<PCシチュエーションノベル(ツイン)>


再 嘆きの海

 ――潮風が肌に心地良い。
「ん〜〜〜〜っ」
 早朝の海上で大きく伸びをしながら、C・ユーリはゆっくりと世界を照らすために昇ってきた太陽を目を細めつつ見上げた。
 スリーピング・ドラゴンII世号の甲板でのこの時間は、ユーリが大切にしているもののひとつ。
 もう少しすれば、朝食や1日の始まりの準備に慌ただしくなる、その直前の雰囲気。
「陸の上も悪くないけど、こっちの方が性に合ってるかな〜」
 がし、と足にしがみ付く感触に下を見れば、起き出して来たたまきちの姿があり。
「おはよう」
 次第にざわざわと船員たちの声が上がって来るのを聞きながら、ひょいと腕に小さなドラゴンを抱え上げた。

 そんな、日常。
 いつまでも続いて欲しいと願う世界は、

「――何か変なのが近づいて来ます!」

 その一言で急変した。

「何が近づいて来てるって?」
 船員のひとりに案内させながら、足早に甲板上を移動するユーリ。
 ――ぞくり、と。
 一歩一歩近づく度に、何かひんやりしたモノが背中を撫でる。
 海上で不思議に出会う事は、無いでは無い。普段は滅多に怖がる事のない海賊とて感情はあるのだから、何かどうしようもない力を感じた時には怯える事もある。
 だが、これは。
 不安と言う2文字を表情に浮かび上がらせている船員たちの視線の先にあるもの。
「…船、だね」
 何かを感じ取ったのか、たまきちがぎゅぅとユーリにしがみ付いてくる。
 それは、忌まわしいもの。
 それは、忌避すべきもの。
 ――それは、巨大な棺桶――鉄かそれ以上の金属で出来た船だった。
「どのくらいの速度で近づいてきてる?」
「非常にゆっくりですが、しかし…」
 言いよどむ男の表情を見れば、何を言いたいのか、聞かずとも分かる。
 一刻も早く、『あれ』から離れたいのだ。
 目に見えなくなる位置まで、逃げたいのだ。
「風は」
「向かい風、風速は――です」
「よし、急速旋回、帆を出して『あれ』から距離を取れ。いっそ港へ移動しても構わない。念のため漕ぎ手も用意して事に当たれ」
「了解しました!」
 あの『船』の誰かが、スリーピング・ドラゴンII世号を見つけたのか。
 確実にこの船を目標にしたと思われる動きで…獲物を見つけた獣のような執拗さで、じわじわと近づいて来る。
「…先ほどよりも『あれ』の速度が上がったようです」
 逃げるに合わせて速度を速めたのか、船員の1人が嫌そうな顔をしつつ報告した。

