<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>
蜘蛛の囲
それはホンの些細な、誰にでも起こりうるものだった。
「あれ?どこで引っ掛けたんだろう…」
肩にかかった蜘蛛の糸。
いつついたのだろうと首を傾げるも、少女は特に考えもせずそのまま糸を掃った。
「蜘蛛の巣がはってるような場所へ行ったのかい?」
家族は笑ってそう言うが、少女にはそんな覚えはない。
ところが、そんな会話をした翌朝のこと。
朝食の準備をしている最中、ふらりと寝巻きのまま少女が家を出て、寝ぼけているのかとすぐさま後を追ったが少女の姿は既になかった。
その後家族や周辺住民総出で少女を探すも、少女は見つかることなく、丸一日が過ぎる。
そして、少女がいなくなってから二日目の朝。
また一人、子供が姿を消した。
「――と、言うわけなんです…」
「それでここに来る冒険者に依頼しにきたのね?」
最初に子供が消えた家の者が店にやってきてそんな事情を話すと、ルディア・カナーズは眉をひそめた。
連続して子供が姿を消したとなると、明日もそれが続くかもしれない。
そしてこの手の話は日が経てば経つほど消えた子供が無事かどうかの確率は低くなる。
「…冒険メニューに載せる内容じゃないし…」
食事のメニューとは別に存在する冒険メニュー。
それを利用する者はほぼ毎日現れる。
昼頃になれば店に来る冒険者の数ももっと増える。
「ねぇ、すぐに誰か来るわけじゃないから…昼まで待ってもらえる?来たらすぐにでも事情を話せるように」
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■
「彼らが協力してくれるって」
ルディアが依頼者に紹介したのは、千獣(せんじゅ)、オーマ・シュヴァルツ、エヴァーリーン、ジュドー・リュヴァインの四人だった。
「お、お願いしますッどうか娘を見つけて…助けて下さい!」
狼狽する父親に対し、オーマはその肩に手を添える。彼にも家族がいる。それゆえ愛する者を失うことがどれほどの悲しみをもたらすか。
依頼者の心中を察しつつ、オーマは任せろと快活に言った。
「……消えた、子の、匂い、の……する、もの、とか……ある……?」
父親にそう尋ねたのは千獣だ。
できれば糸のついていた服がいい。そういうと父親はまだ洗濯していないはずだといって家に四人を案内する。
「――いなくなった子供たちの共通点は何か…特に、糸をつけて帰ってくる前の行動……それぞれ、どうしていたのか…その当たりから調べないとね」
エヴァーリーンは注意深く依頼人の家を観察する。
糸が何処でついたのか。
親の話では娘も何時ついたのかわからないと言っていたそうだが、どの時点までは糸がついていなかったのか、それを調べる必要があるだろう。
「娘が昼間何処へ行っていたかとか…聞いてない?」
「何処へ……詳しくはわかりませんが、天使の広場で友達と遊ぶとは言っていました」
「…一緒に遊んでいたであろうその子の友達にも話を聞かなければね」
広場へ行って聞き込みをしてくると、エヴァーリーンは一行から離れた。
それをそばで見ていたジュドーは、ため息混じりに呟く。
「……また、エヴァの変なところにスイッチが入ったような……まぁ、子どもを助けることに異論はない。私も手伝おう」
そして彼女もエヴァーリーンに続いて、天使の広場へ向かった。
「そーいやぁ、もう一人の親はどうしてる?話ではどちらも自警団や近所の大人たちも協力して捜索してるってぇことだがよ」
「アシュリー君の家でも捜索は続けられています…あちらの家とも相談して、私が依頼を出しに行きました」
リスクの高い依頼はそれ相応に報酬もつりあがるだろう。
裕福とはいえない、至極普通の家庭では冒険者に支払う報酬を、ましてや四人分も工面するのは容易ではない。
連名での依頼であれば、各自の負担も少しは減るはず。
「それじゃ実際にゃあ、行方不明になっている二人を探しゃいいんだな?」
