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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


八王子城址〜死霊兵団〜

<オープニング>

「八王子城址って知ってる?有名な心霊スポットよね」
碇麗香は、依頼を受けに来た者たちを前にそう話を切り出した。
「前前から鎧武者は白い着物を着た女の霊が何度も目撃されているんだけど、この頃その数が異常に増えてきている。確か前にも死霊関係で事件があったわよね。それの関連かもしれない。調べてきてもらえるかしら?ただ、これだけは約束して。無茶はしないと」
白いコートの男不人が関係していると思われる。注意されたし。


<事務所にて>

「マジですか!?」
「マジ」
驚きの声上げる各務にこっくりとうなずく鷲見千白。
「鷲見さんが自分で仕事をとってくるなんて・・・」
「やっぱ一旦首つっこんじゃったことは最後まで付き合わないとねぇ」
やはり気の抜けた声で答えながら鷲見は新聞を読み続ける。活字中毒の彼女は何か文字を読んでいないと落ち着かなくなるのだ。
ここは鷲見の自宅件事務所。腕は悪くないがやる気のない主のため、ほとんど依頼を受けないことで有名な事務所だ。しかし、今回はなんとそのやる気のない主自らが依頼を取ってきたのだという。
「しかし・・・、大丈夫ですか鷲見さん。なんだかヤバそうな依頼ですけど・・・」
「何言ってるの。元はと言えば君が取ってきた依頼じゃないか」
そう、彼女がこの事件に関わるきっかけとなった依頼をとってきたのは各務である。自分が薦めた依頼に関連することとなれば、止めることは難しい。
「いや、そういえばそうですけど・・・。心配で・・・」
「平気平気。なんとかなるから」
鷲見はゆっくりと伸びをしながら答える。
平気だろうか。本当にへーきだろうか。
各務の不安が払拭されることはなかった。

<情報収集>

「う〜ん。特にいい情報はないなぁ」
栗毛色の髪をした少年は、そうつぶやきながらマウスを動かす。
「師匠が言ってた渋谷の事件ででてきた白天君だったっけか?封神演義に出てくる名前だから、その関係の新興宗教や団体がないかと思ったんだけど・・・」
残念ながら収穫はなかった。師匠のパソコンを使いながら少年、九夏珪はネットで情報収集をしていた近頃起きる死霊がらみの事件に関して、白いコートの男不人の関与が濃厚であることから、彼は敵の行動を探ろうとしていた。
「ふっぴー、あの目立つ容姿で歩き回っているんだよな。掲示板はどうだろう」
白いコートに銀髪の髪、それに真紅の双眸。これほど目立つ姿で行動している不人であれば、目撃情報の一つや二つはあるはず。そう考えた九夏は情報通が集まるサイトの掲示板で不人の
目撃情報を募集していたのだ。
「これで何か判るとは思えないけど、何か判ればめっけもん、だし♪」
結果はまずまずだった。有名な心霊スポットである八王子城址。この付近で不人と思われる人間を目撃したという情報が数件あったのだ。八王子城址と言えば、前前から鎧武者や着物姿の女の幽霊が出現することで有名なところ。ここに不人が現われているとしたらまた何か企んでいるのかもしれない。
その時、彼の携帯が鳴った。表示された電話番号は友人の雨宮薫のものである。
「ああ、薫。どした〜」
「お前、暇か?」
「ん、暇だけど」
「アトラスで依頼を受けた。どうも奴が関連してるらしい」
奴、不人の名を聞くと九夏の顔が真剣みを帯びる。
「ふっぴーか・・・。ひょっとして八王子城址とかに出てる?」
「なんでお前が知ってるんだ?」
「いや、ネットで調べてたらそんな情報が出てた」
「そうか・・・。奴が動いているということは死霊を悪用している可能性が大だ。なんとか食い止めたい。協力してくれ」
普段はプライドが高く、頭を下げることが苦手な雨宮が協力を求めてきた。不人を相手にする大変さが身に染みているのだろう。それほど不人の力は圧倒的なのだ。
「およ?どんな風の吹き回しだ。おっけ〜、協力するぜ」
「すまない。結界を展開するのに力を貸してほしい。今すぐこっちに来てくれ」
「了解っと」
九夏はジャンパーを羽織ると、玄関を出て足早に寒い夜道を八王子城址に向かって歩き出した。

