<聖獣界ソーン・PCゲームノベル>


厨房格闘倶楽部

所謂春節,一祝福新年的東西。
(春節とは、新年を祝うものなり。)
在迎接新年時,籌劃有一個。
(新年を迎えるにあたり、一つの催しあり。)
那個,發出竭盡這個東西的技能。
(それは、己の技を出しつくし。)
那個,注入竭盡這個東西的心。
(それは、己の心を込めつくし。)
那,竭盡這個東西的體力的東西。
(それは、己の体力をつくすもの。)
人,稱呼那個為厨房格闘倶楽部。
(人、それを厨房格闘倶楽部と呼ぶ。)

≪起≫
「アレか。春筋★(誤字非ず)っつーのはよ。桃色るんるんスプリング☆に生誕せし、新たな新筋息吹の健やかなる育成を願い、伝説のギラリマッチョ親父神に祈りを捧げやがる聖筋界一大美筋肉祭りってヤツなんかね?」
 巨漢が誰にともなくつぶやいた。巨漢ことオーマ・シュヴァルツが立っているのはちょうど大熊猫飯店の前。祭りの臨時席が用意されているところである。あわただしく店の中と外を人がでいりし、テーブルなどを用意したりしている。
「ちょっとアンター、そこどくアルぅぅぅっ!!」
「ん?ごふぁ!?」
 他人事と思ってその光景を見ていたオーマに対してフライパンの一撃が下された。
振り向きざまだったこともあり、もろ顔面にヒット。鼻血がつつーとたれた。
 フライパンを振りかぶってオーマに当てたのは赤いスリットのある装飾の派手なドレスを着た、背の低いぽっちゃりとした少女だった。
「そこ、設営の邪魔アルから、ほかにいくあるよ。わけのわからないこともいうのやめるアルヨ」
 びしっと(オーマの顔型がうっすらできている)フライパンを突きつけて、指示を出す。
妙にえらそうな上に、口調がとても変わっていた。
「あー、俺はこれで着たんだけど」
 ぴらぴらとオーマが広げているのは招待状である。『特別審査員』とでかでか書かれている。
 なお、小さく『大胸筋親父妄想浪漫勘違いし皆の筋肉成就願い厨房バトルには親父愛実況腹黒審査員』とルビがふってあったことはチャオには見えていない。
「なんだ、それならそうと早くいうアルヨ、いけずっ」
 ばしーんと背中を照れ隠しで叩く謎の少女。この行動力にオーマは感じた。
(こ、これはカカァのコスモを感じる…できるっ!)
「ワタシの名前は焼・煌(チャオ・ファン)アルネ。ヨロシクヨー、オーマサン」
 フライパンを持っていないほうの手を差し出し、握手を求めるチャオ。
「え、なに? チャーハン?」
 事情を知らないとはいえ、禁句をいってしまったオーマが星になったのはいうまでもない…。

≪承≫
 厨房格闘倶楽部が始まった。桜蘭は東西南北と広がっていて、料理に関してはそれぞれで味付けが変わっているという一風変わった感じになっていた。
 それにより、人の流れもその日の気分で東西南北に流れるのだから料理店としては気合を入れざるをえない。
 それを山本建一は客席から見ていた。
「なんか、気合はいっていますね」
「若いのここにくるのははじめてか?」
 ぽつりともらした感想に隣の老人が興味ありげな視線を向けてきた。長い髭に太い眉。
 ひょうたんを片手に持っている姿は普通の老人のようだった。
「いえ、この街には以前にも…春節ははじめてですけれど…山本建一といいます」
 建一は名乗り握手を交わすと、老人から礼是符を建一に差し出す。中身をあけていいかと確認して中身を見ると、この街の紙幣が入っていた。
「礼是符といってな、既婚者が未婚者に渡すものじゃ。お若いのが結婚しておったらすまぬの…わしは天白(ティエンパイ)じゃ」
 老人はにぃと笑って名乗った。
「『お年玉』見たいなものですね、ありがとうございました」
 礼儀正しく礼をして、建一は試合会場のほうをみた。そこでは故郷で呼んでいた料理
漫画のような戦いが繰り広げられていた。
「今闘っておるのは、西の方位。白虎連盟の『龍虎荘』と東の方位。青龍組合の『清流庵』じゃな。どちらも代表を務めるだけあっていい試合をしておるわい」
 ぐびとひょうたんの酒を味わう天白。しかし、建一はその様子を見て厳しい視線で突っ込みを入れていた。
「龍虎荘でしたっけ? 動きは派手ですが、丁寧さに欠けますね。清流庵のほうは中華の火力を鍵としたいい調理をしていると僕はみますけど…」
 ちらと隣の老人の顔をうかがう。お菓子程度しか作ったことのない自分の感覚に自身があるかといわれれば嘘になるので、つい確認してしまった。
 その視線を受けた天白はうれしそうに、ただ笑うだけだった。
 試合は最後までわからない…そういっているように建一には思えた。

