<PCクエストノベル(5人)>


漆黒の裁き 〜ウィンショーの双塔〜

 ------------------------------------------------------------
 【冒険者一覧】

 【整理番号 / 名前 / クラス】

 【 1953 / オーマ シュヴァルツ / 医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り 】
 【 2080 / シェラ シュヴァルツ / 特務捜査官&地獄の番犬(オーマ談)    】
 【 2081 / ゼン         / ヴァンサーソサエティ所属ヴァンサー    】
 【 2082 / シキョウ       / ヴァンサー候補生(正式に非ず)      】
 【 2085 / ルイ         / ソイルマスター&腹黒同盟ナンバー3(強制 】

 【助力探求者】

 【 なし 】

 【その他登場人物】

 【 NPC / ササラ 】
 【 NPC / ライラ 】

 ------------------------------------------------------------


○幸運は舞い降りる


 心境的にはまだ、春独特のあのどこかボンヤリとした季節を引きずっていると言うのに、どうも現実はそうはいかない。

ゼン「あっぢィィィィィィィ――――――――」

 両手にズシリと重たい荷物を持ちながら、ゼンがグッタリと肩を落として足を引きずる。

シェラ「なんだい、随分とだらしないねぇ」
シキョウ「ゼン、だめだめなの〜〜〜〜☆★☆★☆」

 まるで死者の徘徊と言わんばかりに重い足取りのゼンとは違い、シェラは暑さを感じさせないほどに優雅に歩いている。その隣をチョコチョコと歩き回るシキョウにいたっては、スキップでもしてしまいそうな勢いだ。
 ゼンがジロリと2人を睨むが、すぐに盛大な溜息をつくと隣を歩くオーマを見上げた。
 彼もゼンと同様に、両手いっぱいの荷物を持って歩いており・・・・・・・
 しかし、その表情はゼンよりもいささか清々しいものだった。

オーマ「友よ」
ゼン「ルッセーぞオッサン!あ゛ァァァアァァア・・・・っぢぃィィイイィィイィ―――――」
ルイ「しゃきっとしてください、ゼン」
ゼン「ルッセ――――――っ!!!」
シキョウ「ゼンは、おこりんぼなの〜〜〜っ♪」

 絶叫するゼンの周りをクルクルと回るシキョウ。
 その様子にゼンが青筋を引きつらせ・・・・・・・・・・

ゼン「こンのクソガキ―――――ッッッッ!!!!!」
シキョウ「きゃ〜〜〜っ!ゼンがごらんしんなのぉ〜〜〜!!」

 両手の荷物の重さはどこへやら、シキョウを追い掛け回すゼンと、キャッキャとはしゃぎながら逃げ回るシキョウ。
 ヤレヤレ、これだからお子様は・・・と言った様子で頭を抱えるシェラと、ほほえましくその光景を見詰めるオーマ。

ルイ「ふむ・・・いけませんね・・・」
シェラ「どうしたんだい?難しい顔して」
ルイ「このままの速度でお2人が走って行けば、そのうちあそこに見える福引会場の長机に・・・」

 ご丁寧な解説の最中、ルイの予言通り、先を走っていたシキョウが茶色い長机にぶつかり、派手に転んだ。
 かなりのスピードで走っていたゼンは、急ブレーキをかけざるを得なくなり・・・
 結果、つんのめってベシャリと一直線に地面へダイブした。

ルイ「やはりそうなりましたか・・・」
シェラ「あんたはいつでも冷静だねぇ」
シキョウ「いったぁぁぁ〜〜〜〜〜いっ!!!!シキョウのおひざが〜〜〜っ!!!」
ゼン「ってェェエェェェ―――――っ!!っつか、どーしてテメーは前を見て走らね―――――ンだよっ!!!」
シキョウ「ゼンがどなるのぉぉ〜〜〜っ!!」
オーマ「大丈夫か!?っつか、腹黒マッチョでGO!な、絆創膏を・・・」
ゼン「ンなもんに腹黒マッチョがついてど――――――すんだよっ!!!!!」
シキョウ「きずぐちがまっちょになるのぉぉ〜〜〜〜っ!!!」
ルイ「まさに地獄絵図・・・ですね」
シェラ「あぁ、あそこの知り合いだと思われるのはちょっとばかし恥ずかしいねぇ」

 オーマが必死に絆創膏を探して服の裾をパスパスと叩いてはみるものの、どこへ仕舞ってしまったやら、どうにもこうにも絆創膏は見つからない。そうこうしている間にもシキョウがメソメソとし、ゼンが大声で喚いている。
 無論、シェラとルイは他人のふりだ。
 ―――――っと、シェラがあることに気付くと、ツカツカとオーマの元に歩み寄り、グイっとその胸倉を掴んだ。
 ごそごそとオーマの服を探り、ポイっと絆創膏を取り出すとゼンに放り投げた。
 そしてもう一方の手には真っ白な紙を握り・・・・・・・

