<聖獣界ソーン・白山羊亭冒険記>


JEWEL QUEST


 「面白いモノを買ったんです」
 ある日の臥龍亭。一階のカウンターにいるシェルにアシェンが何かを見せた。
「なぁに?」
 シェルの目の前に置かれたそれは、細身の輪に丸いくぼみがある三連のブレスレットだった。
 僅かに魔法の気配がするのは、三つで一つにしておく為のまじないだろう。
「これね、ジュエルクエスト用の専用アイテムなんです。このブレスレット一つ一つにあるくぼみに、これとセットの宝石を見つけ出してはめ込んでいくゲームで、全部揃えると小さな願いを叶えてくれるんですって」
 バザールで宝石商からその説明を受け、面白そうだとアシェンは購入を決めた。
 店主に言われるとおりにブレスレットに刻まれた呪文を詠唱すると、それぞれにはまっていた宝石は空に向かって飛び出し、散り散り担った。
 後はブレスレット一つずつにそれぞれの宝石を見つけるためのヒントが出るようになっているので、それを頼りに探す小冒険をするらしい。
「それで、ここに来るお客さん誘って遊びに行ってもいいですか?」
「いいわよ。命の危険があるような類ではないようだし、小冒険ってぐらいだから長くかかっても半日ぐらいだろうし」
 もしもの時の為に臥龍かギルディアも連れてっていいと、本人達の意思お構いなしにシェルは言う。
「じゃあ、じゃあっ お客さん待ってみますねっ」
 珍しくはしゃいだ様子のアシェンを、シェルは微笑ましげに見つめた。


一つ目の石

沢山のお酒が眠る場所
夜は沢山の蝶がひらりひらり踊ってる
お酒の上で黄色はお客の一人

二つ目の石

涼やかな水がある場所
ゴンドラゆらゆら揺れている
青色も一緒に揺れている

三つ目の石

美しい音の絶えない場所
美しい森に川
川の底で赤がきらきらり

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 「まあ楽しそう。うふふ、わたくしも混ぜて下さいませ」
 最初に臥龍亭に訪れたのはシルフェだった。
 はしゃぐアシェンの姿をシェルは微笑ましげにカウンターから見つめる。
 説明を終え、シルフェと共に戸口を見つめるアシェン。
 さて次は誰が来るだろうか?
 そう繁盛しているわけでもないので、すぐに次の客が来るかどうかも分からないのだが、目をキラキラさせて待っているアシェンを見ると言うに言えない。
 彼女の隣でシルフェは、何を言うでもなくにこにこと彼女を見つめていた。
 そしてそれから待つこと四半時。
「…こん、にち…は……」
 のっそりと顔を出したのは千獣だった。
 ギルディアと共に色々冒険をしに行く千獣。今日も彼を誘いに来たのだろうか。
 ジェスチャーでギルの部屋を指差し、首を傾げてみる。
 しかし彼女は暫し動きを止めたかと思うとふるふると首を横に振る。
 ご飯、食べに…そう彼女は呟く。
「あの…冒険者の方、ですよね?」
 恐る恐るを覗き込むアシェンに、千獣はゆっくりと頷く。
 アシェンは食事がてらに一口乗らないかと話を持ちかけた。
「……石、を……探す、の……? ……願いが、叶う?」
「はい、小さなお願いごとだけらしいですが…」
 願い事。その言葉に千獣は何事か考えた。
「……うん……わかった……私も、一緒に、探し、たい……」
 ホッとした表情で胸を撫で下ろすアシェン。その横でよかったですねとシルフェが笑う。
 食事をとりつつ、千獣はまだ何かを考えている様子だった。
 それから程なく、三人目の客がやってきた。
「「あれ?ギル?」」
「誰だそれは?」
 シェルとアシェンが声を揃えるも、入ってきた虎の獣人は首を傾げるばかり。
「あ? あ〜…違うわ。色黒い」
「?何の話だ。食事が美味いと聞いて来ただけなんだが…」
 一人置いてきぼりな虎。
 はたと気づいて慌てて状況説明を始めた。


