<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>


 ルキッドクエストU〜悪霊と神々?〜

 (オープニング)

 見習い魔道士ニールの肩書きから、『見習い』の文字が取れたのは、つい最近の事だった。
 所属するソラン魔道士協会から自室を与えられたニールは、それなりに忙しい日々を送っていた。
 そんなある日、彼を訪れる来客があった。
 『こんにちは〜』
 2人組の女性は、間延びした声で挨拶をした。
 奇妙な事に、2人とも同じ姿と顔、声をしている。一応、ニールは2人の女性に見覚えがあった。近所の山に住む、水神ルキッドだ。山を抜け出して遊び歩いては、神殿の信者に心配をかけている事で有名な神様だ。
 「ルキッド様?
  分身の術でも覚えたんですか?」
 ルキッドに、そんな器用な事が出来るのか。とニールは少し驚いた。
 『残念でした〜
  一人は、私の偽者です〜
  さて問題です、本当の私はどっちでしょ〜』
 2人のルキッドは声を揃えて言った。
 ニールは少し考えた後、窓の外を指差して、
 「あのー、ルキッド様を探して、信者の皆さんが外に来てますよ?」
 と言った。
 「あわわわわ、ご、ごめんなさい、ごめんなさい。
  すぐ帰ります、ほんと。嘘じゃないわよ〜」
 ルキッドAは、あわてて言って、水に変化して台所に逃げ込んだ。
 「…嘘です」
 「あら、嘘だったのね…」
 ルキッドAは帰ってきた。とりあえず、本物のルキッドは見つかった。
 僕も忙しいし、遊びたいならよそで遊んで欲しいなー。とニールは思った。
 「あのね、この前ルクエンドの水脈に遊びに行った時にお友達になった、不死姫のブリジットちゃんがね、困ってるから助けて欲しいの」
 「不死姫さんですか…」
 やたら高位のアンデッドな魔物に、そういうのも居た事をニールは聞いた事があった。
 「あのね、私、ルクエンドの水脈に住んでるんだけどね…」
 と、不死姫のブリジットはルキッドの物真似をして話を始めた。
 彼女の話によると、ルクエンドの水脈には彼女が生前から可愛がっていた騎士団の幽霊達が住んでいるが、最近ルクエンドの水脈に悪霊達が現れて、騎士団の幽霊達が怖がっているそうだ。
 「あんまり怖がってると、幽霊騎士団さん達が成仏出来なくて可愛そうだから、悪霊を追い払って欲しいの」
 幽霊騎士団達は生前から臆病で、ルクエンドの水脈に肝試しに行ってパニックになって幽霊になったという、筋金入りの臆病な騎士団だそうだ。いつか肝試しを完遂出来た時には成仏出来るらしい。
 「悪霊ですか…でも、不死姫さんなら自分で行った方が早いんじゃ…」
 「そ、そうなんだけどね、ほら、いちいち不死姫さんが出しゃばるのも、良くないでしょ?
  お化けが怖いわけじゃないのよ。ほ、ほんと」
 ブリジットが言った。
 「そうですか…」
 もういいから、早く帰って欲しいなー。とニールは思った。
 『じゃあ、私達もルクエンドの水脈で遊んでるから、困った事があったら呼んでね〜
  …で、でも、出来たら呼ばないでね〜』
 と、ルキッドとブリジットは去っていった。
 水神ルキッドの信者達が、山を抜け出したルキッドを探して魔道士協会にやってきたのは、その翌日だった…
 一応、ニールは師匠の所に相談に行ったが、
 「がんばると良いよ」
 と言われただけだった。

 (本編)

