<聖獣界ソーン・黒山羊亭冒険記>


依頼人は請負人

 黒山羊亭の、静かなオレンジ色の灯りが妖しくも美しく店内を照らし出す。
 ピアノの曲、踊り子の静かな踊り――

 カチッ
 ――ふーっ

 ライターで煙草に火をつけ、煙を天井に向かって吐き出す青年がひとり。
 踊り子エスメラルダは、踊りにひと区切りをつけ、彼にカクテルをすっと差し出した。
「いかが?」
「遠慮するよ、美人さん」
 銀髪の青年はひょうひょうとした表情で断った。
「あら……つれないのね」
 エスメラルダはくすくすと笑い、そして流し目で青年を見やる。
「さっきから……何か憂鬱そうだけれど?」
 青年は肩をすくめた。
「そんなことを見抜かれちゃ、俺も請負人失格だな」
「あなた、お名前は?」
「ロウド・ユイリーズ」
 青年、ロウドは携帯用灰皿に灰を落として答える。
 エスメラルダはくすくすと笑い、
「安心して。ここはそういう顔をしている人が多いから私も慣れているだけよ。――冒険者に相談ごと?」
「そうだなあ……」
 ロウドは後ろの首筋をかいた。ひょうひょうとした顔に、少しだけ困った色を乗せて。
「実はある要人警護を頼まれててよ」
「あら、すごいじゃない」
「――ドラゴンのいる火山に行く予定なんだが」
「危険そうね」
「ドラゴンの危険は別にどうでもいいんだ」
 ロウドは吸い終わった煙草を灰皿に押し込み、カウンターに背をついた。
「問題は、その山が異常に高い山ってことさ」
「険しくて大変?」
「と、いうか」
 ロウドは新しい煙草を取り出し、エスメラルダがそっと差し出したライターに火をもらって、煙をひと吹き。
 そして、くわえ煙草でつぶやいた。
「……俺、高いところダメなんだよなあ……どうしたもんかなあ……」

