<PCクエストノベル(4人)>


ソーン全国サイコロの旅 〜第9夜〜

------------------------------------------------------------
【 冒険者一覧 】
【 整理番号 / PC名 / 性別 
             / 種族 / 年齢 / クラス 】
【 1184 / バンジョー 玉三郎 / 男
            / 魔皇 / 40 / 映画監督 】
【 1185 / バンジョー 英二 / 男
              / 魔皇 / 30 / 俳優 】
【 1333 / 熟死乃 / 男
 / ナイトノワール / 43 / ディレクター兼カメラマン 】
【 1334 / 不死叢 / 男
 / フェアリーテイル / 37 / ディレクター兼ナレーター 】

------------------------------------------------------------

●前枠〜事情聴取【0】
 クレモナーラ村まで程近い某所――。
 ナイトノワールの逢魔・熟死乃が構えるビデオカメラの画面に、とっちゃん坊やの格好をした魔皇であるバンジョー兄弟の兄・玉三郎が登場してきた。
玉三郎:「クルクルクルクルクルーッ!!」
 何故だか物凄い勢いで回りながらの登場である。
不死叢:「くっ……くくっ……くくくっ……」
 他に聞こえるのはフェアリーテイルの逢魔・不死叢の抑えた笑い声だけだ。
玉三郎:「クルクルクルクルクルーッ!!」
 まだまだ回り続ける玉三郎。そこへ反対側から、バンジョー兄弟の弟・英二が画面に入り込んできた。何やら記者風の格好をしている。
玉三郎:「クルクルクルクルク……」
英二:「ちょっといいですか?」
玉三郎:「……あっ、はい」
 物凄い勢いで回っていた玉三郎、英二に声をかけられると途端に回転を止めて、神妙な表情を見せた。とっちゃん坊やの格好でそんな表情されても、非常に説得力はない。
英二:「バンジョー玉三郎さんですね?」
玉三郎:「あ……はい」
英二:「えー、あなたは黄金の楽器なる物を求めてらっしゃいますね。それは間違いないですか?」
玉三郎:「あ、はい、間違いないです」
英二:「そのために、馬鹿みたいにサイコロを振りながらソーン世界を回ってらっしゃいますね。これも間違いないですよね?」
玉三郎:「間違いありません」
 矢継早に質問を投げかける英二に対し、神妙な表情のまま答えてゆく――というか、認めてゆく玉三郎。繰り返しになるが、とっちゃん坊やの格好でそんな表情されても非常に説得力はない。
 2人のやり取りはしばらく続き、やがて終わりが見えてきた。
英二:「……それで今、ようやくクレモナーラ村へ向かっている、と。そうですね?」
玉三郎:「あ、はい、そうです。クレモナーラ村です」
英二:「えー……それでは今回の見所を紹介してください」
 質問の締めとばかりに、英二が今回の見所を玉三郎に尋ねた。ところが玉三郎、先程までの神妙な表情から一転しておどけた表情を見せた。
玉三郎:「バーカ」
英二:「なっ……」
玉三郎:「玉く〜ん! スクリューーー!」
 そして再び勢い激しく回り出し、そのまま画面奥へと逃げてゆく。
不死叢:「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
英二:「あなた、英二さんを巻き込んで、悪いと思ってないんですかっ!」
 不死叢の笑い声が聞こえる中、回転したまま逃げてゆく玉三郎を追いかける英二。
不死叢:「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
玉三郎:「バーカ。バーカ」
 英二を馬鹿にしたまま、玉三郎は画面からはけていった……。

