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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


PIECE OF ONE SOUL
------<オープニング>--------------------------------------------------------------
 病院のベットに横たわる少年。枕上のカードには、高瀬悠と書かれている。
 カラカラ‥‥‥。
 少年以外誰もいない部屋の窓がひとりでに開き、夜風がカーテンをひらひらと揺らした。
「くすっ。お姉さんきちゃった。悠くんとの約束を守るために、ね」
 膝裏まで届きそうな緑色の長髪。翡翠色の瞳。透き通る白の肌。
 その女は微笑しながらベットに腰掛けてゆっくりと二度、悠に唇を合わせた。
「いらっしゃい悠くん。もうあなたは自由なの。感じるままにどこへでも行けるのよ。苦しみ
も何も無い、もう考える事も無い世界に」
 その声に誘われるようにゆっくりと起き上がる悠。
 そして立ち上がると、体が大きくぶれて、そして二つに別れる。病室の窓から、ドアから出
て行く悠。
「くすっ。じゃあ、お姉さん帰るわね。今日は楽しかったわ」
 そう言うと、その女はテーブルの上に緑色の砂時計を置いて微かな笑い声を立てる。
 それだけを残し、女の姿は病室から消えていた。

 ゴーストネットOFFの一台のパソコンを数人の人影が取り囲んでいる。
「悠のウェブページはここか‥‥‥」
 悠のHN『ONE』で書き込みは、祖父の死に群がる親族達の骨肉の争い、直後の両親の事
故死、それによる遺産相続。誰も信じられなくなった悠の悲痛な叫び声が切々と書き綴られて
いた。
 だが、HN『翠』の書き込みが始まった頃から事態は急変する。悲痛な叫びはどんどん現実
逃避的な書き込みに変わっていく。
 そして、入院前最後の『ONE』の書き込みは『翠』と会う約束で終わっている。
「ここで、何かがあったのか?」
「待って! まだ『翠』の書き込みがあるわ』

『悠くん、約束は守ったよ。全部の苦しみは喜びの内に終るわ。運命の砂がこの世から去って、
あなたの欠片が消える頃に。もし‥‥‥まだ行かせたくない人がいるのなら、悠くんの欠片を
戻してあげてください。どんな結末でも、お姉さんは最後まで見ています』


------<榊杜夏生の場合>-----------------------------------------------------------

『榊杜さん、消しゴム貸してくんないかなぁ』

『榊杜さん、きょーかしょ見せて!』

『ごめんっ! 宿題見してぇっ!!』

 ‥‥‥またぁ!? しょうがないなあ、まったく。
 もう忘れちゃだめだぞっ!!

『うんっ。さんきゅーっ!!』

 隣の席に座っているのは高瀬悠。ちょっととぼけたと言うか、間が抜けているヤツではあっ
たが人懐っこくてどこか憎めない、そんなヤツ。

『榊杜さーん♪』

 また、くっだらない事言うんだろなぁ。今度は何?
 ‥‥‥あれ、悠クン?
 どうしたの?
 
『榊杜さん‥‥‥』

 悠クン!

『さか‥‥‥さん‥‥‥』

「悠クン!!」
 そう叫んでベッドから飛び起きると、外はもう明るくなって。目覚ましは後一分もすれば鳴
る時間。
 でも、どうしたんだろ。急にあんな夢を見るなんて。
 そのまま学校に向かい、そして何気なく授業を受ける。
 何時もの、日常。何時もの、風景。
 変わらない筈のそれが壊れたのは、あの夢が始まりだったのかもしれない。
 誰にも届かない叫びがあたしの所にまで響いてきた、そんなあの時に。
「誰!?」
 見ると、人懐っこい笑顔を浮かべて、そこに立ってる悠クン。
『お別れの‥‥‥挨拶に来たよ』
 そんな事、急に言われても。一体、何がどうしたの!?
『いろいろありがとね。ずうっと、一言お礼が言いたかったんだ。それじゃ‥‥‥バイバイ』
 それだけ言って、走ってく。もちろんそんなの追いかけるわよ。納得いかないもん!
 だけど、あたしと悠クンの距離は‥‥‥追いかけても追いかけてもどこまでも変わらない。
いくら手を伸ばしても、掴もうとしても‥‥‥届かない。
 なんて、認めるもんか!
 ふん捕まえてどー言うことか白状させるまで、絶対に逃がさないんだからっ。
「いい加減にしなさいよっ! 待てつってんでしょーがぁっ!!」
 ぴた。
 げっ、急に止まった! 悠クンに突っ込んじゃう!!