     **********

 エスメラルダが声をかけた冒険者たちは、皆一様にヘンな顔をした。
「……ちょいと聞くが、兄ちゃん」
 金髪に赤い瞳をした大柄な男性が、こめかみをもみほぐしながらロウドに尋ねる。
 彼の名はトゥルース・トゥース。くわえ煙草ならぬくわえ葉巻で器用にしゃべる。
「高所へ行くとどうなる?」
「どうなるっつってもなあ……」
 ロウドは視線を虚空へやる。遠くを見るような目だ。
「へたってひとりじゃどうにもできなくなるとか、か?」
「……そこまでへたれじゃないつもりなんだが……」
「だがお前さんは、高所へ行くのは嫌なんだろうが」
 トゥルースはため息をついた。
「……まぁ、なんだ。個人の苦手についちゃあ、しょうがねえ。責めはしねぇよ。でもなあ……」
 葉巻を灰皿に押し付けて消し、
「――戦場じゃ、死人にかかる人手はひとりで済むが、けが人にかかる人手は三人なんだぜ。言いたいことは分かるな」
「………」
 ロウドは肩をすくめた。トゥルースはエスメラルダに火をもらい、再び葉巻をふかす。
「この依頼はお前さんが請けたもんだ。気持ちは分かる。が、気持ちのために現場の人間の足引っ張ってちゃあ、意味ねぇだろ。勇気ある待機ってぇのも、必要だと思うぜ」
「待機したほうがいいのは分かってるんだがな」
 ロウドは額に手を当てて、大きくため息をついた。
「――シェラード家って知ってるか?」
 ああ? とトゥルースが顔をしかめた。
「そりゃ、あのわがまま姫がいることで有名な金持ちじゃねえか」
「そのわがまま姫なんだよ、依頼人は」
 ロウドはがっくりと肩を落とす。
「最初に雇われたときは、草原に咲く珍しい花を採りに行くってぇ話だった。それが三日後には、貴石の谷へ宝石さがしに行くと変更しやがった。あげくのはてに今は山に登ってドラゴンのうろこ採りだってよ。……最初からつき合わされてる身としちゃあ、途中で逃げ出すと信用問題に関わるもんでねえ……」
「ドラゴンのうろこ採り?」
 反応したのは、トゥルースとロウドの会話を聞いていたふたりの少女だった。
 ひとり、銀髪に青い瞳のアレスディア・ヴォルフリート。
 ひとり、黒髪に赤い瞳の千獣[せんじゅ]。
「さっきから警護の理由が判然としなかったのだが……要するにその姫君がドラゴンに会いに行くから警護しろ、ということなのだろうか?」
 アレスディアは生真面目な表情に困ったように眉を寄せて問う。
「その通りだよ、お嬢さん」
 ロウドは煙草を新しく取り出した。
「ねぇ……それ、じゃ……」
 赤い瞳の千獣が、その瞳に何とも言えない光を見せてロウドを見る。「ドラゴン、退治、する、わけ、じゃ……ない、の?」
「そりゃ無理じゃねえの?」
 脇から、若い少年の声が割り込んだ。「うろこ採るにはやっぱ静かにさせねーと。俺も要人とやらが何しにそんな危険な場所へ行くのか知りたかったんだけどさ」
 青い髪、黒い瞳の湖泉遼介[こいずみ・りょうすけ]。両腕を頭の後ろに回し、淡々と話し続ける。
「てことは、やっぱ倒さねえとな」
「そん、な……」
 千獣は泣きそうに表情をゆがめた。「ドラゴン、が、人間に、何か、した、の……?」
「千獣……」
 トゥルースが、よしよしと千獣の頭を撫でる。
「無理についてくる必要はねえんだぞ。アレスディアもな」
「いや――私は――」
「俺は行くぜ。山の上から絶景見るのも面白そうだしな」
 遼介は満面の笑顔で言った。と、
「遼介が行くところ俺あり!」
 突然脇からにょっと顔を出した少年がいた。ぎゅーっと遼介の胴体に抱きつき、
「マスターが行くってんなら、俺も行くのは当然だもんな♪」
「だーれーがーお前のマスターだっ。離れろクラウディス!」
 遼介と、人間ではなく自動人形[ドール]であるクラウディスがじたばたじたばたと暴れ始める。
 やれやれとトゥルースが葉巻の煙を吐き出した。
「ところで……そちらのお嬢さんは?」
 ロウドは腕組みをして視線だけを黒山羊亭の入口にやった。
 そこにいたのは、四足で地面に立つ少女。ほとんど裸に近い狐の毛皮と、首には頑丈そうな首輪、そして腰には綺麗な花の形をした宝石をつけている。
 おお、とクラウディスが声をあげた。
「遼介、目の毒だ、見ちゃだめだぞ!」
「うるせーぞ!」
 遼介は真っ赤になって四足の少女から目をそらす。
「どうしたの?」
 エスメラルダが少女の元へ行く。
 少女は「ドラゴンが……」とつぶやいた。
「ドラゴンに、会いに行く、聞こえた……」
「ええ、そうね」
「――高いところ、ティナ、得意。ついていく」
 あらあら、とエスメラルダは微笑んだ。
「かわいい助っ人が現れたようよ、ロウド君」
「願ったりだよ」
 ロウドは苦笑した。
「さて、アレスディアと千獣が来られないかもしれないとなると……」
 トゥルースが店内を見渡す。
 そしてひとりの女性に目をつけた。
 トゥルースは自らその黒髪の女性の元へ行き、
「お前さんもどうだい」
 と誘った。
 から……と氷の入ったグラスを揺らしたその女性――エヴァーリーンは、
「……報酬は、出るんでしょうね?」
「それについては――ロウド!」
「俺がもらうはずだった分を渡すよ」
 ロウドは降参のポーズをとった。
「あ、報酬! 俺も俺も!」
 と遼介が手をあげた。ロウドに詰め寄り、
「護衛うまくいったら、俺にも報酬くれよな! 最近欲しいもんができたんだ!」
「分かった分かった」
 ロウドはどうどうと興奮気味の少年を制する。
 エヴァーリーンはカラカラと氷を鳴らしながら、
「最近、どっかの馬鹿のせいでいい仕事が回ってこないのよね……報酬が出るなら、手伝ってあげてもいいわよ」
「よしよし」
 トゥルースが満足そうにうなずく。
「わ――私も行かせて頂く!」
 アレスディアが声をあげた。「ドラゴンを殺すのではないなら……少しは望みを持てる」
「あ、アレス、ディア……」
 千獣が隣席の友人を見る。
 アレスディアは、「行く」と答えながらも苦悶の表情をしていた。
「私、は……」
 まごまごする千獣を見て、エヴァーリーンがつぶやいた。
「面白いこと教えてあげましょうか……」
「あん?」
 トゥルースが眉をひそめた。
 エヴァーリーンは片腕で頬杖をつきながら、
「問題のシェラード家……珍しいものを欲しがるのは、姫君自身のための薬を作るためだそうよ……」
「薬?」
 アレスディアはロウドを見る。
 ロウドは肩をすくめた。
「……シェラード家の『わがまま』娘、三女のシェナ。シェナは昔獣に足をかまれて以来、左足が不自由なんだよ。それを直すための薬がまたくそ厄介な材料ばっかで、それを欲しているせいで『わがまま』に見えるんだろうな」
「………!」
 千獣が息をのんだ。
「へえ、その足が不自由な姫君自身が山を登ろうってのか?」
 遼介が感心したようにうなる。
「山登れるんだったら、もう直さなくていいんじゃねえの?」
 クラウディスがしごくもっともなことを言う。
「まさか。まともに登れるわけないだろ」
 ロウドは頭を振った。「世話役とかもつける気がないらしいし……俺にかつがれていくつもりだったんだろうよ」
「……結局わがまま娘か……」
 トゥルースは天井を仰いでため息をついた。
 しばらく目を伏せていた千獣が、
「……やっぱ、り、私……も、行く……」
 とつぶやいた。

