<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>


双六! 【 紫の書編 】



◇★


「双六をしましょう!」
 その日、突如白山羊亭を訪れた少女はそう言った。
 前回と、それから前々回とまったく同じ登場に、ルディアは目を丸くした。
「ティリアスさん・・・!?」
「そー!お久しぶりだね☆」
 少女・・・ティリアス・バッカーノはそう言うと、文庫本サイズほどにたたまれた紙を手渡した。
 ・・・双六の紙だ・・・。
 右隅には“ドキドキ☆人生の縮図のようだよ!大双六大会!【紫の書】”と書かれている。
 これも前回と、そして前々回と同じだ。
「今回は紫ですか・・・」
「紫の書って言うのは・・コレが入っていた箱が紫だったからだと思うんですけど・・」
 ティリアスはそう言うと、すっと紫の箱を取り出した。
 そこにも“ドキドキ☆人生の縮図の・・・(以下略)”と書かれている。
 前回と、そして前々回ととまったく同じ説明をされて、ルディアは苦笑した。
 前に二度、双六と言うものをやった事がある。
 今回とまったく同じようにティリアスが持ってきたのだが・・・
「・・・ちなみに、今回はどんな内容なんです?」
「実はですねぇ・・・」
 ティリアスはそう言うと、双六を開いた。
 パサリと白山羊亭の机に広がった紙の上には、マスが6つしかない。
「今回はすこーし普通の双六とは違うんです。マスはたったの6つ。つまり、サイコロを振るチャンスは1回だけ」
「1回だけ・・・ですか?」
「紫の書は、世界のあらゆる怪を閉じ込めた書なんです。不思議で幻想的で、ちょっぴり怖い怪を6つ」
 ティリアスの細い指がすーっと双六のマスをなぞる。
「このマス1つ1つに閉じ込められた“怪世界”の中で、出口を探すんです。出口にたどり着かなければそのまま双六に飲み込まれ“怪世界”の一員になります。無事出口を見つけられたならばこの世界に戻ってこられます」
「凄く危険ですね・・・」
「えぇ。しかも、怪はこちらに危害を加える事は出来ますが、こちらから怪に手を出す事はできません」
「そんな・・・」
「でも、要は頭を使えば良いんです」
 悪戯っぽい瞳でそう言うと、ティリアスは自分の頭を指差した。
「逃げるか隠れるかをすれば怪をやり過ごす事が出来ます。頭を使えば・・・もしかしたら怪の攻撃を阻止する事が出来るかもしれません。怪の弱点を知り、怪を避けながら出口を目指す。途中で怪に捕まれば・・・」
 その先を、ティリアスはあえて暈した。
「それで・・・その6つの怪と言うのは・・・?」
「さぁ。入ってからのお楽しみです。・・・だって、運命は全てサイコロの目次第なんですもの」


