<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>


金糸雀の夢


 穏やかな昼下がり。
 慌しい時間も過ぎ、店内にはゆったりとした時間が流れている。
 談笑するふたり組、杯を傾ける女、読書をしている男、目の前の料理をただ眺める青年。客といえば、それですべてだ。
 窓からは涼やかな葉音が流れ、眠くなるような暖かい日差しが差し込んでくる。
 白山羊亭のウエイトレス、ルディアは欠伸を噛み殺し、料理に手付かずのまま座り込んでいる客へと視線を向けた。
 ――いつまでああしてるつもりかなぁ。
 せっかくの料理もすっかり冷めてしまったことだろう。もったいない、と思いつつも、ルディアは他のテーブルを綺麗に拭くことに専念した。客が食事をする場所だ。綺麗にこしたことはない。
 なので、一瞬反応が遅れた。
「あの」
 ためらいがちな声に気づいたのは、拭き終わった後。振り向くと、なにやら深刻な面持ちで先刻の客がルディアを見つめている。ほとんど睨んでいるといってもいい。
「なんでしょう?」
 予感を覚えながら、ルディアは愛想よく尋ねる。青年の傍らへと移動した。
「あ、あの、お、お願いが……」
「はい」
「たっ、助けてくださいっ!」
「はい?」
 唐突に手を掴まれ、ルディアは驚いたように瞬く。だが、やはり依頼の客だ。
 静かな店内を裂いた叫びに、他の客が不思議そうな、あるいはかすかに不快げな視線を向けてくる。頼み事だと認識したそれぞれの顔には、探るような色が浮かんだ。
 最初からそう言えばいいのに――と思ったのは心の中だけで、ルディアは宥めるように微笑んだ。
「詳しいお話をお願いできますか?」
「は、はい、あの……た、助けてくださ」
「詳しい話をお願いします」
「――はい」
 気のせいか小さくなった青年は、聞き取りにくい声でぼそぼそと話し始めた。
 名はディース。親の後を継いで雑貨屋を経営している。小さい頃からの趣味は読書と散歩。
 すこし前に古本屋で『金糸雀の夢』という題の本を購入し、最近はそれを読むのが日課になっている。眠る前にもその本を読むのだが――すると、必ず夢の中に金髪の娘が現れるのだ。
 美しい娘なので最初こそなんていい夢だ、と思ったのだが、娘は現れるたびに歌を歌い続ける。その内容はよく覚えていないのだが、悲しいやら切ないやらどうしようもない気分になって、毎朝憂鬱な目覚めを迎える。こころなしか、疲労感も溜まっていく。
「……本を読まないようにすればいいんじゃないんですか? 手放すとか」
 ルディアの至極もっともな意見に、ディースは首を振った。
「……な、何度か捨てたんですけど、も、戻ってくるんです。火もつかないし――そばにあると気になって気になって読まないわけにはいかなくて」
 そうすると、眠るたびに娘が現れる。眠らないようにと思っても、どうしても眠くなってしまう。
娘は歌い続け、体は疲弊する――。
「しょ、食欲もなくなって――あ、その、た、食べようと思うんですけど、なんか、その……す、すみませ……」
 その気性は元からなんだろうか。ルディアは内心溜息を漏らした。


