<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>


双六!【青の書編】



□オープニング

 「妙なものを手に入れたのですが・・やってみませんか!?」
 その日、突如白山羊亭を訪れた少女はそう言った。
 鼻息も荒く、なにやら張り切った様子の少女にルディアは首をひねった。
 「・・・なんですか?」
 「これです!どうやら双六と言うものらしいのですが・・。」
 少女・・ティリアス バッカーノはそう言うと、文庫本サイズほどにたたまれた紙を手渡した。
 ・・それをゆっくりと広げてみる。
 右隅には“ドキドキ☆人生の縮図のようだよ!大双六大会!【青の書】”と書かれている。
 ・・・なんとも力の抜ける題名だ。
 「これは・・?」
 「“日本”と言う国のもので・・サイコロを振って、ゴールを目指すと言う遊びなのですが・・。」
 ティリアスはそう言うと、ポケットの中から小さなサイコロを取り出した。
 サイコロを振って、出た目の数だけ駒を進めて、ゴールを目指すと言うものだ。
 途中のマスには色々と小さく書き込まれている。
 「青の書って言うのは・・コレが入っていた箱が青かったからだと思うんですけど・・。」
 言いながら、すっと青い箱を取り出す。
 そこにも“ドキドキ☆人生の縮図の・・・(以下略)”と書かれている。
 「・・と言う事は、青以外にもあるのでしょうか・・?」
 「・・ふふ・・秘密でーす。・・それで、どうしてココにコレを持って来たかと言いますと・・。」
 ティリアスはルディアの耳にごしょごしょとなにやら囁いた。
 「えっ!?実現する!?コレに書かれていることがですか・・!?」
 「そうでーす!なんと、実際に書かれてることが起きちゃうんです!なんだかとってもお得でしょう!」
 ふんと、力瘤を作りながら自慢げに話すが、まったくもって得ではない。
 「う〜ん・・そうだなぁ・・誰かやってみる人、いないかな?」
 ルディアが今日も賑わっている白山羊亭の中を見渡した。


 ●エルダーシャ

 エルダーシャは白山羊亭の角、人ゴミから少し離れた場所に座り優雅にお茶を飲んでいた。
 何時も賑やかな店内は嫌いではなかった。
 こうしてほんの少し離れた位置でゆっくりと飲むお茶は格別だった。
 コクリと喉を鳴らした時、エルダーシャの耳にティリアスとルディアの会話が聞こえてきた。
 双六・・。
 その名前を、エルダーシャは以前聞いた事があった。
 実現する双六・・実現する・・。
 ・・面白そうね・・!
 エルダーシャは口の端を僅かにあげると、ルディアとティリアスの元へと歩みよった。 
 「・・・双六に参加してくれる人??」
 「えぇ、そう。うふふ〜、私こう言うの大好きなのよね〜!」
 エルダーシャはそう言うと、ティリアスに向かって微笑みかけた。
 「そう!?それじゃぁ、そうと決まれば・・ささ、コッチに座って座って!」
 ティリアスはそう言うと、エルダーシャを手招きして椅子へと座らせた。
 すとりと椅子に腰掛け、目の前に置かれている双六を眺める。
 文庫本サイズほどに畳まれた紙は、テーブルの上で所在無さ気にちょこりと座っている。
 「一緒に楽しく双六、やりましょーね!」
 ティリアスがじゃれるようにエルダーシャの手に絡みつきながら、満面の笑みで可愛らしくそう言った。
 その、瞳の奥は・・心なしか微笑んでいないように見えた・・・。


 ■さぁ、双六を始めましょう!

 ぐるりと円形に座らされた一同の顔を、ティリアス バッカーノが順々に眺める。
 そして、にっこりと微笑むと机の上の双六を取り上げた。
 「さぁさぁ、皆様!コレより双六を開始するための手続きを開始いたしまぁ〜す!」
 「・・手続きなんてあるの?」
 「はい、ありますよ〜。さぁ、まずはアイラス サーリアスさん!こちらに来て下さい!」
 ティリアスはそう言うと、アイラスを手招きした。
 アイラスがおずおずと席から立ち上がり、ティリアスの前へと歩み出る。
 ティリアスはさっとアイラスの手を取ると、双六の上に乗せた。
 「はい、コレでもう大丈夫ですよ!次、ミスゲシュタルト ジェイドさん!」
 ミスゲシュタルトもアイラスと同じように双六の上に手を乗せる。
 「次、ディンブラ ティーさん!」
 「オーマ シュヴァルツさん!」
 「エルダーシャさん!」
 「レニアラさん!」
 「アルミア エルミナールさん!」
 ポンポンと、リズム良く名前を呼んでは双六の上に手を乗せさせる。
 最後にアルミアの手を乗せさせて、ポンと双六を机の上に放り投げた。
 「これで手続き終了です。」
 「・・アレだけ・・ですか?」
 「はい。これでもう皆さん・・双六をやらざるを得なくなりました!」
 ティリアスはにっこりと微笑むと、ぴっと、細く切った紙を取り出した。
 「・・これは?」
 「順番を決めるための紙ですさぁさぁ、皆様引いてください!」
 ティリアスはそう言うと、グイっと皆の目の前に紙を突き出した。
 アルミアから時計回りに紙を引いて行く・・・。
 「さぁ、皆さん引きましたね?まだ紙は見ないで下さいっ!これより双六のルール説明を行いたいと思います。」
 ばっと双六を開き、ティリアスが何処からともなくサイコロを1つだけ取り出した。
 「まず、サイコロを振ります。」
 コロコロとサイコロが転がり丸が3つ斜めに並んだ面で止まる。
 ティリアスは“スタート”と書かれたマスから3つ、指を先に進めた。
 ・・・マスに何かが書いてある・・・。
 「オレ・・。」
 不意にミスゲシュタルトが手を上げた。
 「・・はい??」
 「オレ、字とか・・読めないんだけど・・・。」
 「あぁ、それなら大丈夫です!ほら、ココをこうすると・・。」
 ティリアスが双六をひっくり返し、なにやらゴソゴソとやり始めた。
 そして、数秒の後・・何か一仕事を終えたような様子のティリアスが再びサイコロを転がした。
 今度は“5”だ。
 ツンツンと指を“5”のところに動かし・・・。
 『ラッキーポイント!さぁさぁ、皆様御覧下さい、ここが・・』
 地獄の大王の声か、はたまた魔王の声か、それとも地底人の声か・・。
 低く陰気に響く声はいつの間にか静かになった白山羊亭内に響いた。
 白山羊亭内で楽しく食事をしていた屈強な冒険者の顔にはくっきりと縦に3本線が入っている。
 その隣でグラスを傾けながら優雅に足を組んでいる女性も、無表情でどこか遠くを見つめている。
 ・・・しら〜・・・。
 「あ・・あれれ?お気に召しませんでした?」
 ティリアスが可愛らしく小首を傾げ、一同の顔を見渡す。
 「もう少し、楽しそうな声って無いのかしら・・?ほら、一応これ、双六なんだし・・。」
 エルダーシャがおずおずとティリアスに助言する。
 「ありますよ〜!楽しそうな声!」
 再びガチャガチャと双六をいじり・・双六を転がす。今度は“2”だ。
 指が動く・・つん、つん・・。
 『イ〜エッヘッヘ!ハァイ!このマスHA、ぴぴぴぴぴぴぴぴピンチポインツ、インツ!ここここでででで・・』
 甲高い、それこそ陽気な悪魔を想像させるような声に・・再び白山羊亭内は静まり返った。
 楽しそうと言うか・・ココまで来てしまうと逆に恐ろしい。
 先ほどの屈強な冒険者は既にフリーズしている。その隣の女性は手に持ったグラスを落としてしまっている。
 ・・足元に散らばる破片がなんだか虚しい。
 「あれれ?またダメですか?」
 「もっと・・まともなものは無いのか?」
 レニアラの冷たい視線がティリアスを射抜く。
 しかし射抜かれたはずのティリアスは別段気にする風でもなく、何がいけなかったのかしらと首を傾けている。
 何がいけなかったかも何も、全てにおいて違っている。
 「い・・いいよオレ、頑張るから。」
 ミスゲシュタルトが少し引きつり笑顔で一同を見渡す。
 「でも、それじゃぁ大変じゃない・・。」
 ティリアスが唇を尖らせながら眉根を寄せる。
 しばらく小首を傾げた後で、典型的な“ひらめきました”の顔をすると・・にっこりとミスゲシュタルトに微笑んだ。
 「それじゃぁ、私がマスを読み上げるね?・・ダメ?」
 最初からそうしておけば良かったものを・・。
 数人はそう思ったが、口に出すことはなかった。
 「ううん、それじゃぁ、よろしくね、ティリアス!」
 ティリアスはコクリと頷くと、再び一同に視線を向けた。
 「やり方はわかりましたね?後はマスに書いてあることが実現するだけです。最後に・・最重要注意事項なのですが・・・。」
 一呼吸置く。
 その間が、なんとも不気味だ・・・。
 「双六は一度始めると途中で終了できません。皆様、今のうちに支度を済ませてください。」
 ティリアスが満面の笑みで小首をかしげた。
 “何の支度ですか?”などと間抜けにきくものは誰もいなかった。
 言わずとも知れた事だった・・それを人は暗黙の了解と言う。
 気のきいた数人が席を立ち、ルディアに色々と注文をしている。
 更にもっと気のきいた人達は、救急セットの用意まで注文している・・・。

