<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>


強盗の多い商店街

□Opening
 今日も賑わう白山羊亭。
 その一廓で、ひっそりとテーブルを取り囲む男達に、ルディアは呼びとめられた。
「ちょっと聞いたんだけれども、ここでは冒険者を紹介してもらえるんだって?」
 そう言って、きょろきょろと辺りを見まわす。
 彼らは、何かに怯えるように、びくびくと周囲を警戒しているようだった。
「そうだけど……、何か困ってるんだ?」
 その様子から、ただ事では無いと言う事は分かったのだけれども、もう少し詳しい内容が必要。ルディアは、勤めて明るく、彼らの緊張をほぐすように、話の続きを促した。
「実は、俺達……、二つ先の町の商店街の組合員なんだわ」
 やがて、一人の男が意を決したように話し始めた。
「最近、俺達の商店街に、盗賊が……、押し寄せてきてな……、はぁ」
「盗賊……、根こそぎ盗まれたの?」
 これは、物騒な話になりそうだった。ルディアは声を潜め、男に問う。
「いや、これが、酷い話さ……、根こそぎ奪われたなら、また一からはじめりゃ良い……、けどよ、奴ら……、毎日押し寄せて少しずつ売上や品物を奪って行くんだ」
「次の日営業が出来るくらいは物品が残るだろう? だから、商売は出来る、そして夜またやってきて奪って行く……、この繰り返しさ」
「何とか抵抗しようとした……、けど、俺達じゃ歯がたたねぇんだよ」
 それは、嫌な話だった。日々の売上を奪われ、その分を取り返そうと商売をし、また奪われる。ルディアは頷きながらも、そっと顔をしかめた。
「分かった、その盗賊達の特徴は分かるの?」
「奴らがどこに潜んでいるかはわからねぇ、けど、必ず夜に商店街にやってくるのさ」
「まず、魔法を使うラーラ……、あの雷や炎は本物さ……、俺は腕を焼かれてこの様……」
 一人の男は、悔しそうに袖を捲り上げた。その腕には、酷いやけどの跡。
「それから、大きな斧を使うリルって大男、あの斧で脅されたら……、俺はもう何も言えなくて……」
「最後に、多分リーダーのレロ、こいつは格闘術を使うんだ、いつもメリケンサックを装備してる」
 ああ、何とかしてくれと、男達は悔し涙を流す。
 ルディアは、急いで冒険者達を探し始めた。

■02
 その話を静かに聞いていた千獣は、一度こくりと頷いた。
「じゃあ、引き受けてもらえるんだね?」
 ルディアの顔に、安堵の色が浮かぶ。安心したのは、依頼人達も同じだったようで、ほっと息を吐きながら皆お願いしますと頭を下げた。
 夜に来る盗賊達……。
 千獣は、ちょっと考えて、独り言のように呟いた。
「……盗賊、は……夜に、来る、ん、だよね……?」
「そうです、とにかく、奴らは夜毎襲ってきては、売上なんか持って行くんですよ」
 それに対して、一人の依頼人が答え悔しそうに下を向いた。奪われる。搾取される側の、悔しさだけが募っているようだった。
「じゃあ……夜……暗く、なって、から……お店、の、屋根の……上、に……潜ん、で……盗賊を、待つ……」
 どうやら、方針は決まったようだ。
 今宵の戦闘を予感したのだろうか。千獣の言葉に、依頼人達は、顔を引き締めた。