     **********

 翌日――
「何だこの人数は!」
 今回は要人にあたる――シェナ・シェラードは、ロウドがつれてきた助っ人たちを見て目を丸くした。
「……ああ、本当に怪我をなさっているのだな」
 アレスディアは、シェナがついている杖を見てつぶやいた。
「………」
 千獣は黙って、シェナを見つめている。
 ティナは鼻をくんくんとさせながらシェナの足元にじゃれつき、
「……血の匂い、する。……治って、ない」
「ぶぶぶ無礼な! 私は怪我などしておらぬ!」
 シェナは顔を真っ赤に染めてぷるぷると首を振った。
 エヴァーリーンが目を細めて『姫君』を見た。
「昨日、シェラード家について調べてきたのだけれど……」
「ん?」
 ロウドがエヴァーリーンを振り返った。
「……三女は怪我のせいで、家族から冷たい目で見られているというじゃない……?」
 千獣が拳をぎゅっと握りしめる。
 エヴァーリーンはロウドを見て、
「……あなたがこの仕事をおりようとしないのは……そのあたりが引っかかっているからかしら……?」
「……ノーコメントでよろしく」
 さあ、とロウドはシェナを、そして全員を促した。
「登るか。あの山の頂上にいるっつードラゴンのところまで」
 目の前にたちふさがるは――
 高い高い、急な勾配の山……

「帰って家で待ってろって言っても聞きそうにねえなあ……」
 まだ十代と思えるシェナの勝気な瞳を見たトゥルースは、
「お前さんは無理しなさんな」
 と仕方なく、シェナをかつぎあげた。
「こら!? 放せ、私は自分で歩ける!」
「黙って護られてろ、お前さんは。護ってほしくてロウドに依頼したんだろが」
「う、うるさい!」
 シェナは真っ赤になって、ロウドに向かって激しい怒声を放った。
「この、裏切り者!」
「裏切ってなんかないっつの……」
 煙草の煙を吐き出しながら、ロウドはこんこんと指関節でこめかみを叩く。
 しかしシェナは「裏切り者、裏切り者!」と聞かない。
「……なに、が、裏切り、なの……?」
 千獣がシェナに訊いた。
 シェナはぐっと言葉につまった。
 顔が相変わらず赤く染まっている。
「……ひょっとしてさあ」
 クラウディスがにやにや笑った。「かつがれるならロウドがよかったってやつ?」
「……あー……」
 トゥルースは何かに思い至って、気のない声をあげた。
「嬢ちゃん、ロウドにかつがせてやってもいいが……ヤツは高所恐怖症だぞ」
 シェナが一瞬目を見張る。しかしすぐに復活して、
「ろ、ロウドのことなどどうでもよい! 私は自分で歩ける!」
「さ、いこいこ」
 シェナのわめき声は完全に無視して、遼介が面白そうに目をらんらんと輝かせながら、一番手で元気よく歩き出した。
「シェナ殿」
 アレスディアは真顔でトゥルースにかつがれているシェナを見て、
「――ドラゴンを、退治するわけではないのだな? ここのドラゴンが人に害を成すとは聞いたことがない。退治するのなら、私はこの仕事をおりさせて頂く」
「……もし、何も、して、ない、のに……退治、しよう、と、する、なら……私は……手伝え、ない……」
 千獣がアレスディアの言葉を継いだ。
「ドラゴンが、人間に、悪さ、してるなら……人間、だって……命、護ら、なきゃ、いけない……だから、わかる……でも、悪さ、して、ない、生き物……食べる、ため、でも、ない、のに、殺すのは、だめ……」
「べ、別に私は」
 シェナは、自分と歳のかわらなそうな少女ふたりに詰め寄られて、口をつぐんだ。
「変わった考え方だなあ……」
 ロウドがくわえ煙草で、シェナに詰め寄っているふたりの少女を見た。
「ドラゴンは魔物だ。それだけで退治するに値するもんじゃねえのか?」
「俺もそー思うけど」
 遼介が振り返ってそう言った。「今何かしてなくても、いつ何をやらかすか分からねえじゃん」
「俺はマスターの意見に賛同ー♪」
 クラウディスが遼介に抱きつく。再び離れろ離れろと少年たちの騒ぎが起こる。
 ティナは意味が分かっていないようで、きょとんとアレスディアや千獣を見つめている。
 アレスディアと千獣は、あるひとりの人物を思い出してうつむいていた。
「ま、でも今回は退治が目当てじゃないさ」
 ロウドが煙草の煙を吐き出した。「うろこさえ採れりゃいい。そうだろ? シェナ」
「そ、そうだ……」
 シェナはどこか意気消沈した様子でつぶやいた。
「んじゃまあ、行きますか」
 一番手で山に登り始めていた遼介とクラウディスに続いて、ロウドは急な坂道を歩き出した。その後をティナが、その後ろにトゥルースとシェナが。エヴァーリーンはのんびりと。
 アレスディアと千獣は――顔を見合わせじっと互いの目を見たあと、ゆっくりとしんがりを歩き出した。