シェラ「シキョウ、ゼンに傷口の手当てをしてもらったら、あそこで福引をしておいで」
シキョウ「ふくびき・・・・???」
ゼン「っっっつ――――――か、ンで俺がクソガキの手当てしなきゃなんネ―――――ンだよっ!!!」
シェラ「お黙り」

 ピシャリと、有無を言わせぬ口調で言うシェラに、ゼンがしぶしぶながらもシキョウの膝に絆創膏を貼る。
 少し切れているようだが、大した傷ではない。
 現に、シキョウも笑顔を取り戻しており、シェラから福引の券を受け取ると、早速係の若い男性に差し出した。

男性「2回まわせますよ〜」
シキョウ「シキョウ、がんばるのぉ〜〜〜っ!!」
ゼン「・・・ハズレはティッシュか・・・」
ルイ「一等はお米一年分・・・ですか・・・」
オーマ「お、そりゃいーな」
シェラ「2等は・・・なんだい、あの可愛くないぬいぐるみは」

 シキョウが木の取っ手を掴み、ガラガラと回す。
 コロンと出てきたのは白い玉で・・・一向はすぐにハズレの玉だと分かった。

男性「はぁ〜い、ティッシュが当たりましたよ〜!」
ゼン「そりゃ、当たったとは言わねェ―――よ・・・」
ルイ「当たったものは当たったものです。あの白い玉が“当たった”おかげで、ティッシュが手に入るのですから」
ゼン「っつってもよぅ、全員もれなく当たりますっつ―――――事じゃネェ?」
ルイ「1等や2等が当たった場合、ティッシュは“はずれ”たことになります」
シェラ「ま、そう言う考え方も出来るけどねぇ、米1年分とティッシュだったら、誰だって米を選ぶだろうさ」

 後ろでごちゃごちゃと言われているのを聞いているのか聞いていないのか、シキョウは再びガラガラと回し始めた。
 一回転して・・・・・・玉は出てこない。
 困惑するシキョウに、男性がもう1回まわしてみるように勧め、シキョウがコクリと頷きまわし始める。
 ・・・・・・・・・・コロン
 出てきたのは、金色に輝く玉だった。
 その玉を見た途端に、オーマの目の色が変わる。
 男性も驚いた面持ちのまま、右手に持った鐘を盛大に鳴らし・・・

ゼン「嘘ダロ――――――っ!!!!!???!?!?」
ルイ「お見事、ですね・・・」
オーマ「っしゃぁっ!!!これで当分の食料確ほ―――――――」
男性「おめでとう御座います!!ウィンショーツアー企画参加権利ゲットですっ!!!」

 男性が興奮した面持ちで喋る中、一同は“はぁ?”と言うような表情で固まっていた。
 勿論、その場に居た全員―――シキョウは抜かし―――は、てっきり一等のお米一年分が当たったものだと思っていたのだ。
 サラリと見てみても“ウィンショーツアー企画参加権利”などと言う福引の景品は見当たらない。
 1等はお米、2等はぬいぐるみ、3等はハンカチ、4等はメモ帳、5等はえんぴつ・・・と続いているのだ。


ゼン「ウィンショーツア―――――――??????」

 ゼンが眉を跳ね上げ、胡散臭そうに男性を見詰める。
 しかし、そんなゼンの視線は完璧に無視して、男性は奥の方にひっそりと置いてあった茶色い薄汚れた段ボール箱の中から黄色く細長い紙を取り出すと、5人に順々に手渡して行った。
 紙の中央には手書きの文字で“ウィンショーツアーご招待券”と書かれているのだが、へたくそなその文字は、子供が書いたと言われても納得の出来るようなものだった。
 どうやらこの賞は“特賞”のようだ。
 招待券の隅には特賞と、これまたへたくそな赤い文字で書かれおり、日付スタンプ以外は全て手書きで書かれていた。
 特賞を引き当てた超強運の持ち主のシキョウ以外、誰もが“何だ・・・”と言う面持ちで、招待券を捨てないまでも無造作に懐に仕舞おうとして・・・ハタと、その手を止めた。
 チラリと視界を過ぎった一文―――他の文字同様に書きなぐられたかのように書かれた小さな言葉―――に、思わず瞬きをし、繰り返し見詰めた。
 細々と書かれたツアー内容はすっ飛ばし、他の文字よりもいささか太い文字で書かれたそこ・・・・・・
 『優勝者には超豪華賞品贈呈』
 超豪華賞品―――
 その一文は、甘い蜜の味がした。
 けれど、例え同じものを見ていたとしても、感じ方は人それぞれだ。
 夕焼けを見て美しいと感じる人が居るのと同様に、切ないと感じる人も居るだろう。または、夕焼けと言うそのものに対して憎悪にも近い感情を持っている人もいるだろう。
 人の悲しいところは、同じものを見ても絶対的に同じ感情を共有できないと言う点だ。
 同じ美しいにしても悲しいにしても、人によって感じ方のベクトルは様々だ。
 そう・・・人によって、感じ方や捉え方が違う・・・
 それは、言わずとも知れたことではあったが、時に人はその超初歩的な事実を忘れる事がある。
 現在の5人も“超豪華賞品”と言う言葉を聞いて、全く別々のものを思い描き、別々の闘志を抱いていた。
 絶対に賞品を手にしてやる!と言う結論からすれば同じではあるが・・・そこに至る過程は三者三様だった。