□04
 時は夕暮れ。
 ワグネル、千獣、アレスディア・ヴォルフリートの三人は、案内され商店街へ到着した。人通りはまばらで、いささか寂しげな印象を受ける。
「つうか、夜の間店をカラにすれば解決しねぇか?」
 ワグネルは、辺りを見渡し店の配置や足場を確認しながら、軽く提案した。
 千獣は、商店街に入る道からの死角を確認し、建ち並ぶ店の屋根の検討をはじめている。
「私、は……屋根の……上、に……潜ん、で……盗賊を、待つ……」
 そうして、一つの屋根を指差し、みんなに向かって訥々と語った。
「上、から、だと……盗賊……誰が、どう、いるか……わかり、やすい、から」
「ワグネル殿、まさか、ここまで来て盗賊を取り逃がすと言うわけではあるまい?」
 千獣の言葉に頷きながら、アレスディアはワグネルをちらりと見て、ため息をついた。
「ちょ、ちょっと待ってください、そんな事をしたら俺達どんな仕打ちを受けるか」
 その会話を聞いていたのか、案内してきた依頼人は慌てたように悲鳴に近い声を上げた。ワグネルは、依頼人とアレスディアを交互に眺め、いやすまないと口元に笑いを浮かべた。勿論、彼は本気でそう言っているわけでは無い。アレスディアもそれは分かっていたのか、それ以上特に追求するわけでもなく話題を変えた。
「私は大斧を扱う男の相手をしよう」
 ある程度の対策を考えているのだろう。落ちついたその宣言。
 その言葉に、千獣が頷いた。
「私、は……魔法、使う、人、を……狙う……」
「それで、屋根の上か?」
 ワグネルは、すぐに思いつく。つまり、
「屋根、から、なら……直接、狙える、と、思う」
 と言う事。
 魔法を使うラーラは、おそらく、斧使いと格闘家を後方から援護するだろう。アレスディアやワグネルが、盗賊よりも個々の能力で勝っていたとしても、後方から魔法の援護が来ればてこずるかもしれない。だから、千獣は屋根の上から魔法使いを狙うのだ。
「じゃあ、俺はリーダーの相手をしようかね」
 小物の盗賊三人組。それに対抗するのに、一対一の戦闘をしかけるのなら、自分もそれに乗る。ワグネルは、腕を組み少し考える様子を見せた。他の二人は、懐に飛び込めるかどうかが勝負だろう。アレスディアも千獣も、恐らくしくじる事は無いはず。しかし、格闘術を持つリーダーだけは、攻撃のレンジ外から、つまり中距離から攻めるのがセオリーか。自分の武装を確認し、太刀よりも投げる方が良いなと方針を決める。
「そうそ、噂、だがな」
 ワグネルは、組んでいた腕を広げ、皆を見まわした。
「三人組、それぞれの能力は、たいした事ねぇ……、いや、あくまで俺基準だが、それが三人組めば厄介だ、お互い逃がすなよ」
 それは、盗賊ギルドに籍を置く彼に聞こえてきた噂の類。しかし、情報は多いに越した事は無い。アレスディアは、逃がすなよと言う言葉に口元を引き締め、神妙に頷く。油断など、あってはならない事だ。
「了解した。確認するが、魔法は雷と炎、大斧は私が、リーダーの男は格闘術だったな」
 ワグネルとアレスディアの言葉に、千獣は少し考える。
 そして、頷き屋根を目指して歩き出した。
「それ、なら…… 別に、平気」
 雷? 炎? その痛みが何になる? 痛み、そう、痛みはある。ただ、慣れてしまっただけ。だから、大丈夫。たん、と、軽やかに地面を蹴って千獣の身体は屋根に向かい跳んだ。
「逃がしちゃ悪いしな、俺達は奴らが入ってきたところを押さえるか」
 千獣の背中を見送って、ワグネルは店と店の隙間の路地へ視線を投げてからアレスディアに目で合図をする。アレスディアは、心得たと頷きちらりとワグネルを見た。難しそうな顔をしていたかと思うと、作戦に関するレスポンスは速い。依頼を聞いてここに居ると言う事は、信頼しても良いのだろう。
「では、私はあちら側で待つ」
 商店街を通る一本の道。その向こう側へアレスディアは向かう。くるりと背を向けると、長い髪がはらりと揺れた。
「あのう、俺達はどうしたら良いですかね?」
 千獣とアレスディア、二人を見送り、依頼人は不安そうにワグネルに訊ねた。もはや、今宵は戦乱。必ず、戦いが起こるだろう。それは、依頼した自分達が一番良く分かっている。けれど、それまでの準備や店は? ワグネルが言うように、いっそ店をカラにすれば良いものか?
「そうだな、店にはエサになるような物を残しておく方が良い、ここは戦場になるぜぇ、適当に逃げとけよ」
 さて、その笑いはどこまでが本当か。
 ワグネルの言葉に、依頼人達はおっかなびっくりと自分達の店へと駆け出した。

