<聖獣界ソーン・黒山羊亭冒険記>
『鏡と硝子のフーガ』
<オープニング>
黒山羊亭のほの暗い照明に映え、銀のバルーンが龍の鱗のような輝きでゆらりと揺れていた。
細い糸を目でたぐると、それはカウンターで頬杖をつく美女の指先に絡みついている。
「ああ、この風船?店に来る途中、ピエロに貰ったのよ。綺麗でしょ?」
エスメラルダの言葉に、客は、黄昏時にビラを配っていた道化の姿を思い出した。
「今日からオープンした『鏡の館』の宣伝なのですって」
街の中心から少し外れた場所に、鏡と硝子の壁で構成された迷路の屋敷が建設された。遊園地のアトラクションのようなものだ。
その客がほろ酔いで帰るのと入れ違いに、さっき話題に出たピエロが店に飛び込んで来た。
「どなたか、腕のたつ方はいませんか!?」
赤や黄色に塗り分けられた顔は、失笑を許さぬほど切迫した表情だった。ピエロの靴では走りにくく、何度か転んだのかもしれない。ゆるいズボンの膝は泥で汚れていた。
「この男が・・・」
ピエロの大きな手袋の中には、賞金首の強盗犯の似顔絵が握られていた。
「閉店後の『鏡の館』に、受付の女性を人質にして入り込んだのです。誰か彼女を助けてください!」
回りはすべて鏡と硝子の壁で闘い難い。しかも迷路なので無用に壁も多く、音の響き方も普通と違う環境だそうだ。
* * *
フィセルは半分ほど口にしたジン・トニックを、そっとテーブルの向こうへ遠ざけた。
「他に情報は?迷路とは言え、管理者側には設計図などもあるのだろう?」
緑のきつい瞳は厳しく光ったが、それは人質がいるという危機感からだろう。フィセル・クゥ・レイシズ。普段は静かで穏やかな青年だ。金の髪を左耳の横で三つ編みにした美しい容姿は、竜族の末裔という運命(さだめ)のせいか、どこか儚げだった。
「『腕のたつ方』と言われて、名乗り出ないわけには行きませんね。私は蓮花弍号と申します」
袴姿の妙齢の女性が猪口を伏せた。テーブルに清酒の滴が一粒こぼれた。その横には大薙刀が立てかけてある。
「蓮花弍号?え?襦梨(しゅり)さんじゃ無かったの?」
エスメラルダの問いに、女性は「相棒に、そう名前を変えられてしまって」と銀の瞳を細めた。
「迷路の通路は狭いと思いますが。薙刀は不利なのでは?」
メガネの青年アイラス・サーリアスの言葉を、蓮花弍号は笑顔で受け流す。
「符に魔をこめる方が本職ですので」
「そうか。私は短剣も用意しよう。アイラス殿の釵は小回りが効いて、勝手がいいな。
無論参加するのだろう?」
フィセルに改めて問われ、アイラスは頷く。そして一口残っていたアイスティーを飲み干し、カランと氷を鳴らしてテーブルに置いた。
< 1 >
ピエロと共に三人が『鏡の館』に駆けつけると、館の前には十数人の警備兵士達が張り付いていた。彼らは手の出しようがなく、建物の出入口をただ見守っているようだ。
館というより大きな倉庫のようだった。石の壁に、窓の絵がペンキで描かれている。正面の入口だけが、豪邸のように重厚な扉が取り付けられていた。豪邸と違うのは、その横にチケット販売の窓口があることだった。女性が連れ去られた時に荒れたのか、チケットやチラシがエントランスに散らばっていた。
「設計図も、迷路の地図も、事務室にあります。今取って来ます」
ピエロが、『鏡の館』の脇にある小屋へ入って行った。
その間に、アイラスは、後ろで一つに結んでいた髪を解き、左耳の後ろで結び直した。青い髪の束が、左肩に垂れた。
「フィセルさんの髪形を見ていてヒントを貰ったのですよ。鏡の姿か実像かの目安にはなるでしょう。襦梨さんは着物の前併せでわかるのですが」
当の蓮花弍号は犯人の似顔絵を見ていた。顎の尖った目の細い男で、右の目の下に大きなホクロがあった。ピエロの話では、黒いマントを羽織った小柄な男だったという。受付嬢の喉元にナイフを突きつけていたそうだが・・・。