♪順番
 アイラス→ミスゲシュタルト→ディンブラ→オーマ→エルダーシャ→レニアラ→アルミア

 〇第一投目

 アイラス→4
  『トラップです!大変です!頭上から貴方へ向かって金盥がっ・・!!』
 「・・金盥・・ですか・・?」
 首をひねり、上を向いたアイラスの視界に・・金盥が映る。
 それは凄いスピードでアイラスの上に・・・!!
 「あぶな・・」
 誰がそう叫んだのかはわからなかったが、アイラスはさっと身体を右にひねると床に足を着いた。
 グワングワンと響く金盥の下は、丁度アイラスが座っていた席だった。
 「あぁ・・驚きました・・。」
 アイラスはそう言うと、ほっと胸を撫ぜ下ろし・・金盥を席からどけた。

 ミスゲシュタルト→2
  『さて、ここは舞台の上です。貴方がレイシュ、貴方の前の方がミレア。『あぁ、貴方はどうしてミレアなの!?』と感情タップリに言ってください。そして・・ミレアさん、貴方が何故ミレアなのか説明してあげてください。』
 ボンヤリと視界が霞んだかと思うと、強烈なライトの光を浴びせられてミスゲシュタルトは瞳を伏せた。
 ライトの熱は四方八方からミスゲシュタルトを照らし出し、熱くさせる。
 ぱっと服を見ると・・何故かアンティークドレス調のドレスに身を包んでいた。生地はポンパドゥール風だ・・。
 細身のミスゲシュタルトには良く似合っている・・。
 「おぉミレア・・。貴方はどうしてミレアなの?」
 ミスゲシュタルトの口から、勝手に言葉があふれ出す。
 その声は哀愁を帯びていた・・。まさに、演技に浸っている。
 ぱっとスポットライトが別の場所を指し示す。そこには、ピシっとした王子服を身に纏ったアイラスの姿があった。
 アイラスには、黒の生地が良く似合う・・。
 「・・おぉ、レイシュ・・。エルモワーナとルクセルデーゼの・・」
 アイラスがかなり躊躇したように視線を舞台上に彷徨わせる。
 それでもなんとか台詞を紡ぐあたりは素晴らしい・・・。

 ディンブラ→5
  『貴方の目の前に小さな箱が見えますね?双六!からのプレゼントです。どうぞ受け取ってください。』
 グラリと視界が揺れ・・目の前にあったはずの白山羊亭の風景が掻き消えた。
 代わりに現れたのは、ちょっと高価なものが入っていそうな宝箱だ・・。
 ディンブラはそっとフタに手をかけると、パカリと開いた。
 そこには一枚の札が張り付いていた。。
 (脱呪符入手)

 オーマ→4
  『トラップです!大変です!頭上から貴方へ向かって金盥がっ・・!!』
 「・・金盥・・ねぇ・・。」
 オーマはにやりと口の端をあげると、さっと身を翻した。
 凄いスピードで金盥が丁度オーマが座っていた席の上に落ち、グワングワンと音を響かせる。
 「あぁ・・驚いた・・。」
 オーマははそう言うと・・金盥を席からどけた。
 その余裕の表情には、驚きの色は感じ取れなかった。

 エルダーシャ→5
  『貴方の目の前に小さな箱が見えますね?双六!からのプレゼントです。どうぞ受け取ってください。』
 グラリと視界が揺れ・・目の前にあったはずの白山羊亭の風景が掻き消えた。
 代わりに現れたのは、ちょっと高価なものが入っていそうな宝箱だ・・。
 エルダーシャはそっとフタに手をかけると、パカリと開いた。
 そこには一枚の札が張り付いていた。。
 (脱呪符入手)

 レニアラ→6
   『ラッキーポイント』
 急に双六から白い煙が出たかと思うと、そこから1人の少女が出現した。
 背中から水色の羽が4枚生え、パタパタと不規則に羽ばたいている。
 「ジャーン!お呼びでしょーか??」
 「お前は・・?」
 「あたしは魅惑の妖精さん!貴方の願いを特別に叶えてあげましょー!」
 「結構だ。」
 自称魅惑の妖精さんが『叶えてあげま』くらい言った時にレニアラがピシャリと冷たく言い放った。
 「オーケーオーケ!ここの破壊禁止ね!オーライっ!承りましたぁ!そぉ〜れっ!」
 自称魅惑の妖精さんは手に持ったいかにもな感じのステッキを振った。
 そしてそこから緑色のいかにも有毒そうな粉がキラキラと白山羊亭内に降り注がれる。
 みんな息を止めているのは、ごく自然の事だった・・。
 「それじゃぁ、まったね〜んっ!」
 自称魅惑の妖精さんは手を優雅に振ると、双六の中に舞い戻って行った。
 「・・結局、あれはなんやったんや・・?」
 ディンブラの問いに答えられるものは誰一人としていなかった。
 (白山羊亭の破壊行為、無効)

 アルミア→2
   『さて、ここは舞台の上です。貴方がレイシュ、貴方の前の方がミレア。『あぁ、貴方はどうしてミレアなの!?』と感情タップリに言ってください。そして・・ミレアさん、貴方が何故ミレアなのか説明してあげてください。』
 ボンヤリと視界が霞んだかと思うと、強烈なライトの光を浴びせられてアルミアは瞳を伏せた。
 ライトの熱は四方八方からアルミアを照らし出し、熱くさせる。
 ぱっと服を見ると・・何故かアンティークドレス調のドレスに身を包んでいた。生地はポンパドゥール風だ・・。
 細身のアルミアには良く似合っている・・。
 「あぁ、貴方はどうしてミレアなの?」
 アルミの口から、勝手に言葉があふれ出す。
 その声に抑揚はなく、あきらかに無理やり言わされていますといった雰囲気をかもし出していた。
 ぱっとスポットライトが別の場所を指し示す。そこには、ピシっとした王子服を身に纏ったレニアラの姿があった。
 レニアラには、黒の生地が良く似合う・・。
 「・・そもそも、ミレアと言うのは親がつけた名前であって、そこに何故と質問するのはある意味愚問ではないのか?」
 レニアラが、もっともな意見を氷の言葉で紡ぎだした。


 ☆レニアラ→ディンブラ&エルダーシャ→オーマ→アイラス→ミスゲシュタルト&アルミア


 ●第二投目

 アイラス→3 (7)
  『未来予想です。貴方は・・10年後に・・・3人の子供を授かるでしょう。ちなみに名前は一番最初から『すご』『禄』『青』でなくてはなりません。』
 「・・未来予想と言うより、予言ではないでしょうか・・。」
 「それより、これって確か書いてあることが実現するんやなかったか?」
 ディンブラの呟きに、アイラスは薄っぺらい笑顔で一同を見渡した。
 「・・それにしても、名前が“すご”“禄”“青”とは・・・。」
 禄、青は良いとしても・・すごとは・・。
 なんとも可哀想な名前である。
 「これは・・10年後に本当になるって言う事でしょうか・・。」
 ・・多分その通りである。