★◇


 買い物帰りの道筋に白山羊亭を見つけ、オーマ シュヴァルツは何の気なしにその扉を開けた。
 いつも賑わっている白山羊亭の中、1人の少女が満面の笑みで走ってくると両手一杯に買い物袋をぶら提げたオーマの腕に飛びついてきた。
「うお!?」
 グラリと一瞬だけ体が揺れるが、そこはなんとか持ち直して改めて自分の右腕にしがみ付いている少女を見やる。
 ルディアでないことだけは確かだった。
 現に今、目の前で忙しそうにテーブルの間を行ったり来たりしている。それに、ルディアはこれほど元気の良い少女ではない。と言うか、両手に荷物を沢山持ってやってきた客に対して飛びかかるような、一歩間違えれば襲撃ともとられない攻撃性を見せることはまず有り得ない。
 だからこそ、腕にしがみ付いている少女に目を向け、それが見知った顔であるときオーマは思わず安堵とも溜息ともつかぬ声でその名を呼んだ。
「ティリアスじゃねぇか」
「はぁい、オーマさん、お元気でしたぁ?」
 相変わらず元気そうなティリアス。
 ニパッ☆っと言う音が聞こえてきそうなほどに明るく元気な笑顔。
 その腕の中にチョコンと収められている紫色の文庫本サイズほどの箱を見て、オーマは口元をキュっと引き締めた。
「俺はいつも通りだ。ティリアスも、元気そうじゃねぇか」
「私はいつだって元気ですよー☆」
「で、また今日も双六・・・か?」
「・・・そうです」
 一瞬だけティリアスの瞳が妖しく光り、すぅっと波が引くかのように元気な笑顔が変化する。
 笑顔は笑顔でも、無邪気な少女のようなソレではなく、全てを悟った女性のような表情だった。
「今回は紫の書です」
 手の中に収められた濃い紫色の箱を指差す。
 どこか妖しいのは、色のせいだけではないのだろう・・・。
「どんな内容なんだ?」
「それは、サイコロを振ってのお楽しみです!」
「お楽しみっつったってなぁ・・・」
 人生、蓋を開けてみないとわからないものは多々ある。
 しかし、だからと言ってどんな種類かはわからないが“危険”だと言う事が最初から分かっているものの場合、どんな事が降りかかるのかくらい最初に教えてくれたって良いような気がする。
 ティリアスがニコニコとオーマの手に小さなサイコロを転がし、どうぞ振ってくださいとばかりに手で合図をする。
 四角く整ったサイコロは、それぞれの面に丸が規則正しく描かれている。
 1の目のみが赤い丸で、他の数字は黒い丸だ。
 なんだか1つ1つの数字に意味がありそうな気がして、オーマは振るのを少しだけ躊躇した。
「サイコロを振るのにそれだけ躊躇する方も珍しいです」
「あのなぁ」
「きっと、ソーンでただ1人ですよ!」
 それは違うと、声を大にして言いたい。
 きっと、他の人がこのサイコロを手渡されたところで、オーマと同じような反応を見せるだろう。
 今までにティリアスは同じような双六を2つ持って来ている。これが3つ目なのだが、前回前々回とも内容は濃いものだった。
 しかも、今までの爽やかな表紙とは違い、今回の紫はやたら陰湿な雰囲気がしてならない。
「さぁさ、早くやっちゃいましょう!」
「オーマさん、もし無事に帰って来れましたら、なにかお料理作っておきますね」
 何時の間に近くに来ていたのか、不安顔のルディアがそう言って儚い笑顔を見せる。
 それが尚更、双六の異質性を訴えているような気がしてならない。
 ・・・しかし・・・
 ここまで来てしまったならば、入るしかない。
 それに、どことなく・・・双六の中から、悲しい雰囲気が漂っている気がしたのだ・・・。
 サイコロを掌で包み、少し揺らした後でテーブルの上にそっと投げる。
 コロコロとテーブルの上を滑り、サイコロは2の目でピタリと停止した。
「2の怪へ行ってらっしゃいませオーマさん」
「怪・・・?」
「紫の書は、世界のあらゆる怪を閉じ込めたものなんです。2の怪世界への扉を今、オーマさんは開きました」
 テーブルの上で止まったままのサイコロに視線を落とす。
 斜めに綺麗に並べられた2つの丸が、なんだか誰かの瞳のような気がして・・・オーマは思わず視線をそらした。
「怪世界の中では、怪が全てです。貴方は怪をかわすことは出来ても、傷つけることも殺すことも出来ません。怪を殺すこと、ソレ即ち怪世界の心の臓を破壊すること。怪世界の消滅をもたらすもの、ソレ即ち怪世界とともに命を落とす定め」
 ギィっと、重たい扉が開く音が耳の直ぐ近くで聞こえた気がした。
 ガリガリと石を削るような音が響き ―――――――
「怪世界から脱出せし者、ソレ即ち出口に気付きし者。怪世界の出口は目に視えざる場所にあり。しかしそれは直ぐ近くにあり。それは遠くて近い場所にあり、しかし己の近くに常にありしもの」
 まるで呪文のような言葉だった。
 世界を支配する力すらも手中に収めている、そう感じるほどにその言葉は強い力を持っていた。
 ドロドロと体に絡みつく空気。
 嫉みに妬み、恨みに狂い、息もつかせぬほどの殺意、憎悪・・・
 狂気の中に落ちていく、その感覚は不思議だった。
 怖いとは思わない。絶望感もない。
 堕ちていく、それは微かな快楽を纏っていた。全ての諦めとともに、全ての感情とともに・・・堕ちていく、どこまでもどこまでも、狂気の海の中を・・・