「楽しい楽しいピクニック♪」
 先頭を歩く遼介が、場違いな歌を歌っている。
「ピクニックって……お前なあ……」
 ロウドががくりと肩を落とす。
「だって弁当と水も持ってきたしー」
「マスターにとっちゃ、これくらいの坂どうってことないもんな」
 クラウディスが、まるで自分のことのように胸を張ってそう言った。
 険しい山に、襲ってくるは猛禽類の魔物。
 剣を抜こうとした遼介に、
「殺すな!」
 アレスディアがすかさずコマンドを唱えて、ルーンアームを鎧装にと変えた。そしてシェナをかばうように立つ。
「追い……払え、ば、いい、よね……」
 千獣がばさりとその背に獣の翼を生やし、「ごめん、ね……」
 と囁いた後、強烈な獣のうなり声をあげた。
 威嚇されて驚いた魔物が、すぐに逃げていく。
「……ドラゴン以外にも魔物いるんじゃねぇか」
 トゥルースが頭を抱えた。「こんなところへ、ロウドとふたりきりで来るつもりだったのか? 嬢ちゃん」
「………」
 シェナはぷいとそっぽを向く。ロウドが苦笑する。
 クラウディスがにやにやと、
「そんなこと言ったら馬に蹴られるぜ、おっさん♪」
 と言ってから、
「なあ遼介! お前もこの子どうだよ、この子!」
 遼介の腕を引いて、ティナと向き直らせた。
「?」
 ティナは相変わらずきょとんと首をかしげるだけ。
 その姿は――街を歩けば十人が十人振り返るような露出度の高さの――
 遼介は耳まで赤くなってそっぽを向いた。
「何でもいい! 早く上まで行くぜ!」
「えーもったいねえよ遼介! な、この子と仲良くなろうぜ!」
 エヴァーリーンがふうとため息をついた。
「うるさい子たちね……鋼糸で口をふさいであげましょうか……」
「っ!!」
「ああ……使った鋼糸は弁償してもらうから……ね……」
 本気の目でエヴァーリーンは鋼糸を取り出そうとする。
「すっみませんでしたー!」
 遼介とクラウディスは、慌てて先へと走り出した。

「気分は悪くないかい、嬢ちゃん」
「最悪だ」
 トゥルースにかつがれているシェナはぶつくさと文句を言った。
「せめてだっこにすべきだ。この私に対して、無礼であろう!」
「だっこじゃあ両手がふさがっちまうんでな」
 ちらと見る先。ロウドが煙草をふかしながら歩いている。まだ彼の恐怖する『高所』には至っていないらしい。
 そのロウドを心配するかのように、彼の足元にじゃれついているのは、ティナ。
「――どうかしたかい? おっさん」
 トゥルースの視線に気づいたらしい。ロウドが煙草を口から離した。
「高所恐怖症の請負人なんざ、聞いたこともねえ」
 トゥルースが苦笑する。「ま、自分の選んだ生き様だ。他人がどうこういうことじゃねえがな」
「――俺の選んだ生き様、か……」
 ロウドは煙草を再びくわえて、遠くを見た。
「自分じゃ、気づいたらこんな風になっていただけのつもりでいるんだが……本当は、どこかで何かを選択し続けていたんだろうな……」
 おっさんもだろ? とロウドは聞き返してくる。
 トゥルースはシェナをかついだまま、器用に肩をすくめてみせた。
「俺の場合は、ちゃんと選択した自覚がある」
「……そうか……」
 ロウドは煙を吐き出してから、自分らの後ろを歩く少女ふたりを見た。
「今日は、色んなことを知る日だな」
 アレスディアと千獣は、黙ってロウドとシェナを見ていた。まだ釈然としない顔をしている。
「俺も考え方を見直すべきなのかねえ……」
 つぶやいた、そのとき。