 「小さな願いが叶う、か。面白そうだな。俺も協力しよう」
「有難う御座います!」
 嬉々として礼を言うアシェン。
 男の名はジェイドック・ハーヴェイといった。
 聞けば賞金稼ぎをしているという。その辺もギルディアと同じようで、それなら腕っ節も十分あるだろう。
「護衛は特に必要ないみたいだし、四人で行ってきたら」
「そうですね、そうしますっ」
 


  臥龍亭を出た一行は、一つ目の腕輪のヒントを聞いていた。
 腕輪が光り、石をはめ込むであろう窪みから、ゆらりとホログラムが浮かび上がる。

『沢山のお酒が眠る場所 夜は沢山の蝶がひらりひらり踊ってる お酒の上で黄色はお客の一人』

「……黒、山羊、亭、かな……? お酒、いっぱい……蝶、踊る……エスメ、ラルダ……?」
「『たくさんの』はよくわからないが、酒と踊りと言えば黒山羊亭のことじゃないかと思うが。酒とお客? ……酔客を当たれということか? もしくは酒瓶??」
 千獣とジェイドックの考えに、ではまず黒山羊亭に当たりをつけて行ってみようとシルフェが促す。
「随分近いところなんですねぇ…」
 ヒントの内容からも、あまり高い年齢層がターゲットのゲームではないように思えてきた。



  昼日中。黒山羊亭のある建物の入り口には準備中の札がかかっている。
 しかしエスメラルダが中にいるのが見えた為、入れてもらえないか頼んでみた。
 探し物、というか忘れ物という名目で。
 開店準備に追われるエスメラルダに会釈し、シルフェは三人と共にヒントと符合すると思しき場所を見やる。
「黄色い石だったよな? 酒瓶の上なのか…瓶と瓶の隙間か…それとも瓶の中か……あ」
 やや不慣れな手つきで瓶を一つ一つ調べていくジェイドック。そんな時だ、一見こじゃれた酒瓶のように見えた瓶の蓋の上に黄色い小さな球体が乗っかっているではないか。
 恐る恐るその球体に手を伸ばすと、何の抵抗もなく無骨な手の上に転がってくる。
「これか!」
「見つかりましたか!?」
「…あ…った…?」
 ジェイドックの傍に集まるアシェンと千獣。
 アシェンの持つブレスレットの一つ目に、そっとその黄色い球体を翳した。

パンパカパーン

 何処からともなく鳴り響くファンファーレ。
 これが正解ということなのだろうか。
 ブレスレットの窪みにはまった石はそのまま、もともとくっついていたかのようにびくともしない。
「と、いう事は。これで一つ目クリアということですわね?」
 早々と見つかって宜しゅうございました、と、にこにこしながら小さく拍手を送るシルフェ。
 黒山羊亭を後にした一行は、次なるヒントを聞く為、二つ目のブレスレットを見やる。
 
『涼やかな水がある場所 ゴンドラゆらゆら揺れている 青色も一緒に揺れている』

 今度は青い石のヒント。
 一同ヒントの言葉の一つ一つをじっくり反芻した。
「アクアーネ村では、そう、やはりゴンドラの底かしら。揺られてみたくもあるのですけど」
 うふふ、とシルフェは笑う。
「……アク、アーネ、村、だと思う……ゴン、ドラ、ある……この、前、行って、きた、から……」
 シルフェの言葉に続き、千獣が手を上げる。
「ではアクアーネ村に行って、ゴンドラの近くを探してみるか」
 ここで急に城下の外へ出ることに。
 近場とはいえ、街道沿いとはいえ、けして治安が良いとは言い切れない。
 ゆえにジェイドックが先頭を切って歩く。
 厳つい虎が前を歩いていれば、並大抵の輩は近寄っては来ないだろう。
 とはいえ、後続の千獣やシルフェも、その可憐な見た目とは裏腹にそれ相応の実力の持ち主である。
 多少の事では被害を被ることはないだろう。
 もしも、状況が悪くなったとしても、アシェンが三人を連れ、空に舞えば一気に振り切ることも可能だ。
 事前に用意していた、飲食物を含む最低限の装備をつんで、一行はアクアーネ村へと向かった。