 1.ルクエンドへ
 
 ルキッドの依頼を受けたニールは、ひとまず白山羊亭に行ってみた。白山羊亭ならば知人も居るし、そうでなくても誰かしら話を聞いてくれるだろう。
 「よう、ニール、久しぶりだな」
 早速、誰かがニールに声をかけてきた。多腕族の戦士シグルマだ。彼に対してアル中親父などと陰口を叩くと、酒樽に埋められるので注意が必要である。
 「あ、お久しぶりです。えーと、ちょっと頼みたい事がありましてですね…」
 ご無沙汰していたが、顔なじみである。ニールはシグルマに酒を勧めながら、依頼に関して説明を始めた。
 「うーん、抽象的な話ですね。
  『悪霊達』がどんな悪い事をしているのか、謎ですし…」
 いつの間にか二人の話を聞いていた、若い男が口を挟んだ。フィジカル・アデプトのアイラス・サーリアスだ。彼もニールの知り合いだ。
 「そういうのは、深く考えずにとりあえず退治すればいーの!
  えーと、とりあえ式神用の符を買ってくるわね」
 やはり、いつの間にか話を聞いていた女性がアイラスに言った。彼女は名前も告げず、白山羊亭を後にした。
 「あの、今の人は誰ですか?」
 ニールは、我関せずといった風体で、奥で揚げジャガイモを作っている、おかみのルディアに尋ねた。
 「ああ、あの子ね。素敵な巫女の蓮花ちゃんよ。
  悪霊退治が専門らしいわよ」
 「そうですか…」
 元気が良いらしいという事は、見ていてわかった。
 「なーに、悪霊って言ったって、どーせスカートめくりとか女湯を覗いたりとか、そういうセコイ奴だろ?
  サクっとやっちまおうぜ」
 「まあ、ルキッド様絡みですしね…」
 シグルマとアイラスが話している。二人とも水神ルキッドとは面識がある。どういう神なのかも、大体理解していた。そのルキッドの頼み事とあらば…
 近所の雑貨屋で、軽く悪霊対策キットでも買って出かけるか。と三人は話しあった。
 そんな所に、巫女の蓮花が帰ってきた。 
 「じゃ、そーいうわけで行こーか」
 と、指を立てて言ったのは、しかし蓮花では無かった。
 「い、今言おうと思ったのに!」
 蓮花は、テーブルの一角に突然現れた娘に対して怒りをあらわにする。どうやら、ずーっと姿を隠して話を聞いていたらしい。
 「蓮花さんのお友達ですか?」
 「宿敵です!」
 「お友達でーす」
 ニールの質問に、蓮花と娘は、それぞれ答えた。
 娘はゲートキーパーの夜月慧・天夢というらしい。蓮花とはそういう仲だそうだ。
 天夢は言いたい事だけ言うと、さっさと姿を消した。そういう能力の持ち主らしい。
 それから、四人は白山羊亭を後にしてルクエンドへと向かった。姿を見せないが、きっと天夢もついて来ているのだろう。
 一方、別口で今回の依頼を受けた者も居た。
 エルザードの片隅にひっそり建っている、水神ルキッドの神殿(エルザード出張所)に、風来の巫女のみずねは呼ばれていた。
 「というわけで、ルキッド様が再び行方不明中でして…」
 「はぁ、またですか…」
 みずねはルキッドの信者達から話を聞いた。
 どこの神様の信者も大変そうだなーと思いながら、みずねはルキッドが居るという噂のルクエンドへと向かった。
 こうして、ルクエンドの水脈には、人やその他の生命体が集まりつつあった…