『もう、誰も信じない』

 ぶつかったはずの悠クンとあたし。だけど、すり抜けて。
 体の中を通り抜けた時に、耳に‥‥‥ううん、心に直接に届いたの。一人ぼっちで苦しむ姿。
そして、パソコンに向かい何かを一心不乱に書き込んでいる姿が。
「‥‥‥これって‥‥‥悠クン!?」
 限界を知らないのか、さっきと同じスピードで走っていく悠クン。でも、いい加減走り回ら
せられて、もうあたしには追いかける体力が無いよ。
 もう‥‥‥なんなのよ。気になるじゃない!!
 頭にいいかげん来たので、ポケットの中から携帯を取り出した。
「もしもし。あ、あたしっ! 突然だけどさ、高瀬悠って今どうしてる?」
 中学の時のクラスメイトで今、悠クンと同じ学校に通っている飯塚郁美に電話してみる。
『あっ、夏生! おひさーっ。どうしたの? 急に』
「いや、なんか。街ですれ違ったから気になって」
 あたしがそう言った途端、電話の向こうの郁美の声のトーンが一オクターブぐらい上がった!
 ‥‥‥いや、それはさすがに大げさだけど。
『ええっ。何かの見間違いだよっ。高瀬くん、今入院してるもん。お見舞いに行ってきたけど、
かなりヤバそうだったよ。だから、街ですれ違うなんて絶対無いって‥‥‥もしかして、生霊っ
てやつ!? 怖いよーっ!!』
「た、たんなる人違いだったかも!! じゃあ、ありがとね。また、今度メールする!」
 でも。さっきのは見間違えなんかじゃない。
 割り切れない何かを持ちながら、取りあえず病院にお見舞いに行く事にする。
 面会時間、3時からだからまだだけど、行ってればいいかな。
 病院へ急ぐあたりの道ですれ違った緑の長い髪の女性。ふうわりと凄くいい香りが漂って。
 ‥‥‥なんか目の奥のほうに印象が残ってる。なんだろ。
 その時、突然に。
 視界の中にあるゴーストネットOFFにどうしても寄らなくちゃ、って。そんな風に思っちゃ
って。どうせまだ、面会時間前だから入れないし。
 誘われるままゴーストネットOFFに入り、パソコンに向かう。
 別に見たい所がある訳ではないんだけど、何かこう‥‥‥判らないけど、夢中でキーボード
を叩いてた。あたし、どうしちゃったんだろ。
 やがてたどり着いた、あるページ。読み進むうちにそれがすれ違ったあの時に浮かんだ、悠
が書き込んでいたページである事に気づく。
「ONE FORTUNE‥‥‥か」
 へえ、悠クンって詩書くんだ。ちょっと覗いてみようかな。

                『THE WORLD』

           どこにも続かない道、暗闇の中を歩き続ける僕

            投げ付けられる刃を避ける術も知らずに

               不条理と欺瞞の満ちた世界

             貴方が微笑の裏に隠した棘が僕を苛む

                  ああ、神様!