●双塔


 カラリと晴れた空に、シキョウが喜びの声を上げる。

シキョウ「はれてよかったねぇ〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
ゼン「別に晴れてようが雨降ってようが、まったくもってカンケーネェ―――――!!!!」
ルイ「建物の中に入ってしまいますからね」
オーマ「ま、晴れた方が腹黒親父の脳細胞が活性化され・・・・・・・・」
シェラ「で?どうするんだい?」

 オーマのマッチョ的腹黒親父講座をぶった切ったシェラがそう言って腰に手を当てた。
 チラリと一同を見渡して・・・ゼンが何の事だと言うように首を傾げる。

ルイ「チームわけの事でしょうか?」
シェラ「2人1チームの規定・・・でも人数は5人」
ゼン「シキョウなんておまけみてーなモンじゃネ―か」
シキョウ「シキョウはおまけじゃないも―――――――んっ!!!」
ルイ「オーマさんとシェラさんはお2人で1組・・・で、如何ですか?」
シェラ「異論はないけどねぇ、3人でどうするんだい?」

 シェラの言葉に、ルイがにこっと微笑み・・・冷たい目でゼンをチラリと見た。
 なんだか嫌な予感がする・・・ゼンの背筋に冷たいものがつぅっと流れ―――――

ルイ「そんな事よりも、どうせですから今回も勝負をいたしませんか?」
オーマ「勝負だって?」
ルイ「えぇ。どちらが先に超豪華賞品を手にする事が出来るのか」
シェラ「ふぅん、楽しそうじゃないかい」
ルイ「けれど、普通にやっていては詰まりません」
シェラ「少々のスパイスは必要・・・そう言うことかい?」
ルイ「わたくしとシェラさんは作戦命令を出す役目・・・実行と戦闘はオーマさんとゼンに任せましょう」
シェラ「異論はないね」
ゼン「ちょ――――――――っと待てコラァァァァっ!!!!!!!」
ルイ「何か?」
ゼン「何か?じゃ、ネ―――――――ダロっ!!!なんだよソレ!めちゃめちゃ俺とオッサンが大変じゃね―――かっ!!!」
ルイ「・・・頭脳労働は、時に肉体労働よりも体力消費が激しいのですよ?」
ゼン「ったく!!!おい、オッサン!コレは断固抗議の構えで・・・・・・・・・」
シェラ「オーマにいたっては、同じく異論はないようだけどねぇ」

 蛇の睨みならぬ、地獄の番犬様の睨み。
 オーマはカクカクと、人形のように青い顔をして頷いている。

シキョウ「シキョウはどうすればい〜〜〜〜のぉ〜〜〜〜???」
ルイ「シキョウさんは、ゼンがおんぶをしくださるそうですから」
ゼン「ちょ―――――待った!!俺がイツ、ドコデ、このクソガキおぶるっつったよ!?」
ルイ「今、現在、この場で、おっしゃったじゃありませんか。“このクソガキおぶる”と」

 揚げ足取り以外の何者でもないルイの言葉に、ゼンが激しく頭をかきむしる。

シキョウ「ゼンがおうまさんでぇ、シキョウがぱかぱかするのぉ〜〜〜〜♪♪♪」
ルイ「3対2のハンデは必要ですから」
シェラ「それじゃぁ、もう1回ルールを復習しようじゃないかい」
ルイ「まず、わたくしとシェラさんは戦闘行為は一切禁止です」
シキョウ「シキョウはぁ〜〜〜???」
ルイ「ゼン次第でしょうね」
ゼン「おいクソガキ・・・なるべく俺の足手まといにならネ―――ように、大人しくしとけよ!?」
シキョウ「はぁい、は〜〜〜〜い☆★☆★☆★☆」

 どうやら諦めた様子のゼンがそう言ってシキョウをチラリと見・・・シキョウが、はたして本当にわかているのか!?と突っ込みたくなるほど軽い調子で片手を高々と突き上げて返事をした。

ルイ「ただし・・・お仕置きはOKと言う事にいたしましょう」

 ルイの一言にオーマとゼンがビクリと肩を震わせ・・・恐る恐るパートナーの顔色を窺う。
 シェラとルイはにっこりと柔らかく微笑んでおり―――それが尚更恐怖を煽るのだった。
 ガタガタと震えるオーマとゼン。そして・・・その気がどこに掛かるのか定かではないながらも、ヤル気満々のシェラとルイ。