「うおー! 絶景ーーー♪」

 遼介の声が聞こえて、ロウドは煙草を取り落とした。

 落ちた煙草はまだ火がついていた。ティナが慌てて土をかけて火を消した。
「すっげえ綺麗だぜ、外の景色!」
 聞こえてくる少年たちの言葉に、ロウドの顔が引きつる。
 すでに足がわなわなと震えていた。――そこにたどりついてもいないのに。
「……あら、本当にいい景色じゃない……」
 エヴァーリーンの声まで重なる。
「ロウド……」
 トゥルースは重々しい声で、請負人の名を呼んだ。
「もうギブアップか」
「まま、まさか」
 これくらいで、と引きつったまま、無理やり笑顔を作るロウド。
 しかし、足が完全に止まってしまった。
「だめ」
 ティナがロウドの服の裾にかみつき引っ張った。
「頂上、まだ」
「わ、分かってる」
 ロウドは震えながら一歩一歩踏み出し始める。その先に待っているものに恐怖しながら。
 相変わらずしんがりのアレスディアと千獣は、その様子を呆れて見ていた。

 山の中腹から見下ろせる景色は、海と山と森、そして街さえも見下ろせるまさに「絶景」な場所だった。
「ほらほら、ロウドも見ろよ」
 遼介が、かたくなに下を見ようとしないロウドをからかう。「見ないと人生の損だぞ!」
「そうそう、遼介の微妙な高さの声を聞かないと人生の損であるのと同じように」
「てめそれは関係ないだろクラウディス!」
 ロウドの耳元を、ひゅーひゅーと風の音が吹き抜ける。
 それは自分の片耳だけに起こる現象で、もう片方からは聞こえてこない風の声。
 ――すなわち、片方だけ吹き抜けになっている。
 ロウドはくらりとめまいを起こした。
「ロウド、休むか?」
 ティナがロウドを見上げる。「ニンゲン、体力ない」とどこか呆れたような口調でつけたしながら。
「い、いや、まだいける……!」
 ロウドは強がった。
 遼介もいい加減ロウドの様子に呆れていたが、
「高いところって下見なきゃいいじゃん。景色見なきゃあんたも大丈夫だって」
「そ、そうだな」
 ロウドは深呼吸をしてから、煙草を取り出した。
 ……取り出した傍からそれを取り落として、慌てて拾う動揺っぷり。
「……本当に高所恐怖症だな、お前さん」
 眉間に指を当ててはあとため息をつきながら、トゥルースがつぶやいた。

 そこから先――
 時おり降りてくる猛禽類の魔物をアレスディアと千獣が追い払いながら、一行は前に進んだ。
 ロウドのおぼつかない足は、ティナが必死で前に進ませた。どうしても動かなくなったときは、ため息をついたエヴァーリーンが鋼糸でロウドを引っかけ引きずるように前に進ませたが。
 ロウドはもちろん、シェナもそれほど体力はない。一行はふたりのために、しばしば休みを取っては遼介の持ってきた弁当を堪能した。
「まったく……でけえお守りだ」
 トゥルースがぼやく。
「だから私は自分で歩ける!」
 シェナはまだ言い張っている。
「すまん」
 ロウドが嘆息した。「これが終わったらいちからやり直すことにするわ……」
「ぜひそうしてもらいたいものね……」
 エヴァーリーンが冷たい目でロウドを見ていた。
「なあなあ、これ食ったら高所恐怖症も一発で治るぜロウド!」
「あっ、てめクラウディス! それは俺の好物のたこさんウインナー!」
 少年たちは気楽に元気だ。
 アレスディアは上を見る。目を細めて、
「頂上まで、あと少し……だな」
「私……様子、見て、くる……」
 千獣が獣の翼を生やし空を飛ぶ。頂上近くを一周――しようとしたそのとき。
 おそらく頂上にあると思われる洞穴から、炎が噴き出してきて、千獣を襲った。
 千獣はぎりぎりで避けた。すっと皆のところまで帰ってくると、
「ドラゴン、いた……。ちょっと、攻撃、的……」
「人間とかとは縁が薄いから、警戒心が高いのかもしれねえなあ」
 トゥルースは腕組みをし、「とりあえずシェナ。お前さんはもうこれ以上上に登ろうとするな」
「な、何だと……っ」
「いいか、戦いは甘いもんじゃねえ。ドラゴンなんぞを口実に他人が馬に蹴られるようなことをするのは馬鹿でしかねえんだよ。分かれ、その歳なら」
「な、なにを無礼な、」
「……でも……お嬢さんだけをここに置いてけぼりにはできないわね……」
 エヴァーリーンがサンドイッチをほおばりながら問題点を口にする。
「俺が責任とってここで見ててやらあ」
 トゥルースが、ため息のかわりに葉巻をふかした。そしてロウドのほうを見る。
 ロウドは山から突き出していた石に座り、ようやく落ち着いて煙草を吸おうとしているところだった。足元には、相変わらずいつでもロウドを引っ張れるようにとティナが座っている。
「お前さんも、できりゃ外にいてほしいんだがな」
 トゥルースはロウドに声をかける。
 ロウドは視線を山の頂上にやったまま――下や空を見ると一発で気絶するので――目を細めた。
「俺は……ここまできたら、仕事をまっとうしないとなあ……」
「どうしてもか?」
「俺が何もやらなきゃシェラード家からの報酬が受け取れない。したがって、そっちの姉さんや少年に払う礼金が出せない」
「あー……」
 遼介が声をあげた。「報酬出ないのにこんな山登って終わり、なんてやだぜ」
「山登り楽しんでたくせに、遼介」
「うっさいクラウディス」
「困ったものだな……」
 アレスディアが眉間にしわをよせた。そして、「ドラゴンのうろこ、か」とつぶやいた。
「うろこ、さえ、採れ、れば……殺さ、なくて……いい、ん、だよ、ね?」
 千獣がシェナに迫って切ない目で彼女を見る。
 シェナが返事に困った、そのとき――