 2.悪霊や水神やその他

 ルクエンドの水脈とその周囲の洞窟は、経路がはっきりしている所もあれば、未だに未開となっている場所もある。
 水脈だけに、水は流れる程あるが、それ以外の特徴はあまり無く、時折幽霊の目撃報告がある位の寂れた場所だった。
 そんなルクエンドなのだが、最近、悪霊達が現れたという事で、にわかに騒がしくなっていた。
 そんな中、悪霊退治というわけで、水脈周辺の洞窟を探しているのは4人ほどの団体である。
 「悪霊達っていうのがどんなものか、もう少しルキッド様達から話を聞いてみたいですね」
 アイラスが言う。
 「すいません…あの人達とまともな会話をするの、難しくて…」
 僕が最初に、もうちょっと詳しく話を聞いておけば良かったです。とニールが言った。
 「確かに難しいですよね…」
 仕方無いです。とアイラスが言った。
 「どこにでも居るわよねー、そういう自己中でマイペースで、人の話を受け付けないのって」
 どこからともなく姿を現した天夢が言った。
 「それは、あんただ!」
 と蓮花がツッコミを入れた時には、すでに天夢は姿を消していた。
 「とりあえず…」
 珍しく神妙な顔でシグルマが言った。
 「報酬は悪霊一匹につき酒樽10樽、ルキッドに請求しようと思うんだが、どうだ?」
 「妥当かと思います」
 アイラスが答えた。
 そんな風にして、4人ともう一人は水脈周辺の洞窟を探索した。地元の幽霊達が悪霊を目撃したという場所は大体わかっていたので、一行はその辺りに向かってみた。
 また、周囲の洞窟の調査とは別に、水脈に潜り、水脈そのものの調査をしていたのは、人魚族のみずねである。
 とりあえず水脈の地図でも簡単に作ろうかと、みずねは水に潜っていた。
 …結構きれいな水ですねー。
 と、みずねは水脈に感心した。人の手が入っていない、天然の水脈という事もあるのだろう。ルクエンドの水脈は清涼なものだった。
 しばらく水脈を調べ続けたみずねは、やがて、不自然な水の流れを感じた。何かが居るようだ。みずねはそちらの方へ向かってみる。
 悪霊か、それとも別のものか。みずねが水脈を潜り、行き着いた先には…
 「あ、ルキッド様…」
 「あら、みずねちゃん」
 ルキッドが居た。
 傍らには、ルキッドと同じ姿をした者がもう一人居る。多分、そちらが不死姫なのだろう。二人はゆらゆらと、水脈に潜っているようだ。
 「あのー、信者の皆さんが心配してますよー」
 「ぎくっ、そ、それは…」
 みずねは、ひとまずルキッドに悪霊の事など、事情を聞き始めた。ルクエンドの水底で話は続く。
 「へー、そんな事になってたのね」
 ルキッド達から少し詳しい話を聞き終えた天夢は言った。いつの間にか水底に
 「あら、どちら様ですか〜?」
 「あ、いえ、通りすがりのすきま妖怪です。どこにでも現れますんで、あんまり気にしないでねー」
 「そうですか〜」
 変わった人だなー。とルキッドは自分のことは棚に上げて思った。
 さてさて、それはともかく、ちょっと面倒そうな悪霊達だなー。と、みずねは首を傾げる。水脈周辺の洞窟にも悪霊を探しに来ている人達が居るそうなので、そっちの人達にも悪霊の事を伝えてあげた方が良いのではないかと、みずねは思った。
 丁度、地上のニール達が悪霊達と出会ったのはその頃だった。