●素朴かつ重大な疑問【1】
 クレモナーラ村入口――。
 一行は村の入口を示す木の標識の前に立ち、ビデオカメラを回していた。
玉三郎:「さて」
不死叢:「はい」
玉三郎:「我々、ついにといいますか、やっとといいますか、クレモナーラ村へやって参りました」
英二:「いーやー……長かったねぇ」
 玉三郎の隣で、英二がしみじみとつぶやいた。
不死叢:「ほんと、何度サイコロを振りましたかなぁ」
英二:「おい、違うって」
不死叢:「おや、違うんですか?」
英二:「僕が言ってるのはだ。底無しのヴォー沼だっけ? そこからこのクレモナーラ村までの移動も長かったって言ってるんだぁ、不死叢くん」
不死叢:「そうですかぁ? フェデラから沼への移動の方が長かったと思いますけどねぇ」
英二:「うん、不死叢くん。それはその通り。あれは確かに一番長かったと思うもの、僕だって」
不死叢:「でしょお?」
英二:「だからって、今回の移動が短かったとは言わせねぇぞ、ヒゲ。ほとんど戻ってるようなもんじゃねぇかっ!!」
不死叢:「お、着いた早々にやるってか、スズムシ」
玉三郎:「まあまあまあ」
 危うく罵り合いになりかけた英二と不死叢の間に、玉三郎が割って入った。
玉三郎:「とにかく! ここに来たからには、黄金の楽器について何かしら手がかりが得られるはず。何たってこのクレモナーラ村は、伝統のある楽器の名産地ですから!」
 ぽんぽんと標識を叩く玉三郎。その時、英二が何気なく素朴な疑問を口にした。
英二:「あ。ところで今まで忘れてたけど、黄金の楽器ってどんな楽器なんだい?」
玉三郎:「はいっ!?」
 玉三郎が驚きの表情で英二を見た。
不死叢:「え!? お前知らないのかよ!」
英二:「僕が知る訳ないだろぉ! そういうの調べておくのが君たちディレクター陣の役目だろ!」
不死叢:「いや、それは熟死ーが……」
熟死乃:「知らないよ! だって言いだしっぺはミスターだろ?」
玉三郎:「ええっ、俺かいっ!?」
 責任の擦り付け合い……お見事である。
玉三郎:「……そういや聞いてなかったね」
 思案する玉三郎。黄金の楽器がどこかの遺跡にあるらしいとは聞いたものの、どういう楽器なのかまでは聞いてはいなかった。
英二:「どうするよ、スイスの山ん中で吹くようなバグパイプだったらさぁ」
不死叢:「それはそれで絵になりますなぁ。どうだい、熟死乃くん?」
熟死乃:「どうだろう?」
 熟死ー、正直である。
不死叢:「でも、英二魔皇様の言葉を聞いて、僕は1つ心配なんですけどねぇ……」
玉三郎:「おや、何ですか?」
不死叢:「楽器見付けたとして、お2人演奏出来るんですか?」
玉三郎:「あ……!」
 玉三郎の顔が強張った。
英二:「そうだよな。俺らバンジョーだって満足に出来ないのに」
 不死叢の言葉に、英二が大きく頷いた。だがこの英二の言葉に、不死叢・熟死乃のディレクター陣が酷く驚いた。
熟死乃:「えええ!?」
不死叢:「あんたらバンジョー兄弟だろ! 弾けないんですかぁっ!?」
英二:「……おめーが俺らの本名が番城だから『じゃあ、ポンチョ着てバンジョー抱えてみたらどうです?』って言ったんじゃねーかよ!」
 新事実発覚。
 バンジョー兄弟は、実は番城兄弟でした。
不死叢:「おめーだって『それはいいねぇ、不死叢くん』って言ったじゃねーかよ!」
英二:「演奏出来るなんて俺は一言も言ってねぇって! おいヒゲ、普通ディレクターは聞くだろーっ!?」
不死叢:「出来ないなら出来ないって、タレントなら最初に一言言うもんだろぉっ!?」
玉三郎:「まあまあまあ!」
 またしても罵り合いになりかけた英二と不死叢の間に、玉三郎が割って入った。
玉三郎:「それもこれも全ては手がかりを調べてから、ということで! それじゃあ手がかり探してレッツゴー!!」
 そう言って、玉三郎が一足先に村の中へと続く道を進んでゆく。残る3人がのろのろと後を追いかける。
英二:「……何であの人あんなに元気なんだろう」
不死叢:「生き生きしてますなぁ」
 果たして黄金の楽器について、手がかりは見付かるのか?