 どが……ん

 重い音がした。

 どが……ん

 ――それは、何者かが岩を崩しながら移動している音に聞こえた。

 ごろごろごろ……

 予想を裏切らずに、破壊された岩が一行の傍を転がっていく。トゥルースがとっさにシェナをかばう。ロウドもこのときばかりははっと反応して、ティナをかばった。
 全員が上を見た。
 そしてそこに、赤い赤いうろこをびっしりとその体躯に生やした巨大な爬虫類を見た――
 ドラゴン。

「気配に気づいてでてきたか……っ」
 トゥルースはシェナをかつぎなおす。
「ドラゴンの相手は頼むぜ!」
 そしてトゥルースは山を下り始めた。やめろやめろとシェナが騒ぐが、無視。
 そのトゥルースを護るように立ったのは、鎧装のアレスディアだった。
「トゥルース殿、お早く安全な場所に!」
「おうよ!」
 ロウド! とトゥルースは請負人を呼んだ。
 ロウドの顔つきが変わっていた。――静かに目標を見つめる目。
 それを見たトゥルースは、「お前も下へ戻れ」と言いかけた口をつぐんだ。
「――下を見ちまったときは、すぐに転がり落ちてこい! 俺が受け止めてやる!」
「そりゃあありがたいね」
 ロウドは二丁拳銃を取り出した。
 『罪』と『罰』と名づけられたそれらが、ドラゴンに向けられる――
「だ、め……!」
 千獣がロウドの腕にしがみついた。「殺し、ちゃ、だめ……!」
「……そんなこと言われてもなあ……」
 ロウドが困っているうちに、他の面々は行動を起こしていた。
「炎系のドラゴンか……水系のヴィジョンがいいのかなあ」
 そんなことをぶつぶつ言って、遼介がポケットから取り出した一枚のカードをかざした。
「召喚――ミズキ!」
 空間がぐにゃりとゆがみ、現れたのは水のヴィジョン・ティアマット――
 ドラゴンが大口を開けた。のどの奥から放たれようとしているのは炎。
 ティナが脅威の身軽さでドラゴンの頭の上に飛び乗り、ドラゴンのうろこに手を触れる。
 ティナの動きのために、ドラゴンの放つ炎の方角がずれた――千獣の方向に。
 千獣はまともに炎を受けた。
 ――しかし炎が消え去ったとき、彼女は傷ひとつない姿で立っていた。彼女の体の内に巣くう魔と獣たちが、彼女の傷を癒してしまうから。
「負け、ない、よ……」
 千獣は片腕にまかれていた呪符を織り込んだ包帯をはずし、その腕を魔獣の腕へと変えた。
 遼介のミズキが槍でドラゴンを突き刺そうとする。それに気づいたドラゴンが首の向きを変えた。
 と、それを見計らったように遼介がダッシュしてドラゴンの死角から剣を一閃する。
 が――
「かってぇぇぇ!」
 剣を振るった手のほうがしびれるほどにうろこが硬く、遼介は危うく剣を取り落とすところだった。
「大丈夫か遼介!? もう老化か!?」
「アホクラウディス! お前もいっぺんこのうろこに触ってみろ! むしろ叩かれろ!」
「ふたり、危ない!」
 ティナが遼介と、駆け寄ってきたクラウディスに警告の声を放つ。
 見ればドラゴンの尾が、今まさにふたりを襲おうとしていた。
 千獣が背に翼を生やし飛んでくる。振り回されそうになったドラゴンの尾に抱きつき、動きをとめる。
 ドラゴンは続いて、遼介にかみつこうとした。
「!」
 遼介は避けようとして、山の土に足を取られた。倒れる――
 ガキィン
 一本の剣が割って入り、ドラゴンの口を止めた。
「早くドラゴンから離れられよ!」
 アレスディアだ。彼女はドラゴンの口と押し合いになっている。
 遼介をクラウディスが引っ張り起こし、二人は体勢を整えた。
 ティナがドラゴンの上をちょこまかと動き、ドラゴンの集中力を奪っていく。
「ふう……」
 しばらく静観していたエヴァーリーンが、「炎以外に脅威はなさそうね……」とつぶやいた。
 そして、――ひらり。
「おどきなさい」
 アレスディアに言いつけ、いつの間にか隣にいたエヴァーリーンに驚いたアレスディアが剣を引っ込めるのと同時、
 しゅるっと鋼糸が広がり、エヴァーリーンは軽業師のような動きで周囲の岩、そして樹を利用してそれを収束させた。
 ドラゴンの口が、右から左から鋼糸できつく結ばれる。
「ミズキ、行け!」
 遼介がヴィジョンに命じる。ティアマットが水流弾を放つ。ドラゴンの重い体躯に激しく当たり、ドラゴンが悶絶する。