【1】

 世辞にも健康的とは言い難いディースを後ろから掴んだ者がいた。抗議の声が上がるより早く、豪快にディースのシャツを奪い取る。露になった上半身には哀れなほど骨が浮き上がっていた。
 ルディアは素晴らしい反応速度で視線をそらし、一拍置いてからようやくディースが目を白黒させる。
「なっ……なん、ななな……ッ」
「まぁまぁ、落ち着け若者よ。うわ、ほっせぇなおまえ。こんなんじゃ立派なラブマッスルにはなれねぇぞ」
 ディースの肩を掴み、強引に己へと向かせながらオーマ・シュヴァルツは遺憾げに片眉を上げた。
二メートルを越える巨躯、目に鮮やかな錦の着物、重そうな鎖飾り、厚い胸板に覗く刺青――心臓の弱い者にはなんとも強烈な姿だ。
 案の定、ディースはただでさえ白い顔から、さぁっ、と血の気を引かせ、恐怖のあまり絶句した。喰われるとでも思ったのだろうか。
「よし、息を吸ってー吐いてー」
 オーマはそんなディースの心境をよそに、どこに隠し持っていたのか――あるいは具現でも使ったのか――聴診器を取り出すと、おもむろにディースの痩せこけた胸に当てた。
 どう反応すればいいのか戸惑うディースに、オーマと談笑していたアイラス・サーリアスがいっそ爽やかな笑顔を向ける。オーマと違って淡い色合いの服に身を包み、眼鏡をかけた姿は知的で穏やかに見えた。
「大丈夫ですよ。この人はこう見えても腕のいい医者なんです。ちょっと刺激的なだけで」
 本当にちょっとかどうか怪しいものだが、突然の事態に思考回路が麻痺していたディースは引き攣った笑みを浮かべる。
 ルディアはすこし気の毒になったが、そう危険もあるまい、と口を噤んだ。
「そういえば、読書と散歩がお好きなんですって? いいですね〜、僕も好きなんです。その『金糸雀の夢』、でしたっけ。面白そうですね」
 のほほんとした口調に、軍服に身を包んだ金糸の女――キング=オセロットが眉をひそめる。
「毎晩憂鬱になるような歌を歌われることの、どこが面白いんだ?」
「えー、面白そうじゃないですか」
 読んでいた本を閉じ、やりとりを眺めていた本男が唇にうっすらと笑みを刷いた。美しい黒の礼服をまとった、黙っていれば絵になるような男だ。
「私もその本には大変興味があります――読んでみたいですね」
「……迷惑な代物にしか思えないが…物好きだな。呪いか祟りか知らないが――それにしては、迂遠か」
「そうですね。まずは情報収集といきましょう。読んでみたいのはやまやまですが、先にできることはやっておかないと」
「私もそれに賛成です。本に関してなら、多少は知識と人脈がありますので――」
 件の本はどこにあるのか、と本男が見やると、ちょうど診察が終わったところだった。
 ふむ、と頷いたオーマは、今度はなにかの小瓶と薄い冊子を取り出して、ディースの手に有無を言わさず押し付ける。
 小瓶には『下僕主夫マニア筋ナイトメアXプロテインドリンク★』と力強い文字で記された怪しいラベルが貼ってあり、冊子には『来たれ腹黒同盟』などというこれまた暑苦しい筆遣いの文字が書かれていた。
 ルディアは再び同情したが、もはやなにも言うまい、の心で沈黙を守る。
「このドリンクは、一度だけ体力気力消耗せずに夢を見ることができるという優れものだ! で、こっちは勧誘パンフな。是非来てくれ。俺はたとえどんなゲテモノだろうと門戸を閉ざすような真似は絶対にしない! ともに熱い大胸筋で語り合おうじゃないか、はっはっは」
 殺される。ディースの今の心境を一言で語るならこれだった。
 できるものなら今すぐこの場を逃げ出したかったろう。
 だが、残念なことにディースの体は恐怖と衝撃に支配されて石のように固まっていた。
「あー、大丈夫ですよ。さっきも言いましたけど、ちょっと刺激的なだけですから〜」
 アイラスが宥めるが、どうも説得力に欠ける。見慣れたことだというように爽やかに微笑んでいるのが、これはまだいいほうだ、と保証しているようで恐ろしかった。
 さすがに同情を覚えたキングが、ためらいがちに口を開く。
「……とりあえず、それは毒ではないのだな?」
「当たり前だ」
「使い方によっては、薬は毒にもなりますけれどね」
 本男の呟きに、ディースがぎょっと目を開いた。
 キングは複雑な息を吐いて、本男を軽く睨む。
「…脅すな、性格の悪い」
「おや。これは失礼」
「でもまぁ、事実ですよね、それ」
「だから大丈夫だって。この俺さまの処方だ。どーんと信じろ!」
 このやりとりでどう安心すればいいというのか。
 ディースは助け舟を求めるようにルディアを見、ルディアは体に染みこんだ癖で見事な営業スマイルを返した。実際、大丈夫だろうと思っている。オーマの処方で心配なことといえば、副作用で暑苦しくなるかもしれない、といった程度だ――のはずだ。
 ルディアの笑顔に安堵したのか、ディースは不恰好な笑みを浮かべた。