◆☆


 目を開ければ、目の前は真っ赤に染まっていた。
 刹那、思考能力を奪われ驚きの色に染まるものの、すぐに脳内で回路を見つけ出す。
 ・・・体を起す。
 真っ赤なそれはただの毛足の長い絨毯で、見ればオーマはどこかの長い廊下に倒れていた。
 前も後ろも長く続く廊下の先は、薄ボンヤリとした乳白色の靄がかかっていて見渡せない。
 立ち上がる。
 高身長のオーマよりも高い天井は、手を伸ばしても届かないほどに遥か彼方にあった。
 右手を見れば茶色い扉が等間隔に並んでおり、金色のノブが無機質な扉に微かな色を与えている。
 扉には複雑な彫刻が施されており、よく見ればそれは全て違うモノが彫りこまれていた。
 ・・・ここは、どこだろうか・・・?
 左手を見れば、高そうな絵画が金色の額縁に納まって無表情な瞳をオーマに向けている。
 青い空と緑の森をバックに描かれた館・・・その前には、4人の人物が立っていた。
 金と銀のオッドアイをした2人の幼い子供 ――――――
 緩やかなウェーブを描いた長い金髪を背に垂らした少女と、金色の髪を短く切った1人の少年。
 2人の顔はそっくりで、年頃も同じくらい。おそらく双子なのだろう。それぞれ右が金、左が銀のオッドアイだった。
 その2人の子供の後ろには、ピシっとした身なりの男性が立っており・・・どうしてだか、その人物の顔部分は黒い絵の具か何かで消されている。
 その3人から少し離れた位置に1人の初老の男性が立っていた。その瞳は穏やかな色を宿しており、優しい笑顔は見ていて和むものだった。
 ・・・それにしても、どうして1人、男性の顔が消されてしまっているのだろうか?
 ジっと絵を見詰める。
 青い空、緑の森、オッドアイの双子、初老の紳士、顔の分からない男性・・・
 青い空・・・それがだんだんと曇って行く ―――――
「なんだこりゃ・・・?」
 オーマは思わず目を擦った。しかし、翳って行く空の色は決して目の錯覚などではなかった。
 穏やかな雰囲気の流れる絵の中、明るかった世界が暗く色付いていく。
 今にも雨が降りそうなほどに暗い世界の中、無邪気な表情をした双子はそのままに、ふっと双子以外の全てが絵の中から消失した。
 男性も初老の紳士も、館も空も森も・・・パっと全てがなくなり、再び絵の中に舞い戻ってきた時には絵はまったく違うものへと変化していた。
 暗い空、森はざわめいている。
 無邪気な双子の笑顔はそのままに、少し離れた位置に立っている初老の紳士は恐ろしい形相でこちらを睨みつけている。
 ・・・そして、なによりも・・・
 双子の背後に立っている人物は、紛れもなくオーマだった。
 ピシっとした服を着て、無表情で立ち尽くすオーマ・・・
「なっ・・・」
 いつの間にこんな絵に摩り替わったんだ・・・?
 考え込むオーマの背後から、コツコツと靴底でタイルを叩く音が響いてきた。
 それは直ぐに絨毯に吸収される音へと変化し、廊下の向こうから誰かがこちらに向かって歩いてきているのが、乳白色の靄の中で揺れる影となって確認できた。
 トントン・・・軽い音が廊下に響き渡る。
 その合間に、ジャラジャラと金属同士がぶつかり合う音が聞こえて来る。
 いったい誰が来るのだろうか・・・?
 オーマの耳に、先ほどのティリアスの言葉が蘇ってくる。
 ――――― “怪世界” ―――――
 乳白色の靄が左右に分かれ、その間からすぅっと1人の人物が姿を現した。
 ギラついら瞳、口元に微かに浮かべた笑顔、右手には鍵の束を持って・・・
 絵の中からこちらを睨みつけている初老の紳士と全く同じ顔だった。
「おい、あんた・・・」
 トントン、トントン、トントン
 全く変わらぬ歩調で近づいてくるその耳には、オーマの声は聞こえていないようだった。
 光る瞳が告げている、それは、絶対的な・・・狂気・・・
 妬みに嫉み、恨みに狂い。狂気、悪意、殺意、それは明確な、負の感情。
「・・・っ・・・」
 オーマは軽く舌打ちをすると走り出した。
 トントンと、その背後をついてくる音がする。
 決して走ってはこない。ただ、歩きながらついてくる・・・
 ソレは、ある意味では走って追い詰められるよりも怖い状況かも知れなかった。
 じわりじわりと侵食してくる恐怖は、だんだんと心の中に広がり、なかなか薄れないモノとなって沈殿していく。
 “怪を殺すこと、ソレ即ち怪世界の心の臓を破壊すること”
 “怪世界の消滅をもたらすもの、ソレ即ち怪世界とともに命を落とす定め”