 ミスゲシュタルト→4 (6)
 『ラッキーポイント』
 急に双六から白い煙が出たかと思うと、そこから1人の少女が出現した。
 背中から水色の羽が4枚生え、パタパタと不規則に羽ばたいている。
 「ジャーン!まったまたお呼びでしょーか??」
 「・・呼んでないよ・・?」
 「あたしは魅惑の妖精さん!貴方の願いを特別に叶えてあげましょー!」
 「だから、呼んでないってば。」
 自称魅惑の妖精さんが『叶えてあげま』くらい言った時にミスゲシュタルトが再度突っ込みを入れた。
 「オーケーオーケ!みんなの怪我の回避ね!オーライっ!承りましたぁ!そぉ〜れっ!」
 自称魅惑の妖精さんは手に持ったいかにもな感じのステッキを振った。
 そしてそこから緑色のいかにも有毒そうな粉がキラキラと白山羊亭内に降り注がれる。
 先ほども言ったが、息を止めてるのは、ごく自然の事だった・・。
 「それじゃぁ、まったね〜んっ!」
 まったく人の話を聞かない自称魅惑の妖精さんは手を優雅に振ると、双六の中に舞い戻って行った。
 「・・マックスプリティー腹黒魅惑の妖精さん・・ねぇ・・。」
 オーマが色々と素敵な単語をくっつけながら自称魅惑の妖精さんの名前を呼んだ。
 (過度の怪我の、無効)

 ディンブラ→5 (10)
  『あぁっ!大変です!貴方の後ろの人が怪我をしています!』
 「いっ・・!!」
 突然オーマから声が上がり、指先に小さな血の玉が出来上がる。
 「大丈夫か・・?」
 ディンブラは慌てて駆け寄ると、持っていた救急箱から絆創膏を取り出した。
 「悪りぃな。」
 「お互い様や。」
 ディンブラとオーマが微笑をかわす。
 (友好度が少しだけ上がりました。)

 オーマ→6 (10)
  『あぁっ!大変です!貴方の後ろの人が怪我をしています!』
 「いったぁ・・。」
 突然エルダーシャから声が上がり、指先に小さな血の玉が出来上がる。
 「おいっ、大丈夫か・・!!?」
 オーマは慌てて駆け寄ると、持っていた救急箱から絆創膏を取り出してエルダーシャの指先に丁寧に巻いた。
 「ありがとう。」
 「良いって事よ。」
 オーマとエルダーシャが微笑をかわす。
 (友好度が少しだけ上がりました。)

 エルダーシャ→2 (7)
  『未来予想です。貴方は・・10年後に・・・3人の子供を授かるでしょう。ちなみに名前は一番最初から『すご』『禄』『青』でなくてはなりません。』
 「・・あぁ・・止まっちゃった・・。」
 エルダーシャはそう呟くと、既に未来確定済みになっているアイラスを見つめた。
 すがるような視線に、同情の視線を返される。
 『すご』『禄』『青』
 ここにまた1人、犠牲者が増えた・・。

 レニアラ→1 (7)
  『未来予想です。貴方は・・10年後に・・・3人の子供を授かるでしょう。ちなみに名前は一番最初から『すご』『禄』『青』でなくてはなりません。』
 「・・ふっ、ここか。」
 レニアラはそう呟くと、既に未来確定済みになっているアイラスとエルダーシャを見つめた。
 余裕の視線に、すがるような視線を返される。
 『すご』『禄』『青』
 ここにまた1人、犠牲者が増えた・・。

 アルミア→6 (8)
  『ピンチです!この部屋にある何かが今・・まさに爆発しようとしています!!』
 「な・・なんだ!?」
 アルミアは言いながら、辺りをキョロキョロと見渡した。
 どこにも異変はないように思える・・。
 「でもさっきレニアラさん、頼んでたし・・。」
 「多分なにも起こらないんじゃない?」
 エルダーシャとミスゲシュタルトがそっと呟く。
 アルミアは先ほどレニアラがした・・かどうかは定かではないが・・お願いを思い出すと、すとりと席に着いた。
 「そうだな、先ほどの妖精・・?が言ったことが正しければなにも起こらな・・。」
 言いかけるアルミアの言葉を、巨大な爆発音が遮る・・が、白山羊亭内で何かが爆発した形跡はない。本当に、音だけだった。
 「これは・・さっき頼んでなかったらどうなってたんやろうな?」
 ディンブラの言葉に、一番顔色を青くしたのは側で様子を見守っていたルディアだった・・。


 ☆ディンブラ&オーマ→アルミア→アイラス&エルダーシャ&レニアラ→ミスゲシュタルト

 〇第三投目

 アイラス→3 (10)
  『あぁっ!大変です!貴方の後ろの人が怪我をしています!』
 「いたっ・・。」
 突然ミスゲシュタルトから声が上がり、指先に小さな血の玉が出来上がる。
 「大丈夫ですか・・!!?」
 アイラスは慌てて駆け寄ると、持っていた救急箱から絆創膏を取り出してミスゲシュタルトの指先に丁寧に巻いた。
 「ありがとう。」
 「いいえ、どういたしまして。」
 アイラスとミスゲシュタルトが微笑をかわす。
 (友好度が少しだけ上がりました。)

 ミスゲシュタルト→4 (10)
  『あぁっ!大変です!貴方の後ろの人が怪我をしています!』
 「いっ・・。」
 突然ディンブラから声が上がり、指先に小さな血の玉が出来上がる。
 「大丈夫・・!!?」
 ミスゲシュタルトは慌てて駆け寄ると、持っていた救急箱から絆創膏を取り出してディンブラの指先に丁寧に巻いた。
 「さんきゅ。」
 「うん、どーいたしましてー!」
 ミスゲシュタルトとディンブラが微笑をかわす。
 (友好度が少しだけ上がりました。)

 ディンブラ→6 (16)
  『早口言葉です。“隣の柿はよく客食う柿だ”』
 「隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ。」
 ディンブラがアナウンサー張りに素晴らしく滑らかな発音で難なく言ってのけた。
 これには一同大拍手だ。

 オーマ→4 (14)
  『貴方は白雪姫です。7人の小人達と一緒に仲良く仕事を・・していますか?』
 グラリと視界が揺れ、目の前に小さな小屋が出現する。
 小屋の前にはカラフルな洋服を身に纏った小さな小人達・・。
 「仲良く一緒に仕事、してるよな?」
 オーマがキラキラとしたものを背負いながら、小人達にきいた。
 コクコクと首が吹っ飛びそうなくらいに小人達が大きく頷き、真っ赤なりんごを差し出した。
 ・・・毒りんご・・で、ない事はもはや明白だった・・・。

 エルダーシャ→1 (8)
  『ピンチです!この部屋にある何かが今・・まさに爆発しようとしています!!』
 「あ、またここに止まっちゃった・・。」
 エルダーシャは言いながら、辺りをキョロキョロと見渡した。
 どこにも異変はないように思える・・。
 「またなにも起こらねぇんじゃなぇか?」
 「そう考えるのが妥当だろうな。」
 オーマとアルミアがそっと呟く。
 「そうよね〜。」
 エルダーシャは頷くと、すとりと席に着いた。
 再び巨大な爆発音が響く・・が、白山羊亭内で何かが爆発した形跡はない。本当に、音だけだった。
 「本当、さっき頼んでおいて良かったわ〜。」
 エルダーシャが満面の笑みでそう言った。

 レニアラ→5 (12)
  『スリには気をつけましょうね☆』
 「スリ・・?」
 レニアラは小首をかしげると、ポケットから財布を取り出した。
 ・・・どうやらすられてしまったらしい・・が、その表情からは伺えない。
 まったくの無表情だからだ。
 「まぁ、仕方あるまい。」
 かなりドライな発言をしながら財布をしまうレニアラに、一同は心を凍らされてしまった・・。