「……それで。『金糸雀の夢』は今どこにありますか?」
 本男の問いかけに、ディースは我に返ってきょろきょろと視線を巡らせる。足元に置いた鞄に辿り着くと、慌ててその鞄を取り上げた。危うい手つきで中から一冊の本を掴み出す。
 それは、美しい紅色の表紙に金字で題名が記された優美な本だった。蔓草と花が描かれ、その中で一羽の鳥が羽を休めている。著者名はない。
「失礼」
 ディースから本を受け取り、本男は静かにそれを見下ろした。厚くもなく薄くもなく、手にほどよい重さが与えられる。とりあえず中は覗かず、表紙だけを確認した。手触りもよく、色が褪せた様子も、くたびれた様子もない。
 とても古書の中に埋もれていたとは思えない。
 肌にじんわりと染みるような力を感じ、本男は目を細めた。
「――どうやら私が今まで扱った書籍ではないようですね。それと……微力ですが、魔力を感じます」
「魔力?」
「どういう類のものなのかまでは、わかりませんね。なにかがあるのは間違いないようです」
「そうですか……著者名はなし、と。そういえば、本には詳しいんですよね。この本の噂とか、聞いたことありませんか?」
「……。歌う本があるという話は――ですが、それがこの本かどうかまでは」
 本男は一度手にした書物に関することは忘れない。読んだものならなおさらだ。書物に関する噂も可能な限り記憶に留めてきた。その本男が記憶にないというのであれば、少なくとも表沙汰になったことはないに違いない。曰くつきであればそれなりに騒ぎもあろうに――あるいは、気の遠くなるような長い間多くの書物に埋もれていたのだろうか。
「作品名から調べる……のは難しそうですね。購入されたという店の店主に聞いてみるしかなさそうかな。せめて、前の持ち主のことでもわかるといいんですが」
「そうだな。あとは――内容のことだが。その本にはどういった話が書かれているのだ?」
 キングの視線を受け、ディースは一瞬頬を赤くする。俯き、もごもごと口を動かした。
「え、ええと、その。な、なんていうか……恋愛物? 悲恋っていうか……」
「かいつまんで話してもらえるか」
「は、はいっ」
 登場するのはひとりの美しい娘――生まれながらに不思議な魅力を備え、歌を愛する乙女。平穏な村で育ち、幼なじみの若者と恋をして。ところが幸福な日々の最中、その若者が突然死んでしまう。娘は深い悲しみに囚われ、その姿を哀れに思った男と新たな恋に落ちる。だが、その男も唐突に変死する。その後も娘と関わった男たちが次々と死に、村人たちは娘を魔憑きの娘、災いの娘と呼ぶようになった。暴行を受け、森に追放された娘は悲嘆にくれ、ついには刃を己の胸に突き立てる――。
「……えぇと、そこで話は終わりです」
「くっ、なんて切ない話だ……」
「そうですね。そうですけど、オーマさん、泣かないでくださいよ」
「泣いてねぇよ。俺の熱い魂が悲哀に震えてるのさ」
 ふたりのやりとりに呆れた視線を向け、キングは考えるように指を頤に当てた。
 ――夜毎現れて悲歌を紡ぐ娘。悲嘆にくれて死を選んだ乙女。美しい金髪の。魅力に満ちた柔らかな。
「――亡霊か?」
 キングの呟きに、本男が目を細める。
「さて、どうでしょう――もう少し情報が欲しいですね」
「そう、だな。目的もわからぬわけだし……ああ、そうだ。金糸雀は話の中に出てくるのか?」
「あ、は、はい。えっと……たしか、鳥そのものは出てこなかった、ような――乙女の形容に使われてたかもしれません」
「そうか――」
 金糸雀の夢というのは、その娘の夢、ということだろうか。
「じゃあ、とりあえず僕はその古本屋に行ってみます。ディースさん、場所教えてもらえますか?」
「あぁ、私も行こう」
「はい。よろしくお願いします」
 アイラスはキングに向けてにこりと微笑み、ぼそぼそと語るディースの言葉に頷いてみせる。どうやら本を購入した古本屋はここからそう離れていないようだ。
「おふたりがそちらに行かれるのでしたら、私は知己をあたってみます。職業柄、そちらの人脈は豊富ですので」
 本男は薄く笑い、わずかに逡巡した後、本をディースに返した。名残惜しそうに眉をひそめる。
「本当はそのまま買い取ってしまいたいところですが――調査が終わるまでは預けておきましょう。あなたとなにか繋がりがあるのかもしれませんし、ね」
「は、はぁ……」
 どことなく怯えた様子で、ディースが笑う。
「よぉし、俺もちょっくら出かけてくるわ。集合場所はおまえの家でいいな。どこだ?」
「えっ!? ……あ、いえ、その。ぇ、ええっと――」
 ディースは俯き、つっかえながらも己の住居を明かした。
「んじゃ、おまえは先に帰って待ってろや」
「は、は、はい……」
 ディースは不安げな面持ちで、なんとか頷く。
 話がまとまった様子を見て、黙っていたルディアは慎ましく頭を下げた。
「それでは皆様、ディースさんのことはよろしくお願いしますね」