☆◆


 あの初老の紳士・・・おそらく、この館の執事なのだろう。彼は鍵束を持っていた。つまりは、部屋の中に入って中から鍵をかけようとも入ってこられると言う事だ。
 それならば、無闇に部屋の中に入るのは得策ではない。
 オーマは暫く走っていたが、やがてあの足音が聞こえなくなるとふと足を止めた。
 この広い館の中、見取り図か何かなくては走り回ったところで迷子になるだけだ。
 ・・・それにしても、広い館だった。
 コツコツと廊下を歩く。壁に沿って張られている絵画には全て同じ館が描かれていた。
 雨の日も風の日も、佇む館。ずらりと並べられた絵の中には、たまにこの館に住む者が描かれたりしていた。
 あの執事と双子、そして・・・オーマだった。
 1つ1つ、緻密に描かれた館の絵を見ていく。
 ・・・ふっと、続いていた絵が途切れた。金色の額縁ではなく、銀色の額縁に収められていたものは、絵ではなく1枚の平面図だった。四角い廊下、等間隔に並ぶ部屋・・・この館の見取り図のようだった。
 オーマは見取り図を頭に叩き込んだ。
 各部屋には名前がついており、それが何の部屋であるのかを遠まわしに教えていた。
 例えば、厨房と思しき場所は“FLAME”、玄関と思しき場所は“START”となっている。
 この調子で行くならば、ちょうど館の中心部にある部屋・・・“HEAD”は・・・
 考え込むオーマの耳に、小さな笑い声が聞こえてきたのは“HEAD”と書かれた隣の部屋の名前が目に入った、まさにその瞬間だった。
 甲高い声は子供のものに間違いなく、心底楽しそうに笑っているのにも拘わらずその声はどこか虚無的だった。
 パタパタと、歩幅の狭い足音が聞こえて来る。
 館中に響いているのではないかと思われるほどに鋭い音を持った笑い声・・・
 パタパタと、乳白色の靄の中から小さな黒い影が2つ、割って出てきた。
 金と銀のオッドアイは、まさしく絵に描かれていたあの双子の子供だった ―――――
 表情は笑っているのに、目は狂気を宿している。
 オーマは咄嗟に危険を感じ身を翻すと長い廊下を走った。
 子供の足で、オーマの速度について来られるはずもなく、どんどんとその姿は靄の中に溶け込んでいく。
 ただ、あの甲高い、神経を逆なでするかのような声が耳にこびりついた。
 オーマは十分に周囲を警戒しながら進むと、先ほど見取り図で見た“HEAD”と書かれた部屋の前へと来ていた。
 よく見れば、ドアノブの下に小さく“HEAD”と彫られているのが分かる。
 冷たいノブを右に回し、扉を押し開ける。
 部屋の中は湿った空気を有しており、どこか埃っぽいその部屋の床には微かに白いものが堆積していた。
 大きな木のデスクに、部屋を囲むように並べられた本棚。その背をなぞってみるが、どれもこれも専門書のようで、背表紙だけでは何のことだかさっぱり分からない。
 何か1つ、抜き出して調べてみようかと言う気持ちが湧くが、直ぐにその考えを打ち消した。例えページを捲ってみたとしても、内容が分かるとは到底思えない。それよりも、なにか日記のようなものがあれば良いのだが・・・。
 オーマの耳に、ティリアスの声が蘇った。
 “怪世界から脱出せし者、ソレ即ち出口に気付きし者”
 “怪世界の出口は目に視えざる場所にあり”
 “しかしそれは直ぐ近くにあり”
 “それは遠くて近い場所にあり、しかし己の近くに常にありしもの”
 それが何の事を指し示しているのかは分からなかった。それでも、オーマはただ出口を見つけるために奔走したくはなかった。
 この館に何があったのか。どうして執事と幼い子供2人が追いかけてくるのか。
 絵にはオーマが描かれている。けれど、本当にそこにいるはずの人物はオーマではない。この館の主人ではないのだろうか?あの子供達の、親ではないのだろうか・・・?
 この館の過去に何かあったのかも知れない。
 真の意味での脱出は、ここに留まる魂の想いを導くことなのではないのだろうか・・・?真実を見つけることではないのだろうか・・・?
 怪から逃げていてはいけない。怪から逃げるのではなく、受け止められれば・・・あの子供達も、執事も、この寂しいだけの館の中を歩き回らなくてもすむのではないのだろうか?
 あの絵の中、オーマではなく“そこに在るべき人の姿”が映し出されるのではないのだろうか?
 豪華なデスクの上には、1冊のノートが無造作に置かれていた。
 薄っすら埃を被ったそれを手に取り、ふっと息を吐きかけ手で叩くとページを捲る。
 それは、日記だった。
 繊細な文字で綴られたそれは、確かにこの館の主人のもののようだった。

 『 7月10日
   明日、来客がある。
   いつもと代わり映えのしないメンバーだが、また今年も話が出来れば良いと思う。
   特にエストードには   も   も懐いている。
   早く明日にならないかと心待ちにしているのは何も私だけではない。 』

 『 7月11日
   やはり、   も   もエストードには懐いているようだ。
      も、子供達が大人しいのを良いことに随分とのんびりしているようだ。
   毎日子供達のお守りは大変なのだろう。
   彼らが帰る日まで、ゆっくりしていてほしいと思う。 』

 『 7月20日
   あっという間の日々だった。
   彼らは明日に帰ると言う。なんだかこの数日が夢のようだ。
      も   もエストードが帰ってしまうのが寂しいようだ。
   今日は1日元気がないようだった。
   また来年にも来ると言っていたが、それよりも前に会えるだろう。
   今日聞いたことなのだが、どうやら彼は近々結婚するらしい。
   ぜひ今度、その女性を紹介してほしいものだ。 』