*****

 そんな奇妙な追いかけっこが急展開を迎えたのは、もうじき港が見えるかと言うそんな時。いつもの場所に来た事で、ほんの少し気が緩んだのかもしれない。
「ほっ、報告!『あれ』が急に速度を上げて来ました!このままでは港へ着く前に追いつかれます!!」
 ざわっとその言葉で、船員たちに動揺が走る。
「とりあえず落ち着いて。――何か仕掛けてくる様子は?」
「それはありませんが…」
 他の者に持ち場を離れないよう、そして早く港へ着くよう頑張れと指示を出しておいて、船員のひとりと急ぎ甲板に向かう。
 そして…息を呑んだ。
 ぐんぐん近づいて来るその船は、あれが船だとすれば、ユーリたちの乗る船がまるで手漕ぎボートのような大きさの違いを見せ付けている。
 しかも、その船の見た目からして、間違いなく…。
「…軍隊用、ってところかな…」
 無骨さがただの鉄の塊になるのをぎりぎりのところで抑えたような、そんな戦艦の姿を見上げて――既に、見上げなければ上が見えない場所まで近づいていた――ユーリが呟く。
 その、ほぼ直後。
 ――――!?
 鉄の棒を背骨に突き刺されたような、そんな異様な感覚に囚われたユーリの視界を、ありえないものが通り過ぎた。
「わ、わああああッッ!?」
 それはロープのように見えなくも無い、が、明らかな金属。それが生き物のようにユーリの隣にいた船員を捕らえようと、『船』から伸ばしている。
「こらこら、僕の身内に手を出しちゃ、いけない、なっ!」
 すかさずユーリが伸ばしたアームが、船員に絡みつく前の『それ』を捕らえ、アームに内臓した鉈を振るう。
 ぎぃぃぃぃっっ!
 金属と金属が擦れ合う耳障りな音、そして。
「!?」
 ユーリの顔色が、その場にへばってユーリを見詰めていた船員の顔色が蒼白になった。
 ユーリの『鉈』が、ぞぶりと『縄』の中に溶けていったのだ。
 慌てて鉈部分の切り離しを試みるも、その時にはすぐ近くまで近づいていた目の前の船から、幾本もの金属のロープが飛び出してユーリの身体を捕らえ、補食しようとするようにふわりとその身体を持ち上げる。
「船長ッッ!?」
「――行けッ、今こいつらは僕ひとりに集中している、この場を離れるなら今だ!」
「そ、そんな」
「大丈夫さ、僕なら。たまきちを頼むよ、それから――彼女に」
 心配をかけないように、黙っておいて――そう言う前に、ユーリの身体は高く浮き上がり、巨大な戦艦の中へと消えて行った。
 直後、
 どおおおん……っ!
 ユーリが取り込まれた辺りの窓が、爆音と共に弾けとんだ。
 そして――気付けば、『あれ』はこれ以上スリーピング・ドラゴンII世号を追う事をやめ、その姿は港へ必至に向かう船員たちの目から次第に離れて行ったのだった。

*****

「姐さんっっ!!!!」
 つぶらな瞳のちびドラゴンを抱いたまま、1人の男がとある男が経営する病院の中へと飛び込んで来た。
 診察を待つ近所の住人が驚いたような顔をする中、居住部分へと真剣な顔をして足を進めて行く。
「どうしたの」
 そこに、今起きたばかりにしてはきちんと身なりを整えた…ユーリの部下である船員たちに『姐さん』と呼ばれているユンナが、ひょこんと顔を出す。だがその表情はどことなく固く、男を目にした途端、何故だか納得したように目を細めた。
「た、た、大変です、お頭が縄に捕まって変な船に!」
「――とりあえずこっちに来て」
 そのままでは診察を待つ人たちの目を気にしながら話をしなければならない。そう考えたユンナが男を中に招きいれ、出がらしで悪いけど、と言いつつお茶を出す。
「聞かせて。ユーリがどうかしたの?」
 ごくごくと一気に飲み干した男がほーっと息を吐いて、
「今朝の事なんですが」
 不気味で巨大な船が現れた事から、ユーリがその船に連れて行かれるまでを一気にまくしたてた。
「……船…ちょっと待って。その船の見た目を、出来る限り詳しく教えて」
 ユンナの表情は冴えない。
 そして、時々男の説明に口を挟んで詳細の確認をする様子は、ユンナがまるでその船の事を良く知っているかのようだった。
「ユーリがその船に消えてから、まっすぐここに来たの?」
「はい。向こうに消える前に姐さんの事を何か言いかけたようでしたが、どちらにせよ伝えなければと思って」
「そうね、ありがとう。そうしてくれて助かったわ。…時間の問題だもの」
 かたりと立ち上がったユンナがたまきちの頭をそっと撫で、
「必ず連れて帰るから、待っててちょうだいね」
 そう呟いて、きっ、と強い視線をある方向へ向けたのだった。