【2】

 さて、相方がキングとともに古書店へと赴いているそのとき、オーマは見るからに異彩を放つ怪しげな建物の前に建っていた。その建物の、常人であれば近寄るのもためらうような独特の雰囲気は、彼の住処に勝るとも劣らない――いや、やはり彼の住処よりは幾分まともだ。
 当然のことながら、そこに生息している者たちも普通の枠に入らない。
「ちーっす」
 声をかけながら、気安い様子でオーマは扉をくぐる。室内で蠢いていたなにかが、一斉に顔を向けた。
 窓からは黄昏混じりの光が差し込んでいる。明かり取りの窓はいずれも細長く大きいが、巨大な書棚に遮られて、室内は薄暗かった。天井に届きそうなほど高い書棚がいくつも並んでいる。
 立派な机や椅子も並び、書店というよりは図書館に近い。
「あっ、オーマちゃん。いらっしゃぁい♪」
 紙切れのような手をふにゃふにゃと揺らし、桃色表紙の分厚い本が小鳥のような声を上げた。玩具のような小さな足で、とてとてと駆け寄ってくる。題名が書かれているはずの表紙には少女の顔が浮かんでいた。
 背表紙には『夏色の恋』と書かれている。
「おう、来たぜ。相変わらず可愛い奴だな♪」
 うりうり。屈んで恋愛本の頬をつつき、オーマはにかっ、と笑う。本に顔がある、という薄気味悪い状態も、オーマにかかっては愛くるしいものに変わってしまうらしい。
 気づけば、オーマの巨躯に群がるようにわらわらと本たちが集まってきていた。ミステリー、冒険物、ホラー、偉人伝、童話、図鑑、論文集――実にさまざまな分野の本がある。
 そのいずれにも顔があり、手があり、足がある。眼鏡をかけたものや髯を生やしたものまでいる。
 それもそのはず、ここは知る人ぞ知る、ラブマッスルフレンズ人面本軍団の生息地である――正しくは、そのひとつだ。この世界にどれだけ彼らの集まる場所があるのか、解明した者はいない。
「今日はちっと訊きたいことがあってよ」
「なぁになぁに?」
 興味津々に恋愛本が身を乗り出す。
 オーマはその場に腰を下ろし、真剣な顔つきで話し始めた。話に惹かれるように、オーマを囲む輪ができる。
 大仰な身振り手振りはいつものこと。多少の脚色もまぁ、いつものことだろう。
 涙脆い恋愛本や、純粋な童話本、気弱なホラー本などが途中で泣き出したり、怯えて他の本の背に隠れてしまったりする。
「……というわけだ」
「へぇぇえ」
「今までもこういう噂とかあったか?」
 人面本とはいえ本は本。曰くつきだという意味では件の本と同じだと言えなくもない。何か知っていることがあるかもしれない。
「んーと、んんーと。歌う本ってあれだろ。女の怨霊が取り憑いてて、読者を呪い殺すとかっていう」
「ちがうわよ。読んだ男のひとが夢にでてきた女のひとに恋して、恋しくて恋しくて焦がれ死んじゃうのよ」
「えー、だって女の被害者も出たって」
「セイレーンの話?」
「人だよ。人だけど、歌うのが駄目なんだよ。でも好きなの」
「おれが聞いたのは、あれだ。えーと……――封印されたの。昔々に、魔術師かなんかにさ。でもその封印は完璧じゃなくて、っていう」
「封じられたから怒ったの? どかーん?」
「どかーん、よりも、じわじわ〜、のほうが怖くない?」
「めらめら〜」
「やめてよ、縁起の悪い。ふつふつ、とかならいいわ」
 蜂の巣をつついたような騒ぎで、あちこちから声が上がる。緊張感のない会話は、気づけば見事に本題からずれていた。
 オーマは、ふぅむ、と唸る。
「何人か死んでるのは間違いないんだな?」
「そう、そう、そう」
 青ざめた顔で、ホラー本がこくこく頷いた。
「封印されたのか? 本に」
「おれはそう聞いた。死んだ後も悪霊になって被害者を出したから、ある魔術師が一冊の本に封じた、って。でもいっぱい時間がたって、封印が綻んだんだと」
「うちも聞いたことあるわ、それ。悪霊封じなんかに使われん、イヤやなぁ」
「封印じゃなくて退治しちゃえばよかったのにね?」
「強かったのかな」
 どうかなぁ、と疑問の声を上げる本たちに囲まれ、オーマは首を捻る。
 悲劇の果てに死んだ娘。悪霊と化し、本に封じられる。封印が綻び、読んだ者を次々と殺して――
 果たして本当にそれだけだろうか?
 キングも指摘していたが、復讐のためだというなら、随分とやり方が回りくどいではないか。
「うーむ……」
 考え込むオーマを、本たちはじっと見上げている。どうやら彼らが知っているのはここまでのようだ。
「よし」
 膝を打ち、立ち上がった。
「こうなったら直接本人に会ってやろうじゃねぇか――」
 ふっふっふっ。肩を揺らし、不穏な笑みを浮かべる。一度引き受けたからには、とことんまで突き詰めねばラブマッスルの名が廃る。
 オーマはそう決意し、群がる本たちに熱いウインクを飛ばしてその場を立ち去った。