「人質、それも女性を拉致して逃げるなどとは、許せぬ男です」
蓮花弍号は憎むべき顔をくしゃりと握り潰した。
「我々が潜入したと知れると人質が危険だ。できれば、不意打ちで一気に済ませたいところだな」
フィセルは唇を噛んだ。受付嬢は、妹と似た年齢の娘だと聞く。無傷で助け出してやりたい。今も、ナイフの刃を肌に付けられ、死を覚悟して震えているかもしれない。
「お待たせしました!」
走って戻ったピエロの足は素足だった。資料を抱えたのと反対の腕で、投げナイフの籠も背負っていた。
「オレにも手伝わせてください。迷路の地図は頭に入っています。闘った経験は無いですが、ナイフ投げはショウでやりますので」
三人は顔を見合せ戸惑う。未経験者には危険ではないか?しかし、館内を熟知した彼は役立つに違いない。
「では、二手に別れようか。アイラス殿と襦梨殿の二人が入口から。私とピエロ殿で出口から」
フィセルが、ピエロをフォローする役目を買って出た。
「犯人を挟み打ちにするのですね」
アイラスも地図の通路を目で辿った。
「行止りはあっても、他に出口は無いのだから、可能なはずだ。
地図はアイラス殿たちが持って行ってくれ」
地図を見ながらフィセルが指示を出す。ピエロがアイラス達の為に出入口に赤ペンで印を付けた。
「トイレが入口付近にあり、中央に休憩できる広場があります。それ以外は、鏡と硝子の壁に囲まれた、一人が通れる程度の細い通路が続きます。
大人なら30分ほどで通り抜けられる迷路です。騙し鏡も有りますが、お化け屋敷のようなトラップはありませんので。
人質救出を最優先でお願いします。犯人は・・・もし命を落としたとしても、自業自得かと思います」
厳しい言葉に、三人はピエロを凝視した。三人とも、出来れば犯人は生きて捕えたいと思っていたのだ。
「甘い考えで、もし受付嬢に何かあったらどうするんですか?」
笑わせる為に塗られたドーランが、彼の表情を見えにくくする。右に赤、左に黄色に分けられた顔が、仮面のように感情を隠した。
「トラップは・・・無いのですよね?」
アイラスが上目使いで聞き直した。
『それは、あなた自身にも?』
< 2 >
フィセル達は裏口に回った。
『こちらは出口です。ご入場は正面へお回り下さい』
そんなプレートが張りつけられた木製の扉の横には、係員が立つ為のスペースが黄色い帯で仕切られている。退館する客の人数を数える為だろう。
ピエロが先に立って扉を開け、フィセルも静かに中へ滑り込む。音も無く扉が締まると、そこは一面鏡の世界だった。
通路?どこに?先に道があるというのか?まるで三面鏡に挿まれたようだ。合わせ鏡になった左右の壁は、数百のフィセルとピエロを映し出して笑いさざめく。わんわんと耳の中で静寂の声が反響した。
それは永遠に続く蛇腹。時の流れを剣で斬り、その断面を見せつけられたようだ。
息が止まりそうだった。目眩で頭が真っ白になる。
「大丈夫ですか?」
唾を呑み込んだフィセルを、ピエロが気遣い声をかけた。
「ああ。だが、予想以上だな。まるで悪魔の箱へでも落とされた気分だ」
天井には一定間隔でランプが焚かれ、柔らかい光が部屋を包んでいる。灯の数が多いので、薄い影が白木の床に幾筋もできていた。
振り向くと、扉の所在も消えていて、狼狽した。背後の壁も鏡で、扉も内側は鏡が張ってある。扉の縁は壁とぴたりと重なり、注意しないと見過ごしてしまう。ドアノブさえも銀色で、鏡のように反射していた。
『これは・・・一人だと戻れんかもしれん』
フィセルは左手をズボンのポケットに忍ばせ、中のリップ・スティックの紅を指になすり付けた。さっきエスメラルダから、『貰い物だけど、私には若すぎる色だから、妹さんに』と、ピンクのルージュを譲り受けたのだ。
