<聖獣界ソーン・PCゲームノベル>


あふたぬーん・てぃー・ぱーてぃー☆



「うむ、やはり極上の水で入れただけのことはあるのぅ」
 たらいに貼られた水の中でくつろぐ、人魚が満足そうに茶をすする。
「おかわりでしたら、たくさん有りますので必要でしたら遠慮なくおっしゃってくださいね」
 メイドの少女もやっと腰を落ち着けた客人の間を甲斐甲斐しく歩いて回る。
「それじゃぁ、そろそろはじめようか?」
「はじめるって何をだ?」
「こういう集まりならやることは決まってるだろ!一発芸だ!!」
 ふんぬっとポージングをとる骸骨の大腿骨がまぶしい。
「いや…普通お茶会で一発芸なんてやらねぇだろ……」
「さぁ最初はだれからかなぁ〜?」

 すったもんだの末やっとありつけた極上のお茶と美味い食べ物を前にして、やはりブランシア城において普通という言葉ほどむなしいものはないのであった。



「何!一発ゲイ筋か!?」
 一発ゲイ筋・・・それは漢の中の漢に宿る、熱き魂の迸り。大きな勘違いのような気もするが、オーマ・シュヴァルツ39歳、至極真面目であった。
「そんなものは、いらん」
 カッと目を見開いたオーマの脳天を容赦ないハリセンの一撃がつっこみを入れる。
「ぐはっ!でたなカリスマカカア」
「出たなとはなんじゃ、それにわらわは未婚じゃ!!」
 オーマが家下僕主のカリスマと認めた人魚は『芸の大道』と書かれたハリセンを構え、いまはたらいの中で自慢の尾びれで水を跳ね上げる。
 まな板の上の鯉、たらいの中の人魚。
「もっとぶってくれー!!」
 そのタイミングのいい突っ込みは、流石は家下僕主のカリスマ!
「ぎゃー近寄るでない!!」
 流激をそのたくましい大胸筋で跳ね返した、オーマにすがりつかれる人魚の悲鳴はブランシア城の高い天井に響いて消えた。

 一発ゲイもとい、一発芸の順番は城主の持ち出してきた妖しげなルーレットによって決められるらしい。
「それじゃぁ、いくよー」
 黒翼の青年が自分の身長よりも大きなルーレットをよいっしょっとまわす。何処からともなくドラムロールが聞こえてきたのは気のせいか……
「おっし、一番は俺だな!」
 真っ先にルーレットがさしたのは、カタコンベの守人である骸骨。
 いつの間にか用意されたお立ち台に、身軽に飛び乗りバッとその外套を脱ぎ捨てた。
「よってらっさい、みてらっさいっと。ディース様とカタコンベ愉快な中間達オンステージの始まりだゼイ!」
 手には何故か鉄琴用のばちを持ち骸骨が胸を張る。
「ま、まさかアレは伝説の……」
 骸骨の後ろには、各自ベルと打楽器をもったズゥンビの皆様。
 鍛え抜かれた骨格は長じてすんだ音色を奏でるという、噂でした聴いたことのない伝説の漢の妙技。
「こ、骨琴か!?」
「そうともよ!聞け魂の響き!!」
 己の肋骨をたたきディースがその風体から予想も付かぬ美音が空気を振るわせる。
 ポージングを随所に入れながらのカタコンベパーカッションクラブの皆様の出し物は熱くオーマの魂を揺さぶった。
 既にお茶会の欠片も残っていなかった。

「よっしゃ俺も負けてられねぇぜ!」
 ルーレットの出番を待たずにオーマがお立ち台に飛び乗る。
「いいぞー!脱げ脱げ!!」
「面白いのをお願いね〜」
 なにやら余計な野次も含みつつもびしっとオーマはそのたくましい筋肉でポーズを決めた。
「見よこの素晴らしき親父筋肉!これぞ一発ゲイ筋の本髄!!」
 普段の色黒筋肉親父な姿がパンクロックファッションなピッチピチの20代の銀髪赤目青年姿へと変貌する。
「フンっ!」
 それでもポージングは欠かさない。
「オーマ・シュバルツ漢道7変化説くとごらんあれ!」
 覇威―――――!
 若返ったオーマの筋肉ははちきれんばかりの瑞々しさを感じさせる。
「俺に惚れちゃいけねぇぜ……」
 白い歯がまぶしい。
 お立ち台のスポットライトがピンク色に変わり、なにやら妖しげな雰囲気をかもし出してはいるが気にしてはいけない。
「いいぞー!」
 カタコンベの皆様には大うけの様子。
「それじゃぁ極めつけ……大技いってみようか!」
 オーマの体が細かく震えたかと思うとその姿は翼をもつ巨大銀獅子へと姿を変えた。
 その大きさはブランシア城の屋根まで届かんばかり。
「ぎゃー!?」
 誰かが踏まれたように見えたのは気のせいだっただろうか。
「お?踏んじまったか??」
「あ〜へいきへいき、彼ら一回死んでるから」
 これ以上どうにもなりはしないよ〜。崩壊してしまったお立ち台あった場所にちょこんと座る、巨大な獅子が首を傾げる。
 何処か愛嬌のある様が憎めない。
「そうか……じゃぁ……ついでにもう一発」
 セイヤっ!と銀獅子の姿のままのオーマが二本足で立ち上がりポーズを決めた。
 その筋肉の躍動は、人身であった時と比べ物にならないほどの躍動感を秘めている。
「さすがだねぇ〜」
 更にポーズを決めながら天に向けて咆哮と光放つとはらりはらりと天から舞い落ちる花があった。
「あら……?」
「雪じゃな」
 紅の赤子の手のようなもみじが敷き詰められた庭に白いものが降りしきる。
「ちょっとしたプレゼントだ」
 季節にぴったりな天からの贈り物であった。

 お茶が冷めてしまいましたね。と、メイドが新しいお茶を客人に注いで周る。
 雪が降ってきたこともあり、お茶会の席は庭から室内に移されていた。
「いや〜みんなすごいねぇ」
 あの後もメイドが愛用の箒で天に虹の橋をかけて見せれば、人魚が水で作ったげ空想の生き物たちを走らせたりと、雪振る庭を一層幻想的なものに変えていた。
「それじゃぁ、僕は……この、箱のをつかって……」
「お主はやらんでよいは!」
「くれぐれも、お客様のご迷惑にならないことをやってくださいまし」

「オーマ!勝負だ!!」
「受けて立つぜ!」
 こいや、おらー!と骸骨と元の姿にもどった親父マッチョが雪の玉をぶつけ合い雪合戦を繰り広げている。二人の背後には誰が制作したのか、マッチョな雪だるまがポージングを決めている。
 本来の目的と一風変わった趣向になってはいたが概ねお茶会は盛況な様子をみせていた。




【 Fin 】



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


【1953 / オーマ・シュヴァルツ / 男 / 39歳(実年齢999歳) / 医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り】


【NPC /カムラス・エル・ブランシア】

【NPC / リーミレイル】

【NPC / エーダイン】

【NPC / ディース】


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■         ライター通信          ■
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何時もお世話になっております。ライターのはるです。
お届けが遅くなってしまって申し訳ありませんでした。
なにやら、お茶会というか…宴会といった雰囲気になりつつありますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
ご参加ありがとうございました。

イメージと違う!というようなことが御座いましたら、次回のご参考にさせて頂きますので遠慮なくお申し付けくださいませ。