 3.集う者〜レギオン〜

 「…おい、アイラス。
  話し合いで解決出来ると思うか?」
 シグルマがアイラスに言った。
 「い、いえ、あれは無理でしょう」
 珍しく、アイラスが話し合いでの解決を最初からあきらめた。アイラスにして、いきなり意思の疎通を諦めたくなるような、そういう悪霊だった。
 水脈周辺の洞窟を調べていた一行は、とある一本の通路で、それらしい悪霊達を見つけた所だった。
 悪霊達の数は、定かでは無かった。
 それを一つと数えるのか、多数と数えるべきなのか、判断に難しいところだった。
 赤黒い霧のようにも見える。
 霧の中に、幾つもの顔らしきものが浮かんでいる。人間の顔のように見えなくも無いが、重なりあったり崩れたりしているので、よくわからない。
 赤黒い霧自体を一つの悪霊と考えるべきか、それとも、霧の中に浮かんでいる無数の顔が、それぞれ悪霊なのか、どっちなんだろうなーとニールは思った。心は逃げる事でいっぱいである。
 「会いたかったわよ!悪霊軍団!
  あんた達のおかげで、地元の幽霊さんが迷惑してるんだから、とっとと成仏しちゃいなさい!」
 ニールとは対照的に、蓮花はやる気だった。元々悪霊退治が彼女の専門である。霊刀を手に、臆する事無く赤黒い霧に切り込んでいった。
 「…ち、ルキッドに酒樽の約束、させてねぇな」
 まあ、報酬は後で請求するか。と、シグルマも封魔剣ヴァングラムを持って切り込む。彼の場合は、専門とかそういう事は関係なく、誰が相手でも一緒だった。
 「何とか成仏してもらう事は出来ないもんですかねー…」
 と、悩めるアイラスも赤黒い霧へと向かった。彼の武器は魔力を込めた拳である。
 あのー、あんまり無理しないで下さいねー。と、得体の知れない霧に向かった3人を、ニールは見送った。
 三人は、剣や刀や拳を赤黒い霧に向けて、しばらく振ってみる。
 「ダ、ダディアーナー!
  はぁはぁ、随分しつこい悪霊ね!」
 何かの呪文のようなものを唱えながら言ったのは蓮花だった。もう、何度霊刀を振った事だろうか。赤黒い霧は、切り払っても、またすぐに沸いてくるようだ。
 「これは…このままだとダメかも知れませんね」
 力づくで霧を晴らすのは、ちょっと無理かもしれない。とアイラスは思った。
 「うぅ、ひとまず逃げませんか?」
 ニールが言った。他の者も、基本的には同感だった。
 「ちわー、すきま妖怪でーす。
  向こうの水脈で、ルキッドさんと不死姫さんとみずねさんが、悪霊について話たいって言ってますよー」
 そこに、ふらっと天夢が現れた。
 「あ、あんた!
  今まで、どこで何やってたのよ!」
 蓮花は天夢に怒鳴った。
 「向こうの水脈で、ルキッドさん達とお茶飲んでたわよ?」
 「もっと早く来なさいよ!」
 「いや、来てたんだけど、あなたの様子が楽しかったから見てたの」
 蓮花と天夢の口ゲンカは、果てしなく続いた。その間に、一行はルキッド達が居る水脈へと走った。
 「酒樽10樽じゃ…足りねぇな」
 シグルマが呟く。
 「一応、振り切れたみたいですね」
 アイラスが振り返ってみると、赤黒い霧は、すでに視界からは消えている。そんなに移動は早くないようだ。
 「しかし、何なんですかね、あの霧は…」
 ニールの問いに答えられるのは、おそらくルキッド達なのだろう。天夢の案内で、一行はルキッド達の所にたどりついた。
 水脈の水辺に、みずねとルキッド、不死姫が居た。
 「この水辺は清められてますから、安全ですよ」
 みずねが言って、一行にルキッドの神水で沸かした紅茶を勧めた。
 一行は一休みする。
 「あら、みんな悪霊達にあったのね。あれ、怖いわよね〜」
 一行の話を聞いたルキッドが言った。
 「ルキッド、とりあえず悪霊1体につき、酒樽20樽だ。いいな?」
 「わ、わかったわ。任せといて」
 ともかく、シグルマは酒の約束をルキッドにさせた。
 「というか、アレって退治するの面倒なのよねー…」
 と、呟いているのは不死姫である。ルキッドに変身して、見かけはルキッドと一緒だったが、額に『不死姫』と書いてあるので見分けがついた。
 不死姫は悪霊について、少し詳しく説明した。
 「あの悪霊、レギオンって言うみたいなんだけどね…」
 大体、一行が見た通りのモノだという。何だか良くわからない霧のようなもので、人でも妖怪でも神様でも幽霊でも、無闇に近づくと『レギオン』の一部にされてしまうそうだ。
 「あんまり話が出来そうな相手じゃないのはわかりましたが、退治する方法は何かあるんですか?
  切っても払っても、赤黒い霧はどこかから沸いてくるみたいなんですけど」
 アイラスが尋ねる。確かに、あんなのに住み着かれたら、地元の幽霊は困るだろう。
 「境界を閉じちゃえばいいんじゃない?」
 「境界?」
 天夢の唐突な言葉に、みずねが首を傾げた。
 「何か、さっき見てたら、あの悪霊って、どっかの地獄の境界と繋がってるみたいよ。
  だから、倒しても倒しても、地獄の方から霧が沸いてきて復活するんだと思うけど」
 天夢が言った。
 「ほー、そうなのか。
  じゃあ、その境界ごとふっ飛ばしちまうか」
 酒樽の約束も出来たし、やる気が出てきたシグルマが言った。
 「あー、境界は私が閉じるから。
  あなた達は、こっちに残ってるレギオンをやってくれる?」
 そういう境界を閉じたりするのは、天夢の専門らしかった。
 というわけで、一行は、もう一度『レギオン』という悪霊の所に行ってみる事にした。
 「がんばれー、私も応援してるわよ〜」
 「私も〜」
 と、ルキッドと不死姫も面白そうだから見に行くと言った。
 一行は、ぞろぞろと『レギオン』の所に向かう…