シキョウ「おしおきなのぉ〜〜〜♪オーマもゼンも、ぺんぺんだねぇ〜〜〜〜!!!」

 最後、シキョウはわくわくと言った様子で可愛らしくそう言って・・・
 オーマとゼンは必死に心の中で叫んでいた。
 ぺんぺんなんて、可愛らしいものなわけがない、と――――


* * * * * * *


 右手に聳える塔に入ったシェラとオーマは、仕掛けられたトラップを慎重に1つ1つクリアしていた。
 作戦係のシェラは汗一つかいておらず、涼しい顔でオーマに指示を飛ばしている。

シェラ「まったく、ここまでトラップが多いと大変だねぇ」
オーマ「トラップだけじゃねぇっ!」

 オーマがそう叫んで、目の前から突進してきた男を避けるとポンとその背を押した。
 そのまま2,3歩つんのめり・・・今さっきクリアしたばかりの落とし穴に吸い込まれて行く。
 そう、このツアーは何もオーマ達だけの参加ではない。
 参加者達は多数おり・・・
 他の参加者を脱落させる事は禁止されていないが、あくまで“脱落”させる事のみ許されているのであって、過度の攻撃は禁止されている。

シェラ「ま、なんの事はないねぇ」
オーマ「こっちは大変だがな」
シェラ「私の身くらい守れないでどうするんだい」
オーマ「・・・普段は守らなくても大丈夫だかんな・・・」
シェラ「何か言ったかい、オーマ?」

 ポツリと呟かれた言葉に、シェラが眉を跳ね上げる。
 それは本当に、口の中で呟いた程度の声だったにも拘らず・・・聞こえるなんて、流石としか言いようが無い。
 オーマはブンブンと頭を左右に振って無罪を主張する。
 その間も、他の参加者たちの攻撃を華麗にかわし、壁から飛び出して来た槍(先はゴム製)を避けると走り出した。
 続く階段を駆け上がり・・・これで3階制覇・・・
 そう思った時だった。
 微かにだが、雰囲気が変わった気がした。
 そして、階段を駆け上がった先・・・そこにあったものは――――――


* * * * * * *


 左手に聳える塔に入ったルイとゼン、そしてシキョウは仕掛けられたトラップを慎重に1つ1つクリアしていた。
 作戦係のルイは汗一つかいておらず、涼しい顔でゼンに指示を飛ばしている。
 シキョウにいたっては、ゼンの背中にしがみ付いてキャッキャと足を振っている。

ルイ「ここまでトラップが多いと大変ですね」
シキョウ「ゼンがはぁはぁいってるのぉ〜〜〜〜〜〜♪」
ゼン「ルッセ――――――――――!!!!動くなっつってンダロ――――――がよっっっっっ!!!!!」

 ゼンはそう叫ぶと、壁から突き出してきたナイフを避けた。
 ナイフの先端がキラリと光って隣の壁に突き刺さる。

ゼン「っつか、ホンモノかよっっっっっっっ!!!?!?!?!!????!!!」
シキョウ「ぐっさりだったのぉ〜〜〜☆★☆★☆★☆」
ルイ「お見事ですね」
ゼン「見事とかじゃねぇっ!!!!スッゲ―――――命懸けじゃねェかっ!!!」
ルイ「オーマさんとシェラさんが入った塔の方は、怪我程度で済むようですが、こちらはそうは行きません」
シキョウ「ゼンはいたいいたいなのぉ〜〜〜〜〜????」
ルイ「こちらは難易度Sクラス、あちらは難易度Bクラスです」
ゼン「なんでンな難易度に開きがあんだよ―――――っ!!!っつか、何で俺らがS!!!???」
ルイ「ハンデは必要でしょう?」
シキョウ「シキョウたちのが、おおいもんねぇ〜〜〜〜〜♪♪♪」
ゼン「多いとかじゃネェ!っつか、俺が大変なんじゃね――――――――かよっ!!!!!!!」

 ゼンがそう叫んで、ルイに向かっていたナイフを叩き落すと足元がパカリと開き・・・慌てて走り出す。
 シキョウが楽しそうに「いけいっけぇ〜〜〜〜☆★☆」と叫んでいるのに対してちっと舌打ちをしながら、それでも足は止めない。
 前方に階上へと続く階段を見つけ・・・走り出す。
 続く階段を駆け上がり・・・これで3階制覇・・・
 そう思った時だった。
 微かにだが、雰囲気が変わった気がした。
 そして、階段を駆け上がった先には・・・
 美しい教会が建っていた―――


●裁きは漆黒の


 真っ白な道が続く先にあるのは、美しいとしか形容できないほどに綺麗な教会だった。
 両開きの扉には凝った細工が施されており、見上げると、2階ではステンドグラスがキラキラと光っているのが見えた。
 三角屋根の頭には銀色のシンプルな十字架が煌いている。

