、大変嬉しく思います。
 もしよろしかったら、ご意見・ご感想・リクエストなどがございましたら、お寄せいただけますと喜びます。ありがとうございました。