<PCクエストノベル(1人)>


一角獣の窟〜ユニコーンを探しに
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【冒険者一覧】 整理番号 / 名前 / クラス

 2241 / ウィング=バードヒル/ 空の人
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 それを聞いたのは、とある街の酒場であった。冒険者向けとしてはよくある二階が宿で一階が食堂兼酒場というその店で、ウィング=バードヒルはユニコーンが現れる湖の話を聞いたのだ。

ウィング「あのお、そのお話、詳しく聞かせてもらっても良い?」

 にこりと楽しげに笑うウィングに、その噂話をしていた男たちは、一瞬きょとんとした表情を浮かべた。
 実年齢はともかく、ウィングの外見年齢は十六歳前後の少女。しかもウィングはふわふわとマイペースな性質で、ぱっと見にはあまり冒険者などに見えなかったのだ。
 とはいえ、それなりの装備は持っているから、よく見ればウィングが冒険者だと知ることはできる。しばしの沈黙ののちにハッと我に返った男たちは、口々に嘘か本当か微妙な感じの噂話を聞かせてくれる。
 ユニコーンが現れるのはどある洞窟の奥にある湖だとか、その洞窟はエルフ族の集落と繋がっているらしいとか、実は現れるのはユニコーンそのものではなく化身なのだとか。
 まあ、いろいろと。

ウィング「その洞窟ってどこにあるの?」

 問われて男たちは気まずそうに顔を見合わせた。
 どうやら誰も詳しい場所を知らないらしい。しかしそれでも、あっちの方という程度の大まかな方角――ただしこれも噂の域だが――を教えてもらい、ウィングは翌朝その街を立った。


 ユニコーンの洞窟の話は、実は案外有名であったらしい。
 街々の酒場で聞いて回れば、すぐに一角獣の窟と呼ばれる洞窟の場所を知ることができた。

ウィング「よーし、がんばろぉっと!」

 黄金色のグリフォンの装飾がついたフランベルジェを持って、ウィングは噂の洞窟へと足を踏み入れたのだった。


■ □ ■ □ ■


 噂のせいか、人が足を踏み入れたあとは無数に存在していた。だがそれはあくまでも踏み入れた跡であり、窟そのものは自然洞窟。
 とうぜん、整備などされているわけがなく、外からの光が届かなくなれば途端に周囲は暗くなる。
 用意しておいたたいまつに灯りをつけて、ウィングは迷わないようにと気を付けながら、奥へ奥へと足を運んだ。

ウィング「うーん、なかなか先がみえないなあ」

 何度かの曲がり道を経て、歩きつづけること数時間。かなり奥まで来たはずなのだが、湖など影すら見えない。
 深い洞窟とは聞いていたが、いったいどこまで続いているのやら。

ウィング「地下深くって……どれくらいなんでしょうねえ」

 一応周囲への警戒は怠らず、だがその割りにのんきな雰囲気でウィングはこくんと首を傾げてまたさらに奥へと進む。
 が、その時。
 ヒュッと響いた小さな風を切る音に、ウィングは素早く反応して横っとびに跳ぶ。
 その来襲は予想していたものだけに、ウィングに焦りの気配はない。あまり強いモンスターがいるという話は聞かなかったけれど、ここは人の手の入らぬ自然洞窟。モンスターの一体や二体、いてもまったく不思議ではない。
 たいまつが照らしているとは言え、それはウィングのごく周辺のみ。しかし動きや気配から、どうやら相手が小動物系のモンスターであることは知れた。

ウィング「こんなところで負けてらんないですよ〜」

 本人はいたって真剣なのだが、どこかのんびりとした雰囲気で、ウィングはチャキリとフランベルジュを構えて気配を探る。
 迫ってきたモンスターをさらりと避けて、剣で空を薙ぐが、的が小さいせいでなかなか上手く当たってくれない。

ウィング「なら、これならどうっ!?」

 ふいに、ウィングの周囲に風が舞う。

ウィング「ウインドスラッシュ!!」

 言葉とともに、洞窟内を強い風が吹きぬけた。
 モンスターがいると思しき方向へ放たれたのは真空の刃だ。さすがに飛び交う風までは避けきれなかったのか、モンスターの動く気配がピタリと途絶えた。

ウィング「ふう〜」

 モンスターが完全に動かなくなったのを確認してから、ウィングはホッと息を吐く。しかし力を抜いていたのはほんの数秒で、次の瞬間にはもう気合を入れて先を見つめる。

ウィング「さあ、あとちょっとだ、がんばろー!」

 本当にあとちょっとなのかは甚だ怪しいところではあるが。


 それからあとも、細々とやってくるモンスターたちを相手にしながら、ウィングは奥へ奥へ、地下へ地下へと潜って行く。
 どれくらい、そうやって歩いていただろうか。
 ふいに、天井の高い空間に出た。いや、天井だけではない。
 前方も左右も、今までとは比べ物にならないほどの広い空間――そしてそこには、並々と水を湛える地底湖があった。

ウィング「ここ……かなあ?」

 湖に現れると聞いていたからウィングはそう呟いたが、少なくとも第一印象では、とてもとてもユニコーンが現れる場所のようには見えなかった。
 光射さぬ地底は当然暗いし、あるのは水と岩ばかり。
 しかしとりあえず、ウィングはしばしここで様子を見てみることにした。


■ □ ■ □ ■


 ……期待していなかったと言えば嘘になる。
 けれど、いまだその姿を確認できた者は誰もいないと聞いていたし、自分が運良く発見者になれるとは限らないとも思っていた。
 数日ほどそこで待ち続け、だが結局、ユニコーンは姿をあらわすことはなかった。

ウィング「うう〜、残念〜」

 もしかしたらもっと奥に、もっと綺麗な湖があってそこにいるのかもしれない。
 いやそれとも、ユニコーンが来る時期というのがあるのかもしれない。
 今回ユニコーンと出会えなかったのは残念だが、まだまだ、可能性はたくさんある。

ウィング「今度は見つかるといいなあ」

 ほんわりと呟いて、ウィングはその洞窟をあとにした。
 今回はダメでも次がある。次の機会ではユニコーンの姿を見れるかもしれないと、そんな期待を胸に抱いて。