ゼン「オッサン達じゃネェ―――――か」
シキョウ「とうはつながってたのぉ〜〜〜???」
ルイ「おかしいですねぇ。それにしても、この教会は・・・?」
シェラ「あんた達も来ちまったのかい?」
オーマ「おかしいな・・・確かに階段は1つしかなかったはずなのに・・・」
ルイ「妙な気配を感じますね。戻りますか?」
ゼン「はっ・・・戻る?おいコラ、ンなにバンバン殺気受けて、尻尾巻いて逃げれるわけネ―――――――ダロっ!!!!!」

 ゼンがシキョウを下ろすと、乱暴に教会の扉を蹴り開けた。
 オーマとルイがすっと真顔になり、シェラがシキョウの腕を掴む。
 確かにゼンの言う通り、中からは突き刺さるような殺気がこちらに向けられていた。
 2階のステンドグラスの窓を見上げる・・・が、そこに人の姿はない。
 そう、それは具体的に“何処から向けられている殺気の視線”というわけではなかった。
 言うなれば、この教会全体から殺気のようなものが発せられているようにさえ感じる。
 ゼンが蹴り開けた扉の中、一番最初に目に入ったのは真っ白な聖母像だった。
 その背後にもカラフルなステンドグラスがはめられており、外からの光を中へと取り入れている。
 聖母像へと続く道は真っ直ぐで、左右にはいくつもの長椅子が置かれている。
 左手奥にはグランドピアノが置いてあり、右手にはパイプオルガンも置かれている。

シェラ「見たところ、普通の教会みたいだけどねぇ」
オーマ「人の気配もなし・・・か」
ゼン「だったら、このへばり付くような殺気はなんなんだっつのっ!!!」
ルイ「相当な悪意の篭った視線のように思いますが」
シキョウ「あれ・・・あれなに〜〜???」

 シキョウが真っ直ぐに指差した先は聖母像の丁度前だった。
 縦長の長方形の形をした何かが置かれており、それには真っ白な布がかけられていた。
 ゼンがコツリと木の床を踏み・・・オーマとルイがその後に続く。
 シェラが背後を確認しながらシキョウの手を引いて、ゆっくりと・・・全員は聖母像の足元まで近づいた。
 ゼンが白い布に手をかけ、一呼吸置いた後で一気に布を引いた。

 ―――そこにあったのは、大きな鏡だった。
 ―――縁に金色の装飾が申し訳程度に施された、いたってシンプルな鏡だった。
 ―――縁の装飾は何かの植物のようで、控え目な花と長い茎が印象的だった。

 見た鏡は皆同じだった。
 けれど、その中に見えたものは皆違うものだった。
 まるで網膜に張り付くかのように見えたのは、自分の姿のみ―――――

 オーマは鏡の中に、銀髪赤目の青年を見た。
 こちらを見る瞳には憎悪が見え隠れしており、無表情に近いその顔の中で、視線だけがギラついていた。
 シェラは鏡の中に、嘗ての自分の姿を見た。
 少女時代、姉を殺めた時の格好で、血に濡れた服を着ており・・・その目は、絶望と憎悪を含んでいた。
 ゼンは鏡の中に、黒髪黒目の10歳の少年の姿を見た。
 どこか虚ろなその瞳は真っ直ぐにゼンの瞳を捕らえており、虚ろな中に光る憎悪に背筋が冷たくなった。
 シキョウは鏡の中に、黒髪赤目の17歳の少女を見た。
 あどけなさを残す可愛らしい顔の中、赤く光った瞳は突き刺さるかのような鋭い色を宿していた。
 ルイは鏡の中に、銀髪碧眼の青年の姿を見た。
 よく見慣れたその姿は、怖いくらいに無の表情をしており・・・それでも、その瞳は確かな殺意を宿していた。

 皆、見えたものは違うものだった。
 けれどもソレは直ぐに掻き消えた。
 はっと気がついた時には、鏡には己の姿が映っており、その場に居る全ての風景を映していた。

オーマ「今のはなんだったんだ・・・・・・・」
???『漆黒の裁きを・・・」
シェラ「今の声はなんだい・・・!?」
ゼン「誰だっっっっ!!!!???!!」
???『裁かれるのは誰か。裁かれぬのは誰か。裁きの剣は犯した罪の重さに比例するの』
シェラ「随分と穏便じゃないねぇ」
シキョウ「みんなっ!!!あれっ・・・・・・・!!」

 甲高い少女の声が響く中、シキョウが怯えた様子で聖母像を指差した。
 一段高い場所にあるそれを見上げ・・・その瞬間、息を呑んだ。
 真っ白な聖母の像両の瞳からは、止め処もなく赤い涙が流れ出していたのだ。
 血の涙―――それは、つうっと聖母の頬を滑り、身体を滑り、足元にパタリと落ちた。
 パタリ、パタリ
 足元が赤く染まっていく。
 聖母像に視線が釘付けになっていると、突然背後から大きな音が響いた。
 咄嗟に振り向けば、開け放たれていたはずの扉が閉まり、ガチャリと施錠する音が響いた。
 シェラが走り、扉に鍵がかかっている事を確認する。
 ・・・内鍵は、ない・・・