*****

「うーん。これはまいったねえ」
 ちょっと息苦しくなって来たかなー、そんな事を言いながらユーリがこれで何度目かになる柔らかな金属からの攻撃を避けた。
 最初に連れ込まれた際、ショットガンの連撃で束縛からは逃れたものの、船そのものからは脱出できないまま今に至っている。
 しかも、途中でちらと窓の外を見たところでは、どう言う仕組みになっているのか、この船自体海中に沈んでしまったようだった。
 これでは簡単に外に出る事もままならない。
 ただひとつ言えるのは、これでスリーピング・ドラゴンII世号に対する追尾が消えた…つまり、少なくとも今は船員たちに危害が及ぶ可能性が無くなったと言う事だった。
 それだけでも十分、とユーリがその顔に笑みを刻む。
 自分を犠牲にする気は最初から無い。なんとしてもここを飛び出して、また連中と海の上を闊歩するのが望みなのだから。
 だから、悪い事は考えない。
 泣き言を言う暇があれば、今こうしてユーリに襲い掛かってくる手の形をしたコードの束や、どういう仕組みか砲台に付いた目がぎょろりと動いてユーリを探し回っている、その視界から逃れる方法を探すのみ。
 ――この船は異常だと、ユーリのカンが告げている。
 もちろん見ただけでも分かる異様さは当然あるのだが、それよりも、この理不尽な兵器たち、引いては船そのものの持つまるで生き物のような気配に、思い当たるものがあったからだ。
 ――『具現』。
 ユンナたちのような特殊な能力者が持ち合わせていると言う、無から有を作り出す力。その気配が、この船全体から濃厚に漂っていた。

*****

「…………」
 海の上に『立った』ままで、ユンナが何とも言えない顔で水面を――その下に感じるものを見詰めている。
 船どころか板切れ一枚無い大海原の上に、ぽつんと1人立つその姿を誰か見る者があれば、彼女の底知れぬ力を感じて止まないだろう。
 尤もそれを見る事は叶わない。ユンナはこの海原上、広範囲で船影の無い事を確認してからここに来ていたのだから。
「………」
 仲間相手になら叩く軽口も、1人になれば出る筈も無く。
 きゅっ、と噛んだ唇は、何を思っての事か。
「……ふうっ」
 もう一度、足元を確認するようにじっと水中へ目を凝らし、目標がそこにある事を確認する。
 そして――そのまま、勢い良く海中へと飛び込んで行った。

 ――普段の彼女ならこうした事はしなかっただろう。危険を顧みずに、しかも海中では能力が著しく制限される…いや、封印されると言っても良い状態になる事を知っていながら飛び込むなど、冷静さを要求される位置に長い間居た者であれば正気を疑われても仕方ない。
 …例え、封印しなければならない存在の中に、一般人が紛れ込んでいたとしても、今封印する事が最善の道であるなら、迷わずその道を選ぶ。
 今まではそうして来た。なのに、と自分でも思う。
 口の端から泡が漏れ、遥か上の海面へ上がって行くのを見ながら、ユンナは過去にも見た事のある、対異端用兵器を搭載した戦艦から目を離さないまま対峙した。
 あの時確かに封印した筈の船と。
 そこから感じる具現の波動は、今や変容して混じりあっている。以前ならば、これでもまだ個々の意思すら感じ取る事が出来た。だが今は、それら全てを飲み込んだ『いきもの』が、産声を上げる直前にまで膨れ上がっている。
 鼓動までが聞こえて来そうなほどの巨大な気配に包まれ、押し潰されそうになりながらも、ユンナはユーリが入っているらしき船を睨むように見詰め続けた。
 ユーリがこの船の中にいる事は間違いない。
 ただ、気配が細切れで各所に散らばっているため、本体がどこにいるのかが分からないのだ。
 ――ぞく、と一瞬ユンナの背筋を悪寒が走った。慌てて、一瞬にせよ頭に浮かんだ想像を打ち消す。
 そんな事、あっていい筈が無い。彼が具現に飲み込まれ、融合してしまう事など――。
「……」
 意を決し、ユンナが戦艦を下から見上げる。
 内部に潜り込むしかない。
 一刻も早く連れ出さなければ――想像ではなくなる、と分かっていたからだった。