「現時点ではそうです…」
これ以上行方不明者が増えなければ。
■
「―――…昨日一昨日と友達がいなくなれば…遊んでいる子供なんていやしない、か」
広場周辺で遊ぶ子供はなく、よしんば子供がいたとしても親にべったりくっついている姿を見るのみ。
エヴァーリーンと共に広場にやってきたジュドーは、頭をかきつつため息をつく。
ところが。
手当たり次第聞いていこうとしていた矢先のことだ。
アルマ通りの入り口付近で、子供の泣く声と大人たちのざわめきが聞こえてきた。
「ジュドー」
「わかってる」
二人は人だかりが出来ているそこへ足を運んだ。
ざわめきの中、人々の表情は複雑なものばかり。
眉をひそめる者。
驚愕する者。
「どうした?何があった」
人だかりの中心にいた親子にジュドーは声をかける。
「―――!」
エヴァーリーンが子供の背中を見て目を細めた。
子供の背中には、まるで巣を引っ掛けたような蜘蛛の糸がへばりついている。
「……掃った糸が残ってることはないと思っていたけど……新たな糸を発見できたのはついてるわね…」
この子供が、明日の犠牲者。
「落ち着いて。私たちは今依頼を受けて一連の子供失踪について調査をしている者だ。よければ説明してくれないか?」
ジュドーは膝をつき、目線を下げて子供を少しでも安心させようと努める。
彼女の対応に親も僅かに落ち着きを取り戻したのか、口を開いた。
「―――…本当は、家で留守番しているように言ったのですが、ここ数日の騒ぎの為かどうしても一緒に行くといって聞かなくて…仕方なくつれてきたんです。買物を終えて帰ろうとした矢先に、誰かが子供の背中を見て…」
「また子供に蜘蛛の糸がついていると…?」
怯える子供を抱きしめながら、親はゆっくりと頷く。
「失礼」
エヴァーリーンは子供の背中についた糸をはがし、観察する。
人工的なものではない。
蜘蛛の糸だ。
いつの間にかつけられていた糸。
しかも人ごみの中で。
これだけの量だ。相当大きな蜘蛛だろう。それもクーガ湿地帯にいる大蜘蛛のような。
けれどあれが人に化けられるなんて話は聞いたことがない。
だとすれば、他の…
「子供の…年は幾つ?」
エヴァーリーンの問いに親は七つと答える。
「昨日一昨日と消えた子供の年は知ってる?」
「アシュリーは八つ。レーベンは僕と一緒だよ」
レーベンとは依頼主の子供のことか。
「ではそのアシュリーやレーベンと最近遊んだのはいつ?」
「一昨日…ここでいつもみたいにアシュリーやレーベン、他の友達とも一緒に遊んでた」
「遊んでる時や、帰り際に何か変なこととかなかった?」
何も無かったと首を振る子供。
それを聞いてエヴァーリーンは、そう、と一言残して踵を返す。
「あ、ちょっ?エヴァ!」
親子に早く家に戻って周囲の者が子供の動向を監視するように指示し、エヴァーリーンを追う。
普段でこそ自分が突っ走りすぎてエヴァーリーンに睨まれるのだが、今日は何故か違う。
「…標的のせいか?」
疑問はあるものの、何となく聞くに聞けないままエヴァーリーンと共に依頼主の所へ戻った。
■
「…二人、きた…」
依頼者の家でエヴァーリーンたちが戻ってくるのを待っていた二人。
千獣が彼らの匂いに気づいたのだろう。戸口の方へ視線を向ける。
「そちらは何か収穫あった?」
入ってくるなり千獣とオーマを見やり、エヴァーリーンは尋ねる。
「糸が残ってなかったんでな。ルベリアの花を通して犯人を視る事はできなかった。後はとりあえず蜘蛛絡みっちゃあクーガの大蜘蛛。奴が他の蜘蛛について何かしらねぇか聞いてきたってわけだ」
「…あれと話が?」
エヴァーリーンは首をかしげる。
「クーガ湿地帯の大蜘蛛が人と交流?妙な事もあるものだな。あれの糸を採取する為に挑んだ冒険者は数多くいるが…」
意志の疎通を成して交流を持つなど聞いたことがない。
しかもここから湿地帯まではかなりの距離がある。
この距離を僅かの間に往復して、大蜘蛛と話までしてきたという。
しかし疑っても仕方がない。そういうことが出来る者もいるということだろう。