□05
 夜が来る。
 商店街の店は、全てシャッターを下ろし店を閉めた。客の姿は無く、寂しかった通りはさらに寂しさを増した。ただ、がらんと言う印象だけがそこに残り、路地に潜む二人の吐息さえも響き渡りそうだった。
 通りの電気も消え、更に闇が深まる。
 そうして、日が完全に落ち、しんと静寂だけが残った。
 その商店街を見下ろし、屋根の上で、千獣は身を潜めていた。
 気配を殺し、現れるはずの強盗達を待つ。
 商店街の入り口から、やって来ると言う。だから、その先に続く道を遠く眺めた。
 そのまさに足元、暗い路地にアレスディアは居た。
『我が命矛として、牙剥く全てを滅する』
 凛としたアレスディアのコマンドが、静かに槍を変えていく。
 手に有るのは、漆黒の突撃槍『失墜』。
 身を包むのは、総身漆黒の『黒装』。
 彼女の鎧装であれば、大斧も受ける事ができただろう。しかし、受けるだけでは勝てない。故に、彼女は装備に黒装を選んだ。防御力は低いが、それ以上に俊敏に動く事ができる。
 アレスディアを闇が包む。
 辺りは、既に真っ暗だった。
 その反対側の路地。
 ワグネルは、気配を消してぴったりと壁に背をつけていた。依頼人によると、三人組は必ず商店街の大通りの入り口を通ると言う。辺りに気を配りながら、入り口の先へ神経を集中させる。
 そして、遠くから聞こえる派手な足音。
――来た、か
 ふっと一度息を吐き、その場にかがみ込む。
 ざりざりざり。
 辺りを気にしない散漫な足音が三つ。
 次第に大きく、商店街に響く。
「よぉ、もう客はいねぇなぁ」
「今夜も、おとなしく、俺達をお待ち申し上げてくれたって訳か」
 最初に聞こえたのは笑い声。
 ははははと、げひた笑いが、商店街をこだました。
「そうねぇ、今日の売上はいくらだったのかしらァ」
 きゃはははと、甲高い笑いは、耳に障る。
 ぶん、と。
 商店街の入り口で、殊更大きな音がした。
 大男のリルが、肩に担いでいた大斧を振り下ろした音だった。
「さぁて、今晩はどの店から頂くかねぇ」
 その大斧を飛び越えて、リーダーのレロが楽しげに叫んだ。
「残念だが、あなた達にこれ以上何も渡す物は無い」
 その時、空気が変った。
 商店街に入り、店を物色し始めた三人組が、自身の潜む路地を通りすぎた時、アレスディアは静かに彼らの背後に立った。不意打ちでは無い。彼らには、アレスディア達がここに居る理由を告げなければならない。これは、アレスディアの律儀な正確ゆえの行動であった。
「はぁん? 誰だ、お前」
「ちっ、正義の味方気取りか」
 レロは、拳を握り締め、アレスディアと向き合った。
 舌打ちをして、リルが大斧を構える。
 ざざざと、ラーラはその二人の後方へ走った。瞬時に、三人は戦闘を悟ったのだ。
「だとしたら、どうする?」
 アレスディアは、三人の様子を瞳の端に捉え漆黒の槍を構えた。
「はっ、俺様達の邪魔をしようってかぁ? バカがっ」
 レロは、落ち着きはらったアレスディアの態度が気に入らなかった。自分達は、三人だ。まず、格闘家のレロが相手をくらませ、リルの大斧でしとめる。その自信から、レロは迷わず地面を蹴った。わりと素早い動きで、アレスディアへ拳を繰り出した。
「……自らより力無き者を虐げる輩……か、それは」
 それは、許せない。
 アレスディアは、向かってくるレロを全く気に留めない。口元に静かな笑みを浮かべ、跳んだ。
 そうだ、最初から格闘家は数に入っていない。そのまま、レロの横をするりと擦り抜け漆黒の槍をリルへ突き出した。しかし、軽い。リルは、向かってきた槍をその大斧でなぎ払おうと、大斧を両手で持ちそのまま斜め上へ振りぬいた。
 二つの武器がぶつかり合う音は無い。
 アレスディアは、まるでその斧の動きを分かっていたかのように、槍を横にスライドさせたのだ。そのままの勢いを一度殺し、矛先をリルへ構える。
「……ちくしょうっ、何だってんだよっ」
 自分の動きを全く無視されたレロは、怒りで顔を赤らめ、もう一度アレスディアを見据えた。自分は、突然現れた漆黒の槍使いの背後に居る。つまり、背後から襲えると言う事。なんだ、そんな簡単な事か、と、手のメリケンサックを確認し、跳ぼうと膝を曲げる。
 だんっ、だん、だん。
「うわっ、何だ?!」
 また、大きな音が、商店街に響いた。
 格闘家のレロに、それは衝撃だけが伝わった。
「悪りぃな、あんたの相手は俺だ、大将」
 何かが飛んで来て、レロの足元に突き刺さったのだ。あまりの勢いに、目を閉じる。
 ワグネルはレロの足が止まった事を確認して、彼の横から姿を表した。飛ばしたのは小型のナイフ。狙いはレロの足元だった。
 だんっ、だん、だん。
 また、ナイフが地面に突き刺さる。レロは、そのナイフを避けようと、飛びながら後退して行った。ワグネルの思惑通り、レロとリルは分断された。
 これで、お互いの相手がはっきりと分かる。
 アレスディアは、背後でレロの気配が遠のいて行くのを感じ取り、リルだけに神経を集中させた。
 ワグネルは、間合いを計りながら、レロとようやく向かい合った。
「くそっ、何だってんだい! 援護するっ」
 さて、レロ、ワグネル、アレスディアそしてリル。更にその背後に、最初に逃げたラーラが居た。あいにく、リルとレロは分断されてしまったが、リルを魔法で援護して槍使いを倒す。それから、三人掛りで小麦色の肌の男をやっつければ良い。ラーラは、そう考えすぐに魔法の詠唱に入った。
『轟け雷轟、その力、我が手に……、サンダーボール』
 がががと、引き裂かれる音。
 ラーラの手元に現れたのは、雷の珠。それが、今まさに弾けようと、閃光が走る。
「行くよっ」
「……、させ、ない……」
 ラーラは勢いよくその雷を投げつけた。
 その先には、槍を構えるアレスディアの姿。
 しかし、雷は、ラーラの目の前で弾け裂けた。
 その光の中に、一つの影。屋根の上から、千獣は飛び込んだ。ラーラの飛ばした雷に、その身を投げたのだ。全身に走る痺れた感覚。痛いと言うよりも、ぴりぴりと皮膚がはげる感触。
「何……、な、あの雷が……」
 ラーラは愕然とその姿を見ていた。
 まさか、その雷に耐える者が居るなんて、信じられない。
 けれど、千獣は、ただ静かに立ってラーラを見ていた。
 千獣は、一歩、足を前へ進める。大丈夫、この痛みは彼女を妨げない。ただ、炎は呪符を焼いて仕舞うかもしれない。そうなれば、獣が暴れ出す。その先に待つ悲劇は、きっと誰よりも千獣が分かっているはずで、だから、炎だけは避けなければいけない。
「……ひっ」
 千獣は、そうして、慎重にもう一歩相手との距離を詰めた。