【3】

「……なにやってるんですか?」
 懸命にもそう声をかけたのはアイラスだった。キングはなんともいえない表情を浮かべ、そのさまを眺めている。
 細い通りに面した集合住宅の一室、ディースの部屋。実に苦学生のものらしい狭い部屋には、本の詰まった書棚がひとつと、衣服をしまうタンスがひとつ。あとは机と椅子、寝台がひとつずつ置いてあるぐらいで、飾り気などどこにもない。
 部屋の主である痩せこけた青年は枕を抱いて寝台に座り込み、来訪者に引き攣った笑顔を向ける。
 だが、アイラスとキングが見ているのは彼ではなかった。
「なにっておまえ、わかるだろうっ!?」
 号泣せんばかりの勢いで本に齧りつきながら、オーマが叫ぶ。古びた椅子と小さな机を遠慮なく占領し、鮮やかな着物を着た巨体が本を一心に読んでいるのはなにかおかしい。
「先に来ていたのはわかるが――」
「そう、そうだよ。遅いぞおまえら。見ろ! もう良い子は家に帰らなきゃならない時間だぜ!」
 窓の外には薄紫色を含んだ闇が広がっている。
「すこし迷いまして……というか、どっちかといえばオーマさんが早かったんですよ」
「んー、あー、そんなことはどうでもいいわ。ほれ、おまえらも読め。ぜひ読んでくれ。こんなに切ない思いをしたのは人面魚に愛想をつかされて以来だ!」
 件の本を突き出され、アイラスとキングは顔を見合わせる。
「もう読んだんですか?」
「おう。夢も見た」
「……なんだと?」
「っつっても俺じゃなくてだな、あいつのをちらっと盗み見たというかなんというか」
 オーマが示す先を見ると、ディースが苦笑いを浮かべて座り込んでいる――普通、他人の夢を盗み見るような真似はできないはずだが、と思いかけて、キングは溜息をついた。理由はないが、なんとなく、この男ならできそうな気がする。
 背後で軽いノックの後に扉が開く気配がして、三人は顔を上げた。
 入ってきた本男が「おや」と言いたげに目を細める。
「――私が一番遅かったようですね。お待たせしました」
 これで全員揃ったわけですね、とアイラスが微笑む。
「じゃあ、とりあえず情報整理といきましょうか」

「へぇ、本を捨てたんじゃないかって?」
「ええ、書店に放り込んで逃げた方がいらっしゃるようです」
「どこぞの子息がその本の前の持ち主だったかもしれない、という話だったが――確証はないな」
「その坊ちゃんはどうなった?」
「病死したそうだ」
 キングの言葉に、本男が薄く笑う。訝しげな視線を向けられると、「失礼」と笑みを深くした。
「――……。読む者を魅了し、殺してしまう本がある、という噂は流れていたようです」
「ああ、死んだ奴がいるのは事実らしいな。……魔術師が悪霊を本に封印してたのが、封印が解けたんじゃねぇかって話もあったか」
「悪霊、ですか。話自体は、どうでしょう。実話なんでしょうか?」
「さて――ですが、出てくるものに関わりがあるのは間違いないと思いますよ。夢の娘の過去、というのが一番自然な気はしますね……被害者も、どちらかといえば男性のほうが多いようで」
「死ぬに死にきれず、悪霊になって人を呪い殺す――そう考えるのなら、祟りか。話の内容が事実ならば、人に対する報復ということになるが……」
 キングが言葉を濁す。他の三人も一様に黙り込んだ。
 寝台の上で、ディースがこわごわとその様子を窺っている。
「そういえば」
 ようやく口を開いたのはアイラスだった。
「オーマさん、ディースさんの夢を見たんでしたよね。どうでした?」
「んー」
 オーマが、がりがりと頭を掻く。思い出そうとするように天井を仰いだ。
「はっきりとは覚えてねぇんだけどな。俺自身が見たからじゃないかもしれないが――金色。金色だな、金の光が歌ってた。悲恋歌ってやつか、あれ」
 漆黒の虚空に娘とも鳥ともつかない金の光が現れ、澄んだ声音で歌を紡いでいた。ただ、それだけの夢。
 具現精神同調をしたので見たものはディースと同じはずなのに、目覚めたディースに訊くとあれは間違いなく金髪の娘だったという。
 オーマには光のように見え、ディースには娘に見える。その差はなにかと考えたときに、出てくるのはあの本。
「本を読んだかそうじゃないかが分かれ目なんじゃないかと俺は思う。ディースだから、っていうワケじゃぁねえんだ。見たところ、特別に強い繋がりがあるわけでもなさそうだし」
 相手はだれでもいい。本を読んだ者ならだれでも。主にそれがひとりずつの読者に限られたのは、魅了された本人が他の者に見せようとしなかっただけなのかもしれない。
 ――ディース自身、あれほど本を怖がっているというのに、オーマが読もうとするとなぜか嫌な顔をしたのだ。
「そう思うと、無差別殺人ですよねー」
 実に本らしい祟り方のような気もする。「本を読んだ」という繋がりさえあれば、それだけで相手の夢に現れ、魅了し、やがて死に至らしめる――
「……しかし、な」
 なにかが腑に落ちない。
 四人はそれぞれ沈黙し、やがて顔を見合わせた。
 こうしていても埒があかない。
「よーし、じゃあ今から俺様による音読会を――」
「却下です」
「なにぃ!? この美声を聞きたくないだとぉっ!」
「子どもじゃないんですから、自分で読んだほうが楽しいですよ。オーマさん、それ、貸してください」
「同感ですね――すべて読まなくてもいいのでしょう?」
 本男の視線を受けて、ディースがこくこくと頷く。
「私は最後で構いませんよ」
「では、次は私に貸してくれ」
「はい」
 わからないことは本人に訊くしかない――そういうことになった。


