<PCシチュエーションノベル(ツイン)>
『娘の成長』
クレア・マクドガル(くれあ・まくどがる)が切り盛りをしている屋敷は、大きな庭に沢山の部屋とかなり広いが、普段はクレアとその娘のジュディ・マクドガル(じゅでぃ・まくどがる)、そして数人の女中しかいない。
なぜなら、ジュディの父親でありクレアの夫である屋敷の主人は、冒険に出かけることが多くほとんどこの屋敷を留守にしているからだ。
だからクレアは、父親不在の分娘をしっかりしつけないといけないと思っている。娘の将来を良き明るいものにするためにも、特に今、ジュディが15歳と言う子供から大人に成長していく、多感な時期である今こそ、厳しくしつけておかねばならないと常に心がけていた。
今はまだ、娘は半分子供の様なものだ。ジュディの為と厳しくする事も、段々理解出来る様になってきた様だが、それでも元々の好奇心旺盛な性格のせいだろう、うっかりと間違いを犯してしまうこともしばしばある。注意をしたクレアに口答えをする事もある。
だがそれも、後になって、自分がどうして今厳しくしつけたか、口うるさく注意をしたか、そして厳しい仕置きをしたかを理解するに違いない。
本来は女中の仕事である屋敷の掃除をやらせるのも、ジュディが色々な仕事の中で社会的な気配りや考え方を身に着けて欲しいからだ。掃除が好きな子供はあまりいないだろう。ジュディもまた掃除が苦手の様で、雑にしたりサボったりする事もあった。それはいけないことだと、クレアがこれまで何度も言い聞かせ、お尻を叩いて理解させたせいか、最近は掃除もきちんとするようになってきた。
また手際もよくなり、以前にはあった、四角い部屋を丸く掃く様な、雑なところはなくなってきている。この調子でいけば、ジュディは一人前のレディーになるだろう。クレアはそう思うと、娘の成長ぶりに嬉しくなるのであった。
「ジュディ偉いわ。ちゃんと出来たじゃない、いい子ね」
ジュディは母親に言いつけられた玄関の掃除を終えて、クレアに褒められていた。
雑にしてはいけない、玄関はお客さんを出迎える場所なのだから、自分の部屋の10倍は気を配って掃除をしなさい、という母の言いつけ通り、少々時間はかかったが玄関の塵を全て払い、ドアもきちんと拭き、玄関に飾られている装飾品の1つ1つまで綺麗に磨いたのであった。
屋敷の玄関は広く装飾品も多い為、ジュディ一人では無理である為、女中達と一緒に掃除をしたのではあったが、女中達がクレアにジュディの働き振りを報告し、それがいかにきちんと出来たものであったかを聞いたクレアは、女中達の前でジュディを思い切り抱きしめ、満面の笑顔を浮かべてジュディの頭を何度も撫でた。
母に褒められるのは嬉しかったが、いつも厳しい分褒めてくれるものだから、ジュディは少し照れくさかった。
「お母様、あたし、ちゃんと真面目に出来たよね?」
「ええ、そうよジュディ。今日は本当に良く出来たわね。私がいつも言っていた事、ちゃんとわかっていたのね。いえ、あなたならちゃんと出来ると思っていたわ。だって私の娘だもの」
そう言って、クレアはまたジュディを抱きしめた。女中達の前で褒めてもらい、何となく恥ずかしかったが、こういうのも悪くないな、とジュディは母に抱きしめられながら感じていた。いつも厳しいけれど、本当は母はとても優しい性格なんだろう、ジュディはそう思っていた。
翌日、ジュディはクレアから風呂場の掃除をやるように言われた。
「えー、お風呂場?」
ジュディはつい不満な顔を母に見せてしまった。あまりやりたくなかったからだ。何故なら、この冬の時期の風呂場はかなり冷え、また水も使わなければならない為、玄関を掃除するよりも大変だったからだ。
「ちゃんと壁と床を綺麗にするのよ。掃除道具の場所はわかっているわよね。さ、お願いね」