 アルミア→3 (11)
  『あぁぁぁっ!大変です!今まさに、蜂の大群が貴方の背後からっ!』
 「えっ・・?」
 驚くアルミアの背後より、大量の蜂が襲い掛かる・・。
 一瞬だけ驚いたアルミアだったが、すぐに我にかえると身体を左へ回転させてその難を脱した。
 「・・危なかったな・・。」
 そう呟くものの、無駄な動きのない何ら危なげない動作だった・・。

 ☆ディンブラ→オーマ→レニアラ→アルミア→アイラス&ミスゲシュタルト→エルダーシャ

 ●第四投目

 アイラス→5 (14)
  『貴方は白雪姫です。7人の小人達と一緒に仲良く仕事を・・していますか?』
 グラリと視界が揺れ、目の前に小さな小屋が出現する。
 小屋の前にはカラフルな洋服を身に纏った小さな小人達・・。
 「仲良く一緒に仕事、してますよね?」
 アイラスが微笑みながら、小人達にきいた。
 コクコクと首が吹っ飛びそうなくらいに小人達が大きく頷き、真っ赤なりんごを差し出した。
 ・・・毒りんご・・で、ない事はもはや明白だった・・・。

 ミスゲシュタルト→2 (12)
  『スリには気をつけましょうね☆』
 そんな、☆をつけたところで到底可愛いとは思えない文章が双六に浮かび上がる。
 「お財布・・。」
 ミスゲシュタルトがゴソゴソとポケットを探る・・が・・。
 「あぁ、今日は置いてきちゃったんだ。」
 満面の笑みでそう言うと、ほっと胸を撫ぜ下ろした。
 ・・・白山羊亭で一体何をするつもりだったのだろうか・・。

 ディンブラ→6 (22)
 『ドキワク☆知能テストー!“毒草を三つ以上答えなさい!”』
 「え・・?何で毒草なんた・・?・・ま、そこは気にしない方向で・・。」
 ディンブラは一応の納得を示すと、右手の指を折々宙に視線を彷徨わせる。
 「クララやろ?彼岸花やろ?ボタンヅルやろ?ツルシキミ、バイケイソウ・・。」
 なんだかポンポンと出てくる毒草の名前に、双六がたまらず正解の音を鳴らす。
 「・・なんでそんなに知ってるんだ・・?」
 レニアラが警戒を含んだ瞳をディンブラに向ける。
 「・・ひ・み・つ。」
 ディンブラがパチリとウインクをしながらそう言った・・。
 『補足:クララ→マメ科。薬草(胃薬)として用いられる。多量に煎じ液を飲む事による中毒事故あり。呼吸や脈拍が早くなる中毒症状が現れる。
     ヒガンバナ→ヒガンバナ科。山菜のノビルと間違えて食べてしまう中毒事故がある。嘔吐や下痢、神経麻痺などの中毒症状が現れる。
     ボタンヅル→キンポウゲ科。誤飲すると、口の中や食道などが腫れ上がる。汁液が皮膚に付着すると、皮膚の弱い人は赤く腫れ上がったりする。
     ツルシキミ→ミカン科。秋に赤く熟した丸い実を食べてしまうと、嘔吐や手足の痺れなどの中毒症状が現れる。
     バイケイソウ→ユリ科。山菜のウルイと間違えて食べてしまう中毒事故がある。誤飲すると嘔吐や下痢、神経麻痺などの中毒症状が現れる。』
 
 オーマ→4 (18)
  『さぁ、サンバの始まりです!ノリノリで踊りまくってください!2番前の方と一緒にどうぞ!』
 2番前・・ミスゲシュタルトだ。
 ノリノリでサンバを踊りまくるオーマと・・これまたノリノリで踊りまくるミスゲシュタルト。
 サンバだかなんだかよく分からないものの・・とりあえずノリの良い雰囲気が流れた・・。

 エルダーシャ→5 (13)
  『貴方のお財布を見てみてください・・増えているでしょう?』
 「え・・?お財布・・?」
 エルダーシャは小首をかしげると、しまってあった財布を取り出した。
 開いてみて・・その顔が僅かに輝く。
 「少しだけ増えてる・・!?」
 なんだかちょっと得した気分になった。

 レニアラ→6 (18)
 『さぁ、サンバの始まりです!ノリノリで踊りまくってください!2番前の方と一緒にどうぞ!』
 2番前・・オーマだ。
 まったくもってやる気がなく、ただその場に立ち尽くすレニアラと・・ノリノリで踊りまくるオーマ。
 まったくやる気のなさそうなレニアラとノリノリのオーマ・・。
 「何でこんな所でサンバなんかを踊らなくてはならないんだ?」
 微妙な空気が流れた瞬間だった。

 アルミア→3 (14)
  『貴方は白雪姫です。7人の小人達と一緒に仲良く仕事を・・していますか?』
 グラリと視界が揺れ、目の前に小さな小屋が出現する。
 小屋の前にはカラフルな洋服を身に纏った小さな小人達・・。
 「仲良く一緒に仕事、してるよな?」
 アルミアが微笑みながら、小人達にきいた。
 コクコクと首が吹っ飛びそうなくらいに小人達が大きく頷き、真っ赤なりんごを差し出した。
 ・・・毒りんご・・で、ない事はもはや明白だった・・・。

 ☆ディンブラ→オーマ&レニアラ→アイラス&アルミア→エルダーシャ→ミスゲシュタルト

 〇第五投目

 アイラス→4 (18)
 『さぁ、サンバの始まりです!ノリノリで踊りまくってください!2番前の方と一緒にどうぞ!』
 2番前・・レニアラだ。
 一応それなりに踊ってみるアイラスと・・まったくもってやる気がなく、ただその場に立ち尽くすレニアラ。
 義務ですからとでも言いたげな踊りを見せるアイラスと、まったくやる気のなさそうなレニアラ。
 「だから、何でこんな所でサンバなんかを踊らなくてはならないんだ?」
 微妙な空気が流れた瞬間だった。

 ミスゲシュタルト→1 (13)
 『貴方のお財布を見てみてください・・増えているでしょう?』
 「だから、お財布忘れてきたんだってばー!」
 ミスゲシュタルトは双六に向かって小さくため息をついた。

 ディンブラ→3 (25)
 『奇数の女の子はメイドさんに変身〜っ!』
 「奇数の女の子・・?」
 エルダーシャ、アルミアがメイド衣装へと変身する。
 「・・ディンブラ・・?」
 アルミアの低い呟きに、ディンブラはワザとではないと言う事を全身でアピールする。
 「なんだか、この衣装動きやすいわね〜!」
 そう言ってキャッキャとスカートの裾をヒラヒラさせているのはエルダーシャだ。とっても楽しそうだ。

 オーマ→2 (20)
  『今日はバニーガール日和です!偶数の方、皆さんバニーガールになりましょう!』  
 「え・・?」
 ディンブラに続き、イロモノゾーンに入ってしまったオーマ。
 ポン、ポン、ポンと、軽快な音がして・・白い煙が辺りを包み込んだ。
 ミスゲシュタルト、レニアラ、そしてオーマ自身もバニーガールの姿へと変貌した。
 「な・・なんだこれっ・・!!」
 かなり驚いた様子で自身の体を見ているのはミスゲシュタルトだ。
 しかし・・細身の身体にはバニーガールが良く似合う。足なんかは美脚と言っても過言ではない。
 「・・私も・・か・・?」
 低い呟きを漏らすのはレニアラだ。
 豊満な体にはバニーガールが良く似合う。
 胸元に視線が行ってしまうのは、必然である。
 そして最後、ちょっとあいたたた〜なのがオーマだ。
 「バニーガール・・。」
 愕然とするオーマ・・。
 「まぁ、ここはいっちょ腹黒親父的愛でズギャギャーンとこの世に住まうラブリー親父のハートをこう、がしっと、がしっと!」
 愕然としているのではない、嬉々としているのだった・・。