【4】

 肌に絡む冷気。なにかが四方から体を押す柔らかい圧迫感。
 漆黒が漂う水底のような、それは夢の檻。
 金の光気をまとった娘が、闇から染みるように、ぼう、と姿を現す。長く艶やかな金糸を吹いていないはずの風に遊ばせ、泉のような双眸には嘆きだけが満ちる。瑞々しい白磁の肌は、触れてもいないのにその柔らかさが脳裏に浮かぶようだった。
 ふっくらとした唇が音色を奏でる。

 どうか返してください
 この世に神がいるのなら
 どうか返してください
 この世に慈悲があるのなら
 どうか返してください
 わたしの愛がかなうなら

 遠い遠い丘の上
 恥ずかしそうに笑ったあなた
 逞しい腕に引かれて歩いた日がいつなのか
 もう覚えていないのよ――

 その声にぞくりとする。思考が奪われるような――なのに心地良い感覚。
 目を離したくない。耳を傾けていたい。ずっとこのまま、ずっと。
「――……魅了、か」
 なるほど、とキングがひとりごちる。視界には他の三人の姿もあった。
 どうやら運良く、四人とも同じ夢に落ちたらしい。
 ディースはいない。留守番だ。なにか異常があれば四人を叩き起こすことになっている。
「年の頃十六、十七――本に出てくる娘と同じですね」
 本男は冷静にそう判じた。虚空の娘は、巨躯を誇るオーマの目線よりもすこし高い位置に浮かんでいる。
 歌い続ける娘のその頬に、透明な筋ができていた。
 娘の声が響くそのたびに、肌が震える。五感が揺らぐ。
 オーマはだれかが「セイレーン」と言っていたのを思い出した。セイレーン――海に歌う女の魔性。歌声で船乗りを惑わせ、死へ誘う。
 眠りの海で歌う娘は、海の魔性のそれに似ている。
 けれど、その瞳は本当に悲しそうに見えた。偽りではなく、真実なにかを嘆いているように。
「おい」
 オーマは声をかける。何度か強く呼ぶと、娘の歌声がふつりと途切れた。
 濡れた双眸に、アイラスが宥めるように笑いかける。
「――あなたが金糸雀さん、ですね?」
 娘は答えない。初めて人に気づいた、というように、ぼんやりと四人を見下ろした。
「こんばんは、初めまして。金糸雀さん、っていうのもあれですよね。お名前教えていただけますか?」
 アイラスは世間話でもするような気安さで話し続ける。
『…………』
「あ、もしかして驚いてます? ――いきなり四人で来るのは失礼でしたかね?」
「いやいや、俺ならあと百人はいけるぞ」
「オーマさんには聞いてません」
「……仲がいいな、ふたりとも」
 キングが何度目か、短い溜息をつく。娘への警戒を隠したまま、娘の様子を窺った――驚いているようには見えない。ただ、深い悲しみだけがあって、他のことはどうでもいいようだった。
『…………どうして』
 か細い声は水に溶けるようで、聞き漏らさなかったのが不思議なほどだ。
 四人は、はっとして娘を仰ぐ。
『どうして――どうして……? ここにいるの、どうしてここにいるの、どうして?』
「――あなたが招いたのではないのですか?」
 娘の困惑に、本男は眉をひそめた。
 娘は悲しげに頭を振り、涙を零す。滴が散って真珠のように煌めく。
『ここにいてはいけないわ。帰って――帰って……!』
 娘から光気が弾ける。突風に押されたように、四人の体が見えない腕に突き飛ばされた。
 踏みとどまり、オーマがかざした腕の陰から声を上げた。暴れる光が目を刺し、娘を直視できない。
「どういう意味だ!? おまえが呼んでいるんじゃないのか!」
『ちがう――……違う! ……いいえ、いいえ、そうよ。わたしが悪いの、わたしがいけないの――わたしが、わたしが…………!』
 娘の絶叫が水底を揺さぶる。激しい流れが巻き起こり、それぞれを飲み込もうと暴れ回る。
 オーマは構わず突進し、中心にいる娘に腕を伸ばした。肌に痛みが走るのを無視して、その華奢な体を強引にさらう。
「ええい、静かにしろっ!!」
 オーマの一喝と、うねりの消滅はほぼ同時だった。着地したオーマの腕の中で、娘が濡れそぼった顔にかすかな驚愕を滲ませている。
 娘を包んでいた眩い光も、その強さを弱めていた。
「だーもー、落ち着いて話もできやしねぇ」
「……大丈夫か?」
 乱れた髪を背に払い、キングが歩み寄る。オーマの体には無数の小さな裂傷ができていた――はたして夢の中での怪我は現実に反映されるのだろうか。 
 おとなしい外見に反して直撃ひとつ受けなかったらしいアイラスと本男も、座り込んだオーマのもとにやってきた。
 驚いた娘の顔はずっと幼くて、オーマの腕にすっぽり収まっているのを見ると一風変わった親子のように見えなくもない。
 ――実際、父親ですしね、とアイラスは思う。
「いいか? 話し合いはじっくりたっぷり愛を込めて! せっかく弁当も作ってきたんだ、ここはひとつ腹を割って」
「……ちょっと待て」
 キングの頭痛を無視し、オーマは思い出したように懐から桃色の布で包まれた弁当箱を取り出した。あれだけの突風にもまれて、きちんと結ばれた包みには乱れた跡ひとつない。
 ――その前に、夢の中に持ち込み弁当とは何事か。
「これこそ俺様特製、愛情たっぷりのマッスル弁当! 俺の愛情印つきだ! あ、それとこれな」
 さすがに呆然とする娘の手に、見覚えのある冊子を押し付ける。ディースも渡されたアレだ。
「……まぁ、オーマさんらしいです、ね」
 三者三様の溜息が漏れる。
 娘は渡された弁当と冊子を長いこと見下ろしていた。そのさまを眺めて、四人はようやく娘の右腕と左足首に錆びた鉄色の鎖が繋がれていることに気づく。細い鎖の先は闇に紛れて見えない。
『…………――の?』
 鎖に眉をひそめていたオーマは、「あ?」と娘を見下ろした。涙色の双眸が、不思議そうにオーマを見上げている。
『……わたしに、くれるの?』
「あ、それか? おう、やるやる。そのために持ってきたんだ」
『…………』
 ぽた。
 濡れていた娘の頬に、再びつたうもの。
「お、おい?」
『……――ありがとう』
 驚いたような、不思議そうな。どこまでも哀しそうに澄んだ瞳で、なんとかそれとわかる微笑を浮かべる。
『――なにかをもらったのは、すごく久しぶり……』
 震える声が、永い月日を物語る。こんな笑顔でさえ浮かべるのは気が遠くなるほど久しいのだろう、とそう感じて切ない。
「私たちは、あなたを傷つけるために来たのではありません――聞かせていただけますか?」
 身を屈めて、本男がそっと促す。アイラスとキングも、床とも水面ともつかないそこに腰を下ろした。
『……わたし、は――』