ジュディが露骨にいやそうな顔をしたので、母にまた叱られると思ったが、クレアは何も言わなかった。
ジュディはしぶしぶ、はい、と返事をすると、風呂場用の掃除用具を棚から出し、重い足取りで風呂場へと向かった。
思った通り、風呂場はひんやりしてジュディは鳥肌が立ってしまった。石造りの風呂場だから木造のものよりもしっかりしている分冷え込み、ジュディはすでに見えるところだけ、ささっと掃除をしてしまおうと思った。
植物の油で作った洗剤を床と壁に乱雑に撒き散らして、雑巾で軽くこすり、桶で水をすくって壁と庭に適当にかけて泡を流し、タオルで水を拭き取った。それだけでも冬の風呂場は冷えており、ジュディは指先が冷たくなるのを感じていた。
「これでいいや」
ジュディは風呂場を見回した。洗剤を撒き散らしたから洗剤の香りが漂っている。開始から5分で仕上げた掃除である。雑であることは自分でも自覚しているが、すでに足先まで冷たくなっており、これ以上掃除を続ける気にはなれなかった。それに、掃除前も目も当てられないほど汚いというわけではないのだ。
あまりに早く終わったと母に伝えれば、手抜きをしたことがわかってしまうので、ジュディはこっそり自室に戻り、そこで30分位時間を潰し、母に風呂場掃除の報告をしにいった。
「お母様、掃除終わったよ」
「あら、ご苦労様。ちゃんと出来たかしら?」
クレアはそう言って、ジュディと一緒に風呂場へと向かった。掃除がちゃんと出来たかチェックをする為だ。
クレアは風呂場に入り、壁や床、バスタブを念入りに見つめていた。内心、雑にしたところがわかってしまうのではないかと思ったが、ジュディには覚悟が出来ていた。母に謝って仕置きを受ければいいのだ。
「ジュディ、また手抜きをしたわね」
母は自分を叱るとき、いつも無表情になる。
「寒いからって、ちゃんとやらなかったでしょう!誤魔化そうとしたって駄目よ、ここの壁を見て見なさい。溝の汚れは落ちてないし、バスタブのこの、下の方の汚れだってそのままじゃない!」
「だって、凄く寒いんだもん」
「寒くても暑くても掃除はするの。まさか夏の間だけやるってわけではないでしょう」
ジュディは不満そうに口を尖らせた。
「そんなに汚れてないしいいじゃない」
「そういう気持ちがいけないの。どうして掃除をするのかわからないの?勿論綺麗にする為でもあるわ。だけど、それ以上に、綺麗にしていればそこを使う人だって綺麗な気持ちでいられるでしょう?その為なのよ」
ジュディは黙ったまま自分から下着をおろしてお尻を出して、悪い子のお尻をお仕置きして下さいと母に呟いた。
「そう、それでいいのよ。自分が間違っていたって、自覚出来たようね」
こうしてお尻をクレアに叩かれるのが、この家のお仕置きであった。
「痛い、お母様!」
しかし、これが始めてではない。100回の尻叩きが終われば、母は許してくれる。何度もこの尻叩きを受けている為、ジュディはお仕置きにいささか慣れてしまってきていた。
「もうちょっと手加減してくれたっていいじゃない」
ジュディは、それでもきつくお尻を叩いたクレアに対して、表情をしかめ不満の言葉を漏らした。
「誰の為にこうしたと思っているの」
「ごめんなさいお母様」
母がさらに怒り出しそうであったので、ジュディはその場は謝ったが、母に対する不満は残ったままであった。
さらに数日後、その日は風呂場の掃除をした時よりもさらに外の気温が下がり、空はどんよりと曇っていた。
ジュディは廊下で女中達と外を眺めながら、今にも雪が降りそうだね、と話しているのであった。
「ジュディ、枯れ葉が大分、庭に溜まってしまったわね。また、掃いてきてくれないかしら?」
「えー」
ジュディは目を細めて、拒否の姿勢をとった。
「寒いから嫌だよ。それに雪が降りそうだから、後ででいいじゃない」
