<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>
嘆きの花屋
今日も白山羊亭はにぎわっていた。
春も訪れに喜びを感じているのか、人々の気持ちも軽くなってきているのは確かだった。
そこに現れたのは、一人の男性。
すこしだけ顔が深刻です。
春がやってきたというのに、まだ彼は冬に取り残されているようです。
「えぇ。ちょっと困ったことになっているんです」
可哀想にでも思ったのだろうかルディアがちょっと話を聞いてみたところ、なにやらお悩みの様子。
「春もようやく目に見えてきたと、いうのに花の仕入れができないんです」
男性は、大きくため息ついた。
続けられた話はこうだった。
「森に霧が立ち込めたままなので、中へと入ることができないのです。どうやら森の奥深くで発生した、大きな植物、ラフレシア見たいなものが吐き出しているという噂なのです」
「あら、まぁ。それは困りましたね。それなら、ここで依頼してみては如何でしょう?」
ルディアは話を聞きながら、それならと男性に提案した。
その提案に男性は喜び、賛成した。
ルディアに何度も頭を下げて、お礼の言葉を投げかけて。
早速男性は依頼書を書いた。
・森の霧の原因を突き詰め、霧を晴らして下さい。
・霧が晴れたなら、春の花を摘んできてください。
簡単に書かれた、依頼書。
さて、花屋に花はもどるのか。
相変わらず白山羊亭はにぎわっている。
一人の途方に暮れた青年以外はみなにこやかに話をし、食事をして春の到来を心より楽しんでいた。
青年は相変わらずため息つき、カウンターで途方に暮れていた。
そこへルディアがやってきて、何か言えば青年は依頼書を書き始めた。
そんな様子を近い場所から見ていたのはフィセル・クゥ・レイシズだった。
事のなりゆきそっと見守っていた。
ルディアの言われるがまま、青年はつらつらと依頼書を書いていく。
近い場所ではその会話も耳に入る。
視線は依頼書の方へ。
森に入れず、花屋としては営業できないことが分かった。
それにフィセルは小さく笑うとそのまま白山羊亭を後にした。
私の力でも役にたつかな?
そんなことを思いながら、向かうは現場となった森。
森へと向かう間、思考は途切れなかった。
霧が立ち込めるという森。
その原因はなにか怪しげな植物だということ。
分かっているのはそれぐらい。
さて、その問題の植物にどう相手するかだな。
どんな植物かはわからない。
が、森を霧で覆うような植物だ。どんな手段が有効なのだろうか………。
一番友好なのは炎だろうな。でもそれは……………森が焼けてしまう危険性も大いにある。
そんなこれからの対策を考えていれば、あっという間に森へとたどり着いてしまった。
森は依頼どおり、白くもやっていた。
視界は酷く悪い。森に入る前からこの状態であれば、森の中に一歩踏み入れればそれは更に視界が悪く前後左右分からなくなることは容易すぎるほど。
けれども力になると決めた以上、戸惑うことはなかった。
一歩森に足を踏み入れた。
白さは深くなった。
地面に生い茂る、燃える緑の草も白く染まっているかのように地面も何もかもが白くもやっていた。当然視界も悪いどこをどう歩いているのかわからなくなってくる。
白い世界が自分を不安にさせていく。
方向はあっているのか、目指すものは本当にあるのかどうか。
―――――――― ……… …… シュルリ
何か音がした。
草と草が擦れて出すような音。けれどもただ風に吹かれて葉同士がこすれ合った音にしてみれば少々の違和感を覚える。
自然と無意識ながらフィセルは剣を構えた。
白い世界の中から燃えるような緑のものが自分をめがけて飛び出してきた。
――――――― シュル
それはまるで太く頑丈な鞭のように、フィセルの身体を叩き付けようと大きくしなった。
自分の背丈を越えるほどのその蔦。構えた剣を振り上げ振り落とす。
スパン。と、蔦は真っ二つに切り落とされる。―――――も、それだけでは効果がなかった、蔦の先を切られたぐらいではなんとでもないと誇示するように残る蔦は自分をめがけてまたしなる。