             願わくば、総てが眠りにつきますように

              明日の世界が明けませんように


 なんか‥‥‥言葉が出ないよ。
 あの明るい悠クンがこんな詩を書いているなんて。
 他にも何篇か綴られているけど、総て絶望と悲しみに沈む何とも痛々しい詩。
 どうして? 一体何があったの!?
 詩のページを閉じて、日記を読むうちに‥‥‥。
 祖父の死。両親の死。そして望まぬ遺産相続。後見人を巡るどたばた。定まった後見人の不
実。巨額の金が、総ての世界を失った悠クンの心をばらばらに引き裂いていく様子がそこに書
かれてた。
 なんか、嫌だ!
 フラッシュバックするあたしの心。
 小学生の頃、神隠しにあった従姉。大好きだったあの人の生死より、周りの大人達は後継ぎ
の心配ばかりしてた。最悪の場合は、別な人間を立てようって。
 別な人間ってなによ! お姉ちゃんは生きてるんだ!!
 そんなあたしの姿と悠クンの姿が重なる。
 何か、もう。胸がざわめく。どうしたんだろ。泣きそうな自分がとても嫌だ。
 涙をこらえつつ、日記を閉じて掲示板を覗いてみる。
「なによ‥‥‥これっ!?」

『悠くん、約束は守ったよ。全部の苦しみは喜びの内に終るわ。運命の砂がこの世から去って、
あなたの欠片が消える頃に。もし‥‥‥まだ行かせたくない人がいるのなら、悠くんの欠片を
戻してあげてください。どんな結末でも、お姉さんは最後まで見ています』

 冗談じゃないわよっ!
 心の欠片だなんて、そんな馬鹿馬鹿しい事‥‥‥でも、そうだとすればさっきの悠クンの体
をすり抜けたって事も説明がつく気もする。
 でも、この運命の砂って!?
 だけどどこを見ても、もうそれ以上のコトは書いてない。
 ‥‥‥病院行こう。何か判るかもしんないし。
 あたしは、ゴーストネットOFFを後にして、病院に急ぐ事にした。
 でもなあ。そんな心の欠片って言ってもなあ。
 それは判らないけど、悠クンの体をすり抜けたのも夢じゃない。紛れも無い事実。
 もう、訳が判んないよっ!!
 ダッシュで病院に向かって、入り口をくぐったら‥‥‥。
「ど、どうなさいましたっ!?」
 看護婦さんが目を丸くしてこちらを見てる。よくよく考えたら、ダッシュで汗だく、髪もぼ
さついて服も乱れ気味。ちょーっと見目麗しい女子高生の格好にしてはアヤシ過ぎ。
「えーっと、あのですね」
 我ながらちょっと怪しかったかなって思っちゃうけど、まあ無事にたどり着けたからまあよ
しとしよっと。
 で。
 ベットに横たわる悠クン。
 寝ているのかな。でも、起こしたら悪いから、声はかけないで置こうかな。
 と、さっき目を丸くしてた看護婦さんが入ってきた。
「そんなに急がなくても容態は安定してるから」
 看護婦さんの笑顔が眩しい分だけさっきの自分の様子、恥ずかしかったりする。うう‥‥‥。
「出来るだけ、話掛けてあげてね。意識が戻るかもしれないから。それじゃ、ね」
 それだけ言うと、看護婦さんは病室を出てく。
 だけど、あたしは‥‥‥。
『欠片』の言葉。そして、すれ違った悠クンの寂しげな顔が頭の中を巡ってた。
 ふと、視界に入ってきたテーブルの上に置かれた砂時計。
 少しずつ落ちる砂粒が、まるで耳のそばで囁いてるみたい。
 もうあまり残っていない、砂時計の天の砂。
 ‥‥‥‥‥‥砂?