 エルダーシャ→4 (17)
  『目の前に、枯れかけた鉢植えが見えますね・・?』
 突如エルダーシャの目の前に、小さな鉢植えが現れた。
 その中の花は茶色く元気がない。・・水が足りていないのだ。
 エルダーシャは直ぐにコップに水を汲むと、花へと注いだ・・。
 その瞬間、鉢植えから光が走り・・花の中から何か小さなものが飛び出した。
 『初めまして、ご主人様。わたくしの名前はカスミソウ。カスミソウの精でございます。』
 「えぇっ・・?」
 『この鉢植えを助けてくださり、どうもありがとう御座いました。お礼に、わたくしが誠心誠意尽くしてご主人様のお世話をさせていただきますわ。』
 「ご主人様じゃなくて、エルダーシャよ。」
 『・・ふふ、エルダーシャ様・・ですね。それでは、なにかありましたら何なりとお申し付けくださいませ。』
 カスミソウの精はそう言うと、テーブルの上に置かれた小さなケースへと入って行った。
 (カスミソウの精を入手)

 レニアラ→6 (24)
  『さぁ、貴方はサーカスの熊です!玉乗りをしてください!』
 「玉乗り・・??」
 ボンっと鈍い音がして、レニアラの身体の周りに白い靄が立ち込める・・。
 なんだか嫌な気がしてみてみると・・いつの間にかもじゃもじゃの茶色い毛が身体全体を覆っていた。
 実際には、ただ着ぐるみを着せられた状態だったのだが・・。
 目の前に大きくカラフルな玉が転がってくる。
 ・・これに、乗れと言うのだ。
 レニアラはひょいと玉の上に乗ると、バランス良く玉の上で歩いた。
 これはサーカスの熊とどっこいどっこいか、それ以上の上手さだ!外野からも大きな拍手が巻き上がる!
 ・・もちろん、玉乗りを上手いと褒められても、どこか素直に喜べない所があったが・・。

 アルミア→5 (19)
  『本日は暑いですね〜。』
 「・・これは・・。」
 何かを言いかけたアルミアの背後から、猛烈に暑い熱風が吹き込んできた。
 ・・なんなんだこれはと、困惑する一同をよそに何処からとも無く熱風が吹き荒れる。
 “暑いですね〜”なんてレベルではないっ!
 サウナ以上だ!南の島以上だ!!
 ・・うだるような暑さの中、それでも一同は双六に向かい合った・・。

 ☆ディンブラ→レニアラ→オーマ→アルミア→アイラス→エルダーシャ→ミスゲシュタルト

 ●第六投目

 アイラス→6 (24)
  『さぁ、貴方はサーカスの熊です!玉乗りをしてください!』
 「玉乗り・・??」
 ボンっと鈍い音がして、アイラスの身体の周りに白い靄が立ち込める・・。
 なんだか嫌な気がしてみてみると・・いつの間にかもじゃもじゃの茶色い毛が身体全体を覆っていた。
 実際には、ただ着ぐるみを着せられた状態だったのだが・・。
 目の前に大きくカラフルな玉が転がってくる。
 ・・これに、乗れと言うのだ。
 アイラスはひょいと玉の上に乗ると、バランス良く玉の上で歩いた。
 これはサーカスの熊とどっこいどっこいか、それ以上の上手さだ!外野からも大きな拍手が巻き上がる!
 ・・もちろん、玉乗りを上手いと褒められても、どこか素直に喜べない所があったが・・。

 ミスゲシュタルト→4 (17)
  『目の前に、枯れかけた鉢植えが見えますね・・?』
 突如ミスゲシュタルトの目の前に、小さな鉢植えが現れた。
 その中の花は茶色く元気がない。・・水が足りていないのだ。
 ミスゲシュタルトは直ぐにコップに水を汲むと、花へと注いだ・・。
 その瞬間、鉢植えから光が走り・・花の中から何か小さなものが飛び出した。
 『初めまして、ご主人様。わたくしの名前はカスミソウ。カスミソウの精でございます。』
 「えぇっ・・?」
 『この鉢植えを助けてくださり、どうもありがとう御座いました。お礼に、わたくしが誠心誠意尽くしてご主人様のお世話をさせていただきますわ。』
 「ご主人様じゃなくて、ミスゲシュタルト ジェイドだよ。」
 『・・ふふ、ミスゲシュタルト様・・ですね。それでは、なにかありましたら何なりとお申し付けくださいませ。』
 カスミソウの精はそう言うと、テーブルの上に置かれた小さなケースへと入って行った。
 (カスミソウの精を入手)

 ディンブラ→2 (27)
 『レッツ社交ダンス!前の番号の人と一緒に社交ダンスを踊ってください!』
 前の番号・・ミスゲシュタルトだ。
 「ほな、レッツ社交ダンスや!」
 ニカっと微笑むと、ミスゲシュタルトの手を、ディンブラが引き寄せた。
 ・・ディンブラが男性役で、ミスゲシュタルトが女性役だ。
 息の合ったステップで、華麗に踊る。
 戸惑いながらもステップを踏むミスゲシュタルトをディンブラがリードする。
 華麗な音楽まで聞こえてきそうなステップに、一同が拍手で賞賛した。

 オーマ→6 (26)
 『休憩タイム。双六!自慢のお茶を、さぁ、御賞味あれ!』
 オーマの目の前に、湯気の立つ白いカップが置かれている。
 漂ってくる香りは甘く、それでいてほろ苦い。
 オーマはそっと珈琲カップを持つと、一口だけ口に含んだ。
 甘い香りが口の中で広がり、全身に解け広がる・・。
 「これは・・。」
 オーマはそっと呟くと、うっとりと目を閉じた。

 エルダーシャ5 (22)
  『ドキワク☆知能テストー!“毒草を三つ以上答えなさい!”』
 「また毒草・・?」
 エルダーシャが困惑しながらも、右手の指を折々宙に視線を彷徨わせる。
 「アイリスでしょう?アマリリスでしょう?ルピナスでしょう、プリムラ、シクラメン・・。」
 ポンポンと出てくる毒草の名前に、双六がたまらず正解の音を鳴らす。
 「・・先ほどに引き続き・・なんでそんなに知ってるんだ・・?」
 レニアラが先ほど同様に警戒心を含んだ瞳をエルダーシャに向ける。
 「・・さぁ・・?」
 ケロリンと言ってのけるエルダーシャの顔を、穴が開くほど見つめる・・。
 『補足:アイリス→アヤメ科。毒部分は全草、根茎、樹液。症状は皮膚炎、嘔吐、下痢、胃腸炎。
     アマリリス→ヒガンバナ科。毒部分は球根、花、葉。症状は嘔吐、下痢、血圧低下、肝障害。
     ルピナス→マメ科。毒部分は全草、種子。症状は嘔吐、心臓麻痺。
     プリムラ→サクラソウ科。毒部分、葉。症状は皮膚炎、かぶれ。
     シクラメン→サクラソウ科。毒部分、根茎。症状は皮膚炎、嘔吐、下痢、痙攣、胃腸炎。』

 レニアラ→4 (28)
  『貴方から後3人目の人の物まねをしてください!』
 後3人目・・。
 ミスゲシュタルトだ。
 レニアラはちらりとミスゲシュタルトに視線を投げると、眉根を寄せて双六を見つめた。
 「そんな事をして、何になる?」
 ・・・何になるのだろうか。
 双六が観念したように、正解の音を出す。
 しかし、その音はまったくもって場違いだった。
 
 アルミア→1 (20)
  『今日はバニーガール日和です!偶数の方、皆さんバニーガールになりましょう!』  
 オーマ同様、あの魅惑のゾーンにはまってしまったアルミアだが・・既に偶数の面々はバニーガールへと変身している。
 なので、何も起こらなかった。

 ☆レニアラ→ディンブラ→オーマ→アイラス→エルダーシャ→アルミア→ミスゲシュタルト

 〇第七投目

 アイラス→2 (26)
 『休憩タイム。双六!自慢のお茶を、さぁ、御賞味あれ!』
 アイラスの目の前に、湯気の立つ白いカップが置かれている。
 漂ってくる香りは甘く、それでいてほろ苦い。
 アイラスはそっと珈琲カップを持つと、一口だけ口に含んだ。
 甘い香りが口の中で広がり、全身に解け広がる・・。
 「美味しい・・。」
 アイラスはそっと呟くと、うっとりと目を閉じた。