■07
「このっ、雷轟よ、敵を撃てぇぇぇ」
 ラーラの雷は、ことごとく千獣を襲った。
 しかし、千獣は倒れない。あるいは、その手で弾き、あるいは、全身で受けとめ、放たれる雷をさばいていた。
 地に居た全ての者から離れるラーラを、千獣は屋根の上から見ていた。
 そして、勢いをつけて屋根からの奇襲。
 加えて、雷を受けても倒れない千獣に、ラーラは焦っていた。
 焦りは正確さを奪い、集中力を奪い、後方支援の魔法使いとしては絶対に忘れてはいけない冷静さも奪った。
 千獣はゆっくりとラーラに近づく。
 これがまた、ラーラを恐怖に駆り立てた。
「くっ、雷っ! 雷っ!! 雷っ雷っ雷っ雷っっ!!!」
 ラーラの回りで、閃光が走る。光は弾け飛び、狂ったように千獣を襲った。ただ、その光には精細さが無い。閃光は、千獣の回りに飛び散り、地面に消え去り、千獣を襲う雷の威力が半減して行った。
『もうっ、ほ、炎よ、走れっ、ファイヤボールっ』
 それは、きっとラーラの奥の手だったに違いない。
 弾け飛び、すぐに攻撃される雷とは違う。
 追い詰められたラーラが、両手を空にかざしたのだ。唱えられた呪文。そこに現れたのは、大きな炎の珠だった。今までの雷とは違う。
 千獣は、はじめて、足を止めた。
「は、はは、うふふっ、あたしにこの技を使わせるなんて、良い度胸じゃない」
 千獣が足を止めた事で、ラーラは理性を取り戻した。その炎が、千獣を恐怖させたのだと錯覚する。そして、自分の優位を確信したのだ。
「……、呪符、燃える、と、困る、から……」
 ぽつり、と。
 その時、千獣が呟いた。
「え? 何だって?」
 ラーラは、少し首を傾げた。
 だんっと、大きく地面を蹴る音。それだけが、辺りに響いた。
「……大丈夫……、意識、無くした……だけ、だから」
 弾丸のように素早い千獣の蹴り。それが、綺麗にラーラを捉え、結果、ラーラは突っ立ったまま意識を失った。