<鎮魂>

一方、九夏に電話をする数時間前から雨宮は八王子城址に赴き、領内全体の地鎮をおこなっていた。
今までの事件で、不人はその土地に纏わる怨霊たちを解放し支配下に置くということを行っている。ならば、この八王子城址全体を清め、霊たちを鎮めれば不人の企みを阻止することができるのではないか。
彼はそう考え、慰霊碑等に米や酒等祓いのための供物を用意し、鎮魂の儀を執り行っていた。
「確かに霊気の強い場だな。だが全ての霊が害をなすものというわけでもない。落武者の霊か・・・。城を護り命を落とした霊の中に此所を見張っている者がいるな・・・」
彼の言葉のとうり、城跡に入ってから複数の何物かの視線をずっと感じられる。かつてこの八王子城は北条氏の城であったが、豊臣の北条征伐の際に攻められ、女子供を含む総勢1000
人が皆殺しにされたという。ここはそんな城を護るために散った死人の魂が未だに漂う場所である。
「城に仇なす者、邪魔する者には祟るということか・・・ならば」
雨宮は自分を監視している霊たちに呼びかける。
「城を護りし者たちよ。我は眠りを妨げる者にあらず。全てはこの地はを悪戯に荒らそうとする不遜な輩を排除する為。故に暫し力をお貸りしたい」
「無理だね。君の力では」
耳元でささやかれた、呼びかけを揶揄するようなささやき。それは彼にとって忘れないようのない声。
「不人・・・!」
「賢い君なら分かっているはずだ。この状態がどのようなことなのか」
不人の死人のように冷たい指が雨宮の首筋を這う。
「華奢な首だ。このままへし折ったらさぞいい音がするだろうねぇ」
「俺をここで殺すのか・・・?」
「まさか。そんな無粋な真似はしないよ。君は私のお気に入りの玩具なんだから」
「・・・貴様!」
呪符を握り締めて、雨宮は唇を噛む。反撃することはできない。しようとしたそぶりを見せた瞬間、彼の首は文字どおりへし折られるだろう。
「そうそう、今日は君に伝えたいことがあってきたんだ。今日の戌の刻、私はここの霊を開放する。分かるね。この意味が?」
「なぜ俺にそんなことを言う?黙ってやれば何の邪魔も入らないだろう」
「分かっていないね。それでは面白くないのだよ。無駄だと判っていてもあがき、最後までもがこうとするキミ達は本当に可愛くてね。せいぜい抵抗してほしいんだよ。特にどうしようもない絶望に打ちひしがれた顔が見られたらもう最高だ」
「貴様は人間じゃない!」
「当然だよ。私をキミ達と同列にしないでくれたまえ。では戌の刻に橋で」
ふっとかき消えるように不人が去ると、雨宮はがっくりと膝をついた。
殺されていた。完全に。
その気になれば、不人は自分の命など一瞬で奪うことができる。今のやり取りでそのことをまざまざと思い知らされた。実力では不人に勝つことはできない。ではどうするか・・・。
ふと雨宮の頭に一つの案が浮かんだ。不人に対抗する手があるではないか。力で勝てなくてもあれならば・・・。
そう思った雨宮は携帯を取り出し、友人に連絡を取るのだった。

