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調査コードネーム:10両編成の山手線
●舞い込んだ依頼(オープニング)
「草間さん留守?」
突然の来訪者に、中にいた面々の視線が集中する。
「初めましてかな? ボクは京師紫(けいし・ゆかり)。たまに仲介で、草間さんに依頼を持ってくるんだけど」
「金にならない依頼ばかり持ってくる」って邪険にされるから、彼がいなくて助かった。そう口元を綻ばせると、青年は慣れた様子でソファに腰を下ろした。
「急ぎの依頼があるんだ」
そう言った紫は、吸殻で一杯の灰皿を脇に退け、路線図をテーブルの上に広げた。
「毎日、終電間際に、山手線の代々木→渋谷を一両足りない十両編成の電車が、そして始発直前に渋谷→新宿を一両編成の電車が走ってる、と言う目撃例が二週間前から出てるんだ。同じ頃から、夜中に書店の学参書の棚が荒される事件が相次いでてね。場所は、渋谷駅のあたり。しかも一昨日、近くを歩いてた高生位の‥‥『今時』な女の子めがけて、無人の店内から本が襲って来た」
一気に喋り終えると、紫はソファから立ちあがった。
「調べてくれるかな? これ以上の被害が出る前に。報酬は成果次第。あ、調査に行く時は是非コレを持って行ってね」
来た時と同じ唐突さで姿を消した依頼主。残されたのは天神様の御守だけだった。
●10両編成の山手線
「なんでこんなに寒いのよ」
場所は渋谷駅。埋もれる勢いの人並みでごった返す、待ち合わせのメッカである、日本一有名な犬の像の前でシュライン・エマは切れ長の目を細め眉を寄せた。
「冬だからだろ」
カイロを潜ませたコートのポケットに両手を突っ込み、マフラーに埋めていた顔で天を仰ぎ、クリストファー・グリフィスは星の見えない明るい空に向かって白い息を吐き出す。
体内で育まれた熱が、無機質な冷気の中に溶けて淡雪のように消えていく。
それをやや恨みがましく見送った後、シュラインは先程から見上げ続けている高架線に視線を向けた。
「武彦さんは来ないし、寒いし、京師さんの依頼だし」
とことんついていない依頼だわ。
真っ白な溜息が存在を主張した後に消えていく。
彼女の善意が試されているバイト先、草間興信所の所長、草間武彦の姿はこの寒空の下にはなかった。別件の依頼のために、今回の件まで到底手が回る状態ではなかったのだ。
終電間際の山手線。
23時半過ぎから見張りだして幾回目。
「エマ!」
「言われなくても分かってるわ」
その電車は何の前触れもなくクリストファーとシュラインの前に姿を現した。
「今の‥‥確かに10両だったよな?」
「えぇ、間違いないわ。あんたの目にも10両に見えたんでしょ」
何も考えなく見ていれば気付かず過ぎ去ってしまいそうな程自然な、けれど不気味に連結部分が剥き出しの、最後尾車両が忽然と姿を消した山手線。
他人に無関心な都会の若者達がざわめきだした雑踏を、クリストファーとシュラインは、駅改札に向けて駆け出した。
●遭遇
「手がかりナシか」
10両編成の山手線を見送った二人は、暫し改札で目を凝らし続けた。
けれど、二人の目には不信な物など何一つ映らない。
全ての乗客が過ぎ去った後、クリストファーはその次と次の電車の動きがあるまで待機してみたが、特にこれといった変化はなかった。
仕方ない、と先に書店巡りを開始したシュラインに携帯電話で連絡を取ってみる。
『こっちもなーんにもナシ。被害のあった本屋の前で電車の音、出してみたけど‥‥』
常識を遥かに凌駕した声帯模写技能で、事件の再現を試みたシュラインの方も芳しい状態ではないようだった。
携帯を持つクリストファーの人差し指が、一定のリズムを刻んで携帯の背面をたたく。
『ちょっと‥‥何かうるさいんだけど』
「あ、ゴメン」