●聞いてみましょう【2】
玉三郎:「それにしても、どこから聞いていこうか」
 村の中に入ってから、玉三郎が他の3人に尋ねた。どうやって調べるのが一番いいのか、である。
不死叢:「そうですなぁ。普通に聞くのも面白くないですからねぇ」
玉三郎:「確かに、面白くないですねえ」
英二:「いやいや、調べるのに面白い面白くないの問題かい?」
 抗議の声を上げる英二。だが不死叢と玉三郎はさくっと無視。
不死叢:「どうですかな。まずは第1村人に質問を」
英二:「パクリじゃねぇかよ! だいたい不死叢くん、このご時世にパクリはちょっと不味いぞぉ? すぐにインターネットに書かれれ糾弾されるぞ? 僕たちが相手取られて訴えられるんだよぉ?」
不死叢:「いやいや、英二魔皇様。先人のいい所はすぐに見習うのが我々の番組です。要はどう調理するかが問題で」
玉三郎:「でもまあ、村人に聞くというのは不変な真理ですよね。聞かなきゃどうにもなんないですし」
 玉三郎の言うように、聞くという行為はどうあっても調査に必要な行動である。そこでディレクター陣が考えた方法はというと――。
不死叢:「いいですか。『楽器といえば?』だけですよ。余計なこと聞いちゃいけませんから」
英二:「分かってるって! 俺は馬鹿じゃねーんだから」
 不死叢に散々注意されて送り出される英二。実は村人に『楽器といえば?』とだけ尋ねて、答えを待つという手段を取ることにしたのだ。もちろん他の3人はその間、少し離れた所で待機である。
玉三郎:「お、村人が来ましたね」
不死叢:「……あいつちゃんと守ってんだろうな?」
 村人に話しかける英二の姿を見守る3人。熟死乃のビデオカメラは英二と村人の姿だけを捉えていた。
玉三郎:「おや? 村人がにこやかに話し始めましたねえ……」
不死叢:「こりゃ、期待出来るか?」
 5分経過――。
 英二はまだ村人の話を聞いていた。
玉三郎:「……ずいぶんと長いですねえ……」
不死叢:「あいつ本当に『楽器といえば?』って聞いたのかい? 何か別のこと聞いたんじゃねーだろなぁ?」
 10分経過――。
 それでも英二はまだ村人の話を聞いている。というか、聞きっぱなしである。
熟死乃:「あのさ、テープチェンジしていいかい?」
不死叢:「は? 残量ない?」
熟死乃:「うん、ない。長いんだよぉ」
 15分経過――。
 ようやく英二は3人の所へ戻ってきた。村人はというと、すっきりとした表情でどこかへと去ってしまった。
英二:「えー……大失敗です」
不死叢:「ぶっ! だ、大失敗?」
 英二の開口一番のコメントに、不死叢が笑い出した。
英二:「今の村人に『楽器といえば?』と聞いた所、このクレモナーラ村の歴史を延々と聞かされてしまいました」
不死叢:「れっ、歴史ですかっ? うひゃひゃ……それはまた長い歴史でしたなぁ……ひゃひゃひゃ」
玉三郎:「それで、黄金の楽器についての手がかりは?」
英二:「ある訳ないだろぉ!」
 怒り出す英二。何ともご苦労なことであった。
不死叢:「うひゃひゃひゃ……で、では次は玉三郎魔皇様にお願いしますか……」
玉三郎:「あ? はいはい、聞いてきます」
 不死叢が笑いながら玉三郎を送り出した。選手交代である。
英二:「まあ兄さんはやってくれると思うけれども」
不死叢:「やってくれるでしょうなぁ。おや、新たな村人が来ましたぞ」
 玉三郎は新たに見付けた村人の方へ近付いてゆき、大きな声で次のように尋ねた。
玉三郎:「あのー、黄金の楽器について何かご存知じゃないですか?」
 ――聞いちゃった。
不死叢:「……何だいあれ、君の兄さんかい? やってくれたねぇ……」
英二:「やってくれたよ……」
熟死乃:「…………」
 呆れ返る3人。そこへとことこと玉三郎が戻ってきた。
玉三郎:「おーい、あの人が黄金の楽器に詳しい人の所へ連れてってくれるって。……あれ、どうかした?」
 知らぬは玉三郎ばかりなりである……。