 娘は名を覚えていなかった。
 あまりにも月日が経ちすぎたせいでもあり、名前よりも大切なことがあったからなのかもしれない。本にも、最後まで娘の名は出てこない。
 かつて小さな集落に生まれた娘が体験したのは、本が示したものと同じだった。人々が死に、災いの娘と村を追い出され、やがて自害する。
 ――物語はそこで終わり、夢はそこから始まる。
 さまよっていた娘を封じたのは、行きずりの魔術師だった。一冊の本に封じられ、運命の流れるままに各地を点々とした。
 読む者に死をもたらしていることを、娘は知っていた。何人もの命を犠牲にしたことを、彼女はわかっていた。

『――わたしが歌わなければ、よかったのに。歌わなければ……でも、でも、わたしは』

 歌いたかった。
 歌が好きだった。
 歌うことだけが、彼女に許された光だった。
 魔術師が言った。「永い月日のいつか、おまえを真に助ける者があるのかもしれぬ」と。あの男は優しかった。彼女の孤独を知って、けれどその力を封じる術を持たなかった。
 彼が言った。「きみの歌が好きだよ」と。歌う姿が好きだと言ってくれた。最初だった、大切な恋。何人もの人に逢って、それでも彼のことだけは忘れない。弱くて醜い本当の心を愛してくれた、たったひとりの人だった。

『――だれかに逢うたびに、この人なら、って思う。いいえ、この人も駄目、って……わたしはもっと、もっと、ずっと早く滅びているべきだった――』

 何人が死んだ? 何人、殺した?
 罪を重ねて存在するほどの価値はあるのだろうか。そんな価値など、きっとどこにもないのに。
 どうせ一度死んでいる。
 どうせ、もう――

『……ごめ…なさい――……ったの。こわかった……』

 ――滅ぶのが怖かった。
 頭ではわかっている。こんな己は滅びてしまうべきだと。魔憑きと罵られた、それはたしかに事実だった。こんな人間が普通であるはずがない。
 それでも心が拒んだ。もしかしたら、もしかしたら――
 希望などと、なんて浅ましい。