≪転≫
 あれからも試合が行われて、優勝したのは清流庵だった。
 勝負が終われば、みな食を楽しむ仲間といわんばかりに、料理人の垣根を越えて野外の臨時食堂(現代風に言えばビアガーデン)や大熊猫飯店の中で盛り上がっていた。
 すっかり日も落ち、満月を見ながらの酒や料理はいつも以上においしい。
 そんなことを建一が考えていると、背後から抱きしめられた。大胸筋の硬さがちょっと痛い。
「さぁ、おまえも腹黒同盟にはいらないか? 今なら下僕主夫と酒池肉林のはーとふるぱらだいす☆が味わえるぞ?」
「え、遠慮しておきます」
 建一の頭では理解しがたい勧誘文句を言った巨漢は上半身裸で餃子を振る舞いつつ、パンフレットを配っていた。
「仕方ないな、だがパンフは無料なので持っていきたまえ。きっとおまえの役に立つだろう…お〜っと、そこのナイスガリマッチョダディ、腹黒同盟に…」
 大胸筋を揺らしながらパンフを建一に渡すとかっこいいコックにオーマは向かい勧誘を続けていた。彼なりの礼是符らしい。
「あれ、確かキミはこの間ロウシツの肉を狩ってきてくれた人アルネ」
 料理を運び終えたチャオが建一のところにやってきた。前と同じエプロンにチャイナドレスという格好だった。
「ああ、チャオさん。お久しぶりです」
 前回食べたラーメンを食べつつ建一は軽く会釈をした。
「今日は観光できたアルカ? あ、これ礼是符アルネ」
 礼是符を渡された。お年玉なら中身を見るのも失礼だと、明かりですかして中を確認してみる。
「そ、そういうのは家に帰ってからやるヨロシ!」
 ずべしっとちょっぷが建一に落とされた。なお、この後、礼是符は既婚者が〜という話題にうつってチャオに逃げられたのはいうまでもない。

≪結≫
 夜も深まり静かになる…とはいかないのが春節というものである。
 この日ばかりは大人も子供も爺さんも赤ちゃんも…まさに老若男女津々浦々夜明けまで騒ぎ通すのだ。
 パパパパパパンと街のいたるところに吊り下げられた爆竹に火がつき、新年の祝っていた。
 しかし、その中でも目立つ一段が大通りを闊歩していた。
人面をした爆竹がどこからともなく現れて「うっふぅ〜ん」「あっはぁ〜ん」などという声(?)をあげながらはぜていくのだ。酒に酔った状態ならばいい余興だ。
 そして、さらに輪をかけて、ミニ獅子化したオーマが桃色ふりふりハートな獅子舞衣装でらぶりー乱舞を舞っていた。
 その踊りの曲を担当するのは建一だった。獅子舞の前に立って歩き、竪琴を鳴らしていく。旋律に乗って獅子が舞う幻想的な世界が作り出され、夜は明けていく…


新年快樂。今年也請多關照(しんねんあけましておめでとう、ことしもよろしく)

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┏┫■■■■■■■■■登場人物表■■■■■■■■■┣┓
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【PC名(ID)  /性別/年齢         /職業・種族】
オーマ・シュヴァルツ(1953)/男/39歳(実年齢999歳)/医者兼ヴァンサー
山本建一(0929)/男/19歳(実年齢25歳)/人間


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■         ライター通信          ■
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どうも、遅くなって申し訳ありません(吐血)
二人とも動かしやすくて書くのは楽でしたです。
どさイベに間に合わなくて申し訳ございません…

もし、よければまた機会ありましたらお待ちしています。
今回はありがとうございました〜