電話から聞こえる声に苛立ちが混ざっていることに気付き、クリストファーも自分が落ち付きをなくしていたことに思い至る。
「取り敢えず、合流する。今どこ?」
『道玄坂、ちょっと上がって入ったところだけど‥‥』
「ちょっと待って!」
詳細位置を確認しようとしたシュラインの言葉を、急にクリストファーが遮った。
『何? 何かあったの?』
「エマ、人気のないとこ探して。見付けた」
携帯の通話は切らないまま、クリストファーが走り出す。
意識して見まわしていなければ気付かなかった場所――否、何故か意図的に視線を外させられていた場所。
不自然に人並の途絶えた場所で『それ』は起こっていた。
自分と大差ない身長のサラリーマン風の男に庇われるように立ちすくむ少女。その少女めがけて、閉店した筈の書店から本が飛び出してくる。
あまりにも不可解な、そして非現実的なその光景を眼前にし『多分、学生のいたずらだろう』と思い込んでいたクリストファーは、強い衝撃を受けながらも足を速めた。
●都会の闇
「ちょっと、そこのキミ! こっち!」
身を呈して迫り来る本から伊崎亜摘をかばっていた室田・充(むろた・みつる)の耳に声が飛び込んできた。次の瞬間、亜摘が誰かに手を引かれて走り出す。
「ほら、お兄さんも」
顔を上げた充に、金の髪に瞬くネオン光を反射させたクリストファーが手招きを繰り返す。突然見舞われた怪現象に、軽いパニックを起こしていた充の思考を、そのリアルな輝きが現実感を取り戻させる。
場所を移そうとしているのだと直感し、充はなおも襲い来る本を交わしながら亜摘とクリストファーの後を追いかけた。
都会の闇は深い。
数分と走らない内に辿り着いた、人気の皆無な路地裏で先んじていたシュラインも合流し、4人になった彼らは顔を見合わせた。
「ナンでだよ。なんでアタシばっかり!」
頭上をかすめて飛んだ学参書に、たまらず亜摘がヒステリックな悲鳴を上げる。
「話が違う!」
間近に迫った分厚い赤い表紙の問題集をコートで叩き落とし、充が唸った。現在、何が起こっているのか正確に把握しているわけではないが、先ほど亜摘から聞いた話だと、本屋から離れさえすれば怪現象は消えるのではなかったのか?
「そんな事、言ってる場合じゃないでしょ」
どこの誰かは知らないが、おそらく同じ目的でここにいるのであろう充にシュラインが、脱ぎ捨てたコートを振り回しながら現実を指摘した。
「だよね。とりあえずこの子を守ることが先決」
亜摘を背後にかばい、クリストファーが同意する。見えない何かが起きていて、自分の能力ではそれを打開する術がないのなら、今やれるだけのことをするしかない。
「もうイヤだっ、神様!!」
亜摘が冷たいアスファルトにうずくまり絶叫する。彼女の手には、充から渡された天神様のお守り。
他意はなかった。
ただ、祈っただけだった。
この不可解な自分を襲う理不尽な現実から逃れたいと。
ゾワリ
冷たい何かが4人の背中を走り抜けた。感じる能力を持った者がこの場に居合わせたら、この瞬間に起きた気配の変化に悲鳴をあげたかもしれない。
一瞬の静寂。我知らず、息を飲む。
「‥‥ヒッ」
誰のものとは知れない、喉の奥に詰まった短い叫び。
ユラユラと浮き上がった、無数の瓶やカン。先程までよりの明から害意――殺意を感じるそれら。
「‥‥洒落になってないよね」
冷たい汗がにじむ掌で、充がコートを握りしめる。ずっと本を払い続けた為に酷く型崩れし、所々綻んだそれは既に寿命が近い。無論、シュラインとクリストファーのものも同様の状態だ。
「もうイイ加減にしてよっ!」
夜の静寂を裂く甲高い声。
誰もがその時の到来を直感し、祈り瞼を強く落とした。
「そこまでにしときなよ、『天海雪花』」
金切り声のような音をたて、重力に反していたものが一斉にアスファルトに転がり落ちた。
●導かれる答え