「いいじゃねぇか。おまえは、生きたかったんだろ」
「――心があるから、人は人なんですよ。理性だけでどうにかなるんなら、だれも間違いなんてしません」
 オーマとアイラスが顔を見合わせ、笑う。
「殺そうとして殺したのでないなら、それは事故だ。どうせ生きていればいずれ死ぬ。ディースのように他に頼むこともできたのだし、その死に方を選んだのは本人たちの勝手だろう」
 だからあまり気にするな、とキングが言う。どのようなものであれ、溺れるほどにはまるのは本人の心の在り様による。実際、狂うほどの強制力をキングは感じていない。
「……制御の利かない歌い手、ですね」
 本男の声に、視線が集まる。
「生まれつき呪歌の力があるのに、扱い方がわからない。力は扱い方を学ばなければ意味がありません。それを教えなかったのは周りの責任です――普通よりは、多少その力が強いようですが」
「つまり?」
「力を封じてしまえばいいんです」
 簡単にいいのける本男に、キングが訝しげに眉を寄せた。
「できるのか?」
「すこし準備が必要ですが、できないことはないでしょう」
「声は封じるなよ? 力だけだぞ、力だけ」
「わかってます――調整に手間取るかもしれませんね」
「複雑なことはできませんけど、準備ぐらいでしたら手伝いますよ」
「ええ」
 とんとん拍子で話は進み、封印の儀は三日後に決行、となった。
 話に取り残された娘は困惑気味に四人を見上げる。
「そんな顔するなって。絶対上手くいく。ばーんと構えてろ!」
 オーマが、がしがし、と乱暴に娘の頭を撫でた。驚いたのか、娘の肩が小さく跳ね上がる。
「オーマさん、怯えてますよ」
「失礼な。感動に震えていると言え」
「……呆れているんじゃないのか」
「……まぁ、それは置いておきまして。そういうことですから、私はこれで失礼します」
 立ち上がり一礼する本男に、娘は戸惑いがちに、それでもなんとか頭を下げた。キングも後に続いて腰を上げる。
 オーマは立ち上がりかけたアイラスの腕をがっしと掴み、もう一方の手で娘の肩を抱いて豪快に笑った。
「おまえは帰るな。酒盛りだ酒盛り」
「はいぃ?」
『…………』
「ひとりで弁当を食べるなんて寂しいんだぞ!? つーわけでおまえも食え。俺の愛情弁当を!」
「いえ、まぁ、明らかにひとり分にしては多いとは思ってましたけど。って酒まで持ち込みですか」
『人面愛』と書かれた怪しいラベルの酒瓶を片手に、オーマは素早くアイラスと娘の手に酒杯を持たせる。
「うははははー! 今夜は飲むぜぇええええっ!」
 どこまでも陽気な笑い声を背に、数えるのも嫌になってきた溜息を零し、キングと本男はそそくさと覚醒した。


 三日後、ほぼ予定通り封印の術が施された――オーマが興に乗って、連日連夜夢の中で知り合いを引き連れて酒盛りをするので、引き回された面々は人面の悪夢にうなされて多少顔色が悪かったという――。
 娘の呪歌の力は封じられ、オーマの強い希望で娘と本を繋ぐ鎖も解き放たれた。
 魅了の力を失った娘は驚くほど凡庸な姿に変わったように見えたが、心の底から湧き出たような微笑は見る者を和ませるものだった。
 戒めは解かれたが、娘はもうしばらく本に宿って地上に残る道を選んだ。もっとたくさんの人に歌を聞いてもらいたいのだ、という。


「――では、交渉成立ですね」
 本男はディースから本を受け取りながら、微笑んだ。底の知れない笑みに気圧されて、ディースが顔を引き攣らせる。
「は、はい……」
 懲りたディースはその後、本を買い取りたいという本男の申し出に快く頷いたのだ。娘の呪歌を解いた――ディースを助けた――のは本男らであったので、ディースは金を貰わずに本だけを手渡した。
 本男は踵を返し、狭い部屋の扉へと足を向ける。取っ手に指をかけ、思い出したように振り返った。
「そういえば――」
「は、は、はい?」
「本を捨てるならまだしも、燃やそうとした、と仰ってましたね。安易に貴重な本をそのように扱われては困ります――以後気をつけて下さい」
 目を細め、かすかに唇に月舟を浮かべる。振り返ることもなく、そのまま静かに部屋を退出した。
 ディースはぎくりと体を強張らせる。扉が閉じた後、どうしたらよいものやら、だれもいない部屋で間抜けな笑みを浮かべた。
 ――彼の苦労は、まだ続きそうである。




FIN.


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●登場人物
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1649/アイラス・サーリアス/男/19歳/フィズィクル・アディプト&腹黒同盟の2番】
【1953/オーマ・シュヴァルツ/男/39歳/医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り】
【2872/キング=オセロット/女/23歳/コマンドー】
【0589/本男(もとお)/男/25歳/本の行商】

(参加順)

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●ライター通信
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参加PL様へ


お待たせしました!
参加してくださいまして、ありがとうございます。
依頼型はこれが初めてになります。
皆様の期待に副えているといいのですが……。

オープニングに始まり、【1】から【4】に分かれています。
【2】は各自の行動によって異なる内容にさせていただきました。

それぞれの「らしさ」が出ていればいいなぁ、と思いつつ、これで上げさせていただきます。
また機会がありましたら、よろしくお願いします(礼)。


雪野泰葉