様々な世界の者が混在しているこの世界だ。どんな能力があっても納得せざるを得ない。
「…それで?何か言っていた?」
「自分が生き続けている間に、同様に力を持った同族の話など聞いたことがねぇってよ。蜘蛛関連じゃねぇのかもな」
オーマが肩をすくめて苦笑すると、エヴァーリーンがそれを否定する。
「…いいえ、一連の子供の失踪に蜘蛛が絡んできることは間違いないわ」
そういって先ほど通りで遭遇した子供に付着していた糸の束を見せる。
糸、とは言っても既にその原型をとどめておらず、乳白色のぐずぐずした繭玉のようになっていた。
「これは…」
「そうだ。明日の犠牲者が既に決まっているということ」
ジュドーの表情は険しい。その隣でエヴァーリーンは入手した情報を明かす。
「…まず、このまま対処が遅れれば明日の犠牲者になってしまう子供と、これまでに失踪した子供二人。男女は関係ないようね。三人とも、一昨日一緒に遊んでいたそうだけど、何も変わった事はなかったそうよ。あと共通点だけど」
「共通点、何?」
千獣が首をかしげる。
「十歳以下の子供が標的なのかもしれない…」
「…まさに、食べる為にうってつけなやわらかい子供の肉とでもいうんだろうかな…」
エヴァーリーンの推測に、考えたくもないが現状からはそのようにしか考えられないジュドー。
「ちょいとそれ貸してみろ」
エヴァーリーンが採取してきた糸の塊を手にしたオーマは、ルベリアの花を使って具現精神感応を試みる。
これが付着していたのはまだ正気の、さらわれる前の子供。それゆえかどうしても途中までしか見ることが出来ない。
「…何か妨害念波でも出していやがるのか…?」
「………私が、やる…」
オーマの手から糸の塊を受け取った千獣は、依頼者から借り受けた子供の服とその塊の匂いを嗅いだ。
「―――匂い、強い……これなら、わかる………」
「糸や子供の匂いをたどれるのか?」
ジュドーの問いに千獣はこくりと頷く。
「…それでは急ぎましょう。こうしてる間にも子供が無事である確率は低くなるわ」
「だな。自然の蜘蛛は相手の体内に消化液を注入すると聞くし……」
下手をすれば既に依頼者の子供の命はない。
「……あっち……」
匂いの方向を見つけ出し、千獣が走り出す。
その走りはまるで獲物を捉えようとする狼のごとく。
■
「――――こんなところに…」
「通りでクーガの大蜘蛛だって知らねぇはずだ」
「蜘蛛の巣…というより繭のようだな…」
千獣の導きでたどり着いた先は、思った以上に近かった。
エルザード城を離れ、城下町を抜けて外に出てすぐの森の中。
大きな岩盤の裂け目の奥に、びっしりと張り巡らされた糸のカーテンの更に奥。
蜘蛛の巣というより蜘蛛の囲。
巨大な蟲の繭のような形状。
「―――中、子供…匂いが、する……」
足元を見れば人の足跡が二つ。
どちらも裸足で歩いた子供の足跡。
「子供が寝ぼけたように出て行ったのが気になる。精神攻撃系の要素もあるかもしれない……」
エヴァーリーンは周囲を警戒する。
匂いを嗅ぎ、この場にたどり着いた千獣も、敵のテリトリーであるこの中では落ち着かない様子だ。
まるで一つの意識体の様に、周囲でうごめく気配。
ざわざわと蜘蛛が地面を這い回っているような、そんな違和感。
「…………あれ……」
千獣の視線の先には、巨大な繭の近くに、大きな卵型の物体がぶら下がっている。
「………子供……」
「あれがそうか!ならばッ」
ジュドーは千獣の視線の先にある二つの物体を固定している糸を斬り裂いた。
「おっ、とっ!ととっ!」
危うく地面に衝突しそうなところをオーマが二つの繭をキャッチし、とりあえず安堵の息をもらす。
「……開けてみねぇと」
二つぶら下がっていたとはいえ、これが子供だという確証はない。
むしろ罠かもしれない。
そんな不安もありながら、オーマは二つの繭をはがしていく。
「お!」
「――無事なようね」
「消化液を注入された痕跡もなし、蜘蛛の神経毒にやられているようでもない。一先ずあんし……」