 オーマはそこまで読むと、目を閉じた。
 ・・・どうして子供の名前が消えているのだろうか・・・?
 子供だけではない。執事の男性の名前も消えている。
 この日記の中に出て来るのは“エストード”と言う男性のみだ・・・。
 そして、日記は7月20日を最後に後は白紙になっていた。
 20日になにかあったのだろうか?いや、日記は毎日書かれているわけではない。20日以降のいつかに、何かしらの理由によってこの館はこんな姿になってしまったのだろう。
 パタパタと、廊下を走り回る子供の足音が聞こえ、オーマは息を潜めた。
 鍵が掛かっていないこの部屋になら、子供達は執事の男性を呼ばなくても入ってこれる。
 しかし足音はそのまま通過し、再び静寂に沈んだ。
 オーマはそっと扉に近づき薄く開くと廊下の様子を窺った。何の気配もしない・・・出るならば今だろう。
 そっと扉を開け、赤い絨毯を踏みしめると隣の部屋のドアノブを確認する。
 “ANGELS”と彫られたそこを指先でなぞり、そっと押し開ける。
 天蓋つきの豪華なベッドが2つ、右の壁と左の壁に押し当てるようにして置かれている。
 右のベッドは真っ白なレースがひかれており、左のベッドは青いカーテンがひかれている。
 真正面に見える大きな窓は開いており、淡い色をしたレースのカーテンが風に揺れている。
 その向こうは真っ白な世界・・・乳白色の靄が全てを包み、隠してしまう世界・・・。
 オーマは窓に近づくとそっと閉じた。なんだか、靄がこの部屋までも覆い隠してしまいそうな気がしたのだ。
 窓の下には小さな机が2つ並んでおり、右の机にはぬいぐるみが、左の机には機関車の模型が置かれていた。
 この部屋には埃は積もっていなかった。
 ・・・けれど・・・
 機関車の模型は壊れ、バラバラに分解され、うさぎのぬいぐるみは首と胴が別々の場所に置かれていた。
 綺麗な部屋の中、この2つだけが異質な雰囲気を発している。
 オーマは引き出しに手をかけると次々に開けてみた。
 一段目には文房具、二段目にはノート類、三段目には・・・どちらの机にも同じノートが入っていた。
 子供が書いたらしい文字で“日記”と書かれているそのノートは、色違いのものだった。
 右の机にはピンク色の表紙のノート、左の机には青色の表紙のノート・・・。

 『 7月11日
   今日は、ライトお兄ちゃんがあそびにきた。
      といっしょにあそんでもらった。
   ゲルダーさん、ゆっくりできたってよろこんでた。
   あたしも   も、いつもそんなめいわくかけてたかなぁ? 』

 『 7月20日
   明日、ライトお兄ちゃんがかえっちゃう。
   さびしいねって、   と言ってた。
   なにかおみやげ、あげたいねって言って、おにわからお花つんだ。
   赤い花、きれいってライトお兄ちゃんいってた。
   明日がこなければいーのに・・・ 』

 ピンク色の表紙のノートを閉じると、今度は青色の表紙のノートを開いた。

 『 7月11日
   ライト兄ちゃんがきた。
      といっしょにあそんでもらった。
   ライト兄ちゃんは、いっぱいあそんでくれるからすきだ。 』

 『 7月20日
   明日ライト兄ちゃんはかえるらしい。
      が、さびしいねっていうから、うんっていった。
   にわに赤い花、さいてたから、それつんでライト兄ちゃんにあげた。
   きれいっていって、よろこんでた。
   ・・・でも、うちに赤い花、さいてたっけ・・・?
   ゲルダーさんがうえたのかもしれない。
   でも、白い花のなかに赤い花1つだけ、なんかういてた。
   明日がくるの、いやだけど、しかたないっておもう。 』