後ろ手に、左手でノブの先に軽く触れておく。これで紅が付き、ドアの場所を見失うことはないだろう。
ピエロの、犯人への冷酷すぎる言葉が気になっていた。彼を完全に信じるのは早すぎる。
「十歩進んだら、右に折れますよ。オレに続いてください」
これは、暗転を歩くのと変わらない。鼻先のピエロの背中、白地に黄色い大きな水玉の衣裳が頼りだ。
6歩目で右に折れる通路があった。だが凝視すると目の奥が痛む。空間の歪みのせいだと気づき、恐る恐る右手を突き出した。・・・硝子だ。硝子の壁の向こうも細い鏡の通路が続いている。
裸足のピエロは床に足の裏を密着させ、全く足音を立てない。パントマイムの忍び足のようだった。十歩歩くと右壁にぴたりと寄り、これから折れる通路の先を反対の壁に映して確認していた。
「あなたは戦闘経験が無いそうだが・・・」
フィセルは小声で問うた。嘘をついているとしか思えなかった。声に疑惑が混じるのを隠せなかった。
「ありませんよ。でも信じるか否かはあなた次第だ。
この中では、何が虚かわからなくなります。オレを疑い始めると、更に混乱しますよ」
それは忠告なのか、脅迫なのか。
「この先は、声は出さない方がいいでしょう。何かあったら仕種で知らせます。足音なども気をつけてください」
その先も鏡と硝子に翻弄されながら、フィセルはピエロに付いて進んだ。曲がり角の硝子の縁、膝辺りの低い位置には、ピエロに気づかれぬように指で口紅の跡を付けた。振り返ると、銀のスクリーンと自分の残像だらけの映像に浮き上がる、ピンクの汚れが微かに見て取れた。フィセルは安堵し、ピエロの後に続く。
ピエロの右肩から大きな手袋の指が覗き、『5』を示し、左側を指さした。次は5歩先を左へ折れる。
この幻惑と狂気の迷路を、頭にきっちり叩き込んでいる男。
ピエロが、事務室に戻った時にメイクを落として来なかったのは、単に時間が無かったからだろうか?
戦闘経験の無い彼が、なぜこうも研ぎ澄まされているのか?まるで忍び込む熟練者のように。
『オレを疑い始めると、更に混乱しますよ』
彼の言葉を思い出し、首を振った。フィセルの金の髪が揺れた。
透明な水のように冷静な男だと思う。理路整然と話す口調、礼儀正しい態度。例え何か事情があったとしても。最後にする判断は、きっと正しいだろう。
フィセルは、ピエロを信じると腹を括り、指の紅をポケットの中で拭った。
神経を張りつめたまま広い場所へと出た。ここが中間地点だと言う。犯人達の気配も無く、アイラス達もまだ到達していないようだ。
広場は丸く鏡が張り巡らされ、中央に休憩用のベンチやブロックが置いてあった。だからと言ってくつろぐ気にはなれない。
「きゃぁぁぁぁぁっ!」
女性の悲鳴、だが蓮花弍号の声では無かった。声は、入口方向の迷路から聞こえた。二人は顔を見合せ走り出した。もう足音のことなど気にしている余裕は無い。
< 3 >
通路に飛び込むと、ピエロは「フィセルさん、肩を借ります」と、ジャンプしてフィセルの肩に手をついた。くるりと小柄な体が回り、次の瞬間、彼は鏡の壁のヘリに着地していた。まるで軽業師だ。
迷路の壁は天井に密着していない。人が中腰で歩けるくらいの隙間が空いている。壁の幅は身軽な者なら走れる程度はあるようだ。壁をすっ飛ばして行く方が断然早い。
ピエロは右手に投げナイフを握る。視線は目的の者を探している。ターゲットが見つかれば、壁を飛び越えナイフを投げる、その一瞬前の姿勢で留まっている。
『罪は、生きて贖わせるべきものだ』フィセルが小声で囁いた言葉は、ピエロの耳に届いたようだ。フィセルを見降ろし、きめの荒いドーランの顔を向けた。十字の星が描かれた目が、フィセルの瞳を見て小さく瞬きした。否か了解か。表情は読めない。