<子供たちの餌に手を出すな!!>
頭上から響く女の声。
幾重にも折り重なり、音の波のようだ。
一同が見上げる先にいたのは、上半身は裸の人間の女で下半身が蜘蛛のようになっている魔物であった。
「さしずめ女郎蜘蛛…といったところかしら?」
「クーガの大蜘蛛にも劣らぬでかさ…よくこんなのが今まで知られずに生きてきたものだ」
眠ったままの子供たちを抱え、オーマはメス蜘蛛に問う。
「何故今になって人を餌とする?そんだけの図体だ。昨日今日生まれたわけじゃねぇだろう!?」
オーマの問いに蜘蛛は愚問だと、嘲笑する。
<――今まで私はずっと人を喰らってきた………森に迷い込んできた者をねぇ。私一人ならたまに取る食事で十分だったが…>
「…子供たちに滋養を与える為には、たまにやってくる餌では不足ということね?」
エヴァーリーンが静かに呟く。
「…見るからに、一時的に人に化けることも可能なようだな。狙いを定めた子供にマーキングをして、操りやすい状態にもしていく…そして自らこの巣へ向かうように操った」
ジュドーの言葉に蜘蛛はその真っ赤な唇を引き、弧を描く。
「……生きる、ことは……食べる、こと……生きる、ために……何か、殺して、食べる、こと、は……悪い、ことじゃ、ないよ……でも、ね……食べ、られ……ない、ために……抗い……殺す、のも……悪い、ことじゃ、ない……子ども、たち……返して、くれたら……殺さ、ない……返さ、ない、なら……仕方、ない、よね……?」
千獣の体内に封印された千の獣がざわめく。
獣の手をした右手が、めきりと音を立て、今にも封印を解きそうだ。
「お前も親なら、子を失う悲しみはわかるはず…」
<わかるならば何なのだ?餌を確保するのをやめて、我が子を飢え死にさせろと言うのか。人は勝手なものだ>
相容れぬ。
互いに互いの言い分があり、そのどちらも引くことはできない。
双方死者が出ないことに越したことはないが、互いの主張が平行線のまま交わることがないのであれば、実力行使もやむを得ない。
「――正義も悪もない…己の生存を賭けた争いだ。殺さずにいようとしたがために守るべき者を危険に晒すのは本末転倒…いざ参る!」
打撃で気絶させる事を考えていたジュドーだが、互いの主張が対立しあい、交わることがないのならばこれ以上の交渉は無駄だ。
「………さて、どちらの糸が、絡めとるかしらね……?」
「……仕方、ない、ね…」
それぞれが戦闘態勢に入る中、オーマは苦渋の決断をした。
逃がしてやれるものなら逃がしてやりたかった。
依頼者たちには子供をさらった魔物は死んだと、そう嘘をつくことまで考えていたが、このまま放っておけば更に犠牲者が増える。
既に明日の犠牲者も決められている。
「…友と同種族を手にかけるなぁ…胸が痛む。だが…こちらも子供たちの命は譲れねえ!」
<お前ら纏めて滋養にしてくれるわ!>
頭上に張り巡らされた巨大な蜘蛛の巣から、ワサワサとその足を動かし降下してくる蜘蛛。
素早く身を反転させ、大量の糸で攻撃してくる。
「くっ!」
ジュドーの鞘に糸が絡まる。
「…疾風刃…スライシング、エア……」
千獣の聖獣装具、トッドローリーの加護の力。
鎖のついた、ガラスのように透明な手裏剣型の聖獣装具がジュドーの鞘に絡みついた糸を断ち切り、千獣の手にかえる。
「すまん!」
千獣にむかってニッと笑うジュドー。
そして視線を戻し蜘蛛めがけて居合い抜く。
「はぁあああああッ!」
ジュドーが闘気を高めた。
一閃。
蜘蛛の足が一本切り裂かれる。
<ぐあっ…>
痛みによろめいたかと思えば、他の足の動きもなんだか鈍い。
<!!>
「かかったわね」
口元だけがにやりと、冷酷な笑みを浮かべる。
蜘蛛が鋼糸に足を取られ、その場で身動きがとれなくなる。
<お、おのれぇ!!>
蜘蛛の目が赤く光った。
すると噴門から糸を出すのではなく、口から糸を吐いてきたではないか。
それが鋼糸を操るエヴァーリーンに付着するやいなや、彼女の体がぐらりと揺れる。
これが。
精神感応力のもった糸!