  水の都アクアーネ村。
 村の中を流れる美しい川面には、煌びやかなゴンドラが行きかい、優雅な時間を演出している。
「さて、ゴンドラと一口に言っても…」
「…………たくさん、ある……ね…」
「うふふ、どこから探しましょうか」
 ゴンドラの中で揺れているというヒント以外に絞り込むヒントはない。
 最初があまりにも簡単だったがゆえに、いきなり労力を使う状況に陥り少々困惑する。
 しかし、これもお遊びの一環。
 全部が全部すぐに見つかったのでは面白みに欠ける。そういう趣向なのだろう。
 ならばそれに従って手当たり次第探すのみ。
「各自手分けして探しましょうか」
 見つけたら村の入り口に集合ということで、四人は散り散りに村の中へ進んでいく。
「…ブレスレットの匂い…といっても、金物なんざその辺にゴロゴロあるからな…」
 さてどうしたものか。ジェイドックは頭をかきながら手近なゴンドラを覗き込んだ。
 


 「……同じ、匂い……」
 すたすたと歩きながら、時折ピタリと足を止め、感覚を研ぎ澄ます千獣。
 ブレスレットの、魔法がかかっているモノは特に、独特の気配を持っている。
 気づかれやすいように、もしくは気づかれ難いように。
 それぞれ何かしらの意図を持って、それを維持する為にかけられた魔法がある。
 黄色い石がはまったブレスレットの気配と匂いを覚え、それと同じか、それに近い物の匂いを探す。
 微かに、微かに。
 蜘蛛の糸のように細いラインが、村の中の雑多な気配に混じって確かに存在している。
「……あっち、……か、な…」
 すたすたと進んでいった先にあったのは小さな古びたゴンドラ。
 幸い周囲に人影もなく、状態からしても日頃使われている物ではなさそうだ。
 ゴミや資材を押しのけて、ゴンドラの中を探す。
 気配がすぐ傍に。
「あ…ったぁ……」
 青い、空色と海の色を半々に映し込んだ、不思議な揺らめきの青。
 先ほどの黄色い石と同じぐらいの大きさ。
 これに間違いないだろう。
 千獣は石を手に集合場所へ駆け戻っていった。



  一通り見て回って戻ってきた一同。
 収穫ナシ…と思いきや、千獣の手には青い石。
 あれだけの数のゴンドラの中からよく見つけたものだとジェイドックは感心した。
 早速アシェンの持つブレスレットの二つ目に石を合わせてみた。

 パンパカパーン

 一つ目のと同じ様に何処からともなくファンファーレ。
 青い石は水面の揺らめきにも似た独特の輝きを放ち、そこに在った。
「…それ、じゃ…三つ目……探しに、……行こ……う」
「はい! 行きましょう」
 


  とんとん拍子に事が進み、三つ目のヒントに耳を傾ける。

『美しい音の絶えない場所 美しい森に川 川の底で赤がきらきらり』

「綺麗な、音……森……川……クレ、モ、ナーラ、村……? 綺麗な、音、いっぱい、ある、ところ……」
「……音はつまり楽器のことで、かつ森と川という地形を考えると、そうなるかな?」
「ということは、クレモナーラ村の川底に赤い石があるということですわね。では暗くならないうちに参りましょうか」
 水遊びのような気分になりますね、と、シルフェは微笑む。



  アクアーネからクレモナーラまで、それぞれ城下から移動する事を考えると大して遠くはないのだが、この村同士を行き来するとなるとそこそこ時間をくってしまう。
 遠くに村の姿が見え始める頃には、日が少し傾き始めていた。
「急がないと日が暮れてからでは川底あさりは難しいぞ」
 特に時間制限があるわけでもないから、最悪宿をとればいいだけなのだが。
「……早く、行こ…う……」
 思いのほか千獣が先を急ごうと足を進める。
 何か、すぐにでも叶えたい願いがあるのだろうか。
 だが彼女の中に渦巻く思いに気づく者はいなかった。
 アシェンはこの宝探しを楽しみ、シルフェはそんな楽しそうにしているアシェンを眺めて微笑み、ジェイドックは興味の中に、もしかしたら何とかなるかも…という願いがある。
 各々思い思いにこの宝探しに興じているのだ。
 日がまた少し傾く。