「すみません、先に行きます」
ピエロは前の壁の厚みへ飛び移り、そのままヘリの上を真っ直ぐ走って行く。
「人質を離しなさい!」
天井を通してアイラスの声が響いた。そう遠くない。声の方向はわかるが、どこをどう曲がれば辿り着けるのか。フィセルは短剣を抜き、鏡に映る景色に集中しながら通路を前進した。
ピエロはこの通路を左へと行った。どこか左に曲がる道を見つけなければならない。
『左。ここか』
折れると、突然視界が開けた。両脇が硝子の通路だった。何枚かの透明な壁を隔てた向こうに、黒いマントの影が揺れている。
その正面の鏡に、壁の上からピエロがナイフを構えるのが映る。走り去った彼が、今どこの壁の上にいるのかもうフィセルには測れない。
黒いマントの、たぶんその腕の中に人質がいるのだろう。虚像の何枚ものマントが幾重にもはためいて、黒い布の付近だけ闇が広がっているように見えた。
フィセルは硝子の通路を慎重に進んで行く。振り向かれたらフィセルの姿は丸見えだった。犯人は正面(たぶんアイラス達が居るのだ)にだけ意識を集中しているようで、フィセルにもピエロにも気づいていない。
角を曲がると、すぐ近くにマントの背中が見えた。やっと、薙刀を握る蓮花弍号の姿も確認できた。隣に釵を構えるアイラス。フィセルに軽い違和感が走る。
二人もフィセルの姿に気づいたらしく、蓮花弍号の目が大きく見開かれた。アイラスも動揺して口を開けた。
『・・・?』
その時、目の前の黒マントの右腕にナイフが刺さった。・・・男が崩れた。
「ううっ・・・」
だが、苦痛の叫びは背後から聞こえた。
『え?』
フィセルが振り向くと・・・そこに生身の犯人が蹲まり左腕を抑えていた。アイラス達は硝子の向こうにいる。フィセルだけが、男と同一の空間に迷い込んでいたのだ。二人が慌てたはずだ、フィセルが牽制していた犯人は鏡に映った姿で、実体は、背中合わせに・・・マントが触れそうなほどの近くにいたのだから。
アイラスにいつもと違う感じを抱いたのは、構えが左右逆だったからだ。釵は右を前に出し、左を引くのが基本の型だった。そういえば、髪も右側の肩の上にあったかもしれないが・・・それには気づかなかった。
マントの男はまだ左手にナイフを握っていた。フィセルは素早く手を蹴り上げた。銀の閃光がくるくると輪を描いて床を踊った。
「たあっ!」
蓮花弍号が薙刀を支えにして壁を乗り越えて来た。棒高跳びの要領だ。袴の裾をなびかせ着地すると、「悪・即・斬!」と叫び、犯人の喉元に薙刀の刃を突きつけた。
「お嬢さん、怪我は無いですか?」
遠回りで駆けつけたアイラスが、壁に背中を張り付かせて立ち尽くす女性を保護した。
最後に、ピエロが、猫のように降りた。ふわりと、ピエロの衣裳が空気を含んだ。
黒マントの男は、観念したのか、丸まったまま微動だにしない。ピエロが近づくと、小さな声で、「兄さん、ごめん」と唸った。
< 4 >
「みなさん、本当にありがとうございました」
救助された受付嬢は、黒山羊亭の料理を前に、手短に礼を述べた。目鼻だちは華やかだが、優し気な雰囲気のおとなしそうな娘だった。
「これは、オーナーからの謝礼の銀貨です」
メイクを落とし、普段着に着替えたピエロの青年が、三人に手応えのある布袋を差し出した。
「それと、ここの食事はオレからの礼です」
細い顎と、鋭い細い目。似顔絵と瓜二つの顔だった。ただ、彼には頬にホクロが無かった。
「ご兄弟だったのですね?」
祝杯のビールジョッキに手を伸ばしながらアイラスが尋ねる。青年は頷いた。
「オレも元は盗賊(シーフ)です。だいぶ前に足を洗いましたが、以前は弟と組んで盗みを働いていました。弟はオレを頼って来たのですが、助けて逃がすことを拒否して反対に自首を勧めたせいで、逆上して・・・。