シキョウ「とじこめられちゃったのぉ〜〜〜??」
オーマ「・・・何か聞こえるぞ・・・」
???『貴方達の生きている価値は何?』
???『どうして貴方達が生きているの?』
???『ねぇ、意味なんて本当はないんじゃない?』
???『ただ時の流れに身を任せているだけ』

 先ほどと同じ、声は甲高い少女の声で、クスクスと囁くような笑い声が教会の中に響いている。
 吹き抜けになった高い天井には幻想的な世界が描かれていた。
 天使が女神の周りを飛びまわり、祝福の花弁を撒き散らしている。
 この教会は3階建てらしく、2階部分3階部分には無数の扉が見える。
 グルリと長い廊下は丁度聖母像の真上で途切れており・・・それはきっと、巨大なステンドグラスのためだと、容易に想像が出来た。
 バタンと背後から扉が開閉される音が響き、咄嗟に2階、3階の廊下を確認する。
 しかし、そこには誰の姿もない。
 今度は右手から同じ音が聞こえ・・・そこには、誰も居ない。
 少女達の声は不自然に響いて聞こえ、教会の持つ反響性を明らかに逸脱していた。
 声が響きすぎている・・・
 シキョウが一番近くに居たゼンの服をギュっと握り、その背後に隠れるように身を小さくした。

???『貴方達は生きていく上で、どれほどの命を踏みにじっていると思う?』
???『食べ物だって命』
???『貴方達が歩く、それだけで小さな生物を殺している』
???『地面を這う虫』
???『道端に咲いた雑草』
???『貴方達が踏めば死んでしまう』
???『命が一つ、儚く消える』
???『ねぇ、貴方達にはそれだけの事をする価値があるの?』
???『他者の命を踏みにじってまで、生きる・・・意味はあるの?』

 声は色々な方向から聞こえていた。
 背後から聞こえ、右手から聞こえ、左手から聞こえ・・・時に、聖母像の口元から言葉は紡がれているようにさえ聞こえた。
 扉の開閉音は止む事を知らず、バタンバタンと大きな音を立てている。

???『故意じゃなかったなんて、ただの言い訳』
???『仕方がないなんて、ただの言い逃れ』
???『貴方が生きている事で』
???『他の生命が失われる』
???『ねぇ、どうして貴方が残ったの?』
???『どうして貴方が選ばれたの?』
???『死者の上に立つ者達よ』
???『死んで行く者の気持ちの分からぬ者達よ』
???『血に染まった己らの未来に』
???『輝きは無い』
???『あるのは地獄』
???『あるのは闇』

 ふっと、視界が暗くなった気がした。
 畳み掛けるような少女達の声は耳元で聞こえて来ているようで―――――
 見れば周りには誰も居なかった。
 直ぐ近くに居たはずの仲間達の気配は無く、その場に居るのは自分と、血の涙を流す聖母像・・・そして・・・

???『犯した罪は償わなくてはならない』
???『けれど、貴方は罪を償おうともしない』
???『毎日食事をし』
???『毎日町を歩き』
???『毎日、命を奪っている』

 何時の間にか聖母像の両側には真っ白なワンピースを着た少女が2人立っていた。
 双子なのだろうか・・・
 外見年齢は13歳程度。
 金色の長い髪を頭の高い位置で2つに結び、それを赤いリボンでキュっと縛っている。
 右手の子は左が金で右が赤のオッドアイ。
 左手の子は左が赤で右が金のオッドアイ。
 人形のように表情のないその顔は、瞳が憎悪に揺れており、口角が微かに上がっていた。

???『今度は貴方が奪われる番』
???『今度は貴方が踏みにじられる番』

 カツンカツン・・・
 少女達の足元はまるで水面のように揺らめいていた。
 綺麗な円が広がる・・・その様は美しいものだった。
 左右の円が合わさる中心には聖母像が立っており、丁度聖母像の真ん中の直線状で円同士が掻き消える。
 少女達の足取りは軽やかで、響く足音は広い闇に反響して幾重にも重なって聞こえた。
 逃げなければ・・・
 そう思うものの、身体は動かない。
 少女達が目の前でピタリと止まる。
 俯いていた顔をゆっくりと上げ・・・
 心臓が高鳴るほどの殺意は、真っ直ぐにこちらに向けられていた―――

???『貴方は今、此処で』
???『死ぬの・・・・・・・』

 にっこり、微笑んだ笑顔は残酷だった。
 何時の間にか少女達は豪華な装飾の施された剣を持っており、それを振り上げる。
 ―――身体は・・・動か・・・ない・・・・・・・・