 4.晴れた霧

 「じゃあ、ルキッド様、御神水を撒きますんで、水を召還して頂けますか?」
 視界の端に赤黒い霧が見え始めた所で、みずねが言った。
 「え…私も何かするの…」
 嫌そうな顔をするルキッドに、みずねはにっこり微笑んだ。
 御神水を魔法で調整して、悪霊に効くようにしますね。とニールはみずねに言った。
 「おしゃ、さっきは、よくもやってくれたわね!
  今度こそ、さっさと成仏しちゃいなさい!」
 ビシっと啖呵を切ったのは、蓮花である。
 「貴方達のお気持ちは分からないでもないわ。だけど…貴方達は気づいていない…というわけで、蓮花、がんばりなさい!」
 天夢が多少意味不明な事を言いながら、何やら蓮花を煽っている。
 「おしゃ、行って来るわ!」
 蓮花は駆け出す。
 「あ…その前に御神水で身を清めたりすると良いと思いますよー…て、行っちゃいましたね」
 みずねは一人で特攻する蓮花を見送りつつ、他の者達にニールが加工したルキッドの神水を結界代わりに振りかけた。
 「良い酒は水から、だな」
 「いや、そういう問題では…」
 シグルマとアイラスも言いながら、レギオンに向かった。
 「オ、オンドゥルルラギッタンディスカー!
  て、天夢〜、私の事をハメたわね〜」
 一人先走って、レギオンに取り込まれそうになってるのは蓮花である。何かの呪文か、天夢に対する呪いの言葉か、本人にしかわからない事を叫んでいる。
 「がんばって、蓮花。あなたなら出来るわ!」
 天夢は腹を抱えて笑っている。
 それはともかく、シグルマの封魔剣とアイラスの魔法を込めた拳、蓮花の霊刀は霧を払っていった。みずねはルキッドが召還した大量の神水を撒いて、払われたレギオンの破片を清めていった。
 「天夢さん、『境界』の方は閉じられそうですか?」
 アイラスは延々とレギオンに拳を振るいつつ、天夢に声をかけた。
 「ん?
  もう閉じたわよ。境界の注意があなた達の方に向いてたから楽だったわ」
 「それならそうと、早く言いなさいよ!」
 まだ、蓮花には天夢と口ゲンカする余裕はあるようだった。
 言われてみれば、レギオンも少しづつ薄れているようではあった。
 それからしばらくして、レギオンの赤黒い霧は、全て払われた…
 後には、ルキッドの神水で水浸しになった通路と、悪霊退治に疲れた一行だけが残っていた。
 こうして、ルクエンドの悪霊騒ぎはひとまずの解決になった。

 5.帰還(みずね編)

 一行は、地元の不死姫と別れてエルザードへの帰路につく。 
 「じゃあ、そろそろ疲れたし、山に帰ろうかしら…」
 神水をいっぱい召還したから疲れたわねー。とルキッドは言った。
 「そうですよ、信者の皆さんも心配してらっしゃいますし」
 どうやら、ルキッド様も山に帰る気になったようだ。
 そっちの方が、むしろ悪霊よりも気になっていたみずねである。
 そういえば、うちの神様はどうしてる事やら…
 様子を見に行こうかな。とみずねは思った。

 (完)
 
 
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / クラス】
【1649/アイラス・サーリアス/男/19才/軽戦士】
【0925/みずね/女/24才/風来の巫女】 
【0812/シグルマ/男/35才/戦士】
【2256/群雲・蓮花/女/16才/楽園の素敵な巫女】 
【2363/夜月慧・天夢/女/999才/ゲートキーパー】

(PC名は参加順です)

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■         ライター通信          ■
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 結構おひさしぶりです、MTSです。
 今回は悪霊退治なのかルキッド捜索なのか、良くわからない依頼だったなーと思うんですが、
 ルキッドの気まぐれに付き合って頂いて、ありがとうございます…
 ともかくおつかれさまでした。
 また、気が向いたら遊びに来てくださいです。