だから、フィセルはまた同じように蔦の先を切った。
どさりと、切った蔦が落ちる。
また、蔦がしなる。
同じようにフィセルは切り落とす。
何度も何度も、フィセルは迫りクル蔦を切り落としていた。
白い世界の向こう側。その蔦が伸びてくるその先に、本体があることが分かるけれども、切っても切っても蔦は伸びて己を狙うから、フィセルはそこから動けずに、ただ、伸びてくる蔦を切っていた。
きりがない作業だった。
手ごたえさえ感じない。
どれほどの時間、こうやって切り刻んだのか。
蔦はいくら切っても切っても伸びてくる。
「―――――仕方ないか…………」
切っても切っても伸びては自分を狙い、そこから先へと進むことができないのなら。どうしようかという迷いはまだある。片手に剣を構え、もう片方の手をすうぅっと空のある方向へと伸ばした。
蔦は何も関係なく、何も気にせず襲い掛かってくる。
また大きくしなった。
「――――― はぁッ!」
空へと向いていた手、それが勢い良くおろされてこちらに向かってくる蔦に掌を向けた。
勢いよく飛び出したのは蔦ではなくて、小さな炎の矢だった。
それはそのまま真っ直ぐ蔦に命中した。そこから上がるのは赤い炎。長い蔦は導火線のように、燃え上がっていく。燃えたところはそこからこげて地面に落ちる。
シュルシュルと赤い炎を上げて、蔦は白い世界に溶け込んだ。
一瞬また森は静寂に包まれて、目の前に広がるのは白いもやった世界だけだった。
シンと静まった森は音がなく、耳が痛かった。
それを振り払うようにフィセルは歩き出した。
一歩二歩。それほ歩かなかった。蔦が伸びてきた方向にただ真っ直ぐ歩いた。
そうして眼を見張るものが現れた。
直径2メートルは超えているであろう、大きすぎる美しいとは言えない花があった。
毒々しい色合い。赤い血のような色合いの花弁に白い水玉模様が鮮やかだった。その中心部は黒く空洞で、そこから濃い霧を吐き出していた。
花は大きな樹の根元に張り付くように咲いていた。
黒い空洞からは怒っているように、そこから白い霧を吐き出していた。
何度見ても美しいといえる花ではなかった。
ゆっくりと見渡すと花を中心とした、この周りだけ霧が晴れていた。とは言っても、この周りだけで数歩向こう側は白くもやった世界が広がっているだけだけれども。
――――― シュル リ
音がした。
背後からだった、フィセルは振り返り。背後から自分を狙う蔦に向かってまた炎の矢を繰り出した。
そう、その時だった。
矢を放った方向の白い世界に見えたのは人影だった。
フィセルは咄嗟に叫んだ。
「――――――危ないっ」
自分だけの声だけだと思った。
「オーマ、危ないっ」
自分と重なったのは、女性の声だった。
白いもやの中から、体躯のシッカリした男性ときりっとした女性が現れた。
放った炎は、蔦を焼けども男性を焼くことはなかった。
ほうと、ため息をフィセルが吐き出したときだった、体躯のいい男性がフィセルに向かって言った。
「何が危ないだ、オマエの方が危ないじゃないか。こんなところで炎を使って、森が焼けてしまったらどうするんだ」
「焼けないように最善の注意を払っている。…………霧だけを発生させると思っていたのだが、少々厄介なようだ」
「オーマ、見て。あれ」
オーマと呼ばれた男性の最もな意見。だが、それじゃ埒が明かなかったことを口にすれば一緒にいた女性が何かに気がついた。フィセルの言葉とジゼルの言葉に誘われてあたりを見渡したオーマ。なぜかここらだけが、ぽかりと穴に開いているような感じに霧が晴れていた。
――――――――シュル、シュルしゅる。
妙な音がした。自然と音がする方向へと視線がうつる。ジゼルの指差す方向。そこに直径2メートルは超えているであろう、大きすぎる美しいとは言えない花があった。
その花の存在に気がついた、オーマとジゼル。
「こんなところに…………」
ジゼルが呟くように言葉を発した。
と、そのときだった。
―――――――シュルリっ……………!!