□Ending
 夜明け。
 長いようで、短い商店街の夜は終わった。
 日が昇り始める中、そんな早朝に人だかりができていた。商店街の店主達だ。その真中には、ワグネル、千獣にアレスディア。そして、彼らの足元には、縄でぐるぐると身体を縛られた三人組の盗賊が目を回していた。
 自らより力無き者を虐げる輩達。
 アレスディアは、思う。ここで、成敗してしまいたい気持ちはある。しかし、
「人には人の法がある。裁くのは私ではない、白日の下、裁きを受けるがいい」
 そう、それが人の世と言うものだ。
 その言葉に、千獣は、ちょっと考える。
「皆が、……納得、する、……ように、すれば、いい」
 それは、そうだ。
 今まで苦しめられていた依頼人達の思う通りにすれば良い。
「だとよ、さぁ、好きにするんだな」
 ワグネルは、そう言って、依頼人達に急に話を振った。
 ざわめく群集。
「うわーん、うわーん、ごめんなさーい」
 その中心で、皆の視線に耐えかねたのか、レロは泣き出した。
「すみませーん、ううー、こわかったよー」
 それで何かが壊れたのか、大男のリルまでも涙し始める。
「何よ、何……、ふえーんふえーん」
 二人の男が泣き出した。おって、ラーラもほとほと涙を流す。
 その三人の変わり果てた様子に、ギャラリーは、どん引いた。
 ざわざわと、店の店主達は困惑した様子でお互いの顔を見合わせる。
「今までの売上を返して欲しいな」
「ああ、物品も、返してもらわないとな」
「それに、荒れた商店街を、もっと活性化しないと」
 ざわざわざわ。
 ざわざわざわ。
「こいつら、どうするよ?」
 まだ泣きつづける三人に、商店街の店主たちは呆れ顔。
「警察に引き渡すのが一番じゃね?」
 どうやら、何となく、彼らの始末も決まった様子。
 そうして、一つの戦いは終わった。
 ワグネル、千獣、アレスディアは、それぞれ報酬を受け取り商店街を後にした。
<End>

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2787 / ワグネル / 男 / 23 / 冒険者】
【3087 / 千獣 / 女 / 17 / 異界職】
【2919 / アレスディア・ヴォルフリート / 女 / 18 / ルーンアームナイト】

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■         ライター通信          
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 この度は、商店街の闘いにご参加頂きましてありがとうございました。ライターのかぎです。無事、商店街には平穏が戻る事と思います。
 ■部分は個別描写、□部分は集合描写になります。

□千獣様
 こんにちは、再びのご参加ありがとうございました。
 痛みが無いわけでは無い、慣れてしまっているだけ。それが、心に残りました。このような描写になりましたが、いかがでしたでしょうか。
 それでは、また機会がありましたらよろしくお願いします。