 ――己が身体に刻まれたタトゥが、淡い輝きを見せている。
 それは、文字通り刻まれたリミッターを外すシグナル。ヴァレルは…こうなる事が分かっていただろうに、いつもの癖で着込んで来なかったため、召喚も出来ず、かと言って取りに戻る暇は無い。おまけに、目の前でとうにユンナの存在に気付いている『船』は、彼女のそうした行動を決して見逃さないだろう。
 水中であるにも関わらず、ユンナの唇から、肺から空気が漏れ出す事は無い。

 タトゥの輝きが次第に強くなって来た、その瞬間。
 弾けるような力と共に、ユンナの姿はその場から消え失せていた。

*****

「――ッ――」
 小さな小さな、押し殺した悲鳴。
 それは、ほとんど封印に近い力の制限を受けた中で無理やり使った事による代償の痛みだった。
 それでも、その代わり、手に入れたものはある。
 未だ戦艦内を無事な姿で逃げ回っている、ユーリの気配を。
「急がなきゃ」
 まだ空気の残る戦艦内を、ユーリの気配を追って駆け出して行く。勿論、こうして内部に侵入したユンナを船が見逃す筈は無く、次々と繰り出してくる飴のように柔らかくなった船の持つ『手』をすいすい踊るように避けながらの行動である。
 だが、それがまさか致命的なミスになるとは、ユンナは気付かないままだった。いや、常の彼女なら気付いたかもしれない。…ユンナ自身気付いていなかったが、彼女は今、『戦地』に於いて著しく冷静さを欠いていた。
 そして。
「…ユーリっ!」
「ユンナ!?何でここに――危ないっ!」
 ――ドンッ、と突き飛ばされた時には。
 ユンナの目の前で。
 見覚えのある義手が、
 ――ずぶり、と壁の中に沈み込んでいく所だった。
 そう。気付いてしかるべきだった。
 見知った者が姿を現せば、鋼の神経を持ち合わせている者でもない限り、そちらに意識を持って行かれてしまうと言う事を。
 ましてや――。
「……ッ」
 ぎりッ、とユンナが唇を噛み締めた。
 自分は何のためにここに来た?
 背後でユンナへ警戒しつつ腕を伸ばそうとしているこの船のことさえ、一瞬忘れてしまう程、ユンナは激昂していた。
 自分自身に。
 助けに来たつもりが、逆に助けられて。
「…おまけに、大事な道具も忘れて来ちゃって」
 きりきり、きりきりと。
 ユンナの心の音が、表へと溢れ出すように。
「情けない――わね」
 その手が、腕が、全身が、軋みを上げて行く。
 ヴァレルを着る事無く、しかも制限を受けた状態での力の発露は、彼女自身『禁忌』として全てのヴァンサーに通達したものだった。
 何故なら、それは、術者自身の存在そのものまでを脅かす力であったから。
 更に、力を使うにはどうしても世界の抵抗を見るこのソーンにあって、それはほとんど絶対的な戒律だった。今、この瞬間までは。
「大切なひとを助けられるのなら、この身を罪業の海に浸したっていい」
 そう、そのくらい、何て事ない――。

 いまや、ユンナの全身が船内にあって激しい輝きを起こしていた。船の『腕』がユンナを捕らえようと伸ばしても、その光に触れた途端その腕は使い物にならなくなっている。
 …知っていた。
 この船の存在を、その中に『いる』者たちの存在を、知っていた。
 知っていて、何も出来なかった。
 この中には、嘗て自分がヴァンサーの承認を与えた者もいるのだろう。
 あるいは、自分で封じ込めたウォズがいるのだろう。
 その全てから目を背けてまで、
 ――どうしても助け出したいひとが、いるのだと。