●舞い戻る〜第9の選択【3】
 まあ玉三郎の反則があったものの、一行は無事に黄金の楽器について手がかりを得ることが出来た。黄金の楽器があると思しき遺跡の場所の情報が出たのだ。
英二:「『強王の迷宮』……って、俺たち1度行ってないかい?」
不死叢:「行きましたなぁ。迷宮の入口の前でキャンプをしました」
玉三郎:「何であの時、中に入らなかったの?」
不死叢:「何でですかなぁ?」
 済んだことを今さら言っても仕方がない。とにかく、黄金の楽器が『強王の迷宮』にあるかもしれないという情報が得られたのだ。伝統のある楽器の名産地、ガセネタの可能性は低いはずである……たぶん。
玉三郎:「じゃあ『強王の迷宮』に向かうってことでいいですね?」
不死叢:「その前にこれを」
 不死叢が英二に羊皮紙を手渡した。いつものあれだ。
英二:「あのさ。君、馬鹿じゃないの? 黄金の楽器がある場所が分かったってのに、どうして律儀にサイコロを振るんだよ。まっすぐ向かえばいいじゃないかぁ」
不死叢:「移動の時の決まりですから」
英二:「君は何だ? サイコロの神か何かか?」
不死叢:「いいから早く読めって!」
 げしっ!
 不死叢の蹴りが英二に飛んだ。
英二:「読めばいいんだろぉ? 第9の選択!
 1・2・3・4! 強王の迷宮!
 5! ……は? 大蜘蛛の住処・クーガ湿地帯?
 6! クレモナーラ村1泊!」
玉三郎:「また余計な目を加えてきましたねえ」
 ある意味チャンスタイム。けれども、5の目が怖い。これを出すとまた余計な行程を踏むことになってしまう。
 なお、今回サイコロを振るのは英二だ。不死叢からサイコロを受け取り、いつものように踊り出す英二。
英二:「何が出るかな、何が出るかな! とうっ!!」
 勢いよくサイコロを放り投げる英二。転がるサイコロを、ビデオカメラを抱えた熟死乃が追いかける。
 出た目は……4。
英二:「あっぶねー! ぎりぎりだよー!」
玉三郎:「という訳で、我々は再び『強王の迷宮』へ向かうこととなりました」
 熟死乃のビデオカメラにぐいと近寄り、玉三郎が言い放った。
不死叢:「さっき聞いたんですけどね。地下4階までは安全が確保されたそうですよ?」
玉三郎:「そこまでにあればいいんですけどねえ……」
 不死叢の口にした情報に対し、玉三郎が不安そうに言った。
英二:「これで見付からなかったら、謝罪会見開いてもらうよ!」
 英二が不死叢を睨み付けるように言う。さてはて、本当に『強王の迷宮』で黄金の楽器は見付かるのか?
 いやいや――その前に、黄金の楽器がどんな楽器なのかもまだ分かっていないはず。
 不安だらけのまま、『強王の迷宮』へ向かう一行であった……。

【ソーン全国サイコロの旅 〜第9夜〜 おしまい】