 青色の表紙のノートを閉じ、元あった場所に2冊のノートを綺麗に戻すとオーマは頭の中に館の平面図を思い描いた。
 きっと、2人の言う“ライト”とはこの館の主人の部屋で見た“エストード”と同じ人物だろう。
 それならば、何故2人はエストードの事をライトと呼ぶのか・・・?
 おそらく、エストードは毎年決まった時期にこの館に来ている。そして、使う部屋が毎回同じなのだろう。子供達は少し言い難い“エストード”よりも言いやすい部屋の名前である“ライト”と呼んでいるのではないだろうか?
 “LIGHT”とつけられた部屋は、ちょうどここから3つ隣の部屋だ。
 それほど遠くはない。オーマは扉に耳を押し当てて廊下に誰も居ないことを確認すると3つ隣の部屋の前で立ち止まり、金色に輝くドアノブに彫られている文字を指先でなぞった。
 L・I・G・H・T
 間違いない、ここだ・・・。
 ドアノブに手をかけ、押し開けようとしたその瞬間・・・ふっと背後に人の気配を感じ咄嗟に振り返った。
「うわっ・・・!!?」
 右手に鍵束を持った執事・ゲルダーが、ギラつく瞳をオーマに向けている。
 どうしていきなり現れたのだろうか?確かに、廊下には誰の気配もなかったはずなのに・・・ゲルダーの向こう、壁には1枚の絵が掛けられていた。館をバッグに微笑む幼い双子と・・・そして、黒く切り取られたように凹んでいる人型。あの絵の中から出てきたとでも言うのだろうか?
 逃げようと体を捻ろうとするが、ゲルダーがすぐそこまで近づいている。
 どうすれば・・・
「ゲルダー!!」
 オーマは思わず、ゲルダーの名前を怒鳴った。
 それがこの状況の打開策になろうとは、微塵も思わずに・・・
「・・・はい・・・?」
 驚いたような声。その声には、敵意も殺意も、悪意らしきものは何一つ含まれていなかった。
「あぁ、扉が開かないんで御座いますね?少々お待ちくださいませ、すぐに開けますので」
 優しい笑顔でそう言うと、ゲルダーはオーマを押しのけて鍵束の中から1本の鍵を取り出すと鍵穴に差し込んだ。
 カチャリと軽く錠の外れる音がして、ゲルダーが1歩下がる。
「どうして・・・」
「・・・名前で御座います。名前はその人が生きている証。その人が、その人であると証明出来るモノ」
「それなら、あの子供達も名前を呼べば良いのか?だがしかし、どこにも・・・」
「いいえ、貴方様は確かにお嬢様とお坊ちゃまのお名前を存じておいでなはずです」
 ゲルダーの体が、まるで吸い寄せられるかのように絵に近づいていく。すぅっと、それは空気の上を滑っているかのような動きだった。
「名前なんてどこにも書いてなかったぞ・・・?!」
「本名は、そうかも知れませんね。けれど、貴方様はお嬢様とお坊ちゃまを呼んであげることが出来るので御座いますよ」
 にっこりと笑うと、ゲルダーは絵の中に吸い込まれて行ってしまった。
 館をバッグに、無邪気に笑う2人の子供とそれを穏やかな顔で見詰めるゲルダー。
 オーマはその絵を指先で撫ぜた後でドアノブを掴むと一気に扉を開いた。