<御守殿の滝>

八王子城天守閣があった広場にかかる橋。それは御守殿の滝にかかる城の中で最も見晴らしの良い場所だ。
この御守殿の滝は、城の中でも屈指の心霊スポットでもある。この滝は八王子城が落城の際、敵の捕虜になることを良しとしない女性達がたくさん身投げした場所だからだという。
深夜2時、もっとも霊たちの行動が活発になる時。別名戌の刻。
鷲見はこの城を包んでいる宵闇と同じ色をした男物のスーツをだらしなく着こなし、八王子城を歩いていた。もうちょっとお洒落に気を使えば結構いい線いくのにとは各務の言である。
この時刻あたりが不人が現われやすいのではないか。なんとなくそんな気がした鷲見は、以前関わった事件同様、城とやらを拠点に力を集めているのかなといい加減に見当をつけて天守閣のある広場に向かった。
だが鷲見には気にかかることがあった。ここは心霊スポットとして有名で、深夜は何人かの肝試しにやってきた若者などがいるはずなのだが今日に限って人っ子一人いないのだ。その代わり鎧武者、白い着物を着た女たちがたくさん見受けられた。彼らは鷲見の事など別段気にせず、ただ立っているだけのようである。何か不自然である。辺りには黄色い、不可思議な霧が漂っている。彼女は知る由もなかったがそれは不人が得意とする、死霊を活性化させ霊力に抵抗力の無い人間の生気を奪う霧、不浄骸霧であった。
「でもまぁ、悩んでも仕方ないしほっとくか」
相変らずやる気のない台詞を言いながらのんびり歩いていると、何時の間にか彼女は天守閣広場へとかかる御守殿の滝にかかる橋に差し掛かっていた。
橋の真中になにやら白い物体が見えてきた。長身の、長い銀髪をした、白いコートを纏った者。闇の中でもはっきりと確認できる赤い双眸。不人である。
彼女の接近に気が付くと、不人はゆっくりと振り向いた。
「おや、君は確かあの時の・・・」
「鷲見千白。一応陰陽師なんかやってる。不人だね?」
鷲見は手にした銃を不人に向けた。
「いかにも。私が不人だ。君も陰陽師か。よくよく陰陽師には縁があるね、私は」
彼は苦笑すると、彼女の回りを見て問うた。
「他の連中はどうしたのかな?まさか君一人ではあるまい?」
「そのまさかだよ。アタシ一人では役者不足とでもいいたい?」
「それは残念。折角お気に入りの玩具にめぐり合えると思ったのに・・・。まぁ、いいか。君の相手でもしていればその内出てくるかもしれないしね」
不人は一振りの日本刀を鞘から抜き放った。回向院で回収した山田浅右衛問の刀である。
「アタシも好きでやってる仕事でもないんだけどねぇ。適わない相手にでもやっぱけじめはつけなきゃと思うんだなぁこれが」
彼女は銃の引き金を引いた。

「なぁ、ほっとくとまずいんじゃないのか?」
弟子である九夏の問いに、久我直親は黙っているように答えた。
「まだだ。俺の式神はまだ奴に近づけん」
彼は先に雨宮と九夏に合流し隠形の術で身を隠し気配も完全に絶った状態で橋で不人を待ち受けていたのだ。さらに式神を二体用意しこれを不人の影に潜ませ背後から強襲、同時にこちらも攻撃するという挟み撃ちの作戦を練っていた彼は、なんとか式神は不人の背後に向かわせようとコントロールしていた。その矢先にまったく連絡のなかった鷲見が、彼らとは別行動で動き不人と戦いを開始したのだ。
隙がないため、式神を忍ばせることが難しかったのだが鷲見と交戦しているため不人に僅かな隙が生まれている。この機を逃したくは無かった。
「おい、あの姉ちゃんやばいんじゃないのか」
九夏の言葉に鷲見に視線を向けると、鷲見が不人に向かって銃を連射しているが見えた。だが、不人には何のダメージも与えてはいないらしい。陰陽の呪符を弾丸に摘めて放つこの銃は、基本的な力は久我や雨宮と同じくらいのもの。不人に通じることはないだろう。その内、弾丸を撃ち尽くしたのかはたまた諦めたのか鷲見は銃を撃つのを止めてしまった。
「もう見ていられん。俺は行くぞ」
雨宮が腰の退魔刀に手をやった。今にも切りかかりそうな状態だ。
「待て。後少しで式神が奴の影に入る。それまで・・・」
「その前にあいつが殺される。それを黙ってみていろというのか」
「今行けば確実に各個撃破される。一瞬の隙をついて全員の攻撃を叩き込むしかない」
「もういい。俺は人を見殺しにはできん!適わないまでも一矢報いてやる!」
退魔刀を抜き放ち、雨宮は不人に向かって走り出した。たちまち隠形の術が解け彼の姿が顕になる。
「今はあいつの方が正しいと思うな、俺。手伝うか」
九夏も雨宮の後を追い走る。久我は呪符を握り締めて出て行きたい衝動を抑えた。
「まだだ、奴が隙を見せる一瞬に・・・!」