「やめ、て……苦し、める、のは……やめ、て……!」
 ドラゴンの尾を抱いていた千獣が、狂おしそうな声をあげた。
 遼介がその叫びに動けなくなる。
 クラウディスが頭の後ろで腕を組んで、「じゃあどうすんだよ」と顔をしかめた。
「――剣で――」
 アレスディアが覚悟を決めたような顔でドラゴンを見つめた。
「剣で、うろこを根元から絶つ。――一枚でいいのだろう?」
 問う相手は、ロウド。
 ロウドは、ああとうなずいた。
「アレス、ディア……!」
「千獣殿! 今だけは耐えよう! 今だけは……!」
 そしてアレスディアは、同じく剣を持つ遼介に助力を求めた。ふたりで同時にうろこを攻撃する――
「夫婦として初めての共同作業です……!」
 ……どこまでも遼介をからかう気のクラウディスには、アレスディアの壮絶な視線が送られた。
 一度斬っただけでは足りない。二度、三度……
 相変わらずドラゴンの上をちょこまかしていたティナが、
「怒ってない。このドラゴン。攻撃されても」
「多分うろこにゃ痛みを感じねーんだろな」
 クラウディスが、口笛を吹きそうな様子で言った。「うろこにいちいち痛み感じてたら、うろこの意味ねえからなあ」
 エヴァーリーンの鋼糸は見事にドラゴンの口を封じきった。
 一枚のうろこが――
 何度目かのアレスディアと遼介の剣で斬り飛ばされ――
 千獣の目の前まで飛んできた。
 千獣は慌ててそれを取った。と、手を放した拍子にドラゴンの尾が彼女を地面に叩きつける。
 ひそかにクラウディスが千獣に回復の魔法をかけた。
「あとは――このドラゴンを巣に戻してやらねば……」
 アレスディアが、何度も硬いうろこを打った衝撃でじんじんとしびれる腕をおさえる。
「逃げればいいだけじゃないの?」
 クラウディスが気楽に言うと、
「だめ、だめ、元の、場所、に……! 口、も、ふさい、だ、まま、じゃ、だめ……」
 うろこを抱きしめたまま、千獣が訴えた。
 エヴァーリーンが、「仕方がないわね……」と嘆息する。
「ちょっと……待っていなさいな……」
 鋼糸が空を切る。エヴァーリーンは先ほどよりもさらに激しい動きでドラゴンの周りを回った。
 鋼糸は、ドラゴンの体すべてを縛ってしまった。
「ほら……そこの、力の強そうなお嬢さん……」
 エヴァーリーンは鋼糸の端を千獣に渡すと、
「これで引きずって巣に連れて行ってやりなさい……その後糸をはずすのは私がやってあげるから……」
「………!」
 千獣の瞳が輝く。赤い瞳の少女は、言われたとおりに鋼糸の端をしっかり持ってドラゴンを引きずった。
「あれじゃ巣に着く前にドラゴンがぼろぼろになっちまうぜ」
 呆れたように言うクラウディスに、
「すまぬ、そこの方……」
 アレスディアが声をかけた。
 ん? とクラウディスが振り向く。
「先ほどちょっとだけ見えた――ひょっとして回復の呪文……なども使えるのでは?」
 アレスディアの真剣な目に、クラウディスはげっと頬を引きつらせる。
「俺にドラゴンの回復をしろってか?」
「頼む。ドラゴンを傷つけるのは本意ではないのだ」
「……あのお嬢さんといい……なかなか強情ね……」
 エヴァーリーンはそうつぶやいてから、千獣とともにドラゴンを引きずりに行った。
「なあ遼介ぇ」
「……仕方ないから、やってこいよクラウディス」
 ヴィジョンを引っ込めながら、遼介がクラウディスの肩をぽんと叩いた。
 クラウディスがとぼとぼとドラゴンの巣まで歩いていく。
 ロウドがやれやれと肩をすくめて、
「俺は出番なしか。まあいいけどな――これでシェナも大人しくなるだろうし」
「………」
 アレスディアはつぶやいた。
「不殺、か……私には、この程度しかできぬ」
「何の話だ?」
 ロウドが問う。いいや、とアレスディアは首を振った。
 ――理由はおそらく、千獣と同じだ、と彼女は考える。
 あの、大切な仲間だった大男の口癖――
「彼は元気だろうか……」
 空を見上げて、アレスディアはつぶやいた。
 同じく空を見上げたロウドは――その空の近さ加減にめまいを起こして転がっていった。おそらく下で、トゥルースに拾われることだろう。
 ドラゴンの咆哮が聞こえた。
 それは、口が解放された証拠だった。