 ミスゲシュタルト→6 (23)
  『お財布を見てください!ミラクルイリュージョンが起こっています!』
 「・・だぁかぁらぁ、お財布忘れたんだってば・・。」
 何度言っても分らない双六だ。
 ミスゲシュタルトは盛大なため息をついた。

 ディンブラ→1 (28)
  『貴方から後3人目の人の物まねをしてください!』
 後3人目・・。
 レニアラだ。
 ディンブラはゆるゆるとレニアラを見つめ、僅かばかり考え込むと・・すっと視線を落とした。
 「そんな事をして、何になるんだ?」
 ・・・!!
 なんとまぁ、そっくりな事だ・・!
 おぉっと声をあげる一同を尻目に、レニアラが冷たい視線を送る。
 ディンブラが、ふいと視線を逸らした。
 その顔は、さながら蛇に睨まれた蛙だった・・。

 オーマ→2 (28)
  『貴方から後3人目の人の物まねをしてください!』
 後3人目・・。
 アルミアだ。
 オーマはじっととアルミアを見つめ、僅かばかり考え込むと・・ガバリと席を立った。。
 「腹黒親父同盟No16の名にかけて・・」
 「私は腹黒親父同盟ではないっ!そもそも、それはオーマだろうがっ!」
 アルミアが椅子を蹴って立ち上がり、オーマに猛然と抗議をする。
 その後で、双六が思いっきり正解の声を上げる・・。
 「おいっ!それで良いのか!?」
 ・・多分良いのである。

 エルダーシャ→6 (28)
  『貴方から後3人目の人の物まねをしてください!』
 後3人目・・。
 アイラスだ。
 エルダーシャはゆるゆるとアイラスを見つめ、僅かばかり考え込むと・・さっと身を翻して椅子から降りた。
 「えぇっと・・それは僕の何の真似でしょうか・・?」
 「さっきのよ〜!」
 困惑顔のアイラスに、満面の笑みでエルダーシャがかえす。
 さっき・・さっき・・。
 「あぁ、あの金盥の時の・・。」
 ミスゲシュタルトの呟きに、アイラスがあぁっと、納得の表情を見せた。

 レニアラ→5 (33)
 『スクワットタイム!男の子なら女の子、女の子なら男の子の一番軽い子を抱っこしてスクワットを十回してね!女の子で、力ないって子は双六を持ってスクワットしても可!』
 「・・なんやこれ、めちゃくちゃやなぁ。」
 「そもそも・・女の子が男の子を抱っこって時点で何か間違ってる気がする・・。」
 ディンブラとミスゲシュタルトが眉根を寄せる。
 「仕方がない。」
 そう言いながら双六を持ち上げようとしたレニアラの手が止まった。
 「・・どうしたんだ?」
 オーマが怪訝な顔でレニアラを見つめる。
 「重い・・。」
 「えぇ・・?どれどれ・・・本当だ・・。」
 持ち上げようとしたエルダーシャも、げんなりとした顔つきで双六を下ろす。
 「そぉですかぁ?最初は重くなかったはずなんですけど・・。」
 ティリアスが遠くの方からケロリとそう言うが・・その瞳は全てを知っているかのように輝いている。
 「そんなら、男の子で一番軽い・・。」
 すーっと、レニアラの視線が椅子の上でチョコリと座ってと成り行きを見ていたミスゲシュタルトへと注がれた。
 他の面々の視線も、ミスゲシュタルトの上で止まっている。
 「・・・え?オレ・・??」
 この中で見た目的に一番軽そうなのはミスゲシュタルトだ。
 「う〜ん・・わかった。」
 コクリと大きく頷くと、ミスゲシュタルトはレニアラの元へと走った。
 レニアラが抱きとめ、力強くスクワットをする。
 「礼を言う。」
 「へへ、どーいたしまして!」
 ミスゲシュタルトはそう言って微笑むと、自席へと戻って行った。

 アルミア→2 (22)
 『ドキワク☆知能テストー!“毒草を三つ以上答えなさい!”』
 「毒草か・・?」
 アルミアは困惑しながらも、宙に視線を彷徨わせる。
 「・・毒草・・毒草・・。」
 「それが普通の反応だな。」
 レニアラがポツリと呟き、先ほどスラスラと答えられた2人の視線を向ける。
 それから約数十分、アルミアはなんとか毒草を3つ言いきった。

 ☆レニアラ→ディンブラ&オーマ&エルダーシャ→アイラス→ミスゲシュタルト→アルミア

 ●第八投目

 アイラス→1 (27)
 『レッツ社交ダンス!前の番号の人と一緒に社交ダンスを踊ってください!』
 前の番号・・アルミアだ。
 「ご一緒願えますか?」
 アルミアが頷き、その手をアイラスが引き寄せた。
 ・・・アイラスが男性役で、アルミアが女性役だ。
 息の合ったステップで、華麗に踊る。
 戸惑いながらもステップを踏むアルミアをアイラスする。
 華麗な音楽まで聞こえてきそうなステップに、一同が拍手で賞賛した。

 ミスゲシュタルト→5 (28)
  『貴方から後3人目の人の物まねをしてください!』
 後3人目・・。
 エルダーシャだ。
 ミスゲシュタルトはじっとエルダーシャを見つめ、僅かばかり考え込むと・・さっと身を翻して椅子から降りた。
 「えぇっと・・それは・・何?」
 「さっきのマネだよ!」
 さっき・・さっき・・。
 「先ほど僕のマネをした時のマネ・・でしょうか・・??」
 「そうだよ!」
 ・・アイラスのマネをするエルダーシャのマネ・・。
 根本的に何かが違うような気もするが・・双六からの正解音がそれで良いのだと、そっと告げていた。

 ディンブラ→3 (31)
  『お財布の中を見てください。ちょこっとですが、ほんのお気持ち程度に。』
 ディンブラはすっとお財布の中を見た。
 なんと・・!!!
 『少しだけ』増えているではないかっ!!
 なんだか少しだけ得した気分だった。

 オーマ→5 (33)
 『スクワットタイム!男の子なら女の子、女の子なら男の子の一番軽い子を抱っこしてスクワットを十回してね!女の子で、力ないって子は双六を持ってスクワットしても可!』
 「・・ここか。」
 オーマはそう呟くと、隣に座っていたエルダーシャをひょいと持ち上げた。
 「え・・?あ・・わわわっ・・!!」
 「すまないが、ちょーっと付き合ってくれや。」
 オーマはそう言ってニカっと笑うと、エルダーシャをお姫様抱っこをしたままスクワットを十回、難なくやってのけた。

 エルダーシャ→4 (32)
 『この部屋に爆発物が隠されてマース。さぁ、直感でドーゾ!』
 「また爆発物ネタかぁ・・。」
 エルダーシャは少々困ったように眉をひそめたが・・本当に勘でぱっと指差した。
 その瞬間、まったく別方向から爆発音が響いた。
 モチロン、白山羊亭の破壊行為の無効を自称魅惑の妖精さん願っただけあり・・ただ“爆発音だけ”が響いたのだが・・。

 レニアラ→5 (38)
  『今日は寒いですね〜。』
 ・・暑いに引き続き、今度“寒い”だ。
 レニアラの背後から強烈な冷気が襲う・・が、未だに暑い部屋には丁度良いそよ風だった。
 つまり・・プラスマイナスゼロだ。

 アルミア→5 (27)
  『レッツ社交ダンス!前の番号の人と一緒に社交ダンスを踊ってください!』
 前の番号・・レニアラだ。
 「よろしく。」
 アルミアは一言そう言うと、すっと手を差し伸べた。
 ・・アルミアが男性役で、レニアラが女性役だ。
 最初から華麗なステップを見せる2人・・。
 なんだか2人の背後にシャンデリアと赤絨毯が見える・・・。
 これには拍手喝采だ。
 どこかの舞踏会でも見てきたような気分だ。