何かが動く音がした。オーマとジゼルが自然と足元へと視線を落とした。
緑色の蔦が自分達の足を取ろうと伸びてきていた。一瞬の出来事で、そのまま足が取られてしまうと想い思わずジゼルは眼をぎゅっと閉じてしまった。…………が、足はつかまれることもなにもなく、自分はそのまま立っていた。
眼を開けると、火を操っていたフィセルが、伸びてきてた蔦を持っている剣で叩き切ったところが見えた。
「ぁ、ありがとう」
「どういたしまして、私はフィセル・クゥ・レイシズ。依頼でここに来ている」
「私はジゼル・デカルト。と、いうことは、あなたもお花屋さんの?」
「何、お前もか。俺はオーマ・シュヴァルツ。よろしく頼むよ」
蔦を真っ二つで切り落とせば、フィセルと名乗った男性はジゼルとオーマの方を見て、自らを名乗った。互いが、同じ依頼で来ていることを知れば3人は顔を見合わせて小さく笑った。
「炎を使えば、危険なことをしっている。が、こうやって、何度切っても、何度切ってもきりがない状態だ。 思い切って炎で焼いてみれば多少違うかとおもったのだが………」
切り落としたほうの蔦はもう、干からびて色が変わっているのにもかかわらず。花本体と繋がっている方は変わらず緑が深く今にも襲ってきそうに、花の近くで此方の様子を伺っていた。
フィセルが先ほど炎を使っていた理由を説明している間にも、様子を伺っていた蔦は3人めがけて襲い掛かってくる。
オーマは確実に自分を捉えようとする蔦から逃げながら、両手に持った大剣を重さを感じさせずに振り回し伸びて襲い掛かってくる蔦を切っていく。が、フィセルの言うとおり、切っても切っても伸びてきてはその身体を狙ってくる。
きりがなかった。
「本当にきりがねぇ」
オーマが憎々しげに呟いた。
「やっぱり、本体を叩くしか方法はないのかしら?」
ジゼルがきりがなく伸びてくる蔦を短刀で切り刻みながら呟く。
「この花の本体を焼き尽くしてしまえば話は早いのだろうが………なら……。」
フィセルもまた、きりがないこの作業に途方に暮れいてた。そこで言葉を続けたのもまたフィセルだった。
「私と、ジゼルが蔦をひきつけておく。 オーマ……あなたが花の本体をどうにかしえてはもらえないだろうか?」
みな一緒に蔦だけを攻撃しているのでは、先にすすまないから。フィセルはこんな提案をしてみた。
同じ作業を受け持つ、ジゼルの方を見て、いいだろうか。と、軽く目配せした。それにジゼルも眼を僅かに細めわらって返した。肯定の意味だった。
「じゃぁ、任せたぞ」
オーマはにっと大きく笑って、大柄の身体の割には狙ってくる蔦を避けて花本体をへと走りよった。
オーマが本体へと近寄ることに気がついた蔦はオーマへと何本も伸びてくる。そこへジゼルとフィセルが割り入った。
「相手は私がしてあげる」
「さぁ、ここから先へは通さない」
蔦に言葉が通じるのかどうかわからないが、二人はそんな一言を呟きながら顔を見合わせて同時に蔦へと飛び掛って行った。
人の言葉がわかるのかどうなのか、蔦は立ちはだかるふたりにめがけて伸びてきた。
それは先ほどまでの比にあらず。勢いよく、大きくしなる。まるで蔦が鞭になったかのように。
ジゼルとフィセルは顔を見合わせて小さく頷いた。
それが合図になった。
二人は同時に地面を蹴った。
しなってこちらに向かってくる蔦は無数。
フィセルは剣を構えなおす。
容赦なく此方に向かってくる、蔦に切りかかる。もう待ってはいない、蔦が自分に向かってくる前に駆け出し、伸びてくる前に切り刻んでいく。
切っても切っても、やっぱり手ごたえはない。
どれほど切ったらいいのだろう。
花の本体に向かったオーマの方を見た。
オーマは花の前に立っていた。そちらに蔦が向かうようなことはなかったから、フィセルはまた蔦を切り刻んでいった。
――――――― ………だって ……
聞えるはずのない、言葉が響きだす。
――――――― みんな ……… が………私の事………綺麗じゃな いって……言うんだもの
何事か起こったのか。
切った蔦が地面へと落ちる、すぐにその色が変色する。
まるでその蔦の嘆き哀しむような声が響く。
嫉妬をむき出しにした憎しみの声が響く。
次を切りかかろうとしたフィセルの目の前で蔦は力なく地面に落ちていく。
―――――――― …………… !!!