○明日があると言う事


???「いつまで伸びてるの。早く起きてくれないかしら?」
???「ちょっ・・・もっと優しく起しなよ・・・!」

 どこか冷たい響きを持った少女の声と、慌てたような少年の声。
 チカっと目の前が眩み・・・身を起す。

???「やっと起きた・・・」
???「他の人も起きたみたいだよ!」

 少年が嬉しそうにそう言って1人1人に駆け寄るのを、少女が溜息混じりに見ている。
 知らない女の子と男の子・・・
 けれど、オーマだけはその2人が何者なのかを知っていた。

オーマ「ササラにライラじゃねぇかっ!!!」
ササラ「お久しぶりです、オーマさん」
ライラ「おう!久しぶりだな、オーマ!」
シェラ「なんだい、あんたの知り合いかい?」
オーマ「あぁ、前にちょっと・・・な」
ゼン「・・・っつ―――――か、何だったんだよアレは!!???!!?!」
ライラ「そうだ!オーマ、俺はすっごく驚いたぞ!何でこんなトコにいたんだ!?」
ササラ「ここに“魔”が増幅してるって噂を聞きつけて来たの。ここは以前、双子の少女が住んでいたようだけれど・・・ある嵐の日に、宿場所を求めてやって来た盗賊達に殺されてしまったそうなの。ここって教会でしょう?だから、快く盗賊達を受け入れてしまったのよ・・・」
ライラ「その2人って、小さい時に両親を亡くして、ここに住んでた神父さんに助けられたんだって」
ササラ「その神父さんって言うのも、少女達を保護したすぐ後で病気で亡くなってしまったのよ」
オーマ「・・・盗賊に殺された少女達が、どうして“魔”を・・・?」
ササラ「貴方達は、ここに何が見えているの?」
シェラ「何って、綺麗な教かい・・・・・・・・・」

 シェラがそう呟いた時だった。
 突然全ての風景がサラサラと細かく乾いた音を立てて崩れた。
 美しいステンドグラスも色を失い、床にも埃が積もり、壁には何の植物とも知れぬ蔦が絡まっている。
 聖母像は粉々に砕かれ、グランドピアノもパイプオルガンも壊されている。
 2階と3階部分は焼け落ちており、天井にはポッカリと青い空が広がっている。

ルイ「・・・これがこの場所の本来の姿でしょうか?」
ゼン「うそダロ・・・・・・・・」
ササラ「盗賊達は自分達が犯した罪から逃れるために、この場所に火を放った。2階で殺した少女達の部屋に火をつけ、周囲の森にも火を放ち・・・」
ライラ「自分達が逃げるために、そうしたんだ。そのせいで、森に住んでいた動物達も・・・命を落とした」
ササラ「幸い、煙に気付いた付近の住人が火を消し止めて全焼は免れたんだけどね」
オーマ「それがどうして・・・」
ササラ「住人達は、少女達を丁重に葬ったわ。けれど、少女達は人を憎んでしまった」
ライラ「最初は、自分達を・・・森の生き物を殺した盗賊達を。次に、森の生き物を狩る人々を」
ササラ「植物を摘む人、踏みにじる人・・・毎日多くの生命を断っている、人を・・・憎んだ」
ゼン「そんなン・・・・・・・・・」
シキョウ「でも・・・、でも・・・・・・・」
ササラ「生きるためには仕方のない事。それでも、彼女達は納得が出来なかった。何でだか、分かる?」
シキョウ「なんでなの・・・??」
ササラ「自分達が、死んでしまったからよ」
ライラ「明日の無い自分達を、明日の無い生物達に重ねちゃったんだ」
ササラ「明日のある人間を、憎悪したの。明日があるのは他の生物の生命を断ってなのに、それを微塵も考えようとしない愚かな人間を、許せなかったの。他の生命への感謝を忘れた人間と言う生物を・・・許せなかったのよ」
ライラ「あんなに綺麗な心だったのに・・・“魔”を集めちゃったんだ」

 ライラが寂しそうに言って、壊れた聖母像をそっと愛しそうに撫ぜた。
 両親を失い、救いの手を差し伸べてくれた人まで失ってしまった。
 辛い境遇にも負けずに、めげずに、2人で前を向いて歩いていた少女達。
 ・・・それすらも踏みにじられた・・・大好きだった、森の生き物まで踏みにじられた・・・
 教会の直ぐ前の木には鳥が巣を作っており、小鳥が生まれたばかりだった。
 森で怪我をしたウサギを教会の2階の一室に保護していた。
 花壇に植えたチューリップ、そこに巣を作った蟻。
 全て―――――全て、失われてしまった・・・・・・・・・
 自分の事しか考えない愚かな人間達によって、一瞬にして、未来は断たれてしまった。