  夕暮れになる前になんとか村に到着した一行。
 ヒントの示すような森の中を流れるせせらぎを探す。
「思ったよりも深めですね…」
 浅瀬の深さがアシェンの膝上ほど。深い所は太腿ぐらいまでいってしまう。
 もし深い所にあると流されてしまわないか。そんな心配がアシェンの脳裏を過る。
「さぁ、悩むより行動しましょう。もうすぐ日が暮れてしまいますわ」
 水操師であるシルフェがいるのだから、水の精霊の力を借りればすぐにでも見つかるだろう。しかし彼女はそんな事をするつもりはない。
 遊びの宝探しで本気を出したらそれこそ興ざめというものだ。
 だから、アシェンがどうしても見つけられない時だけ、ほんの少しだけ手助けするつもりなだけ。
 それもこの水の透明度と流れの緩やかさ、細かい砂利の川底、この条件であればわざわざ力を使わずとも難なく見つけられるだろう。
 その辺の砂利も、灰色や黒、白といった地味な色合いばかり。赤があればかなり目立つ。
「水……匂い…わから、ない…」
 水の流れが匂いも気配も流してしまって、感覚だけでは探しきれない。千獣はちょっと悩んだ顔をしつつ、川底を見つめ手を突っ込む。
「のわっ!?」
 うっかり浅瀬の中のくぼんだ場所に足をとられて体勢を崩すジェイドック。
 如何せんついてない男である。
 水面を見つめ、揺らめく川底を見つめる。
 石の大きさは小指の先ほどの大きさ。埋もれてしまえば絶対わからないが、これまでの二つの状況からして、位置がすぐに変わらない場所にあるのは確かだ。
「えーと…えーと…………あら?」
 キラリと視界の端に何かが入り込んだ。
 ふと首を傾けると、黒灰の世界の中に赤い輝き。
「え、え?」
 恐る恐る手を突っ込んだ先にある赤い何かをアシェンの手が掴む。
 固く、丸い何かを。
 水の中からひきあげ、指の中に隠れたそれを暮れなずむ空に翳す。
 夕日をその身に受けて更に赤く燃える赤い球体。
「あっ……たぁ…!」
「何!」
「まあまあ♪よかったですね」
「みつ、かった…?」
 アシェンの元に集まる一同。
 恐る恐る最後の窪みにその球体をはめ込んでみる。
 違うのか、あっているのか。
 最後のファンファーレを期待しながら嫌なドキドキが胸に渦巻く。

 パラララッパパーン

「え!?違っ…」
 音が違う。
 まさか?!

『オールクリア。おめでとう御座います。三つ揃えた特典に三つの小さな願いをかなえます』

「やった――――♪」
「嫌な間を持たせるな、まったく…」
「やっ……たー……お、ぉおぉ……」
 アシェンに手をとられ、彼女の喜びに巻き込まれる。
「うふふ、よかったですわね」
 どうやら精霊の力は借りずに済んだらしい。



 「願い、皆さんが叶えて下さい」
 協力してくれた三人に向かってアシェンは嬉しそうに微笑む。
 皆と楽しく宝探しが出来たその思い出が、彼女にとっての願いであり宝物だから、これ以上願う事はないと言う。
「願い事ですか?うぅん……わたくし十分楽しみましたから特には。ふふ。ではやはり「ございません」ということで」
 シルフェも楽しい経験をさせてもらったということで、辞退を申し出た。
 魔法のブレスレットはシルフェの辞退を、願いとして受諾することにした。
 小さな願いごとについて千獣は暫し考えた。願いがかなうと前もって聞いていたから、色々考えはしたものの、何を持って『小さな願い』というのかその定義を考えていたのだ。沢山あるけれど、そのどれも小さくはない。
 そして、願いを叶えるこの局面に、千獣は一つ、本当にささやかな願いを思いついた。
「最、近、いろ、いろ、あって……私も、中の、子達も……ちゃん、と、休め、ない、から……私も、この子、達も、一緒に……今夜、一晩……何も、見ずに、ぐっすり……ぐー……っすり……眠、らせて、くれる……?」
 夢も見ずに深く、深く一晩眠りたい。
 今願うささやかでありながら、自分で叶えるにはとても難しい願いをブレスレットに願った。