 ☆レニアラ→オーマ→エルダーシャ→ディンブラ→ミスゲシュタルト→アイラス&アルミア

 〇第九投目

 アイラス→6 (33)
 『スクワットタイム!男の子なら女の子、女の子なら男の子の一番軽い子を抱っこしてスクワットを十回してね!女の子で、力ないって子は双六を持ってスクワットしても可!』
 「・・ここ・・ですか。」
 アイラスは小さくそう呟くと、ぐるりと女性一同に視線を向けた。
 「お勧めはエルダーシャだ。」
 「同じく。」
 アルミアとレニアラがエルダーシャをチラリと見ながら言う。
 「・・そうですね、それでは・・。」
 アイラスはすっとエルダーシャに手を差し伸べた。
 「さっき、オーマさんにもされたし・・慣れちゃったわ〜。」
 ニッコリと微笑みながらそう言うと、エルダーシャは先ほど同様姫抱っこをされた。
 アイラスも難なくスクワットをしてのけた。

 ミスゲシュタルト→6 (34)
  『さぁ、元素記号!5個以上は答えてください!』
 「“げんそきごう”ってなに・・?」
 首をひねるミスゲシュタルトに、数人が首をひねり数人が心の中でいくつかの元素記号を思い描いた。
 「元素記号って言うのはですね〜、元素の記号ですよ〜!」
 やや遠くからティリアルがミスゲシュタルトに助言する。
 しかし、まったく意味を持たない助言なだけあって、ミスゲシュタルトを更に迷宮へと突き落とした。
 「げんその記号・・??」
 考え込みながらブツブツと呟くミスゲシュタルトの背中が、とても愛らしかった・・。

 ディンブラ→4 (35)
 『目の前で小さな女の子が泣いています!』
 グニャリと視界が歪み、目の前に何処かの街角の風景が広がる。
 真っ白なワンピースを着た女の子が目の前でシクシクと泣いている・・。
 ディンブラはその子にそっと近づくと、そっとその頭を撫ぜた。
 「どうしたん?」
 「ひっく・・えぇっく・・。だ・・だって・・。」
 「ん?言うてみ?」
 「ころ・・転んじゃったんだも・・っ・・。」
 女の子はそう言うと、顔を上げた。
 確かに、足から血を流している。座り込んでしまった女の子と視線を合わせるように屈むと、ディンブラはポケットから絆創膏を取り出して傷口にはった。
 「ほな、これで大丈夫や!これはっとたら、すぐ治る・・だから、元気だしぃや。」
 「・・ありがとう・・お兄さん。」
 少女は泣くのをやめ、顔を上げるとディンブラに向かって満面の笑みを向けた。

 オーマ→3 (37)
 『大変です!上から鉛球がっ・・!!』
 「鉛球だって・・?」
 オーマが、さっと上を見上げる・・。
 そこには巨大な鉄の塊がデンと構えていた。
 丁度お誕生パーティーとかでわる須玉と同じくらいの大きさだ。
 可もなく不可もなく、大きすぎず小さすぎず・・。
 段々と近づいてくる鉛玉・・オーマはすぐに脇に退くと何とか鉛玉をやり過ごした。
 「ふ〜、あぶねぇあぶねぇ。」
 そうは言っているものの、余裕のある動きだった。

 エルダーシャ→5 (37)
 『大変です!上から鉛球がっ・・!!』
 「鉛球?さっきのオーマさんと一緒ね・・!?」
 エルダーシャが、さっと上を見上げる・・。
 先ほどのオーマの時と同様、鉛球がデンと構えている。
 その後に続く惨劇を知っていたエルダーシャは、すぐに脇に退くと何とか鉛玉をやり過ごした。

 レニアラ→2 (40)
  『お財布の中を見てください!・・イリュージョンです!』
 「・・また、財布の中身がなくなっていたりするのか?」
 レニアラはそう言うと、財布を広げた。
 別段、すられたような形跡は・・。
 「ん・・?」
 なんだか札入れの方が膨らんでいる。
 いぶかしみながらお札を引っ張り出すレニアラ。
 目に映る、見慣れぬ肖像がの人物。そして・・印字される“∞”の文字。
 「・・∞札・・?」
 レニアラの言葉に、数人がぱっと顔を輝かし、そして残りの数人がため息をついた。
 「しかし、使えんな。」
 無論、そんなお札なんてないからである。
 レニアラがピっとお札を床に落とした。
 ボトリと落ちた∞札の肖像画の人物が、僅かに笑んだ気がした・・。

 アルミア→6 (33)
  『スクワットタイム!男の子なら女の子、女の子なら男の子の一番軽い子を抱っこしてスクワットを十回してね!女の子で、力ないって子は双六を持ってスクワットしても可!』
 「仕方ない・・。頼めるか?」
 アルミアがすっとミスゲシュタルトにきく。
 「うん、良いよ。」
 コクリと大きく頷くと、ミスゲシュタルトはアルミアの元へと走った。
 アルミアが抱きとめ、力強くスクワットをする。
 難なく十回スクワットをやってのけると、ミスゲシュタルトをおろした。

 ☆レニアラ→オーマ&エルダーシャ→ディンブラ→ミスゲシュタルト→アイラス&アルミア

 ●第十投目

 アイラス→5 (38)
  『今日は寒いですね〜。』
 ・・暑い寒いに引き続き、今度“寒い”だ。
 アイラスの背後から強烈な冷気が襲う・・丁度良かった温度が、一気に寒くなる。
 つまり・・プラスマイナスマイナス=マイナスだ。

 ミスゲシュタルト→3 (37)
 『大変です!上から鉛球がっ・・!!』
 「鉛球?さっきのだね・・!?」
 ミスゲシュタルトが、さっと上を見上げる・・。
 先ほどのオーマ、そしてエルダーシャの時と同様、鉛球がデンと構えている。
 その後に続く惨劇を知っていたミスゲシュタルトは、すぐに脇に退くと何とか鉛玉をやり過ごした。

 ディンブラ→6 (41)
  『カインとアベル・・知っていますか?』
 「カインとアベル・・?って、あの花屋んとこのチビ2人やろ?」
 双六が正解の音を鳴らし、ディンブラは一つだけ頷くと言葉を紡いだ。
 「ほんま、あそこのチビ2人はようこっち寄ってきてなぁ。ほんま、疲れんねん。」
 はぁぁっと、盛大なため息をつく。

 オーマ→4 (41)
  『カインとアベル・・知っていますか?』
 「さっきも言ってたが・・花屋のカインとアベルだろ?」
 双六が正解の音を鳴らし、オーマはディンブラの方を向いた。
 「そうそう、あの兄弟は本当にやんちゃで・・将来は腹黒親父同盟加入決定者のリストの最上位に名前が・・」
 「あぁ、分るで!そんな感じやもんなぁ〜!」
 2人はコクコクと頷きあうと、更に2人の話をし続けた。
 ・・花屋のカインとアベルの話でココまで盛り上がれるのも、ある意味愛称としか言いようがない。

 エルダーシャ→5 (42)
 『さぁっ!イリュージョンですっ!』
 「なにかしら〜。」
 気楽に構えるエルダーシャの方を、唖然とした瞳で見つめる一同。
 「あ・・・あ・・あの・・!!」
 パクパクと口を開閉しながらエルダーシャを指し示す、ミスゲシュタルト。
 その顔はなんだか青い。
 「・・なぁにぃ〜・・・?」
 「かみ・・かみ・・かみっ・!!」
 「カミ・・?」
 エルダーシャはハテナマークいっぱいの視線を向けながらも、自分の髪の毛を触った。
 別段変わりは・・。
 サラサラと、髪を手ですく。
 サラサラ・・・サラサラ・・サラサラ・・サラサラ・・サラサラサラサラサラ・・。
 「えっ!!」
 エルダーシャは思わず自分の髪の毛を引っ張った。
 髪の毛は・・エルダーシャの足元まで伸びている!!
 髪の毛が伸びる呪の人形よりも早い伸び具合だった・・。

 レニアラ→2 (42)
  『さぁっ!イリュージョンですっ!』
 先ほどのエルダーシャと同じ所で止まり・・レニアラは諦め顔で髪の毛をそっと撫ぜた。
 サラサラと、流れる髪は長すぎて、何時の間にやら踏んでいたとか・・。
 思わず一句詠んでしまう。