「天海雪花、高校3年。こないだあった人身事故の被害者。そしてそっちの本強襲事件被害者の伊崎亜摘とは高校一年の時のクラスメート」
青い髪をかき上げ、黒い革手袋で覆った指先で、サングラスを引き抜く。夜目にも鮮やかな紅い瞳が何もないはずの虚空を真っ直ぐに見据えた。
「あんた遅すぎ」
現れた草間興信所でよく顔を合わせる、最近名の売れてきた女優――サイデル・ウェルヴァの登場にシュラインが肩の力を抜く。
「彼女、僕たちと同じ今回の件の調査員なんだ」
予告ない新たな人物の登場に、更に身を強張らせた亜摘にクリストファーが、正面を見据えたまま説明する。
転がった空き缶が充の靴先をかすめて、無機質な音をたてた。
「悪いね。ちょっと情報取りに行ってたら遅くなっちまった」
シュライン達4人と対峙する位置で立ちつくしたままのサイデルが、見知った顔に軽く視線を流す。しかし、それも束の間のこと。彼女は再び、やや見下ろす高さの宙を眺めやった。
「さぁ、正体を現したらどうだい! お嬢ちゃん!」
『現す姿があるんならね』、そうシュラインが指摘しようとしたその時、居合わせた全員の視界が白く霞んだ。
突然湧いた靄は、微振動を繰り返した後、透けるような淡い人影を形成し始めた。
「‥‥幽霊って誰にでも見えるんですね‥‥」
「いや、そうじゃないだろ」
立て続けに起こる現実の中の非現実に、言葉をなくした充にクリストファーが返す。
理由は分からないが、何かの力が作用して、本来見えるべきでないそれを視覚化させているのだ。人の領域を外れた能力を持つクリストファーには、なぜか漠然とそのことが理解できた。
「‥‥天海?」
地上すれすれに立つ、白い人影の姿を亜摘が恐る恐る確認する。
色は分からないが、プリーツスカートにリボンタイとダブルのブレザー。きっちりと着こなされそれは、自分のものとは別物に見えたが、間違いなく彼女たちが通う高校の制服だった。
「違いないね?」
正面からサイデルに問われ、亜摘は首を縦に振った。
間違いない。彼女は2週間前に不慮の死を遂げた天海雪花だ。1年の時にクラスが同じだっただけの親しい間柄ではないが、常に学年上位に位置し、教師陣から覚えめでたい彼女のことを知らぬ者はいない。
「ふ〜ん。やっぱ受験に対する不満とかってヤツか」
「チガウと思う」
受験に対する不安を引き摺ったが故の行動だと判断したサイデルに、亜摘が横から口を挟む。
「天海は受験のコト、全然シンパイしなくてイイくらい頭よかったし」
バカなアタシはお守りに縋らなきゃいけないんだけどさ。
現れたのが見知った顔であったせいか、それとも順応性が高いのか。おそるおそるクリストファーの背から顔を出した亜摘が御守を握り締めていた手を開く。
キッと雪花の瞳が鋭くなる。
「お守り、欲しいの?」
シュラインが持ってきていた御守をポケットから取り出した瞬間、それが弾け飛んだ。
『そんなもの要らない! ‥‥アンタなんか、遊んでるダケのくせに。努力もしないで神頼みするなんて卑怯っ』
指差し叫ぶその剣幕に、亜摘が再びクリストファーの背後に姿を隠す。名を呼ばれてから安定していた気配が、急激に傾く。サイデルとシュラインが再び身構える。
『ワタシなんて学校と塾と家の往復ばかり! いっつもいっつも、あと一駅行けばアンタ達が遊んでる渋谷だって分ってるのに、その手前で降りて、そしてバカみたいに勉強させられて家に帰るだけ!!』
「遊びたかったんだ」
ピリピリと張り詰めた空気に、穏やかな声が一石を投じた。
「だよね。だから学参書に当たって、遊んでる亜摘ちゃんを襲ったんだ」
羨ましかったんだね。
息が詰まるような毎日から逃げ出したかったんだね。
一歩一歩、雪花に充が語りかけながら近付く。
『‥‥貴方に何が分かるって言うのよ‥‥』
フルフルと首を振り、雪花が後ずさる。