「ごめん、ね」

 擦れた声が、ユンナの口から漏れた、その後で。

 ――海の上に、光の柱が立った。

*****

 …気が付いた時には、海の上に2人並んでぷかぷか浮いていた。
 どこで手に入れたのか、大きな木の板にしっかりとしがみ付いた形で。
 いや、しがみ付いているのは板にだけではない。
 離れまいとするように、指の1本1本に互いの指で閂をかけて。
 そして――顔を上げたユーリの隣で、真っ白い顔を更に白くして気を失っていたユンナは、ついさっき船で顔を合わせた後に何があったのか、その見事なスタイルを余す所無く表へさらけ出していた。
 つまりはその、生まれたままの姿と言う事で。
「………」
 蒼白な顔色も気になるし、だが顔色をうかがえばそれ以上のものも目に入ってしまうしで、ちょっと困った顔をしながらぷかぷか海上を漂うユーリ。
 そして空を見上げ、
「夜空なら、方角が分かるんだけどねえ」
 誰も聞いていないのに、『自分は何も気にしてませんよ〜』と言う態度を崩さないユーリ。
「……起こすのも気が引けるけど、まあ仕方ないか」
 片腕でユンナを抱え、もう片方の腕を――太陽にきらめく義手を高々と掲げると、
「さあて、野郎ども。ご主人様の、お帰りだぞーーっと」
 帽子の中に仕込んである、緊急用の信号弾用火薬を詰めたショットガンを、反動が彼女にかからないよう気を付けて打ち出した。
 ひゅるるるるるる……
 白い煙が螺旋を描きながらまっすぐ上空へ上がって行く。
 港から、ユーリが消えた方向をしっかりと見張っていれば、もしかしたら見えるかもしれない。そう思って打ち上げたのだが、さあどうなるか。
「ん…ユーリ…」
 名を呼ばれて飛び上がりそうになった。慌てて彼女を見――もとい、無意識に見ようとした顔をぐりんと横に向けて、心の目で彼女の様子を探る…つもりになる。
 失神状態からは脱したらしいが、完全に意識を覚醒したわけではないようだった。
 と言う事は、先ほどの呟きはうわごとのようなものだったのだろうか。
「……」
 自分の名が無意識にでも呟かれると言う事が、何故だかむしょうに嬉しかった。
 だから。
「………」
 他の誰かの名も呟いているらしい彼女の言葉は、ごく意識的に耳の外へと追いやっていた。と言うか絶対に聞くものかと思っていた。

 そして――どのくらい時間が経ったか。
 遠くに見慣れた船影を発見した後で、安堵しつつ手を振り――――そして。

 はっっっっ!!?

 傍らに、まだ目を覚ます様子のないうら若き女性、ユンナの今の姿を思い出して、わたわたと慌てて自分の上着を外し、海の男が危く溺れそうになりながらもなんとか彼女の身体を包む事に成功したその時、
 ぼすん。
 頭の上に小さくて丸くてそこそこ重いものが乗っかってきて、ユーリは人生で何度目かの溺死の一歩手前を体験する事になった。
 と言って、こいつを責めるわけにはいかない。
 少しの間とは言え離れ離れになって、もう離すものかと言う勢いでしっかり頭にしがみ付いている、たまきち――ちいさな仲間の想いを受け止められればこそ。
 そして、
「お頭ーっ、姐さーんっっ」
 恐らく、別れてからずっと海を見続けていたのであろう船員たち。
「…全くもう。なんてお人好しなんだろうね、誰も彼もさ」
 ――キミもね。
 ありがとう、なんて照れくさくて面と向かっては言えないけど。
 過去に拘泥し続けていたら、きっとこんな感情さえ、どこかに置き忘れてしまっていたんじゃないか、そう思いつつ、ユーリはユンナを抱きかかえて我が住み処へと上がって行ったのだった。

-END-