◇★


 扉を開けると、そこは禍々しい気に満ちていた。
 恨み、妬み、嫉みに狂い・・・赤い花が咲き乱れている。風もないのに揺れている。
 血を吸ったかのように真っ赤な花は、全てが1つの茎から咲いていた。
 窓辺に飾られた一輪の花。茎が異常なほどに伸び、赤い花は天井につくかつかないかすれすれの場所で揺れている。
 オーマは赤い花を踏まないように進むと、一輪挿しの中から茎を抜いた。
 乳白色の液体を有した透明なガラスの一輪挿しは、茎が抜けるとさらさらとした砂のようなものになり、オーマの手の中で溶け消えてしまった。
 その途端に、部屋中に咲き狂っていた赤い花がゆっくりとした速度で枯れていく。
 部屋の端から順々に、茶色い粉となって部屋の中を漂い始める。
 オーマはその部屋を後にすると、あの子供達を探そうと廊下を走り・・・ふっと、後ろを振り返った。そこには乳白色の靄が広がっており、全てを包み込んでいた。
 廊下がどんどん靄の中に溶け消え、消滅していっているらしい。あの花が、この館を・・・この場所の怪を保っていたものなのだろう。
 恨みに嫉み、妬みに狂い ―――――
 その原動力を失った今、館は自らの形すらも保てなくなっているのだ。
 早く見つけないと、あの子達を早く見つけないと・・・
 焦るオーマの視界の端に、手を繋いだ双子の子供の姿が映った。
 廊下の途中、オーマの方を見向きもせずにただ消えていく廊下を見詰めている。
「おい・・・!!」
『いかないと・・・怪が消滅する・・・いかないと・・・』
『いかないと・・・私達は、怪によって生かされていたのだから・・・』
 ティリアスの言葉がオーマの耳に聞こえて来た気がした。
 “怪を殺すこと、ソレ即ち怪世界の心の臓を破壊すること”
 “怪世界の消滅をもたらすもの、ソレ即ち怪世界とともに命を落とす定め”
「今は逃げるぞ!はやく!!」
 オーマが差し伸べた手は、無情にも子供達の体をすり抜けてしまった。
 すぐそこまで迫っている消滅の影響なのか、透明になって行く体の向こうにはどこかの部屋の扉があった。
 金色のノブに彫られている名前は見えないけれども・・・
 ・・・名前・・・部屋の、名前・・・
 オーマの頭の中で、この場所に来てからの様々な場面が右から左に通り抜けていった。
 この館の主人の日記に書かれていた来客の名前、子供達の日記に書かれていた部屋の名前。
 ゲルダーが言っていた
『けれど、貴方様はお嬢様とお坊ちゃまを呼んであげることが出来るのでございますよ』
 きっと・・・部屋の名前を決めたのはこの館の主人なのだろう。この子供達の親なのだろう。だからこそ、子供部屋の名前はソレでなくてはならなかったのだ。
 オーマもそうであるように・・・実の子供は・・・“天使”以外の何者でもないのだから・・・
「“ANGEL”」
 こんな状況下なのに囁くように優しく言ったのは、故意ではなかった。
 ただ自然と、そうなってしまっただけだった。
 けれど思えば、確かにその単語は叫ぶようにして言うような言葉ではなかった。
 優しく甘く、慈しむように発するのが一番似合っている、そんな言葉だった・・・。
「・・・パパ・・・!!」
「パパ!!」
 消えかけた体で、オーマに縋りつく2人。
 名前は分からない。それでも、オーマの事を認識してくれた2人。
 触れられない体は、温かいのか冷たいのかは分からなかった。それでも、消えることへの恐怖に怯えている2人を見捨てることなんて出来なかった。
 ・・・例え怪とともに命を落としてしまったとしても・・・
 ギュっと抱き締めようとした手は何に触れる事もなかった。けれど、心の中では小さな体を抱き締めているつもりだった。
 直ぐ目の前まで来ている消滅の時に、オーマは目を瞑った。
 耳元をすり抜けていく風の音が、凶悪なまでに鼓膜を揺さぶる。
 ・・・ふっと、胸元で何かが熱く輝いた気がした。
 乳白色の靄に閉ざされた世界の中で、確かにそれは一筋の光となって周囲を明るくし・・・そして・・・オーマが目を開けたとき、そこには綺麗に掃除の行き届いた廊下が広がっていた。
 赤い絨毯は天井から降り注いでくる光を吸収し、柔らかい色となってずっと先まで続いている。壁に掛けられた絵はどれも明るい色彩で描かれており、楽しそうに微笑む子供達はまさに“ANGEL”そのものだった。
 オーマは絵を見ながら進んだ。そして、一番最初に見たアノ絵の前まで来ると足を止めた。
 緑の森、青い空・・・子供達と、ゲルダー。そして、子供達によく似た顔の男性が1人、描かれていた。
「人の負の感情をたくさん吸い取って生きていたあの赤い花を摘んで、ライト兄ちゃんにあげちゃったのがこの館が怪に引きずり込まれる原因になっちゃったんだ」
「でも、あの花は貴方が枯らしてくれたから・・・」
 振り向くと、そこにはあの子供達が立っていた。
 金と銀のオッドアイを嬉しそうに細めながらオーマをじっと見詰めている。
「怪が消滅すると、全てが消滅するんじゃねぇのか?」
「・・・この場所は、怪と無の中間にあるの。怪の消滅に引きずり込まれそうになった時に、貴方が持っている花が助けてくれたから」
 オーマは胸元を探ると、そこから一輪のルベリアの花を取り出した。
 綺麗に咲き誇ったそれが、助けてくれたのだ・・・。
「この場所にはね、みんないるの。あたし達の大好きな人が、たくさんいるの。あたし達が小さい時に亡くなったママも、いるんだよ。すっごく素敵な場所なの」
「そうか。そりゃ良かったな」
「だからね、貴方も・・・大切な人がいる世界へ・・・」
 こくりと1つだけ頷くと、オーマはルベリアの花を2人に手渡した。
 怪からの出口が、分かった気がしたからだ・・・。
「それは、お前さん達にやる」
「・・・ありがとう・・・」
「あぁ、そうだ。最後に・・・名前を、教えてくれねぇか?俺はオーマ シュヴァルツっつーんだ」
「ハイネ ロレウザー」
「ベルス ロレウザー」
 少女・ハイネと少年・ベルス・・・
「ハイネとベルス・・・な」
 オーマはハイネとベルスの頭を撫ぜると、玄関へと歩き出した。
「想いの糸口を辿るのもまた、想いなのかもしれねぇな」
 そっと目を閉じ、記憶の中を辿る・・・。
 ふっと目の前に1つの扉が見え・・・オーマはその扉を開いた ―――――


★◇


 “怪世界から脱出せし者、ソレ即ち出口に気付きし者”
 “怪世界の出口は目に視えざる場所にあり、しかしそれは直ぐ近くにあり”
 “それは遠くて近い場所にあり、しかし己の近くに常にありしもの”