「なるかっ!」
このまま操られれば今いる仲間の負担になることは必至。
エヴァーリーンは持っていたナイフで己の手を傷つけ、その痛みで精神攻撃をねじ伏せる。
「加勢する!」
後方で子供たちを守っていたオーマも加わり、鋼糸で絡めとられている蜘蛛に一撃を与える。
「ホントはこんなことしたかねぇがよ!互いに譲れねえ部分があんだからしゃーねぇや!」
できるだけ。
長く苦痛は与えまいと。
自分に出来ることはもはやそれだけ。
「っらぁ!!!」
蜘蛛の胴に更に一撃を与えると、足元を絡めとられているせいもあるのか、ぐらりと体が傾く。
「命の重さは、知ってるさ。だから、引けぬ刃もある…」
ジュドーの切っ先が蜘蛛を捉える。
刹那。
蜘蛛の上半身は真っ二つに裂かれ、辺りを刺激臭が包み込む。
「…終わった…か…」
オーマの呟きの中、背後で寝かせていた子供たちが動いた。
「……こ、こは…?」
寝起きのような顔で当たりをきょろきょろと見回す子供。
一人目の子供は全く状況を理解していない。
二人目の子供は、一人目がいなくなった時の状況を知っていた為か、怯えている様子。
そんな二人にオーマが優しく説明してやる。
すぐに家に帰れるからと。
それでもまだ状況の把握が仕切れていないのだろう。
一人目の子供はまだ首をかしげている。
二人目の子供は、家に帰れるということだけは納得したようで、オーマの指示に素直に従った。
「―――さて………後始末が残っている…」
「エヴァ?」
「これはビジネスよ。クライアントの望みはこんなことが二度と起こらないこと……後顧の憂いのないようにしておかなくてはね」
「……私も、手伝う…」
エヴァーリーンと千獣が一先ず巣の中に残り、オーマとジュドーは子供たちを連れ、いったん外へ出た。
「――何をしやがるつもりだ?」
「…おそらく……巣を潰すのだろう。親が死んでも子は残る。それゆえ、いつかまた同じことが繰り返される」
そうなっては意味がない。
「――――……」
オーマも親だ。
わかっていてもこの状況は辛い。
そして、巣の中から沢山の断末魔が聞こえる。
「…終わったわ。これで依頼はすべて完了した……帰りましょう」
「火も、つけて、きた……」
これですべては灰燼と化す。
蜘蛛の囲が燃える。
岩盤の裂け目から、独特の嫌な臭いが立ち上る。
煙はやがて細くなり、そして暫くして消えた。
こうして…一連の事件は幕を下ろしたのだった……
―了―
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【1149 / ジュドー・リュヴァイン / 女性 / 19歳 / 武士(もののふ)】
【1953 / オーマ・シュヴァルツ / 男性 / 39歳 / 医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り】
【2087 / エヴァーリーン / 女性 / 19歳 / 鏖(ジェノサイド)】
【3087 / 千獣 / 女性 / 17歳 / 獣使い】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、鴉です。
千獣さん、ジュドーさん、エヴァーリーンさん初めまして。
オーマさんお久しぶりです。
このたびは白山羊亭【蜘蛛の囲】に参加頂き有難う御座います。
描写に関しては、こちらで想定していた話の展開と、
各自のプレイングからそれに該当する行動の抜粋という形になっております。
ともあれ、このノベルに関して何かご意見等ありましたら遠慮なくお報せいただけますと幸いです。
この度は当方に発注して頂きました事、重ねてお礼申し上げます。
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