     **********

 シェナの足の傷を治す薬は、どうやらドラゴンのうろこで全部だったらしい。
 シェナは、自分の足が治るという祝い事を前にしてむっつりと不機嫌だった。
「何か言ってやらなくていいのか?」
 トゥルースがロウドに耳打ちする。
「あ? ああ」
 ロウドはくわえ煙草で、
「シェナ。よかったな」
 とシェナの頭をくしゃくしゃ撫でた。
「―――っ!」
 シェナは真っ赤になってロウドの手を払った。
「もうお前など知らぬ!」
 ぷい、と背を向けて、杖をつきながら歩いていく。
 あーあー、と遼介とクラウディスがにやにやとして、
「女心にうといなあ、おっさん」
「まだおっさんなんて言われる年齢じゃねえ!」
 ロウドはくわえ煙草が飛びそうな勢いで怒鳴った。

「しかしお前さん、今までよく請負人なんかやってこられたな?」
 トゥルースは、ロウドとチェスをしながら話していた。
 あー、とロウドは気が入ってるんだかないんだか分からない返事をした。
「……まあ、こう見えて前の世界では名が売れてたんだぜ」
「そりゃあ平和な国だったんだなあ……」
「皮肉にもほどがあるっつーの、おっさん」
 ロウドは新しい煙草をくわえ、苦笑した。
 黒山羊亭には次々と先日のメンバーが集ってくる。
 エヴァーリーンは、
「ドラゴンに使った分の鋼糸代……必要経費としてもらうわよ……」
「……ドラゴンを巣に戻すことまでは依頼に入ってなかったんだが……まあいいよ」
 君の仕事は素晴らしかった、とロウドは笑みを見せて、エヴァーリーンに彼女の仕事に見合うだけの報酬を渡した。
「君がいなくちゃあ、できなかったことだからなあ」
「ありがと……」
 エヴァーリーンは自分の仕事に誇りを持つ。自分が納得しない働きだったならば報酬など二の次だ。
 今回は――
 エヴァーリーンは背後を見やる。そこに、呪符を織り込んだ包帯に巻かれた赤い瞳の少女がいる。
 ドラゴンを巣に返し、怪我も治せたことで彼女が見せた笑顔、それがエヴァーリーンのプライドを満たすに充分だった。
「残りの報酬は――おらよ、少年」
「よっしゃ!」
 遼介はそれなりに金額の入っている袋を手に入れて上機嫌だった。
「俺の働きの分も入ってる? なあ、なあ」
 クラウディスが遼介にまとわりついている。それはいつものこととして――
「クラウ、ディス……あの、とき、ありが、とう……」
 千獣がクラウディスに礼を言う。
 クラウディスがむっつりとして、
「マスター以外のために力なんか使いたくなかったのに……」
 よりによってドラゴン! とぶつぶつぼやき始めた。
 千獣はアレスディアを見る。
 アレスディアは微笑んで、
「――千獣殿。あの方に会いに行こうか」
「え……」
「たしか、病院を経営されていたはずだ。今でもいらっしゃるかどうか分からぬが……」
「行く」
 千獣が即答する。
 少女たちが笑いながら、仲良く黒山羊亭を出て行く。
 トゥルースはそれを見送って、唇の端を吊り上げた。
「人に影響を与えるほどの存在感ってのぁな、ロウド」
「ん?」
「――自分がそれに値するほどの存在でなきゃあいけない。それの大変さが分かるか?」
「さぁて……」
 ロウドがチェスの駒を移動させる。
 トゥルースはにやりと笑って駒を移動させ、
「チェックメイト」
 と言った。


 ―Fin―


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1559/クラウディス/男/12歳(実年齢999歳)/旅人】
【1856/湖泉・遼介/男/15歳/ヴィジョン使い・武道家】
【2087/エヴァーリーン/女/19歳(実年齢999歳)/鏖(ジェノサイド)】
【2447/ティナ/女/16歳/無職】
【2919/アレスディア・ヴォルフリート/女/18歳/ルーンアームナイト】
【3087/千獣/女/17歳(実年齢999歳)/獣使い】
【3255/トゥルース・トゥース/男/38歳(実年齢999歳/伝道師兼闇狩人】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
トゥルース・トゥース様
いつもありがとうございます、笠城夢斗です。
今回も依頼にご参加くださり、ありがとうございました。こちらのミスでいまいち判然としない依頼となってしまったことをお詫びします。
よろしければまたお会いできますよう……