<PCクエストノベル(1人)>
ヴォミットの毒
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【冒険者一覧】
【整理番号 / 名前 / クラス】
【 2141 / ミーシャ=ミルフェルト / ミルフェルトグループ会長 】
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ミーシャ=ミルフェルト「ここがヴォミットの鍋なのニャ……」
ヴォミットの鍋の入り口に、ものものしい装備に身を包んだ小さな影があった。
もともとは、青い髪に赤い瞳の、ネコミミ・猫しっぽの生えた可愛らしい少女なのだが、今は、ガスマスクと特殊手袋で防備しているおかげで顔は見えなくなっている。
彼女のうしろにある大きな荷車には、いっぱいに空ビンが積まれていた。
ミーシャ=ミルフェルト「ヴォミットの毒で一儲けするニャ!」
ミーシャは腕を振り上げた。
ミーシャ=ミルフェルト・27歳、外見は幼女だが、ソーンの大半の商業をささえるミルフェルトグループの会長職をつとめている。
――ヴォミットの毒が商品になるかもしれない。そんな情報を手にすれば、やって来ずにはいられないのが商人というものだ。
そんなわけでミーシャは、ひとりヴォミットの鍋へとやってきたのだった。
ミーシャ=ミルフェルト「でも毒までは遠そうなのニャ……」
ミーシャは毒がたまっているという毒竜の頭蓋骨までの道のりを考えて、盛大にため息をついた。
竜、というくらいだから、もちろん、とてつもなく大きいのだ。身体の小さなミーシャでは、たどりつくだけで一苦労だ。
ミーシャ=ミルフェルト「……よし、がんばるニャ!」
けれどもミーシャは頬を両手でパンと叩いて気合を入れて、ゆっくりと歩き出した。
ヴォミットは滅多に観光客も来ない場所だから、道もろくに整備されていない。
やたらにぼこぼことした道をたどって、ミーシャはひとり歩いて行く。
荷物は重いし足場も悪いし環境としては最悪だが、それでもミーシャは愚痴ひとつこぼさなかった。
黙々とのぼっていくと、やがて、毒のたまっている竜の頭蓋骨のところへとたどりつく。
そこは毒が濃縮されているのか、霧が他の場所よりも濃い。
フル装備で来ていてよかった、と思いながら、ミーシャはそっと荷車を置いた。
荷台からビンを出してきて、丁寧にひとビンずつ毒を汲み上げる。
しゅうしゅうと煙のようなものを上げている毒は、いかにも、といった様子だ。
こんなものから色々なものができるのだと思うと驚きだが、そういったことはよくあることなので、ミーシャはもはや気にしてはいない。
食品にも使われ、鮮やかな赤の染料として知られるコチニールは、コチニールカイガラムシと呼ばれる虫からつくられる。
そういった例は、こういったことに携わっているといくらでもあるのだ。
ひとビンひとビン汲み上げて栓をし、ミーシャはやっと一息つく。
1リットルのビンが12本もあると、さすがに重い。
ミーシャ=ミルフェルト「でもがんばるのニャ!」
このビンを持ち帰って、商品開発研究をしなければならないのだ。
ミーシャはビンを割らないように、ゆっくりと来た道を戻りはじめた。
やはり道はぼこぼことしていて歩きにくい。だが、ミーシャはゆっくりと歩いた。
ミーシャの持ち帰る毒を待っている人間がいるのだ。
そうやって、ミーシャは時間をかけて毒のビンをソーンへと持ち帰った。
商品開発研究所で成分の解析などを行い、毒からはどうやら解毒薬や除草剤、香水などが作れるということを発見する。
やはり、自分の睨んだとおりだった。ミーシャは満足して、研究の成果をながめる。
商売をやっていて嬉しいのは、こうして自分の考えが正解だったことがわかったときと、相手の笑顔を見るときだ。
ミーシャ=ミルフェルト「よかったニャ〜。これからもがんばるのニャ!」
そしてぴょこぴょこと跳ねながら、ミーシャはこれからもがんばろうと決意をあらたにするのだった。
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【ライター通信】
こんにちは、発注ありがとうございます。今回、執筆を担当させていただきました、ライターの浅葉里樹と申します。
今回はヴォミットの鍋まで毒を取りに行く! という内容で書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか? お楽しみいただけていれば幸いです。
今回はありがとうございました。ご意見・ご感想・リクエストなどございましたら、お寄せいただけると喜びます。
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