『運命の砂がこの世から去って、あなたの欠片が消える頃に』
 
 何なのよっ。あの翠ってカキコしたヤツ。悠クンに何したって言うの!?
 いい加減ムカ入って砂時計を投げ捨てようと‥‥‥投げ捨てようと‥‥‥持ち上がんないし。
「分かったわよ。分かったわよ! 絶対連れ戻すんだから。悠クン! 欠片、残ってるのもい
るんでしょ!? 悪いけど、このまま逃げ切りさせはしないんだからね。待ってて!!」
 病院の中は走れないので、凄い勢いで早歩きしてるあたし。傍から見てたら、競歩じゃない
んだからって位の勢いで。
 そして、病院から出るなりダッシュして‥‥‥どこに行ったらいいんだろ。
 判んないけど、何か気ばかり焦って足が止まんない。
 走って、走って。走って走って走って走って走って走って‥‥‥‥‥‥‥‥‥走って。
 結局、あたしが悠クンって言って思いつくのは、中学校。
 下校時間はとっくに過ぎて、校内の人影は疎らになってた。
 ここでたくさんの思い出を作ったな。たくさん笑って、ちょっぴり泣いて。
 とっても大切な思い出で、そして悠クンもとっても大事な仲間だったから。
 失いたくない。
 そして、失わせたくない。共有する思い出と悠クンの未来を。
 ‥‥‥もし、ここに悠クンがいるとするなら。あそこしかない、かな。
 学校の裏のサッカー場。
 別に悠クンがサッカー部だった訳じゃないけど、一応名門のうちの学校のサッカー場は芝が
植えられてて、晴れた日には悠クンはここでごろごろしてた。とっても気持ちよさそうに。
 サッカー部は丁度どこかに遠征か何かに行っているらしく、グラウンドには誰もいないはず。
 だけどその芝生の上に、寝転ぶ人影が一つ。
 今度は逃げられないように、悠クンの視界の外からそーっと近づく。
「‥‥‥‥‥‥榊杜さん?」
 げ。見つかった!
「今度は逃がさないわよっ!!」
「くすくす、きみは変わらないね‥‥‥元気で。うらやましいな」
 多分あたし、無茶苦茶厳しい顔してる。この状態で笑えって方が無理っ!
 でも、何とか複雑な心境を押さえて、悠クンの隣に座る。だって、大声出したって始まらな
い気がするし。
「ひさしぶりなんだからさ、もっと話しようよ。自分だけ言いたい事言って行っちゃうなんて、
何か‥‥‥ズルいな」
「ズルい?」
 今度は逃げようとせず、あたしの言葉に耳を傾けてるみたい。どう、話を進めようかな。あ
んまりのんびりしてる暇、無いだろうし。
「あたしね。悠クンのホームページ見ちゃった」
「‥‥‥‥‥‥そう」
 顔色一つ変えずに、返事をする悠クン。話止めちゃいけない。何か、話さないと。
「あのね。あたしの事聞いてくれる?」
「榊杜さんの?」
 急に話題を変えたせいか、なんか少し表情が動いた気がする。何考えてるのかは判んないん
だけど。
「うん。あのね‥‥‥」
 小学校の時の、自分の従姉の話をする。それを頷きながら聞いてる悠クン。
「でもね、あたしさ。自分でお姉ちゃん探し出すって。それがこう‥‥‥なんて言うかな。周
りに何か負けないで、頑張って生きる事が出来たと思うんだ」
「‥‥‥榊杜さん。もういいよ。僕、疲れたんだ。翠さんが僕のこと自由にしてくれた。だか
ら運命の砂が全部無くなるまで、この場所で空を見ながら消えていきたいなって。僕が消えれ
ばみんな幸せになるんだから」
「違う! 違う違う。違ーーーうっっ!!」
 突然大きな声を出したあたしの事を、悠クンはびっくりした表情で見てる。
「違うよ。だってさ、友達‥‥‥いなくなったら嫌だ。少なくてもあたしは幸せになんかなら
ない! 中学の時のクラスメイト、全員不幸になるよ。なのに、なのにそんな事言うの!?」
「榊杜さん‥‥‥」
 知らないうちに何か、あたし泣いてる。けどっ、だけど消えるだなんて。それでみんな幸せ
だなんて。痛いよ。ズルいよ‥‥‥。
「どうして? 僕なんかどうだっていいじゃんか。僕が僕のこといらないんだから。もう、い
いじゃない。放って‥‥‥」
「おけない! 知ってしまった事を投げ捨てて知らん振り出来るほど、冷たい人間になんかな
れないよ。なんで? どうして?? みんな、友達じゃない。苦しいなら、どうして言ってく
んなかったの?」
 突然悠クンはがーっと髪の毛を掻き毟って首を振る。
「あーーーっ、もう。なんだよっ、もう何もいらないって思ってたのに。どうしてこんな時に
‥‥‥優しくするのさっ。いろんな事、思い出して‥‥‥また、みんなに会いたくなっちゃっ
たじゃんか!」
「何時だって‥‥‥会えるよっ。友達じゃん」
 頭を抱えて肩を震わし続ける悠クン。泣いているのかな‥‥‥。
「帰ろうよ。みんな呼んでもっといろんな事、話そ?」
「だめだよ‥‥‥翠さんが言ってた。僕の体を殺しに来るやつがいるって。砂が無くなったら
‥‥‥空を闇が覆いつくしたら、星の光が全部を消してくれるって。もう、間に合わないよ!」
 夕闇が迫る、冬の空。日が落ちるのは予想以上に早くて。
「走ろう! 間に合うよ。絶対に!!」
 あたしは悠クンの欠片を伴って、病院目指して走り出してた。
 ‥‥‥でも、不思議とあたしには絶対に間に合うって確信があった。
 だって、あたしが一緒だもん。
 あたしの運は運命だってひっくり返せる! 願いは届くよっ!!

