<PCクエストノベル(1人)>


〜極楽!天国!温泉満喫ひとり旅!〜


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【冒険者一覧】

【3557/アルメリア・マリティア (あるめりあ・まりてぃあ) / 冒険者】

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 アルメリア:「温泉温泉〜♪お肌ツルツル〜!あ〜気持ち良い♪」


 岩の淵に腕をかけて、はふ、とアルメリア・マリティア(あるめりあ・まりてぃあ)は満足げにため息をついた。
 湯は白く濁っていて、立ち昇る湯気が心地良い。
 ここは温泉で有名なハルフ村。
 聖都からも程近く、多くの人が湯治に訪れるという、いわゆる観光地である。
 アルメリアは、この温泉郷の話を小耳にはさんで半刻もしないうちに、この地を目指していた。
 いつだって彼女はそうなのだ。好奇心旺盛で、その内なる声に従うことに、いつも大賛成だった。


 アルメリア:「勝手に出てきちゃったから怒られるかも知れないけど…ま、いっか♪」


 銀色の髪を頭のてっぺんにまとめ上げ、地元の人風にタオルをその上に乗せて、アルメリアは温泉の湯をすくってははね上げる。まるで子どものような仕草だが、大人びた外見とは裏腹に、彼女はまだ17歳なのだ。
 これで7つ目の温泉だ。さすがに日も西に傾き、橙色に染まり始めている。ちょうど良い気分になったところで、アルメリアはその湯から上がり、身支度も適当に済ませて、次の温泉へと向かった。
 
 
 アルメリア:「えーっと、次は…ラルルの湯?へー、これは疲労回復に効くのね」


 効能を隅から隅までじっくり読み倒し、彼女は温泉地図を片手にそんなことをつぶやいた。
 そして、ふと視線を上げると、そこには色とりどりの土産物が置いてある店が目に入る。


 アルメリア:「きゃあ、あれ、かわいいーーーーーーー♪」


 3オクターブ高い声でいきなりそう叫び、一目散に店へと突進する。
 その姿に、思わず通りの人たちが飛びすさったほどだ。
 既にその目はハート型である。


 アルメリア:「この小さい袋、かわいーーーーー!!こっちの青い小箱もかわいすぎ!!いやーん、選べなーーーーい!」


 店の人も驚いて声が出なくなるくらい、あちこちとせわしなく店内を飛び回り、アルメリアは片っぱしから品物を手に取っては「かわいいーーー!!」を連発した。
 
 その多くの品物の中から、彼女の厳しい目で選ばれたいくつかの品が購入され、大満足の笑顔をあたりにふりまきながら、彼女は次の温泉へと向かった。
 番台にいくつかの銅貨を渡し、「女」の文字の書かれた部屋へと入る。
 昔ながらの温泉の多いハルフ村では、この方式は一般的だ。
 残念ながら、多くの年齢層が楽しめる温泉地と謳っているだけあって、混浴が出来るような場所はない。
 

 アルメリア:「温泉での出会いなんて、ロマンチックでいいのになぁ〜」


 ややピンクがかったお湯につかりながら、アルメリアはそんなことを思ってみる。
 格好良い異性とかわいいものには、とかく目がないアルメリアである。
 さっきから、温泉から温泉へと渡り歩く間にも、その双方を探すのに余念はない。
 かわいいものは、それこそ山のようにあったのだが、格好良い異性の方は、時期もあってかまったく望み薄だった。
 まだ温泉を十二分に楽しむ季節ではなかったので、純粋に温泉が好きな人か、湯治が必要な人ばかりだったのだ。
 出会いを演出してくれそうなシチュエーションは、望めそうにない。
 それでも、この状況に十分満足ではある。


 アルメリア:「だって、宿だって取っちゃったもん♪」


 今日の夜は、この温泉地の郷土料理とも言える、精進料理を宿で食べる予定なのだ。
 あらゆる山菜や根菜がふんだんに使われた、美容に抜群に良い食事である。
 山菜や根菜は、彼女には食べ慣れたものだ。
 だが、聖都にいると、新鮮な野菜類に出会う確率は非常に少ない。
 遠くから運ばれて来た野菜たちは、彼女の見るところによると、あまり元気がなくて、声も細いのだ。
 だから、この地で食べられる、新鮮な野菜を使った精進料理は、彼女にとって、とてもうれしいものだったのだ。


 アルメリア:「昔当たり前だったことが、今も当たり前だとは限らない、かぁ…」


 やや金色を帯びた、夕暮れの太陽を見つめて、ほんの少しだけ、感傷的な気分になる。
 故郷は、もう遠い。
 帰れない訳ではないが、彼女にその意思はまだなかった。
 ザバッと勢いよく湯から上がって、彼女はまた着替えて通りに出た。
 夜が近くなって、村中に赤い提灯が灯った。
 その下にいくつもの屋台が軒を連ね、彼女の食欲を誘った。
 その中から、すももの飴がけを選ぶと、すっぱさと甘さが一度に口の中で弾け、彼女は思わず目を細めた。
 他にも体の温まりそうな、肉団子の入った塩味のスープや、スパイシーな風味付けをされた焼き麺などをほおばって、彼女は屋台料理も満喫する。
 やがて、一軒のお土産屋が目に入った。
 そこには深い青の硝子玉の嵌った、細い銀の腕輪が売られていた。


 アルメリア:「これ、お姉ちゃんの髪の色みたい…」


 さっき故郷の森のことを思い出して、ついしんみりしたついでに、彼女はそんなことを思う。
 夜に輝く銀色の髪の自分とは対照的に、夜に溶ける藍色をした姉の髪は、アルメリアの自慢でもあった。いつ戻るかわからないけれど、いつか姉にあげるためにと、彼女はその腕輪を買った。
 しわくちゃの目元を細めて、店主の老人がしわがれ声で彼女に言った。


 店主:「日付を入れてあげようか、お嬢ちゃん!この村に来た記念に、今日の日付を彫ってあげるよ」

 アルメリア:「…ありがとう!」


 アルメリアは、器用に日付を彫り込む老人の手元を見つめていた。
 やがてそれは完成し、丁寧に紙にくるまれて、アルメリアの手の中に置かれた。


 店主:「良い旅を続けなされ、お嬢ちゃんや」

 アルメリア:「うん、ありがとう…!」


 そうだ、とアルメリアは思った。
 まだまだ世界は広い。自分の心の声の導くままに、彼女は好きなだけ旅を楽しむのだ。
 アルメリアは手を振って、その老人に別れを告げた。
 向かう道の先には、今日取った宿がある。
 そこには彼女を待っている、美味しい精進料理があるはずだ。
 
 
 アルメリア:「今度は誰かと一緒に来てみたいな〜、素敵なヒトとか!」
 
 
 そう、元気につぶやいた彼女の瞳は、いつもの陽気な色をたたえた、あの赤い瞳に戻っていた。
 明日もまた晴れるだろう。
 のんびり温泉を楽しんで、次の行く先を考えなくちゃ。
 アルメリアはひとつ頷いて、今日の宿へと消えて行った。


 〜END〜



 <ライターより>

 初めまして!

 藤沢麗と申します!

 この度は、温泉地での一幕をご依頼くださいまして、
 本当にありがとうございます!

 世界を旅して回っているというアルメリアさん、
 これからどんな出会いがあるのでしょうか?!

 運命のイケメンとは出会えるのか?!(笑)

 かなり気になるところですね!

 それではこれから先の未来に、
 アルメリアさんの冒険を綴る機会がありますことを、
 切に願っています。

 この度は本当に、ありがとうございました!