シキョウ「ひどい・・・っ・・・ひどいよっ・・・」

 シキョウが涙目になり、ゼンの服をギュっと掴む。
 ゼンが苦々しい表情で俯き、シェラもルイも、複雑な表情で固まっている。

オーマ「それで・・・あの子達はどうしたんだ?」
ササラ「一度染まった心は、戻るのが難しいの。特に人の心は・・・難しいの」
ルイ「“魔”を落とした結果、存在が消えたと・・・そう仰りたいのでしょうか?」
ササラ「貴方はとても頭が良い」
シキョウ「っ・・・そんなのっ・・・・・・・・・」
ササラ「一度黒く染められた白は、元の輝きを取り戻せない事が多いの。・・・でも・・・」
シェラ「でも?」
ササラ「私は今日、初めてその考えが間違いだったと気付いたわ」

 ササラがすっと指差す先には、粉々に割れた鏡の欠片が落ちていた。
 オーマがそれを一つつまみ、覗き込む・・・
 真っ白なワンピースを着た少女達が、背の高い男に手を引かれて去って行く、その後姿が映っている。
 少女達の長い髪が揺れ、まるで喜ぶかのような足取りは軽い。

オーマ「これは・・・」
ササラ「あの鏡ってね、彼女達が殺された部屋に飾ってあったものなの。ずっと、ずっと・・・彼女達を見ていたモノなの」
ライラ「例え姿を変えようとも、心だけは永遠に・・・って、昔誰かが言ってたな」
シキョウ「じゃぁ、じゃぁ・・・あのこたち、みんなのもとにいけるのぉ????」
ササラ「そうね、神父さんはきっと、彼女達を導いてくれるはずよ」
ライラ「何せ、“魔”を祓った俺らの前から、サっと2人を連れてっちゃったんだもんな〜」
シェラ「それほどまでに、あの子達の事を思ってたんだろうねぇ」
ゼン「――――――ンだよ・・・・・・びっくりさせやがって・・・・・・・・」
ルイ「めでたし、ですね・・・・・・」
ササラ「そう言えば、どうしてオーマさん達はこんなところに?」
シェラ「・・・ここはウィンショーの双塔じゃぁなさそうだねぇ・・・」
ライラ「ウィンショーの双塔??」
ゼン「ってか、ア――――――――――――――っ!!!!!!!!!」

 ゼンの叫び声を聞いて、他の面々も叫ばないながらも心の中では同じ事を思っていた。

ゼン「賞品がァァァァ―――――――――――ッッッッッ!!!!!!!」


●続く、未来へ


 結局あの後、ライラとササラの力を借りてウィンショーの双塔へと戻ってきたは良いが・・・
 決着はとっくについていたらしく、塔には人の姿はなかった。
 そして・・・塔の階段がどうしてあの場所に繋がっていたのかも、全ては謎に包まれていた。
 ただ、ササラがポツリと“真実の鏡に呼ばれたのかも知れない”と呟いたのが印象的だった。
 本業に忙しいササラとライラはウィンショーの双塔に一同を送り届けると別れの言葉を述べた。

ライラ「また今度、会った時は遊ぼうなっ!」
シキョウ「うん!たっくさん、たぁ〜〜〜っくさんあそぼ〜〜〜ねぇ〜〜〜♪♪♪」
ササラ「それでは、失礼します」
シェラ「気をつけて帰るんだよ?」

 手を振りながら別れたのはつい先刻。
 心の奥底では、どこか物悲しい“別れの後”の感情が渦巻いていた。

ルイ「それにしても・・・」
シェラ「どうしたんだい?」
ルイ「勝負の行方がなくなってしまいました」
ゼン「別にイーじゃネェか。色々あったんだし」
オーマ「引き分けっつー事で・・・」
ルイ「いいえ、引き分けじゃありません。ゼンの一人負けです」
ゼン「ハァ―――――――――――――――!!?!!??!?!?!」
ルイ「勝負途中でシキョウさんを下ろしてしまったじゃないですか」
ゼン「だ・・・だってアレは・・・」
シキョウ「ゼンのまけなのぉ〜〜〜☆★☆★☆★☆★☆」
ゼン「ッツ――――――か、連帯責任じゃネ――――――のかよっ!!!?!??!?」
ルイ「わたくし、いつ、どこで、シキョウさんを下ろして良いと言いましたか?」

 いま、ここで、“シキョウさんを下ろして良い”と言ったじゃネ――――――かっ!!!!
 などと、ルイと同じ言葉で返せるほどゼンは頭脳派ではなかった。
 笑顔のままルイに腕を掴まれ・・・・・・・・

ルイ「さて、罰ゲームは何にいたしましょうか?」
オーマ「さぁて、どうすっかなぁ」
シェラ「そうだねぇ」
シキョウ「シキョウもかんがえるのぉ〜〜〜〜っ♪♪♪」


ゼン「嘘ダロ――――――――――――――っっっっっっ!!!!!???!?!?!?」





END