 アルミア→5 (38)
 『今日は寒いですね〜。』
 ・・暑い寒い寒いに引き続き、今度“寒い”だ。
 アルミアの背後から強烈な冷気が襲う・・ただでさえ寒かった気温が、更に降下する。
 つまり・・プラスマイナスマイナスマイナス=マイナスマイナスだ。
 マイナス+マイナスでも、残念ながらプラスにはならない。

 ☆エルダーシャ&レニアラ→ディンブラ&オーマ→アイラス&アルミア→ミスゲシュタルト

 〇第十一投目

 アイラス→3 (41)
  『カインとアベル・・知っていますか?』
 「・・花屋さんの息子さん・・ですよね?」
 双六が正解の音を鳴らし、アイラスはそっと心の中でため息をついた。
 それは・・アイラスが日本で言う“カイン”と“アベル”を知っていたからだ。
 しかし、多分それを言った所で不正解だろう。
 なにせここでの正解は花屋のカインとアベルなのだから・・。

 ミスゲシュタルト→6 (43)
  『ゴール前に、ちょっと休憩しませんか?ケーキとお茶をお出ししますので!』
 グニャリと目の前の景色が歪み、真っ白な丸いテーブルが出現する。
 その上には香ばしい香りを放つコップと、真っ白でふわふわなケーキが置かれていた。
 「うわぁ〜!美味しそう!」
 ミスゲシュタルトはそう言うと、席についてケーキとお茶を楽しんだ。

 ディンブラ→3 (44)
  『ゴール!』

 オーマ→4 (44)
  『ゴール!』

 エルダーシャ→5 (44)
  『ゴール!』

 レニアラ→3 (44)
  『ゴール!』

 アルミア→2 (40)
  『お財布の中を見てください!・・イリュージョンです!』
 レニアラに続いてそのマスに止まったアルミアは、少しだけ諦めたような表情を浮かべながら財布を開いた。
 ・・全て∞札になっているお財布の中。
 まったくもって用途のない∞札は、持っているだけ重かった・・。

 ☆ディンブラ→オーマ→エルダーシャ→レニアラ→ミスゲシュタルト→アイラス→アルミア

 ●第十二投目

 アイラス→4 (44)
  『ゴール!』

 ミスゲシュタルト→2 (44)
  『ゴール!』

 ディンブラ
 (ゴール済み)

 オーマ
 (ゴール済み)

 エルダーシャ
 (ゴール済み)

 レニアラ
 (ゴール済み)

 アルミア→6 (44)
  『ゴール!』

 ☆ディンブラ→オーマ→エルダーシャ→レニアラ→アイラス→ミスゲシュタルト→アルミア

□双六終了の後

 「お・・終わった・・。」
 わけの分らない疲労感でいっぱいになった一同は、グッタリと机の上に身体を預けた。
 白山羊亭が破壊される事も、死人が出なかったことも・・全ては自称魅惑の妖精さんのおかげであった。
 「もし、あれがなかったらどうなってたんだろう・・。」
 ミスゲシュタルトの呟きに、思わず双六の内容を振り返る。
 ・・・まず、白山羊亭は爆破されていた・・。
 「みなさん、お疲れ様です。」
 おずおずとルディアが7つのカップを持ってくる。
 「おおきに〜。」
 「しかし・・結局これはなんだったんだ?」
 レニアラの問いに、一同の視線がテーブルの上に広げられている双六へと注がれる。
 そう言えば、この双六・・『ドキドキ☆人生の縮図のようだよ!大双六大会!【青の書】』と言うのが正式名称だった気がする。
 「・・・こんな人生、ありなのか?」
 アルミアの声が白山羊亭内に響き渡った。
 なしとも言いきれないが・・ありとも言いたくない・・。

 ★エピローグ

 双六終了後に、エルダーシャはそっと白山羊亭を出た。
 その手には脱呪符と言う怪しげな符と、小さなケースが握られていた。
 脱呪符付属の説明書を読むと・・どうやら呪いや災いを受けた時、それを無効にする事の出来るアイテムらしい。
 使用法はいたって簡単で、符を呪を受けた相手の目の前に掲げ『中和せされよ災いの黒い影!』と唱えるだけ。符が呪、災いを吸い取ってくれるらしい。
 しかし、もし『強化せされよ災いの黒い影!』と叫んでしまった場合・・・。唱えた通り、災い、呪は強化されてしまうらしい。
 最後に注意書きとして『悪戯に言い間違いはしないようにしましょう』と書かれている。
 コレの使い道は、いまだない・・。
 それ同様に、ケースの中で眠っているカスミソウの精も・・どうしたら良いのか、エルダーシャには分らなかった。
 「エルダーシャっさん。」
 不意に背後から名前を呼ばれ、エルダーシャは振り返った。
 そこには、ティリアスが微笑みながら手を振っていた。
 「・・ティリアスちゃん・・。」
 「は〜い、そうでぇす。」
 「どうしたの?」
 「いえ、ただちょっと・・こんな話をご存じないかなぁと思いまして。」
 「どんな話・・?」
 「呪いの双六って・・知ってます?」
 すっと、ティリアスの瞳から笑顔が掻き消えた。
 もちろん・・その顔はいまだ微笑んでいた。
 瞳だけが異常なまでに強い気を発しているのだ。
 「いいえ、知らないけれど・・。」
 「そぉですか。それなら良いんです。」
 ニコっと、ティリアスは微笑むとエルダーシャに背を向けた。
 「ねぇ・・それって・・。」
 「ソレをやると、死んでしまうんですよ。マスの魔によって。けれど・・書き換えは可能なんです。書き換えた者と近い関係にある者ならば・・。」
 振り向いた、ティリアスの表情からは笑みは消えていた。
 思わずゾっとしてしまうほどに・・さっきを含んだ表情で、じっとどこか遠くを見つめている。
 「書き換えを有効にするためには、それを実行しなくてはなりません。」
 「だから、私達に双六をさせたの?」
 ティリアスが微笑み、エルダーシャの瞳を正面から受け止める。
 その笑顔は、エルダーシャの推測を全て肯定しているかのようだった。
 「今のは、ただの噂話です。」
 「・・そう・・ね・・。」
 「それでは・・またご縁がありましたらお逢いいたしましょう。」
 ティリアスはヒラヒラと手を振ると、今度こそ本当に人ごみの中へと去って行った。
 「また・・かぁ・・。」
 エルダーシャの小さな呟きは、風に揺られて掻き消えた。


   〈END〉


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

  1649/アイラス サーリアス/男性/19歳/フィズィクル・アディプト&腹黒同盟の2番

  2545/ミスゲシュタルト ジェイド/男性/15歳/精霊召喚士(ミドルクラス)

  2449/ディンブラ ティー/男性/999歳/精霊使い兼盗賊

  1953/オーマ シュヴァルツ/男性/39歳/医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り

  1780/エルダーシャ/女性/999歳/旅人/魔法遣い/2号店店長

  2403/レニアラ/女性/20歳/竜騎士

  2524/アルミア エルミナール/女性/24歳/ゴーストナイト

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■         ライター通信          ■
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 この度は『双六!【青の書編】』にご参加いただきありがとう御座いました。
 ライターの宮瀬です。
 なんだかとてつもなく長くなってしまい申し訳ありませんでした。
 今回、新しいジャンルの小説に挑戦してみようと思い執筆いたしましたが・・。
 実際にサイコロを転がしながら執筆すると言うのは楽しく、先が見えないという点ではハラハラしたりもしました。
 色々なアクシデントが重なっての執筆でしたが、如何でしたでしょうか??
 コメディー仕立てですが、エピローグだけは少しシリアスを組み込みました。
 双六の謎についてほんの少しだけ触れております。
 ティリアスは何者なのか、双六の呪いとは・・。
 今後の双六で徐々に徐々に解明していきたいと思っております。

 エルダーシャ様
  初めまして、ご参加ありがとう御座います。
  エルダーシャ様は、可愛らしく、可憐にと思いながら描きましたが・・如何でしたでしょうか?
  脱呪符とカスミソウの精・・本当はちゃんと使うべきマスが用意されていたのですが・・。
  何ら使い道はなさそうですが(特に脱呪符が)・・どうか貰ってやってくださいませ。

  それでは、またどこかでお逢いしました時はよろしくお願いいたします。