森の叫びとでも言うような、音が響いた。
地鳴りのようななんともいえない怒号。
「ジゼル、オーマの様子を見に行こう」
こちらに駆け寄ってきたフィセルの言葉にジゼルは頷き、オーマがいる場所へと急いだ。
――――――――ナラ、 ミンナ が ………見えなくなれ…… …ば、いいんダ
声はする。
けれども直接聞えるのではなくて、脳内に響く音。
「オーマっ」
駆けてきた二人が一緒に見えた背中に声をかけた。
――――――― だから、見 ……え なくしたの………よ………
大きな花が自分の感情をぶちまけていく。
その怒りが大きくなればなるほど、中心の空洞の部分から濃い霧を吐き出す。どんどん周りが白くなる。
脳内に直接声は響いたまま、花の独白は続いていく。
「大丈夫?」
「そっちは………?」
ジゼルがオーマに近づいた。それに気がついたオーマが振り向きながら言葉を返してくる。その言葉に、フィセルが静かに顔を上下に動かした。こっちは大丈夫だと。
「で、この花をどうするかだな?」
「まるで女の嫉妬のようなものだったのね」
「このまま、葬ってしまうのもいたたまれない」
2メートルを超える花の前で並んだ3人、ぽつりフィセルが呟いた。それを切欠にしばらく3人は考え込んだ。
その間も、花の独白は五月蝿く脳内に響いていた。
しばらくしてから、パンと両手を打ったのはジゼルだった。
「綺麗じゃないのがイヤなら、綺麗にしてあげればいいのよ……」
「いや、でもこんな巨体を?」
「綺麗というか、そのままでも大丈夫だということを教えてあげればいいとおもうの」
ジゼルは手を打ったまま。オーマとフィセルを見た。
「でもそれをどうやって?」
分からせばいいのだと、フィセルは尋ねる。相手は植物だ、言葉が通じるのかどうなのかだって怪しい。
「なら、俺たちは花屋に頼まれて花を摘みに来た。その花の対象がこの花だと分かれば納得してくれるかもしれない」
あくまでも、かなり希望的観測的な話。花がそのことを分かって、自分も必要とされていることが分かるのか、分かったとして納得して霧もはれるのか全てやってみないとわからない。
けれどもまずはやってみないとわからないから。
まるでコントのようなことが繰り広げられていく。
「まぁ、こんなところに綺麗な花がー」
今までここにいたのに、まるで今その花の存在に気がついたとでも言うように、ジゼルがパンと手を打って大きな花をみながら言葉を発した、酷く棒読みだった。
「大きくて、立派だ」
そうしてそれに続いたのが、腕組みをして花を見下ろすオーマ。顔を上下に大きく動かし、納得の表情をしてるのだが、ひどくぎこちない。
「これなら、花がなくて困ってる花屋も喜ぶだろう」
最後にフィセルが一歩花に近づき、花に向かって大きく手をひろげ、喜びを表現してみたがそれはなんだか下手なミュージカルをやっているようだった。
が、フィセルの最後の言葉を聞いて、吐き出す霧の量が極端に減った。
よし。もうひといき。
3人が一斉に心の中で叫んだ。
「こんなに素敵な花ですもの、花屋さんも大喜びだわ」
「そうと決まれば、さぁ、摘んで行こうじゃないかーっ」
ジゼルもフィセルに影響されたか、棒読みの台詞からなんだかミュージカルチックに節が突き出した。そうしてとどめにオーマが一歩花へと近づき、その言葉にフィセルが手に持っている剣をきらーんと空に掲げた。
花ビラに冷や汗を見たような気がした。
きらりと光った剣の存在に大きく広げていた花びらをしゅるしゅると閉じた。
大きな花はつぼみの状態になった。
と、同時に当たり一面を覆っていた白い霧が晴れた。
行き当たりばったりの作戦は成功した。
花は当分開きそうになかった。
霧が晴れた森で、三者三様に別れて思い思いの花を摘むことにした。
霧がはれた森では春の花が咲き乱れていた。
あまり花に詳しくないフィセルは色の洪水のような森の中をゆっくりと、歩きながら少しだけ途方に暮れていた。
どれも綺麗な花なのだけれども、それを何故だか摘んでいこうという気にはならなかった。
ふっと足を止めた。