『今宵月が空のてっぺんに昇る頃 眠り姫は木々のさざめきの子守唄を聞いて 夢よも深く深く眠りに落ちるでしょう』

 どうやらこの願いは受理されたらしい。
「ありが…と……」
 夜空に月が高く昇る頃になったら、夢も見ずにぐっすり眠れる。
 そのことに千獣は僅かに目を細めた。
「―――さて、では俺の願いか。……実は俺はあまり運が良くない。もう少し良くならないかと思うんだが……」

 ブブ―――――ッ

 何とも言えないエラー音が周囲に響き渡る。
 運は天任せ。魔法の力でどうにかできなくはないが、一生に関わる事ゆえ『小さく』はない。
 ブレスレットは淡々と答える。
 やっぱりな、と肩を落とすジェイドック。
 しかし本当のところは本人も気づいていないが、人がよく立ち回りが下手な為ゆえ、運は特に関係ないのだった。
 それに気づくのは果たしていつになることか。
「……わかった。じゃあ、せめて、そんな哀れな虎にエスメラルダが一杯付き合う、というのはどうだ?」

『今宵月が空のてっぺんに昇る頃 夜の蝶が集う巣で 虎のまわりで蝶がひらひらり』

 どうやらこれは受理されたらしい。
「千獣さんと同じ時間ぐらいに、ジェイドックさんは黒山羊亭に顔を出せばいい…ということでしょうか」
 だったら自分がステージに立つ時間も近いことから、一緒に行きましょうとアシェンが提案する。
 ついてないように思える虎の願いは、月夜烏の踊り子の助けと共にささやかに叶うことになりそうだ。



  臥龍亭の前でそれぞれが別れを告げる。
 また縁があればどこかで。
 口にせずとも皆感じていた。
 小さな小さな宝探しの思い出を振り返って微笑むシルフェの姿は街中に消えていく。
 アシェンたちに手を振って、自分の寝床へ向かっていく千獣。
 
 ゆっくり眠れる。
 顔にこそ出ないが、心なしか早足で寝床へ向かっている。
 月が高く昇る頃。
 空を見上げればその時間まではもう少しかかりそうだ。
 寝床から見上げる空にぽっかりと浮かぶ月。
 ゆっくりゆっくり、月が空に昇っていく。
「………」
 月か真上に昇ったか、昇らないか、そんな頃合に千獣の視界がぼやけ、ゆっくりと暗くなる。
 何も聞こえない。
 何も見えない。
 何も考えなくていい。
 皆、とても静かだ。
 木々のさざめきを子守唄に、その身に数多の獣を宿す少女は一夜限りの深い眠りにつく事が出来た。


 そして―――



「あら、昼間の。アシェンの知り合いなのね、よかったらこっちで一緒に一杯如何?」
 美しい夜の蝶が虎の周りをひらひらり。


―了―
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2948 / ジェイドック・ハーヴェイ / 男性 / 25歳 / 賞金稼ぎ】
【2994 / シルフェ / 女性 / 17歳 / 水操師】
【3087 / 千獣 / 女性 / 17歳 / 異界職(獣使い)】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、鴉です。
白山羊亭依頼【JEWEL QUEST】に参加頂きまことに有難う御座います。
遅くなって大変申し訳ありませんでした。

ノベルに関して何かご意見等ありましたら遠慮なくお報せ下さい。
この度は当方に発注して頂きました事、重ねてお礼申し上げます。