「なんだ。これで終りかね。随分と拍子抜けさせられたものだ・・・」
「悪かったね」
首筋に黒き妖刀をつきつけられ、鷲見は憮然とした表情になった。
「もう少し楽しめると思っていたがとんだ期待外れだったようだね。仕方が無い君には死んでもらおうか」
「死ぬのは貴様だ!」
気合とともに振り下ろされた雨宮の刀を不人は妖刀ではじいた。
「ほう、いたのかね少年」
「貴様は俺が倒す!」
雨宮は呪符を展開し、浄化結界を発動させた。昼間の調査で不人が現われた後、彼は城全体に符印を用意し結界の準備をしておいたのだ。前回の首塚の一件で、不人の張った結界を破ることに成功した。結界で不人の死霊を操る力を押さえ込めばあるいは勝機が見出せるかもしれない。
雨宮の張った結界は効果を現し、辺りに立ち込めていた不浄骸霧が薄れ霊たちの姿が消えてゆく。
「ふむ、なかなか・・・。結界を張るのは上手いじゃないか」
「余裕をかましていられるのも今のうちだ。珪!」
「おう!」
九夏は雨宮が張った結界の維持を引き受けた。いかに符印で増幅していようと城全体を包み込む結界を維持しながら不人と戦うのは無茶である。そこで雨宮は九夏に結界の維持を担当してもらい、不人の力を封じた上で接近戦に持ち込むという作戦を考えた。
雨宮は不人に切りかかる。
「不浄骸霧は封じた!死霊は呼べないぞ」
「どうかな?力ずくで破るという手もあるぞ」
雨宮の斬撃はかわしながら答える不人。
「そんな暇は与えない!」
幼少の頃から剣術を叩き込まれた雨宮の太刀筋は鋭い。斬り、払い、突き。さらにフェイントを組み合わせた攻撃で不人を追い詰める。だが不人の顔から余裕の色は消えない。
「少年。確か雨宮君だったかな?君は橋についてどう思う?」
「何?」
不人の唐突な問いに眉を顰める雨宮。
「橋とは古来より、世界と世界を結ぶものと考えられてきた。すなわち異界への扉。もしこの橋がその役割を果たしていたらどうだろうね」
「何だと。まさか貴様・・・!」
「そう、そのまさかだよ。こんな橋があるからこの世とあの世の境を彷徨ってしまう。ならば橋など破壊してこの現世に留まれるようにすればいい。さぁ、退いてもらおうか!」
「ぐぁ!」
不人は強烈な斬撃で雨宮を弾き飛ばすと、刀を正面に構える。
「処刑人山田浅右衛門。並びにこの刀に首を落とされ今も無念の声を上げし亡者どもよ。今こそその力を解き放て。現世で生を貪る愚者達に滅びの力を!!!」
山田浅右衛門の刀。200年に渡り罪人の首を狩ってきた呪われし妖刀。その力が解き放たれた。
憎しみ、悲しみ、、嘆き、苦しみその他様様な負の気が集まった力は、闇よりなお深き闇、地獄の深淵の闇とでもいうような漆黒のオーラとして顕現した。オーラは刀から放たれ木製の橋の袂に直撃し粉々に破壊する。
雨宮たちはその光景を信じられないとった表情で見送ってしまう。
「素晴らしい。素晴らしいぞこの力。まだ半分の力も解放していないがまさかこれほどとは・・・。ふふふ。実験は大成功だな。これで八王子城の霊もあの世に帰還することはできない」
不人の言葉どうり、八王子城全体から次々と霊たちが出現し始めた。もはや実体化できないくらいこの世に執着力がない者たちも全て橋が破壊されてしまったため、あの世にいけなくなってしまったのだ。
「浄化しようにももう手遅れだ。ここの霊たちも楔を外され彷徨うこととなる。残念だったな。さて、私はこれで失礼させてもらうかな・・・!」
転移の法で離脱を図ろうとした不人は、背後に生じた殺気に振り返り切りかかった。それは天道神を模った式神だった。切り裂かれた式神は呪符に戻る。
「もらった!」
不人が僅かな隙を見せた瞬間、満を持して待っていた久我が隠形の術を解除して不人に切りかかった。不人は返す刀で久我を切り捨てようとした。
その時。
がぁぁぁぁぁぁん!!!
派手な音を立てて不人のもつ刀が爆発した。鷲見が切り札として持っていた最強の符を込めた銃弾が炸裂したのだ。
「甘くみすぎだよ」
「小賢しい真似を・・・。っ!」
久我の退魔刀が不人を捕らえた。それは頬に僅かな傷しかつけられなかったが、初めて不人に傷を負わせられたのだ。
「こいつは驚いた・・・。大分レベルアップしたじゃないか。面白い。本当に面白いよ君たちは」
高笑いを響かせながら不人は転移の法を使用して今度こそこの場から消え去った。
その姿を見た久我はしてやったりという顔をした。