 オーマが“視た”扉は自宅の扉だった。
 ゆっくりと押し開ければ、そこは光が溢れる場所で・・・
 パチリ、目を覚ませばすぐ近くにティリアスの顔があった。
「お目覚めですか?」
「ティリアス・・・」
「怪世界からの脱出、おめでとうございます」
 にっこりと無邪気な笑顔で手を叩くティリアス。
 オーマはゆっくりと起き上がると、自分の掌を見詰めた。
 ハイネとベルスの頭に触れた時・・・確かに、温かかった気がしたのだ・・・。
「優しい顔してますね。そんなに楽しい怪だったんですか?」
「いや・・・そうでもないさ」
「怪は普通、その人の一番痛い部分をついてきます。怪が望むコトは、訪れた者との同化です。つまり、自分の一部にしたがるんです。怪世界の住人は多くて困ると言う事はありませんからね」
「そうなのか?」
「えぇ。でも、オーマさんの怪はそれほど嫌なものじゃなかったのかも知れませんね。とっても表情が柔らかいですし。・・・ただ・・」
 ティリアスの視線がゆっくりと何もない場所へと向けられる。
 どこか遠くを見詰める瞳は普段の無邪気さは皆無だった。
「双六の中に集められた怪は、負の感情を多く纏っています。嫉みに妬み、恨みに狂い、殺意、憎悪・・・特に、この双六の持つ怪は強い負の感情を抱いているんです」
 ティリアスの指先が紫色の箱に触れる。
「作った人の心が、反映しているんでしょうね」
「・・・ティリアスの知っている人なんだよな?」
「前に言いましたよね?対の存在だって。・・・正式に言うなれば、対ではないのだけれども、近しい存在と言われれば私だけだから」
 ふっと真顔になり、その直ぐ後で笑顔を取り戻す。
 無邪気ですこし悪戯っぽい瞳を輝かせ・・・
「私1人の力じゃ、あの人には・・・あの人達には敵わないから。だから・・・」
「・・・・・・」
 俯くティリアスの顔は見えないけれども、震える肩がなにを意味しているのかはよく分かった。
 無邪気で純粋で、悪戯っぽくて元気で・・・そんなティリアスには似合わない、とても弱い部分だった・・・。
「だから、私は・・・皆さんの力を、借りるしか・・・なかったんです・・・」
 途切れ途切れに聞こえて来る掠れた声に、オーマはティリアスの頭をそっと撫ぜた。
 双六は6つで1つ。呪われたモノ。
 書き換えられるのは、書いた人物に近しい者のみ。
 ティリアスはその人物とは対・・・厳密に言うなれば対ではない・・・の存在。
 どうやらその人物は1人ではないらしい。
 そして・・・力はティリアスよりも上であり、書き換えるには他者の力が必要。
 ・・・それ以上の事は分からなかった。
 きっと、ティリアスもそれ以上の事は話せないのだろう。
 テーブルの上に放り投げられた双六の紫色が目に映る。
「お帰りなさい、オーマさん」
 とんと、オーマの目の前に料理の皿が置かれ、オーマは視線を上げた。
 少し困ったような表情をしたルディアが次々と目の前に料理を並べていき・・・
「さぁ、いっぱい食べましょう!」
 急に顔を上げたティリアスは、いつもと同じ元気な笑顔を浮かべていた。
 ルディアが持った銀のトレーからスプーンを取り、出された料理に手をつけていく。
「オーマさん、早く食べないと全部食べちゃいますよー!」
 元気にそう言うティリアスに1つだけ優しい笑顔を向けると、ルディアからスプーンを受け取った。
「よっしゃ、食うか!!」
 ティリアスに負けないくらい元気良くそう言い、次々とルディアが持ってくる料理を空にしていく。
 黙々と食べるオーマの耳には、あの双子の楽しそうな笑い声がいつまでも響いていた ―――――



               ≪ E N D ≫


 
 ◇★◇★◇★  登場人物  ★◇★◇★◇

 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  1953 / オーマ シュヴァルツ / 男性 / 39歳 / 医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り


 ◆☆◆☆◆☆  ライター通信  ☆◆☆◆☆◆

 この度は『双六! 【 紫の書編 】』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
 そして、いつもいつもお世話になっております。(ペコリ)
 今回、とっても怖い話にしようかそれとも優しい話にしようか随分悩みました。
 ただ・・・
 怖い話になった場合、救いようのない結末になってしまうことは避けられないので・・・
 オーマさんの性格を考えた上で、優しいお話にしよう!と思い立ちました。
 ・・・ちょっと途中、危険な場面もありましたが・・・
 楽しんでいただけたならば嬉しく思います。
 今回は部屋の名前を英語表記にしたい!と思い、HEADなどつけたのは良いのですが・・・
 エストードの部屋で散々悩みました(苦笑)
 明るい言葉で・・・と決めていたので、空や太陽など考えたのですが・・・
 候補のなかで一番名前っぽいかなぁ?と思い、ライトにいたしました。
 それ以上に一番悩んだ部分がハイネとベルスの日記部分だと言うのは秘密です(苦笑)
 どの程度まで漢字を使おうか、散々悩みました・・・
 喋っている部分は見難いので漢字表記にしております。


  それでは、またどこかでお逢いいたしました時はよろしくお願いいたします。