「分からないよ。でも遊びたいって気持ちは分かる。誰だって本当はいつだって自由な自分でいたいんだ」
充の手が、雪花の頬に触れるように空を撫でた。
「遊ぼう?」
雪花の瞳に戸惑いが滲む。
その時、息を詰めて事の成り行きを見守っていた世界に、突然電子音が鳴った。
雪花が事故にあう数日前にラジオで公開されただけな人気アーティストの最新曲。まだ着メロ配信されていないその曲は、クリストファーが大学の友人にせがまれて作ったものだった。
全員の視線が携帯を握ったクリストファーに集中する。
「いや、好きかなって思って」
充が笑い出す。つられて他の3人も吹き出した。
「ほら、せっかく良い音楽もあるんだし遊ぼう」
充が手を差し出す。シュラインもサイデルも差し出した。
「なんかさ、ワケわかんないけど遊ぼうよ。なんだったらアタシのカラダ、貸して上げてもイイからサ」
亜摘も手を差し伸べる。
見開かれた雪花の眼に銀色の滴が浮かび上がる。そして生を失った少女は、自分に向けられた手を取った。
●1両編成の山手線
『別に、満足したから成仏するとかってヤツじゃないから』
仄かに白み始めた東の空を背に、雪花が笑った。口調とは裏腹に穏やかなその表情に、一同は彼女の気持ちをそれぞれに推し量る。
『‥‥でも、スッキリした。遊ぶのって大変ね、ワタシには向いてないわ』
スゥッと亜摘の眼前まで近寄り、触れられない手が体温に溢れる彼女のそれに重ねられる。
『ゴメンね――羨ましかったの。ずっと』
「アタシだってアンタのことが羨ましかったよ。センセー達のお気に入りで成績だって良くってサ」
「隣の柴は青いって昔から言うしね」
充が二人の少女を宥めるように告げる。その言葉に『本当にそう』と雪花が目を細めた。
「遊びたかったら、僕を呼んで良いよ。今度は新宿案内するから」
女の子に優しくするなんて特別大サービスだからね、わざとらしく仰々しく付け加えた充の言葉に、雪花が礼儀正しく頭を下げた。
『ありがとうございます。でも、いくから』
「何処へ」とは誰も問わなかった。ただ彼女の『未来』を胸の奥で祈った。
『それじゃ、ワタシ帰ります』
バイバイと小さく手を振って雪花が5人に背を向けた、かと思うと振り返りサイデルに駆け寄る。
『貰って行きますね。折角準備してくれたんだし。ワタシの人生の合格通知ってことで』
フフと雪花が笑うに合わせて、サイデルが胸ポケットに忍ばせていた知人に作ってもらった合格通知が宙に浮きあがる。
気付かれてたか、とちょっと不本意そうに眉を顰めたサイデルだったが、ニカっと笑うと豪快に雪花の背を叩いた――手が空を切ったのは、全員が見ない振り。良いのだ、気持ちの問題なのだから。
『じゃ、またいつかどこかで』
プリーツスカートの裾を翻し、雪花の姿が閉ざされた筈の駅構内の中に消えて行く。
そんな彼女を見送るように、一曲のメロディが響き渡った。卒業式の定番となった唱歌。それと気付いた瞬間、シュラインが高らかに歌い始める。
クリストファーの携帯から、とても急造したとは思えない見事に和音構成された曲が凛と冷えた空気を裂くように溢れだし、命の息吹を与えるシュラインの美しい声が紡がれる。
やがて始発前の山手線の線路に、1両だけの電車が現れた。
眠らない街で一夜を過ごした若者たちが、それを指差し歓声を上げる。
「そうか。あの娘がこっそり来てたから、行きの電車は乗ってる車両が消えてて、そして朝になると、また帰って行くから彼女だけの電車が走ってたのね」
遊びたい。でも早く帰らないと学校に間に合わない。みんなに遊んでいることを気付かれたらいけない。
抑圧され続けた心の引き起こした現象。
音を立てずに走り去る電車を見送りながら、独り言のように呟いたシュラインの答に、クリストファーとサイデルは今回の草間興信所としての依頼の終了を感じた。
また明日も見れるかな?