「ジュディ、お庭はお客さんからも見える場所よ。それに雪が降ってきたらますます掃除しにくくなるわ。雪をどけるのは大変よ」
「だったら、お母様が掃除すればいいじゃない!」
ジュディは急にイラついてきた。どうしていつも掃除や雑用ばかりやらせるのだろう。全部女中がやればいいのに、もう手伝いなんかしないで自由に遊びに行きたい。そんな思いが次から次へと湧きあがってきた。
「この前だって寒いのにお風呂場の掃除をやらせるし!こんのばっかりやりたくない!」
「ジュディ、何て事言うの!私は」
「ジュディの為にやらせているって言うんでしょ?もうその言葉なんて、聞き飽きたんだから!」
すぐ横にいる女中が、親子の喧嘩におろおろしていたが、気にしなかった。
「口答えしてはいけないと言ったでしょ!ジュディ!」
「わかってるよ、お尻を出せばいいんでしょ」
ジュディはわかりきっていると思いながら、下着を下ろして母にお尻を向けた。母は椅子に座り、ジュディを膝の上に抱えた。また100回叩かれる。しかし、それで掃除をしなくても済むなら、それでいいと思っていた。母の仕置きは相変わらず容赦なく、尻叩きが終わる頃には、ジュディのお尻は赤く腫れ上がっていた。
仕置きが終わっても、ジュディはまだ納得がいなかった。もういい加減に、自分の自由にさせてもらいたいと思い始めているのであった。
「ジュディ、こっちへ来なさい」
ジュディはクレアに少々強引に居間へとつれていかれた。
「皆にあなたのお尻を見てもらいなさい。下着とスカートはそれまで預かります」
「え、そんなのやだよ!」
「言う通りにしなさい、ジュディ!」
これまで以上にクレアが怒るので、ジュディは涙を浮かべながら母に下着とスカートを渡した。壁を向いて立たされ、自分のお尻を女中達に晒すはめになってしまった。ジュディは恥ずかしさに真っ赤になって震えていた。今までも、女中達の前で尻を叩かれることはあったが、これではまるで晒し者である。
部屋にやってきた女中が、哀れんだ視線を向けているのを背中から感じ、ジュディはますます真っ赤になった。ずっと立たされているため、足が疲れて座り込もうとするが、その度にクレアがやってきて、ジュディのお尻をつねるので、ジュディは姿勢を正しながらこの厳しい仕置きに涙を流した。生意気な態度を取ったから、母はますます厳しくするようになったのかもしれない、とジュディは思った。
「生意気な口を聞いてごめんなさい、お母様」
1時間後、ジュディはようやく許されて、下着とスカートを返して貰った。
「わかればいいのよ、ジュディ」
クレアはもう怒っていなかった。ジュディが心の底から反省した事を、口に出さなくても感じ取っていたのだろう。
「罰を厳しくしたのは、貴方が口答えしたからじゃないのよ」
「どういう事?」
ジュディはそう答えて、母の顔を見上げた。
「ジュディ、貴方はこれまで私の言う事を、失敗しながらもちゃんと聞いて、身の回りの事や女性としての気遣い、色々な事が出来るようになってきたわ。貴方自身のレベルが上がっているって事よ」
「そう、かなあ」
母が優しく言うので、ジュディはまた照れくさくなった。
「貴方は、この私の躾に耐えられるだけの精神力を持っていると信じているから、お仕置きを厳しくしたの。だけど、貴方なら大丈夫よ。このまま、きちんと私の言う事を聞いていれば、必ず立派な大人になれる。どこにいっても恥ずかしくない人にね」
「そうかあ」
そう言われるとやはり悪い気はしないものだ。いやむしろ嬉しく感じる。
ジュディは母の言葉に頷き、失敗してもいい、母に怒られてもいい、より立派な大人になる為もっと頑張ろう、さらに上を目指そう、母の言葉を励みにして、これからも頑張ろうと決意するのであった。(終)
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