本当にご迷惑をかけました。来たばかりで、聖都を去るのは本当に残念です」
「去るって?」
フィセルが眉を寄せて尋ね返した。
「みごとに仕事はクビになりました」
「なぜ!ピエロさんのお陰で事件が解決したようなものでしょう」
蓮花弍号も憤慨で身を乗り出した。
「僕ら、オーナーに談判しましょうか」とアイラス。
青年は下を向いて、ただ弱く微笑む。弟がこれだけの事件を起こしたのだ。責任を問われない筈は無い。それに、楽しいアトラクションの宣伝マンが、元犯罪者というのは、イメージが悪いのは承知していた。
「経歴を隠していたオレが悪いんです」
「別に街を去る必要までは無いだろう」
フィセルが、青年の前にジョッキを置いて言った。
「これだけ優秀な戦士だ。仕事はいくらでもあるだろうさ」
フィセルは、彼を信じることに決めた幾つかの理由を思い出す。彼が世の中から排除される言われは無い。
身に危険が及ぶ可能性の中でも、彼を信頼できた自分を、フィセルは嬉しく思えた。信じてあげられてよかった。あそこで疑惑へと傾いていたら、今、青年の顔を正視出来ていなかったろう。
「そうよ。・・・行かないで下さい」
受付嬢も、細いが断固とした声で言葉を添えた。その言葉に、はっと耳まで紅潮させ、ますます下を向く青年だった。
「でも、弟があなたを危険な目に・・・」
「私、弟さんを騙しました。あなたの妻だと嘘を言ったの。お腹にあなたの赤ちゃんがいるって。そうすれば、少しは危険が減るかと思って」
「え」
青年は、顔を赤く塗り分けていた時に負けないほど、さらに顔を真っ赤に染めた。
「弟さん、『絶対危害は加えない、人前でだけ怖がる芝居をしてくれ』って。・・・どこかで運命の絵がズレただけ。悪い人では無いと思います」
鏡の立ち位置が一歩ずれたら、もう見える世界が変わってしまうように・・・。何かが狂ってしまったのだ。
「弟さんも、まだまだ、やり直しが効く。それを、まずあなたが実践して見せてあげればいい」
蓮花弍号もにっこりとジョッキを掴む。
青年は涙ぐんだのかもしれない。更に顔を下に向けた。
「さあ、そんな顔せず、ピエロ殿が乾杯の音頭を取ってくれよ。みんな、早く飲りたくてウズウズしてる」
フィセルが肩を叩いた。青年は頷いて顔を上げると、やっと目の前のジョッキを握った。
婉曲した硝子の表面にはたくさんの水滴が張り付き、硫黄色の液体を透かして仲間の顔が見えた。
硝子が暖かいものに思えて、青年は静かに笑顔になった。そして、乾杯のために、皆の笑顔の映り込んだジョッキをゆっくりと掲げるのだった。
<END>
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1649/アイラス・サーリアス/男性/19/フィズィクル・アディプト
1378/フィセル・クゥ・レイシズ/男性/22/魔法剣士
2273/蓮花弍号(れんかにごう)/女性/417/祓い屋
NPC
ピエロ
黒マントの男
受付嬢
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■ ライター通信 ■
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ありがとうございました。ライターの福娘紅子です。
全員でピエロの格好をして犯人を惑わすというのは、映画だったら絶対やってみたかったです。かっこいいです。でもこれは、犯人視点のシーンになりますね。
小説でも、犯人視点で描くと、この案はかなり面白いと思いましたが、納品作品を犯人視点で書く度胸は無く(笑)、使用できませんでした。すみません。
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