------<エピローグ>-------------------------------------------------------------
 病院に急ぐ男女が入り口で交錯する!
 高校生が二人。先生らしき大人が一人。三人とも急いでいたせいか、入り口のところで思わ
ずぶつかってしまったのだ。
「悠クン!」「高瀬くん!」
 自分の事より、伴ってきた人物の事を心配する。
 その時、少年と青年の姿が重なって一つになっていった。
「欠片が‥‥‥」「元に戻って‥‥‥」
 事情を知っていることを驚くが、それならば急ぎである事も理解している。
 お互い顔を見合わせて、一つ頷くと病室に走る!
「何やってるんですか! ここは病院ですよっー!!」
 看護婦さんの金切り声を無視して病室に飛び込むと、先についた三人は高瀬悠の眠るベット
の脇に立つ。砂時計の砂は、もう肉眼で確認できないくらい少ししか残っていない!
「早くっっ!!」
 全員の声がハモる中、高瀬悠は自らの体に飛び込んだ!!
 
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

 緊張が時の流れを緩やかな物にする。自分の心臓の跳ねる音が聞こえる。果たしてどうなっ
たのか‥‥‥。
 全員が息を飲む中、ゆっくりと高瀬悠が目を開いた。
「お帰りなさい」
 不知火響の呼びかけに悠ははにかんで、顔を逸らしてしまう。迷惑をかけてしまった事が恥
ずかしいのだろう。
「‥‥‥ただいま、先生」
 小さな声で、そう応じる悠。
「退院したら、一緒に海に行こっか。みんな呼んでさ」
 榊杜夏生の声に、悠は何か呟いている。
「みんなとじゃなくて、二人で行けたら嬉しい‥‥‥かな」
 たぶん、本人は独り言のつもりなのだろうが。
 全員にしっかり聞こえている。
「女の子口説くんなら、もう少しちゃんと言ったほうがいいな」
 雨宮薫は笑いを押し殺し、響は微笑ましげにその光景を見つめていた。
「ゆ‥‥‥悠クン、キミってそーゆーキャラだっけ??」
 病室に響き渡る笑い。
 ‥‥‥看護婦さんが怒鳴り込んでくるのはこの直後の事であった。

                                     〔終幕〕


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        ■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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          【 PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】
          榊杜 夏生    女   16   高校生
          不知火 響    女   28   臨時養護教諭
          雨宮 薫     男   18   高校生(陰陽師)
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        ■         ライター通信          ■
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    初めまして、ご注文いただきましてありがとうございます。篠田足往〔しのだ 
   あゆき〕と申します。
    今回はほぼ、完全個別で書かせていただきました。
    非常に近い立場でのプレイングを掛けていただけましたのでこのようにしてみま
   したが、いかがでしょうか。完全個別なら、口語体でまとめた方が光るキャラかな
   と、思いまして。
    もしよろしければ、感想やご意見をいただけますと今後の参考にさせていただき
   ます。
    それでは、今回はご注文いただきまして誠にありがとうございます。またの御指
   名を心よりお待ち申し上げております。ありがとうございました。