どうやらタイミングを逸したらしい若者の声を耳に、5人はそれがもう二度と現れる事のないことを確信していた。
●それぞれの現実
「これじゃ本のネタには使えないね」
気丈な言葉とは裏腹に、シュラインの瞳には涙が浮かんでいた。
ダメなのだ、この手の話は。
人前では絶対に流すまいと堪えていた透明な滴が、涙腺から零れ出す。
ポケットの奥からハンカチを探し出し、目に押し当てる。胸元で微かに色がかかった眼鏡が揺れた。
「お疲れ様でした」
世間の人間が目覚めの時を向かえる、ほんの少し前の時間。まだ薄暗い街を皆と別れ、一人帰路についていた彼女の前に、不意に一人の人間が姿を現した。
「‥‥京師さん」
突然かけられた声に、慌てて涙を拭ったシュラインは、今回の事件の依頼人――京師・紫を迎えた。
「どうでした?」
興信所を訪れた時と変わらぬ黒のコートに黒のスラックス。肩にかかる黒髪を無造作に一まとめにした、なんら変哲のない姿が、浮遊するように現実と非現実の狭間をさ迷っていたシュラインの思考を現実に引き戻す――引き戻されて、シュラインは紫の質問の意味が何処に係るのか計りかねて、眉根を寄せた。
そんな彼女の様子に、紫は瞳の奥を小さく揺らし微笑んだ。
「はい、報酬です」
コートのポケットの中から取り出され、そっとシュラインの手に乗せられた物。
それは親指の指先大の優しい涙色のガラス玉だった。
「ボク、現物支給派なんです。だから草間さんに嫌われるんですよね」
ニコニコと捉え所のない紫の笑顔と、手の中のガラス玉を見比べてシュラインは溜息をつく。
あれだけの労力の報酬がこれっぽっちじゃ、確かに厭われもするだろう。
しかし、ガラス玉をそっと握り締めると、不思議とそんな理不尽さへ対する怒りは湧いてこなかった。
その様子に、紫は満足げに頬に刻んだ笑みを深くする。
不意にシュラインの視界を目の眩むような輝きが灼いた。
夜明け――だ。
都会のビルに幾重にも乱反射した光に、思わずシュラインはその青い瞳を伏せる。
『大事にしてね。いつかきっとキミの見たいものをたった一つだけ見せてくれるよ』
ただし、ボクが側にいる時にだけどね。
「え?」
耳元で囁かれたような、幻聴のような声。
聞き直したくて慌てて目をあけたシュラインの前に紫の姿はなかった。
手の中のガラス玉が朝日を浴びて、キラキラと七色の光を放つ。
フワリと一日の始まりを告げる風が、朝日を浴びて煌くシュラインの黒髪を揺らす。
非現実の世界が終わりを告げ、また新たな現実が幕を上げる。
けれど彼女の手には、この夜に起こった出来事が全て『現実』であることを証明するように、小さなガラス玉が握り締められていた。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【 PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】
クリストファー・グリフィス / 男 / 19 / 大学生
サイデル・ウェルヴァ / 女 / 24 / 女優
室田・充 / 男 / 29 / サラリーマン
シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家その他
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■ ライター通信 ■
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初めまして、観空ハツキです。この度は京師紫からの最初の依頼を受けて頂き、ありがとうございました。
紫最初の依頼――ということで、観空にとっても初の東京怪談だったのですが‥‥如何だったでしょうか? 書いている間に2002年になってしまったりで、とにかく『初』づくしの一品だったのですが、少しでも皆さまにお気に召して頂ける事を祈っております。
さて、今回の依頼ですが。4人の探偵の関わり方次第で入手できている情報が微妙に異なります。少女達の詳しい話、時間的な流れを追いたい方は、別の参加者の結果をご覧下さい。
そして、作中に出て参りましたナゾのガラス玉ですが、紫も申しております通り、紫が登場するシナリオでのみ有効なアイテムとなっております。何が見えるかは貴方次第。もし今回の紫からの依頼をお気に召して頂けましたら‥‥またお仕事をご一緒出来ることを願っております。
シュラインさん、面白い能力ですね! 今回の依頼では上手く活用できずにすいませんでした。
草間さん‥‥今回はご一緒できませんでした。紫は現物支給派なので(汗)、紫の依頼で彼に遭遇する事は難しいかもしれません。そんな紫ですが度々興信所の方へ顔を出すと思いますので、その時はお茶でも出して頂けると幸いです。
この度は参加、ありがとうございました。
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