<影>

「任務完了しました。八王子城の霊の開放は成功。回収作業を急がせます」
「ご苦労」
不人が頭を下げた先には、何者かがいた。窓からの光が逆行となり輪郭などがぼんやりとしか見えないが、どうやらスーツ姿の男らしい。回りも証明が落とされているためはっきりとは判らないが、大きなデスクがある。その他にも様様な調度品や観葉植物などがおかれているようだ。
「また、山田浅右衛門の刀も実験してみましたが、中々の威力でした。小型のプラスチック爆弾並のパワーがありますよ」
「上々だ。日本各地にはまだまだ妖刀と呼ばれるものがある。これらを回収することでさらなる兵器が手に入るというものだ。鎧武者の制作も順調だし、お前の死霊傀儡も死なない兵士として評判が良い」
「それはなによりです。ところで魎華は?」
「違う任務で飛んでもらっている」
男はそこで言葉を切ると、不人の肩を見てクスクスと笑いだす。
「どうしたんです」
「不人、肩に蟲が止まっているぞ」
不人が目をやった先には、一匹の小さな蝶が止まっていた。この寒い時期に蝶などいるはずがない。となればこれは・・・。
「あの陰陽師か・・・。味な真似をっ」
蝶を握り潰そうとした不人の手を男が止める。
「まぁ、待ちたまえ。君を出し抜いて蝶・・・、此れは式神かな?とにかくこんなものを肩に止まらせて諜報活動をさせるなんて大したものだ。例の邪魔してくる人間たちかな」
「ええ、まぁ」
「ここまで来てくれたのだから、それなりの礼はしないとな。初めましてというべきだな。残念ながら名前は明かせないが許してほしい。まぁ、君も不法侵入しているのだからお互い様か。私が何を不人にやらせているか知りたいだろう。残念ながら教えることはできない。しかしこれだけは覚えていてほしい。戦争はやるもののではなくやらせるもの。それが私のモットーなのだよ。しばらくしたら興味深い催し物を君たちにお目にかけられると思う。楽しみにしておいてくれ」
視界がフェイドアウトする。どうやら式神が潰されてしまったらしい。

久我は自分の得た情報を3人に話した。彼の今回の真の目的は不人が何を企んでいるのか?またアジトらしきものはあるのかというのを探ることだった。そのためにこれだけの準備をして不人の注意を引き、不人に接触させることに成功させたのだった。
残念ながらアジトらしき場所はつかめなかった。だが、不人の背後に誰かがいることは判った。
男が残した言葉。戦争はやるものではなくやらせるもの。これは一体何を意味するのだろうか。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0095/久我・直親/男/27/陰陽師
0183/九夏・珪/男/18/高校生(陰陽師)
0112/雨宮・薫/男/18/陰陽師。普段は学生(高校生)
0229/鷲見・千白/女/28/(やる気のない)陰陽師

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■         ライター通信          ■
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大変お待たせいたしました。申し訳ありません。
八王子城址〜死霊兵団〜はいかがだったでしょうか?
今回は陰陽師が4人というすごいパーティでした(笑)。戦闘が主体となりましたが、敵の情報が少しずつ判明してきました。死霊シリーズはこれから佳境を迎えます。ご期待ください。
不人出現ポイントである橋を探りあてた人は残念ながらいませんでしたが、不人に一矢報いることに成功しました。
おめでとうございます。
ご意見、ご感想、ご要望などございましたらファンレターで頂戴できればと思います。可能な限りリプレイに反映させていただきたいと思います。

余談ですがテラコンができてPL間での情報の共有ができるようになりました。ベルゼブブのシリーズはこの死霊シリーズ以外に、10都市物語シリーズ、悪魔教会シリーズ、キメラシリーズ(これから始まります)の4つが存在します。PL間で情報の共有を行い、プレイングの相談をしていただければより成功の確率は高まると思います。是非テラコンをご利用ください。

鷲見様

今回は別行動ということでしたので、不人と一騎打ちを行っていただきました。相変らずのやる気のなさに重点を置いて表現させていただきました。各務さんはあんな感じでよろしいでしょうか?