眼に入ったひとつの花。
小さく可憐にけれども、ひっそりと咲く雪割草だった。
その花を見たのは初めてだった。けれどもその花を雪割草だと確かに認識できたのは、妹の言葉だった。
その言葉がはっきりと脳裏をよぎった。
フィセルはしゃがみ込み、そっとその花を指先で愛でた。
薄藤色の小さく、春を待ちわびていた花を男は摘むことにした。
花を摘み終わり、白山羊亭へと戻ってみれば嘆いていた青年の姿はなかった。
「ここで、困っていた花屋の彼はしらないかい?」
フィセルはルディアに尋ねた。その言葉にルディアはにこりと笑いながら答えた。
「ここで嘆いていても仕方ないからと、ご自分のお店にもどられましたわ」
ならと、フィセルはルディアにその店のある場所を聞き、花を届けようと白山羊亭を後にした。
聞いた花屋はすぐに見つかった。花屋なのに花があまりなかったから。小さな店舗に陳列された花は青いスミレやスノードロップの青と白の花と、白いエゾエンゴサクと、花屋は白と青に彩られていたものの、花屋にしてはその絶対数は少ないものだった。
「こんにちわ」
その花屋に近づき、挨拶をしたのはフィセルだった。
「あぁ、こんにちわ。いらっしゃいませ」
「いや、私は客ではないのです」
フィセルの存在に気がついた、花屋はフィセルが客だと思ったのかそのまま接客しようとするから、フィセルは自分は違うと軽く顔を左右に振った後、手に持った花を花屋へと差し出した。
「白山羊亭で、あなたの依頼を見て。微力ながら力になれないものかと思ってね」
差し出したのは摘んできた、雪割草の半分。もう半分は自分が持ったまま。
その言葉に花屋の青年は深く頭を下げた。
「ありがとうございます。助かります」
「全部をお渡ししたいのだけれども、これは妹へともって帰ろうと思って」
「妹さんへ………?なら、そのままよりもリボンぐらいかけさせてください」
妹へと持って行きたいという雪割草。それにお礼だからというように、フィセルが持って帰るという雪割草をもらい。薄藤色の小さな花を綺麗にラッピングし最後に白いリボンをかけてはフィセルへと返した。
「妹さん、喜ぶといいですね。…………僕もみなさんのおかげで助かりました」
また何かあれば、寄ってくださいね。という花屋の青年に、フィセルはありがとうとお礼を言った。ただの野草に過ぎなかった雪割草が、花屋の手によって綺麗な花束になった雪割草。妹は喜んでくれるだろうか?そんなことを考えながらフィセルもまた春の到来を感じていた。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1378/ フィセル・クゥ・レイシズ/ 男性/ 22歳/魔法剣士
3247/ ジゼル・デカルト/ 女性/ 23歳/ 冒険商人
1953/ オーマ・シュヴァルツ/ 男性/ 39歳/ 医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り
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■ ライター通信 ■
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フィセル様
こんにちは、櫻正宗です。
この度は【嘆きの花屋】にご参加下さりありがとうございました。
初めてのご参加ありがとうございます。
クールな中に秘めた情熱を抱えているフィセルさんはきっと、クールに見せていても
きっと優しいひとじゃないだろうかと思いました。
見えないところで努力をする、そうして最後に妹さんが大好きなところを書かせていただきました。
剣で戦うフィセルさんと、小芝居を繰り広げるフィセルさんのギャップが楽しかったです。
それでは最後に
重ね重ねになりますがご参加ありがとうございました。
またどこかで出会うようなことがあればよろしくお願いいたします。
櫻正宗 拝
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